(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セルロース誘導体は、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースおよびカルボキシエチルセルロースのうち1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する多孔質セラミックスの製造方
法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
ゲル化凍結法を適用した従来の多孔質セラミックスの製造方法は、ゲル化、凍結、乾燥、脱脂および焼成の各工程を含む。一方、本発明の実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法では、セラミックス原料の組成および性状が従来の多孔質セラミックスの製造方法と相違する。また、セラミックス原料を型に入れてゲル化させる従来のゲル化工程に代えて、加圧しつつ混練した坏土を吐出することで成形する工程を実施することにより、多孔質セラミックスの連続生産が可能となる。以下では、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法について、
図1A〜
図1Cを用いて説明する。
【0015】
図1A〜
図1Cは、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法の概要を説明する説明図である。実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法は、混練、成形、凍結、乾燥、脱脂および焼成の各工程を含む。なお、
図1A〜
図1Cでは、上述した製造工程のうち、混練、成形、凍結および焼成の各工程について図示し、乾燥および脱脂の各工程に対応する図示は省略する。
【0016】
まず、混練工程について、
図1Aを用いて説明する。混練工程は、実施形態に係る多孔質セラミックスを製造するための原材料であるセラミックス原料から坏土を調製する工程である。具体的には、セラミックス粒子1と、バインダ2と、水3とを含み、ホッパ20から投入されたセラミックス原料4が、混練機21で脱気されながら混練される。
【0017】
セラミックス原料4が混練されると、水3の作用によりバインダ2を膨潤させて、成形に適した保水性および保形性を有しつつ、流動性を有する粘土状の坏土が形成される。また、坏土中のセラミックス粒子1は、水3で膨潤したバインダ2を間に挟んで間隔をあけて分散されている。このように調製された坏土は、混練機21から押出成形機22に送られる。
【0018】
次に、成形工程について、
図1Aを用いて説明する。成形工程は、上述した坏土に圧力を加えて吐出させることで成形体5を生成する工程である。具体的には、混練機21から押出成形機22に送られた坏土に予め設定された圧力が加えられ、押出成形機22の端部に設けられた口金23から坏土が連続的に押し出される。
【0019】
口金23には、予め定められた形状の開口部が設けられており、口金23を押出成形機22から押し出された坏土が通過することにより、この開口部の形状に対応した形状を有する成形体5が形成される。なお、形成される成形体5の形状としては、例えば、管状、板状、シート状などが挙げられる。また、複数の貫通孔が隔壁を隔てて押し出し方向に柱状に並設された、いわゆるハーモニカ状またはハニカム状などであってもよく、成形体5の形状に制限はない。成形体5は、予め定められた幅だけ押し出される都度、切断機(図示せず)によって切断され、次工程に送られる。
【0020】
次に、凍結工程について、
図1Bを用いて説明する。凍結工程は、上述した成形体5を冷却させて凍結体7を生成する工程である。冷却装置30で成形体5を冷却して凍結させると、セラミックス粒子1およびバインダ2を含有する成形体5から分離した水3が氷6に状態変化し、結晶成長する。その結果、セラミックス粒子1と、セラミックス粒子1の周囲に形成された、バインダ2が水3中に濃縮された部分(図示せず)と、結晶化した氷6の部分とを含む凍結体7が得られる。
【0021】
次に、乾燥工程について説明する。乾燥工程は、上述した凍結体7に成長した氷6を除去させた乾燥体を生成する工程である。氷6が成長した凍結体7を、例えば凍結乾燥により乾燥させると、氷6の結晶が昇華して消失し、代わりに気孔9が形成される。すなわち、乾燥工程は、氷6を気孔9に置換する工程である。
【0022】
次に、脱脂工程について説明する。脱脂工程は、上述した乾燥工程において気孔9が形成された乾燥体からバインダ2等の有機成分を除去する工程である。具体的には、セラミックス粒子1の種類に応じて、予め定められた温度条件下でバインダ2などの有機成分を分解して除去する処理を実行する。
【0023】
最後に、焼成工程について、
