特許第6356997号(P6356997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6356997光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6356997
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20180702BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180702BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20180702BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20180702BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20180702BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20180702BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20180702BHJP
   G02B 17/00 20060101ALI20180702BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20180702BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180702BHJP
【FI】
   G02B5/00 Z
   F21S2/00 482
   F21V5/00 510
   F21V3/00 320
   F21V3/00 530
   H01L33/58
   G02F1/13357
   G02B5/02 B
   G02B5/02 C
   G02B17/00 Z
   G02B3/02
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-76152(P2014-76152)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-197624(P2015-197624A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】平加 健介
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−020716(JP,A)
【文献】 特開2011−023204(JP,A)
【文献】 特開2009−117207(JP,A)
【文献】 特開2010−153328(JP,A)
【文献】 特開2014−007135(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/037288(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 5/00
G02B 3/02
G02B 5/02
G02B 17/00
G02F 1/13357
H01L 33/58
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材であって、
その中心軸と交わるように裏側に配置され、前記発光素子から出射された光を入射させる入射面と、
その中央部分から外周部分に向かうにつれて前記発光素子から離れるように表側に配置され、前記入射面で入射した光を側方に反射させる反射面と、
前記入射面より外側であって、前記中心軸を囲むように裏側に配置され、前記中心軸側に配置された第1環状面と、前記第1環状面より外側に配置された第2環状面とを含む環状溝と、
前記環状溝より外側であって、前記中心軸を囲むように配置され、前記反射面で反射した光を出射させる出射面と、
を有し、
前記環状溝は、前記発光素子の中心から出射され、前記入射面で入射してから前記反射面で反射するまでの光の光路と交わらないように、かつ前記発光素子から出射され、前記入射面で入射した光のうち、前記反射面で反射してから前記出射面へ到達するまでの光の少なくとも一部の光路と交わるように配置され、
前記第2環状面は、前記環状溝の谷部から前記環状溝の開口縁に近づくにしたがって、前記環状溝の幅が広がるように形成され、前記発光素子から出射され、前記入射面で入射し、前記反射面で反射した後、前記第1環状面から出射した光を表側に向けて屈折させる、
光束制御部材。
【請求項2】
前記環状溝の前記谷部は、前記反射面の中心部分より表側に配置されている、請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記第2環状面の前記中心軸を含む断面形状は、直線または曲線である、請求項1または請求項2に記載の光束制御部材。
【請求項4】
前記環状溝は、前記中心軸に対して回転対称である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光束制御部材。
【請求項5】
発光素子と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光束制御部材とを有し、
前記光束制御部材は、前記中心軸が前記発光素子の光軸と合致するように配置されている、
発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置と、
前記発光装置からの光を拡散させつつ透過させる光拡散部材と、
を有する、面光源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、
