(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1アーム部の先端には、前記電気機器の電源部の側壁に当接して、前記第1アーム部の回動範囲を前記受電部が前記給電部に係合される位置から係合解除される位置の間に規制する第1規制部が設けられ、
前記第2アーム部の先端には、前記側壁に当接して、前記第2アーム部の回動範囲を前記第2係合部が前記支持部に係合される位置から係合解除される位置の間に規制する第2規制部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の固定構造。
前記円弧部A1、前記円弧部B11、前記円弧部B12、前記円弧部A2、前記円弧部B21、及び、前記円弧部B22は、いずれも曲率半径がほぼ等しいことを特徴とする請求項7に記載の固定構造。
前記第1操作部は、前記配線ダクトの前記支持部に支持される第1係合部を有し、前記受電部の係合及び係合解除を行うのと同時に、前記支持部に対する前記第1係合部の係合及び係合解除を行うことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の固定構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような照明装置において、受電部は電気的な接点を実現する部分であるので、同軸上に係合部を近接配置する場合には、安全面のために係合部には絶縁樹脂などを用いるのが良いと言える。
【0005】
しかしながら、係合部を絶縁樹脂などで構成すると照明装置の重量が大きい場合、支持強度が不足する恐れがある。
そこで、例えば、配線ダクトに沿う別の位置に、別途、係合部を設けるようにすれば、この係合部に金属などの強度の高い材料を用いることができるので、前述のような支持強度不足の問題を解消することが可能である。
【0006】
ところが、照明装置の取外し時に、受電部の係合を解除する前に、係合部の係合を解除してしまうと、受電部に大きな負荷がかかり、受電部を破損する恐れがある。
逆に、照明装置の固定時でも、先に受電部の係合を行い、次に係合部の係合を行う手順としてしまうと、係合部の係合が完了するまでの間に、受電部に大きな負荷がかかり、受電部を破損する恐れがある。
なお、このようなことは、照明装置のような電気機器のみに限らず、配線ダクトに取付けられる、例えば、カメラ等の電気機器においても同様である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、配線ダクトへの電気機器の固定や取外し時に受電部への過負荷による破損を防止した照明装置などの電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の固定構造は、配線ダクトに電気機器を固定するための固定構造であって、前記配線ダクトの給電部から給電を受ける受電部を有し、前記給電部に対する前記受電部の係合及び係合解除を行う第1操作部と、前記配線ダクトの支持部に支持される第2係合部を有し、前記支持部に対する前記第2係合部の係合及び係合解除を行う第2操作部と、前記第1操作部に設けられ、前記第2操作部を係止する第1係止部と、を含む。
【0009】
(2)上記(1)の構成において、前記第2操作部が前記第1係止部に係止されることにより、前記給電部に対する前記受電部の係合が解除されるまで、前記第2操作部の前記支持部に対する前記第2係合部の係合を解除する操作が抑制される。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記第2操作部は、前記第1操作部を係止する第2係止部を備え、前記第1操作部が前記第2係止部に係止されることにより、前記支持部に前記第2係合部が係合されるまで、前記第1操作部の前記給電部に前記受電部を係合する操作が抑制される。
【0011】
(4)上記(3)の構成において、前記第1操作部は、第1回転軸に対して回転可能に設けられる第1基端部と前記第1基端部から外側に延びる第1アーム部と、を含み、前記第2操作部は、第2回転軸に対して回転可能に設けられる第2基端部と前記第2基端部から外側に延びる第2アーム部と、を含む。
【0012】
