(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357013
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】フレア状入口挿入部を備えるフラッシュタンク及びフラッシュタンクに流れを導入するための方法
(51)【国際特許分類】
D21C 11/00 20060101AFI20180702BHJP
B01D 3/06 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
D21C11/00 B
B01D3/06 Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-107648(P2014-107648)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2014-231667(P2014-231667A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】61/827,830
(32)【優先日】2013年5月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/272,941
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278600
【氏名又は名称】アンドリッツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エム. グロガン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター エドワード ネリス
(72)【発明者】
【氏名】タイソン ブラッドフォード ハント
【審査官】
河島 拓未
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−183002(JP,U)
【文献】
特開2002−038223(JP,A)
【文献】
特開2000−176373(JP,A)
【文献】
特開2013−227710(JP,A)
【文献】
国際公開第99/54515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21C 11/00−11/14
B01B 1/00−1/08
B01D 1/00−8/00
F16L 9/00−11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュタンクであって、このフラッシュタンクは、
フラッシュタンクの側壁によって形成された内部表面を有する内部チャンバー;
前記チャンバーの上部部分に連結されている蒸気排出ポート;
前記チャンバーの下部部分に連結されている液体排出ポート;
挿入出口を有し、前記チャンバーの入口ポートに挿入されたその断面積が挿入入口チューブの長さに沿って実質的に均一である挿入入口チューブを含み、
前記挿入入口チューブは側壁の内側に延びており、前記挿入出口はフラッシュタンクの中心垂直軸に対して実質的に平行に、且つフラッシュタンクの半径ラインに対して実質的に垂直に配向された伸長した断面形状を有し、それによって挿入出口が側壁に実質的に接していることを特徴とするフラッシュタンク。
【請求項2】
挿入入口チューブの長手軸が、フラッシュタンクの垂直軸から半径方向に延びているラインに対して垂直である請求項1に記載のフラッシュタンク。
【請求項3】
挿入入口チューブが円形断面を有する円筒状セクション、及び円形セクションと挿入出口との間のフレア状セクションを含み、
前記フレア状セクションが、円筒状セクションの長手軸から、挿入出口に近接するフラッシュタンクの側壁の方へ徐々にオフセットされている請求項1に記載のフラッシュタンク。
【請求項4】
挿入入口チューブの初期長さの断面積が挿入入口チューブのフレア状セクションより実質的に大きい請求項1に記載のフラッシュタンク。
【請求項5】
側壁及び入口ポートを含むフラッシュタンクのための挿入入口チューブアセンブリであって、この挿入入口チューブアセンブリは、
入口ポートに挿入され、入口ポートに固定されるように構成されたその断面積が長さに沿って実質的に均一であるチューブ状セクション、及び
チューブ状セクションの挿入出口を含み、
前記挿入入口チューブアセンブリはチャンバーの入口ポートに挿入されており、