図1Cを用いて説明する。焼成工程は、上述した脱脂工程においてバインダ2などの有機成分が除去された乾燥体を焼成装置40で焼成して焼成体(多孔質セラミックス)10を作製する工程である。焼成により得られる多孔質セラミックス10は、上述した乾燥工程において形成された気孔9と、気孔9を囲むようにセラミックス粒子1同士が結合して緻密化したセラミックス骨格8とを有する。
【0024】
このように、実施形態に係る多孔質セラミックス10の製造方法によれば、凍結体7に生成された氷6の形状に基づき、気孔9の周囲にセラミックス骨格8が形成された多孔質セラミックス10が生成される。
【0025】
実施形態に係る多孔質セラミックス10の製造方法において、セラミックス粒子1は、焼成工程において適切に焼成可能なものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、コージェライト、ハイドロキシアパタイト、サイアロン、ジルコン、チタン酸アルミニウム、カオリン、水酸化アルミニウムおよびムライトのうち1種以上をセラミックス粒子1として適用できるが、これらに限定されない。また、例えば、アルミナおよびシリカを適用してムライトを作製したり、ジルコニアおよびアルミナを適用して複合体を作製したり、といった、所望する特性に応じて複数のセラミックス粒子1を組み合わせて使用することができる。
【0026】
また、セラミックス粒子1は、実用上、平均粒径が100μm以下のものが好ましい。セラミックス粒子1の平均粒径が100μmを超えると、所望する多孔質セラミックス10の形状や大きさによってはセラミックス粒子1を焼成しても用途に適した焼成体(多孔質セラミックス)10の強度を得ることが困難な場合がある。ここで、「平均粒径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置(湿式法)において、球相当径に換算した体積基準の粒度分布に基づいて得られたメジアン径(d50)を指す。なお、同じ結果を得られるものであれば、測定方法に制限はない。
【0027】
セラミックス原料4中のセラミックス粒子1は、水3との総和を100vol%としたとき、1〜30vol%の範囲となるように配合されることが好ましい。セラミックス粒子1の配合量が1vol%未満だと、例えば乾燥工程において形状を維持することができない懸念があり、また、所望の強度を有する多孔質セラミックス10を製作することが困難となる。また、セラミックス粒子1の配合量が30vol%を超えると、得られる多孔質セラミックス10は気孔率が低くなり、多孔体として所望される特徴を十分に示さない場合がある。ここで、「気孔率」とは、JISR1634:2008に規定する手法に基づき、アルキメデス法により得られた値をいう。かかる測定では、閉気孔は考慮されないため、「見掛け気孔率」とも呼ばれる。なお、本実施形態では、閉気孔はほとんど形成されないため、この「見掛け気孔率」を「気孔率」として取り扱うことができる。
【0028】
また、バインダ2としては、押出成形機22から押し出し可能な程度に坏土の形状を保持することができ、かつ、押出成形機22から押し出された成形体5の形状を乾燥工程まで適切に保持することができるものであればその種類に制限はない。具体的には、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースおよびカルボキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体をバインダ2として適用できるが、これらに限定されない。また、1種類のバインダ2を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。さらに、これらのバインダ2とネットワークを形成し、保水性・保形性を向上させる第三成分を添加してもよい。
【0029】
また、バインダ2の重量平均分子量(Mw)は15万以
上200万
以下である。このように重量平均分子量(Mw)を適切に制御したバインダ2をセラミックス原料4として使用すると、坏土の硬さを押出成形機22から押し出し可能な程度に保持することが容易となり、また、押出成形機22から押し出された成形体5の形状を乾燥工程まで適切に保持することができる。
【0030】
また、水3としては、含有する不純物が少ない脱イオン水が好適に使用される。
【0031】
なお、セラミックス粒子1を適切に焼成させるために、セラミックス原料4にセラミックス粒子1の種類に応じた焼成助剤を配合してもよい。また、適切な性状の坏土を作製するために、必要であれば潤滑剤、可塑剤および離型剤などの各種添加剤を添加してもよい。
【0032】
また、100vol%のセラミックス原料4中の不揮発成分の含有量は、9〜45vol%であることが好ましい。不揮発成分の含有量が9vol%未満だと、例えば成形体5としての保形性が不足し、押出成形機22から坏土が適切に押し出されないことで所望の形状を有する多孔質セラミックス10を製作することが困難となる場合がある。一方、不揮発成分の含有量が45vol%を超えると、坏土が適切に変形せず、結果として所望の形状を有する多孔質セラミックス10を製作することが困難となる場合がある。ここで、セラミックス原料4中の不揮発成分とは、セラミックス原料4から水3を除いた成分の総和であり、主としてセラミックス粒子1およびバインダ2を含む。なお、上述した焼成助剤や増粘剤などの各種添加剤も不揮発成分に含まれ得ることは言うまでもない。
