【実施例1】
【0021】
図3は回転する床面洗浄具を4個備えた床面洗浄装置の構成図であり、
図4は
図3に示す床面洗浄装置の回転力伝達機構の平面構成図である。
本実施例1は
図4に示すように、床面洗浄具を4個備え、そのうちの2個は時計方向(又は反時計方向)、他の2個は反時計方向(又は時計方向)に回転し、かつ隣り合う床面洗浄具は互いに反対方向に回転(自転)するよう構成され、そして4個の床面洗浄具全体は前記床面洗浄装置の回転主軸の周りを回転(公転)する2重回転機構を備えたものである。したがって、
図4に見られるように、V−V方向の回転力伝達機構とH−H方向の回転力伝達機構とはその構造を異にしている。
このため、
図3においては、中心軸A−Aに対して左側に
図4のH−H方向の左半分の断面構成を、右側に
図4のV−V方向の下半分の断面構成をを示した。
【0022】
図3、
図4において、27は電動モータ25に取り付けられた回転主軸で、29は円形基板26にボルトで締結固定された主歯車を示し、回転主軸27が自在に回転できるよう前記主歯車29と回転主軸27との間に転がり軸受29が設けられている。30は垂設された回転主軸27の周りに床面洗浄具31の回転軸32を放射状に配設するためのアームであり、該アーム30は
図4に示すように、4個の床面洗浄具31が90度間隔で4方向に配設されるように構成されるとともに、V−V方向、H−H方向の各2個の床面洗浄具31が互いに逆回転するよう主歯車28と従歯車33との結合構造を異ならせている。
即ち、
図4に示すV−V方向のアーム30aには、
図3の右側に示すように、アーム30aを貫通して設けられた中間回転軸34aの上端部に従歯車33aが前記主歯車28と噛み合うように配設されており、H−H方向のアーム30bには、
図3の左側に示すように、アーム30bを貫通して設けられた中間回転軸34bの上端部に従歯車33bが配設され、かつ主歯車28と従歯車33bとの間にアイドラー歯車35が前記主歯車28と従歯車33bとの両方に噛み合うように配設されている。
【0023】
そしてV−V方向の中間回転軸34aの下端部には主プーリ36aが、H−H方向の中間回転軸34bの下端部には主プーリ36bがそれぞれアーム30a、30bの下側に配設され、前記床面洗浄具31を回転させるV−V方向の洗浄具回転軸32には従プーリ37aが、H−H方向の洗浄具回転軸32には従プーリ37bがそれぞれ配設されている。38は主プーリ36aと従プーリ37a、主プーリ36bと従プーリ37bを連結させて洗浄具回転軸32を回転させるタイミングベルトであり、前記洗浄具回転軸32の下端には床面洗浄具31の回転基盤31cが締結され、床面洗浄部材31aがブラケット盤31bを介して回転基盤31cに固着されている。39は洗浄具回転軸32をアーム30に対して自在に回転できるよう転がり軸受29を装着したベアリングホルダを示す。
【0024】
41は洗浄液供給ポンプ6(
図1参照)に接続されたチューブ41を介して回転主軸27の上端から該回転主軸27に貫通された洗浄液導出孔42に洗浄液を流入させるための回転継手、43は回転主軸27内の洗浄液導出孔42を流下した洗浄液を各洗浄塗布具29の回転軸30に貫通した洗浄液導出孔42にチューブ41を介して分配する洗浄液分配器である。前記洗浄液分配器43は上蓋と分配容器とからなり、上蓋と分配容器はOリングを挟んでボルトで締結される。上蓋には回転継手40を介して回転主軸27と接続され、分配容器の周壁には、洗浄液を4個の床面洗浄具31に分配する孔が穿たれ、該孔にに螺着された継手とチューブ41及び回転継手40を介して各床面洗浄具29の回転軸32に貫通された洗浄液導出孔42に供給される。
【0025】
図3、
図4に示した床面洗浄具31を4個備えた床面床面洗浄装置2の実施の形態、及び作用を以下に詳述する。
垂設された回転主軸27を回転させる電動モータ25には、中空軸の出力400W、ギア比50のDCギアードモータを用い、これを床面洗浄装置2の円形基板26に取り付け、次いで前記電動モータ25の中空軸部に内径6mmの洗浄液導出孔42を貫通させた回転主軸27を挿入、その後回転主軸27に転がり軸受29を組み込んだ主歯車28(モジュール1、歯数120)を装着し、同時に前記主歯車28を円形基板26にボルトで締結した。また主歯車28の下にアーム30を配設して締結具(キー)によって回転主軸27に取り付けた。