を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材に関する。また、本発明は、この光束制御部材を有する発光装置、面光源装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。
【0003】
たとえば、直下型の面光源装置は、基板、複数の発光素子、複数の光束制御部材および光拡散部材を有する。複数の発光素子は、基板上にマトリックス状に配置されている。各発光素子の上には、各発光素子から出射された光を基板の面方向に拡げる光束制御部材が配置されている。光束制御部材から出射された光は、光拡散部材により拡散され、被照射部材(例えば液晶パネル)を面状に照らす(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に係る面光源装置は、筐体と、筐体の内部に配置された基板と、基板上に配置された発光素子と、発光素子を覆うように基板上に配置され、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材(光方向変換用光学素子)と、光束制御部材から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散部材(拡散透過部)と、を有する。光束制御部材は、発光素子から出射された光を入射する入射面と、入射面の反対側に形成され、入射した光を側方に反射する反射面と、反射面で反射した光を出射させる出射面とを有する。
【0005】
発光素子から出射された光は、入射面から光束制御部材に入射する。光束制御部材に入射した光は、反射面で側方に向かって反射して、出射面から光束制御部材の外部に出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−048883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の面光源装置では、出射面から側方に向かって出射した光の一部は、そのまま空気内を伝播して筐体に到達する。このように、出射面から出射した光の一部は、光拡散部材に到達せずに減衰して利用されない場合がある。このように、特許文献1に係る面光源装置では、発光素子から出射された光を十分に利用できていないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、発光素子から出射された光の利用効率を高くすることができる光束制御部材を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、この光束制御部材を有する発光装置、面光源装置および表示装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光束制御部材は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材であって、その中心軸と交わるように裏側に配置され、前記発光素子から出射された光を入射させる入射面と、その中央部分から外周部分に向かうにつれて前記発光素子から離れるように表側に配置され、前記入射面で入射した光を側方に反射させる反射面と、前記入射面より外側であって、前記中心軸を囲むように裏側に配置され、前記中心軸側に配置された第1環状面と、前記第1環状面より外側に配置された第2環状面とを含む環状溝と、前記環状溝より外側であって、前記中心軸を囲むように配置され、前記反射面で反射した光を出射させる出射面と、を有し、前記環状溝は、前記発光素子の中心から出射され、前記入射面で入射してから前記反射面で反射するまでの光の光路と交わらないように、かつ前記発光素子から出射され、前記入射面で入射した光のうち、前記反射面で反射してから前記出射面へ到達するまでの光の少なくとも一部の光路と交わるように配置され、前記第2環状面は、前記環状溝の谷部から前記環状溝の開口縁に近づくにしたがって、前記環状溝の幅が広がるように形成され、前記発光素子から出射され、前記入射面で入射し、前記反射面で反射した光を表側に向けて屈折させる。
【0011】
本発明に係る発光装置は、発光素子と、本発明に係る光束制御部材とを有し、光束制御部材は、中心軸が発光素子の光軸と合致するように配置されている。
【0012】
本発明に係る面光源装置は、本発明に係る発光装置と、発光装置からの光を拡散させつつ透過させる光拡散部材とを有する。
【0013】
本発明に係る表示装置は、本発明に係る面光源装置と、面光源装置から出射された光を照射される表示部材とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る光束制御部材および光束制御部材を有する発光装置は、発光素子から出射された光の利用効率を高くすることができる。したがって、本発明に係る面光源装置および表示装置は、従来の装置に比べて輝度ムラを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1A、Bは、実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す外観図である。
図2図2A、Bは、実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す断面図である。
図3図3は、図2Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
図4図4A〜Dは、実施の形態1に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図5図5は、図4Dの一部を拡大した部分拡大断面図である。
