特許第6357064号(P6357064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357064パターン形成装置およびパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357064
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】パターン形成装置およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-200521(P2014-200521)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-72434(P2016-72434A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中井 一博
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−329950(JP,A)
【文献】 特開2012−079739(JP,A)
【文献】 特開2007−220986(JP,A)
【文献】 特開平11−168053(JP,A)
【文献】 特開2000−228347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方側の主面に形成された複数のアライメントマークの位置情報に基づいて、前記主面にパターンを形成するパターン形成装置であって、
前記基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持される前記基板の前記主面に形成された前記複数のアライメントマークの少なくとも一部を撮像する撮像部と、
前記複数のアライメントマークのうち前記撮像部によって撮像された第1群のアライメントマークの第1位置情報から、前記第1群のアライメントマークよりも前記主面の周縁側に位置する第2群のアライメントマークの第2位置情報を演算して予測する演算部と、
前記主面にパターンを形成するパターン形成部と、
前記第2群のアライメントマークの少なくとも1つについてあらかじめ設定された撮像予想位置へ前記撮像部と前記基板とを相対移動させる移動機構と、
を備え、
前記撮像予想位置へ移動された前記撮像部の撮像視野に前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが含まれない場合、
前記演算部によって予測された前記第2位置情報の予測値を参照して前記撮像部が第2位置情報の実測値を取得した後、
前記パターン形成部は前記第2位置情報の実測値に応じて前記主面にパターンを形成し、
前記撮像予想位置へ移動された前記撮像部の撮像視野に前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが含まれる場合、前記パターン形成部は当該撮像視野から得られる前記第2群のアライメントマークの少なくとも1つの実測値を含む前記第2位置情報の実測値に応じて前記主面にパターンを形成する
ことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン形成装置であって、
前記第1群のアライメントマークは、前記主面の中央に位置する中央アライメントマーク、および、該中央アライメントマークに隣接するアライメントマークを含むことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパターン形成装置であって、
前記基板は、転写用基板上に形成された機能層の積層体が製品用基板の基層の前記一方側の主面上に反転転写されて形成されていることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパターン形成装置であって、
前記第2群のアライメントマークの数が、前記第1群のアライメントマークの数よりも多いことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパターン形成装置であって、
前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、
前記露光パターンの形成は、描画データに基づいて空間変調された光を光学ヘッドから前記主面に上に照射しつつ、前記光学ヘッドと前記基板の前記主面とを相対移動させて行われることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載のパターン形成装置であって、
前記描画データは、設計データに対して前記第2位置情報の実測値に応じたデータ処理が施されて生成されることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパターン形成装置であって、
前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、
前記露光パターンの形成は、マスクを介して前記主面に選択的に面状光を照射するマスク露光によって実行されることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載のパターン形成装置であって、
共通の基準パターンに基づいてあらかじめ準備された複数のマスクのうち一のマスクが前記第2位置情報の実測値に応じて選択されて、前記パターンの形成が実行されることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項9】
基板の一方側の主面に形成された複数のアライメントマークの位置情報に基づいて、前記主面にパターンを形成するパターン形成方法であって、
前記基板を保持する保持工程と、
保持される前記基板の前記主面に形成された第1群のアライメントマークを撮像部によって撮像して、第1位置情報の実測値を取得する第1撮像工程と、
前記第1撮像工程で取得された前記第1位置情報の前記実測値を基に、前記第1群のアライメントマークよりも前記主面の周縁側に位置する第2群のアライメントマークの第2位置情報の予測値を生成する予測工程と、
前記第2位置情報の前記予測値を参照して、保持される前記基板の前記主面に形成された前記第2群のアライメントマークを撮像し、前記第2位置情報の実測値を取得する第2撮像工程と、
前記第2位置情報の実測値を基に前記主面にパターンを形成するパターン形成工程と、
を備え
前記第1撮像工程に先立って行われる工程として、前記第2群のアライメントマークの少なくとも1つについてあらかじめ設定された撮像予想位置へ前記撮像部と前記基板とを相対移動させ、前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが前記撮像部の撮像視野に含まれるか否かを確認する確認工程、
を備え、
前記確認工程において前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが前記撮像視野に含まれないと判定された場合には、前記第1撮像工程、前記予測工程、および前記第2撮像工程を経由してから、前記パターン形成工程を実行し、
前記確認工程において前記第2群のアライメントマークが前記撮像視野に含まれると判定された場合には、前記第1撮像工程、前記予測工程、および前記第2撮像工程を省略して、前記確認工程中で得た前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つの実測値を含む前記第2位置情報の実測値を基に前記パターン形成工程を実行することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載のパターン形成方法であって、
前記第1群のアライメントマークは、前記主面の中央に位置する中央アライメントマーク、および、該中央アライメントマークに隣接するアライメントマークを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のパターン形成方法であって、
