(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357112
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】形状記憶部材を有する弁アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
A61B17/02
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-559899(P2014-559899)
(86)(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公表番号】特表2015-509784(P2015-509784A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】US2013024055
(87)【国際公開番号】WO2013130213
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年1月25日
(31)【優先権主張番号】13/405,580
(32)【優先日】2012年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】サンドストローム ジェフリー
【審査官】
大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04973024(US,A)
【文献】
米国特許第05984195(US,A)
【文献】
実開昭63−077180(JP,U)
【文献】
特開平01−303387(JP,A)
【文献】
実開昭58−189376(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0305398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
F16K 31/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
吸引流のために利用される導管と、
前記導管と流体連結される弁アセンブリとを備え、該弁アセンブリが、
開口部を画定する弁本体と、
前記弁本体に対して可動な弁部材と、
遷移温度に達すると前記弁部材が駆動して前記開口部を閉鎖するように構成された付勢部材であって、ニッケルチタン、銅亜鉛アルミニウムニッケル、銅アルミニウムニッケルで形成されるか、又は、亜鉛、銅、金、鉄、ニッケル及びチタンのうちのいずれか1つ以上を含む結合で形成される形状記憶部材と、
閉塞要素であって、前記開口部内に位置決めされているときには、前記形状記憶部材が前記遷移温度に達しても、前記弁部材が前記開口部を閉鎖することを該閉塞要素が防止するように、前記開口部内に取外し可能に位置決めされた閉塞要素と、を有し、
前記形状記憶部材が前記遷移温度に達した際に、前記閉塞要素が取り除かれていた場合には、前記形状記憶部材が作動して前記弁部材を駆動し、この弁部材が前記開口部を閉鎖することで、前記装置の再利用が防止される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記形状記憶部材が、前記遷移温度に達すると、前記弁部材を駆動させるために拡張するコイルである、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弁部材は、円板を備え、前記形状記憶部材は、前記遷移温度に達すると、前記円板を回転させるように作動する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弁部材には弁部材開口部が形成され、
該弁部材は前記弁本体に対して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記弁部材の第1の位置では前記弁部材開口部が前記弁本体の前記開口部と流体連通し、前記弁部材の第2の位置では前記弁部材が前記弁本体の前記開口部を塞ぐ、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
吸引安定器であって、
基部アセンブリと、
前記基部アセンブリに連結される関節動作式アームと、
前記アームに連結されるヘッドリンクであって、
前記ヘッドリンクの遠位端にある複数のポッドと、
前記複数のポッドに流体連結される真空ライン接続であって、真空源に延在する管とさらに連結可能な、真空ライン接続と、
前記真空ライン接続内に位置づけられる弁アセンブリであって、前記ポッド、前記真空ライン接続、前記管、および前記弁アセンブリが、相互に流体連結し、前記弁アセンブリは、
開口部を画定する弁本体と、
前記弁本体に対して可動な弁部材と、
遷移温度に達すると前記弁部材が駆動して前記開口部を閉鎖するように構成された付勢部材であって、ニッケルチタン、銅亜鉛アルミニウムニッケル、銅アルミニウムニッケルで形成されるか、又は、亜鉛、銅、金、鉄、ニッケル及びチタンのうちのいずれか1つ以上を含む結合で形成される形状記憶部材と、