(5)上記(4)の構成において、前記第1アーム部の先端には、前記電気機器の電源部の側壁に当接して、前記第1アーム部の回動範囲を前記受電部が前記給電部に係合される位置から係合解除される位置の間に規制する第1規制部が設けられ、前記第2アーム部の先端には、前記側壁に当接して、前記第2アーム部の回動範囲を前記第2係合部が前記支持部に係合される位置から係合解除される位置の間に規制する第2規制部が設けられている。
【0013】
(6)上記(4)又は(5)の構成において、前記第2回転軸が前記電気機器の本体部の回転軸とほぼ同軸となる位置に設定される。
【0014】
(7)上記(4)又は(5)のいずれか1つの構成において、前記第2回転軸が前記電気機器の本体部の重心上に設定される。
【0015】
(8)上記(4)から(7)のいずれか1つの構成において、前記第1アーム部は、前記第2アーム部側の側面に形成された第1アーム部の内側に向かって凹む円弧部A1を有し、前記第1基端部は、前記円弧部A1と繋がるように外周部に形成された円弧部B1を有し、前記円弧部B1が前記第1アーム部から離れる側に向かって前記円弧部A1側から順に、外側に膨らむ円弧部B11と前記円弧部B11に続く内側に凹む円弧部B12を有し、前記第2アーム部は、前記第1アーム部側の側面に形成された第2アーム部の内側に向かって凹む円弧部A2を有し、前記第2基端部は、前記円弧部A2と繋がるように外周部に形成された円弧部B2を有し、前記円弧部B2が前記第2アーム部から離れる側に向かって前記円弧部A2側から順に、外側に膨らむ円弧部B21と前記円弧部B21に続く内側に凹む円弧部B22を有し、前記第1係止部が、前記第1操作部の前記円弧部A1及び前記円弧部B11からなり、前記第2係止部が、前記第2操作部の前記円弧部A2及び前記円弧部B21からなる。
【0016】
(9)上記(8)の構成において、前記円弧部A1、前記円弧部B11、前記円弧部B12、前記円弧部A2、前記円弧部B21、及び、前記円弧部B22は、いずれも曲率半径がほぼ等しい。
【0017】
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つの構成において、前記第1操作部は、前記配線ダクトの前記支持部に支持される第1係合部を有し、前記受電部の係合及び係合解除を行うのと同時に、前記支持部に対する前記第1係合部の係合及び係合解除を行う。
【0018】
(11)本発明の照明装置は、電源部と、照明部と、を備え、上記(1)から(10)のいずれか1つの構成からなる固定構造が前記電源部に設けられている。
【0019】
(12)本発明の照明装置の固定取外し方法は、配線ダクトへの電気機器の固定及び取外しを行う固定取外し方法であって、前記電気機器は、前記配線ダクトの給電部に対して前記電気機器の受電部の係合及び係合解除を行う第1操作部と前記配線ダクトの支持部に前記電気機器の第2係合部の係合及び係合解除を行う第2操作部と、を備え、前記電気機器を前記配線ダクトから取外すステップが、前記第2操作部の操作抑制状態を解除するように、前記第1操作部を操作して前記配線ダクトの前記給電部から前記受電部の係合解除を行うステップAと、前記ステップA以降に行われる前記第2操作部を操作して前記配線ダクトの前記支持部から前記第2係合部の係合解除を行うステップBと、を含み、前記電気機器を前記配線ダクトに固定するステップが、前記第1操作部の操作抑制状態を解除するように、前記第2操作部を操作して前記配線ダクトの前記支持部に前記第2係合部の係合を行うステップCと、前記ステップC以降に行われる前記第1操作部を操作して前記配線ダクトの前記給電部に前記受電部の係合を行うステップDと、を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配線ダクトへの電気機器の固定や取外し時に受電部への過負荷による破損を防止した照明装置などの電気機器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0023】
以下、本発明に係る実施形態では、電気機器が照明装置である場合を例にとって説明を行う。
図1は、本発明に係る実施形態の照明装置を天井や壁面などに設置される配線ダクト1に固定した状態を示す図あり、
図2は、