前記基板は、転写用基板上に形成された機能層の積層体が製品用基板の基層の前記一方側の主面上に反転転写されて形成されていることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項12】
請求項9ないし請求項11のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
前記第2群のアライメントマークの数が、前記第1群のアライメントマークの数よりも多いことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、
前記パターン形成工程は、描画データに基づいて空間変調された光を光学ヘッドから前記主面に上に照射しつつ、前記光学ヘッドと前記基板の前記主面とを相対移動させて行われることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
請求項13に記載のパターン形成方法であって、
前記描画データは、設計データに対して前記第2位置情報の実測値に応じたデータ処理が施されて生成されることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項15】
請求項9ないし請求項12のいずれかに記載のパターン形成方法であって、
前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、
前記パターン形成工程は、マスクを介して前記主面に選択的に面状光を照射するマスク露光によって実行されることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項16】
請求項15に記載のパターン形成方法であって、
共通の基準パターンに基づいてあらかじめ準備された複数のマスクのうち一のマスクが前記第2位置情報の実測値に応じて選択されて、前記パターン形成工程が実行されることを特徴とするパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一方側の主面に形成された複数のアライメントマークの位置情報に基づいて前記主面にパターンを形成するパターン形成装置およびパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン形成技術として、処理対象である基板の主面に対して露光によってパターン形成する技術や、処理対象である基板の主面に対して電子ビームなどの荷電粒子線を照射することによってパターン形成する技術が知られている。
【0003】
例えば、描画対象である基板の主面に露光用光を走査しつつ照射することによって、上記主面に所望の露光パターンを描画する直接描画技術が知られている(特許文献1、2)。また、別の例として、マスクを介して基板の主面に選択的に面状光を照射するマスク露光によってパターンを形成するマスク露光技術が知られている。
【0004】
例えば、直接描画装置では、通常、特定のパターンを含む設計データから変換された描画データに従って装置各部が制御されて、パターン形成処理が実行される。設計データは、変形の生じていない基板が基板保持部の理想的な位置に保持された場合を前提に作成される。しかしながら、処理対象となる基板が基板保持部の理想位置に配置されているとは限らない。また、処理対象となる基板においては、そり、ゆがみ、或いは歪などの変形が生じていることがある。このため、設計データから変換された描画データをそのまま用いて描画処理を実行したとしても、十分な描画品質が得られない場合がある。
【0005】
そこで、この種の装置では、一般に、パターン形成処理に先立って、アライメント処理が実行される。アライメント処理では、基板保持部に保持される基板の位置ずれや基板の変形にかかる情報を取得し、該位置ずれや変形を是正する。
【0006】
アライメント処理では、まず、撮像部が基板の主面を撮像することにより、該主面に形成された複数のアライメントマークの位置情報が取得される。これにより、基板の位置情報や形状情報が取得される。
【0007】
次に、上記位置情報や形状情報を考慮して、基板の位置ずれや基板の変形を是正する。この態様としては、上記位置情報や形状情報を考慮してデータ処理を行うことで上記是正を行う態様、上記位置情報や形状情報を考慮して基板の移動やマスクの選択など機構的な処理を行うことで上記是正を行う態様、或いは、上記位置情報や形状情報を考慮してデータ処理と機構的な処理とを組み合わせることで上記是正を行う態様、などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5496041号公報
【特許文献2】特開2008−249958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、基板保持部に保持される基板の位置ずれが大きい場合や基板の変形が大きい場合には基板主面上でのアライメントマークの変位量も大きくなり、特定のアライメントマークについて撮像を行おうとしても、撮像部の撮像視野に該アライメントマークが含まれないという事態が生じる。
【0010】
この場合に、上記アライメントマークが撮像視野に含まれるまで手掛かりなく試行錯誤的に基板と撮像部とを相対移動させるとなると、装置のスループットが低下することとなる。
【0011】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、アライメント処理におけるスループットを向上することができるパターン形成装置およびパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様にかかるパターン形成装置は、基板の一方側の主面に形成された複数のアライメントマークの位置情報に基づいて、前記主面にパターンを形成するパターン形成装置であって、前記基板を保持する保持部と、前記保持部に保持される前記基板の前記主面に形成された前記複数のアライメントマークの少なくとも一部を撮像する撮像部と、前記複数のアライメントマークのうち前記撮像部によって撮像された第1群のアライメントマークの第1位置情報から、前記第1群のアライメントマークよりも前記主面の周縁側に位置する第2群のアライメントマークの第2位置情報を演算して予測する演算部と、前記主面にパターンを形成するパターン形成部と、前記第2群のアライメントマークの少なくとも1つについてあらかじめ設定された撮像予想位置へ前記撮像部と前記基板とを相対移動させる移動機構と、を備え、前記撮像予想位置へ移動された前記撮像部の撮像視野に前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが含まれない場合、前記演算部によって予測された前記第2位置情報の予測値を参照して前記撮像部が第2位置情報の実測値を取得した後、前記パターン形成部は前記第2位置情報の実測値に応じて前記主面にパターンを形成し、前記撮像予想位置へ移動された前記撮像部の撮像視野に前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが含まれる場合、前記パターン形成部は当該撮像視野から得られる前記第2群のアライメントマークの少なくとも1つの実測値を含む前記第2位置情報の実測値に応じて前記主面にパターンを形成することを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の態様にかかるパターン形成装置は、本発明の第1の態様にかかるパターン形成装置であって、前記第1群のアライメントマークは、前記主面の中央に位置する中央アライメントマーク、および、該中央アライメントマークに隣接するアライメントマークを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の態様にかかるパターン形成装置は、本発明の第1の態様または第2の態様にかかるパターン形成装置であって、前記基板は、転写用基板上に形成された機能層の積層体が製品用基板の基層の前記一方側の主面上に反転転写されて形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の態様にかかるパターン形成装置は、本発明の第1の態様ないし第3の態様のいずれかにかかるパターン形成装置であって、前記第2群のアライメントマークの数が、前記第1群のアライメントマークの数よりも多いことを特徴とする。
