(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
挿入部の先端近傍部に回転可能な処置具用起上台を備える内視鏡が従来から知られている。
特許文献1の内視鏡はその一例であり、操作部と、操作部から延びる挿入部と、を備えており、挿入部の先端近傍部の表面には互いに位置を異ならせて起上台用凹部と連結部材用凹部が凹設してある。連結部材用凹部の内側端部(挿入部の表面と反対側の端部)は起上台用凹部と連通している。
さらにこの内視鏡は、起上台用凹部に回転可能に収納した起上台と、操作部に設けた操作手段と、一端が操作手段に接続しかつ他端が起上台と連係する可撓性を有する操作ワイヤと、を備えている。操作ワイヤは、その先端部(挿入部の先端部側の端部)を除く部分全体が挿入部及び操作部の内部に設けたワイヤ用管路に配設してある。操作ワイヤの先端部は連結部材用凹部内に位置している。
【0003】
さらにこの内視鏡は、操作ワイヤの先端部と起上台とを連係するための連結部材を備えている。
この連結部材は、起上台の回転中心軸に沿って延びかつ自身の軸線回りに回転可能な回転軸と、この回転軸の外側端部に接続しかつ回転軸に対して直交する接続部と、を一体的に(分離不能に)備えている。即ち、連結部材の全体形状は略L字形状である。
連結部材の回転軸は連結部材用凹部内に自身の軸線回りに回転可能として配設してあり、さらに回転軸の内側端部が起上台に対して相対回転不能に接続している。連結部材の接続部は連結部材用凹部内に位置しており、接続部には操作ワイヤの先端部が接続している。操作ワイヤの接続部に対する接続位置は、回転軸から(回転軸の径方向に)オフセットしている。
そのため、操作手段を操作することにより操作ワイヤをその軸線に沿って進退させると、連結部材が回転軸回りに回転するので、回転軸との相対回転が規制された(一緒に回転する)起上台が挿入部に対して回転する。
【0004】
またこの内視鏡は、操作ワイヤの先端部及び連結部材を覆う態様で連結部材用凹部を水密状態で着脱可能に塞ぐカバーを具備している。
従って、カバーを装着した状態で内視鏡を被験者の体腔に挿脱しても、被験者の体液等が操作ワイヤ(の先端部)や連結部材に付着するおそれは殆どない。
そのため、内視鏡の洗浄時に操作ワイヤ及びワイヤ用管路を洗浄する必要がないので、(操作ワイヤ及びワイヤ用管路の一部が内視鏡の外部に露出する構造であり、これらを洗浄しなければならない内視鏡と比べて)内視鏡の洗浄作業を容易に行うことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
連結部材用凹部はカバーによって水密状態で塞いであるものの、カバーによる水密状態は完璧とは言い難い。そのため水密性の観点からは、連結部材用凹部の寸法(挿入部の表面における開口面積)を極力小さくするのが好ましい。
しかしながら、連結部材用凹部の寸法を小さくすると、連結部材の挿入部(及び起上台)に対する着脱作業が難しくなってしまう。即ち、操作ワイヤの中で連結部材用凹部内に位置する部分(上記先端部。以下、「変形可能部」と称する)は変形(例えば挿入部から側方に離間する方向に変形)させることが可能である。しかし連結部材用凹部の寸法が小さい場合は、操作ワイヤの変形可能部の長さが短くなるので変形可能部の変形可能量が小さくなり、その結果、挿入部に対する連結部材の移動(例えば、挿入部の幅方向への移動)の自由度が小さくなる。そのため、連結部材の回転軸の軸線方向寸法が長い場合は、回転軸の連結部材用凹部に対する挿入作業(及び起上台に対する接続作業)及び回転軸の連結部材用凹部からの取り外し作業(及び起上台からの取り外し作業)が難しくなってしまう。
【0007】
