(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の伝熱管(11)と前記複数の接続管(12、13)とを接合しているろう材は、Al−Cu−Si系またはAl−Cu−Si−Zn系であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
まず、ろう付け接合によって製造された熱交換器10を
図1〜
図4に基づいて説明する。熱交換器10は、冷凍サイクルの冷媒と、空気とを熱交換させる冷凍サイクル用熱交換器である。
【0020】
図中、矢印Wは、熱交換器10の幅方向を示している。図中、矢印Dは、熱交換器10の奥行き方向を示している。図中、矢印Hは、熱交換器10の高さ方向を示している。
【0021】
熱交換器10は、多数本の伝熱管11と、多数本の接続管12、13と、多数枚のフィン14と、サイドプレート17とを備えている。熱交換器10は、多数本の管状の伝熱管11が多数枚の板状のフィン14に差し込まれたクロスフィンチューブ型熱交換器である。
【0022】
伝熱管11は、その内部を流れる冷媒と、伝熱管11の外部を流れる空気とを熱交換させる熱交換部材である。伝熱管11は、熱交換器10の高さ方向Hに直線状に延びている。多数本の伝熱管11は、熱交換器10の幅方向Wに並んで配置されている。すなわち、伝熱管11の並び方向は、熱交換器10の幅方向Wと一致している。
【0023】
伝熱管11は、熱交換器10の奥行き方向Dにも複数列、配置されている。伝熱管11の外部を流れる空気は、熱交換器10の奥行き方向Dに流れる。
【0024】
多数本の接続管12、13はチューブ用接続管12とタンク用接続管13とに大別される。チューブ用接続管12は、ヘアピン状に屈曲した形状を有しており、2本の伝熱管11の一端部同士を接続させている。
【0025】
タンク用接続管13は、略直線状に延びた形状を有しており、
図2に示すように、伝熱管11の一端部を冷媒タンク15に接続させている。冷媒タンク15は、複数本の伝熱管11に冷媒を分配する分配タンク、または複数本の伝熱管11からの冷媒が集合する集合タンクである。
【0026】
多数枚のフィン14は、伝熱管11と空気との伝熱面積を増大させて空気と冷媒との熱交換を促進する伝熱促進部材である。フィン14は、板状に形成されたプレートフィンである。伝熱管11およびフィン14は、冷媒と空気とを熱交換させるコア部18を構成している。
【0027】
多数枚のフィン14は、熱交換器10の高さ方向H(換言すれば伝熱管11の長手方向)に互いに積層されている。多数枚のフィン14には、多数本の伝熱管11が串刺し状に貫通している。伝熱管11は機械拡管されていてフィン14と密着している。
【0028】
伝熱管11およびフィン14は、熱交換器10のコア部18を構成している。サイドプレート17は、コア部18を補強する補強部材である。
【0029】
伝熱管11、接続管12、13、フィン14およびサイドプレート17の材質は、アルミニウム合金である。伝熱管11が拡管されることによって、伝熱管11、フィン14およびサイドプレート17が密着接合される。ろう材が加熱されて溶かされることによって、伝熱管11および接続管12、13がろう付け接合される。
【0030】
図3に示すように伝熱管11の端部には口拡部11aおよびフレア部11bが形成されている。口拡部11aは、伝熱管11の端部開口部が拡径されることによって形成されている。フレア部11bは、口拡部11aがさらにフレア加工されることによって形成されている。伝熱管11の口拡部11aには、接続管12、13の先端が挿入されている。伝熱管11と接続管12、13の嵌合隙間がろう付け接合されることによって、冷媒流路が形成されている。
【0031】
伝熱管11と接続管12、13との接合部16は、熱交換器10の幅方向Wに多数個並んでいる。接合部16は、熱交換器10の奥行き方向Dにも複数列、配置されている。これらの接合部16は、熱交換器10の高さ方向Hにおける位置が互いに同じになっている。
【0032】
図4に示すように、チューブ用接続管12は、熱交換器10の幅方向Wに対して平行に配置された短尺の接続管12Aと、熱交換器10の幅方向Wに対して斜めに配置された短尺の接続管12Bと、長尺の接続管12Cとが混在している。タンク用接続管13は、冷媒の出入口配管である。
【0033】
次に、熱交換器10の製造方法を説明する。まず、各フィン14およびサイドプレート17に伝熱管11が挿通される図示しない貫通孔を形成する。そして、各フィン14を互いに等間隔に配置した後、貫通孔に伝熱管11を挿通する。
【0034】