【0033】
また、セラミックス原料4の混練により得られる坏土は、比較的多量の水を含有しつつも、バインダ2の種類および添加条件を最適化することで成形に適した保水性および保形性を有する。具体的には、セラミックス原料4の混練により得られる坏土の硬さは、硬度計を用いて測定される硬度が1〜12であることが好ましく、より好ましくは6〜12である。坏土の硬度が1未満だと、後述する押出成形機22での成形後のハンドリングが困難となり、また所望する形状によっては成形が困難となる場合がある。また、坏土の硬度が12を超えると、押出成形機22その他の設備が受ける負荷が大きくなりすぎて成形不良が生じたり、例えば設備の耐圧構造などの設計変更の必要が生じたりすることがあり、実用上適さない。
【0034】
上述した坏土の硬さは、次のようにして測定される。混練機21から取り出した坏土の表面を任意に選択し、NGK式硬度計(日本ガイシ株式会社製)の探針の先端部を垂直に押し当てて硬度を測定する。測定箇所を十点として同様の測定を繰り返し行い、各測定値の算術平均を坏土の硬さと規定する。なお、同様の結果が得られるものであれば測定機器や測定回数に制限はない。
【0035】
ここで、上述した坏土の硬さは、セラミックス原料4中に配合される不揮発成分の含有量およびバインダ2の重量平均分子量(Mw)と相関性を有する。すなわち、不揮発成分の含有量が増えると、水3の含有量が相対的に低くなり、坏土は硬くなる傾向にある。また、配合量を一定とした場合、バインダ2の重量平均分子量(Mw)が大きくなると、やはり坏土は硬くなる傾向にある。このため、成形に適した坏土を作製するためには、かかる点に注意しながらセラミックス原料4を調製することが好ましい。
【0036】
次に、セラミックス原料4を混練する混練機21として、例えば、ニーダー、三本ロールミルまたは土練機等の各種混練機が用いられる。また、混練機21は、バッチ式または連続式とすることができる。実施形態において、セラミックス原料4を混練する混練温度は、好ましくは1〜30℃である。混練温度が1℃未満だと、セラミックス原料4が局所的に凍結し、混練時の作業性が低下する懸念がある。一方、混練温度が30℃を超えると、混練中に水分が揮発して安定的に生産できない懸念がある。
【0037】
また、坏土を押し出す押出成形機22として、例えば、一軸式または二軸式等の各種押出成形機が用いられる。なお、押出成形機22から押し出される成形体5の押し出し方向は、
図1Aに示すように略水平方向であってもよく、あるいは鉛直方向であってもよい。また、押出成形機22は、バッチ式または連続式とすることができるが、生産性向上の観点からは連続式がより好ましい。実施形態において、坏土を押し出す押出温度は、上述した混練温度と同程度とすることが好ましい。
【0038】
また、凍結工程において、公知の冷却装置30を利用することが可能である。具体的には、成形体5の下面側を例えば冷却した金属板などの固体に接触させる、冷凍庫を用いる等、さまざまな冷却方法を適用した冷却装置30が挙げられる。なお、凍結工程における成形体5の凍結温度は、成形体5中の水3が凍結して氷6を生成することが可能な程度であれば制限はない。ただし、バインダ2の種類によっては、バインダ2と水3との相互作用により−10℃を超えると成形体5が凍結しない場合があるため、−10℃以下の凍結温度が好ましい。
【0039】
また、乾燥工程において、凍結体7の内外の乾燥速度の差を抑制しながら、徐々に氷6を気孔9に置換することにより亀裂を防ぐ乾燥手法を利用することが可能である。具体的には、凍結体7を凍結乾燥、あるいは水溶性有機溶剤や水溶性有機溶剤水溶液中への浸漬と風乾により、氷6を気孔9に置換することができる。
【0040】
例えば、凍結体7を水溶性有機溶剤や水溶性有機溶剤水溶液中に浸漬すると、凍結体7中の氷6は融解し、水溶性有機溶剤と混合される。かかる操作を1回または複数回実行することにより、まず、凍結体7中の氷6であった部分は水溶性有機溶剤に置換される。その後、凍結体7の内部が水溶性有機溶剤で置換された凍結体7を、大気中または減圧条件下において乾燥させると、凍結工程において氷6であった部分が気孔9に置換される。
【0041】
水溶性有機溶剤を利用した乾燥工程において、水溶性有機溶剤としては、バインダ2を浸食せず、かつ水3よりも揮発性が高いものが適用される。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの水溶性有機溶剤を単独で、あるいは複数種類併用した乾燥を1回または複数回実行することにより、凍結体7内で氷6であった部分に、気孔9が形成される。
【0042】
