(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示されているような欠陥の位置を特定するための基準マークを使用する方法によりマスクブランクの欠陥位置の検査精度を上げることは可能である。
ところで、EUV光を露光光として使用する反射型マスクにおいては、特に多層反射膜に存在する欠陥は、修正が殆ど不可能である上に、転写パターン上で重大な位相欠陥となり得るので、転写パターン欠陥を低減させるためには多層反射膜上の欠陥情報が重要である。従って、少なくとも多層反射膜成膜後に欠陥検査を行い、欠陥情報を取得することが望ましい。そのためには、基板上に多層反射膜を成膜して作製した多層反射膜付き基板の例えば多層反射膜に基準マークを形成することが好ましいと考えられる。
【0009】
しかし、基準マークを多層反射膜に形成する場合には以下のような種々の問題が発生する。
まず、多層反射膜に基準マークを形成するプロセスにおいて、多層反射膜表面を汚染させるリスクがある。多層反射膜表面の汚染は、新たな異物欠陥が生じたり、反射率の低下など、反射型マスクにとって重大な問題を生じる。異物欠陥などは洗浄により除去できる可能性もあるが、洗浄後に高感度検査を行う必要があり、場合によっては検査と洗浄を繰返し行う必要が生じ、検査コストが増えるだけでなく、新たな汚染リスクも増えるおそれがある。また、多層反射膜表面上には、通常、多層反射膜を保護するためのエッチングストッパー機能を有する保護膜(キャッピング層あるいはバッファ層とも呼ばれる。)が設けられ、このような保護膜としてはRu又はその合金材料が一般に用いられることが多いが、このRu又はその合金材料は洗浄耐性に乏しく、上記洗浄によるダメージが大きい。
【0010】
また、多層反射膜に形成した基準マークを基準にして多層反射膜上での欠陥検査を行い、その後のマスク製造における電子線描画工程では、吸収体膜が成膜された後の基準マークでアライメントを行うため、凹形状の基準マーク上に吸収体膜が成膜されることによるマーク形状の変化がアライメント誤差となる可能性がある。また、多層反射膜は例えばSi層とMo層の40〜60周期程度の交互積層膜であるため、多層反射膜に例えばエッチングで基準マークを形成した場合、その断面形状がスロープとなりやすく、このような断面がスロープ形状の基準マークはアライメント精度を低下させる。
また、多層反射膜に基準マークを形成する場合、多層反射膜を深さ方向に完全にエッチングするとガラス基板表面までエッチングが進行してしまい、ガラス基板のリサイクルが困難になるという問題が生じる。
【0011】
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第一に、多層反射膜に基準マークを形成する場合のような多層反射膜の汚染リスクや洗浄によるダメージがなく、しかも電子線描画工程での基準マークに対するアライメント精度が向上する反射型マスクブランクを提供することであり、第二に、この反射型マスクブランクを使用し、欠陥を低減させた反射型マスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため、特に基準マークの形成位置に着目し、鋭意検討した結果、第一に、基板上に多層反射膜を成膜し、多層反射膜に対しては通常の欠陥検査のみを行い、その後、多層反射膜上に積層膜を成膜し、この積層膜の上部に基準マークを形成して、該基準マークが形成された反射型マスクブランクとし、その後、基準マークを基準にして反射型マスクブランクの欠陥検査を行うことにより上記課題を解決することが可能であることを見出した。第二に、基板上に多層反射膜を成膜し、多層反射膜に対しては通常の欠陥検査のみを行い、その後、多層反射膜上に吸収体膜を成膜し、この吸収体膜に基準マークを形成して、該基準マークが形成された反射型マスクブランクとし、その後、基準マークを基準にして反射型マスクブランクの欠陥検査を行うことにより上記課題を解決することが可能であることを見出した。
【0013】
本発明者は、以上の解明事実に基づき、さらに鋭意研究を続けた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
基板上に、EUV光を反射する多層反射膜と、該多層反射膜上に、積層膜が形成されている反射型マスクブランクの製造方法であって、前記基板上に、前記多層反射膜を成膜して多層反射膜付き基板を形成する工程と、前記多層反射膜付き基板に対して欠陥検査を行う工程と、前記多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上に、前記積層膜を成膜する工程と、前記積層膜の上部に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを形成して、該基準マークが形成された反射型マスクブランクを形成する工程と、前記基準マークを基準にして前記反射型マスクブランクの欠陥検査を行う工程と、を含むことを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
(構成2)
基板上に、EUV光を反射する多層反射膜と、該多層反射膜上に、EUV光を吸収する吸収体膜が形成されている反射型マスクブランクの製造方法であって、前記基板上に、前記多層反射膜を成膜して多層反射膜付き基板を形成する工程と、前記多層反射膜付き基板に対して欠陥検査を行う工程と、前記多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上に、前記吸収体膜を成膜する工程と、前記吸収体膜に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを形成して、該基準マークが形成された反射型マスクブランクを形成する工程と、前記基準マークを基準にして前記反射型マスクブランクの欠陥検査を行う工程と、を含むことを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
【0014】
構成1や構成2にあるように、多層反射膜上に成膜した積層膜や吸収体膜に基準マークを形成することにより、以下のような作用効果を有する。
1.基板上に成膜した多層反射膜に対しては通常の欠陥検査のみを行い、基準マークの形成は行わないので、多層反射膜に基準マークを形成する場合の多層反射膜の汚染リスクがなくなる。また、多層反射膜の汚染による欠陥を除去するための洗浄を行う必要がなく、洗浄による多層反射膜表面(保護膜表面)のダメージは生じない。またさらには、多層反射膜の汚染による欠陥を除去するための洗浄と検査を繰返し行う必要も生じないので、検査コストの増大や、新たな汚染リスクの増大の問題も発生しない。
【0015】
2.反射型マスクブランクに対する欠陥検査は、積層膜や吸収体膜に形成した基準マークを基準にして行い、その後のマスク製造における電子線描画工程では、上記と同じ基準マークを用いてアライメントを行うことができるので、アライメント精度が向上する。また、多層反射膜の膜厚に比べて積層膜や吸収体膜の膜厚は薄く、また吸収体膜は単一層か、あるいは多くても2〜3層の積層膜であるため、加工時間を短縮でき、垂直性の高い断面形状の基準マークを形成することができるので、アライメント精度が向上する。
3.積層膜や吸収体膜に基準マークを形成する過程で、ガラス基板へのエッチングダメージは発生しないので、ガラス基板のリサイクルが容易である。
【0016】
また、以上のような積層膜や吸収体膜に基準マークが形成された反射型マスクブランクを得ることによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造される反射型マスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0017】
(構成3)
前記多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と前記反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とが一致している欠陥を元に、前記多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、前記反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合することにより、前記吸収体膜に形成した前記基準マークを基準にした前記多層反射膜付き基板の欠陥検査データを取得することを特徴とする構成1又は2に記載の反射型マスクブランクの製造方法。
構成3にあるように、多層反射膜付き基板の多層反射膜には基準マークを形成しなくても、構成1又は2による多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とが一致している欠陥を元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合し、積層膜や吸収体膜に形成した基準マークを基準とする座標変換を行うことにより、積層膜や吸収体膜に形成した基準マークを基準にした反射型マスクブランクの欠陥検査データに加えて、上記基準マークを基準にした多層反射膜付き基板の欠陥検査データを取得することができる。
【0018】
(構成4)
前記多層反射膜付き基板の欠陥検査は、前記多層反射膜付き基板上の少なくともパターン形成領域の全面に対して行い、前記反射型マスクブランクの欠陥検査は、前記多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥のうちの少なくとも一部の欠陥に対して、その位置を特定して行うことを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の反射型マスクブランクの製造方法。
構成4にあるように、多層反射膜付き基板の欠陥検査は、多層反射膜付き基板上の少なくともパターン形成領域の全面に対して行うが、反射型マスクブランクの欠陥検査は、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥のうちの少なくとも一部の欠陥に対して、その位置を特定して行う、謂わば部分検査を行うことにより、検査時間を大幅に短縮することが可能である。