この後、伝熱管10を拡管する拡管工程を行う。具体的には、伝熱管11の内径よりも径が大きい図示しない拡管子を伝熱管11内に挿通し、拡管子により伝熱管11を機械的に拡管する。伝熱管11を拡管することで、各フィン14およびサイドプレート17と伝熱管11とを密着させて接合する。この後、伝熱管11の端部に口拡部11aおよびフレア部11bを形成する。これにより、
図5に示すように、熱交換器10のコア部18が製造される。
【0035】
また、接続管12、13に均熱部材21を組み付ける組付工程を行う。例えば、接続管12、13と均熱部材21とをAl−Si系のろう材でろう付け接合する。接続管12、13と均熱部材21とを溶接、カシメ等によって固定してもよい。これにより、
図6に示すように、接続管12、13と均熱部材21とを有する接続管組付体19が製造される。
【0036】
接続管12、13のうち
図3中で波線を付した部位、すなわち接続管12、13との接合予定部16の近傍部位には、弗化セシウム系を含む非腐食性フラックスとAl−Cu−Si三元素系共晶組成近傍のろう材、またはその成分にZnを添加したAl−Cu−Si−Zn系のろう材を適宜塗布する。
【0037】
Al−Cu−Si系のろう材は、固相線温度510℃、液相線温度540℃程度に成分調整されており、Al−Si系の固相線温度577℃に対して大幅に低温化されている。この温度域でろう付するためにフラックスは420℃の低温から活性を有する。
【0038】
均熱部材21は、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを均熱化する均熱化手段である。均熱部材21は、例えばアルミニウムで形成されている。
【0039】
拡管工程および組付工程の後、加熱接合工程を行う。加熱接合工程では、コア部18の伝熱管11に接続管組付体19の接続管12、13を加熱によって接合する。具体的には、
図7、
図8、
図9に示すように、伝熱管11に接続管12、13を仮組み付けした後、伝熱管11と接続管12、13との接合予定部16をラインバーナ30によって局部加熱する。ラインバーナ30は、接合予定部16を、熱交換器10の奥行き方向Dの外側から加熱する。
【0040】
これにより、伝熱管11と接続管12、13との接合予定部16が550℃程度に局部加熱されるので、接続管12、13のうち
図3中で波線を付した部位、すなわち接合予定部16の近傍部位に塗布されたろう材が溶融されて伝熱管11のフレア部11bを介して伝熱管11と接続管12、13の嵌合隙間に流れ込むので、伝熱管11と接続管12、13とがろう付け接合される。
【0041】
本実施形態では、接続管12、13の形状が互いに異なっているので、接続管12、13の熱容量も互いに異なっている。そのため、均熱部材21が設けられていない場合、各ろう付け部(換言すれば、伝熱管11と接続管12、13の嵌合部)の温度が不均一となり、ろう廻り不足や母材溶融が発生する。
【0042】
この点、本実施形態では、均熱部材21が設けられているので、接続管12、13の形状および熱容量が互いに異なっていても、均熱部材21の熱伝導の効果でろう付け部の温度バラツキを大幅に低減できるので、母材の溶融やろうの溶融不足を生じさせることなく、多数のろう付け部をラインバーナ30でろう付することができる。
【0043】
すなわち、接続管12、13同士が均熱部材21を介して熱伝導するので、接続管12、13相互間の昇温バラツキが抑制される。そのため、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けが均熱化されるので、ろう付け品質が高くなる。
【0044】
また、接続管12、13と伝熱管11とのろう付けにAl−Cu−Si三元素系共晶組成近傍の低融点ろう材、または、その成分にZnを添加したAl−Cu−Si−Zn系の低融点ろう材を用いているので、アルミ母材とろう材との融点差が拡大して、ろう付が容易になる。
【0045】
ろう材の組成を適切に選定することによってアルミ母材との自然電位差を小さくできるので、ろう材が優先腐食することを防止できる。
【0046】
さらに、均熱部材21と接続管12、13とを高融点のAl−Si系のろう材で接合しているので、接続管12、13と伝熱管11とを低融点ろう材でろう付する際に二次溶解することを抑制できる。
【0047】
図10に示す変形例では、伝熱管11が熱交換器10の奥行き方向Dにも3列以上配置されている。この変形例では、熱交換器10の奥行き方向Dにおける中央列の伝熱管11では火炎の当たり方が両端の列の伝熱管11に比べて弱くなるが、均熱部材21による伝熱の効果、およびAl−Cu−Siの三元素系ろう材の採用によるろう付温度範囲の拡大の効果で、3列以上の全ての列を同時にラインバーナろう付することが容易になる。