前記挿入入口チューブは側壁の内側に延びており、挿入出口はフラッシュタンクの中心垂直軸に対して実質的に平行に、且つフラッシュタンクの半径ラインに対して実質的に垂直に配向された伸長した断面形状を有し、それによって挿入出口が側壁に実質的に接していることを特徴とする挿入入口チューブアセンブリ。
【請求項6】
挿入出口がフラッシュタンクの垂直軸及び挿入入口チューブの長手軸に対して垂直に延びている半径ラインに実質的に位置合わせされている請求項5に記載の挿入入口チューブアセンブリ。
【請求項7】
チューブ状セクションが円形断面及び長手軸を有するセクション、及び円形セクションと挿入出口との間のフレア状セクションを含み、
前記フレア状セクションが長手軸から、挿入出口に近接するフラッシュタンクの側壁の方へ徐々にオフセットされている請求項5に記載の挿入入口チューブアセンブリ。
【請求項8】
チューブ状セクションに固定され、チューブ状セクションの一部に沿って長手方向に延びている少なくとも1つの添え板をさらに含む請求項5に記載の挿入入口チューブアセンブリ。
【請求項9】
挿入出口が楕円形に形成されている請求項5に記載の挿入入口チューブ状アセンブリ。
【請求項10】
挿入出口が競技用トラック形に形成されている請求項5に記載の挿入入口チューブ状アセンブリ。
【請求項11】
挿入出口が実質的に伸長した形状に形成され、挿入出口が黒液を1秒当たり10フィート〜5,000フィートの範囲でフラッシュタンクに導入するように構成されている請求項5に記載の挿入入口チューブ状アセンブリ。
【請求項12】
挿入入口チューブのフレア状セクションが耐摩耗性チップをさらに含む請求項5に記載の挿入入口チューブ状アセンブリ。
【請求項13】
加圧された薬液をフラッシュするための方法であって、この方法は、
加圧された薬液をフラッシュタンクの挿入入口チューブに供給する工程;
加圧された薬液を挿入入口チューブから挿入出口を通じて側壁の内側表面上にスムーズに流す工程;
加圧された薬液が側壁の内部表面上に流れるとき、加圧された薬液をフラッシュする工程;
フラッシュすることによって形成された蒸気をチャンバーの上部部分を通じて排出する工程;及び
フラッシュすることによって形成された液体をチャンバーの下部部分から排出する工程を含み、
加圧された薬液を挿入入口チューブを通じて流す工程をさらに含み、
前記挿入入口チューブは、加圧された薬液の流路に沿って実質的に均一な断面積を有し、
前記挿入入口チューブがフラッシュタンクの側壁の内側表面を越えて延びており、側壁の内側表面に隣接する挿入出口を含んでいる
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
加圧された薬液をスムーズに流す前記工程が、加圧された薬液を挿入出口から側壁の内側表面に接する方向に流すことを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加圧された薬液を挿入入口チューブを通じて流す工程をさらに含み、
前記挿入入口チューブの初期長さの断面積が、挿入入口チューブのフレア状セクションより実質的に大きい請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加圧反応槽から抽出された流体をフラッシュすることに一般的に関連し、パルプ化又はバイオマス処理システムにおける加圧反応槽からの黒液をフラッシュするためのフラッシュタンクに特に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュタンクは、スチーム及び凝縮物を含む高圧の流体薬液流をフラッシュするために一般に使用される。フラッシュタンクは、高圧入口ポート、内部チャンバー、上部のスチーム又は気体排出ポート、及び下部の凝縮物又は液体排出ポートを典型的に有する。フラッシュタンクは、加圧された流体流における圧力を安全且つ効率的に減少させ、上記流体流により生じた蒸気からの熱エネルギーの回収を可能にし、上記流体流のうちの凝縮物から化学薬品を捕集する。
【0003】