また、脱脂工程において、例えば300℃〜900℃の脱脂温度が適用される。ここで、例えば、炭化珪素、窒化珪素などの非酸化物セラミックスを脱脂する場合には、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気下で脱脂をすることが好ましい。これに対し、例えば、アルミナ、ジルコニア、アパタイトなどの酸化物セラミックスを原料とする場合には、大気雰囲気下で脱脂をすることが好ましい。
【0043】
そして、焼成工程では、使用するセラミックス粒子1の種類や配合量、目標とする硬度等に応じて、焼成装置40における焼成温度、焼成時間および焼成雰囲気が適宜調整されることにより、所望する形状および特性を有する多孔質セラミックス10が作製される。
【0044】
このようにして得られる多孔質セラミックス10は、平均気孔径が1μm〜500μmであることが実用上好ましい。ここで、「平均気孔径」は、接触角140度で水銀圧入法を用いて測定し、気孔9を円柱近似した際の気孔分布に基づいて得られたメジアン径(d50)を指す。
【0045】
また
、多孔質セラミックス10の気孔率は、50%〜99%の範囲が好ましく、より好ましくは70%〜99%である。多孔質セラミックス10の気孔率が50%未満だと、実施形態に係る多孔質セラミックス10の製造方法を用いる必要性が低減する。また、多孔質セラミックス10の気孔率が99%を超えると、例えば乾燥工程において形状を維持することができない場合があり、また、所望の強度を有する多孔質セラミックス10を製作することが困難となる。なお、かかる多孔質セラミックス10の気孔率は、後述する「総気孔率」との区別を明確にするために、「材料気孔率」と称される場合がある。
【0046】
上述したように、押出成形機22から押し出された成形体5に基づき、種々の形状を有する多孔質セラミックス10を作製することができる。以下では、実施形態に係る多孔質セラミックス10の製造方法により作製することができる多孔質セラミックス10の一例として、ハニカム状に形成された多孔質セラミックス(以下、「ハニカムセラミックス」と称する)について、
図2A〜
図2Cを用いて説明する。
【0047】
図2Aは、実施形態に係る多孔質セラミックス10の製造方法により作製されたハニカムセラミックス11の一例を示す模式図である。また、
図2Bは、
図2Aに示すハニカムセラミックス11を端面15側から見た模式図であり、
図2Cは、
図2Bに示すハニカムセラミックス11のA−A’断面図である。
【0048】
図2A〜
図2Cに示すように、ハニカムセラミックス11は、周壁14と端面15,16とを有する略円柱状の外形形状を有している。また、ハニカムセラミックス11は、互いに向かい合う端面15,16に対して略垂直となるように形成されたセル壁13と、このセル壁13で区画され、端面15と端面16との間を貫通する複数のセル12とを備える。セル12、セル壁13および周壁14は、押出成形機22から押し出される方向に沿うように形成される。
【0049】
かかる構成を有するハニカムセラミックス11は、総気孔率が85〜99%であることが好ましい。ハニカムセラミックス11の総気孔率が85%未満だと、例えば熱交換器として使用される場合、熱容量が大きくなり、熱交換効率が高まる温度に到達するまでに要する時間が長くなるため、実用上好ましくない。一方、ハニカムセラミックス11の総気孔率が99%を超えると、例えば実使用に耐えうる機械的強度を有するハニカムセラミックス11を製作することが困難となる。ここで、「総気孔率」とは、ハニカムセラミックス11の外観形状、すなわち、周壁14と端面15,16とで区画される略円柱状の全体積のうち、セル12および気孔9が占める割合をいう。
【0050】
また、ハニカムセラミックス11は、1平方インチ(1in
2、約6.45×10
−4m
2)当たりのセル12の数(以下「セル数」という)が250〜2000であることが好ましい。1in
2当たりのセル数が250未満だと、例えば熱交換器として利用される場合、有効な比表面積が小さいことで熱交換効率が低下する懸念がある。一方、1in
2当たりのセル数が2000を超えると、例えば熱交換器としての使用時に、熱交換メディア中の不純物粒子等がセル12中で目詰まりを起こす懸念がある。なお、「1in
2当たりのセル数」は、端面15(または16)を貫通するセル12の数を、セル12および気孔9を含む端面15(または16)の面積(in
2単位に換算)で割ることにより算出される。
【0051】
また、ハニカムセラミックス11は、セル壁13の平均の厚みt1が10〜200μmであることが好ましい。セル壁13の厚みt1が10μm未満だと、例えばセル壁13に形成される気孔9によりセル壁13の強度が保てなくなることが懸念される。一方、セル壁13の厚みt1が200μmを超えると、例えばフィルタとして用いた場合に圧力損失が大きくなることでエネルギー損失が増大し、システム全体としてのエネルギー効率が低下する懸念がある。なお、セル壁13の「平均の厚み」は、ハニカムセラミックス11のSEM観察により任意に選択した二十点でセル壁13の厚みを測定し、その平均値として算出される。