図1のP−P線に沿った配線ダクトの断面図である。
【0024】
配線ダクト1自体は、例えば、JIS C8366(ライティングダクト)などで定められるようなものであり、
図2に示すように、長手方向にスリット状に開口する開口部2と、その開口部2に沿って離間して設けられる照明装置10(
図1参照)を支持する支持部3となる支持レールと照明装置10(
図1参照)に給電を行う給電部4となる給電レールとを備えている。
【0025】
図1に示すように、照明装置10は、照明装置10の本体部である照明部20と電源部30とを備える。
図3は、
図1の配線ダクト1側の壁面部31が見えるようにした照明装置10の電源部30だけを示した斜視図である。
なお、この壁面部31の配線ダクト1側の面を表面31aと呼び、この表面31aと反対側に位置する電源部30の内側の面を裏面31bと呼ぶ。
【0026】
図3に示すように、壁面部31には、配線ダクト1の給電部4からの給電を受ける受電部41を、給電部4に対して係合及び係合解除するための第1操作部40が設けられている。
また、配線ダクト1の支持部3に支持される第2係合部51を、支持部3に対して係合及び係合解除するための第2操作部50が設けられている。
【0027】
なお、本実施形態では、第2操作部50を配線ダクト1の長手方向に沿うように離間して2つ設ける場合を示しているが、第2操作部50は、複数設けることに限定されるものではなく、少なくとも第1操作部40に隣接して設けられる第2操作部50が1つあれば良い。
但し、第2操作部50を複数設けることで、配線ダクト1に対して安定して固定することができる。
【0028】
次に、第1操作部40及び第2操作部50の詳細な構成について説明する。
図4は、
図3に示す第1操作部40及び第2操作部50の分解斜視図を示した図である。
また、
図5は、
図4に示す第1操作部40及び第2操作部50を電源部30の壁面部31に取付けた状態を示す一部断面図である。
【0029】
(第1操作部)
図4に示すように、第1操作部40は、第1回転軸Fに対して回転可能に設けられる第1基端部42と第1基端部42から外側に延びる第1アーム部43とを備えており、その第1基端部42に組付けられる第1係合部44及び受電部41を備えている。
なお、第1係合部44は、受電部41と接触することになるので、絶縁樹脂からなるものとしている。
また、第1基端部42と第1アーム部43も同様に絶縁樹脂からなるものとしている。
【0030】
より具体的には、
図4に示す第1基端部42の中央の矩形状の開口42c及び第1係合部44の中央の矩形状の開口44aに対して、この開口42c、44aの図のZ方向に対向するそれぞれの辺に、L字板状の受電部41を当接させるように配置し、その受電部41間を通すように矩形状の軸部45を配置するようにして、第1基端部42に第1係合部44及び受電部41を組付けるようにしている。
【0031】
このように、第1係合部44及び受電部41を第1基端部42に対して組付けることで、第1アーム部43を回動操作して、第1基端部42を第1回転軸Fに対して回転させると、第1係合部44及び受電部41も第1回転軸Fに対して回転するようにしている。
【0032】
そして、
図4に示すように、壁面部31の裏面31b側には抜け止め部材46が設けられ、
図5に示すように、抜け止め部材46は、軸部45の先端に嵌合されるとともに、軸部45と抜け止め部材46とは、中央を貫通するように設けられるネジ47aと軸部45の基端側に設けられるナット47bによる締め付けによって一体化されている。
【0033】
(第2操作部)
図4に示すように、第2操作部50は、第2回転軸Gに対して回転可能に設けられる第2基端部52と第2基端部52から外側に延びる第2アーム部53とを備えており、その第2基端部52に組付けられるスペーサ54及び第2係合部51を備えている。
【0034】
第2操作部50は、配線ダクト1の給電部4と電気接続する部分ではないので電気絶縁の必要がない。
したがって、第2係合部51は、金属からなるものとして支持強度を高くしている。
また、第2基端部52及び第2アーム部53も金属のプレス加工からなるものを使用しており、樹脂成形する場合よりも部品コストが低減されるようにしている。
【0035】
一方、
図4及び