【0019】
(構成5)
前記多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に擬似欠陥を形成し、前記多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された擬似欠陥と前記反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された前記擬似欠陥に対応する欠陥とを元に、前記多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、前記反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合することを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の反射型マスクブランクの製造方法。
構成5にあるように、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とを重ね合せて両者が一致している欠陥を求める目的のためには、実際の欠陥でなくてもよいので、構成5にあるように、多層反射膜付き基板における多層反射膜上に予め擬似欠陥を形成しておき、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された擬似欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された前記擬似欠陥に対応する欠陥とを元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合するようにしてもよい。
【0020】
(構成6)
前記基準マークを、前記基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に形成し、前記基準マークを形成した前記反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の反射型マスクブランクの製造方法。
構成6にあるように、基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に前記基準マークを形成した反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けて反射型マスクブランクを製造することにより、この反射型マスクブランクを提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
【0021】
(構成7)
前記基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した前記反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の反射型マスクブランクの製造方法。
構成7にあるように、吸収体膜に基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した反射型マスクブランクと、前記基準マークの形成位置情報とを対応付けて反射型マスクブランクを製造することにより、この反射型マスクブランクを提供されたユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。また、基準マークの形成位置を座標計測器で特定することにより、電子線描画機の基準座標の変換が可能となる。したがって、この反射型マスクブランクを提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0022】
(構成8)
前記基準マークの形成位置情報に、さらに前記基準マークを基準とした欠陥情報を加えることを特徴とする構成6又は7に記載の反射型マスクブランクの製造方法。
構成8にあるように、前記基準マークの形成位置情報に、さらに前記基準マークを基準とした多層反射膜付き基板又は反射型マスクブランクにおける欠陥情報を加えて反射型マスクブランクを製造することにより、この反射型マスクブランクを提供されたユーザーはこの基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができるとともに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)し、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0023】
(構成9)
構成1乃至8のいずれかに記載の反射型マスクブランクの製造方法により得られる反射型マスクブランクにおける前記積層膜もしくは前記吸収体膜をパターニングして、積層膜パターンもしくは吸収体膜パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
上記構成の反射型マスクブランクにおける吸収体膜がパターニングされて得られる反射型マスクは、多層反射膜付き基板又は反射型マスクブランクにおける欠陥情報に基づく描画データの補正・修正によって、欠陥を低減させたものが得られる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、積層膜もしくは吸収体膜に基準マークを形成することにより、多層反射膜に基準マークを形成する場合のような多層反射膜の汚染リスクや洗浄によるダメージがなく、しかもマスク製造における電子線描画工程での基準マークに対するアライメント精度が向上し、また基準マークを形成することにより、欠陥の座標管理(基準マークと欠陥の相対位置管理)を高精度で行うことが可能な反射型マスクブランクを提供することができる。
また、本発明によれば、この反射型マスクブランクを使用し、これらの欠陥情報に基づき、描画データの修正を行なうことで欠陥を低減させた反射型マスクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
[基準マーク]
まず、本発明における基準マーク(以下、「本発明の基準マーク」とも呼ぶ。)について詳しく説明する。
図1は、基準マークの配置例を示す反射型マスクブランクの平面図である。
図1では、例えば一例として反射型マスクブランク40の吸収体膜上のコーナー近傍の4箇所に本発明の基準マーク13を形成している。後でも詳しく説明するように、本発明では、基準マークを積層膜や吸収体膜に形成することを特徴としている。
なお、図示していないが、本発明の基準マークの近傍に、該基準マークよりも相対的に大きく、それ自体は基準マークの役割は有していないが、上記基準マーク13との位置関係が予め決められていて、上記基準マーク13の位置を検出し易くするための役割を有するラフアライメントマークを形成するようにしてもよい。
【0027】
図1においては、基準マーク13はいずれも反射型マスクブランク主表面上の破線Aで示すパターン形成領域の境界線上、あるいはパターン形成領域より外周縁側に形成することが好適である。但し、基板外周縁にあまり近いと、他の種類の認識マークと交差する可能性があるので好ましくない。
基準マークの個数は特に限定されない。基準マークについては、最低3個必要であるが、3個以上であっても構わない。
【0028】
図2は、本発明の基準マークを構成するメインマーク及び補助マークの形状例及び配置例を示す図である。また、
図3は、本発明の基準マークを用いた基準点を決定する方法を説明するための図である。
上記基準マークは、欠陥情報における欠陥位置の基準となるものであるが、本発明の基準マーク13は、欠陥位置の基準となる位置(基準点)を決定するためのメインマークと、該メインマークの周囲に配置された補助マークとから構成される。そして、上記メインマークは、点対称の形状であって、且つ、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することが好ましい。
【0029】
図2及び
図3には、上記メインマーク13aと、その周囲に配置された2つの補助マーク13b,13cとから構成される基準マーク13を一例として示している。
本発明において、上記メインマーク13aは、電子線描画機又は欠陥検査光の走査方向(
図3におけるX方向及びY方向)に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状であることが好適である。このように、上記メインマーク13aは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直で且つ平行な辺を少なくとも2組有する多角形状であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置による検出の容易性(確実性)を向上させ、また、欠陥検出位置のばらつきを抑えることができる。
図2及び
図3では、具体例として、上記メインマーク13aが、縦横(X及びY方向)が同じ長さの正方形である場合を示している。この場合、縦横の長さ(L)がそれぞれ200nm以上10μm以下である。
【0030】
上記メインマーク13aは、点対称の形状であることが好ましい。上記の正方形に限らず、例えば
図4の(a)に示すように、正方形の角部が丸みを帯びた形状や、同図(b)のように、八角形の形状や、同図(c)のように、十字形状であってもよい。この場合においても、メインマーク13aの大きさ(縦横の長さ)L)は、200nm以上10μm以下とすることが好適である。具体例として、メインマーク13aが十字形状の場合、その大きさ(縦横の長さ)は、5μm以上10μm以下とすることができる。また、図示していないが、上記メインマーク13aは、直径が200nm以上10μm以下の正円形とすることもできる。
【0031】
また、上記2つの補助マーク13b,13cは、上記メインマーク13aの周囲に、電子線又は欠陥検査光の走査方向(