本発明は、操作ワイヤと起上台を連係する連結部材及び操作ワイヤの連結部材との接続端部を収納するために挿入部の表面に形成した凹部が小さくかつ連結部材の回転軸が長い場合であっても、連結部材を挿入部及び起上台に対して容易に着脱できる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡は、操作部から延びる挿入部に回転可能に設けた起上台と、上記挿入部の表面に、上記起上台とは位置を異ならせて凹設した凹部と、一端が上記凹部内に位置しかつ該一端より上記操作部側に位置する部位が上記挿入部の内部に位置する、自身の軸線に沿って進退可能かつ可撓性を有する操作ワイヤと、該操作ワイヤの上記一端と上記起上台とを接続する、上記凹部に配設した連結部材と、上記操作ワイヤの上記一端及び上記連結部材を覆うように上記凹部を着脱可能に塞ぐカバーと、を備え、上記連結部材が、上記起上台に対して相対回転不能かつ着脱可能に接続しながら上記凹部に配設した、上記起上台の回転中心軸を構成する回転軸と、上記凹部内において上記回転軸に対して相対回転不能に着脱可能であり、上記回転軸からオフセットした部位に上記操作ワイヤの上記一端が接続する接続部と、を備え
、上記凹部が、上記挿入部の表面に凹設した、上記カバーを着脱可能なカバー用凹部と、該カバー用凹部の底面に該カバー用凹部の内周面から内周側に離間させて凹設した、上記回転軸の一部及び上記接続部を回転可能に収納する接続部用凹部と、を備え、上記カバーが、上記カバー用凹部を水密状態で塞ぐ金属製カバーを備え、上記接続部が上記回転軸に対して該回転軸の軸線方向にスライド可能であり、上記回転軸の中間部に、上記接続部の上記起上台側へのスライドを規制する第一スライド規制部を突設し、上記金属製カバーの内面に、上記接続部が上記回転軸から脱落しない位置で該接続部の上記起上台と反対側へのスライドを規制する第二スライド規制部を設けたことを特徴としている。
【0009】
上記凹部
は、上記接続
部用凹部の内周面に凹設した、上記接続部が特定の回転位置に位置したときに該接続部の先端部が位置する逃げ溝
を備えてもよい。
【0011】
上記カバー用凹部の底面に、互いに上記挿入部の軸線方向に離間しかつ上記金属製カバーを貫通した一対のボルトがそれぞれ螺合可能な一対の雌ネジ孔を設け、上記接続部用凹部の一部に、上記挿入部の軸線方向の寸法が該接続部用凹部の中で最も小さい狭幅部を形成し、該狭幅部を上記一対の雌ネジ孔の間に位置させてもよい。
【0012】
上記カバーが、上記金属製カバーの外側から上記カバー用凹部を塞ぎかつ上記カバー用凹部に装着したときに上記挿入部の表面と連続する外面カバーを備えてもよい。
【0013】
また、本発明の内視鏡は、操作部から延びる挿入部に回転可能に設けた起上台と、上記挿入部の表面に、上記起上台とは位置を異ならせて凹設した凹部と、一端が上記凹部内に位置しかつ該一端より上記操作部側に位置する部位が上記挿入部の内部に位置する、自身の軸線に沿って進退可能かつ可撓性を有する操作ワイヤと、該操作ワイヤの上記一端と上記起上台とを接続する、上記凹部に配設した連結部材と、上記操作ワイヤの上記一端及び上記連結部材を覆うように上記凹部を着脱可能に塞ぐカバーと、を備え、上記連結部材が、上記起上台に対して相対回転不能かつ着脱可能に接続しながら上記凹部に配設した、上記起上台の回転中心軸を構成する回転軸と、上記回転軸とは別体として形成され該回転軸と別個に上記凹部に取り付けられ、上記凹部内において上記回転軸に対して軸線方向に接続して該回転軸と相対回転不能になり、上記回転軸からオフセットした部位に上記操作ワイヤの上記一端が接続する接続部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の連結部材は、起上台の回転中心軸回りに回転可能として挿入部の凹部に配設しかつ起上台に対して相対回転不能かつ着脱可能に接続する回転軸と、回転軸からオフセットした部位に操作ワイヤの一端が接続する接続部と、が互いに着脱可能である。即ち、連結部材を挿入部(凹部)及び起上台に対して着脱する際に、回転軸と接続部をそれぞれ別個に着脱可能である。
そのため、挿入部の表面に形成した凹部が小さくかつ連結部材の回転軸が長い場合であっても、(操作ワイヤと分離している)回転軸のみを挿入部(凹部)及び起上台に対して容易に着脱できる。
