特許第6357039号(P6357039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357039
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/08 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   F16H7/08 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-141181(P2014-141181)
(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公開番号】特開2016-17588(P2016-17588A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小郷 敏孝
(72)【発明者】
【氏名】進木 貴弘
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−536715(JP,A)
【文献】 特開2001−208151(JP,A)
【文献】 特開2005−114002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ収容穴およびラチェット収容溝を有したテンショナボディと、前記プランジャ収容穴に摺動自在に挿入されるプランジャと、前記テンショナボディに支持されるラチェットピンを介して揺動可能な状態で前記ラチェット収容溝に配置されるラチェットとを備えたテンショナであって、
前記テンショナボディは、前記プランジャ収容穴の外周に配置される穴外周壁と、前記ラチェットピンのピン長手方向に離間して配置され、前記ラチェットピンの両端側を支持する一対のピン支持壁とを有し、
前記穴外周壁は、前記プランジャ収容穴の中心を通ってピン長手方向に延びる仮想線と交差する一対の外周壁部分を有し、
前記一対のピン支持壁は、テンショナ取付対象側に面する第1ピン支持壁と、反対側の第2ピン支持壁とを含み、
前記一対の外周壁部分は、前記テンショナ取付対象側に面する第1外周壁部分と、反対側の第2外周壁部分とを含み、
前記第2ピン支持壁の外側面は、前記第2外周壁部分の外側面よりもピン長手方向の内側に形成され、
前記テンショナは、前記第2ピン支持壁の外側面から突出した前記ラチェットピンのピン端部に固定されるストッパレバーを更に備え、
前記第2ピン支持壁の外側面と前記第2外周壁部分の外側面との間のピン長手方向の距離は、前記ストッパレバーのピン長手方向の肉厚よりも長く設定されていることを特徴とするテンショナ。
【請求項2】
前記第1ピン支持壁の外側面は、前記第1外周壁部分の外側面よりもピン長手方向の内側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記一対のピン支持壁の少なくとも一方のピン長手方向の肉厚は、前記外周壁部分の外側面と前記ピン支持壁の内側面との間のピン長手方向の距離の50〜80%の厚みで設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのタイミングシステム等において、伝動ベルトや伝動チェーンに適正な張力を付与するために用いられるテンショナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図10図12に示すように、プランジャ収容穴511およびラチェット収容溝515を有したテンショナボディ510と、プランジャ収容穴511に摺動自在に挿入されるプランジャ520と、テンショナボディ510に支持されたラチェットピン540を介して揺動可能な状態でラチェット収容溝515に配置され、プランジャ520に係合してプランジャ520の収容側への動きを規制するラチェット530とを備えたテンショナ500が広く用いられている(例えば、特許文献1、2、3等参照。)。
【0003】
テンショナボディ510は、図10図12に示すように、プランジャ収容穴511の外周に配置される穴外周壁512と、ラチェットピン540のピン長手方向に離間して配置され、ラチェットピン540の両端側を支持する第1ピン支持壁516および第2ピン支持壁517とを有しており、穴外周壁512は、プランジャ収容穴511の中心を通ってピン長手方向に延びる仮想線Lと交差する位置に第1外周壁部分513および第2外周壁部分514を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−234088号公報
【特許文献2】特開2004−44749号公報
【特許文献3】特開平11−344036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のテンショナ500では、第1ピン支持壁516の外側面が第1外周壁部分513の外側面と面一になるように形成されているとともに、第2ピン支持壁517の外側面が第2外周壁部分514の外側面と面一になるように形成されており、第1外周壁部分513および第2外周壁部分514の肉厚と第1ピン支持壁516および第2ピン支持壁517の肉厚との間の寸法差が大きいため、ラチェット530によるプランジャ520のバックストップ時(プランジャ520の収容側への移動規制時)に、第1外周壁部分513および第2外周壁部分514に応力が集中し、テンショナボディ510の耐久性が損なわれる恐れがある。