図3におけるX方向及びY方向)に沿って配置されている。本発明においては、上記補助マーク13b,13cは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることが好適である。補助マークが、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により確実に検出できるため、メインマークの位置を容易に特定することができる。この場合、長辺は、電子線描画機、欠陥検査装置のできるだけ最小回数の走査により検出可能な長さであることが望ましい。例えば、25μm以上600μm以下の長さを有することが望ましい。一方、長辺の長さが短いと、例えば25μm未満であると、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により補助マークをなかなか検出できない恐れがある。また、長辺の長さが長いと、例えば、600μmを超えると、基準マークの形成方法によっては加工時間に1時間/箇所を超えることになるので好ましくない。より好ましくは、長辺の長さは、25μm以上400μm以下、さらに好ましくは、25μm以上200μm以下が望ましい。
【0032】
また、上記補助マーク13b,13cとメインマーク13aは、所定の間隔離間させても良いし、離間させなくても良い。補助マークとメインマークを離間させる場合、間隔は特に制約されないが、本発明においては例えば25μm〜50μm程度の範囲とすることが好適である。
なお、上記メインマーク13a、補助マーク13b、13cはいずれも断面形状を凹形状とし、基準マークの高さ方向に所望の深さを設けることで認識し得る基準マークとしている。電子線や欠陥検査光による検出精度を向上させる観点から、凹形状の底部から表面側へ向かって広がるように形成された断面形状であることが好ましく、この場合の基準マークの側壁の傾斜角度は75度以上であることが好ましい。さらに好ましくは、80度以上、さらに好ましくは、85度以上とすることが望ましい。基準マークの側壁の傾斜角度の上限は、105度以下であることが好ましい。さらに好ましくは、100度以下、さらに好ましくは、95度以下である。基準マークの側壁の傾斜角度は、75度以上105度以下、さらに好ましくは、80度以上100度以下、さらに好ましくは、85度以上95度以下とすることが望ましい。
【0033】
上記基準マークを用いて、欠陥位置の基準となる基準点は次のようにして決定される(
図3を参照)。
上記補助マーク13b,13c上を電子線、あるいは欠陥検査光がX方向、Y方向に走査し、これら補助マークを検出することにより、メインマーク13aの位置を大まかに特定することができる。位置が特定された上記メインマーク13a上を電子線、あるいは検査光がX方向及びY方向に走査後、(上記補助マークの走査により検出された)メインマーク13a上の交点P(通常、メインマークの略中心)をもって基準点を決定する。
【0034】
上記したように、上記補助マーク13b、13cは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることが好ましく、この場合、長辺は、電子線描画機、欠陥検査装置のできるだけ最小回数の走査により検出可能な長さ、例えば25μm以上600μm以下の長さを有することが好適である。但し、例えば集束イオンビームでこの数百μm程度の長さを形成するとなると、加工時間が長時間必要となる。
そこで、上記補助マークを、
図5に示すように、いくつかの矩形に分割することができる。
図6は、このような態様を具体的に示した例であり、5μm×5μmの大きさのメインマーク13aの一方(Y方向)に、50μm×1μmの大きさの矩形状の補助マーク13b1〜13b6を等間隔で配置し、各補助マーク間の間隔(スペース)は50μmとする。
【0035】
この場合、例えば第1スキャン(1回目のスキャン)では補助マークを外し、上(Y方向)に60μmシフトさせた第2スキャン(2回目のスキャン)でも補助マークを外し、さらに上に60μmシフトさせた第3スキャン(3回目のスキャン)で補助マーク13b5を検出することができる。
このように補助マークを分割し、分割した個々の補助マークの長辺の長さを短くしても、走査ルールを決めて、出来るだけ少ない走査回数で補助マークを確実に検出することが可能である。また、このように補助マークを分割することで、全体の加工時間の短縮が図れる。
【0036】
なお、EUV光を露光光として使用する反射型マスクにおいては、特に多層反射膜に存在する欠陥は、修正が殆ど不可能である上に、転写パターン上で重大な位相欠陥となり得るので、転写パターン欠陥を低減させるためには多層反射膜上の欠陥情報が重要である。従って、少なくとも多層反射膜成膜後に欠陥検査を行い、欠陥情報を取得することが望ましい。但し、多層反射膜付き基板の例えば多層反射膜に本発明の基準マークを形成すると、前述したような種々の問題を生じるため、本発明においては、多層反射膜上では高感度の欠陥検査を行うが、基準マークは、多層反射膜上に成膜される積層膜や吸収体膜に形成し、その後で、基準マークを用いて反射型マスクブランクの欠陥検査を行うようにしている。
【0037】
以上説明したように、本発明の基準マークは、電子線描画機、光学式の欠陥検査装置のいずれでも容易に検出でき、言い換えれば確実に検出することができる。しかも、点対称の形状を有することで、電子線、又は欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができる。従って、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきが小さい。これによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造される反射型マスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0038】
なお、以上の実施の形態では、上記メインマーク13aの周囲に、電子線描画機や欠陥検査装置の走査方向(X方向、Y方向)に沿って2つの補助マーク13b、13cを配置した例について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるわけではない。例えば欠陥の検出が検査光の走査によらない方式においては、メインマークと補助マークとの位置関係が特定されていれば、メインマークに対する補助マークの配置位置は任意である。また、この場合、メインマークの中心ではなく、エッジを基準点とすることもできる。
【0039】
本発明の基準マーク13は、上述のとおり、反射型マスクブランク主表面上の破線Aで示すパターン形成領域の境界線上、あるいはパターン形成領域より外周縁側の任意の位置に形成されることが好適であるが(
図1参照)、この場合、エッジ基準で基準マークを形成したり、或いは基準マークを形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定することが好適である。
【0040】
まず、上記のエッジ基準で基準マークを形成する方法について説明する。
図7及び
図8はそれぞれエッジ基準で基準マークを形成する方法を説明するための図である。
例えば、基準マーク形成手段としてFIB(集束イオンビーム)を採用し、吸収体膜に基準マークを形成する場合、吸収体膜を備えた反射型マスクブランクの基板のエッジの検出を行う。基準マークをFIBで加工する場合、反射型マスクブランクの基板のエッジは、2次電子像、2次イオン像、あるいは光学像で認識することができる。基準マークをフォトリソ法で加工する場合、反射型マスクブランクのエッジは、光学像で認識するか、又は反射型マスクブランクを載置するステージの片側に押し付けてエッジを認識することができる。また、基準マークをその他の方法(例えば圧痕)で加工する場合は、光学像で認識することができる。
図7に示すように、例えば反射型マスクブランク40の基板の四辺の8箇所(丸印を付した箇所)のエッジ座標を確認し、チルト補正して、原点(0,0)出しを行う。この場合の原点は任意に設定可能であり、基板の角部でも中心でもよい。
【0041】
このようにエッジ基準で設定した原点からの所定の位置にFIBで基準マークを形成する。
図8には、エッジ基準で基板の任意の角部に設定した原点O(0,0)からの所定の位置、具体的には原点Oの両隣の端面40AのエッジからXの距離、端面40BのエッジからYの距離に基準マーク13を形成する場合を示している。この場合、原点O(0,0)を基準とする基準マーク形成座標(X,Y)が基準マークの形成位置情報となる。他の位置に形成する基準マークについても同様である。
【0042】
このようなエッジ基準で形成した反射型マスクブランクの基準マークを欠陥検査装置や電子線描画装置で検出する際、基準マークの形成位置情報、つまりエッジからの距離がわかっているため、基準マーク形成位置を容易に特定することが可能である。
【0043】
また、反射型マスクブランクの積層膜や吸収体膜上の任意の位置に基準マークを形成した後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定する方法を適用することもできる。この座標計測器は、基準マークの形成座標をエッジ基準で計測するものであり、例えば高精度パターン位置測定装置(KLA-Tencor社製LMS−IPRO4)を使用することができ、特定した基準マーク形成座標が基準マークの形成位置情報となる。また、座標計測器は、電子線描画機の基準座標に変換する役割もあるので、反射型マスクブランクを提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0044】
