特許第6357018号(P6357018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357018
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】足用消臭剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20180702BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20180702BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20180702BHJP
   C07C 215/10 20060101ALI20180702BHJP
   C07C 35/12 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/33
   A61K8/42
   A61K8/31
   A61Q15/00
   C07C215/10
   C07C35/12
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-111838(P2014-111838)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-224244(P2015-224244A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】徳永 忠之
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−102437(JP,A)
【文献】 特開2011−006339(JP,A)
【文献】 特開2003−024422(JP,A)
【文献】 特表平09−510091(JP,A)
【文献】 特開昭57−045184(JP,A)
【文献】 特開2007−296063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61L 9/00− 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩から選ばれる1種又は2種以上 0.001質量%以上1質量%以下
(B)メントール、乳酸メンチル、1−メンチルグリセリルエーテル、及びN−エチル−p−メンタンカルボキシアミドから選ばれる1種又は2種以上
(C)非水系溶媒
を含有し、水の含有量が0.001質量%以上1質量%以下であり、かつ成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.01以上1以下である、イソ吉草酸を中和してその活性を低下させるための足用消臭剤組成物。
【請求項2】
成分(C)の含有量と水の含有量との質量比((C)/水)が、200以上10000以下である請求項1に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項3】
成分(B)の含有量が、0.5質量%以上20質量%以下である請求項1又は2に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項4】
成分(C)の含有量が、85質量%以上99質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項5】
成分(C)が、炭素数2〜4の一価のアルコール、グリセリン、液化石油ガス、圧縮ガス、イソペンタン及びジメチルエーテルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項6】
成分(C)が、ジプロピレングリコールを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項7】
成分(A)が、トリスヒドロキシメチルアミノメタン及びその塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項8】
さらに成分(D)非イオン性殺菌剤を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項9】
成分(D)が、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種である請求項8に記載の足用消臭剤組成物。
【請求項10】
成分(C)として、液化石油ガス、ジメチルエーテル、イソペンタン、液化ガス及び圧縮ガスから選ばれる1種又は2種以上を含むエアゾールである請求項1〜9のいずれか1項に記載の足用消臭剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足用消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、汗臭やわきが、足臭等の体臭を感覚的観点或いは化学的観点等から消臭するための種々の消臭剤が開発されている。例えば、メントール等の香料成分がもたらすマスキング効果により、感覚的観点から消臭作用を発揮させる消臭剤が知られている(特許文献1参照)。また、臭気成分を中和するという、化学的観点から消臭効果を発揮するポリヒドロキシアミン化合物を含有する消臭剤も知られている(特許文献2〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−24422号公報
【特許文献2】特開2006−320711号公報
【特許文献3】特開2007−300963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体臭のなかでも特に足臭を消臭するにあたっては、消臭剤の実際の使用場面において、靴下やストッキング等を身につけた状態で適用したり、適用直後に快適に靴を装着したり直ちに靴下やストッキングや靴等を装着したりすることのできるような、高い速乾性を有する消臭剤が望まれる。ポリヒドロキシアミン化合物は、足臭の主たる原因であるイソ吉草酸に有効である。
【0005】
ポリヒドロキシアミン化合物は水溶性であり、水の存在下で臭気の原因物質を中和することによって消臭効果を発揮するため、かかる化合物を用いる際には、ある程度水の含有量を確保した処方であることが必要である。しかしながら、水の含有量が増大するにつれて速乾性は低下するため、良好な消臭効果を確保しつつ速乾性を高めることは困難な状況であった。
【0006】
したがって、本発明は、ポリヒドロキシアミン化合物を含有し、足臭を効果的に消臭しながら高い速乾性を発揮する足用消臭剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、種々検討したところ、ポリヒドロキシアミン化合物やその塩とメントールやその誘導体とを併用し、さらに特定の溶媒を用いることで、水の含有量を減じても、ポリヒドロキシアミン化合物による消臭効果を十分に発揮させつつマスキング効果による消臭効果の増大を図ることができ、その上優れた速乾性をも有する足用消臭剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)メントール、メントール誘導体及びメントール類縁体から選ばれる1種又は2種以上