【0006】
また、このようなテンショナ500では、図10図12に示すように、プランジャ520の突出を一時的に制止するために、第2ピン支持壁517の外側においてストッパレバー550をラチェットピン540の一端に固定し、このストッパレバー550およびテンショナボディ510にストッパピン551を挿入することで、ラチェット530を制止することが一般に行われる。
【0007】
ところが、従来のテンショナ500では、図10図12に示すように、第2ピン支持壁517の外側面が第2外周壁部分514の外側面に面一になるように形成され、ストッパレバー550が第2外周壁部分514の外側面よりも外側に突出しているため、エンジンフロントケースCを取り付けるにあたって、エンジンフロントケースCをストッパレバー550に干渉しないように設置する必要があり、その結果、ストッパレバー550の分だけ余分にエンジンスペースを大きく確保する必要があった。なお、図12の符号Eは、テンショナ500を取り付けるテンショナ取付対象としてのエンジンブロックを示している。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題を解決するものであって、テンショナボディの耐久性を向上するとともにテンショナボディの軽量化を実現し、しかも、設置スペースを低減するテンショナを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プランジャ収容穴およびラチェット収容溝を有したテンショナボディと、前記プランジャ収容穴に摺動自在に挿入されるプランジャと、前記テンショナボディに支持されるラチェットピンを介して揺動可能な状態で前記ラチェット収容溝に配置されるラチェットとを備えたテンショナであって、前記テンショナボディは、前記プランジャ収容穴の外周に配置される穴外周壁と、前記ラチェットピンのピン長手方向に離間して配置され、前記ラチェットピンの両端側を支持する一対のピン支持壁とを有し、前記穴外周壁は、前記プランジャ収容穴の中心を通ってピン長手方向に延びる仮想線と交差する一対の外周壁部分を有し、前記一対のピン支持壁は、テンショナ取付対象側に面する第1ピン支持壁と、反対側の第2ピン支持壁とを含み、前記一対の外周壁部分は、前記テンショナ取付対象側に面する第1外周壁部分と、反対側の第2外周壁部分とを含み、前記第2ピン支持壁の外側面は、前記第2外周壁部分の外側面よりもピン長手方向の内側に形成され、前記テンショナは、前記第2ピン支持壁の外側面から突出した前記ラチェットピンのピン端部に固定されるストッパレバーを更に備え、前記第2ピン支持壁の外側面と前記第2外周壁部分の外側面との間のピン長手方向の距離は、前記ストッパレバーのピン長手方向の肉厚よりも長く設定されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本請求項1に係る発明によれば、テンショナボディは、プランジャ収容穴の外周に配置される穴外周壁と、ラチェットピンのピン長手方向に離間して配置されラチェットピンの両端側を支持する一対のピン支持壁とを有し、穴外周壁は、プランジャ収容穴の中心を通ってピン長手方向に延びる仮想線と交差する一対の外周壁部分を有し、一対のピン支持壁の外側面の少なくとも一方は、外周壁部分の外側面よりもピン長手方向の内側に形成されていることにより、一対のピン支持壁の少なくとも一方の肉厚を薄くし、ラチェットによるプランジャのバックストップ時(プランジャの収容側への移動規制時)に外周壁部分に集中しがちな応力をピン支持壁に分散させることが可能であるため、テンショナボディの耐久性を向上することができ、また、一対のピン支持壁の少なくとも一方の肉厚を薄くすることにより、テンショナボディの軽量化を図ることができる。
【0011】
本請求項に係る発明によれば、テンショナ取付対象側とは反対側の第2ピン支持壁の外側面が、テンショナ取付対象側とは反対側の第2外周壁部分の外側面よりも、ピン長手方向の内側に形成されていることにより、プランジャ120の突出を一時的に制止するためのストッパレバー等を第2ピン支持壁の外側に配置した場合であっても、第2外周壁部分の外側面より外側へのストッパレバー等の突出を回避する、または、ストッパレバー等の突出量を低減することが可能であるため、テンショナを設置するために必要とされるスペースを低減することができる。
本請求項に係る発明によれば、第2ピン支持壁の外側面と第2外周壁部分の外側面との間のピン長手方向の距離が、ストッパレバーのピン長手方向の肉厚よりも長く設定されていることにより、第2外周壁部分の外側面よりも外側にストッパレバーが突出することを回避することが可能であるため、テンショナを設置するために必要とされるスペースを低減することができる。
本請求項に係る発明によれば、第2ピン支持壁の外側面が第2外周壁部分の外側面よりもピン長手方向の内側に形成されていることに加えて、第1ピン支持壁の外側面についても、第1外周壁部分の外側面よりもピン長手方向の内側に形成されていることにより、ラチェットによるプランジャのバックストップ時に外周壁部分に集中しがちな応力を、第1ピン支持壁および第2ピン支持壁の両方に分散させ、テンショナボディの耐久性をより一層向上させることができるとともに、第1ピン支持壁および第2ピン支持壁の両方の肉厚を薄くすることで、テンショナボディの軽量化をより一層図ることができる。