【0052】
また、ハニカムセラミックス11は、セル12を挟んで対面するセル壁13同士の間隔t4が300〜2000μmであることが好ましい。セル壁13同士の間隔t4が300μm未満だと、例えばハニカムセラミックス11を流通させる流体の圧力損失が増大し、結果としてエネルギー効率の低下につながる懸念がある。一方、セル壁13同士の間隔t4が2000μmを超えると、例えばフィルタとして利用される場合、単位体積当たりのフィルタ有効面積が不足し、フィルタとしての特性が十分に発揮されない可能性がある。
【0053】
また、ハニカムセラミックス11の最外殻を構成する周壁14の厚みt2は、ハニカムセラミックス11の形状および用途に応じた適切な強度が確保できるように設定される。具体的には、周壁14の厚みt2を、上述したセル壁13の平均の厚みt1と同程度にすることができるが、これに限定されない。また、セル壁13と周壁14との間隔t3は、上述したセル壁13同士の間隔t4と同程度にすることができるが、これに限定されず、ハニカムセラミックス11の用途に応じて適宜設定することができる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、ハニカムセラミックス11の外形形状は略円柱状として説明したが、これに限定されない。具体的には、例えば、楕円柱であってもよく、また正三角柱、正方形柱、正六角柱、正八角柱その他の正多角柱を含む角柱等であってもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、セル12の断面形状は、正方形として図示したが、これに限定されない。具体的には、例えば、長方形、三角形、六角形、八角形等の多角形であってもよく、また、円形や楕円形であってもよい。そして、互いに寸法や断面形状の異なる複数のセル12が混在してもよい。
【0056】
次に、実施形態に係る多孔質セラミックス10の製造方法について、
図3を用いて詳細に説明する。
図3は、実施形態に係る多孔質セラミックス10を製造する処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
図3に示すように、まず、セラミックス粒子1と、バインダ2と、水3とを含むセラミックス原料4を混練して坏土を調製する(ステップS101)。焼成助剤などの各種添加剤は、このタイミングで添加するとよい。なお、バインダ2は、水3と混合する前に予めセラミックス粒子1と乾式混合し、これを水3と湿式混合したものを混練機21に入れて混練してもよく、また、セラミックス原料4をすべて直接ホッパ20に投入し、混練してもよい。
【0058】
続いて、ステップS101において調製した坏土を押し出して成形体5を形成する(ステップS102)。次に、冷却装置30を用いて成形体5を凍結させて氷6の結晶が一方向に成長した凍結体7を生成する(ステップS103)。続いて、凍結体7を乾燥させて凍結体7に成長した氷6が除去されて気孔9に置換された乾燥体を生成する(ステップS104)。
【0059】
さらに、気孔9が生成された乾燥体からバインダ2等の有機成分を除去する脱脂を行い(ステップS105)、引き続いて焼成を行う(ステップS106)。以上の各工程により、実施形態に係る一連の多孔質セラミックス10の製造が終了する。
【0060】
上述してきたように、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法は、成形工程と、凍結工程と、乾燥工程と、焼成工程とを含む。成形工程は、坏土を吐出することによって成形体を生成する工程である。凍結工程は、成形体を凍結させて氷を含む凍結体を生成する工程である。乾燥工程は、凍結体を乾燥させて氷が除去された乾燥体を生成する工程である。焼成工程は、乾燥体を焼成する工程である。そして、坏土は、セラミックス粒子と、バインダと、水とを含むセラミックス原料を混練したものである。
【0061】
したがって、実施形態に係る多孔質セラミックスの製造方法によれば、多孔質セラミックスの生産性を向上することができる。すなわち、混合・混練時におけるバインダの溶解または膨潤による増粘作用により、別途のゲル化工程が不要となる。
【0062】
なお、上述した実施形態では、混練機21および押出成形機22は個別の装置として説明したが、かかる構成に限定されない。例えば、混練機21の混練機能と押出成形機22の押出成形機能とが一体化した混練押出機を混練機21および押出成形機22に代えて適用してもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、ハニカムセラミックス11は、セル壁13および周壁14が一体に形成されたものとして説明したが、かかる構成に限定されない。例えば、それぞれ個別に作製されたセル壁13および周壁14を焼成前または焼成後に接合してハニカムセラミックス11を作製してもよい。また、実施形態に係る多孔質セラミックス10の製造方法によりセル壁13および周壁14の一部を作製し、別途用意した1または複数の部材とともにハニカムセラミックス11を作製してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、脱脂工程(ステップS105)は必須の工程として説明したが、バインダ2の種類及び配合量によっては省略してもよい。かかる場合、バインダ2は焼成工程(ステップS106)において分解、除去される。
