(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一般式:LuAlONX:Ceで表され、XはBi、Tb、Pr、Gd、Se、Sm、Th、Ir、Sb及びAsの群から選ばれる少なくとも一種又は二種以上の元素であり、0.007質量%≦N≦5.0質量%であり、Ce、Lu及びXがモル比で0.015≦(Ce+X)/Luであり、Al、O及びNがモル比でAl/(O+N)>5/13である、蛍光体(結晶構造中にCl又はFの元素を含む蛍光体を除く)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明は、Lu、Al、O、N、Ce、Xを含有し、多量のセリウムを含有する酸窒化物の蛍光体である。その組成比として、Xは、Bi、Tb、Pr、Gd、Se、Sm、Th、Ir、Sb及びAsの群から選ばれる少なくとも一種の元素からなり、0.007質量%≦N≦5.0質量%であり、且つ、Ce、X及びLuがモル比で0.015≦(Ce+X)/Luであり、更にAl、O及びNがモル比でAl/(O+N)>5/13であり、X>0である蛍光体である。
他の発明は、この蛍光体と、発光素子とを有する発光装置である。他の発明は、この発光装置を有する照明装置である。
【0014】
本発明の第1実施形態は、以下の一般式で表される蛍光体である。本発明の蛍光体は、一般式LuAlONX:Ceで表される。一般式中、Xは、Bi、Tb、Pr、Gd、Se、Sm、Th、Ir、Sb及びAsの少なくとも一種又は二種以上の元素であり、0.007質量%≦N≦5.0質量%であり、Ce、Lu及びXがモル比で0.015≦(Ce+X)/Luであり、Al、O及びNがモル比でAl/(O+N)>5/13であり、X>0である蛍光体である。
【0015】
Luはルテチウムである。Luがモル比で、好ましくは1.0以上とし、より好ましくは3.0以下とし、さらに好ましくは1.3以上2.9以下とする。ルテチウムは、その一部又は全部を、Y、Sc、La、Gd及びSmのうちの1種以上の元素を置換したものでもよい。
Ceはセリウムである。Ceがモル比で、好ましくは0.1以上とし、より好ましくは2.0以下とし、さらに好ましくは0.18以上1.50以下とする。セリウムは、その一部又は全部を、Pr、Nd、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ba及びMnのうちの1種以上の元素を置換したものでよい。
Alはアルミニウムである。Alがモル比で、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは9.0以下であり、さらに好ましくは5.0以上7.0以下である。アルミニウムは、その一部又は全部を、Ga、Si及びInのうちの1種以上の元素を置換したものでもよい。
【0016】
Xは、Bi、Tb、Pr、Gd、Se、Sm、Th、Ir、Sb及びAsから選ばれる少なくとも一種又は二種以上の元素である。このうち、Gd及び/又はTbが好適である。Xがモル比で、好ましくは0.005以上とし、より好ましくは0.5以下とし、さらに好ましくは0.01以上0.40以下とする。
Oがモル比で、好ましくは10.0以上であり、より好ましくは18.0以下であり、さらに好ましくは12.0以上16.0以下である。
Nは窒素である。窒素は、蛍光体全体の0.007質量%以上5.0質量%以下であり、好ましくは0.012%以上0.068%以下である。また、Nがモル比で、好ましくは0.005以上とし、より好ましくは0.05以下とし、さらに好ましくは0.007以上0.044以下とする。
CeとLuがモル比で0.015≦(Ce+X)/Luとし、好ましくは0.06≦(Ce+X)/Luとし、より好ましくはCe+X)/Lu≦1.5とし、さらに好ましくは0.068≦(Ce+X)/Lu≦1.31とする。
このことで、色度Xが顕著に上昇し、ピーク波長が上昇し、半値幅が大きくなり、赤色(波長600nm以上700nm以下)の蛍光成分の割合が増大し、長波長化する傾向にある。モル比で(Ce+X)/Luを高め、窒素含有量を多くすると、蛍光体の発光色における赤色成分(波長600nm以上700nm以下)の割合が増大するためである。X>0とすることにより、セリウムの一部を上述の他元素に置き換えることで赤色の蛍光成分の割合が増大し、長波長化する。窒素の含有量は、あまりに多いと発光強度が低下する傾向にある。
また、Al、O及びNがモル比でAl/(O+N)>5/13とし、好ましくは0.385≦Al/(O+N)とし、より好ましくはAl/(O+N)≦0.50とし、さらに好ましくは0.391≦Al/(O+N)≦0.464とする。
【0017】
本発明の蛍光体における窒素原子は、蛍光体の結晶格子内と結晶格子間の一方又は双方に存在する。また、本発明の蛍光体は、実質的にLu、Al、O、N、X、Ceからなるものであるのが好ましい。