また接続部を回転軸に対して装着させるために必要な接続部の移動量(操作ワイヤの変形量)は、回転軸と接続部を分離不能に一体化した連結部材を挿入部(凹部)及び起上台に対して装着させるために必要な当該連結部材の移動量(操作ワイヤの変形量)より小さい。そのため、挿入部の表面に形成した凹部が小さくかつ連結部材の回転軸が長い場合であっても、(操作ワイヤと一体化している)接続部を回転軸に対して容易に着脱できる。
さらに、接続部が回転軸に対して軸線方向にスライド可能であり、回転軸の中間部に設けた第一スライド規制部によって、起上台側への接続部のスライドを規制し、金属製カバーの内面に設けた第二スライド規制部によって、回転軸から脱落しない位置で起上台と反対側への接続部のスライドを規制することにより、接続部と回転軸を接続した状態で凹部内に確実に保持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。以下の説明中の前後方向(超音波内視鏡10の挿入部12の先端側を「前方」、ユニバーサルチューブ13の先端側を「後方」と定義している)、上下方向、及び、左右方向は図中の矢印方向を基準としている。
図1に示す超音波内視鏡10は、操作部11と、操作部11から前方に延びる挿入部12と、共に操作部11から挿入部12と反対側に延びるユニバーサルチューブ13及び超音波画像伝送用チューブ(図示略)と、を備えている。超音波画像伝送用チューブは超音波診断装置(図示略)に接続するものであり、ユニバーサルチューブ13はプロセッサ(画像処理装置兼光源装置。図示略)に接続するものであり、超音波診断装置及びプロセッサは共にCRTモニタ(図示略)に接続している。
挿入部12には、操作部11に設けた湾曲操作レバー15の回転操作に応じて上下及び左右方向に湾曲する湾曲部17が形成してあり、湾曲部17より基端側の部分は自重や術者の直接的な操作によって湾曲する可撓管部18となっている。
挿入部12における先端部近傍部は硬質樹脂製の先端硬質部19により構成してある。先端硬質部19には傾斜面20が形成してあり、この傾斜面20には対物レンズ21、照明レンズ22等が設けてある。挿入部12の前端部は、先端硬質部19の前端面に接続する超音波プローブ23により構成してある。挿入部12、操作部11、及び超音波画像伝送用チューブの内部には、その前端が超音波プローブ23に接続しかつ可撓性を有する超音波信号ケーブル24が配設してある(
図9参照)。
【0017】
図1に示すように操作部11の前端部には、可撓性を有する穿刺針(処置具)を挿入するための処置具挿入口突起11aが突設してあり、挿入部12の内部には処置具挿入口突起11aから先端硬質部19側に向かって延びる処置具挿通用チューブ(図示略。処置具挿通用管路)が配設してある。処置具挿入口突起11aの先端開口部はゴム製のキャップ11bによって開閉可能である。先端硬質部19の上面には(下向きに)凹設した起上台用凹部28が設けてある。
図9に示すように起上台用凹部28の左側面の下端近傍には左側に向かって凹む断面円形の軸受け凹部28aが形成してある。処置具挿通用チューブの先端は起上台用凹部28に接続しており、処置具挿入口突起11aから挿入した穿刺針を処置具挿通用チューブの先端開口から起上台用凹部28内へ突出可能としている。
【0018】
先端硬質部19の側面には、起上台用凹部28とは周方向位置を異ならせて凹設した連結部材用凹部30(凹部)が設けてある。連結部材用凹部30は、先端硬質部19の側面(表面)に凹設した側面視略方形のカバー用凹部31と、カバー用凹部31の底面に凹設した側面視略台形の接続部用凹部32と、接続部用凹部32の内周面の上部に凹設した逃げ溝33と、接続部用凹部32の底面に凹設した起上台用凹部28側に向かって直線的に延びかつ軸受け凹部28aと同軸をなす断面円形の回転軸用凹部34と、を備えている。
図示するように接続部用凹部32はカバー用凹部31の内周面から内周側に離間させて凹設してある。接続部用凹部32の下端部は接続部用凹部32の中で前後寸法が最も小さい狭幅部32aを構成している。またカバー用凹部31の底面には狭幅部32aの前後両側に位置する一対の雌ネジ孔31aが形成してある。逃げ溝33の前後幅は接続部用凹部32の上端部の前後幅より短く、かつ、