図5に示すように、壁面部31の第2基端部52が配置される部分は、表面31a側に出っ張るように台座部33が形成されている。
上述のように、第2基端部52はプレス加工によって形成されているので、樹脂成形からなる厚みを持った第1基端部よりも薄いので、第1基端部42と第2基端部52が近接配置される箇所(
図5の丸囲みQ参照)において、第2基端部52の
図5のY方向の高さ位置を適切な位置にするために台座部33を形成している。
なお、この台座部33も壁面部31を金属にしておけばプレス加工で安価に形成することが可能である。
【0036】
スペーサ54は、上述のように、第2基端部52が薄く形成されているので、第2係合部51の
図5のY方向の高さ位置を適切な位置にするために設けている部材である。
【0037】
ここで、
図4に示すように、第2基端部52の中央には、ネジ56を通すネジ孔56aが形成されているが、そのネジ孔56aは図のZ方向に一部長孔となる形状に形成されている。
そして、
図5に示すように、スペーサ54には、第2基端部52のネジ孔56aの長孔部分に嵌合する突起54aが設けられている。
このため、スペーサ54は、第2基端部52に組付けられると、第2基端部52と一緒に第2回転軸Gに対して回転するようになっている。
【0038】
また、
図4に示すように、スペーサ54の第2係合部51が配置される第2係合部配置部54bには、中央のネジ孔45cを挟んで図のZ方向に一対の突起54dが設けられている。
一方、第2係合部51に設けられる中央のネジ孔51aは、第2基端部52のネジ孔56aと同様に図のZ方向に一部長孔となる形状に形成されている。
そして、第2係合部51は、この突起54dにネジ孔51aの長孔部分を嵌合させるように、スペーサ54の第2係合部配置部54b上配置される。
したがって、第2係合部51も第2基端部52と一緒に第2回転軸Gに対して回転するようになっている。
【0039】
なお、壁面部31への取付けは、
図4に示した第2係合部51、スペーサ54及び第2基端部52の各ネジ孔51a、54c及び56aにネジ56を表面31a側から通し、
図5に示すように、壁面部31の裏面31b側に出たネジ56の先端にワッシャ57を入れてナット58で締め付けることで行われている。
【0040】
[照明装置の固定取外し方法]
次に、以上のような第1操作部40及び第2操作部50からなる構成の配線ダクト1に対する固定構造を備える照明装置10の配線ダクト1への固定及び取外しを行う固定取外し方法について説明する。
【0041】
なお、第1操作部40から離れて設けられる第2操作部50は、第1操作部40に近接配置される第2操作部50と構造自体が同じであり、基本的な操作も同様であることから、以下の説明では、第1操作部40と第1操作部40に近接配置される第2操作部50の操作等について主に説明し、第1操作部40から離れて設けられる第2操作部50の操作については説明を割愛する。
【0042】
但し、これから詳細に説明するが、第1操作部40に近接配置される第2操作部50は、第1操作部40と相互に関連して操作されることになるが、第1操作部40から離れて設けられる第2操作部50については、第1操作部40の操作に関係なく操作が可能である点が異なる。
【0043】
図6から
図8は、電源部30の壁面部31の表面31aを正面として見た正面図である。
なお、
図6から
図8においては、第2基端部52の
図5に示した丸囲みQの部分を隠すように設けられている第1基端部42の部分(
図5のQ1参照)を切り欠いて、第1基端部42と第2基端部52が近接配置される部分が表面31aを正面に見る正面視で見えるようにしたものになっている。
【0044】
また、
図6から
図8には、第1アーム部43及び第2アーム部53が、どのように回動操作されると、配線ダクト1に対して受電部41、第1係合部44及び第2係合部51が係合状態になり、逆に、係合解除状態になるのかを両矢印で示している。
【0045】
(配線ダクトへの固定)
図6は、第1アーム部43及び第2アーム部53の両方が、係合解除側に位置するとき、つまり、照明装置10を配線ダクト1に固定する前の状態を示しているものである。
先ず、この状態から配線ダクト1に照明装置10を固定する方法(固定ステップ)について説明する。