【0016】
本発明の第5の態様にかかるパターン形成装置は、本発明の第1の態様ないし第4の態様のいずれかにかかるパターン形成装置であって、前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、前記露光パターンの形成は、描画データに基づいて空間変調された光を光学ヘッドから前記主面に上に照射しつつ、前記光学ヘッドと前記基板の前記主面とを相対移動させて行われることを特徴とする。
【0017】
本発明の第6の態様にかかるパターン形成装置は、本発明の第5の態様にかかるパターン形成装置であって、前記描画データは、設計データに対して前記第2位置情報の実測値に応じたデータ処理が施されて生成されることを特徴とする。
【0018】
本発明の第7の態様にかかるパターン形成装置は、本発明の第1の態様ないし第4の態様のいずれかにかかるパターン形成装置であって、前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、前記露光パターンの形成は、マスクを介して前記主面に選択的に面状光を照射するマスク露光によって実行されることを特徴とする。
【0019】
本発明の第8の態様にかかるパターン形成装置は、本発明の第7の態様にかかるパターン形成装置であって、共通の基準パターンに基づいてあらかじめ準備された複数のマスクのうち一のマスクが前記第2位置情報の実測値に応じて選択されて、前記パターンの形成が実行されることを特徴とする。
【0020】
本発明の第9の態様にかかるパターン形成方法は、基板の一方側の主面に形成された複数のアライメントマークの位置情報に基づいて、前記主面にパターンを形成するパターン形成方法であって、前記基板を保持する保持工程と、保持される前記基板の前記主面に形成された第1群のアライメントマークを撮像部によって撮像して、第1位置情報の実測値を取得する第1撮像工程と、前記第1撮像工程で取得された前記第1位置情報の前記実測値を基に、前記第1群のアライメントマークよりも前記主面の周縁側に位置する第2群のアライメントマークの第2位置情報の予測値を生成する予測工程と、前記第2位置情報の前記予測値を参照して、保持される前記基板の前記主面に形成された前記第2群のアライメントマークを撮像し、前記第2位置情報の実測値を取得する第2撮像工程と、前記第2位置情報の実測値を基に前記主面にパターンを形成するパターン形成工程と、を備え、前記第1撮像工程に先立って行われる工程として、前記第2群のアライメントマークの少なくとも1つについてあらかじめ設定された撮像予想位置へ前記撮像部と前記基板とを相対移動させ、前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが前記撮像部の撮像視野に含まれるか否かを確認する確認工程、を備え、前記確認工程において前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つが前記撮像視野に含まれないと判定された場合には、前記第1撮像工程、前記予測工程、および前記第2撮像工程を経由してから、前記パターン形成工程を実行し、前記確認工程において前記第2群のアライメントマークが前記撮像視野に含まれると判定された場合には、前記第1撮像工程、前記予測工程、および前記第2撮像工程を省略して、前記確認工程中で得た前記第2群のアライメントマークの前記少なくとも1つの実測値を含む前記第2位置情報の実測値を基に前記パターン形成工程を実行することを特徴とする。
【0022】
本発明の第10の態様にかかるパターン形成方法は、本発明の第9の態様にかかるパターン形成方法であって、前記第1群のアライメントマークは、前記主面の中央に位置する中央アライメントマーク、および、該中央アライメントマークに隣接するアライメントマークを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の第11の態様にかかるパターン形成方法は、本発明の第9の態様または10の態様にかかるパターン形成方法であって、前記基板は、転写用基板上に形成された機能層の積層体が製品用基板の基層の前記一方側の主面上に反転転写されて形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の第12の態様にかかるパターン形成方法は、本発明の第9の態様ないし第11の態様のいずれかにかかるパターン形成方法であって、前記第2群のアライメントマークの数が、前記第1群のアライメントマークの数よりも多いことを特徴とする。
【0025】
本発明の第13の態様にかかるパターン形成方法は、本発明の第9の態様ないし第12の態様のいずれかにかかるパターン形成方法であって、前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、前記パターン形成工程は、描画データに基づいて空間変調された光を光学ヘッドから前記主面に上に照射しつつ、前記光学ヘッドと前記基板の前記主面とを相対移動させて行われることを特徴とする。
【0026】
本発明の第14の態様にかかるパターン形成方法は、本発明の第13の態様にかかるパターン形成方法であって、前記描画データは、設計データに対して前記第2位置情報の実測値に応じたデータ処理が施されて生成されることを特徴とする。
【0027】
本発明の第15の態様にかかるパターン形成方法は、本発明の第9の態様ないし第12の態様のいずれかにかかるパターン形成方法であって、前記パターンの形成は、前記基板の前記主面への露光パターンの形成であり、前記パターン形成工程は、マスクを介して前記主面に選択的に面状光を照射するマスク露光によって実行されることを特徴とする。
【0028】
本発明の第16の態様にかかるパターン形成方法は、本発明の第15の態様にかかるパターン形成方法であって、共通の基準パターンに基づいてあらかじめ準備された複数のマスクのうち一のマスクが前記第2位置情報の実測値に応じて選択されて、前記パターン形成工程が実行されることを特徴とする。

【発明の効果】
【0029】
本発明の各態様では、まず、基板の主面に形成される複数のアライメントマークのうち第1群のアライメントマークについて撮像を行う。基板の位置ずれや基板の変形に起因したアライメントマークの理想状態からの変位量は、一般に基板の周縁側に位置するアライメントマーク(第2群のアライメントマーク)で相対的に大きく基板の中央側に位置するアライメントマーク(第1群のアライメントマーク)で相対的に小さい。これは、基板が理想の回転位置からある角度だけ回転して基板保持部に保持されたときに基板の中心からの径が大きくなるにつれて回転変位量が大きくなることや、基板がひずんでいるときに基板の中心からの距離が大きくなるにつれてひずみ量が大きくなることによるものである。本発明では、上記の通りまず基板の中央側に位置する第1群のアライメントマークについて撮像を行うため、撮像対象のアライメントマークが撮像視野に含まれやすく、より短時間で第1位置情報の実測値が取得される。
【0030】
次に、第1位置情報の実測値を基に第2群のアライメントマークの第2位置情報の予測値を生成する。そして、第2位置情報の予測値を参照して撮像部が第2群のアライメントマークを撮像し、第2位置情報の実測値が取得される。このため、本発明の各態様では、上記予測値を用いない他の態様に比べてより短時間で第2位置情報の実測値が取得される。
【0031】
そして、第2位置情報の実測値に応じて、基板の主面にパターン形成処理が行われる。このため、本発明の各態様では、第1位置情報の実測値に応じてパターン形成処理が行われる他の態様に比べて、基板の主面全体における位置情報や形状情報を考慮したパターン形成処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】描画装置100の側面図である。
図2】描画装置100の上面図である。
図3】描画装置100における全体処理の流れを示すフロー図である。
図4】描画装置100におけるアライメント処理の流れを示すフロー図である。