閉塞要素であって、前記開口部内に位置決めされているときには、前記形状記憶部材が前記遷移温度に達しても前記閉塞要素が前記開口部を閉鎖することを防止するように、前記開口部内に取外し可能に位置決めされた閉塞要素と、を有するヘッドリンクと、を備え、
前記形状記憶部材が前記遷移温度に達した際に、前記閉塞要素が取り除かれていた場合には、前記形状記憶部材が作動して前記弁部材を駆動させて、この弁部材が前記開口部を閉鎖することで、前記ヘッドリンクの再利用が防止される、
ことを特徴とする吸引安定器。
【請求項6】
前記形状記憶部材が、前記遷移温度に達すると、前記弁部材を駆動させるために拡張するコイルである、
請求項5に記載の安定器。
【請求項7】
前記弁部材は、円板を備え、前記形状記憶部材は、前記遷移温度に達すると、円板を回転させるように動作する、
請求項5に記載の安定器。
【請求項8】
前記弁部材には弁部材開口部が形成され、
該弁部材は前記弁本体に対して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記弁部材の第1の位置では前記弁部材開口部が前記弁本体の前記開口部と流体連通し、前記弁部材の第2の位置では前記弁部材が前記弁本体の前記開口部を塞ぐ、
請求項5に記載の安定器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
冠動脈疾患は、依然として欧米社会における罹患と死亡の主要な原因である。冠動脈疾患の治療のためにいくつかの手法が開発されてきた。より軽度の場合には、大抵、単に薬剤により症状を治療するか、または生活様式の改善により疾患の根底原因を治療するだけで十分である。より重度の場合には、冠動脈閉塞は、バルーン血管形成術、粥腫切除術、レーザー焼灼術、ステント、および同種のものなどの技術を使用し、血管内で治療され得る。これらの手法が失敗した、または失敗する可能性が高い場合には、大抵、冠動脈バイパス移植術を行う必要がある。
【0002】
冠動脈バイパス移植術は、伝統的に、心臓―肺または心肺バイパスが求められた。心肺バイパス中に負うリスクに起因して、心肺バイパスなしの冠動脈バイパスを可能にするために、心拍動下バイパス手術法が開発された。単純な機械的フォークを採用する圧力安定器を通して、吻合部のごく近傍にある心外膜組織を固定させようとする、いくつかのシステムが、現在利用可能である。かかる装置は、心臓表面上にフォークを押し下げることで、心臓を安定させる。フォークは、通常、細長い軸に載置され、細長い軸が次に、通常、手術用の窓を作り出すために患者の肋骨を引き離して保持する開創器に載置される。いくつかの場合には、開創器に対する軸の角運動は、所望の回転位置で締め付けられてもよいタレットによって達成される。開創器に対する軸の縦運動も通常、同様に可能にされ、締め機構が、タレットへの軸の締め付け、および軸に対するフォークのロックを可能にするために提供される。例示的な圧力安定器は、Looneyに発行された米国特許第5,876,332号、およびTaylorらに発行された米国特許第6,036,641号に開示され、双方とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
Medtronic Octopus(登録商標)Tissue Stabilizer(Medtronic,Inc.,Minneapolis,Minn.USAから入手可能)のような吸引安定化システムは、代わりに、その遠位端に一対の吸引パドルまたはポッドを担持する、比較的長い可撓性のアームを採用する。使用中に、アームは、通常、手術用の窓を作り出すために患者の肋骨を引き離して保持する外科用スプレッダまたは開創器に固定される。ポッドは吻合部の両側に置かれ、吸引が、心臓の表面をつかみ、固定させるために適用される。その後、張力が、アームをその位置でロックするため、およびポッドの位置をアームに対してロックするために、アームの長さに沿って適用される。メドトロニックの装置は、一般に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Method And Apparatus For Temporarily Immobilizing A Local Area Of Tissue」に対して2002年10月15日に発行された米国特許第6,464,629号に開示される。この装置において、アームの近位端に載置される単独のノブは、アームを適所にロックするため、またさらに、心臓表面のさらなる安定化を提供するように、心臓の表面をわずかに伸長させ、ポッドを少々拡張するために、採用される。かかる装置において、外科用開創器に対する軸の調整は、それをその所望の位置にロックする前に可撓性の軸の設定を変えることで、達成される。吸引安定装置の他の例は、Korosら発行された米国特許第6,113,534号、Huntら発行された米国特許第6,007,486号、Borstらに発行された米国特許第5,836,311号、およびBenettiらに発行された米国特許第5,727,569号に開示され、全て参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
