【実施例】
【0019】
つぎに本発明の実施例を説明する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、当該実施例に係るワーク品目識別装置1は、検査対象であるワーク(物品)wの品目を予め登録(記憶)した複数種類の品目の中から識別する装置である。ワークwは、所定の内径寸法d
1、外径寸法d
2及び高さ寸法tを備えるリング状のワークとされ、具体的にはゴム状弾性体よりなるパッキンなどとされ、このワークwが
図4(A)の表図に示す4種類の品目「BR1111」「BR2222」「BR3333」及び「BR4444」のうちの何れに属するかを識別(判別)することになる。
【0021】
ワーク品目識別装置1は、投光装置11、撮像装置21及び画像処理装置31を備えている。
【0022】
投光装置11は、ワークwが搬送面上にその高さ方向を垂直な向きに向けて配置されることを前提として、ワークwに対しその高さ方向一方(上方)からLED光(図示せず)を照射するリング状のLED光源12と、ワークwに対しその斜めの方向(斜め上方)から線状のレーザ光Lを照射するレーザ光源13とを有し、更にこれらの支持部や作動制御部などを有している。
【0023】
撮像装置21は、ワークwをその高さ方向一方から撮像するカメラ(TVカメラ)22を有し、更にその支持部や作動制御部などを有している。カメラ22は、LED光源12からLED光を照射しながらワークwを撮像し、またレーザ光源13からレーザ光Lを照射しながらワークwを撮像し、これらの撮像情報(画像情報)を画像処理装置31へ出力する。
【0024】
図2に示すように、画像処理装置31は、画像情報変換手段32、ワーク寸法計測手段33、第2画像情報変換手段34、ワーク寸法算出手段35及び比較手段36を有している。
【0025】
画像情報変換手段32は、LED光源12からLED光を照射しながらカメラ22で撮像したワークw及びその周辺画像を、その画像上の濃淡(明暗)分布から、ワークwである部分とワークwでない部分とに区別可能なしきい値で二値化した画像信号に変換し、出力する。
【0026】
ワーク寸法計測手段33は、上記二値化した画像信号を受け、これを元にワークwの輪郭形状を特定し、ワークwの内径寸法d
1及び外径寸法d
2を計測し、出力する。
【0027】
第2画像情報変換手段34は、レーザ光源13からレーザ光Lを照射しながらカメラ22で撮像したワークw及びその周辺画像を、その画像上の濃淡(明暗)分布から、レーザ光を照射した部分とレーザ光を照射していない部分とに区別可能なしきい値で二値化した画像信号に変換し、出力する。
【0028】
ワーク寸法算出手段35は、上記二値化した画像信号を受け、レーザ光Lを照射した部分を示す画像信号の変位距離を測定し、三角法による演算によりワークwの高さ寸法tを算出し、出力する。すなわち
図3(A)(B)に示すように、ワークwに対しレーザ光源13から斜めの方向に線状のレーザ光Lを照射すると、ワークwに対しレーザ光Lが照射された部位L
1と、ワーク載置面に対しレーザ光Lが照射された部位L
2とでは、レーザ光Lを照射した部分を示す画像信号の発信位置が平面上変位し、その変位の大きさは両部位L
1,L
2の高さ位置の相違にしたがって比例的に変化するので、測定した変位距離Gにもとづいて三角法による演算処理によってワークwの高さ寸法tを算出する(t=G・sinθ(θ:レーザ光Lの入射角度))。
【0029】
比較手段36は、上記計測・算出したワークwの内外径寸法d
1,d
2及び高さ寸法tと予め装置31に記憶した複数種類の品目における各内外径寸法及び高さ寸法とを比較することによりワークwが属する品目を特定し、出力する。
【0030】
このため、装置31は別途、品目情報の記憶手段37を有し、ここに
図4(A)の表図に示す4種類の品目「BR1111」「BR2222」「BR3333」及び「BR4444」に係る各内外径寸法及び高さ寸法情報を記憶し、上記計測・算出したワークwの内外径寸法d
1,d
2及び高さ寸法tとこれら記憶した内外径寸法及び高さ寸法とを比較し、最も近いものを選定し、ワークwが4種類の品目のうちの何れに属するかを判別する。
【0031】
尚、この判別に際して、比較手段36は、ワーク寸法計測手段33で計測したワークwの内径寸法d
1と予め記憶した複数種類の品目における各内径寸法とを比較することにより、ワークwの内径寸法d