以上説明したように、基準マークをエッジ基準で形成したり、或いは基準マークを任意の位置に形成後、座標計測器で基準マーク形成位置を特定する方法によれば、欠陥検査装置や電子線描画装置で反射型マスクブランク上での基準マークの形成位置を容易に特定することが可能であるため、基準マークのサイズを小さくすることが可能である。具体的には、本発明の基準マーク13が、前述のメインマークと補助マークとから構成される場合、メインマークの幅は200nm以上10μm以下、補助マークの長辺は例えば25μm以上250μm以下のサイズにすることが可能である。このように基準マークのサイズを小さくした場合、基準マークの形成手段として例えば前記のFIBを採用した場合には、基準マークの加工時間が短縮できるので好ましい。また、基準マークの検出時間についても短縮できるので好ましい。
【0045】
図9には、以上で説明したようなエッジ基準で形成する場合の基準マークの形状例及び配置例を示しているが、同図(a)のようなメインマーク13aと補助マーク13b,13cから構成される基準マークが代表的な例である。また、上記のとおり、基準マークのサイズを小さくすることができるので、必ずしも補助マークを必要とせず、例えば同図(b)に示すようなメインマーク13aのみとすることが可能である。さらに、同図(c)に示すようなメインマーク13aの周囲に4つの補助マーク13b〜13eを配置したものや、同図(d)に示すような十字形の基準マークとすることもできる。
【0046】
また、基板のエッジ座標を基準に設定した原点からの所定の位置に前記基準マークを形成した反射型マスクブランクと、この場合の基準マークの形成位置情報(基準マーク形成座標)とを対応付けてユーザーに提供することにより、ユーザーは、例えばマスク製造工程において、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。
また、反射型マスクブランクに基準マークを形成した後、座標計測器で前記基準マークの形成位置を特定し、前記基準マークを形成した反射型マスクブランクと、この場合の基準マークの形成位置情報(特定した基準マークの位置座標)とを対応付けてユーザーに提供することにより、ユーザーは、この基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができる。また、基準マークの形成位置を座標計測器で特定することにより、電子線描画機の基準座標の変換が可能となる。したがって、反射型マスクブランクを提供されたユーザーは、容易に基準マークに基づき欠陥検査装置により特定した欠陥位置と、描画データとを高精度に照合することが可能となり、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を確実に低減させることができる。
【0047】
また、上記基準マークの形成位置情報に、さらに基準マークを基準とした欠陥情報(位置情報、サイズ等)を加えてユーザーに提供することにより、ユーザーはこの基準マークの形成位置情報を利用して基準マークを短時間で確実に検出することができるとともに、この欠陥情報に基づいて、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)し、最終的に製造されるマスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0048】
[反射型マスクブランク]
次に、本発明に係る上記基準マークが形成された反射型マスクブランクの製造方法について説明する。
本発明に係る反射型マスクブランクの製造方法は、前記構成1にあるように、基板上に、EUV光を反射する多層反射膜と、該多層反射膜上に、積層膜が形成されている反射型マスクブランクの製造方法であって、前記基板上に、前記多層反射膜を成膜して多層反射膜付き基板を形成する工程と、前記多層反射膜付き基板に対して欠陥検査を行う工程と、前記多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上に、前記積層膜を成膜する工程と、前記積層膜の上部に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを形成して、該基準マークが形成された反射型マスクブランクを形成する工程と、前記基準マークを基準にして前記反射型マスクブランクの欠陥検査を行う工程と、を含むことを特徴としている。
また、本発明に係る反射型マスクブランクの製造方法は、前記構成2にあるように、基板上に、EUV光を反射する多層反射膜と、該多層反射膜上に、EUV光を吸収する吸収体膜が形成されている反射型マスクブランクの製造方法であって、前記基板上に、前記多層反射膜を成膜して多層反射膜付き基板を形成する工程と、前記多層反射膜付き基板に対して欠陥検査を行う工程と、前記多層反射膜付き基板の前記多層反射膜上に、前記吸収体膜を成膜する工程と、前記吸収体膜に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを形成して、該基準マークが形成された反射型マスクブランクを形成する工程と、前記基準マークを基準にして前記反射型マスクブランクの欠陥検査を行う工程と、を含むことを特徴としている。
【0049】
図10は、本発明に係る反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造工程を示す断面図である。以下、
図10に示された工程に従って説明する。
なお、以下の説明では、構成2の反射型マスクブランクの製造方法について説明するが、以下の説明において、吸収体膜41や、吸収体膜41とハードマスク膜61との関係を積層膜に置き換えた構成1の反射型マスクブランクの製造方法にも適用できる。詳しくは後述するが、吸収体膜41は、単層膜には限られず、同一材料の積層膜、異種材料の積層膜で構成することができる。また、本発明に係る反射型マスクブランクは、上記のような積層膜あるいは単層膜の吸収体膜とハードマスク膜との積層膜の構成とすることができる。上記構成1のように、多層反射膜上に積層膜を成膜して反射型マスクブランクとする場合、基準マークは積層膜の少なくとも上部を除去して形成されていればよいが、積層膜を厚さ方向にすべて除去して形成してもよい。たとえば、上記のような吸収体膜とハードマスク膜との積層膜の構成を含む場合、少なくともハードマスク膜に基準マークを形成すればよい。
【0050】
まず、基板としてガラス基板11上に、下地層21、EUV光を反射する多層反射膜31、及び保護膜32を順に成膜して、多層反射膜付き基板30を作製する(
図10(a)参照)。
EUV露光用の場合、基板としてはガラス基板11が好ましく、特に、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10
−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10
−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられる。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO
2−TiO
2系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることが出来る。
上記ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。EUV露光用の場合、ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.05μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットする時に静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下、好ましくは0.05μm以下である。
【0051】
また、上記ガラス基板11としては、上記のとおり、SiO
2−TiO
2系ガラスなどの低熱膨張係数を有する素材が用いられるが、このようなガラス素材は、精密研磨により、表面粗さとして例えばRMSで0.1nm以下の高平滑性を実現することが困難である。そのため、ガラス基板11の表面粗さの低減、若しくはガラス基板11表面の欠陥を低減する目的で、ガラス基板11の表面に下地層21を形成することが好適である。このような下地層21の材料としては、露光光に対して透光性を有する必要はなく、下地層表面を精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好となる材料が好ましく選択される。例えば、Si又はSiを含有するケイ素化合物(例えばSiO
2、SiONなど)は、精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好なため、好ましく用いられる。特にSiが好ましい。
【0052】
下地層21の表面は、反射型マスクブランク用基板として要求される平滑度となるように精密研磨された表面とすることが好適である。下地層21の表面は、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.15nm以下、特に好ましくは0.1nm以下となるように精密研磨されることが望ましい。また、下地層21の表面は、下地層21上に形成する多層反射膜31の表面への影響を考慮すると、最大高さ(Rmax)との関係において、Rmax/RMSが2〜10であることが良く、特に好ましくは、2〜8となるように精密研磨されることが望ましい。
下地層21の膜厚は、例えば10nm〜300nmの範囲が好ましい。
【0053】
上記多層反射膜31は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層させた多層膜であり、一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される多層反射膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。
【0054】
通常、吸収体膜のパターニング或いはパターン修正の際に多層反射膜を保護する目的で、上記多層反射膜31上には、上記保護膜32(キャッピング層あるいはバッファ膜とも呼ばれることがある。)を設ける。このような保護膜32の材料としては、ケイ素のほか、ルテニウムや、ルテニウムにニオブ、ジルコニウム、ロジウムのうち1以上の元素を含有するルテニウム化合物が用いられ、この他には、クロム系材料が用いられることもある。