(C)非水系溶媒
を含有し、水の含有量が0.001質量%以上1質量%以下である足用消臭剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の足用消臭剤組成物によれば、足臭に対し、優れた消臭効果を発揮しながら高い速乾性をも発現することができる。したがって、靴下やストッキング等を身につけた状態のまま適用したり、適用直後に靴を装着したり直ちに靴下やストッキングや靴等を装着したりしても、不快感を伴うことなく優れた消臭効果を享受することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の足用消臭剤組成物は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)メントール、メントール誘導体及びメントール類縁体から選ばれる1種又は2種以上
(C)非水系溶媒
を含有し、水の含有量が0.001質量%以上1質量%以下である。
【0011】
本発明の足用消臭剤組成物は、成分(A)として、ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を含有する。成分(A)はアミノ基を有していることから、かかるアミノ基が足臭の主たる原因であるイソ吉草酸を中和してその活性を低下させ、効果的に足臭を抑制することができる。ポリヒドロキシアミン化合物は、具体的には、下記一般式(1)で表される。
【0012】
【化1】
【0013】
上記一般式(1)中、R1は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基である。炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基が挙げられる。また、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。なかでも、R1としては、消臭性能及び入手性の観点から、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましく、水素原子、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。
【0014】
上記一般式(1)中、R2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、R1と同様のものが挙げられる。
なかでも、R2としては、消臭性能及び入手性の観点から、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記一般式(1)中、R3及びR4は、炭素数1〜5のアルキレン基であり、同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0015】
かかる成分(A)としては、具体的には、例えば、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−4−ヒドロキシプロピル−1,7−ヘプタンジオール、2−(N−エチル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−エチル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等、及びそれらと塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等との塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0016】
なかでも、成分(A)としては、消臭性能等の観点から、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)及びその塩から選ばれる1種又は2種以上であるのがより好ましい。
【0017】
成分(A)の含有量は、消臭性能等の観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。成分(A)の含有量は、溶解性の観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.25質量%以下である。また、成分(A)の含有量は、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.25質量%である。
【0018】
本発明の足用消臭剤組成物は、成分(B)として、メントール、メントール誘導体及びメントール類縁体から選ばれる1種又は2種以上を含有する。かかる成分(B)は、マスキング効果をもたらし、上記成分(A)と相まって消臭性能を効果的に高めることができる。
【0019】
成分(B)としては、l−メントールやdl−メントール等のメントール;メンチルアセテート、乳酸メンチル、l−メンチルグリセリルエーテル、メンチルヒドロキシカルボン酸エステル、メンチルピロリドンカルボン酸、コハク酸メンチル、グルタル酸メンチル、メンチルエチルアミノシュウ酸等のメントール誘導体;N−エチル−p−メンタンカルボキシアミド、メンタンジオール、シネオール、エチルメンタンカルボキサミド、メンタンカルボニルグリシンエチルエステル、メントングリセリンアセタール等のメントール類縁体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、これらの抽出物を使用してもよく、或いはこれらを含有した精油等を使用してもよい。なかでも、消臭性能を効果的に高める観点から、メントール、乳酸メンチル、l−メンチルグリセリルエーテル、及びN−エチル−p−メンタンカルボキシアミドから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、メントール及び乳酸メンチルから選ばれる1種又は2種がより好ましい。
【0020】
成分(B)の含有量は、マスキング効果を十分にもたらす観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上であり、さらに好ましくは0.8質量%以上である。成分(B)の含有量は、良好な使用感を確保する観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。また、成分(B)の含有量は、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは0.5〜20質量%であり、より好ましくは0.7〜15質量%であり、さらに好ましくは0.8〜10質量%である。