図5】基板Wの上面とアライメントカメラ60の撮像視野65とを示す上面図である。
図6】基板Wの上面とアライメントカメラ60の撮像視野65とを示す上面図である。
図7】基板Wの上面とアライメントカメラ60の撮像視野65とを示す上面図である。
図8】基板Wの上面とアライメントカメラ60の撮像視野65とを示す上面図である。
図9】基板Wの上面とアライメントカメラ60の撮像視野65とを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。同様な構成および機能を有する部分には図面中で同じ符号が付され、重複説明が省略される。また、図面では、理解容易のため各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、図1および図2には、各部の方向関係を明確にするためZ方向を鉛直方向としXY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
【0034】
<1 実施形態>
<1.1 描画装置100の全体構成>
図1は、実施形態に係る描画装置の一例として描画装置100の構成例を示す側面図である。図2は、図1の描画装置100の構成例を示す上面図である。
【0035】
描画装置100は、感光材料が表面に付与された半導体基板やガラス基板等の基板Wの一方側主面に空間変調された光を照射してパターンを描画する直接描画装置である。ここで、基板Wとは、基層のみからなる単層基板と、基層の少なくとも一方側主面に機能層が積層された積層基板と、の双方を含む概念である。以下では、一例として、描画装置100が円形の積層基板Wの主面にパターンを描画する態様について説明する。
【0036】
描画装置100は、本体フレーム101に対してカバー102が取り付けられて形成される空間の内部に該装置の主たる構成を有する本体部105と、本体部105の外側(図1に示すように本体部105の右手側)に配される基板収納カセット110と、制御部70と、を備える。
【0037】
また、描画装置100の外部装置であるパターン設計装置150は、描画装置100の制御部70と通信回線によって接続されており、制御部70との間で各種データ(例えば、露光パターンをCAD用のフォーマットで表現する設計データ)の授受が可能に構成されている。
【0038】
<1.2 各部の構成>
<1.2.1 本体部105>
本体部105は、露光処理に係る処理部106として、基板Wを水平姿勢で保持するステージ10(保持部)と、ステージ10を移動させるステージ移動機構20と、ステージ10の位置に対応した位置パラメータを計測する位置パラメータ計測機構30と、基板Wの上面にパルス光を照射する光学ヘッド部50(パターン形成部)と、アライメントカメラ60(撮像部)と、を備えている。
【0039】
また、本体部105は、搬送ロボット120を備える。搬送ロボット120は、処理部106よりも+Y側に配され、処理部106と基板収納カセット110との間で基板Wの受渡しを行うロボットである。搬送ロボット120は、基板収納カセット110に収納される未処理の基板Wを基板収納カセット110から受取り、本体部105に渡す。また、搬送ロボット120は、処理部106での露光処理を施された処理済みの基板Wを処理部106から受取り、基板収納カセット110に渡す。
【0040】
処理部106のうち下方部分には、処理部106の各部を支持する基台130が配される。基台130上の+Y側の位置に、処理部106と搬送ロボット120との間で基板Wの受け渡しを行う基板受渡領域が設定されている。また、基台130上のY方向中央側の位置に、基板Wへのパターン描画を行うパターン描画領域が設定されている。また、基台130上の−Y側の位置に、基板Wの上面を撮像する撮像領域が設定されている。
【0041】
ヘッド支持部140は、基台130から上方に立設された2本の脚部材141と、2本の脚部材141のよりも−Y側で基台130から上方に立設される2本の脚部材142と、を備えている。また、ヘッド支持部140は、2本の脚部材141の頂部の間を橋渡しするように設けられた梁部材143と、2本の脚部材142の頂部の間を橋渡しするように設けられた梁部材144と、を備えている。そして、梁部材143の+Y側には光学ヘッド部50が取付けられ、梁部材143の−Y側にアライメントカメラ60が取付けられている。
【0042】
アライメントカメラ60は、その下方位置を撮像する撮像部であり、ステージ10に保持搬送されてアライメントカメラ60の下方位置にくる基板Wの上面を撮像する。基板Wの上面には、基板Wの位置情報(基板Wの回転やオフセット等の情報)および基板Wの形状情報(基板Wのひずみ等の情報)を検出するために用いられる複数のアライメントマークMaが形成されている(図5)。アライメントカメラ60は複数のアライメントマークMaの少なくとも一部を撮像し、その撮像データを生成する。生成された撮像データは、制御部70に送信される。制御部70は、受信した撮像データを基に基板Wの位置情報および形状情報を検出し、検出された位置情報および形状情報を参照しつつ装置各部を制御する。
【0043】
なお、基板WにおけるアライメントマークMaの形成態様は、その位置を正確に特定できる限りにおいて種々の態様を採用しうる。例えば、貫通孔など、機械的加工により形成されたアライメントマークMaを利用する態様であってもよいし、印刷プロセスやフォトリソグラフィープロセスなどによってパターニングされたアライメントマークMaを用いる態様であってもよい。本実施形態では、上面視において十字型で示される位置決めマークをアライメントマークMaとしている(図5)。また、本実施形態では基板Wの上面に形成されるアライメントマークMaの個数を21個としているが、この個数も適宜に設定可能である。
【0044】
ステージ10は、円筒状の外形を有し、その上面に基板Wを水平姿勢に載置して保持するための保持部である。ステージ10の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。このため、ステージ10上に基板Wが載置されると、基板Wは複数の吸引孔の吸引圧によりステージ10の上面に吸着固定される。
【0045】
ステージ移動機構20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22と、支持プレート22を副走査方向に移動させる副走査機構23と、副走査機構23を介して支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25と、を有している。
【0046】
回転機構21は、ステージ10の内部に取り付けられた回転子により構成されたモータを有している。また、ステージ10の中央部下面側と支持プレート22との間には回転軸受機構が設けられている。このため、モータを動作させると、回転子がθ方向(Z軸周りの回転方向)に移動し、回転軸受機構の回転軸を中心としてステージ10が回転する。
【0047】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子とベースプレート24の上面に敷設された固定子とにより副走査方向の推進力を発生させるリニアモータ23aを有している。また、副走査機構23は、ベースプレート24に対して支持プレート22を副走査方向に沿って案内する一対のガイドレール23bを有している。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイドレール23bに沿って支持プレート22およびステージ10が副走査方向(X方向)に移動する。
【0048】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子とヘッド支持部140の上面に敷設された固定子とにより主走査方向の推進力を発生させるリニアモータ25aを有している。また、主走査機構25は、ヘッド支持部140に対してベースプレート24を主走査方向に沿って案内する一対のガイドレール25bを有している。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台130上のガイドレール25bに沿ってベースプレート24、支持プレート22、およびステージ10が主走査方向(Y方向)に移動する。なお、このようなステージ移動機構20としては、種々のX−Y−θ軸移動機構を用いることができる。