【0046】
図6を見るとわかるように、この状態のときには、第2操作部50を操作して、
図7に示すように、第2係合部51が配線ダクト1の支持部3に係合される状態となるまでの間、第1操作部40が第2操作部50に係止されているので、第1操作部40を操作して配線ダクト1の給電部4に受電部41を係合する操作ができないように抑制されている。
【0047】
したがって、照明装置10の配線ダクト1への固定は、先ず、第1操作部40の操作抑制状態を解除するように、第2操作部50を操作して配線ダクト1の支持部3に第2係合部51の係合を行うステップCを実施する必要がある。
【0048】
このため、支持部3に第2係合部51を係合させる前に、給電部4に受電部41の係合を行ってしまい、支持部3に第2係合部51を係合させるまでの間に、照明装置10の重量に耐えかねて受電部41が破損することが回避される。
【0049】
この動きを可能にしている本実施形態の具体的な構造部分について
図7を参照して説明する。
第2アーム部53には、第2係合部51を係合解除させる回転方向側の側面に形成された第2アーム部53の内側に向かって凹む円弧部53aが形成されており、第2基端部52は、円弧部53aと繋がるように外周部に形成された円弧部52aが設けられている。
【0050】
さらに、この第2基端部52に設けられた円弧部52aは、第2係合部51を係合解除させる回転方向に向かって円弧部53a側から順に、外側に膨らむ円弧部52bと円弧部52bに続く内側に凹む円弧部52cとからなるようになっている。
【0051】
このように第2操作部50に円弧部を設けておくと、円弧部53aと円弧部52bとが第1操作部40の第1基端部42を係止する第2係止部となって、
図6に示したように第1操作部40の操作を抑制する。
【0052】
一方、
図7に示したように、第2操作部50が係合側に操作されているときには、第2操作部50の円弧部52cが第1操作部40の第1基端部42を受け入れる第2受入部となり、第1操作部40の係合側への回動操作が可能となる。
【0053】
そして、ステップCを行った後であれば、
図7に示すように、第1操作部40の操作が可能となるので、次に、第1操作部40を操作して配線ダクト1の給電部4に受電部41の係合を行うステップDを実施して、
図8に示すように、第1操作部40及び第2操作部50が共に係合側に操作された状態、つまり、照明装置10が配線ダクト1に固定された状態となる。
【0054】
(配線ダクトからの取外し)
上述の通り、
図8は、照明装置10が配線ダクト1に固定された状態にある。
次に、この状態から照明装置10を取外す方法(取外すステップ)について説明する。
【0055】
図8を見るとわかるように、この状態のときには、第1操作部40を操作して、
図7に示すように、配線ダクト1の給電部4に対する受電部41の係合が解除される状態となるまでの間、第2操作部50が第1操作部40に係止されているので、第2操作部50を操作して配線ダクト1の支持部3に対する第2係合部51の係合を解除する操作ができないように抑制されている。
【0056】
したがって、照明装置10の配線ダクト1からの取外しは、先ず、第2操作部50の操作抑制状態を解除するように、第1操作部40を操作して配線ダクト1の給電部4から受電部41の係合解除を行うステップAを実施する必要がある。
【0057】
このため、給電部4から受電部41の係合解除を行う前に、先に、第2係合部51の係合解除を行ってしまい、給電部4からの受電部41の係合解除を行うまでの間に、照明装置10の重量に耐えかねて受電部41が破損することが回避される。
【0058】
この動きを可能にしている本実施形態の具体的な構造部分について
図7を参照して説明する。
第1アーム部43には、受電部41を係合させる回転方向側の側面に形成された第1アーム部43の内側に向かって凹む円弧部43aが形成されており、第1基端部42は、円弧部43aと繋がるように外周部に形成された円弧部42aが設けられている。
【0059】
さらに、この第1基端部42に設けられた円弧部42aは、受電部41を係合させる回転方向に向かって円弧部43a側から順に、外側に膨らむ円弧部42bと円弧部42bに続く内側に凹む円弧部42cとからなっている。