そして、前記4本のアーム30のうちV−V方向の2本のアーム30aに取り付ける従歯車33aにはモジュール1、歯数90のものを、H−H方向の2本のアーム30bに取り付ける従歯車33bにはモジュール1、歯数60のものを、さらにアイドラー歯車35にはモジュール1、歯数30の歯車を取り付けた。次いで従歯車33aを取り付けた中間回転軸34には主プーリ36a(歯数34)を、従歯車33bを取り付けたた中間回転軸34には主プーリ36b(歯数60)をいずれもアーム30a、30bの下方に取り付けた。また、下部に床面洗浄具31を取り付けた洗浄具回転軸32にはそれぞて従プーリ37a、37bが取り付けられ、主プーリ36aと従プーリ37a間、主プーリ36bと従プーリ37b間にはタイミングベルト38が設けられ、主回転軸の回転が洗浄具回転軸へ伝達されるよう構成されている。なお前記従プーリ37aには、歯数72のものを、従プーリ37bには歯数44のものを用いた。
前記従プーリ37a、37bを取り付けた各洗浄具回転軸32には径6mmの細孔を穿ち洗浄液導出孔42とした。
【0026】
上記のような歯車、プーリを配設するアーム30の回転主軸27と床面洗浄具31を回転させる各洗浄具回転軸32との軸間距離は285.6mmで、4個の洗浄部材31a(洗浄パッド)が干渉しあわないサイズとして15インチ(380mm)径のものが使用でき、この4個の洗浄部材31aが回転主軸27の周りを回転することによって洗浄できる床面の洗浄領域幅は951mmとなる。
【0027】
洗浄部材31aには、床面の汚染状態により、常用の赤パッド(軽い表面洗浄用、鉱物粒子を塗布したポリエステル不織布)、青パッド(表面洗浄作業、研摩砥粒を塗布したポリエステル不織布)などの円形洗浄部材がファスナーを介してブラケット盤31bに装着される。本実施例1では洗浄部材31aとして市販品の15インチ(380mm)径ものを使用した。
【0028】
洗浄液の床面洗浄具31への供給は、
図1に示した洗浄液供給タンク4から洗浄液供給ポンプ5、電磁開閉弁6、及び
図3に示すチューブ41を介して回転主軸27の中心部に貫通された洗浄液導出孔42に送られ、次いで前記回転主軸27の下端に取り付けられた洗浄液分配器43によって4方向に均等に分配され、各床面洗浄具31の洗浄具回転軸32の上部に設けられた回転継手40へ送られ、前記洗浄具回転軸32の中心に貫通された洗浄液導出孔42を経て前記洗浄具回転軸32の末端から床面へ滴下されるので、4個の床面洗浄具31自体の回転(自転)と4個の床面洗浄具31の回転主軸27周りの回転とによって、洗浄液は洗浄領域の全域にわたって均等に分配される。
【0029】
また、電動走行式床面洗浄機1に固定された洗浄液供給タンク4から洗浄液供給ポンプ5、電磁開閉弁6とチューブ41を介して回転主軸27の洗浄液導出孔42へ、回転主軸25の下部に設けた洗浄液分配器43からチューブ41を通して洗浄具回転軸32の洗浄液導出孔42へと洗浄液を確実に供給できるよう、回転主軸27の上部、回転主軸27と洗浄液分配器43との間、及び各洗浄具回転軸32の上部には回転継手40がそれぞれ装着されている。これによって、洗浄液分配器43と洗浄具回転軸32を結ぶチューブ41が床面洗浄装置2の回転部分に絡むことなく、洗浄液を床面洗浄具31の下端から円滑かつ安定に床面に滴下させることができる。
【0030】
また、床面洗浄具31、洗浄具回転軸32、主歯車28、従歯車33a、33b、主プーリ36a、36b、タイミングベルト38等の回転力伝達機構を取り付けたアーム30が、回転主軸27から放射状に取着されているので、洗浄液分配器43と洗浄具回転軸32の上端を結ぶチューブ41の取り付け自由度が高められ、かつ装置の軽量化も図れるので好ましい。
なお、洗浄液タンク4は常に床面より上部に配設されているため、洗浄作業停止時にもサイホン効果によって洗浄液が床面洗浄具31の下端から床面へ落下するおそれがある。したがって、このサイホン効果による洗浄液の床面への滴下を防止するため、洗浄液供給ポンプ5からチューブ41までの間に電磁弁6を設けている。この電磁弁6はサイホン効果による洗浄液の滴下を防止できるものであればいずれでも使用できる。