図6図6A、Bは、実施の形態1および比較例1に係る光束制御部材における光路のシミュレーション結果を示した図である。
図7図7A〜Dは、実施の形態2に係る光束制御部材の断面図である。
図8図8は、比較例に係る光束制御部材の断面図である。
図9図9A、Bは、実施の形態2および比較例2に係る光束制御部材における光路のシミュレーション結果を示した図である。
図10図10A〜Cは、実施の形態2および比較例2における光束制御部材を用いた場合の照度分布のシミュレーション結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される被照射部材(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置として使用されうる。
【0017】
[実施の形態1]
(面光源装置および発光装置の構成)
図1〜3は、実施の形態1に係る面光源装置100の構成を示す図である。図1Aは、実施の形態1に係る面光源装置100の平面図であり、図1Bは、正面図である。図2Aは、図1Bに示されるA−A線の断面図であり、図2Bは、図1Aに示されるB−B線の断面図である。図3は、図2Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
【0018】
図1および図2に示されるように、実施の形態1に係る面光源装置100は、筐体120、光拡散部材140および複数の発光装置160を有する。複数の発光装置160は、筐体120の底板122上にマトリックス状に配置されている。底板122の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体120の天板には、開口部が設けられている。光拡散部材140は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mm(32インチ)である。
【0019】
図3に示されるように、複数の発光装置160は、それぞれ基板124上に固定されている。複数の基板124は、それぞれ筐体120の底板122上の所定の位置に固定されている。複数の発光装置160は、それぞれ発光素子162および光束制御部材200を有する。
【0020】
発光素子162は、面光源装置100の光源であり、基板124上に実装されている。発光素子162は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。
【0021】
光束制御部材200は、発光素子162から出射された光の配光を制御する拡散レンズであり、基板124上に固定されている。光束制御部材200は、その中心軸CAが発光素子162の光軸LAに一致するように、発光素子162の上に配置されている。なお、後述する光束制御部材200の反射面220および出射面240は、いずれも回転対称(円対称)であり、かつこれらの回転軸は一致する。この反射面220および出射面240の回転軸を「光束制御部材の中心軸CA」という。また、「発光素子の光軸LA」とは、発光素子162からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子162が実装された基板124と光束制御部材200の入射面210との間には、発光素子162から発せられる熱を外部に逃がすための間隙が形成されている。
【0022】
光束制御部材200は、一体成形により形成されている。光束制御部材200の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材200の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0023】
本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材200の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材200の詳細については、後述する。
【0024】
光拡散部材140は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置160からの出射光を拡散させつつ透過させる。通常、光拡散部材140は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散部材140は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散部材140の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散部材140の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0025】
本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光素子162から出射された光は、各光束制御部材200により光拡散部材140の広範囲を照らすように拡げられる。各光束制御部材200から出射された光は、さらに光拡散部材140により拡散される。その結果、本実施の形態に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0026】
(光束制御部材の構成)
図4および図5は、実施の形態1に係る光束制御部材200の構成を示す図である。図4Aは、実施の形態1に係る光束制御部材200の平面図であり、図4Bは、底面図であり、図4Cは、側面図であり、図4Dは、図4Bに示されるA−A線の断面図である。図5は、図4Dの部分拡大断面図である。
【0027】
図4および図5に示されるように、光束制御部材200は、入射面210、反射面220、環状溝230および出射面240を有する。
【0028】