【0060】
このように第1操作部40に円弧部を設けておくと、円弧部43aと円弧部42bとは第2操作部50の第2基端部52を係止する第1係止部となって、
図8に示したように第2操作部50の操作を抑制する。
【0061】
一方、
図7に示したように、第1操作部40が係合解除側に操作されているときには、第1操作部40の円弧部42cが第2操作部50の第2基端部52を受け入れる第1受入部となり、第2操作部50の係合解除側への回動操作が可能となる。
【0062】
そして、ステップAを行った後であれば、
図7に示すように、第2操作部50の操作が可能となるので、次に、第2操作部50を操作して配線ダクト1の支持部3から第2係合部51の係合解除を行うステップBを実施して、
図6に示すように、第1操作部40及び第2操作部50が共に係合解除側に操作された状態、つまり、照明装置10が配線ダクト1から取外した状態となる。
【0063】
なお、本実施形態の円弧部43a、42b、42c、53a、52b及び52cは、曲率半径がほぼ等しい円弧からなる円弧部としている。
また、第1操作部40と第2操作部50との位置関係は、
図7を参照して説明した第1操作部40の円弧部42cと第2操作部50の円弧部52bとが、
図6に示すように、回転摺動できる程度の小さい隙間を介して合わさることができるように配置されている。
【0064】
一方、
図3に示すように、第1アーム部43の先端には、第1アーム部43の先端から電源部30の側面35側に突出して側面35に当接できるようにした第1アーム部43の回動範囲を規制する第1規制部43bが設けられている。
【0065】
具体的には、
図6及び
図8を見るとわかるように、この第1規制部43bは、第1アーム部43の回動範囲を受電部41が給電部4に係合される位置から係合解除される位置の間に規制している。
【0066】
また、
図3に示すように、第2アーム部53の先端には、第2アーム部53の先端から電源部30の側面35側に突出して側面35に当接できるようにした第2アーム部53の回動範囲を規制する第2規制部53bが設けられている。
【0067】
具体的には、
図6及び
図8を見るとわかるように、この第2規制部53bは、第2アーム部53の回動範囲を第2係合部51が支持部3に係合される位置から係合解除される位置の間に規制している。
【0068】
したがって、第1アーム部43の回動操作は、第1規制部43bで規制されるまで行えばよく、回動させすぎることが回避され、同様に、第2アーム部53の回動操作は、第2規制部53bで規制されるまで行えばよく、回動させすぎることが回避される。
【0069】
加えて、本実施形態では、
図6を見るとわかるように、第1係合部44、受電部41及び第2係合部51は、対角に位置する一対の角部がR形状に面取りされている。
【0070】
より具体的には、第1係合部44及び受電部41は、第1アーム部43に近い側の角部とそれと対角を成す角部とがR形状に面取りされている。
同様に、第2係合部も第2アーム部53に近い側の角部とそれと対角を成す角部とがR形状に面取りされている。
【0071】
この面取りされた角部は、係合されるときに配線ダクト1のレール(支持レール、給電レール)に対する挿入開始側となる角部であるとともに、係合解除時には、レールに沿って回動する角部であるので、このように面取りすることで係合及び係合解除のときに、この角部がレールに引っ掛かるようなことがなくスムーズな動作がおこなえるようになる。
【0072】
さらに、照明方向を任意に変えることができるよう、配線ダクト1に対して照明装置10の照明部20が回転駆動可能となっている場合、照明部20の回転駆動時の固定安定性の観点から第1操作部40に近接配置される第2操作部50の第2回転軸G(
図4及び
図5参照)が、照明部20の回動駆動の回転軸と同軸となるように設定されることが好ましい。
【0073】
なお、本実施形態では、照明装置10を例にとって説明しているが、例えば、対象とする電気機器がカメラ装置のようなもので、そのカメラ装置の本体部であるカメラが回転駆動可能である場合、第1操作部40に近接配置される第2操作部50の第2回転軸G(
図4及び
図5参照)が、本体部であるカメラの回動駆動の回転軸と同軸となるように設定されることが好ましい。