【0018】
本発明の蛍光体は、青色の発光素子が発する350nm以上500nm以下の波長範囲の光により効率良く励起され、可視光を発光し、青色LEDと組合せて純粋な白色で発光する白色LEDを製造することができるので、本発明は工業的に極めて有用である。
【0019】
本発明の蛍光体は、実質的にLu、Al、O、N、X、Ceを含んだ化合物を混合した後、焼成することで製造することができる。焼成の際に、加圧窒素雰囲気中で行うことが好ましい。
以下に本発明の蛍光体の製造方法の一例について説明する。
本発明の蛍光体の製造方法は、Lu、Al、O、N、X及びCeを含んだ化合物からなる複数の原料を混合する混合工程と、混合工程後の原料混合粉を窒素雰囲気で0.001MPa以上100MPa以下のゲージ圧力、1000℃以上2400℃以下の温度範囲で保持した焼成工程で構成されるのが好ましい。
【0020】
混合工程での原料として、純度99%以上の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるもの、純度99.9%以上の酸化物、純度99.9%以上の窒化物がある。窒化物としてAlN、アジ化物があり、純度99.9%以上のものが好ましい。
混合工程で用いる機械としては、ボールミル、V型混合機又は攪拌装置がある。
【0021】
焼成工程は、例えば1000℃以上2400℃以下の温度範囲と0.001MPa以上100MPa以下の圧力範囲で1時間以上100時間以下保持して行うものがある。
焼成温度は、好ましくは1500℃以上2200℃以下である。焼成工程での雰囲気の圧力は、好ましくは0.1MPa以上であり、より好ましくは0.7MPa以上70MPa以下であり、この上限値は好ましくは10MPa以下、より好ましくは1MPa以下である。また、焼成時間は、好ましくは1時間以上30時間以下であり、より好ましくは10時間以上20時間以下である。
【0022】
焼成の雰囲気としては、窒素元素含有雰囲気がある。窒素元素含有雰囲気としては、窒素及びアンモニアの単体又は混合体があり、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを含有させてもよい。窒素及びアンモニアの単体又は混合体の含有量の好ましい量は、10体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上であり、より好ましくは80体積%であり、より好ましくは100体積%である。窒素やアンモニアとして、純度99.99%以上の高純度のものが、最も好ましい。
【0023】
本発明の蛍光体は、励起スペクトルのピーク波長が300nmから500nm(より好適には350nmから500nm)の範囲にある。当該範囲にあるので、その波長範囲の光で効率良く励起され、緑色成分が少なく赤色成分が多い濃い黄色に発光するため、演色性の高い白色LED用に好適である。
【0024】
蛍光体を励起する300nmから500nm(より好適には350nmから500nm)の波長の光を発する発光素子としては、窒化物半導体からなる発光素子が好ましい。窒化物半導体は構成元素の比率により発光波長を変えることができ、例えば、Ga−N系では320nmから450nm、In−Al−Ga−N系では300nmから500nmで発光の波長のピークを制御できる。
窒化物半導体からなる発光素子としては、発光層が組成式In
xAl
yGa
1−x−yN(0<x、0<y、x+y<1)で表わされる化合物からなり、ヘテロ構造又はダブルヘテロ構造を有する発光素子がある。
【0025】
本発明の第2実施形態は、発光素子と、上述の蛍光体とを有する発光装置である。
本発明の発光装置は、上述の発光素子の発光方向に、上述の蛍光体を分散させた透明樹脂を配置したものであるのが好適である。発光素子としては青色発光窒化物半導体が好ましく、紫外から青色に発光する化合物半導体を用いることも可能である。透明樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、シリコンゴムがある。発光装置における蛍光体は、上述の蛍光体を単独で使用でき、さらに赤色発光蛍光体や緑色発光蛍光体などの他の蛍光体と併用して、白色度のより高い発光装置にすることもできる。
【0026】
図1は、本実施形態の発光装置の構成の一例を示す図であり、本発明の発光装置はこれに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態の発光装置10は、発光素子1(例えば、青色LEDチップ)と、発光素子の発光面に搭載されている蛍光体2とを備え、蛍光体2の一部又は全部に前述した本発明の蛍光体が用いられている。