フラッシュタンクはケミカルパルプ化システム、例えばクラフト蒸解システムから化学薬品を回収するために使用される。フラッシュタンクは、ケミカルパルプ化システム及びメカニカル−ケミカルパルプ化システムのための他のタイプの蒸解システムにおいても使用される。木材チップ又は他の細砕セルロース繊維有機材料(本明細書では「セルロース材料」と総称する)をパルプ化するために、セルロース材料は薬液、例えば水及び蒸解化学薬品と混合され、加圧処理槽にポンプ輸送される。水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及び他のアルカリ化学薬品は、例えばクラフト蒸解プロセスにおいて、セルロース材料を「蒸解」するために使用される。これらの化学薬品は、セルロース材料内の、リグニン、並びにヘミセルロース化合物及びセルロース化合物を分解し、可溶化させることに貢献する。クラフト蒸解プロセスはセ氏100度(100℃)〜170℃の範囲の温度、及び大気圧か、大気圧より高い圧力か又は実質的に大気圧より高い圧力、例えば5バールゲージ〜15バールゲージを超える圧力で行われる。他の従来の蒸解プロセスにおいて、セルロース材料は、主にヘミセルロース化合物を可溶化させることを目的として酸加水分解を開始するために水又は酸と処理されている。
【0004】
蒸解(反応)槽は、バッチ式槽又は連続流式槽である。蒸解槽は一般に垂直に配向され、1日につき1,000トン又はそれ以上のセルロース材料を処理するために十分な大きさである。連続流式槽において、セルロース材料は連続的に槽に流入、流出し、槽に数分間又は数時間も滞留する。蒸解槽に加えて、従来のパルプ化システムは、他の反応槽(例えば、大気圧、大気圧近く、又は大気圧超で稼働している槽)を、例えば、蒸解槽に先行してセルロース材料を薬液に含浸させるために含むことがある。含浸槽及び蒸解槽中の大量のセルロース材料を考慮すると、大量の黒液がこれらの槽から典型的に抽出される。
【0005】
黒液は、蒸解化学薬品、及び有機化学薬品若しくは有機化合物、例えば、セルロース供給材料から溶解した、加水分解物、残留アルカリ、リグニン、ヘミセルロース及び他の溶解有機物質を含む。黒液はスチーム及び凝縮物を生成するためにフラッシュタンクで典型的にフラッシュされる。蒸解化学薬品及び有機化合物は、フラッシュ後の液体画分に一般に含まれる。フラッシュにより形成されたスチームは、蒸解化学薬品及び有機化合物を一般に含まない。液体画分は、例えば蒸解化学薬品を回収し、再苛性化するために処理される。スチームはパルプ化システムにおいて熱エネルギーとして使用される。
【0006】
従来のフラッシュタンクにおいて、黒液はタンクの側壁上の入口ポートに連結された入口パイプを通って通常流入する。他の従来のフラッシュタンクでは、入口ポートは槽の頂部に位置している。入口ポートは、典型的には、フラッシュタンクの側壁において円形又は楕円形の開口である。黒液は入口パイプからフラッシュタンクに典型的に流入する。入口パイプからフラッシュタンクまでの遷移は断続的(abrupt)であり、これがフラッシュタンクに流入する黒液の分断(disruption)及び乱流(turbulence)を引き起こす。
【発明の概要】
【0007】
例示的な実施形態において、フラッシュタンクが発明され、このフラッシュタンクは、
フラッシュタンクの側壁によって形成された内部表面を有する内部チャンバー、
前記チャンバーの上部部分に連結されている蒸気排出ポート、
前記チャンバーの下部部分に連結されている液体排出ポート、
挿入出口を有し、チャンバーの入口ポートに挿入された挿入入口チューブを含み、
前記挿入入口チューブは側壁の内側に延びており、前記挿入出口はフラッシュタンクの中心垂直軸に対して実質的に平行に、且つフラッシュタンクの半径ラインに対して実質的に垂直に配向された伸長した断面形状を有し、それによって挿入出口は側壁に実質的に接している。
【0008】
挿入入口チューブは、フラッシュタンクの垂直軸から半径方向に延びているラインに垂直な長手軸を有する。挿入入口チューブアセンブリは、フラッシュタンクの垂直軸及び挿入入口チューブの長手軸に対して垂直に延びている半径ラインに実質的に位置合わせされた挿入出口を有する。挿入入口チューブは、長手軸を中心とする円形の断面を有する円筒状セクション、及び円形セクションと挿入出口との間のフレア状セクションを含み、フレア状セクションは、円筒状セクションの長手軸から、挿入出口に近接するフラッシュタンクの側壁の方へと徐々にオフセットされている。挿入入口チューブの断面積は挿入入口チューブの長さに沿って実質的に均一である。
【0009】
別の例示的な実施形態において、側壁及び挿入入口ポートを含むフラッシュタンクのための挿入入口チューブアセンブリが発明され、この挿入入口チューブアセンブリは、入口ポートに挿入されて入口ポートに固定されるように構成されたチューブ状セクション、及びチューブ状セクションの挿入出口を含み、
前記挿入入口チューブアセンブリはチャンバーの入口ポートに挿入されており、
前記挿入入口チューブは側壁の内側に延びており、
前記挿入出口はフラッシュタンクの中心垂直軸に対して実質的に平行に、且つフラッシュタンクの半径ラインに対して実施的に垂直に配向された伸長した断面形状を有し、それによって挿入出口は側壁に実質的に接している。