【0031】
本実施例1では、アーム30を回転主軸27に締結、固定し、該回転主軸27に主歯車28を転がり軸受を介して回転自在に装着している。したがって電動モータ25を回転した場合、回転主軸27の回転によってアーム30が回転し始め、同時に従歯車33a、33bが円形基板26に固定された主歯車28の周りを回転する。
これによって主歯車28と噛み合った従歯車33a、及び主歯車28とアイドラー歯車35を介して噛み合った従歯車33bが回転すると、従歯車33a、33bが取着された中間回転軸34a、34bが回転し、同時に該中間回転軸34a、34bに取り付けられた主プーリ36a、36bも回転する。主プーリ36a、36bが回転するとこれにタイミングベルト38で連結された従プーリ37a、37bと床面洗浄具31を取り付けた洗浄具回転軸32が回転し、洗浄部材31aの自転と回転主軸27周りの回転(公転)との二重回転が実現される。そしてアイドラー歯車35を装着した側(H−H方向)の洗浄部材31aとアイドラー歯車35を装着しない側(V−V方向)の洗浄部材31aの回転方向は逆向きになる。
この場合、回転方向の違いによる床面に対する回転数の差によって生じる床面からの反動力が電動モータ25の負荷となるので、これを抑えるため、4個の洗浄部材31aの床面に対する回転数がほぼ等しくなるよう主歯車28、従歯車33a、33b、主プーリ36a、36b、従プーリ37a、37bの歯数比を適宜選択することが好ましい。
【0032】
上記のように、アーム30の回転主軸周りの回転数と床面洗浄具29の回転数を異ならせるのは、アーム30の回転主軸周りの回転数と床面洗浄具31の回転数とが同一の場合には、アーム30から見れば床面洗浄具31は床面は回転していないことになり、床面洗浄がなされないことになるのを防止するためである。
すなわち、H−H方向はアイドラー歯車35を主歯車28と従歯車33bとの間にアイドラー歯車35を装着しているため、回転主軸27の回転方向が床面洗浄具31の回転方向と同じになるため、床面に対する回転速度が減じることになる。かりに回転主軸27の回転速度と床面洗浄具31の回転速度を同一にすれば対床面に対して床面洗浄具31自身の回転はしていないことになる。一方、V−V方向はアイドラー歯車35を装着していないため床面洗浄具31の回転は回転主軸27とは反対方向になるため床面に対する回転は増速となる。
本実施例1の歯車及びプーリの構成により、V−V方向では、
(120/90)×(34/72)+1=1.63
一方、H−H方向では、
(120/60)×(60/44)−1=1.73
の回転数比となり、床面に対しほぼ同じ回転数となる。この結果、4つの床面洗浄具31は床面に対しほぼ同一速度の自転回転数と回転主軸27周りの回転が同時に得られ、かつ、4つの床面洗浄具31のうち2個ずつが逆方向に回転するため、床面に対する洗浄効果をより高めることが可能になる。
【0033】
本実施例1の床面洗浄装置2を電動台車に搭載した走行式床面洗浄機1による床面への洗浄実験を、塵埃やヒールマークなどで汚れた量販店(スーパー)のプラスティックタイル(Pタイル)の床面において実施した。走行速度1〜4km/時、電動モータ25の回転数を30〜60rpm、床面洗浄装置2の床面への押圧力を10〜30kgと変化させ、常用の市販洗剤を用い、洗浄部材31aには前述した赤パッド、青パッドを用い、試験前後の洗浄度合いを比較して評価した。
また、洗浄液に水を用いて床面に塗布されたワックスの剥離試験も、研磨砥粒を塗付したナイロン繊維でなるパッド(住友3M社製、商品名SPP)を用いても行った。
その結果、
1.市販洗剤を用いた洗浄試験では、従来の走行式床面洗浄機と比較して洗浄幅全面にわたり床面の汚れが均等、均質に洗浄作業ができた。
2.水を用いて行った塗布されたワックスの剥離試験においても、剥離幅全面にわたり均等、均質にワックス除去ができた。
【0034】
上記のように、従来提案された床面洗浄装置に比較して、優れた洗浄性能が得られたのは、垂設された回転主軸27の下部の水平方向に、該回転主軸27の周りを回転する複数の床面洗浄具31を放射状に配設し、かつ前記複数の床面洗浄具31をそれぞれ自転するように構成したことにある。