蛍光素子1としては、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び青色発光ダイオード(青色LED)等の各種LED、蛍光体ランプ及びレーザダイオード(LD)等を使用することができ、LEDが好適である。また蛍光体2としては、前述した本発明の蛍光体のみを使用してもよいが、赤色発光蛍光体、橙色発光蛍光体、黄色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体等を組み合わせて使用することができる。これにより、発光装置としての発光色を調整することができる。
本実施形態の発光装置10は、導電性端子(リードフレーム)6の上に発光素子1が搭載され、導電性端子6上に容器(枠体)5の中に蛍光体2を分散させた封止樹脂4により発光素子1を封止している。発光素子1は、導電線(ボンディングワイヤ)3により、他の導電性端子(リードフレーム)7に接続されている。
前記発光装置は、その周囲を任意に可視光透過性樹脂で被覆(モールド)したものでもよい。可視光透過性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。当該可視光透過性樹脂には、必要に応じて粘度調整剤、拡散剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させてもよい。
また、前記発光装置の外形形状としては、砲弾型、チップ型及び多セグメント型等が挙げられる。
【0027】
本実施形態の発光装置10は、発光素子1から、波長350〜500nmの励起光を出射し、上述した蛍光体2に照射する。励起光の照射によって蛍光体2の化合物等は、緑色成分が少なく赤色成分が多い濃い黄色に発光する(好適にはピーク波長540〜560nm)。本実施形態の発光装置10に用いられている本発明の化合物は演色性指数(Ra)及び外部量子効率が良好である。好適には、演色性指数(Ra)が70.5以上及び外部量子効率が40%以上有する。また、好適には色度X0.38以上(好適には、色度X0.38〜0.460)を有する。これにより、本実施形態の発光装置10は、黄色光でありながら赤色成分や緑色成分が多い光を発することができ、また演色性が高い。
【0028】
他の発明の第3実施形態は、かかる本発明の蛍光体を含む発光装置を有する照明装置である。前記照明装置は、本発明の蛍光体を含む発光装置を1個又は複数集積してなるものでもよい。集積する発光装置の数及び配置は、照明装置の大きさ、照度等に応じて適宜選択してもよい。
前記照明装置としては、特に限定されないが、商用交流電源に点灯モジュールの交流入力端子を接続し、この点灯モジュールの直流出力端子に、単数又は複数の発光装置を直列又は並列に接続したものがある。
照明装置の型としては、特に限定されないが、例えば、電球型、蛍光灯型、ダウンライト型、面照明型等がある。
【0029】
図2に示す本実施形態の照明装置100では、可視光透過性樹脂で被覆した発光装置10が2個以上で回路基板110に搭載されている。
回路基板110には、発光装置10を駆動するための駆動回路が形成されている。
発光装置10の数及び回路基板110上への発光装置10の配列は、照明装置100の利用目的に応じて任意にすることができる。例えば、照明装置100が線状に発光する光源として利用される場合は複数の発光装置10が線状に配置され、照明装置100の面状に発光する装置として利用される場合は、複数の発光装置10が二次元的に配置され、照明装置100が点灯光源として利用される場合は1つの発光装置10が用いられる。これにより、照明装置100は、黄色光でありながら赤色光及び緑色光が多い光を発することができ、また演色性が高い。
【実施例】
【0030】
本発明の実施例を、表1、表2を参照しつつ、比較例と対比して詳細に説明する。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
〔実施例1〕
実施例1の蛍光体は、表1に示すように、Lu、Al、O、N、Ce、Xを含有する蛍光体であり、XとしてGdを採用し、窒素含有量0.068質量%、CeとXとLuが(Ce+X)/Lu=1.308(モル比)、Al/(O+N)=0.443の蛍光体である。実施例1及び後述する実施例・比較例の蛍光体は、その原料組成を変化させることによって、それぞれ異なったモル比を有するものである。
なお、表1及び表2に示す蛍光体の各値は原料配合時の値であり、目標値である。
【0034】
<組成分析値における各Lu、Y、Ce、Al、O、N及び窒素含有量>
表1及び2の蛍光体の各値は、原料混合粉を、アルカリ融解法により溶解させた後、ICP発光分析装置(株式会社リガク製 CIROS−120)により測定して求めた値である。表1及び2の窒素含有量(質量%)については、酸素―窒素測定機(HORIBA株式会社製EMGA―920)により測定した。実施例として合格の窒素含有量は0.007質量%以上である。
【0035】
実施例1の蛍光体の外部量子効率(単位:%)、色度X、ピーク波長(単位:nm)の結果を表1に示す。