安定装置と連動して、吸引開創器は大抵、所望の吻合部に接近することを可能にするよう、心臓の位置を合わせるために、採用される。Medtronic Starfish(商標)装置、およびGuidant Axius(商標)Expose(商標)装置は、市販の吸引開創器の例である。これらの装置は、通常は心尖付近で、心臓と係会するために、単独のより大きい吸引ポッドを採用する。吸引ポッドは、前述した吸引安定器のように、それらの長さに沿って適用される張力によって所望の設定に固定されてもよい、可撓性のアームによって担持される。アームへの張力の適用はまた、ガイダント装置におけるように、アームに対する所望の設定に吸引ポッドを固定するために、アームに対する吸引ポッドのための担持装置をロックするように働いてもよい。メドトロニック装置は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Method and System for Unified Management of Plurality of Assets Using Computer Network」に対して2006年6月27日に発行された、米国特許第7,069,241号に記載される。ガイダント装置は、同様に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、冊子Axius(商標)Expose(商標)Device,Instructions for Use,Guidant Corp.,2001,P/N 30462, Rev.Aに記載される。他の吸引開創器は、同様に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Spenceらに発行された米国特許第6,019,772号、およびPengによるPCT公開第WO01/17437号に記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用される特定の装置に関わらず、末端利用者はしばしば、複数回使用のために医療装置を再処理しようと試みる。再処理の間、装置は、故意でない装置の故障を招く可能性のある、装置の高温への暴露を含み、滅菌される。多くの医療装置は、使い捨てのみを目的として設計されるために、装置を再利用しようと試みるときには、患者の安全が危うくされる可能性がある。そのため、装置の無許可の再処理の防止は、患者の安全を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
装置は、吸引流のために利用される導管と、導管と流体連結される弁アセンブリを含む。弁アセンブリは、開口部を画定する弁本体と、弁本体に対して可動な弁部材と、形状記憶部材が遷移温度に達すると、開口部を閉鎖するために、弁部材を作動させるように動作する前記形状記憶部材とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】滅菌後の
図1の安定器の使用を防止する弁アセンブリを採用する、ヘッドリンクの断面図である。
【
図3】滅菌後の
図1の安定器の使用を防止する弁アセンブリを採用する、ヘッドリンクの断面図である。
【
図4】滅菌後の
図1の安定器の使用を防止する弁アセンブリを採用する、ヘッドリンクの断面図である。
【
図5】
図1の安定器と共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図6】
図1の安定器と共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図7】
図1の安定器を共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図8】
図1の安定器を共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図9】
図1の安定器を共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図10】
図1の安定器を共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図11】
図1の安定器を共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図12】
図1の安定器を共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【
図13】
図1の安定器を共に使用するための代替弁アセンブリを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、装置10が滅菌を受ける場合に、装置10の複数回使用を防止するための弁アセンブリを含む、例示的な装置10の斜視図である。そのためには、弁アセンブリは、装置10がもはや適切に機能しないように、装置10内で真空の供給を遮断するように設定される形状記憶部材を採用する。形状記憶部材は、滅菌過程において熱せられるとき(例えば、摂氏約40度〜45度に)、装置10内で真空供給を遮断する、所定の、およびもともと鍛造された形状へと遷移する。形状記憶部材の最初の滅菌における所定の形状への遷移を防止するため、最初の滅菌の前に弁アセンブリ内で真空供給を遮断する栓または他の閉塞要素が置かれる。この要素は使用の前に除去され、さもないと弁アセンブリは接近不可となり、その要素は、さらなる滅菌のため、装置10内に置き換えられなくなる。