【実施例】
【0065】
[セラミックス原料の混練(坏土の作製)]
(実施例1−1)
セラミックス原料4として、アルミナ(セラミックス粒子1に対応、密度3.98×10
3kg/m
3)9.2vol%と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、重量平均分子量Mw=100万)(バインダ2に対応)7.9vol%と、脱イオン水(水3に対応)82.9vol%とを計量した。これらのセラミックス原料4をミキサーで30分混合し、次いで三本ロールミル(混練機21に対応)を用いて2回混練し、坏土を調製した。得られた坏土は、押出成形に適したものであった。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0066】
ここで、「アルミナの密度」とは、ピクノメータ法により測定された、アルミナ原料の真比重を意味する。また、アルミナ以外のセラミックス粒子1の密度についても、この「アルミナの密度」の測定と同様の方法により測定されたものである。
【0067】
(実施例1−2)
カオリン、タルクおよびアルミナから形成されたコージェライト(セラミックス粒子1に対応、密度2.52×10
3kg/m
3)8.7vol%と、HPMC(重量平均分子量Mw=100万)(バインダ2に対応)12.6vol%と、脱イオン水(水3に対応)78.7vol%とを混合し、セラミックス原料4を作製した。このセラミックス原料4を、実施例1−1と同様に混練し、坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。なお、適切な割合で混合されたカオリン、タルクおよびアルミナを含むセラミック粒子1を焼成することにより、コージェライトが得られる。
【0068】
(実施例1−3)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−2と同様にして坏土を作製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0069】
(実施例1−4)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−2と同様にして坏土を作製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0070】
(実施例1−5)
SiC(炭化ケイ素、セラミックス粒子1に対応、密度3.21×10
3kg/m
3)4.2vol%と、HPMC(重量平均分子量Mw=100万)(バインダ2に対応)16.5vol%と、脱イオン水(水3に対応)79.3vol%とを含むセラミックス原料4を作製した。このセラミックス原料4を、実施例1−1と同様に混練し、坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0071】
(実施例1−6)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−5と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0072】
(実施例1−7)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−1と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0073】
(実施例1−8)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−1と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0074】
(実施例1−9)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−1と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0075】
(実施例1−10)
バインダ2としてHPMC(重量平均分子量Mw=75万)を使用し、セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−7と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0076】
(実施例1−11)
バインダ2としてHPMC(重量平均分子量Mw=29万)を使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0077】
(実施例1−12)