入射面210は、光束制御部材200の裏(発光素子162)側の中央部分に配置された平面である。入射面210は、光軸LAに直交して配置されており、入射した光を反射面220に向かって屈折させる。入射面210の平面視形状は、特に限定されないが、本実施の形態では、円形である。
【0029】
反射面220は、入射面210で入射した光を側方に向けて反射させる。反射面220は、光束制御部材200の中心軸CAを中心とする回転対称(円対称)面である。また、この回転対称面の中心部分から外周部分にかけての母線は、発光素子162に対して凹の曲線であり、反射面220は、中心軸CAを回転軸として、この母線を360°回転させた状態の曲面である(図4参照)。すなわち、反射面220は、中心部分から外周部分に向かうにつれて発光素子162からの高さが高くなる非球面形状の曲面を有する。また、反射面220の外周部分は、反射面220の中心と比較して、発光素子162の光軸LA方向における発光素子162からの距離(高さ)が離れた位置に形成されている。たとえば、反射面220は、中心部分から外周部分に向かうにつれて発光素子162からの高さが高くなる非球面形状の曲面であるか、または、中心部分から所定の地点までは中心部分から外周部分に向かうにつれて発光素子162(基板124)からの高さが高くなり、前記所定の地点から外周部分までは中心部分から外周部分に向かうにつれて発光素子162からの高さが低くなる非球面形状の曲面である。前者の場合、基板124の面方向に対する反射面220の傾斜角度は、中心部分から外周部分に向かうにつれて小さくなる。一方、後者の場合、反射面220には、中心部分と外周部分との間であって、かつ外周部分に近い位置に、基板124の面方向に対する傾斜角度が零(基板124と平行)となる点が存在する。なお、「母線」とは、一般的に線織面を描く直線を意味するが、本発明では回転対称面である反射面220を描くための曲線を含む語として用いる。
【0030】
環状溝230は、入射面210より外側であって、中心軸CAを囲むように裏側に配置されている。環状溝230は、反射面220で反射した光の一部を表側に向けて屈折させる。環状溝230は、第1環状面232および第2環状面234を有する。環状溝230の中心軸CAを含む断面形状は、第1環状面232および第2環状面234を有し、前述の機能を発揮することができれば特に限定されない。本実施の形態では、中心軸CAを含む環状溝230の断面形状は、三角形である。すなわち、本実施の形態では、第1環状面232および第2環状面234の間の谷部には、稜線236が形成されている。環状溝230は、谷部から開口縁に近づくにしたがって溝幅が広がるように形成されている。また、中心軸CAを含む断面における環状溝230の深さは、中心軸CAを回転軸とする周方向において同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、中心軸CAを含む断面における環状溝230の深さは、中心軸CAを回転軸とする周方向において同じである。また、中心軸CAを含む断面における環状溝230の幅は、中心軸CAを回転軸とする周方向において同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、中心軸CAを含む断面における環状溝230の幅は、中心軸CAを回転軸とする周方向において同じである。すなわち、本実施の形態において、環状溝230は、中心軸CAに対して回転対称である。また、環状溝230の谷部は、反射面220の中心部分より表側に配置されていることが好ましい(図5に示される両矢印線参照)。ここで、環状溝230の谷部とは、「環状溝230において、開口部から最も深い位置」を意味する。
【0031】
第1環状面232は、中心軸CA側に中心軸CAを取り囲むように配置されている。第1環状面232の中心軸CAに対する傾斜方向は、特に限定されない。第1環状面232は、中心軸CAから離れるにつれて、光束制御部材200の表側に近づくように配置されていてもよい。すなわち、第1環状面232は、逆円錐台形の側面の形状であってもよい。これにより、光束制御部材200を射出成形する場合に金型から光束制御部材200が抜けやすくなる。また、第1環状面232は、中心軸CAと平行に配置されていてもよい。すなわち、第1環状面232は、円柱の側面の形状であってもよい。
【0032】
第2環状面234は、第1環状面232より外側に、中心軸CAを取り囲むように配置されている。また、第2環状面234は、中心軸CA側(中央部分)から外周部分に向かうにつれて裏側に近づくように配置されている。第2環状面234の中心軸CAを含む断面形状は、特に限定されない。第2環状面234の中心軸CAを含む断面形状は、直線または曲線が含まれる。曲線の例には、曲率中心がその外側にある弧および曲率中心がその内側にある弧などが含まれる。本実施の形態では、第2環状面234の中心軸CAを含む断面形状は、直線である。すなわち、第2環状面234は、円錐台形の側面の形状である。
【0033】
稜線236は、第1環状面232および第2環状面234の境界線であり、中心軸CAを取り囲むように配置されている。稜線236(環状溝230の谷部)は、反射面220の中心部分より表側に配置されていることが好ましい(図5に示される両矢印線参照)。
【0034】
出射面240は、反射面220で反射した光を光束制御部材200の外部に出射させる。出射面240は、中心軸CAを取り囲むように配置されている。本実施の形態では、出射面240は、中心軸CAに沿った曲面である。中心軸CAを含む断面において、出射面240の上端は、反射面220に接続されている。一方、中心軸CAを含む断面において、出射面240の下端は、第2環状面234に接続されている。
【0035】