【0009】
形状記憶部材は、多くの形を取り得、いくつかの異なる形状および寸法に設定され得る。一実施形態においては、形状記憶部材は、滅菌時に形状記憶部材が所定の形状へと戻るように成形され、位置づけられる。遷移の間、形状記憶部材は、装置をさらなる使用に対して非機能状態にするように、弁アセンブリを通して真空供給を遮断する弁部材を作動させる。そのように、形状記憶部材は、弁アセンブリを通った吸引が可能とされる第1の位置と、弁アセンブリを通した吸引流を防止する第2の位置とを確定し得る。いくつかの実施形態においては、形状記憶部材は、ニッケルチタン(ニチノールとして知られる)、銅亜鉛アルミニウムニッケル、銅アルミニウムニッケル、および/または、亜鉛、銅、金、鉄、ニッケルおよびチタンのうち1つ以上を含む結合のような、好適な形状記憶合金で形成される。
【0010】
一実施形態においては、装置10は、その近位端で基部アセンブリ22に結合される、可撓性の関節動作式遠位アーム20を含み、その遠位端に締結/展開機構を含む、ヘッドリンク24で終結する。ヘッドリンク24を超越して遠位に延在するものは、複数(図示では2つ)の吸引パドルまたはポッド26である。吸引ポッド26は、真空ライン接続28によって真空ラインに接続される。各々のポッドとその吸引口は、上述のメドトロニック・オクトパス(商標)組織安定器で使用されるような、容認できるどの方法で構築されてもよい。
【0011】
真空ライン接続28は、離れた真空源(図示なし)から遠位ポッド26へと真空を送り届ける真空ライン管30と連結される。下述のように、接続28は、係留線32に連結される取り外し可能な閉塞要素を含む弁アセンブリを採用する。使用の前に、使用者は、閉塞要素と係留線32を、接続28と管30から除去するために、近位端34で係留線32を引っ張る。除去された時点で、管30は、ポッド26に真空を供給するために、真空源と連結される。このように、ポッド26、真空ライン接続28、および管30はすべて、相互と流体連結されている。
【0012】
安定器10を操作するために、遠位アーム20の近位端は、遠位アーム20の近位端が、基部アセンブリ22に対して、および通常結合される外科用開創器に対して、回転されることを許可する、タレットアセンブリ40に載置される。張力部材(図示なし)は、遠位アーム20を通過し、またタレットアセンブリ40を通過し、基部アセンブリ22から上方向に延在する関連枢軸の周囲のタレットアセンブリを圧縮するように動作する。張力機構42は、張力機構32の近位端から延在する柄44を使用し、基部アセンブリ22に対して移動されることを可能にされ、また、展開/締結機構24から延在する上述の張力部材に張力を提供するために、遠位アーム20を通し、またタレットアセンブリ40を通して、動作可能なように連結される。
【0013】
柄44を用いる張力の適用は、その現行の設定に遠位アーム20を固定することと、基部アセンブリ22に対してタレットアセンブリ40を回転して固定することと、相互にわずかに離れてポッド26を展開するために展開/締結機構24を作動させることとを含む、多数の機能を果たす。この機構の動作の詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Apparatus for Temporarily Engaging Body Tissue」に対して2005年3月15日に発行された同一出願人による特許第6,866,628号において、より詳細に述べられる。
【0014】
本明細書に開示される一実施形態は、弁アセンブリがヘッドリンク24内で位置づけられる開創器または安定器という状況で実行される一方で、他の実施形態は、開創器または安定器に関係しない他の装置という状況で有用に実行される。かかる装置においては、好適な弁アセンブリは、下述のように、装置10の再処理を防止するために採用されてもよい。
【0015】
図2〜4は、ヘッドリンク24とそこから延在する真空ライン接続28の概略、横断面図である。装置10の再利用を防止するために、弁アセンブリ50は、ヘッドリンク24内に配置され、真空ライン接続28と真空ライン管30に流体連結される。弁アセンブリ50は、開口部54を画定する弁本体52と、弁部材56と、形状記憶部材58とを含む。弁アセンブリ50は、さもなれければヘッドリンク24の動作を損なわずしての接近が不可となるため、ヘッドリンク24内に位置づけられる。弁本体52は種々の設定で形成され得るが、例解される実施形態においては、弁本体52は、連結具28によってヘッドリンク24内に密封され、一般に、第1の側面52aと第2の側面52bとを含む。
【0016】