1に近い内径寸法を備える品目を抽出する。また、ワーク寸法計測手段33で計測したワークwの外径寸法d
2と予め記憶した複数種類の品目における各外径寸法とを比較することによりワークwの外径寸法d
2に近い外径寸法を備える品目を抽出する。また、ワーク寸法算出手段35で算出したワークwの高さ寸法tと予め記憶した複数種類の品目における各高さ寸法とを比較することによりワークwの高さ寸法tに近い高さ寸法を備える品目を抽出する。
【0032】
寸法が近いと判断する基準・条件としては所定のしきい値を予め設定し、例えば寸法差が±5mm以内のときに寸法が近いと判断する(しきい値は変更可能とする)。
【0033】
そして、上記3回に亙る各抽出によるヒット数が最も多い品目をワークwが属する品目として特定し、特定した品目コードを出力し、表示する。
【0034】
一層具体的には、
図4(A)に示すように、品目「BR1111」の内径寸法が50mm、外径寸法が124mm、高さ寸法が10mmとする。品目「BR2222」の内径寸法が103mm、外径寸法が200mm、高さ寸法が20mmとする。品目「BR3333」の内径寸法が100mm、外径寸法が125mm、高さ寸法が20mmとする。品目「BR4444」の内径寸法が105mm、外径寸法が123mm、高さ寸法が10mmとする。一方、上記計測・算出したワークwの内径寸法d
1が103mm、外径寸法d
2が123mm、高さ寸法tが10mmとする。
【0035】
この場合、比較手段36は
図4(B)に示すように、ワークwの内径寸法d
1:103mmと、予め記憶した品目「BR1111」の内径寸法:50mm、品目「BR2222」の内径寸法:103mm、品目「BR3333」の内径寸法:100mm、品目「BR4444」の内径寸法:105mmとを比較し、ワークwの内径寸法d
1に近い内径寸法を備える品目として、品目「BR2222」、品目「BR3333」及び品目「BR4444」を抽出する。
【0036】
また、ワークwの外径寸法d
2:123mmと、予め記憶した品目「BR1111」の外径寸法:124mm、品目「BR2222」の外径寸法:200mm、品目「BR3333」の外径寸法:125mm、品目「BR4444」の外径寸法:123mmとを比較し、ワークwの外径寸法d
2に近い外径寸法を備える品目として、品目「BR1111」、品目「BR3333」及び品目「BR4444」を抽出する。
【0037】
また、ワークwの高さ寸法t:10mmと、予め記憶した品目「BR1111」の高さ寸法:10mm、品目「BR2222」の高さ寸法:20mm、品目「BR3333」の高さ寸法:20mm、品目「BR4444」の高さ寸法:10mmとを比較し、ワークwの高さ寸法tに近い外径寸法を備える品目として、品目「BR1111」及び品目「BR4444」を抽出する。
【0038】
そして、これらの抽出結果からして、品目「BR1111」及び「BR3333」はヒット数が各2回、品目「BR2222」はヒット数が1回であるのに対し、品目「BR4444」はヒット数が3回と最も多いので、この品目「BR4444」をワークwが属する品目として特定する。ちなみに、上記した従来技術では、「BR3333」と「BR4444」の区別がつかず、正常な判別をすることができない。
【0039】
また、品目識別の手順としては、
図5に示すように、開始後、ワークwに対してLED光源12からLED光を照射し(STEP101)、この状態でカメラ22で1回目撮影を行い(STEP102)、照射を停止する(STEP103)。次いで、ワークwに対しレーザ光源13からレーザ光Lを照射し(STEP104)、この状態でカメラ22で2回目撮影を行い(STEP105)、照射を停止する(STEP106)。次いで、画像処理装置31の画像情報変換手段32及びワーク寸法計測手段33にて画像処理を行ってワークwの内外径寸法d
1,d
2を計測し(STEP107)、同じく第2画像情報変換手段34及びワーク寸法算出手段35にて画像処理を行ってワークwの高さ寸法tを算出する(STEP108)。次いで、比較手段36にて品目判別処理を行ってワークwが属する品目を特定し(STEP109)、その結果を出力する(STEP110)。STEP101〜103とSTEP104〜106の順序は反対であっても良く、STEP107とSTEP108の順序は反対であっても良い。