【0049】
位置パラメータ計測機構30は、レーザ光の干渉を利用してステージ10の位置パラメータを計測する機構である。位置パラメータ計測機構30は、主として、レーザ光出射部31、ビームスプリッタ32、ビームベンダ33、第1の干渉計34、および第2の干渉計35を有する。
【0050】
レーザ光出射部31は、計測用のレーザ光MLを出射するための光源装置である。レーザ光出射部31は、基台130や光学ヘッド部50に対して固定された位置に設けられる。レーザ光出射部31から出射されたレーザ光MLは、まず、ビームスプリッタ32に入射し、ビームスプリッタ32からビームベンダ33へ向かう第1の分岐光ML1と、ビームスプリッタ32から第2の干渉計35へ向かう第2の分岐光ML2とに分岐される。
【0051】
第1の分岐光ML1は、ビームベンダ33により反射され、第1の干渉計34に入射するとともに、第1の干渉計34からステージ10の−Y側の端辺の第1の部位10aに照射される。そして、第1の部位10aにおいて反射した第1の分岐光ML1が、再び第1の干渉計34へ入射する。第1の干渉計34は、ステージ10へ向かう第1の分岐光ML1とステージ10から反射した第1の分岐光ML1との干渉に基づき、ステージ10の第1の部位10aの位置に対応した位置パラメータを計測する。
【0052】
一方、第2の分岐光ML2は、第2の干渉計35に入射するとともに、第2の干渉計35からステージ10の−Y側の端辺の第2の部位(第1の部位10aとは異なる部位)10bに照射される。そして、第2の部位10bにおいて反射した第2の分岐光ML2が、再び第2の干渉計35へ入射する。第2の干渉計35は、ステージ10へ向かう第2の分岐光ML2とステージ10から反射した第2の分岐光ML2との干渉に基づき、ステージ10の第2の部位10bの位置に対応した位置パラメータを計測する。
【0053】
第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれの計測により取得された位置パラメータを、制御部70へ送信する。制御部70は、当該位置パラメータを用いて、ステージ10の位置やステージ10の移動速度の制御などを行う。
【0054】
光学ヘッド部50は、その下方位置に向けて露光処理用のパルス光を照射する光照射部であり、ステージ10に保持搬送されて光学ヘッド部50の下方位置にくる基板Wの上面にパルス光を照射する部分である。なお、本実施形態では、基板Wの上面に紫外線の照射により感光するレジスト層が予め形成されており、光学ヘッド部50が波長355nmのパルス光(紫外線)を出射する場合について説明する。
【0055】
光学ヘッド部50は、照明光学系53を介して1つのレーザ発振器54に接続されている。また、レーザ発振器54には、レーザ発振器54の駆動を行うレーザ駆動部55が接続されている。レーザ駆動部55、レーザ発振器54、および照明光学系53は、ボックス172の内部に設けられている。レーザ駆動部55を動作させると、レーザ発振器54からパルス光が出射され、当該パルス光が照明光学系53を介して光学ヘッド部50の内部に導入される。
【0056】
光学ヘッド部50の内部には、照射された光を空間変調する空間光変調器、空間光変調器を制御する描画制御部、および、光学ヘッド部50の内部に導入されたパルス光を空間光変調器を介して基板Wの上面に照射する光学系、など(それぞれ図示省略)が主に設けられている。空間光変調器としては、例えば、回折格子型の空間光変調器であるGLV(登録商標:Grating Light Valve)などが採用される。光学ヘッド部50の内部に導入されたパルス光は、空間光変調器などによって所定のパターン形状に成形された光束として基板Wの上面に直接照射され、基板W上のレジスト等の感光層を露光する。これにより、基板Wの上面にパターンが描画される。
【0057】
描画装置100は、光学ヘッド部50による露光幅分ずつ基板Wを副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数繰り返すことにより、基板Wの描画領域全面にパターンを形成する。
【0058】
<1.2.2 基板収納カセット110>
基板収納カセット110は、露光処理を受けるべき未処理の基板Wを収納する第1の収納部と、露光処理が施された処理済みの基板Wを収納する第2の収納部と、を有する。また、既述の通り、搬送ロボット120は基板収納カセット110との間で基板Wの受渡しを行うことができる。
【0059】
このため、第1の収納部に収納される未処理の基板Wは、搬送ロボット120を介して処理部106に搬送され、露光処理を実行される。そして、露光処理が施された処理済みの基板Wが、搬送ロボット120を介して第2の収納部に収納される。
【0060】
<1.2.3 制御部70>
制御部70は、描画装置100が備える各部と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ描画装置100の各部の動作を制御する。
【0061】
制御部70は、例えば、CPU、ROM、RAM、記憶装置等がバスラインを介して相互接続された一般的なコンピュータを含んで構成される。ROMは基本プログラム等を格納しており、RAMはCPUが所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。記憶装置にはプログラムが格納されており、このプログラムに記述された手順に従って、主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、各種処理(例えば、後述するアライメント処理や描画処理)が実現される。プログラムは、予め記憶装置等のメモリに格納されていても構わないし、CD−ROMあるいはDVD−ROM、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態(プログラムプロダクト)で記憶装置に提供されても構わない。また、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより記憶装置に提供されても構わない。なお、制御部70において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路等でハードウェア的に実現されてもよい。
【0062】
また、制御部70は、バスラインを介して入力部、表示部、通信部など(いずれも図示せず)にも接続されている。入力部は、例えば、キーボードおよびマウスによって構成される入力デバイスであり、オペレータからの各種の操作入力を受け付ける。表示部は、液晶表示装置、ランプ等により構成される表示装置であり、CPUによる制御の下、各種の情報を表示する。通信部は、ネットワークを介して外部装置との間でコマンドやデータなどの送受信を行うデータ通信機能を有する。
【0063】
<1.3 描画装置100の動作>
<1.3.1 全体処理>
描画装置100が基板Wに対して実行する一連の処理について、図3を参照しながら説明する。図3は、当該処理の流れを示す図である。以下に説明する一連の動作は、制御部70の制御下で行われる。
【0064】
まず、搬送ロボット120が、基板収納カセット110から未処理の基板Wを1枚取り出して、ステージ10上に載置する(ステップST1)。
【0065】
このとき、基板Wの周縁の一部に形成された図示しない切り欠き部(例えば、ノッチ、オリエンテーションフラット等)が所定の位置となるよう基板Wの回転位置を考慮した状態で基板Wがステージ10上に載置される。これによって、ステージ10に載置された基板Wが定められた回転位置におおまかに位置合わせされる。基板Wがステージ10上に載置されると、ステージ10は当該基板Wを吸着保持する(保持工程)。
【0066】