脚部180は、入射面210、反射面220、環状溝230および出射面240を含む光束制御部材本体を基板124に対して位置決めするための部分である。本実施の形態では、脚部180は、入射面210に3本配置されている。
【0036】
(シミュレーション)
実施の形態1の光束制御部材200において、発光素子162から出射される光の光路ついてシミュレーションを行った。また、比較のため、環状溝230を有しない光束制御部材200’(以下「比較例に係る光束制御部材200’」という)についても、同様のシミュレーションを行った。
【0037】
図6Aは、比較例1に係る光束制御部材200’において、発光素子162の発光面の中心から出射された光の光路図であり、図6Bは、実施の形態1に係る光束制御部材200において、発光素子162の発光面の中心から出射された光の光路図である。なお、図6Aおよび図6Bでは、脚部180を省略している。
【0038】
図6Aに示されるように、比較例1に係る光束制御部材200’において、発光素子162の中心から出射された光の一部は、入射面210で入射して、反射面220に向かって屈折する。光束制御部材200’内に入射した光は、反射面220で側方に向かって反射される。そして、反射面220で反射した光は、出射面240から光束制御部材200’の外部に出射する。このとき、光束制御部材200’から出射した光は、側方に向かって進行する。
【0039】
一方、図6Bに示されるように、実施の形態1に係る光束制御部材200において、発光素子162の中心から出射された光の一部は、入射面210で入射して、反射面220に向かって屈折する。光束制御部材200内に入射した光は、反射面220で側方に向かって反射される。そして、反射面220で反射した光の一部(反射面220の出射面240側部分で反射した光)は、出射面240から光束制御部材200の外部に出射する。また、反射面220で反射した光の一部(反射面220の中心軸CA側部分で反射した光)は、第1環状面232から光束制御部材200の外部に出射しする。このとき、第1環状面232は中心軸CAに対して略平行であるため、第1環状面232で出射した光は、あまり屈折しない。また、第1環状面232から出射した光は、第2環状面234で光束制御部材200の内部に入射する。このとき、第2環状溝234が中央部分から外周部分に向かうにつれて裏側に近づくように配置されているため、第2環状面234で入射した光は、大きく表側に向かって屈折する。このように、反射面220の裏側で反射した光の一部は、第1環状面232および第2環状面234により表側に向かって屈折される。そして、表側に向かって屈折された光は、出射面240から光束制御部材200の外部に出射する。
【0040】
(効果)
以上のように、実施の形態1に係る光束制御部材200では、反射面220で反射する光の光路上の一部に、光を表側に屈折させる環状溝230が形成されているため、反射面220で反射する光の一部は、表側に向かって出射される。このため、実施の形態1に係る光束制御部材200では、発光素子162から出射された光を効率よく使用することができる。また、実施の形態1に係る面光源装置100において、照度分布の波形を改善することができる。
【0041】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る面光源装置は、光束制御部材300の構成のみが実施の形態1に係る面光源装置100と異なる。そこで、実施の形態2に係る光束制御部材300のみについて説明する。
【0042】
(光束制御部材の構成)
図7A〜Dは、実施の形態2に係る光束制御部材300の構成を示す図である。図7Aは、実施の形態2に係る光束制御部材300の平面図であり、図7Bは、底面図であり、図7Cは、正面図であり、図7Dは、図7Bに示されるA−A線の断面図である。
【0043】
図7A〜Dに示されるように、本発明の実施の形態2に係る光束制御部材300は、入射面310、反射面220、環状溝230、出射面240および検査基準面350を有する。
【0044】
入射面310は、凹面312および裏面314を含む内側入射面と、傾斜面316を含む外側傾斜面とを有する。
【0045】
凹面312は、光束制御部材300の裏側(発光素子162側)の中央部分に形成されている。凹面312は、発光素子162から出射された光の一部を入射させる。本実施の形態では、凹面312は、光軸LAから離れるにつれて発光素子162に近づくように形成された、略球冠形状の回転対称(円対称)面である。凹面312の中心軸と光束制御部材300の中心軸CAとは一致している。発光素子162から出射された光のうち、光軸LAに対する角度が小さい光は、凹面312で入射する。
【0046】
裏面314は、凹面312の外側に配置されている。裏面314は、発光素子162から出射された光の一部を入射させる。本実施の形態では、裏面314は、中心軸CAに垂直な平面である。裏面314は、凹面312の外周縁部から中心軸CAに直交する方向に延在している。裏面314には、発光素子162から出射された光のうち、凹面312で入射した光より光軸LAに対する角度が大きい光が入射する。
【0047】
傾斜面316は、裏面314の外側に配置されている。傾斜面316は、発光素子162から出射された光の一部を入射させる。傾斜面316は、中心軸CA(光軸LA)から離れるにつれて発光素子162から離れるように配置されている。傾斜面316は、発光素子162の発光面の中心から出射され、内側入射面の外縁で入射した光の光路と交わらない角度で形成されている。すなわち、発光素子162の発光面の中心から出射された光のうち、裏面314で入射した光より光軸LAに対する角度が大きい光は傾斜面に入射せず、発光素子162の端部から出射された光の一部が傾斜面316で入射する。
【0048】