【0036】
<外部量子効率>
外部量子効率は、分光光度計(大塚電子株式会社製MCPD−7000)により測定し、以下の手順で算出した。
実施例1の蛍光体を凹型セルの表面が平滑になる様に充填し、積分球を取り付けた。この積分球に、発光光源(Xeランプ)から455nmの波長に分光した単色光を、光ファイバーを用いて導入した。この単色光を励起源として、実施例1の蛍光体の試料に照射し、試料の蛍光スペクトル測定を行った。
試料部に反射率が99%の標準反射板(Labsphere社製スペクトラロン)をセットし、波長455nmの励起光のスペクトルを測定した。その際、450〜465nmの波長範囲のスペクトルから励起光フォトン数(Qex)を算出した。
試料部に蛍光体をセットし、得られたスペクトルデータから励起反射光フォトン数(Qref)及び蛍光フォトン数(Qem)を算出した。励起反射光フォトン数は、励起光フォトン数と同じ波長範囲で、蛍光フォトン数は、465〜800nmの範囲で算出した。
外部量子効率は、次の計算式によって、求めた。
外部量子効率=(Qem/Qex)×100
実施例として合格の外部量子効率は40%以上である。
【0037】
<色度X(CIEx)>
本試験において、色度Xは、CIE1931(XYZ表色系)の値であり、分光光度計(大塚電子株式会社製MCPD−7000)により測定した。色度X(CIEx)は、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製MCPD−7000)にて積分球を用い、455nmの励起に対する蛍光を集光した全光束の蛍光スペクトル測定を行って求めた。測定方法は、参考文献「大久保和明、他著、「NBS標準蛍光体の量子効率の測定」、照明学会誌、第83巻、第2号、pp87−93、平成11年」に準じて行った。
実施例として合格の色度Xは0.387以上である。
【0038】
<蛍光スペクトル>
本試験において、ピーク波長は、ピーク波長は、分光光度計(大塚電子株式会社製MCPD−7000)により測定した。試料の蛍光体を凹型のセルを表面が平滑になる様に充填し、積分球を取り付けた。この積分球に、発光光源(Xeランプ)から455nmの波長に分光した単色光(青色光)を、光ファイバーを用いて導入した。この単色光を励起源として、蛍光体試料に照射し、試料の蛍光スペクトル測定を行った。得られた蛍光スペクトルからピーク波長を求めた。
実施例として合格のピーク波長は545.0nm以上である。
【0039】
<演色性指数(Ra)>
本試験において、演色性指数(Ra)は次の方法で測定した。
蛍光体10gを水100gにエポキシシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBE402)1.0gと共に加え、撹拌しながら一日放置した。その後、ろ過乾燥したシランカップリング剤で処理された前記蛍光体の適量をエポキシ樹脂(サンユレック株式会社製NLD−SL−2101)10gに混練し、発光波長460nmの青色LED素子の上にポッティングし、真空脱気し、110℃で前記樹脂を加熱硬化し、表面実装型LEDを作成した。作成された表面実装型LEDに10mAの電流を流して発生する光を測定し、演色性指数(Ra)を測定した。
演色性指数(Ra)の実施例として合格値は、70.5以上である。
【0040】
実施例1の蛍光体は、表1に示すように、外部量子効率、色度X、ピーク波長及び演色性指数(Ra)において優秀な値を示した。
【0041】
実施例1の蛍光体の製造方法について説明する。
実施例1の蛍光体の製造方法として、Lu、Al、O、N及びCeを含んだ化合物からなる複数の原料を混合する混合工程と、混合工程後の原料混合粉を窒素雰囲気で0.001MPa以上100MPa以下のゲージ圧力、1000℃以上2400℃以下の温度範囲で保持した焼成工程を採用した。
【0042】
<混合工程>
混合工程にあっては、Lu
2O
3(和光純薬工業株式会社製)28.43質量%、CeO
2(和光純薬工業株式会社製、和光特級)28.37質量%、Al
2O
3(大明化学株式会社製TM−DARグレード)39.22質量%、Gd
2O
3(和光純薬工業株式会社製、和光特級)3.98質量%を配合し、原料混合物1kgを得た。仕込み元素のモル比はLu:Gd:Ce:Al=1.30:0.20:1.50:7.00である。
【0043】
原料混合物をカワタ株式会社のスーパーミキサーにて混合した後、目開き850μmのナイロン製篩を用いて通過したものを原料粉末とした。
【0044】
<焼成工程>
原料粉末を、内寸で直径8cm×高さ8cmの蓋付きの円筒型窒化ホウ素製容器(電気化学工業株式会社製N−1グレード)に50g充填し、内寸で100cm×50cm×高さ13cmの上蓋付き黒鉛ボックス内部に容器を配置した。この黒鉛ボックスは側面に直径20mmの穴が長辺4個、短辺4個開いている。さらに底の中央に直径50mmの穴が開いており、この穴の下に排ガス管が設置されており、焼成中に雰囲気ガスの排気を行っている。カーボンヒーターの電気炉で0.7MPaの加圧窒素雰囲気中、1700℃で15時間の加熱処理を行った後、得られた粉末を室温まで徐冷した。この焼成物を乳鉢で解砕し、目開き250μmの篩に通過させたもののみとした。