【0074】
したがって、第2操作部50の第2回転軸Gは、照明装置10やカメラ装置などの電気機器における本体部(例えば、照明部20やカメラ等)の回動駆動の回転軸と同軸となるように設定されることが好ましい。
【0075】
一方、回動駆動しない照明部20の場合には、安定して照明部20の重量を受ける観点から、第1操作部40に近接配置される第2操作部50の第2回転軸Gが、照明部20の重心上に設定されることが好ましい。
なお、例えば、電気機器が照明装置10ではなく、カメラ装置の場合には、第1操作部40に近接配置される第2操作部50の第2回転軸Gが、カメラ装置の本体部であるカメラの重心上に設定されることが好ましい。
【0076】
したがって、電気機器が回動駆動しない場合には、第1操作部40に近接配置される第2操作部50の第2回転軸Gは、照明装置10やカメラ装置などの電気機器における本体部(例えば、照明部20やカメラ等)の重心上に設定されることが好ましい。
【0077】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
本実施形態では、
図7を見るとわかるように、第1操作部40及び第2操作部50は、それぞれアーム操作(第1アーム部43及び第2アーム部53)の係合側に第2操作部50が配置され、係合解除側に第1操作部40が配置されるようにしているが、この配置の関係は、逆であっても良いことは言うまでもない。
【0078】
この場合、上記で説明した第2操作部50の円弧部53a、52aの形状を第1操作部40に適用して、第1操作部40の円弧部43a、42aの形状を第2操作部50に適用すれば良い。
【0079】
したがって、上記では、この円弧部の形状について、操作の説明と合わせて
図6から
図8との対比がしやすいように、受電部41を係合させる回転方向、及び、第2係合部51を係合解除させる回転方向を基準として説明したが、
図6から
図8に示した第1操作部40と第2操作部50との位置関係が反対に配置された場合を含む一般的な表現について再び
図7を参照して説明すると以下のようになる。
【0080】
第1アーム部43は、第2アーム部53側の側面に形成された第1アーム部の内側に向かって凹む円弧部43a(本発明の円弧部A1)を有し、第1基端部42は円弧部43aと繋がるように外周部に形成された円弧部42a(本発明の円弧部B1)を有している。
そして、円弧部42a(本発明の円弧部B1)は第1アーム部43から離れる側に向かって円弧部43a側から順に、外側に膨らむ円弧部42b(本発明の円弧部B11)と円弧部42bに続く内側に凹む円弧部42c(本発明の円弧部B12)を有している。
【0081】
また、第2アーム部53は、第1アーム部43側の側面に形成された第2アーム部53の内側に向かって凹む円弧部53a(本発明の円弧部A2)を有し、第2基端部52は、円弧部53aと繋がるように外周部に形成された円弧部52a(本発明の円弧部B2)を有している。
そして、円弧部52a(本発明の円弧部B2)が第2アーム部53から離れる側に向かって円弧部53aから順に、外側に膨らむ円弧部52b(本発明の円弧部B21)と円弧部52bに続く内側に凹む円弧部52c(本発明の円弧部B22)を有している。
【0082】
このような円弧部とすることで第1操作部40及び第2操作部50が、アーム操作(第1アーム部43及び第2アーム部53)の係合側に第1操作部40が配置され、係合解除側に第2操作部50が配置された場合でも、逆に係合側に第2操作部50が配置され、係合解除側に第1操作部40が配置された場合でも、上述の[照明装置の固定取外し方法]で説明した効果を奏することができる。
【0083】
また、上記実施形態では、主に照明装置を例にとって、具体的な説明を行ってきたが、既に少し触れたが、本発明に係る固定構造は、照明装置のような電気機器以外にも、例えば、カメラ装置等の配線ダクトに固定される電気機器に一般に適用して良い。
【0084】
このように、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を行ったものも含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。