保護膜32の膜厚としては、例えば1nm〜5nm程度の範囲が好ましい。
以上の下地層21、多層反射膜31、及び保護膜32の成膜方法は特に限定されないが、通常、イオンビームスパッタリング法や、マグネトロンスパッタリング法などが好適である。
【0055】
次に、以上のようにして作製した多層反射膜付き基板30に対して欠陥検査を行う。この場合、多層反射膜付き基板の段階では基準マークが形成されていないので、多層反射膜付き基板30に対して、欠陥検査装置により、例えば主表面の中心を基準点として欠陥検査を行い、欠陥検査により検出された欠陥と位置情報とを取得する。また、この場合の欠陥検査は、少なくともパターン形成領域の全面に対して行う。
図11の(a)は、多層反射膜付き基板30に対して行った欠陥検査の結果を模式的に示すもので、図示する黒丸(●)20は、一例として検出された欠陥の位置を示している。
【0056】
次に、上記多層反射膜付き基板30における上記保護膜32上に、EUV光を吸収する吸収体膜41を成膜して、反射型マスクブランク40を作製する(
図10(b)参照)。
なお、
図10(b)に示された反射型マスクブランク40においては、ガラス基板11の多層反射膜等が形成されている側とは反対側に裏面導電膜42が設けられている。
【0057】
上記吸収体膜41は、露光光であるEUV光を吸収する機能を有するもので、反射型マスクブランク40を使用して作製される反射型マスク50において、上記多層反射膜31、保護膜32による反射光と、吸収体膜パターン41aによる反射光との間で所望の反射率差を有するものであればよい。例えば、EUV光に対する吸収体膜41の反射率は、0.1%以上40%以下の間で選定される。また、上記反射率差に加えて、上記多層反射膜31、保護膜32による反射光と、吸収体膜パターン41aによる反射光との間で所望の位相差を有するものであってもよい。なお、上記多層反射膜31、保護膜32による反射光と、吸収体膜パターン41aによる反射光との間で所望の位相差を有する場合、反射型マスクブランク40における吸収体膜41を位相シフト膜と称する場合がある。上記多層反射膜31、保護膜32による反射光と、吸収体膜パターン41aによる反射光との間で所望の位相差を設けて、コントラストを向上させる場合、位相差は180度±10度の範囲に設定するのが好ましく、吸収体膜41の反射率は、3%以上40%以下に設定するのが好ましい。
【0058】
上記吸収体膜41は、単層でも積層構造であってもよい。積層構造の場合、同一材料の積層膜、異種材料の積層膜でもよい。積層膜は、材料や組成が膜厚方向に段階的及び/又は連続的に変化したものとすることができる。
上記吸収体膜41の材料としては、例えば、タンタル(Ta)単体又はTaを含む材料が好ましく用いられる。Taを含有する材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、TaとPdを含む材料、TaとRuを含む材料等が用いられる。また、Ta以外の材料としては、Cr単体又はCrを含有する材料、Ru単体又はRuを含有する材料、Pd単体又はPdを含有する材料、Mo単体又はMoを含有する材料であってもよい。吸収体膜41が積層膜の場合、上述に挙げた材料を組み合わせた積層構造とすることができる。
上記吸収体膜41の膜厚としては、例えば30nm〜100nm程度の範囲が好ましい。吸収体膜41の成膜方法は特に限定されないが、通常、マグネトロンスパッタリング法や、イオンビームスパッタリング法などが好適である。
【0059】
次に、以上のようにして作製した反射型マスクブランク40に前述の基準マークを形成する。基準マークについてはすでに詳しく説明したので、ここでは説明を省略する。
ここでは、反射型マスクブランク40の吸収体膜41上の所定の位置に、集束イオンビーム(FIB)を用いて、例えば十字形状の基準マーク13を形成している(
図10(c)参照)。
なお、
図10(c)においては、保護膜32が露出するように吸収体膜41を除去して基準マーク13が形成されている例を示すが、吸収体膜41の途中まで除去して基準マーク13を形成してもよい。
【0060】
次に、以上のようにして作製した基準マークが形成された反射型マスクブランク40に対して欠陥検査を行う。
この場合、上記の基準マーク13を基準にして欠陥検査装置により欠陥検査を行い、欠陥検査により検出された欠陥と位置情報とを取得する。
図11の(b)は、反射型マスクブランク40に対して行った欠陥検査の結果を模式的に示すもので、図示する黒丸(●)23は、一例として検出された欠陥の位置を示している。
【0061】
本発明においては、多層反射膜付き基板に対する欠陥検査の段階では基準マークが形成されていないので、反射型マスクブランクにおける欠陥検査と、基準マークを基準にした欠陥の座標管理は以下のようにして行うことができる。
上記の通り吸収体膜41は多層反射膜31上に形成するので、この反射型マスクブランク40の欠陥検査データは、上記で取得した多層反射膜付き基板30の欠陥検査も反映されている。従って、多層反射膜付き基板の欠陥と反射型マスクブランクの欠陥が一致している欠陥を元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データを照合することにより、上記基準マークを基準にした多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データを得ることができる。
【0062】
すなわち、本発明においては、多層反射膜付き基板30における多層反射膜31には基準マークを形成しなくても、多層反射膜付き基板30の欠陥検査により検出された欠陥と反射型マスクブランク40の欠陥検査により検出された欠陥とが一致している欠陥を元に、多層反射膜付き基板30の欠陥検査データと、反射型マスクブランク40の欠陥検査データとを照合し、吸収体膜41に形成した基準マーク13を基準とする座標変換を行うことにより、吸収体膜41に形成した基準マーク13を基準にした反射型マスクブランク40の欠陥検査データに加えて、上記基準マーク13を基準にした多層反射膜付き基板30の欠陥検査データを取得することができる。
【0063】
また、上述の多層反射膜付き基板30の欠陥検査は、多層反射膜付き基板上の少なくともパターン形成領域の全面に対して行うが、反射型マスクブランク40の欠陥検査については、勿論全面検査を行ってもよいが、部分検査を行うことにより、検査時間を大幅に短縮することが可能である。すなわち、反射型マスクブランク40の欠陥検査においては、多層反射膜付き基板30の欠陥検査により検出された欠陥のうちの少なくとも一部の欠陥に対して、その位置を特定して1mm角程度のエリアで行う。エリアは検査の位置ずれを考慮して設定する。例えば、多層反射膜付き基板30の欠陥検査により検出された欠陥のうちの一部の(複数の)欠陥と対応する各欠陥の欠陥位置23を含む所定の領域Bを特定して、反射型マスクブランク40の欠陥検査を行う(
図11(b)参照)。例えば100mm×100mmの領域を全面検査する場合、通常約4時間程度を要するが、上述の部分検査を行うことにより、例えば検査時間を約10分間以下と大幅に短縮することが可能である。
【0064】
上記基準マーク13を形成する方法は上述の集束イオンビームを用いる方法には限定されない。例えば基準マークの断面形状が凹形状の場合、フォトリソ法や、レーザー光による凹部形成、ダイヤモンド針を走査しての加工痕、微小圧子によるインデンション、インプリント法による型押しなどで形成することができる。
【0065】
図12に示される反射型マスクブランクの製造工程では、上記基準マーク13をフォトリソ法により形成する場合を示している。なお、
図10と同等の箇所には同一の符号を付して重複説明はここでは省略する。
フォトリソ法で基準マークを形成する場合、
図12(b)に示すように、反射型マスクブランク40の表面にレジスト膜51を形成する。このレジスト膜51に対して、基準マーク13のパターンを描画もしくは露光し、現像して、基準マーク13に対応するレジストパターンを形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとして、吸収体膜41を例えばドライエッチングすることにより、吸収体膜41上の所定位置に所望の基準マーク13を形成する(
図12(c)参照)。
以上のドライエッチングを用いたフォトリソ法で形成した基準マークは、集束イオンビームで形成した基準マークよりも、側壁の垂直性がより良好な断面形状に仕上がるので、例えばマスク製造の電子線描画工程での基準マークのアライメント精度をより向上させることが可能である。
【0066】
なお、本発明においては、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とを重ね合せて両者が一致している欠陥を求める目的のためには、実際の欠陥でなくてもよいので、多層反射膜付き基板における多層反射膜上に予め擬似欠陥を形成しておき、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された擬似欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された前記擬似欠陥に対応する欠陥とを元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合するようにしてもよい。
【0067】
以上説明したように、本発明においては、多層反射膜には基準マークを形成せず、多層反射膜上に成膜した吸収体膜に基準マークを形成することにより、以下のような作用効果を奏する。
1.基板上に成膜した多層反射膜に対しては通常の欠陥検査のみを行い、基準マークの形成は行わないので、多層反射膜に基準マークを形成する場合の多層反射膜の汚染リスクがなくなる。また、多層反射膜の汚染による欠陥を除去するための洗浄を行う必要がなく、洗浄による多層反射膜表面(保護膜表面)のダメージは生じない。またさらには、多層反射膜の汚染による欠陥を除去するための洗浄と検査を繰返し行う必要も生じないので、検査コストの増大や、新たな汚染リスクの増大の問題も発生しない。