【0010】
例示的な挿入入口チューブは、挿入入口チューブを通過する供給材料の圧力、温度及び腐蝕性に耐えられるように構成された金属、ポリマー又は他の材料で作製されている。例えば供給材料が黒液であるとき、例示的な挿入入口チューブは、黒液の腐蝕性、及び黒液が挿入入口チューブを通って運ばれる場所での温度及び圧力に耐えられるように構成されたステンレス鋼又は他の適切な材料で作製されている。
【0011】
また別の例示的な実施形態において、入口挿入チューブは耐摩耗性材料、例えば長期間に渡って材料流の圧力及び温度に耐えるように構成された金属、ポリマー又は他の材料で作製された耐摩耗性チップ(wear-tip)をさらに含む。例示的な耐摩耗性材料は、ステンレス鋼、チタン及びタングステンである。他の例示的な実施形態において、耐摩耗性材料は挿入入口チューブの材料の表面を被覆してもよい。
【0012】
ある例示的なチューブ状セクションは、円形断面及び長手軸を有するセクションを含む。フレア状セクションは円形セクションと挿入出口との間にあり、フレア状セクションは、長手軸から挿入出口に近接するフラッシュタンクの側壁の方へと徐々にオフセットされている。挿入入口チューブアセンブリは、チューブ状セクションに固定され、チューブ状セクションの部分に沿って長手方向に延びている少なくとも1つの添え板(gusset)をさらに含む。
【0013】
また別の例示的なフラッシュタンクにおいて、挿入入口チューブの初期長さ(initial length)の断面積は挿入入口チューブのフレア状セクションより実質的に大きい。
【0014】
加圧された薬液をフラッシュするための例示的な方法が発明され、この方法は、
加圧された薬液をフラッシュタンクの挿入入口チューブに供給する工程;
加圧された薬液を挿入入口チューブから挿入出口を通じて側壁の内側表面上にスムーズに流す工程;
薬液が側壁の内部表面上に流れるとき、加圧された薬液をフラッシュする工程;
フラッシュすることによって形成された蒸気をチャンバーの上部部分を通じて排出する工程;及び
フラッシュすることによって形成された液体をチャンバーの下部部分から排出する工程を含み、
前記挿入入口チューブはフラッシュタンクの側壁の内側表面を越えて延びており、側壁の内側表面に隣接する挿入出口を含んでいる。
【0015】
この方法は、加圧された薬液を挿入入口チューブを通じて流すことをさらに含み、挿入入口チューブの初期長さの断面積は、挿入入口チューブのフレア状セクションより実質的に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
前述のことは、添付図面を参照しての本開示の例示的な実施形態のより詳細な説明から明らかとなるが、添付図面において、同様な参照符号は異なる図面に渡って類似の部材を示すものとする。図面は必ずしも一定の縮尺を表しているものではなく、開示される実施形態を説明することに力点が置かれている。
【0017】
【
図1】
図1は、黒液を受け入れる従来のフラッシュタンクの概略図であり、タンクの側壁部分がタンクに流入している薬液のための入口ポートを示すために切り欠かれている。
【0018】
【
図2】
図2は、挿入された入口チューブを有する、本開示の例示的なフラッシュタンクの部分のトップダウンの断面図であり、断面は入口ポートの高さで取られている。
【0019】
【
図3】
図3は本開示の例示的な入口チューブアセンブリの正面図を示す。
【0020】
【
図4】
図4は本開示の例示的な入口チューブアセンブリの斜視図を示す。
【0021】
【
図5】
図5は、黒液をフラッシュタンクに供給する、本開示の例示的な入口チューブアセンブリの概略図であり、フラッシュタンクの側壁の一部が入口チューブアセンブリの例示的な入口ポートを示すために切り欠かれている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、黒液37の給源11に連結されている従来のフラッシュタンク9の概略図である。黒液37の給源11は母管14、例えば円筒状母管又は混合スプールであり、母管14は、黒液37を受け入れ、黒液37を複数の流れから、フラッシュタンク9に流入する、単一の流れ26に合同させるものであるが、黒液37はパルプを生産するためのクラフト蒸解プロセスにおける加圧されたバッチ式又は連続式の蒸解槽から抽出されることもある。母管14は、黒液37のための、円形断面を有する内部通路(
図2参照)を有する。
【0023】