図9に示すように逃げ溝33はカバー用凹部31から起上台用凹部28側に離間している(逃げ溝33とカバー用凹部31は直接連通していない)。回転軸用凹部34の左側端部は起上台用凹部28と連通している(
図9参照)。
【0019】
さらに接続部用凹部32の内周面の後面上部には後方に向かって延びるケーブル挿入孔35が形成してあり、ケーブル挿入孔35の後端は先端硬質部19の後端面において開口している(
図6参照)。さらに湾曲部17、可撓管部18、及び操作部11の内部には可撓性を有するケーブル挿入用チューブ36(
図1参照)が配設してある。ケーブル挿入用チューブ36の前端部はケーブル挿入孔35の後端部に接続しており、ケーブル挿入用チューブ36の後端部は操作部11の内部に位置している。
ケーブル挿入孔35及びケーブル挿入用チューブ36の内部には、金属製かつ可撓性を有する操作ワイヤ38がその軸線方向に進退可能に配設してある。
図1に示すように操作部11には起上台操作レバー40が回転可能に装着してある。起上台操作レバー40の内側端部は操作部11の内部空間に位置しており、起上台操作レバー40の内側端部にはケーブル挿入用チューブ36の後端から突出した操作ワイヤ38の後端部が接続している。一方、操作ワイヤ38の前端部はケーブル挿入孔35の前端開口から接続部用凹部32内に突出しており、接続部用凹部32内に突出する部分が操作ワイヤ38の前端部38aを構成している。さらに前端部38aの先端には、円柱形状をなす金属製の接続ピン39が固着してある。
【0020】
起上台用凹部28には金属製の起上台45が収納してある。起上台45の基端部には、起上台45を左右方向に貫通する断面略方形(断面非円形)の回転軸連結孔46が形成してある。起上台45は、その回転軸連結孔46が軸受け凹部28a及び回転軸用凹部34と同軸をなす態様で起上台用凹部28に収納してある。
【0021】
さらに接続部用凹部32(逃げ溝33)、回転軸用凹部34、及び起上台用凹部28(軸受け凹部28a)には金属製の連結部材48が装着してある。連結部材48は互いに別体として構成しかつ互いに着脱可能な回転軸49と接続部55を具備している。
回転軸49は、起上台45の回転軸連結孔46と同じ断面形状(断面略方形)をなしその軸線が左右方に延びる軸本体50と、軸本体50の左端面に突設した断面円形の軸端部51と、軸本体50の中間部の外周面に左右方向に離間させて突設した円形フランジからなる第一フランジ52及び第二フランジ53と、を一体的に備えている。第一フランジ52及び第二フランジ53の外径は回転軸用凹部34の内径と略同一である。さらに軸本体50の外周面には、第一フランジ52と第二フランジ53の間に位置させて弾性材料からなるOリングRが着脱可能に装着してある(
図9参照)。
接続部55は、本体部56と、本体部56から突出する左右一対のピン取付片57と、を備えている。本体部56には、本体部56を左右方向に貫通しかつ軸本体50(回転軸連結孔46)と同じ断面形状(断面略方形)をなす軸接続孔58が穿設してある。一方、左右一対のピン取付片57には、接続ピン39と同じ断面形状をなしかつ互いに同心をなす断面円形のピン取付孔59がそれぞれ穿設してある。図示するようにピン取付孔59の位置は軸接続孔58から(軸接続孔58の径方向に)オフセットしている。接続部55の一対のピン取付片57のピン取付孔59には、操作ワイヤ38の前端部38aに固着した接続ピン39が固定状態で圧入してあるため、操作ワイヤ38と接続部55は接続ピン39を介して一体化している。
【0022】
連結部材48は、回転軸49と接続部55をそれぞれ別個に接続部用凹部32(逃げ溝33)、回転軸用凹部34、及び起上台用凹部28(軸受け凹部28a)に対して取り付ける。
具体的には、まず
図3、