【0021】
成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、マスキング効果と消臭効果とのバランスを保持して消臭性能を高める観点から、好ましくは0.0005以上であり、より好ましくは0.001以上であり、さらに好ましくは0.01以上である。成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、同様の観点から、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは1以下である。また、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、好ましくは0.0005〜10であり、より好ましくは0.001〜5であり、さらに好ましくは0.01〜1である。
【0022】
本発明の足用消臭剤組成物は、成分(C)として、非水系溶媒を含有する。かかる成分(C)は、水以外の溶媒を意味し、これを含有することにより、足用消臭剤組成物中における水の含有量を低減することを可能として速乾性を高めつつ、成分(B)等の油溶性成分の良好な溶解性を確保することができる。
【0023】
成分(C)としては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数2〜4の一価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の炭素数2〜12の多価アルコール;エチレングリコールやプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールやジプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル等のエステル類;ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノール性化合物のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、p−トルエンスルホン酸塩、m−キシレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩類等の芳香族化合物;プロパン、プロピレン、n−ブタン、イソブタン等の液化石油ガス(LPG);液化炭酸、液化窒素等の液化ガス;窒素、炭酸ガス、空気、亜酸化窒素等の圧縮ガス;イソペンタン、n−ペンタン、ジメチルエーテル(DME)、及びフッ化炭化水素等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、成分(B)等の油溶性成分の溶解性を高める観点から、炭素数2〜4の一価のアルコール、グリセリン、液化石油ガス(LPG)、圧縮ガス、イソペンタン及びジメチルエーテル(DME)から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、エタノール、グリセリン、液化石油ガス(LPG)、イソペンタン及びジメチルエーテル(DME)から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、エタノール、液化石油ガス(LPG)、及びイソペンタンから選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましい。
【0024】
また、本発明の足用消臭剤組成物を後述するエアゾールとして用いる場合、好適な噴射状態を確保する観点から、成分(C)として、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソペンタン、液化ガス及び圧縮ガスから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)及びイソペンタンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましい。
【0025】
成分(C)の含有量は、足用消臭剤組成物における速乾性を高める観点、成分(B)等の油溶性成分の溶解性を確保する観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは92質量%以上、殊更に好ましくは93質量%以上である。成分(C)の含有量は、成分(A)の良好な溶解性を確保し、消臭効果を発揮させる観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、さらに好ましくは96質量%以下であり、殊更に好ましくは95質量%以下である。また、成分(C)の含有量は、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは85〜99質量%であり、より好ましくは90〜97質量%であり、さらに好ましくは92〜96質量%であり、殊更に好ましくは93〜95質量%である。
【0026】
また、成分(C)としてエタノールを用いる場合、その含有量は、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは5〜65質量%であり、より好ましくは20〜60質量%であり、さらに好ましくは33〜53質量%である。さらに、本発明の足用消臭剤組成物を成分(C)として液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソペンタン、液化ガス及び圧縮ガスから選ばれる1種又は2種以上を含むエアゾールとして用いる場合、これら液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソペンタン、液化ガス及び圧縮ガスから選ばれる1種又は2種以上の合計量は、通常内部圧力で0.1〜2MPa(20℃)、好ましくは0.15〜0.6MPa(20℃)に相当する量であり、又は足用消臭剤組成物中におけるこれらの合計含有量は、通常20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%であり、さらに好ましくは40〜60質量%である。
【0027】
本発明の足用消臭剤組成物は、水の含有量が0.001質量%以上1質量%以下である。このように、水の含有量を低減することにより、後述する成分(D)を含有する場合にはかかる成分とも相まって、成分(A)の溶解性を良好に保持しつつ、足用消臭剤組成物における速乾性を高めることができる。
【0028】
水の含有量は、成分(A)の溶解性を確保する観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に0.001質量%以上であって、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。水の含有量は、足用消臭剤組成物における速乾性を高める観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に1質量%以下であって、好ましくは0.8質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以下である。また、水の含有量は、本発明の足用消臭剤組成物中に0.001質量%以上1質量%以下であって、好ましくは0.01〜0.8質量%であり、より好ましくは0.05〜0.6質量%である。