滅菌と最初の使用の前には、係留線32に結合される取り外し可能な閉塞要素(本明細書での具体化は栓)60は、
図2に例解されるように、弁アセンブリ50内に位置づけられる。具体的には、栓60は、弁本体52の開口部54内に位置づけられる。栓60を収容するために、弁部材56と形状記憶部材58は、弁本体52の第1の側面52bに向かって圧縮される。形状記憶部材58は、遷移温度に達すると拡張するコイルとして具体化される。形状記憶部材58が拡張することを防止する栓60をもって、装置は滅菌され得、そこで形状記憶部材58が弁部材56を弁本体52の側面52aに向かって動かすことを、栓60が防止する。装置を使用するために、使用者(例えば外科医)は、
図3に例解されるように、係留線32を引っ張ることにより、開口部54から栓60を除去する。この時点で、吸引は、ヘッドリンク24中を自由に流れる。使用者が、開口部54における係留される栓60なしに装置を滅菌工程にさらそうとするとき、形状記憶部材58は、
図4に例解されるように、元の鍛造された形状に戻り(すなわち、拡張することにより)、それにより弁部材56を側面52aに向かって動かせ、開口部54を閉じさせる。
【0017】
図5〜13は、
図2〜4に例解される代替弁アセンブリ50を置換するために使用され得る。
図5と6とは、弁本体102、弁開口部104、弁部材106、および形状記憶部材108を含む蝶型弁100を例解する。
図6において、弁アセンブリ100が閉鎖位置にあるのに対して、
図5において、弁アセンブリ100は、開放位置にある。
図5の開放位置に示されるように、開口部104は、円板として具体化される弁部材106を整合するように設計される、凹部110を含む。形状記憶部材108は、弁開口部104のどちらかの側に位置づけられる、対向端部112と114を含み、針金として具体化される。さらに、形状記憶部材108は、
図6に示されるように、遷移温度に達すると(例えば、弁アセンブリを滅菌にさらすことにより)、形状記憶部材108が、弁アセンブリ100を閉鎖するために弁部材108を作動させる(すなわち回転させる)ように、弁部材106に直接的に連結される。滅菌の前に、閉塞要素は、弁部材106のどちらかの側、または弁部材106の両側の上の開口部104内に位置づけられ得る。滅菌後および使用前に、その要素は、それを通して適切な真空がもたらされるように、開口部104から除去され得る。さらなる滅菌のときには、形状記憶部材108は、
図6に示されるように、弁部材106を閉鎖するように動作しながら、画定済みの形状へと遷移する。そのため、装置は、さらなる使用に対して機能しなくなる。
【0018】
図7と8とは、開口部154を画定する弁本体152を含む、代替弁アセンブリ150を例解する。弁本体152内に位置づけられるものは、弁部材156と、形状記憶部材158と、本明細書では留め針160として具体化される過移動止め具とである。形状記憶部材158は、弁部材156と連結され、遷移温度に達すると、弁部材156を作動させる(すなわち回転させる)ように設定される。滅菌前には、取り外し可能な閉塞要素(図示なし)は、対応する開口部162を含む弁部材156が、開口部154と揃い、吸引流が弁アセンブリ150を通ることを許可する第1の位置にあるように、開口部154内に位置づけられる。使用前には、要素は、開口部154から除去される。滅菌のときには、形状記憶部材158は、弁部材156の脚部分164が留め針160に接触し、従って吸引流が弁本体152の開口部154を通ることを防止するように、弁部材156を回転させるように動作させながら、画定済みの形状、および第2の位置へと遷移する。
【0019】
図9と10とは、開口部204を画定する弁本体202を含む、代替弁アセンブリ200を例解する。弁本体202に連結されるものは、弁部材206および形状記憶部材208である。取り外し可能な閉塞要素(図示なし)は、開口部204内に位置づけられ、形状記憶部材208は、
図9に示されるように、開口部204内で折り曲げられる。滅菌中および使用前は、開口部204を通る流れを許可するために、要素は除去される。滅菌のときには、形状記憶部材208は、
図10に例示されるように、付勢部材(本明細書での具体化はばね)210が、弁部材206を開口部204内に位置づけるために、弁本体202に逆らって作動するように、延在する。
【0020】
図11〜13は、開口部254を確定する弁本体252と、弁本体252内に位置づけられる弁部材256とを含む、代替弁アセンブリ250を例解する。取り外し可能な閉塞要素258は、弁部材256が弁本体252の開口部254を閉鎖することを防止するために、最初の滅菌中は、弁本体252内に位置づけられる。使用前に、要素258は、
図12に例解されるように、弁本体252から除去される。滅菌のときには、
図13に例解されるように、弁部材256は、開口部254を閉じ、装置10を、意図されるその使用に対して機能しない状態にする。
【0021】
本開示は、好適な実施形態を参照しながら説明されているが、当業者は、本開示の精神と範囲から逸脱することなく、形式と詳細の変更が可能であることを認識するであろう。