【0068】
2.反射型マスクブランクに対する欠陥検査は、吸収体膜に形成した基準マークを基準にして行い、その後のマスク製造における電子線描画工程では、上記と同じ基準マークを用いてアライメントを行うことができるので、アライメント精度が向上する。また、多層反射膜の膜厚に比べて吸収体膜の膜厚は薄く、また吸収体膜は単一層か、あるいは多くても2〜3層の積層膜であるため、マーク形成の加工時間を短縮でき、垂直性の高い断面形状の基準マークを形成することができるので、アライメント精度が向上する。
3.吸収体膜に基準マークを形成する過程で、ガラス基板へのエッチングダメージは発生しないので、ガラス基板のリサイクルが容易である。
【0069】
また、前にも説明したが、以上のような吸収体膜に基準マークが形成された反射型マスクブランクを得ることによって、欠陥検査においては、欠陥位置の基準点を決定し、欠陥位置(基準点と欠陥の相対位置)情報を含む精度の良い欠陥情報(欠陥マップ)を取得することができる。さらに、マスクの製造においては、この欠陥情報に基づいて、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、欠陥による影響が低減するように描画データを高い精度で修正(補正)することが可能になり、その結果として、最終的に製造される反射型マスクにおいて欠陥を低減させることができる。
【0070】
なお、上記説明した本発明の反射型マスクブランク40には、前記吸収体膜41上に、レジスト膜51を形成した態様も含まれる。このようなレジスト膜は、前記のように、吸収体膜や積層膜にフォトリソ法で基準マークを形成する場合に用いられる。また、このようなレジスト膜は、基準マークを形成した反射型マスクブランクにおける吸収体膜や積層膜をフォトリソ法によりパターニングする際にも用いられる。
また、本発明の反射型マスクブランク40には、前記吸収体膜41と前記レジスト膜51との間に、ハードマスク膜(エッチングマスク膜とも言う。)を形成した態様も含まれる。ハードマスク膜は、吸収体膜41をパターニングする際にマスク機能を有するものであり、吸収体膜41の最上層の材料とエッチング選択性が異なる材料により構成する。例えば、吸収体膜41がTa単体又はTaを含む材料の場合、ハードマスク膜は、クロムやクロム化合物、若しくはケイ素やケイ素化合物などの材料を使用することができる。クロム化合物としては、CrとN、O、C、Hから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料が挙げられる。ケイ素化合物としては、SiとN、O、C、Hから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料や、ケイ素やケイ素化合物に金属を含む金属ケイ素(金属シリサイド)や金属ケイ素化合物(金属シリサイド化合物)などの材料が挙げられる。金属ケイ素化合物としては、金属、SiとN、O、C、Hから選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料が挙げられる。吸収体膜41が、多層反射膜31側からTaを含む材料と、Crを含む材料の積層膜の場合、ハードマスク膜の材料は、Crを含む材料とエッチング選択性が異なるケイ素、ケイ素化合物、金属シリサイド、金属シリサイド化合物などを選択することができる。
また、本発明の反射型マスクブランク40は、吸収体膜を、互いにエッチング選択性が異なる材料からなる最上層とそれ以外の層との積層膜で構成し、最上層がそれ以外の層に対するハードマスク膜としての機能を有するようにした構成とすることもできる。
【0071】
図13および
図14は、それぞれ本発明に係る反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造工程の他の実施形態を示す断面図である。なお、
図10と同等の箇所には同一の符号を付して重複説明はここでは省略する。
吸収体膜41上にハードマスク膜が形成された反射型マスクブランク40においては、上記と同様に多層反射膜付き基板30に対して欠陥検査を行った後、保護膜32上に吸収体膜41を形成する(
図13(b))。次に、吸収体膜41の欠陥検査を行うか、又は行わずに吸収体膜41上にハードマスク膜61を形成し(
図13(c))、該ハードマスク膜61に基準マーク13を形成する(
図13(d))。その後、前記基準マーク13を基準にして反射型マスクブランク40の欠陥検査を行う各プロセスを有する反射型マスクブランクの製造方法とすることができる。
【0072】
上記工程において前記ハードマスク膜61に形成された基準マーク13を基準に欠陥検査を行う際に、基準マーク13を検出するに当たってコントラストが十分でない場合は、前記ハードマスク膜61に形成された基準マーク13を元に、該ハードマスク膜61の下に位置する吸収体膜41にも基準マーク13を形成し(
図13(e))、該基準マーク13を基準にして反射型マスクブランク40の欠陥検査を行うこともできる。
または、上記と同様に多層反射膜付き基板30に対して欠陥検査を行った後、保護膜32上に吸収体膜41を形成する(
図14(b))。次に、吸収体膜41上に基準マーク13を形成する(
図14(c))。次に、基準マーク13を基準にして吸収体膜41の欠陥検査を行うか、又は行わずに吸収体膜41上にハードマスク膜61を形成する(
図14(d))。その後、前記基準マーク13を基準にして反射型マスクブランク40の欠陥検査を行うこともできる。
なお、
図13および
図14中において、「欠陥検査」を括弧書きで示している箇所は、上述の「吸収体膜41の欠陥検査を行うか、又は行わずに」を意味している。
また、
図13または
図14に示す実施形態においても、多層反射膜付き基板30に対する欠陥検査は全面検査を行うが、基準マーク13を基準にして反射型マスクブランク40の欠陥検査を行う際は前述のように部分検査を行うことが好ましい。
【0073】
[反射型マスク]
本発明は、上記構成の反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜がパターニングされた反射型マスクの製造方法についても提供する。
すなわち、上述の反射型マスクブランク40における吸収体膜41をパターニングして吸収体膜パターン41aを形成することにより反射型マスク50が作製される(
図10(d)、
図12(d)参照)。
反射型マスクブランクにおける転写パターンとなる上記吸収体膜をパターニングする方法は、フォトリソグラフィー法が最も好適である。なお、上記エッチングマスク膜を含む構成の反射型マスクブランクを用いて反射型マスクを製造する場合、エッチングマスク膜は最終的には除去してもよいが、残存していても反射型マスクとしての機能に影響がなければ、特に除去しなくてもよい。
上記構成の反射型マスクブランク40における吸収体膜41がパターニングされて得られる反射型マスク50は、多層反射膜付き基板30又は反射型マスクブランク40における欠陥情報に基づく描画データの補正・修正によって、欠陥を低減させたものが得られる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理したSiO
2−TiO
2系のガラス基板(大きさが約152.0mm×約152.0mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.25nmであった(原子間力顕微鏡にて測定した。測定領域は1μm×1μm。)。
【0075】
このガラス基板の表裏両面の表面形状(表面形態、平坦度)を平坦度測定装置(トロッペル社製UltraFlat)で測定(測定領域148mm×148mm)した結果、ガラス基板表面及び裏面の平坦度は約290nmであった。
次に、ガラス基板表面に局所表面加工を施し表面形状を調整した。
得られたガラス基板表面の表面形状(表面形態、平坦度)と表面粗さを測定したところ、142mm×142mmの測定領域において、表裏面の平坦度は80nmで、100nm以下となっており良好であった。
【0076】
次に、BドープSiターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとHeガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、100nmのSi下地層を成膜した後、Si膜に熱エネルギーを付与して応力低減処理を行った。
【0077】
その後、Si下地層表面について、表面形状を維持し、表面粗さを低減するため、片面研磨装置を用いた精密研磨を行った。
得られたSi下地層表面の表面形状(表面形態、平坦度)と表面粗さを測定したところ、142mm×142mmの測定領域において、80nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.08nmとなっており極めて良好であった。RMSで0.1nm以下と極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
また、最大高さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.60nmで、Rmax/RMSは7.5となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
【0078】
次に、Si下地層上に、イオンビームスパッタリング装置を用いて、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を一周期として、40周期積層し、最後にSi膜(膜厚:4nm)を形成し、さらにその上に、RuNbからなる保護膜(膜厚:2.5nm)を成膜して、多層反射膜付き基板を得た。
【0079】
次に、多層反射膜付き基板表面をブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で、基板主表面の中心を基準にして欠陥検査を行った。この欠陥検査では、上記基板主表面の中心を基準とした凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、欠陥マップを作成した。