【0029】
成分(C)の含有量と水の含有量との質量比((C)/水)は、成分(A)の良好な溶解性を確保する観点から、好ましくは10000以下であり、より好ましくは5000以下であり、さらに好ましくは600以下である。成分(C)の含有量と水の含有量との質量比((C)/水)は、足用消臭剤組成物における良好な速乾性を確保する観点、及び成分(B)等の油溶性成分の溶解性を確保する観点から、好ましくは200以上であり、より好ましくは400以上であり、さらに好ましくは470以上である。また、成分(C)の含有量と水の含有量との質量比((C)/水)は、好ましくは200〜10000であり、より好ましくは400〜5000であり、さらに好ましくは470〜600である。
【0030】
本発明の足用消臭剤組成物は、臭いを発生させる菌を殺すことで消臭効果を高めることができる観点から、さらに成分(D)として、非イオン性殺菌剤を含有することが好ましい。かかる成分(D)としては、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ハロゲン化サリチルアニリド、ハロゲン化カルボアニリド、及びp-ヒドロキシ安息香酸エステル等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、成分(D)としては、成分(A)の溶解性や皮膚への浸透性への寄与の観点から、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種であるのが好ましい。
【0031】
成分(D)の含有量は、安全性の観点、消臭性能を増強する観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。成分(D)の含有量は、安全性の観点から、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。また、成分(D)の含有量は、本発明の足用消臭剤組成物中に、好ましくは0.001〜5質量%であり、より好ましくは0.01〜2質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
【0032】
成分(B)及び成分(D)の合計含有量と成分(A)の含有量との質量比({(B)+(D)}/(A))は、優れた消臭性能を確保する観点から、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは20以上である。成分(B)及び成分(D)の合計含有量と成分(A)の含有量との質量比({(B)+(D)}/(A))は、これら各成分の溶解性や皮膚への浸透性を高める観点から、好ましくは150以下であり、より好ましくは100以下であり、さらに好ましくは75以下である。また、成分(B)及び成分(D)の合計含有量と成分(A)の含有量との質量比({(B)+(D)}/(A))は、好ましくは5〜150であり、より好ましくは10〜100であり、さらに好ましくは20〜75である。
【0033】
本発明の足用消臭剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分の他、例えば界面活性剤、pH調整剤、増粘剤、安定化剤、消泡剤、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を適宜含有させることができる。
【0034】
本発明の足用消臭剤組成物の形態は、特に制限されず、例えば、液状、ゲル状、粉状、粒状等、適宜選択することができる。なかでも、本発明の奏する優れた消臭効果と速乾性を十分に享受するには、液状の形態を呈し、成分(C)として、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソペンタン、液化ガス及び圧縮ガスから選ばれる1種又は2種以上を含むエアゾールとして用いるのが好ましく、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)及びイソペンタンから選ばれる1種又は2種以上を含むエアゾールとして用いるのが好ましい。これにより、そのまま噴霧するのみで優れた消臭効果を発揮し、かつ高い速乾性を有することから、靴下やストッキング等を身につけた状態でも快適に適用することができ、また適用直後であっても快適に靴や靴下等装着することもできる。
【0035】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の足用消臭剤組成物及び足用エアゾール消臭剤を開示する。
[1]次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ポリヒドロキシアミン化合物及びその塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)メントール、メントール誘導体及びメントール類縁体から選ばれる1種又は2種以上
(C)非水系溶媒
を含有し、水の含有量が0.001質量%以上1質量%以下である足用消臭剤組成物。
[2]成分(A)が、好ましくは2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−4−ヒドロキシプロピル−1,7−ヘプタンジオール、2−(N−エチル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−エチル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等、及びそれらと塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等との塩から選ばれる1種又は2種以上である上記[1]の足用消臭剤組成物。
[3]成分(A)の含有量は、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.25質量%以下である上記[1]又は[2]の足用消臭剤組成物。
【0036】
[4]成分(B)は、好ましくはメントール、乳酸メンチル、l−メンチルグリセリルエーテル、及びN−エチル−p−メンタンカルボキシアミドから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはメントール及び乳酸メンチルから選ばれる1種又は2種である上記[1]〜[3]いずれか1の足用消臭剤組成物。