【0035】
さらに、床面洗浄具31の自転と回転主軸27周りの回転に加え、床面洗浄装置2全体を懸垂する前記電動アクチュエータ3のロットの伸長量によって床面洗浄具31の床面への押圧力が調整できることから洗浄領域全面にわたって均一な洗浄ができるばかりでなく、床面に大きな凹凸があっても円滑な走行と洗浄が可能になる。この際、コイルスプリング21の縮み代を測定することにより床面洗浄装置2の全重量から床面洗浄具31の床面への押圧力を算定できるので、使用する床面洗浄具31を取り替えるなどの作業条件が変わっても、目標とした適正な押圧力での洗浄作業が実施できる。
【0036】
またさらに、本実施例1のような大きな洗浄領域幅(951mm)に対応する径を有する一つの床面洗浄部材を回転させて床面に洗浄したとすると、床面洗浄具の回転軸や床面洗浄具自体のバランス不良による回転ぶれによって洗浄領域全幅を均一な洗浄面に仕上げることは難しいが、本発明では複数の床面洗浄具31を自転と回転主軸27の周りの回転(公転)によって、個々の床面洗浄具31の回転ぶれをそれぞれが打ち消し合って床面洗浄の均一性を高め、また床面の凹凸に対する追随性も向上し、より均質でかつ広い洗浄領域幅で床面を効率よく洗浄できる。
【0037】
本実施例1では4個の床面洗浄具31を2個づつ互いに反対方向に回転させる機構としているが、4個の床面洗浄具31の回転方向を同一方向にすることもでき、これによっても同様の発明効果が得られる。
また、本実施例1では床面洗浄具31が4個の場合について説明したが、床面の広さ、洗浄領域幅に応じて該床面洗浄具31が3個、5個の場合にも適用して実施できる。床面洗浄具31が2個の場合には、洗浄領域に対する床面洗浄具31の床面への接触面積が少なく洗浄力と床面の凹凸追随性が低下する。また6個以上の場合には床面洗浄具31が干渉し合うため、床面洗浄具31の径を小さくしなければならく、床面への接触面積が少なくなる。
【0038】
また、中間回転軸34a及び34bの回転力を洗浄具回転軸32へ伝達する手段として、本実施例1ではプーリとタイミングベルトを用いているが、これに替えてスプロケット、チェーンなどを単独、又はこれらを組み合わせた伝達機構とすることもできる。
【0039】
さらに本実施例1では4個の床面洗浄具31を2個づつ互いに反対方向に回転させる機構としているが、主歯車、従歯車、主プーリ、従プーリの歯数を適宜選択することにより、4個の床面洗浄具31の回転数、回転方向を個別に異ならせても同様の発明効果が得られる。
【実施例2】
【0040】
上記実施例1の床面洗浄装置2では、広い洗浄範囲幅の洗浄においてその効果が有効に発揮されるが、洗浄領域幅が600mm未満の比較的狭い場合の電動走行式床面洗浄機1に搭載する床面洗浄装置2としては、実施例1に示した床面洗浄装置2の回転力伝達機構をより簡素にすることができる。
その簡素化された回転力伝達機構について実施例2として
図5と
図6とに基づいて説明する。なお、電動走行式床面洗浄機の走行機構、洗浄液供給機構、汚染洗浄液回収機構、スキージ等は従来技術と同様であるため詳細な記述は省略する。
【0041】
図5は回転する床面洗浄具を4個備えた床面洗浄装置の構成図であり、
図6は
図5に示す床面洗浄装置の回転力伝達機構の平面構成図である。
本実施例2においても
図5、
図6に示すように、実施例1と同様、床面洗浄具31を4個備え、そのうちの2個は時計回り(又は反時計回り)に、他の2個は反時計回り(又は時計回り)に、かつ隣り合う床面洗浄具31は互いに反対方向に回転し、さらに4個の床面洗浄具31は回転主軸27の周りに回転する2重回転機構を備えたものである。
【0042】
図5、
図6では、実施例1で示した部分と名称及び機能が同一のものは実施例1に準じて同一符号として示した。