また、この多層反射膜付き基板の保護膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、下地層表面粗さばらつきが抑えられたことにより、64%±0.2%と良好であった。
【0080】
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、上記多層反射膜付き基板の保護膜上に、TaBN膜(膜厚:56nm)とTaBO膜(膜厚:14nm)の積層膜からなる吸収体膜を形成し、また、裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
【0081】
次に、上記吸収体膜の表面の所定の箇所に以下の表面形状で断面形状が凹形状の基準マークを形成した。基準マークの形成は集束イオンビームを用いて行った。この時の条件は加速電圧50kV、ビーム電流値20pAとした。基準マークの形成後、洗浄を行った。
なお、本実施例では、基準マークとして、前述のメインマークと補助マークを
図2に示すような配置関係となるように形成した。メインマーク13aは、大きさが5μm×5μmの矩形、深さは吸収体膜を全て除去したので、約70nmとした。また、補助マーク13b,13cはいずれも、大きさが1μm×200μmの矩形、深さは吸収体膜を全て除去したので、約70nmとした。
【0082】
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、側壁の傾斜角度が87度、吸収体膜表面と側壁との間の稜線部の曲率半径が約120nmと良好な断面形状であった。
また、吸収体膜に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが0.020と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも81nmとなり、再現性良く検出できることを確認した。
【0083】
得られたEUV反射型マスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で欠陥検査を行った。この欠陥検査では、上述の基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得した。
ここで、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とが一致している複数の欠陥を元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合し、吸収体膜に形成した基準マークを基準とする座標変換を行うことにより、吸収体膜に形成した基準マークを基準にした反射型マスクブランクの欠陥検査データと、上記基準マークを基準にした多層反射膜付き基板の欠陥検査データを取得した。
こうして、反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
【0084】
なお、上述の反射型マスクブランクの欠陥検査は、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥のうちの少なくとも一部の欠陥に対して、その位置を特定して行う(部分検査)ことにより、全面検査を行う場合に比べると検査時間を大幅に短縮することが可能である。
【0085】
次に、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。
まず、EUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、EUV反射型マスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、例えば欠陥をパターンの下に隠すように修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。本実施例では、上記基準マークと欠陥との相対位置関係が高い精度で管理できたので、マスクパターンデータの修正を高精度で行うことができた。
【0086】
このレジストパターンをマスクとし、吸収体膜に対してフッ素系ガス(CF
4ガス)によりTaBO膜を、塩素系ガス(Cl
2ガス)によりTaBN膜をエッチング除去して、保護膜上に吸収体膜パターンを形成した。
さらに、吸収体膜パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、EUV反射型マスクを得た。
この得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られた反射型マスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、反射型マスク起因の転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行うことができる。
【0087】
(実施例2)
上記実施例1における基準マークを、フォトリソ法により形成したこと以外は、実施例1と同様にして反射型マスクブランクを作製した。なお、基準マークの形成位置、基準マークの表面形状及び断面形状は実施例1と同様にした。
すなわち、実施例1と同様にして基板上に下地層、多層反射膜、保護膜及び吸収体膜を成膜したEUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、上述のレジスト膜に対して電子線により基準マークのパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
【0088】
このレジストパターンをマスクとし、吸収体膜のドライエッチングを行って、吸収体膜に基準マークを形成した。
形成された基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、側壁の傾斜角度は89度であり、実施例1の集束イオンビームを用いるよりも、側壁の垂直性がより良好な形状の基準マークを形成することができた。
実施例1と同様に、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とが一致している複数の欠陥を元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合し、吸収体膜に形成した基準マークを基準とする座標変換を行うことにより、吸収体膜に形成した基準マークを基準にした反射型マスクブランクの欠陥検査データと、上記基準マークを基準にした多層反射膜付き基板の欠陥検査データを取得した。
こうして、反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
【0089】
次に、実施例1と同様にして、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。
得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られた反射型マスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、反射型マスク起因の転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行うことができる。
【0090】
(参考例)
上記実施例1における基準マークを吸収体膜には形成せず、多層反射膜に形成したこと以外は実施例1と同様にして多層反射膜付き基板及び反射型マスクブランクを作製した。
実施例1と同様の基板上に下地層、多層反射膜及び保護膜を成膜した多層反射膜付き基板における上記保護膜を有する多層反射膜に対し、所定の箇所に以下の表面形状で断面形状が凹形状の基準マークを形成した。基準マークの形成は集束イオンビームを用いて行った。この時の条件は加速電圧50kV、ビーム電流値20pAとした。基準マークの形成後、洗浄を行った。
本参考例では、基準マークとして、実施例1と同様のメインマークと補助マークを
図2に示すような配置関係となるように形成した。メインマーク13aは、大きさが5μm×5μmの矩形、深さは多層反射膜を全て除去したので、約280nmとした。また、補助マーク13b,13cはいずれも、大きさが1μm×200μmの矩形、深さは多層反射膜を全て除去したので、約280nmとした。
【0091】
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、側壁の傾斜角度が85度であり、上記実施例よりも側壁の垂直性が低下した。
また、多層反射膜に形成したこの基準マークは、ブランクス検査装置で、コントラストが0.025と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも83nmとなり、再現性良く検出できることを確認した。
【0092】
得られた多層反射膜付き基板について、ブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で欠陥検査を行った。
欠陥検査の結果、欠陥が多数検出されたため、洗浄と欠陥検査を再度繰返した。欠陥が多数検出された原因は、多層反射膜に基準マークを形成する過程において異物欠陥が多数発生したことによるものと考えられる。
この再度の欠陥検査により、上述の基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得した。
また、この基準マークを形成した多層反射膜付き基板の保護膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、62%であり、これは基準マークを形成する前の保護膜表面の反射率よりも若干低下していた。
【0093】
次に、上記基準マークを形成した多層反射膜付き基板上に、実施例1と同様の吸収体膜を成膜して、反射型マスクブランクを得た。