図9に示すようにOリングRと一体化した回転軸49を、回転軸用凹部34の右側端部から回転軸用凹部34、起上台45の回転軸連結孔46、及び起上台用凹部28の軸受け凹部28aに対して挿入する。より詳細には、軸端部51を軸受け凹部28aに対して回転可能に嵌合し、軸本体50の一部を起上台45の回転軸連結孔46に対して相対回転不能に嵌合し、第一フランジ52及び第二フランジ53を回転軸用凹部34内に対して回転可能に嵌合し、軸本体50の第二フランジ53より右側に位置する部分(右端部)を接続部用凹部32内に位置させる。すると回転軸49が先端硬質部19(軸受け凹部28a、回転軸用凹部34)に対して自身の軸線回りに回転可能となるので、回転軸連結孔46及び軸本体50によって回転軸49に対する相対回転が規制された起上台45が先端硬質部19に対して回転軸49(起上台45の回転中心軸)と一緒に回転可能となる。さらにOリングRが弾性変形しながら回転軸用凹部34の内周面全体に水密状態で接触する。
【0023】
続いて、操作ワイヤ38の前端部(変形可能部)38aを変形(屈曲)させながら、接続部55の本体部56を回転軸49の右端部に対して接近させる(
図4参照)。このとき、接続部55のピン取付片57を上下方向に対して前側に傾斜させておく(接続部用凹部32の前面と略平行にする)。
そしてピン取付片57の前傾状態を維持し(接続部用凹部32の前面との略平行状態を維持し)かつ操作ワイヤ38の前端部38aを変形(屈曲)させながら、接続部55の本体部56を軸本体50の右端部に対して相対回転不能かつ回転軸49の軸線方向に相対スライド可能に嵌合する(
図5参照)。すると接続部55全体が接続部用凹部32内に収納され、かつ、左右のピン取付片57が逃げ溝33と同じ左右方向位置に位置する(
図5、
図9参照)。さらに、接続部55の軸本体50に対する左方移動が、本体部56の左端面が第二フランジ53(第一スライド規制部)に当接する位置で規制される。
【0024】
このようにして接続部55を回転軸49に対して接続すると、回転軸49及び接続部55によって操作ワイヤ38(接続ピン39)と起上台45が互いに連係する。そのため操作部11に設けた起上台操作レバー40を一方向に回転操作すると操作ワイヤ38が挿入部12(ケーブル挿入孔35及びケーブル挿入用チューブ36)に対して後方に移動し、さらに
図6の実線で示すように接続部55(ピン取付片57)が回転軸49を中心に後方に回転する。ピン取付片57のピン取付孔59(接続ピン39)の位置が本体部56の軸接続孔58から回転軸49の径方向にオフセットしているので、操作ワイヤ38から接続ピン39を介してピン取付片57に伝わった回転力(回転トルク)は、(操作ワイヤ38が本体部56に接続している場合と比べて)大きな回転力(回転トルク)となって回転軸49及び起上台45に伝わる。従って、起上台45が大きな回転力を伴いながら後方に回転する。
一方、起上台操作レバー40を逆方向に回転操作すると操作ワイヤ38が挿入部12(ケーブル挿入孔35及びケーブル挿入用チューブ36)に対して前方に移動するので、接続部55(ピン取付片57)が回転軸49を中心に前方に回転しさらに起上台45が前方に回転する。
図示するように接続部55の長手方向寸法は接続部用凹部32の上下寸法より長い。しかし、接続部55(ピン取付片57)が前傾状態(接続部用凹部32の前面と略平行な状態)から後方に回転すると接続部55のピン取付片57の先端部が逃げ溝33内に移動するので(
図6及び
図9参照)、接続部55(ピン取付片57)が前傾状態から後方へ回転したときに接続部55のピン取付片57が接続部用凹部32(逃げ溝33)の内面と干渉することはない。
【0025】
図7に示すように連結部材用凹部30のカバー用凹部31には、前端部38a及び連結部材48を覆う態様で、先端硬質部19の外側から金属製カバー62(カバー)が着脱可能に装着してある。
金属製カバー62の外周面形状はカバー用凹部31の内周面形状と同一である。そのため金属製カバー62をカバー用凹部31に装着すると、金属製カバー62の外周面がカバー用凹部31の内周面に対して水密状態で接触する。さらに金属製カバー62の前後二カ所に穿設した貫通孔(図示略)に対して二本のボルト64を挿入してあり、各ボルト64の頭部65を金属製カバー62の外面に圧接させながらボルト64の雄ネジ部(図示略)を各雌ネジ孔31aに対して螺合してある。そのため、ボルト64によって金属製カバー62がカバー用凹部31(接続部用凹部32)に対して固定してある。