図5における電動モータ25は平行軸電動モータであり、該電動モータ25は実施例1同様円形基板26に固定されている。主歯車28は電動モータ44のハウジングにボルトで固着され、主歯車28の中心部にはここに挿通される回転主軸27が円滑に回転できるようベアリングが装着されている。そして回転主軸27の先端にはタップ加工され、アーム30を90度間隔で4方向に放射状に取り付けたブラケット44と回転主軸27とがボルトで固着されている。そしてアーム30に垂設された中間回転軸34a、34b、34cにはアイドラー歯車35a、35b、35cが取り付けられている。
即ち
図6に示すように放射状に配設されたV−V方向のアーム30aにはアイドラー歯車35aが、H−H方向のアーム30bにはアイドラー歯車35b、35cが配設され、アイドラー歯車34aの外側にはアーム30aに取り付けられた洗浄具回転軸32に取着された従歯車33aが噛み合うように配設され、アイドラー歯車34cの外側にはアーム30bに取り付けられた洗浄具回転軸32に取着された従歯車33bが配設されている。
そして各洗浄具回転軸32の下端には回転基盤31cがそれぞれ設けられ、該回転基盤31cにはブラケット盤31bにファスナーによって密着固定された洗浄部材31aが装着されている。
なお洗浄液は小径の洗浄液供給パイプ45から床面へ流出させている。
【0043】
本実施例2においても、実施例1と同様、回転力伝達機構により、電動モータ25を作動すると、回転主軸27が回転し、回転主軸27に固着されたアーム30が回転する。アーム30が主歯車28の周りを回転すれば、主歯車28と噛み合ったアイドラー歯車35a、35bが、またアイドラー歯車35a及びアイドラー歯車35cを介してアイドラー歯車35bと噛み合った従歯車33a、33bが回転することにより、従歯車33a、33bに垂設された洗浄具回転軸32に配設された床面洗浄具31が回転する。この場合、実施例1と同様、4個の床面洗浄具31のうちのV−V方向の2個とH−H方向の2個とが、主回転軸27と洗浄具回転軸32との間に介在するアイドラー歯車の数を異ならせているため、それぞれ反対方向に回転する。
本実施例2における回転力伝達機構の構成により、洗浄部材31aとしては8インチ(20mm)径のものが使用でき、洗浄領域幅は509mmとなる。電動モータ25には出力550W、ギアー比は12の平行軸DCギアードモータを用いた。
【0044】
また、主歯車28にはモジュール1.0、歯数96を、V−V方向のアイドラー歯車35b、35cにはそれぞれモジュール1.0、歯数30のものを合計4個、H−H方向のアイドラー歯車35aにはモジュール1.0、歯数90のものを配した。そしてV−V方向の従歯車33bにはモジュール1.0、歯数90のものを、H−H方向の従歯車33aにはモジュール1.0、歯数32のものを配設した。
【0045】
上記の本実施例2の歯車及びプーリの構成により、V−V方向では
(96/30)×(30/90)+1=2.07
一方、H−H方向では、
(96/90)×(90/32)−1=2.00
の回転数比となり、床面に対しほぼ同じ回転数となる。この結果、4つの床面洗浄具31は床面に対しほぼ同一速度での自転回転数と回転主軸周りの回転が同時に得られ、かつ、2個同士の回転方向が逆方向となるため、床面に対する洗浄効果をより高めることができた。
【0046】
実施例1と同様の試験を行った結果、同様の洗浄領域幅の従来の走行式洗浄機に比較し、洗浄領域幅全面にわたり床面の汚れ除去の度合、均一性において優れ、かつ効率的な洗浄作業が実施できた。この効果は実施例1と同様、床面洗浄具31自身が自転しながら回転主軸27の周りを回転する2重回転機構による洗浄力の向上と同時に、電動アクチュエータ3に配設されたコイルスプリング21によって床面洗浄具31の床面への押圧力(面圧)を一定に保持できること、加えて床面の凹凸による押し付け力の前後左右の変動をともに吸収できる機構を備えたことによって得られている。
【0047】
実施例2では、主歯車と従歯車の間にアイドラー歯車を配設しているが、比較的洗浄領域幅が狭い床面洗浄装置の場合にはアイドラー歯車を配設しなくとも、本発明の2重回転機構は得られる。
【0048】
本発明はこれまで記載した実施例に限定されるものではなく、放射状のアームに複数の床面洗浄具を取り付け、該床面洗浄具自身を回転させるとともに、該複数の床面洗浄具の中心に配した垂設された回転主軸の周りを前記複数の床面洗浄具が回転する2重の回転機構を備えたいかなる方法であってよい。