バインダ2としてヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC、重量平均分子量Mw=80万)を使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0078】
(実施例1−13)
バインダ2としてメチルセルロース(MC、重量平均分子量Mw=29万)を使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0079】
(実施例1−14)
セラミックス粒子1としてコージェライトを使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0080】
(実施例1−15)
セラミックス粒子1としてSiCを使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0081】
(実施例1−16)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−7と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0082】
(実施例1−17)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を変更したことを除き、実施例1−7と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0083】
(
参考例1−18)
バインダ2としてポリビニルアルコール(PVA、重量平均分子量Mw=500)を使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0084】
(
参考例1−19)
バインダ2としてポリエチレンオキシド(PEO、重量平均分子量Mw=350万)を使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0085】
(
参考例1−20)
バインダ2としてポリエチレングリコール(PEG、重量平均分子量Mw=4,000)を使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0086】
(
参考例1−21)
バインダ2としてHPMC(重量平均分子量Mw=14万)を使用したことを除き、実施例1−10と同様にして坏土を調製した。得られた坏土の硬さを、坏土中のセラミックス原料4の構成とともに表1に示す。
【0087】
実施例1−1〜
1−17、参考例1−18〜1−21において使用したセラミックス原料4および作製した坏土の硬さについて、表1にまとめて示す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1に示されるように、実施例1−16〜
1−17、参考例1−18〜1−21によって得られた坏土の硬さは、一定の範囲から逸脱しており、この坏土を用いて押出成形により多孔質セラミックス10を成形するのが困難となりやすい。これに対し、実施例1−1〜1−15によって得られた坏土はいずれも、硬度計を用いて測定される硬度が1〜12であり、多孔質セラミックス10を押出成形によって作製するのにより適している。以下では、各実施例によって得られた坏土のうちいくつかを例に挙げて、多孔質セラミックス10を作製する具体例について説明する。
【0090】
[多孔質セラミックスの作製]
(実施例2−1)
幅150mm×高さ4mmの内寸を有する開口部が形成されたシート用金型(「口金23」に対応)を取り付けた押出成形機(押出成形機22に対応)を適用し、実施例1−1において得られた坏土を押し出して成形体5を作製した。次いで、押し出された成形体5を、−20℃の冷凍庫で冷却し、凍結させた後、凍結乾燥装置で24時間乾燥させた。さらに、大気雰囲気下の電気炉にて600℃で1時間脱脂した後、1600℃で3時間焼成した。焼成終了後、自然冷却して、幅117mm×厚さ3.1mmのシート状セラミックスを得た。得られたシート状セラミックスの部分断面図を
図4に示す。また、得られた多孔質セラミックス10の材料気孔率について、表2に示す。
【0091】
(実施例2−2)
実施例2−1のシート用金型に代えて、内周直径(以下「内周径」という)40mmの円筒形状の開口部が形成されたハニカム用金型が取り付けられた押出成形機を適用し、実施例1−2において得られた坏土を押し出して成形体5を作製した。使用したハニカム用金型は、開口部における、1in
2当たりのセル数が650、坏土が押し出されるスリットの幅(以下「スリット幅」という)が0.15mmのものであった。次いで、押し出された成形体5を−20℃の冷凍庫で冷却し、凍結させた後、凍結乾燥装置で24時間乾燥させた。さらに、大気雰囲気下の電気炉にて600℃で1時間脱脂した後、1400℃で3時間焼成した。焼成終了後、自然冷却して、1in