そして金属製カバー62をカバー用凹部31に固定すると、金属製カバー62の内面(左側面)に形成した移動規制面62a(第二スライド規制部)が軸本体50の右端面と、本体部56(軸接続孔58)の左右幅より狭い距離で対向する(
図8参照)。従って、接続部55の本体部56と軸本体50の嵌合関係が解除されて、接続部55が軸本体50の右端部から脱落することはない。
【0026】
さらにカバー用凹部31には金属製カバー62の外側から硬質樹脂製の外面カバー66(カバー)が着脱可能に装着してある(
図8参照)。外面カバー66の外周面形状はカバー用凹部31の内周面形状と同一である。また外面カバー66の外面形状(右側面形状)は先端硬質部19の外周面形状と連続する湾曲形状である。そのため外面カバー66をカバー用凹部31に装着すると、外面カバー66の外面が先端硬質部19の外周面と連続する(
図8参照)。
【0027】
以上構成の超音波内視鏡10は、超音波プローブ23に弾性材料製(例えばシリコンゴム製)のバルーン(図示略)を被せかつ超音波プローブ23とバルーンの間に出来た空間に水を充填させた上で、挿入部12を被験者の体腔等に挿入して使用する。
処置具挿入口突起11aからキャップ11bを取り外した後に、処置具挿入口突起11aの開口部から穿刺針(図示略。処置具)の先端部を上記処置具挿通用チューブ内に挿入すると、穿刺針の先端部が処置具挿通用チューブの先端開口から前方に突出する。すると穿刺針の先端近傍部が起上台45の上面によって支持される。この状態で超音波プローブ23から超音波を発信すると、穿刺針によって反射された超音波が超音波プローブ23によって受信され、穿刺針の先端部が上記CRTモニタに超音波画像として表示される。
術者がCRTモニタを見ながら起上台操作レバー40を回転操作すると起上台45が回転する。そのため、穿刺針の先端近傍部が起上台45によって屈曲させられ、穿刺針の先端部の向きが変わる。
従って、超音波内視鏡10の挿入部12を被験者の体腔に挿入した上で起上台45を利用して穿刺針を屈曲させれば、穿刺針を用いた様々な処置が可能になる。
【0028】
超音波内視鏡10による内視鏡術を行うと、超音波内視鏡10の挿入部12に被験者の体液が付着する。そのため内視鏡術の終了後に超音波内視鏡10を洗浄液等を用いながら洗浄する必要がある。
しかし超音波内視鏡10の連結部材用凹部30(カバー用凹部31)は金属製カバー62(及び外面カバー66)によって水密状態で塞がれており、さらに回転軸49と一体化したOリングRが回転軸用凹部34の内周面全体に水密状態で接触している。そのため、挿入部12の表面に付着した体液等が、カバー用凹部31の開口部からカバー用凹部31、接続部用凹部32、及び逃げ溝33側に侵入するおそれは殆どない。また起上台45や起上台用凹部28の右側面に付着した体液が回転軸用凹部34の左端部開口から回転軸用凹部34内に侵入しても、OリングRと回転軸用凹部34の内面の間を通ってOリングRより右側に侵入するおそれは殆どない。そのため超音波内視鏡10を洗浄する際に、金属製カバー62及び外面カバー66をカバー用凹部31から取り外した上で、操作ワイヤ38(前端部38a)、接続部55、並びに、カバー用凹部31、接続部用凹部32、及び逃げ溝33の内面を洗浄する必要はない。
【0029】
さらに本実施形態の超音波内視鏡10は以下の利点を有する。