ステージ移動機構20は、ステージ10をアライメントカメラ60の下方位置まで移動させる。そして、ステージ移動機構20がステージ10を移動させつつ、アライメントカメラ60が基板Wの上面に形成されたアライメントマークMaの少なくとも一部を撮像する。この撮像によりアライメントカメラ60で生成された撮像データは、制御部70に送信される。制御部70は、受信した撮像データを基に、基板Wの位置情報および形状情報を検出する。そして、この位置情報および形状情報を用いて、理想状態からみた基板Wの位置ずれおよび形状変化を是正するアライメント処理を行う(ステップST2)。
【0067】
本実施形態では、アライメント処理として、基板Wの位置ずれおよび形状変化を考慮して描画データを生成する態様について説明する。アライメント処理については、後述する<1.3.2 アライメント処理>で詳細に説明する。
【0068】
アライメント処理の後、ステージ移動機構20がステージ10を光学ヘッド部50の下方位置まで移動させる。そして、描画データに基づいて空間変調された光を光学ヘッド部50から基板Wの上面に照射しつつ、ステージ移動機構20がステージ10を移動させて光学ヘッド部50と基板Wとを相対移動させる。これにより、基板Wの上面に特定の露光パターンを描画する描画処理が実行される(ステップST3、パターン形成工程)。
【0069】
描画処理では、まず、ステージ移動機構20によって基板Wが主走査の往路方向(例えば、+Y方向)に沿って移動される。このとき、制御部70は、描画データのうち当該主走査で描画対象となる領域に描画すべきデータを記述した部分を読み出す。そして、制御部70は、読み出された当該データに応じて変調ユニット82を制御して、光学ヘッド部50から当該データに応じて空間変調された描画光を基板Wに向けて出射させる。光学ヘッド部50が基板Wに向けて断続的に描画光を出射しながら、ステージ移動機構20が基板Wを主走査の往路方向(+Y方向)に沿って1回移動させることにより、基板Wの上面のうち1本の長尺領域(Y方向に沿って延在し、X方向に沿う幅が描画光の幅に相当する領域)に特定のパターンが描画されることになる。このように主走査の往路方向に沿って基板Wを移動させることを往路主走査と呼ぶ。
【0070】
描画光の照射を伴う往路主走査が終了すると、ステージ移動機構20は、ステージ10を副走査方向(例えば、−X方向)に、描画光の幅に相当する距離だけ移動させる。これを基板Wからみると、光学ヘッド部50は+X方向に上記長尺領域の幅分だけ移動することになる。このように副走査方向(−X方向)に基板Wを移動させることを副走査と呼ぶ。
【0071】
副走査が終了すると、描画光の照射を伴う復路主走査が実行される。すなわち、光学ヘッド部50が基板Wに向けて断続的に描画光を出射しながら、ステージ移動機構20が基板Wを主走査の復路方向(往路方向と逆向きの方向であり、本実施形態では−Y方向)に沿って1回移動させる。この復路主走査によって、先の往路主走査で描画された長尺領域の隣の長尺領域にパターンが描画される。
【0072】
描画光の照射を伴う復路主走査が終了すると、副走査が行われた上で、再び、描画光の照射を伴う往路主走査が行われる。当該往路主走査によって、先の復路主走査で描画された長尺領域の隣の長尺領域にパターンが描画される。以後も同様に、副走査を挟みつつ、描画光の照射を伴う主走査が繰り返して行われ、描画対象領域の全域が特定のパターンで露光されると、描画処理が終了する。
【0073】
描画処理が終了すると、搬送ロボット120が処理済みの基板Wをステージ10から受け取って基板収納カセット110に収容する(ステップST4)。これによって、当該基板Wに対する一連の処理が終了する。
【0074】
処理済みの基板Wを基板収納カセット110に収容した後、搬送ロボット120は、新たな未処理の基板Wを基板収納カセット110から取り出す。今度は、当該基板Wに対して上述した一連の処理が施されることになる。
【0075】
<1.3.2 アライメント処理>
描画処理は、特定のパターンを含む設計データ(例えば、ベクター形式のデータ)から変換された、描画装置100が処理可能な記述形式を有する描画データ(例えば、ラスター形式のデータ)に従って行われる。
【0076】
設計データは、変形の生じていない基板Wがステージ10上の理想的な位置に配置された場合を前提に作成されている。ただし、処理対象となる基板Wがステージ10上の理想位置に理想の回転角度で配置されているとは限らない。また、処理対象となる基板Wにおいては、そり、ゆがみ、或いは歪などの変形が生じていることがある。このため、設計データから変換された描画データをそのまま用いて描画処理を実行したとしても、十分な描画品質が得られない場合がある。
【0077】
そのため、描画処理に先立って、描画対象たる基板Wの位置情報および形状情報を取得しておき、これらの情報を基に基板Wの位置ずれや変形を是正するよう設計データにデータ処理を行い、描画データを生成する(アライメント処理)。
【0078】
図4は、アライメント処理(図3に示すステップST2)の流れを示す図である。図5図9は、基板Wの上面と基板Wの上面におけるアライメントカメラ60の撮像視野65とを示す上面図である。以下では、基板Wの上面に形成された複数のアライメントマークMaのうち基板Wの中央に位置するアライメントマークをアライメントマークMa0(中央アライメントマーク)と呼ぶ。また、アライメントマークMa0に隣接する一のアライメントマークをアライメントマークMa1と呼ぶ。また、基板Wの周縁側に位置する4点のアライメントマークをアライメントマークMa11〜Ma14と呼ぶ。
【0079】
後述するステップST25では、基板Wの周縁側に位置する4点のアライメントマークMa11〜Ma14を順次に撮像する。これは、基板Wの周縁側での撮像結果を用いることにより、基板Wの全体的な位置情報および形状情報を取得するためである。このとき、変形のない基板Wがステージ10上に理想的に載置された状態であれば、制御部70が有するマークデータ(変形のない基板Wがステージ10上に理想的に載置された状態におけるアライメントマークMaの位置情報を含むデータ)を基にステージ移動機構20が基板Wを移動させることで、アライメントマークMa11がアライメントカメラ60の撮像視野65に含まれることとなる(図5)。しかしながら、基板Wに変形が生じているときや基板Wがステージ10上の理想的な位置に配されていないときには、マークデータを基に基板Wを移動させたとしても、アライメントマークMa11が撮像視野65に含まれない場合がある(図6)。このような場合に、アライメントマークMa11が撮像視野65に含まれるまで手掛かりなく試行錯誤的に基板Wを移動させるとなると、装置のスループットが低下することとなる。また、アライメントマークMa12〜Ma14についても同様に試行錯誤するとなると、スループットの低下はより著しくなる。なお、図5は理想位置に配された基板Wを示す上面図であり、図6図9は理想位置からのある角度だけ回転して配された基板Wを示す上面図である。
【0080】
そこで、本実施形態ではスループットの向上をはかるため、ステップST25に先立ってステップST21〜ステップST24の工程を行い、4点のアライメントマークMa11〜Ma14の位置を予測する。以下、図4図9を参照しつつ、本実施形態のアライメント処理について詳細に説明する。
【0081】
まず、変形のない基板Wがステージ10上に理想的に配置された状態であれば撮像視野65にアライメントマークMa0が含まれるよう、ステージ移動機構20がマークデータを基に基板Wを移動させる。そして、アライメントカメラ60によって、アライメントマークMa0を撮像する(ステップST21)。図7は、この状態における基板Wの上面および撮像視野65を示す上面図である。
【0082】
基板Wの位置ずれや基板Wの変形に起因したアライメントマークMaの理想状態からの変位量は、一般に基板Wの周縁側で相対的に大きく基板Wの中央側で相対的に小さい。これは、基板Wが理想の回転位置からある角度だけ回転してステージ10上に載置されたときに基板Wの中心からの径が大きくなるにつれて回転変位量が大きくなることや、基板Wがひずんでいるときに基板Wの中心からの距離が大きくなるにつれてひずみ量が大きくなることによるものである。
【0083】