本請求項に係る発明によれば、一対のピン支持壁の少なくとも一方のピン長手方向の肉厚が、外周壁部分の外側面とピン支持壁の内側面との間のピン長手方向の距離の50〜80%の厚みで設定されていることにより、ラチェットピンを支持するピン支持壁の強度を確保しつつ、ラチェットによるプランジャのバックストップ時の応力をピン支持壁に良好に分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態のテンショナを組み込んだタイミングシステムを示す説明図。
図2】第1実施形態のテンショナを示す斜視図。
図3】第1実施形態のテンショナを上方から見て示す説明図。
図4】第1実施形態のテンショナの取付態様を上方から見て示す説明図。
図5】第1実施形態のテンショナを正面から見て示す説明図。
図6参考例のテンショナを示す斜視図。
図7参考例のテンショナを上方から見て示す説明図。
図8】第実施形態のテンショナを示す斜視図。
図9】第実施形態のテンショナを上方から見て示す説明図。
図10】従来のテンショナを示す斜視図。
図11】従来のテンショナを上方から見て示す説明図。
図12】従来のテンショナの取付態様を上方から見て示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の第1実施形態に係るテンショナ100について、図1図5に基づいて説明する。
【0014】
まず、本実施形態のテンショナ100は、エンジンのタイミングシステム等に用いられるチェーン伝動装置に組み込まれるものであり、図1に示すように、複数のスプロケットS1〜S3に掛け回された伝動チェーンCHの弛み側にテンショナレバーGを介して適正な張力を付与し、走行時に生じる振動を抑止するものである。
【0015】
テンショナ100は、図2図4に示すように、プランジャ収容穴111およびラチェット収容溝115を有したテンショナボディ110と、プランジャ収容穴111に摺動自在に挿入されるプランジャ120と、ラチェット収容溝115に揺動可能に配置されたラチェット130と、プランジャ120を突出方向に付勢する付勢機構(図示しない)と、プランジャ120の突出を一時的に制止するために用いられるストッパレバー150およびストッパピン151とを備えている。
【0016】
テンショナボディ110は、図2図4に示すように、一方が開放した円筒状のプランジャ収容穴111と、プランジャ収容穴111に連続して形成されたラチェット収容溝115とを有している。プランジャ収容穴111の径は、ラチェットピン140のピン長手方向におけるラチェット収容溝115の幅よりも大きい。また、プランジャ収容穴111およびラチェット収容溝115は、そのピン長手方向中央部の、ピン長手方向における位置が互いに一致するように形成されている。
【0017】
テンショナボディ110は、図2図4に示すように、プランジャ収容穴111の外周に配置される穴外周壁112を有しており、この穴外周壁112は、プランジャ収容穴111の中心を通ってピン長手方向に延びる仮想線Lと交差する位置に第1外周壁部分113および第2外周壁部分114を有している。
【0018】
また、テンショナボディ110は、図2図4に示すように、ピン長手方向に離間して配置されラチェットピン140の両端側を支持する一対のピン支持壁116、117を有しており、一対のピン支持壁116、117は、エンジンブロックE側に面する第1ピン支持壁116と反対側の第2ピン支持壁117とを含んでいる。
【0019】
第1ピン支持壁116の外側面は、図2図4に示すように、第1外周壁部分113の外側面と面一に形成され、一方、第2ピン支持壁117の外側面は、第2外周壁部分114の外側面よりもピン長手方向の内側に形成され、換言すると、第2ピン支持壁117の外側面には、第2外周壁部分114の外側面よりもピン長手方向に凹んだ肉抜き部が形成されている。この肉抜き部は、図5に示すように、プランジャ突出方向(図5の上下方向)において、その下端が、ラチェット収容溝115の下端と同じ位置、または、ラチェット収容溝115の下端よりも下方に位置するように形成されている。第2ピン支持壁117のピン長手方向の肉厚は、第2外周壁部分114の外側面と第2ピン支持壁117の内側面との間のピン長手方向の距離の50〜80%の厚みで設定されている。
【0020】
ラチェット130は、図2に示すように、第1ピン支持壁116および第2ピン支持壁117によって回転可能な状態で支持されたラチェットピン140に固定され、ラチェットピン140を介して揺動可能な状態でラチェット収容溝115に配置されている。ラチェット130は、プランジャ120の外周に形成されたラック歯(図示しない)に係合可能な2つのラチェット爪部(図示しない)を有し、ラチェット爪部がプランジャ120のラック歯に係合するように付勢バネ(図示しない)によって付勢され、プランジャ120の収容側への動きを規制する。
【0021】
ストッパレバー150は、図2に示すように、第2外周壁部分114の外側において、第2外周壁部分114の外側面から突出したラチェットピン140のピン端部に固定されている。また、ストッパピン151は、プランジャ120の突出を一時的に制止するものであり、具体的には、ストッパレバー150およびテンショナボディ110に形成された穴に挿入され、ストッパレバー150とラチェットピン140とラチェット130とを制止するものである。ストッパレバー150のピン長手方向の肉厚は、第2ピン支持壁117の外側面と第2外周壁部分114の外側面との間のピン長手方向の距離よりも薄く設定されており、ストッパレバー150およびラチェットピン140のピン端部は、第2外周壁部分114の外側面より外側に突出していない。