図9に示すように先端硬質部19の内部の下部には超音波信号ケーブル24が配設してあるため、超音波信号ケーブル24との干渉を避けるべく起上台45及び接続部用凹部32は超音波信号ケーブル24の上方に設けてある。そのため連結部材用凹部30のカバー用凹部31の開口面積を(起上台45及び接続部用凹部32を超音波信号ケーブル24と同じ上下位置に設ける場合と比べて)小さくせざるを得ない。さらに金属製カバー62(及び外面カバー66)をカバー用凹部31に装着させることにより体液がカバー用凹部31の開口部からカバー用凹部31、接続部用凹部32、及び逃げ溝33側に侵入するおそれを小さくしているが、カバー用凹部31の開口面積が大きい場合はそのリスクが大きくなり易い。そのためカバー用凹部31の水密性向上の観点からも、カバー用凹部31の開口面積は小さくせざるを得ない。しかしカバー用凹部31を小さくした結果として接続部用凹部32の開口面積が小さくなると、操作ワイヤ38の前端部38aの長さが短くなるので、操作ワイヤ38の前端部38aの変形可能量が小さくなる。その結果、前端部38aと接続ピン39を介して一体化している接続部55の先端硬質部19(連結部材用凹部30)に対する移動の自由度が低下する。
しかしながら本実施形態では(操作ワイヤ38と一体化した)接続部55と回転軸49とを別体としている。
そのため、先端硬質部19の表面に形成した連結部材用凹部30(カバー用凹部31、接続部用凹部32)の開口面積が小さくかつ連結部材48の回転軸49の全長が長い場合であっても、(操作ワイヤ38と分離している)回転軸49のみを先端硬質部19(連結部材用凹部30)及び起上台45(回転軸連結孔46)に対して容易に装着可能である。
また接続部55を回転軸49(軸本体50)に対して装着させるために必要な接続部55の移動量(前端部38aの変形量)は、回転軸49と接続部55を分離不能に一体化した連結部材(の回転軸49)を先端硬質部19(連結部材用凹部30)及び起上台45(回転軸連結孔46)に対して装着させるために必要な当該連結部材の移動量(前端部38aの変形量)より小さい。そのため、先端硬質部19の表面に形成した連結部材用凹部30(カバー用凹部31、接続部用凹部32)の開口面積が小さくかつ連結部材48の回転軸49の全長が長い場合であっても、(操作ワイヤ38と一体化している)接続部55を回転軸49に対して容易に着脱できる。
なお、連結部材48(回転軸49、接続部55)を先端硬質部19(連結部材用凹部30)及び起上台45(回転軸連結孔46)から取り外す場合も、これと同様の利点が得られる。即ち、連結部材48を先端硬質部19(連結部材用凹部30)及び起上台45(回転軸連結孔46)から取り外す際は、操作ワイヤ38と接続ピン39を介して一体化している接続部55のみを(連結部材用凹部30及び起上台45に装着した)回転軸49から容易に取り外すこと、及び、(操作ワイヤ38と分離している)回転軸49を先端硬質部19(連結部材用凹部30)及び起上台45(回転軸連結孔46)から容易に取り外すことが可能である。
【0030】
また接続部用凹部32の中で前後寸法が最も小さい狭幅部32aを一対の雌ネジ孔31aの間に位置させている。そのため、カバー用凹部31及び接続部用凹部32の開口面積を小さくしつつ、二本のボルト64により金属製カバー62をカバー用凹部31(接続部用凹部32)に対して強固に固定可能である。
【0031】
以上、上記実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば、接続部55の軸接続孔58を、その右側端部が閉塞した凹部に変更してもよい。
また、接続部55側に凸部を形成し、回転軸49の右端面に当該凸部と相対回転不能に嵌合する凹部(又は貫通孔)を形成し、この凸部と凹部(又は貫通孔)により回転軸49と接続部55を着脱可能に接続してもよい。
上下方向に向いた接続部55の長手方向寸法よりも接続部用凹部32の上下寸法を大きくした上で逃げ溝33を省略してもよい。
起上台45や連結部材48の材質は金属以外のものであってもよい。
【0032】
また上記実施形態は超音波内視鏡10に本発明を適用したものであるが、超音波プローブ23を具備しない内視鏡(超音波機能を具備しない通常の内視鏡)に本発明を適用してもよい。
また起上台45によって屈曲させる(可撓性を有する)処置具として、穿刺針以外のもの(例えば、造影チューブやベビースコープなど)を利用することが可能である。