2当たりのセル数が1060、全体気孔率93%、材料気孔率64%、開口率80%、セル壁13の平均の厚みが156μmのハニカムセラミックス11を得た。得られたハニカムセラミックス11の物性について、表2にまとめて示す。なお、ハニカムセラミックス11の「開口率」とは、ハニカムセラミックス11の全体積のうち、セル12が占める割合をいう。
【0092】
(実施例2−3)
実施例1−2において得られた坏土に代えて、実施例1−3において得られた坏土を押し出したことを除き、実施例2−2と同様にしてハニカムセラミックス11を得た。得られたハニカムセラミックス11の部分断面図を
図5Aに、
図5Aの部分拡大図を
図5Bにそれぞれ示す。また、得られたハニカムセラミックス11の物性について、表2にまとめて示す。
【0093】
(実施例2−4)
実施例1−2において得られた坏土に代えて、実施例1−4において得られた坏土を押し出したことを除き、実施例2−2と同様にしてハニカムセラミックス11を得た。得られたハニカムセラミックス11の物性について、表2にまとめて示す。
【0094】
(実施例2−5)
実施例2−2のハニカム用金型に代えて、内周径40mmの円筒形状の開口部が形成されたハニカム用金型が取り付けられた押出成形機を適用し、実施例1−5において得られた坏土を押し出したことを除き、実施例2−2と同様にしてハニカムセラミックス11を得た。使用したハニカム用金型は、開口部における、1in
2当たりのセル数が200、スリット幅が0.3mmのものであった。得られたハニカムセラミックス11の物性について、表2にまとめて示す。
【0095】
(実施例2−6)
実施例1−5において得られた坏土に代えて、実施例1−6において得られた坏土を押し出したことを除き、実施例2−5と同様にしてハニカムセラミックス11を得た。得られたハニカムセラミックス11の物性について、表2に示す。
【0096】
(比較例2−1)
成形体5の凍結および凍結乾燥に代えて熱風乾燥(60℃)を適用したことを除き、実施例2−1と同様にしてシート状の多孔質セラミックス10を得た。得られた多孔質セラミックス10の材料気孔率について、表2に示す。
【0097】
(比較例2−2)
成形体5の凍結および凍結乾燥に代えて恒温恒湿乾燥(40℃、相対湿度80%)を適用したことを除き、実施例2−1と同様にしてシート状の多孔質セラミックス10を得た。得られた多孔質セラミックス10の材料気孔率について、表2に示す。
【0098】
(比較例2−3)
成形体5の凍結および凍結乾燥に代えてマイクロ波乾燥を適用したことを除き、実施例2−1と同様にしてシート状の多孔質セラミックス10を得た。得られた多孔質セラミックス10の材料気孔率について、表2に示す。
【0099】
(比較例2−4)
セラミックス粒子1、バインダ2および水3の配合割合を56:12:32(体積基準)に変更するとともに、バインダ2の重量平均分子量Mwを29万に変更し、セラミックス粒子1に対して50%の体積割合に相当するデンプンを造孔剤として配合したことを除き、実施例1−5と同様にして坏土を作製した。得られた坏土を、実施例2−5で使用したハニカム用金型が取り付けられた押出成形機から押し出して成形体5を作製した。その後、成形体5の凍結および凍結乾燥に代えてマイクロ波乾燥を適用したことを除き、実施例2−5と同様にしてハニカムセラミックス11を得た。得られたハニカムセラミックス11の物性について、表2に示す。
【0100】
実施例2−1〜比較例2−4において得られたシート状の多孔質セラミックス10またはハニカムセラミックス11の物性について、表2にまとめて示す。
【0101】
【表2】
【0102】
表2に示されるように、実施例2−2〜2−6によって得られた多孔質セラミックス10はいずれも、材料気孔率および全体気孔率がともに高い値を示す。特に、実施例2−2〜2−5では、全体気孔率が90%以上であるにもかかわらず、セル壁13の平均の厚みが200μm以下と、例えばフィルタや吸着剤、小型部品の焼成用セッター、流体透過部材として優れた特性を有するハニカムセラミックス11が得られる。
【0103】
また、実施例2−1によって得られた多孔質セラミックス10は、実施例2−1とは乾燥方法のみが異なる比較例2−1〜2−3によって得られた多孔質セラミックス10よりも材料気孔率が高い値を示す。同様に、実施例2−5によって得られたハニカムセラミックス11は、実施例2−5とは配合および乾燥方法のみが異なる比較例2−4によって得られたハニカムセラミックス11よりも材料気孔率および全体気孔率がともに高い値を示す。
【0104】
なお、上述の実施例において、コージェライトはカオリン、タルクおよびアルミナから形成されたものとして説明したが、例えばマグネシア、アルミナおよびシリカから形成されたものであってもよい。
【0105】
また、上述した実施形態では、成形工程において坏土を吐出する成形機は押出成形機22であるとして説明したが、予め定められた形状に基づいて作製された金型内に坏土を射出させる射出成形機を適用してもよい。
【0106】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。