検査基準面350は、傾斜面316より表側であって、かつ傾斜面316の外側に配置されている。検査基準面350には、発光素子162の発光面の中心から出射した光が直接到達することはない。検査基準面350は、中心軸CAに垂直な平面である。検査基準面350は、傾斜面316の外周縁部から中心軸CAに直交する方向に延在している。検査基準面350には、脚部180が固定されている。これにより、光束制御部材300の脚部180や後述する出射面240などの高さ方向の寸法は、検査基準面350を基準として簡単に検査することができる。本実施の形態では、検査基準面350に脚部180が設けられている。
【0049】
環状溝230は、検査基準面350より外側であって、かつ裏側に配置されている。
【0050】
(シミュレーション)
実施の形態2に係る光束制御部材300において、発光素子162から出射される光の光路と、光束制御部材300上に拡散板を設置したときの拡散板上における明るさについてシミュレーションを行った。また、比較のため、環状溝230を有さない光束制御部材300’(以下「比較例2に係る光束制御部材」という;図8参照)についても、同様のシミュレーションを行った。実施の形態1においてのシミュレーションでは、発光素子162の中心から出射された光について効果を確認したが、実施の形態2では発光素子162の端部から出射する光についても効果を確認した。
【0051】
図9Aは、比較例2に係る光束制御部材300’において、発光素子162の発光面から出射された光の光路図であり、図9Bは、実施の形態2に係る光束制御部材300において、発光素子162の発光面から出射された光の光路図である。なお、図9Aおよび図9Bでは、ハッチングおよび脚部180を省略している。
【0052】
図9Aに示されるように、比較例に係る光束制御部材300’において、発光素子162から出射された光の一部は、入射面310で入射して、反射面220に向かって屈折する。光束制御部材300’内に入射した光は、反射面220で側方に向かって反射される。そして、反射面220で反射した光は、出射面240から光束制御部材300’の外部に出射する。
【0053】
一方、図9Bに示されるように、実施の形態2に係る光束制御部材300において、発光素子162から出射された光の一部は、入射面310で入射して、反射面220に向かって屈折する。光束制御部材300内に入射した光は、反射面220で側方に向かって反射される。そして、反射面220で反射した光の一部(反射面220の出射面240側部分で反射した光)は、出射面240から光束制御部材300の外部に出射する。また、反射面220で反射した光の一部(反射面220の中心軸CA側部分で反射した光)は、第1環状面232から光束制御部材300の外部に出射しする。このとき、第1環状面232は中心軸CAに対して略平行であるため、第1環状面232で出射した光は、あまり屈折しない。また、第1環状面232から出射した光は、第2環状面234で光束制御部材300の内部に入射する。このとき、第2環状溝234が中央部分から外周部分に向かうにつれて裏側に近づくように配置されているため、第2環状面234で入射した光は、大きく表側に向かって屈折する。このように、反射面220の裏側で反射した光の一部は、第1環状面232および第2環状面234により表側に向かって屈折される。そして、表側に向かって屈折された光は、出射面240から光束制御部材300の外部に出射する。
【0054】
図10Aは、実施の形態2に係る光束制御部材300を用いた場合の拡散板上における照度分布であり、図10Bは、比較例2に係る光束制御部材300を用いた場合の拡散板上における照度分布であり、図10Cは、光軸LAを含む断面における拡散板上の照度分布である。図10Aの縦軸、横軸と、図10Bの縦軸、横軸と、図10Cの横軸は、光軸LAと拡散板との交点からの距離(mm)を示している。また、図10Cの縦軸は、照度(lux)を示している。また、図10Cの実線は、実施の形態2に係る光束制御部材300を用いた場合の照度を示しており、破線は、比較例2に係る光束制御部材300’を用いた場合の照度を示している。
【0055】
図10A〜Cに示されるように、実施の形態1に係る光束制御部材300を用いた場合には、比較例2に係る光束制御部材300’を用いた場合と比較して、上側に向かって制御された光が多いことが分かる(特に図10Cに示される一点鎖線部分参照)。前述したように、これは、側方に向かう光の一部を、主に第1環状面232および第2環状面234により表側に向かって屈折させているためである。
【0056】
(効果)
以上のように、実施の形態2に係る光束制御部材300は、実施の形態1に係る光束制御部材200と同様の効果を有する。また、実施の形態2に係る光束制御部材300は、実施の形態1の光束制御部材200と比較して軽量化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る光束制御部材、発光装置および面光源装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや一般照明などに適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 面光源装置
120 筐体
122 底板
124 基板
140 光拡散部材
160 発光装置
162 発光素子
180 脚部
200、200’、300、300’ 光束制御部材
210、310 入射面
220 反射面
230 環状溝
232 第1環状溝
234 第2環状溝
236 稜線
240 出射面
312 凹面
314 裏面
316 傾斜面
350 検査基準面
CA 中心軸
LA 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10