得られた反射型マスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で欠陥検査を行った。この欠陥検査では、上述の基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得した。
こうして、反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
【0094】
次に、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、実施例1と同様にしてEUV反射型マスクを作製した。
なお、パターン描画工程では、EUV反射型マスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、例えば欠陥をパターンの下に隠すように修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、レジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
【0095】
得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上にも多数の凸欠陥が確認された。
この原因は、上述の多層反射膜に基準マークを形成する過程において生じた異物欠陥の一部がその後の洗浄によっても除去されずに多層反射膜上に残留したことや、マスク製造時の電子線描画工程において、表面に吸収体膜が形成されたためにマーク形状の変化した基準マークを用いてアライメントを行ったため、マーク形状の変化によるアライメント誤差が影響したものと推測される。
【0096】
(実施例3)
本実施例は、実施例1、2における吸収体膜を材料の異なる積層膜からなる位相シフト膜とした反射型マスクブランクを作製した。
上記実施例1と同様に多層反射膜付き基板を作製し、多層反射膜付き基板表面をブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で、基板主表面の中心を基準にして欠陥検査を行った。この欠陥検査では、上記基板主表面の中心を基準とした凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、欠陥マップを作成した。
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、上記多層反射膜付き基板の保護膜上に、TaN膜(膜厚:27nm)とCrCON膜(膜厚25nm)の積層膜からなる位相シフト膜を形成し、また、裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
【0097】
なお、上記形成した位相シフト膜を構成するTaN膜、CrCON膜は、反射型マスクにしたときに、保護膜上に形成された位相シフト膜パターンにおける反射率が2%(波長13.5nm)、位相シフト膜パターンと保護膜露出部との反射光の位相差が180度となるように、屈折率n、消衰係数k、膜厚が設定されている。
次に、積層膜からなる位相シフト膜に、実施例2と同様にフォトリソ法により基準マークを形成した。なお、基準マークの形成位置、基準マークの表面形状及び断面形状は実施例2と同様にした。
【0098】
まず、上記EUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、上述のレジスト膜に対して電子線により基準マークのパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとし、Cl
2ガスとO
2ガスとの混合ガスによりCrCON膜のドライエッチングを行い、その後、Cl
2ガスによりTaN膜のドライエッチングを行うことで位相シフト膜に基準マークを形成した。
形成された基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、側壁の傾斜角度は88度であり、良好な形状の基準マークを形成することができた。
【0099】
実施例1と同様に、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と上記基準マークを基準にした反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とが一致している複数の欠陥を元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合し、位相シフト膜に形成した基準マークを基準とする座標変換を行うことにより、位相シフト膜に形成した基準マークを基準にした反射型マスクブランクの欠陥検査データと、上記基準マークを基準にした多層反射膜付き基板の欠陥検査データを取得した。
こうして、反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
次に、実施例1と同様にして、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。
【0100】
得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られた反射型マスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、反射型マスク起因の転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行うことができる。
【0101】
(実施例4)
上記実施例3における位相シフト膜上にハードマスク膜が形成された反射型マスクブランクを作製した。
上記実施例1と同様に多層反射膜付き基板を作製し、多層反射膜付き基板表面をブランクス欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)で、基板主表面の中心を基準にして欠陥検査を行った。この欠陥検査では、上記基板主表面の中心を基準とした凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、欠陥マップを作成した。
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、上記多層反射膜付き基板の保護膜上に、TaN膜(膜厚:5nm)とCrCON膜(膜厚46nm)の積層膜からなる位相シフト膜を形成し、前記位相シフト膜上にRFスパッタリング装置を用いて、SiO
2膜(膜厚:5nm)を形成した。また、裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
なお、上記形成した位相シフト膜を構成するTaN膜、CrCON膜は、反射型マスクにしたときに、保護膜上に形成された位相シフト膜パターンにおける反射率が26%(波長13.5nm)、位相シフト膜パターンと保護膜露出部との反射光の位相差が180度となるように、屈折率n、消衰係数k、膜厚が設定されている。
【0102】
次に、積層膜からなる位相シフト膜、ハードマスク膜の上部に、実施例3と同様にフォトリソ法により基準マークを形成した。なお、基準マークの形成位置、基準マークの表面形状及び断面形状は実施例3と同様にした。
上記EUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、上述のレジスト膜に対して電子線により基準マークのパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとし、CF
4ガスによりSiO
2膜のドライエッチングを行い、その後、Cl
2ガスとO
2ガスとの混合ガスによりCrCON膜、Cl
2ガスによりTaN膜のドライエッチングを行うことで、ハードマスク膜、位相シフト膜の積層膜に基準マークを形成した。
【0103】
形成された基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、側壁の傾斜角度は87度であり、良好な形状の基準マークを形成することができた。
実施例1と同様に、多層反射膜付き基板の欠陥検査により検出された欠陥と反射型マスクブランクの欠陥検査により検出された欠陥とが一致している複数の欠陥を元に、多層反射膜付き基板の欠陥検査データと、反射型マスクブランクの欠陥検査データとを照合し、吸収体膜に形成した基準マークを基準とする座標変換を行うことにより、吸収体膜に形成した基準マークを基準にした反射型マスクブランクの欠陥検査データと、上記基準マークを基準にした多層反射膜付き基板の欠陥検査データを取得した。
こうして、反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
【0104】
次に、実施例1と同様にして、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。なお、位相シフト膜パターン上に残ったSiO
2膜からなるハードマスク膜は、CF
4ガスによりドライエッチングを行い除去した。
得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られた反射型マスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、反射型マスク起因の転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行うことができる。
【0105】
なお、上述の実施例では、基準マークを集束イオンビーム、またはフォトリソ法により形成した例を挙げて説明したが、これに限定されない。前にも説明したとおり、これらの方法以外にも、レーザー光等による凹部形成、ダイヤモンド針を走査しての加工痕、微小圧子によるインデンション、インプリント法による型押しなどで形成することができる。
また、上述の実施例では、多層反射膜付き基板、反射型マスクブランクともに、下地層を形成した例を挙げて説明したが、これに限られない。下地層が形成されていない多層反射膜付き基板、反射型マスクブランクであっても構わない。