[5]成分(B)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上であり、さらに好ましくは0.8質量%以上であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である上記[1]〜[4]いずれか1の足用消臭剤組成物。
[6]成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、好ましくは0.0005以上であり、より好ましくは0.001以上であり、さらに好ましくは0.01以上であり、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは1以下である上記[1]〜[5]いずれか1の足用消臭剤組成物。
【0037】
[7]成分(C)は、炭素数2〜4のアルコール、炭素数2〜12の多価アルコール、エステル類、フェノール性化合物のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、芳香族スルホン酸塩類等の芳香族化合物、液化石油ガス(LPG)、液化ガス、圧縮ガス、イソペンタン、ジメチルエーテル(DME)、及びフッ化炭化水素から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは炭素数2〜4のアルコール、グリセリン、液化石油ガス(LPG)、圧縮ガス、イソペンタン、及びジメチルエーテル(DME)から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはエタノール、グリセリン、液化石油ガス(LPG)、イソペンタン及びジメチルエーテル(DME)から選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはエタノール、液化石油ガス(LPG)、及びイソペンタンから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[6]いずれか1の足用消臭剤組成物。
[8]成分(C)の含有量は、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは92質量%以上、殊更に好ましくは93質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、さらに好ましくは96質量%以下であり、殊更に好ましくは95質量%以下である上記[1]〜[7]いずれか1の足用消臭剤組成物。
【0038】
[9]水の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは0.8質量%以下であり、より好ましくは0.6質量%以下である上記[1]〜[8]いずれか1の足用消臭剤組成物。
[10]成分(C)の含有量と水の含有量との質量比((C)/水)は、好ましくは10000以下であり、より好ましくは5000以下であり、さらに好ましくは600以下であり、好ましくは200以上であり、より好ましくは400以上であり、さらに好ましくは470以上である上記[1]〜[9]いずれか1の足用消臭剤組成物。
【0039】
[11]さらに非イオン性殺菌剤(D)を含有し、かかる成分(C)は、好ましくはトリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ハロゲン化サリチルアニリド、ハロゲン化カルボアニリド、及びp-ヒドロキシ安息香酸エステル等から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種である上記[1]〜[10]いずれか1の足用消臭剤組成物。
[12]成分(B)及び成分(D)の合計含有量と成分(A)の含有量との質量比({(B)+(D)}/(A))は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは20以上である。成分(B)及び成分(D)の合計含有量と成分(A)の含有量との質量比({(B)+(D)}/(A))は、これら各成分の溶解性や皮膚への浸透性を高める観点から、好ましくは150以下であり、より好ましくは100以下であり、さらに好ましくは75以下である上記[11]の足用消臭剤組成物。
【0040】
[13]成分(C)として、好ましくは液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、イソペンタン、液化ガス及び圧縮ガスから選ばれる1種又は2種以上を含むエアゾールであり、より好ましくは液化石油ガス、ジメチルエーテル及びイソペンタンから選ばれる1種又は2種以上を含むエアゾールである上記[1]〜[12]いずれか1の足用消臭剤組成物。
[14]液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、イソペンタン、液化ガス及び圧縮ガスから選ばれる1種又は2種以上の合計含有量は、20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%であり、さらに好ましくは40〜60質量%である上記[13]の足用消臭剤組成物。
【実施例】
【0041】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0042】
[実施例1〜4、比較例1〜5]
表1に示す処方にしたがって、足用消臭剤組成物を調製した。まず、液化石油ガス及びイソペンタン以外の物質(50質量%)を配合し、噴射機構を備えた耐圧容器に移してから、噴射剤(液化石油ガス(0.44MPa):40質量%、イソペンタン:10質量%)を充填した。
各足用臭剤組成物を用い、下記方法にしたがって足臭抑制効果及び速乾性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
《足臭抑制効果》
5人の専門パネラーに靴下を装着させ、6時間経過させることで十分に足臭を靴下に定着させた。そこで靴下を装着したまま、その15cm上から足裏前部(つま先付近)、足裏中部(土踏まず付近)、及び足裏後部(かかと付近)の3箇所にわたって足用消臭剤組成物を約1秒/箇所(約0.7g)ずつ噴霧した。その時点で、靴下を脱がせてその靴下の臭いを、下記基準に更に各スコアの中間スコアも加えた11段階にて評価し、5人の専門パネラーの平均値をもって評価値とした。
5:臭う
4:やや臭う
3:僅かに臭う
2:微かに臭う
1:ほとんど臭わない
0:全く臭わない
【0044】
《速乾性》
速乾性については上記試験にて噴霧した5分後の濡れている感じを下記5段階の基準にて評価し、5人の専門パネラーの平均値をもって評価値とした。
4:濡れている
3:やや濡れている
2:僅かに濡れている
1:微かに濡れている
0:全く濡れていない
【0045】
《溶解性》
表1に示す処方にしたがって配合した際、溶質の溶解性について目視により評価し、溶質が完全に溶解した場合を○、溶け残った場合を×とした。なお、○は評価結果が良好であることを意味する。
【0046】
【表1】