黒液37は、母管14からフランジのついた連結部16を通って入口ポート18に流入する。黒液37が従来の出口20を通って入口ポート18を出るとき、黒液37は黒液37の流れ26になる。従来の出口20からフラッシュタンク9の内側側壁面22への遷移は断続的であり、黒液37の流れ26が不均一な態様で従来の出口20を出るときに分断及び乱流が起こる。
【0024】
入口ポート18から、黒液37が従来のフラッシュタンク9の内側側壁面22上にある従来の出口20を通過する。内側側壁面22は一般に円筒状であるか、連続的に湾曲しているか、又は曲線状である表面を有し、それによって内側側壁面は内部チャンバーを規定している。特に入口ポート18の長手軸(
図2の40参照)が従来のフラッシュタンク9の中心垂直軸24を横切る半径ラインと同軸であれば、従来の出口20は断面が円形である。入口ポート18が中心垂直軸24に対して実質的に垂直に位置合わせされていなければ、従来の出口20の断面は楕円である。黒液37の流れ26は従来の出口20から流れ、従来の出口20から従来のフラッシュタンク9内の液体の表面28に落下し、それにより従来のフラッシュタンク9における分断及び乱流のさらなる原因となる。
【0025】
黒液の流れ26が従来のフラッシュタンク9に入るとき、液体の圧力は解放される。母管14における黒液への圧力は実質的に大気圧を超え、例えば5バールゲージ超又は10バールゲージ超である。従来のフラッシュタンク9の内部チャンバー内の圧力は実質的に大気圧であり、例えば0.1〜1.5バールゲージである。黒液37の流れ26が従来のフラッシュタンク9に入るとき、圧力が解放されることによって、黒液37中のスチーム及び他の蒸気が「フラッシュ」されるが、これは液体から蒸気へ相が変化し、黒液の残留液体、例えば凝縮物と分離することを意味する。フラッシュされたスチーム及び他の蒸気30は、従来のフラッシュタンク9の上部部分にある蒸気排出ポート33から排気される。液体を凝縮した黒液32は、従来のフラッシュタンク9の下部部分にある液体排出ポート31から抜き出される。
【0026】
図2は本開示の例示的なフラッシュタンク10の部分のトップダウンの断面図であり、断面は入口ポート18の高さにおいて取られている。フラッシュタンク10は、入口ポート18において中空の挿入入口チューブ34を付加することにより、
図1に示された構成を修正している。挿入入口チューブ34は母管14への入口連結部44を有し、挿入出口36を有する。挿入出口36は狭い隙間61に隣接しているか、又は狭い隙間61により隔てられており、例えば内側側壁面22の領域38から6インチ未満〜1インチ未満(152ミリメートル未満〜25ミリメートル未満)である。
【0027】
領域38は挿入入口チューブの長手軸40に一般に平行である。ある構成において、挿入出口36はフラッシュタンク10の中心垂直軸24を通って延びているライン42にまで延びている。挿入出口36はライン42と位置合わせされることは必要ではないが、本明細書に開示されている例示的な実施形態において、挿入出口36は、ライン42からの距離がフラッシュタンク10の直径の25%未満である。内側側壁面22の領域38の近くに挿入出口36を有することの利点は、挿入出口36からの黒液37の流れが、流れの広範な分断又は乱流なしに、内側側壁面22上に直接的且つスムーズに流れることである。挿入出口36からの黒液37の流れは、内側側壁面22の領域38に実質的に接している。
【0028】
挿入入口チューブ34の断面積は、チューブの全長(L)に沿って一般に均一である。挿入入口チューブ34の断面の一部は、母管14の入口連結部44からフレアの始点(L
1)まで円形である。挿入入口チューブ34の部分(L
1)は、長手軸40を有する。挿入入口チューブ34のフレアセクション(L
2)(
図4の62参照)に沿って、断面は円形から楕円形、競技用トラック、又は他の伸長した形状46に例えば
図3に示されるように徐々に変化する。挿入出口36の伸長した形状46の利点は、黒液37が挿入出口36を従来の出口20より速い速度で、及び、従来のフラッシュタンク9よりも内側壁面22にはるかに近接して流出することである。
【0029】
挿入入口チューブ34は、その断面積が挿入入口チューブ34の長さ(L)に沿って実質的に一定であるように設計されている。実質的に一定とは、挿入入口チューブ34の長さ(L)に渡って10%を超えて断面積が変化しないことを意味する。実質的に一定の断面積を維持することは、挿入入口チューブ34を通って流れている黒液37において、分断、例えば乱流及び非層流を最小化することに役立つ。挿入入口チューブ34の長さ(L)に沿って実質的に一定の断面積を維持することは、黒液37が実質的に一定の速度で挿入入口チューブ34を流れることを可能にする。同様に、挿入入口チューブ34の滑らかな内側壁を維持すること、及び挿入入口チューブ34の断面形状を徐々に変化させることにより、黒液37の流れにおける分断が最小化される。さらに、挿入入口チューブ34の初期長さ(L