したがって、基板Wの中央に位置するアライメントマークMa0(すなわち、相対的に変位量の小さいアライメントマークMa0)を撮像するステップST21では、アライメントマークMa0が撮像視野65に含まれやすい。
【0084】
もちろん、基板Wが理想的な位置から平行移動(オフセット)されてステージ10上に載置された場合のように、基板Wの中心側と周縁側とで相違なくアライメントマークMaの位置が変位する場合もある。この場合には、基板Wの中心に位置するアライメントマークMa0を撮像するステップST21においても、撮像対象のアライメントマークMa0が撮像視野65に含まれないことがありうる。その際には、例えば、アライメントマークMa0が撮像視野65に含まれるまで試行錯誤的に基板Wを移動させることとなる。とはいえ、基板Wの位置ずれおよび基板Wの変形を総合的に考慮した場合には、上述の通り基板Wの中央側の方が周縁側に比べて相対的にアライメントマークMaの変位量が小さい。このため、基板Wの中央に位置するアライメントマークMa0を撮像するステップST21の態様では、基板Wの周縁側に位置するアライメントマークMa11〜Ma14を撮像する態様に比べてより短時間で撮像を済ませることができる。
【0085】
アライメントカメラ60によって取得されたアライメントマークMa0の撮像データは制御部70に送信される。制御部70は、この撮像データを基に、理想配置され変形のない理想的な基板WにおけるアライメントマークMa0の位置と実際の基板WにおけるアライメントマークMa0の位置との変位量を算出する。制御部70は、マークデータおよび上記変位量を基に実際の基板WにおけるアライメントマークMa1の位置を予測する(ステップST22)。
【0086】
そして、撮像視野65にアライメントマークMa1が含まれるよう、ステージ移動機構20がステップST22で得られた予測結果を基に基板Wを移動させる。移動後、アライメントカメラ60によって、アライメントマークMa1を撮像する(ステップST23)。図8は、この状態における基板Wの上面および撮像視野65を示す上面図である。
【0087】
アライメントマークMa1は、基板Wの中央に位置するアライメントマークMa0に隣接しており、アライメントマークMa11〜Ma14と比べて相対的に変位量の小さいアライメントマークである。このため、アライメントマークMa1を撮像するステップST23では、ステップST21の場合と同様の理由から、アライメントマークMa1が撮像視野65に含まれやすい。また、ステップST23ではステップST22で得られた予測結果を考慮してステージ10を移動させる。このため、ステップST23では、上記予測結果を考慮しない他の態様(実測に基づく情報を考慮しない他の態様)に比べてアライメントマークMa1が撮像視野65に含まれやすい。ステップST21〜23は、アライメントマークMa0、Ma1(後述する第1群のアライメントマーク)を撮像する工程であり、本発明の第1撮像工程に相当する。
【0088】
アライメントカメラ60によって取得されたアライメントマークMa1の撮像データは制御部70に送信される。制御部70は、アライメントカメラ60から取得したアライメントマークMa0、Ma1の撮像データを基に、理想配置され変形のない理想的な基板WにおけるアライメントマークMaの座標値から実際の基板WにおけるアライメントマークMaの座標値へと変換する際のヘルマート変換行列を算出する。ヘルマート変換は、後述するアフィン変換に比べて必要な測定点数が少なく演算も簡便である点で、望ましい。制御部70は、マークデータおよび上記ヘルマート変換行列を基に、実際の基板WにおけるアライメントマークMa11〜アライメントマークMa14の位置を予測する(ステップST24、予測工程)。
【0089】
そして、撮像視野65にアライメントマークMa11が含まれるよう、ステージ移動機構20がステップST24で得られた予測結果を参照して基板Wを移動させる。移動後、アライメントカメラ60によって、アライメントマークMa11を撮像する(ステップST25、図9)。同様に、ステップST24で得られた予測結果を参照して基板Wを移動させ、アライメントカメラ60によって、アライメントマークMa12〜Ma14を順次に撮像する(ステップST25)。ステップST25は、アライメントマークMa11〜Ma14(後述する第2群のアライメントマーク)を撮像する工程であり、本発明の第2撮像工程に相当する。
【0090】
ステップST25ではステップST24で得られた予測結果を参照してステージ10を移動させる。このため、ステップST25では、上記予測結果を参照しない他の態様に比べてアライメントマークMa11〜Ma14が撮像視野65に含まれやすい。
【0091】
アライメントカメラ60によって取得されたアライメントマークMa11〜Ma14の撮像データは制御部70に送信される。制御部70は、アライメントカメラ60から取得したアライメントマークMa11〜Ma14の撮像データを基に、理想配置され変形のない理想的な基板WにおけるアライメントマークMaの座標値から実際の基板WにおけるアライメントマークMaの座標値へと変換する際のアフィン変換行列を算出する。アフィン変換は、前述のヘルマート変換に比べて高精度な変換である点で、望ましい。制御部70は、マークデータおよび上記アフィン変換行列を基に設計データを補正して、補正後の設計データに対してRIP処理を行い、描画データを生成する(ステップST26)。ステップST26においては、基板Wの周縁に形成されたアライメントマークMa11〜Ma14の撮像データを基に描画データが生成されるため、該描画データには基板Wの全体的な位置情報および形状情報が反映され、望ましい。この位置情報および形状情報は、線形変換(例えば、上記アフィン変換や射影正規化変換など)で表現されても良いし、非線形変換(例えば、薄板スプライン補間など)で表現されても良い。また、この位置情報および形状情報は、複数の変換の組み合わせ(例えば、線形変換と非線形変換との組み合わせ)で表現されても良い。
【0092】
<1.3.3 アライメント処理の効果>
本実施形態におけるアライメント処理の効果を説明する。以下では、アライメントマークMa0、Ma1をまとめて第1群のアライメントマークと表現し、アライメントマークMa11〜Ma14をまとめて第2群のアライメントマークと表現する。また、アライメントカメラ60での撮像により取得される情報のうち、アライメントマークMa0、Ma1の位置情報を第1位置情報と表現し、アライメントマークMa11〜Ma14の位置情報を第2位置情報と表現する。
【0093】
本実施形態のアライメント処理では、まず、第1群のアライメントマークに対してアライメントカメラ60による撮像を行い、第1位置情報を取得する(ステップST21〜ステップST23)。制御部70(演算部)は、実測により取得された第1位置情報から、第2位置情報を演算により予測する(ステップST24)。その後、アライメントカメラ60は、ステップST24により得られた第2位置情報の予測値を参照して第2群のアライメントマークを撮像し、第2位置情報の実測値を取得する(ステップST25)。そして、第2位置情報の実測値に応じて、描画処理の際の各部の動作を規定する描画データが生成される。
【0094】
このように、本実施形態では、基板Wの中央側に位置して撮像視野65に含まれやすい第1群のアライメントマークについて、まずアライメントカメラ60による撮像を行う。このため、より短時間で第1位置情報の実測値を取得することができる。
【0095】
また、基板Wの周縁側に位置して撮像視野65に含まれにくい第2群のアライメントマークについては、第1位置情報を基に得られた第2位置情報の予測値を参照してアライメントカメラ60による撮像を行う。このため、本実施形態の態様では、上記予測値を用いない他の態様に比べてより短時間で第2位置情報の実測値を取得することができる。本実施形態では、第2位置情報の予測に際し必要な測定点数が少なく演算も簡便なヘルマート変換を用いる点で、望ましい。ヘルマート変換は、せん断変形を考慮しない変換であるので、せん断変形を考慮するアフィン変換に比べて精度の低い変換であると考えられる。しかしながら、上記予測の主たる目的は第2群のアライメントマークを撮像視野65に含まれやすくすることであり、一般に基板Wのせん断変形は上記目的を逸するほど大きいものではない。このため、相対的に低精度のヘルマート変換であったとしても上記目的は十分に達成される。