【0045】
〔実施例2〕
実施例2の蛍光体は、実施例1に比べ主にLuを多くしてCeを少なくし窒素を減らしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0046】
〔実施例3〕
実施例3の蛍光体は、実施例1に比べ主にLuをさらに多くしてCeをさらに少なくし、窒素も減らしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0047】
〔実施例4〕
実施例4の蛍光体は、実施例1に比べ主にAl、酸素及び窒素を減らしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0048】
〔実施例5〕
実施例5の蛍光体は、実施例2に比べ主にAlと酸素を減らしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0049】
〔実施例6〕
実施例6の蛍光体は、実施例3に比べ主にAlと酸素を減らしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0050】
〔実施例7〕
実施例7の蛍光体は、実施例6に比べGdを減らしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0051】
〔実施例8〕
実施例8の蛍光体は、実施例6に比べGdを増やしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0052】
〔実施例9〕
実施例9の蛍光体は、実施例7のGdをTbにしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0053】
〔実施例10〕
実施例10は、実施例9に比べTbの配合比を増やしたものであり、表1に記載の原料比率の変更以外、ほぼ同様に製造されたものである。
【0054】
実施例1〜10は、LED演色性指数(Ra)が70.5以上かつ外部量子効率40%以上であった。これらは、LED演色性指数(Ra)70.6〜77の範囲でありかつ外部量子効率41.9〜68.3%の範囲であり、また、色度X0.388〜0.456の範囲であった。また、これらのピーク波長(nm)は545.3〜557.4nmの範囲であった。
また、比較例について、表2を参照しつつ説明する。
【0055】
比較例1乃至9は、表2に示すように、蛍光体の原料組成を変化させることによって、蛍光体の元素のモル比を変化させたものである。
【0056】
比較例1は、実施例6乃至10と比較し、Ceの一部をX(Gd,Tb)に置き換えていないものである。比較例1は、色度X、ピーク波長及び演色性指数(Ra)のいずれもが合格値でなかった。
【0057】
比較例2及び比較例3は、比較例1と同様にCeの一部をX(Gd,Tb)に置き換えていないものであると共に(Ce+X)/Luの値を0.014としたものである。比較例2及び比較例3は、色度X、ピーク波長及び演色性指数(Ra)のいずれもが合格値でなかった。
【0058】
比較例4及び比較例5は、他の実施例・比較例での焼成工程での窒素雰囲気を真空雰囲気で行なったものである。比較例4及び比較例5は、蛍光体自体の窒素含有量が少なく、これにより、色度X、ピーク波長及び演色性指数(Ra)のいずれもが合格値でなかった。
【0059】
比較例6乃至比較例8は、Al/(O+N)の値が低いものであり、外部量子効率が合格値でなかった。
【0060】
比較例9は、(Ce+X)/Lu、Alの値及びAl/(O+N)の値が低いものであり、外部量子効率、色度X、ピーク波長及び演色性指数(Ra)のいずれもが合格値でなかった。
【0061】
〔実施例11〕
実施例11の発明は、発光装置であり、
図1に示すように、実施例や比較例の蛍光体と、発光素子とを有するものである。当該発光装置は、白色を発光するものであり、青色LEDチップ1を導電性端子6に接続させて容器5の底部に設置し、青色LEDチップ1をワイヤー3で他の導電性端子7に接続した後、蛍光体2と封止樹脂4としてのエポキシ樹脂を加熱硬化したものである。
前述の演色性指数(Ra)の測定で説明した表面実装型LEDでもある。
実施例11の発光装置は、表1の実施例1乃至10に示すように、良好な効果を発揮していた。
【0062】
〔実施例12〕
実施例12の発明は、照明装置であり、図示は省略したが、実施例11の発光装置を有する電球型の照明装置である。この照明装置は、蛍光体として実施例1乃至10を用いると、表1に示すような良好な効果を発揮した。