1)の断面積及び直径(D
1)を、母管14の断面積及び直径(D
1)にマッチングさせることにより、母管14と挿入入口チューブ34との間の遷移部、例えば入口連結部44を通る流れにおける分断が防止される。
【0030】
別の例示的な実施形態において、挿入入口チューブ34の初期長さ(L
1)の直径(D
1)は、挿入出口36のフレア状セクション(L
2)(
図4の62参照)の断面積より実質的に大きい断面積を規定する。実質的に大きいとは、断面積が挿入入口チューブ34の長さ(L)に渡って10%を超えて変化することを意味する。
【0031】
挿入入口チューブ34は、フラッシュタンク10の従来の入口ポート18に挿入される。入口ポート18の直径(D
2)は挿入入口チューブ34の直径(D
1)より実質的に大きく、例えば挿入入口チューブ34の直径(D
1)の2倍である。挿入入口チューブ34を入口ポート18に取り付けるために、ブラケット及び他の取り付け具が挿入入口チューブ34に固定される。これらの取り付け具は、入口ポート18のフランジの付いた連結部16に連結される円形プレート48を含む。円形プレート48は入口ポート18の末端をシールするものであり、締結具、例えばボルトを受け入れ、円形プレート48をフランジの付いた連結部16に締め付けるための開口52を有する。円形プレート48は、挿入入口チューブ34を受け入れ支持する開口52を有する。開口52は、タンク10の内側側壁面22の領域38に向かう方向に円形プレート48の中心からオフセットしており、挿入入口チューブ34の挿入出口36に隣接している。
【0032】
円形ブレースプレート54は典型的には金属であるが、他の適切な材料でもよく、入口ポート18中にフィットし、入口ポート18の内径(D
2)と実質的に同じ直径を有する。円形ブレースプレート54は挿入入口チューブ34のための開口56を有し、例えば溶接されるなどで、挿入入口チューブ34を支持する。円形ブレースプレート54は、挿入入口チューブ34の長手軸40及び入口ポート18に対して一般に垂直である。第1の添え板58、例えば挿入入口チューブ34を支持するのに十分な金属又は他の材料は、三角形のプレートであり、挿入入口チューブ34に対して長手方向の支持を提供し、円形ブレースプレート54から挿入入口チューブ34の長さの一部へ延びている。第1の添え板58は挿入入口チューブ34の外表面に固定、例えば溶接され、挿入入口チューブ34の長手方向の支持を提供する。
【0033】
第2の添え板60は、内側側壁面22の領域38に隣接する挿入入口チューブ34のサイド上、及び挿入入口チューブ34の挿入出口36の近くにある。第2の添え板60は、1インチ(25mm)の高さ及び1インチ(25mm)の幅より小さく(第1の添え板58と比較して)相対的に狭小のリブである。第2の添え板60は、挿入入口チューブ34の補強(stiffening)を提供し、構造的支持を挿入入口チューブ34に提供するために挿入入口チューブ34に固定されている。第2の添え板60はフラッシュタンクの内側壁38、又は入口ポート18に対して着座している。第2の添え板60は、フラッシュタンク10の内側側壁面22に対する挿入出口36の振動を最小化もする。挿入出口36とフラッシュタンク10の内側側壁面22との間の振動を想定して、1インチ(25mm)より小さい狭小の隙間61が、挿入出口36とフラッシュタンク10との間に形成される。狭小の隙間61は第2の添え板60の寸法によって決定される。
【0034】
図3は例示的な挿入入口チューブ34の正面図である。
図3の示すように、挿入入口チューブ34のフレア状セクション62は、挿入入口チューブ34の断面部分(L
1)における円形の長手軸40からオフセットされている。このオフセット64は、挿入出口36をポジショニングすることに役立ち、その結果、フラッシュタンク10の内側側壁面22及び領域38に近い黒液の流れ(
図2における37)をポジショニングすることに役立つ。挿入出口36の形状46は、黒液が挿入出口36からスムーズ且つ直接的に、フラッシュタンク10の内側側壁面22上を流れるように使用される。形状46はフラッシュタンク10の中心垂直軸(
図2及び
図5における24)に対して平行な方向に伸長されている。形状46は、黒液37がフラッシュタンク10の内部チャンバー(