【0022】
テンショナ100は、図4に示すように、テンショナボディ110の第1ピン支持壁116および第1外周壁部分113を、テンショナ取付対象であるエンジンブロックEに向けた状態で、テンショナボディ110の取り付け孔118に挿入される取り付けボルト(図示しない)によってエンジンブロックEに取り付けられ、テンショナボディ110の第2ピン支持壁117および第2外周壁部分114側には、エンジンフロントケースCが取り付けられる。
【0023】
次に、本発明の参考例に係るテンショナ200について、図6および図7に基づいて説明する。ここで、本参考例では、テンショナボディのピン支持壁以外の構成については、前述した第1実施形態と全く同じである。そのため、第1実施形態に関する明細書および図面に示す100番台の符号を200番台の符号に読み替えることによって、テンショナボディのピン支持壁以外の構成については、その説明を省略する。
【0024】
本参考例に係るテンショナ200では、図6および図7に示すように、第1ピン支持壁216の外側面が、第1外周壁部分213の外側面よりもピン長手方向の内側に形成され、一方、第2ピン支持壁217の外側面は、第2外周壁部分214の外側面と面一に形成されている。
【0025】
第1ピン支持壁216のピン長手方向の肉厚は、第1外周壁部分213の外側面と第1ピン支持壁216の内側面との間のピン長手方向の距離の50〜80%の厚みで設定されている。
【0026】
次に、本発明の第実施形態に係るテンショナ300について、図8および図9に基づいて説明する。ここで、第実施形態では、テンショナボディのピン支持壁以外の構成については、前述した第1実施形態と全く同じである。そのため、第1実施形態に関する明細書および図面に示す100番台の符号を300番台の符号に読み替えることによって、テンショナボディのピン支持壁以外の構成については、その説明を省略する。
【0027】
実施形態に係るテンショナ300では、図8および図9に示すように、第1ピン支持壁316の外側面が、第1外周壁部分313の外側面よりもピン長手方向の内側に形成され、また、同様に、第2ピン支持壁317の外側面についても、第2外周壁部分314の外側面よりもピン長手方向の内側に形成されている。
【0028】
第1ピン支持壁316のピン長手方向の肉厚は、第1外周壁部分313の外側面と第1ピン支持壁316の内側面との間のピン長手方向の距離の50〜80%の厚みで設定され、また、第2ピン支持壁317のピン長手方向の肉厚は、第2外周壁部分314の外側面と第2ピン支持壁317の内側面との間のピン長手方向の距離の50〜80%の厚みで設定されている。
【0029】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、テンショナが自動車エンジン用のタイミングシステムに組み込まれるものとして説明したが、テンショナの具体的用途はこれに限定されない。
また、上述した実施形態では、テンショナがテンショナレバーを介して伝動チェーンに張力を付与するものとして説明したが、プランジャの先端で直接的に伝動チェーンの摺動案内を行い、伝動チェーンに張力を付与するようにしてもよい。
さらに、伝動チェーンによる伝動機構に限らず、ベルト、ロープ等の類似の伝動機構に適用されてもよく、長尺物に張力を付与することが求められる用途であれば、種々の産業分野において利用可能である。
また、上述した実施形態では、テンショナをエンジンブロックに取り付ける時にプランジャの突出を一時的に制止するために、ストッパレバーおよびストッパピンが設けられているが、プランジャの突出を一時的に制止する手段の具体的態様はこれに限定されず、例えば、ストッパピンをラチェットに対して直接的に係合させ、ラチェットを一時的に制止するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
100、200、300、500 ・・・ テンショナ
110、210、310、510 ・・・ テンショナボディ
111、211、311、511 ・・・ プランジャ収容穴
112、212、312、512 ・・・ 穴外周壁
113、213、313、513 ・・・ 第1外周壁部分
114、214、314、514 ・・・ 第2外周壁部分
115、215、315、515 ・・・ ラチェット収容溝
116、216、316、516 ・・・ 第1ピン支持壁
117、217、317、517 ・・・ 第2ピン支持壁
118、218、318 ・・・ 取り付け孔
120、220、320、520 ・・・ プランジャ
130、230、330、530 ・・・ ラチェット
140、240、340、540 ・・・ ラチェットピン
150、250、350、550 ・・・ ストッパレバー
151、251、351、551 ・・・ ストッパピン
E ・・・ エンジンブロック(テンショナ取付対象)
C ・・・ エンジンフロントケース
L ・・・ 仮想線
CH ・・・ 伝動チェーン
G ・・・ テンショナレバー
S1〜S3 ・・・ スプロケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12