【0096】
また、本実施形態では、制御部70が第2位置情報の実測値に応じて描画データを生成する。このため、本実施形態の態様では、制御部70が第1位置情報の実測値に応じて描画データを生成する他の態様に比べて、基板Wの全体における位置情報や形状情報を考慮した描画データを生成することができる。本実施形態では、この位置情報や形状情報が、より高精度なアフィン変換で表現される点で、望ましい。
【0097】
また、本実施形態では、描画データの生成のために実測される第2群のアライメントマークの数(4個)が、第2位置情報を予測するために実測される第1群のアライメントマークの数(2個)よりも多い。ここで、描画データの生成精度はパターン描画精度(ひいては、最終製品の品質)に直結するため高精度であることが求められるが、第2位置情報の予測は上記の通り第2群のアライメントマークが撮像視野65に含まれる程度で足りる。このため、より高精度な実測が求められる第2群のアライメントマークについて測定点数が多くされ、低精度の実測でも許容される第1群のアライメントマークについて測定点数が少なくされることで、最終製品の品質を高めつつアライメント処理におけるスループットの向上が図られる。
【0098】
その結果、アライメント処理におけるスループットを向上しつつ、基板Wの全体情報を考慮した描画データを生成することができる。
【0099】
<2 変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0100】
上記実施形態では、積層基板Wにパターンを描画する態様について説明したが、これに限られるものではない。例えば、基層のみからなる単層基板にパターンを描画する態様でも構わない。なお、アライメント処理のスループットを向上できるという本発明の効果は、基板W上でアライメントマークの位置が変化しやすい基板W(言い換えると、従来のアライメント処理では撮像視野65にアライメントマークが含まれにくくスループットが低下しやすい基板W)に対して、特に有効である。このため、転写用基板(例えば、サファイア基板)上に形成された機能層の積層体が製品用基板(例えば、シリコンウエハ)の基層の一方側主面に反転転写されて形成される積層基板W(例えば、LED基板)など、積層基板の形成過程で各層が擦れあいアライメントマークの位置が変化しやすい基板Wは、本発明の適用対象として好ましい。
【0101】
また、上記実施形態では、描画データに基づいて空間変調された光を光学ヘッド部50から基板Wの上面に照射しつつ光学ヘッド部50と基板Wとを相対移動させて基板W上に露光パターンを形成する態様について説明したが、これに限られるもではない。本発明は、第2位置情報の実測値に基づいて基板Wの主面にパターンを形成する種々のパターン形成装置に適用可能である。例えば、マスクを介して基板Wの上面に選択的に面状光を照射するマスク露光によってパターンを形成する装置にも本発明を適用しうる。この場合、共通の基準パターンに基づいて予め複数のマスクを準備しておき、第2位置情報の実測値に応じて上記複数のマスクの中から一のマスクを選択してマスク露光を実施することで、基板Wの位置ずれおよび変形を是正することができる。このように、アライメントマークの位置情報を基に基板Wの位置ずれおよび変形を是正するアライメント処理の態様は、データ処理で行う上記実施形態の態様の他、機構的な処理で行う本変形例の態様や、データ処理と機構的な処理とを組み合わせて行う態様など、種々の態様を採用しうる。また、パターン形成の態様も、上記した露光によるパターン形成の他、電子ビームなどの荷電粒子線を基板Wの上面に照射することによるパターン形成など、種々の態様を採用しうる。
【0102】
上記実施形態では、第1群のアライメントマークが、基板Wの主面中央に位置するアライメントマークMa0、および、これに隣接するアライメントマークMa1の2点によって構成される態様について説明したが、これに限られるものではない。第1群のアライメントマークが3点以上のアライメントマークによって構成される態様でも構わない。なお、上記実施形態のように第1群のアライメントマークがアライメントマークMa0、Ma1を含む態様であれば、これらのアライメントマークMa0、Ma1が撮像視野65に含まれやすいことによって効率よくアライメント処理を実行でき望ましい。また、第2群のアライメントマークについても、上記実施形態のように4点の態様の他、3点以下または5点以上の態様を採用しうる。
【0103】
また、上記実施形態では、第2位置情報の実測値のみに応じて描画データが生成される態様について説明したが、これに限られるものではない。例えば、第1位置情報の実測値および第2位置情報の実測値に応じて描画データが生成される態様であっても構わない。このように基板主面の中央側での位置情報(第1位置情報)および周縁側での位置情報(第2位置情報)を用いて描画データを生成する場合、非線形変換(例えば、薄板スプライン補間など)を用いることでより高精度に基板Wの位置情報および形状情報を表現することができる。
【0104】
上記実施形態では、基板Wの主面全体に対してアライメント処理を一体的に行う態様(言い換えると、基板Wの主面全体に対して位置ずれおよび変形を一体的に是正する態様)を説明したが、これに限られるものではない。基板Wの主面を複数の区画に仮想的に分割して区画ごとにアライメント処理を行う態様(例えば、分割された区画ごとに描画データを生成する態様)でも構わない。
【0105】
上記実施形態では、ステージ10上で保持された基板Wに対してまず第1撮像工程(ステップST21〜ST23)を実施する態様について説明したが、これに限られるものではない。例えば、第1撮像工程に先立って行われる工程として、第2群のアライメントマークの少なくとも1つ(例えば、アライメントマークMa11)についてあらかじめ設定された撮像予想位置へアライメントカメラ60と基板Wとを相対移動させ、アライメントマークMa11がアライメントカメラ60の撮像視野65に含まれるか否かを確認する確認工程、を備える態様であってもよい。この態様では、確認工程においてアライメントマークMa11が撮像視野65に含まれないと判定された場合には、上記実施形態と同様に第1撮像工程、予測工程、および第2撮像工程を経由してから、パターン形成工程を実行する。他方、確認工程においてアライメントマークMa11が撮像視野65に含まれると判定された場合には、第1撮像工程、予測工程、および第2撮像工程を省略して、確認工程中で得たアライメントマークMa11の実測値を含む第2位置情報の実測値を基にパターン形成工程を実行する。このように確認工程の結果に応じて、第1撮像工程、予測工程、および第2撮像工程を適宜に省略できるため、装置のスループットが向上しうる。
【0106】
また、上記実施形態では、ステージ10が基板WをXY面内で移動させることによって、基板Wと光学ヘッド部50との相対移動や基板Wとアライメントカメラ60との相対移動を実現する態様について説明したが、これに限られるものではない。例えば、光学ヘッド部50をXY面内で移動させる移動機構やアライメントカメラ60をXY面内で移動させる移動機構を設けても良い。
【0107】
以上、実施形態およびその変形例に係るパターン形成装置およびパターン形成方法について説明したが、これらは本発明に好ましい実施形態の例であって、本発明の実施の範囲を限定するものではない。本発明は、その発明の範囲内において、各実施形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 ステージ
20 ステージ移動機構
30 位置パラメータ計測機構
50 光学ヘッド部
60 アライメントカメラ
65 撮像視野
70 制御部
100 描画装置
110 基板収納カセット
120 搬送ロボット
Ma、Ma0、Ma1、Ma11〜Ma14 アライメントマーク
W 基板
図1
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