図5参照)に、従来の出口20を通って流れる黒液37よりも高速度で流入することを可能にする。例示的な実施形態において、黒液及び蒸気37は、1秒あたり10フィート(ft/sec)から1秒あたり5000フィートまでの範囲の速度でフラッシュタンク10に流入する。
【0035】
図4は、フラッシュタンク10の入口ポート18に挿入される前の挿入入口チューブ34の例示的な実施形態の斜視図である。挿入入口チューブ34は、前もって製作されたものであり、母管14への入口連結部44のためのフランジ、入口ポート18のフランジ16に取り付けられるための円形プレート48、挿入入口チューブ34へとスライドし、挿入入口チューブ34に対して着座する円形ブレースプレート54、及び挿入入口チューブ34に補強及び長手方向の支持を提供する第1の添え板58及び第2の添え板60を含む。さらに、挿入入口チューブ34は前もって製造されたものであり、フレア状セクション62が競技用トラックの外形を有する形状46を有するように形成されている。挿入出口36の形状46は、挿入入口チューブ34がフラッシュタンク10に挿入される前に、前もって製作されている。
【0036】
別の例示的な実施形態において、フラッシュタンク10は大きな直径の入口ポート18なしで挿入入口チューブ34を直接受け入れるように設計される。挿入入口チューブ34のための適切な支持部材が、挿入入口チューブ34を支持するためにフラッシュタンク10の内側側壁面22の内側及び外側に配置されている。挿入出口36は、挿入入口チューブ34からフラッシュタンク10の内側側壁面22までの黒液の均一な流れを促進するために、例えばフラッシュタンク10に溶接されるなどで、固定されたエッジを有する。
【0037】
図5は、フラッシュタンク10の入口ポート18に挿入された後の例示的な挿入入口チューブ34の側面図である。黒液37の流れは母管14に入り、挿入入口チューブ34及びフレア状セクション62をそれぞれ流れる。フレア状領域は、黒液37の流れの圧力、温度及び腐蝕性に耐えるように構成された材料で作製された耐摩耗性チップ72をさらに含む。例示的な実施形態において、耐摩耗性チップ72は全体のフレア状のセクション62を含むことがある。他の例示的な実施形態において、耐摩耗性チップ72は挿入出口36に近接するフレア状領域の一部を含むことがある。さらに他の例示的な実施形態において、耐摩耗性チップ72はフレア状セクション62の全部又は一部を被覆している。挿入出口36は、フラッシュタンク10の中心垂直軸24に実質的に接している。
【0038】
フラッシュタンク10の中心垂直軸24に対して平行に配向された、競技用トラック、楕円形、又は他の伸長された開口である形状46は、黒液が挿入出口36からフラッシュタンク10の内側側壁面22上へ、スムーズ且つ最小の分断で流れることを補助する。形状46は、黒液37が従来のフラッシュタンクにおける黒液37よりも高速度でフラッシュタンク10に流入することを可能にする。例示的な実施形態において、黒液37は10ft/sec〜5000ft/secの範囲で、かつそれらの間の一つの範囲又は一連の範囲でフラッシュタンクに流入する。黒液37が高速度であり、挿入出口36がフラッシュタンク10の中心垂直軸24と交差する半径ラインに対して垂直に位置していることによって、フラッシュタンク10に流入する黒液が分離流86を形成することが可能になる。この分離流は、フラッシュタンク10における液体の表面28上及び中へと内側側壁面22に沿って接線方向及び下方向に流れる遠心分離流86である。黒液37が内側側壁面22上に流れると、黒液37の流れ26は内側側壁面22に沿って広がり、狭まる。分離流86は、内側側壁表面22に沿って黒液37の鞘(sheaths)又は層(layers)を形成する。分離流86の広がり及び狭まりによって、黒液からのスチーム及び他の蒸気30の放出が促進される。同様に、黒液37の流れにおける乱れ(disturbances)を減少させることによって、黒液37からのスチーム及び他の蒸気30の放出が促進される。
【0039】
本発明は、最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられているものとの関係で説明されたが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、種々の修正及び等価な構成が添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図していることを理解されたい。