【0048】
本実施形態では、接続管12、13と伝熱管11とのろう付けにAl−Cu−Siの三元素系を用いているが、接続管12、13の形状差が小さい場合には、Al−Si系ろう材を用いてもよい。
【0049】
本実施形態では、均熱部材21は、熱伝導体で形成されており、複数の接続管12、13のうち少なくとも2つの接続管12、13の少なくとも一部に熱伝導可能に接触するように配置されている。
【0050】
これによると、熱交換器の製造工程において伝熱管11と接続管12、13とを加熱によってろう付けする際に、接続管12、13同士が均熱部材21を介して熱伝導するので、接続管12、13相互間で昇温にバラツキが生じることを抑制できる。
【0051】
そのため、各接続管12、13から接合部16への熱伝導バラツキを抑制できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを均熱化できる。したがって、伝熱管11と接続管12、13とのろう付け接合品質が高い熱交換器を提供できる。
【0052】
図10のように複数の伝熱管11が3列以上配置されている熱交換器においても伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを均熱化して、高いろう付け接合品質を得ることができる。
【0053】
本実施形態では、均熱部材21および複数の接続管12、13は互いにろう付け接合されている。複数の伝熱管11と複数の接続管12、13とを接合しているろう材は、均熱部材21と複数の接続管12、13とを接合しているろう材よりも低融点である。
【0054】
これにより、接続管12、13と伝熱管11とをろう付接合する際に、
均熱部材21と複数の接続管12、13とを接合しているろう材が二次溶解することを抑制できる。
【0055】
本実施形態では、複数の伝熱管11と複数の接続管12、13とを接合しているろう材は、Al−Cu−Si系またはAl−Cu−Si−Zn系である。これによると、複数の伝熱管11と複数の接続管12、13とを接合しているろう材の融点が低いので、アルミニウム製の伝熱管11および接続管12、13とろう材との融点差が拡大する。そのため、伝熱管11と接続管12、13とのろう付が容易である。
【0056】
本実施形態では、均熱部材21および複数の接続管12、13は、互いに機械的に接触している。これにより、接続管12、13と伝熱管11とを低融点ろう材でろう付する際に均熱部材21と複数の接続管12、13とを確実に接触させて確実に熱伝導させることができる。
【0057】
本実施形態では、複数の接続管12、13のうち少なくとも2つの接続管12、13の少なくとも一部に、熱伝導体で形成された均熱部材21を熱伝導可能に接触するように配置した状態で、複数の伝熱管11と複数の接続管12、13とをろう付け接合する。
【0058】
これによると、熱交換器の製造工程において伝熱管11と接続管12、13とを加熱によってろう付けする際に、接続管12、13同士が均熱部材21を介して熱伝導するので、接続管12、13相互間で昇温にバラツキが生じることを抑制できる。
【0059】
そのため、各接続管12、13から接合部16への熱伝導バラツキを抑制できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを均熱化できる。したがって、伝熱管と接続管とのろう付け接合品質が高い熱交換器の製造方法を提供できる。
【0060】
本実施形態では、フィン14と複数の伝熱管11とを組み付けてコア部18を製造し、均熱部材21と複数の接続管12、13とを組み付けて接続管組付体19を製造し、コア部18と接続管組付体19とを組み付けて複数の伝熱管11と複数の接続管12、13とをろう付け接合する。
【0061】
これにより、複数の伝熱管11と複数の接続管12、13とをろう付け接合する際に、複数の接続管12、13に均熱部材21を熱伝導可能に確実に接触させることができる。
【0062】
(第2実施形態)
上記実施形態では、伝熱管11に接続管12、13をバーナ加熱によって接合するが、本実施形態では、伝熱管11に接続管12、13を高周波誘導加熱によって接合する。
【0063】
具体的には、上記実施形態と同様に拡管工程を行って熱交換器10のコア部18を形成するとともに組付工程を行って接続管組付体19を形成した後、高周波誘導加熱工程を行う。
【0064】
高周波誘導加熱工程では、伝熱管11と接続管12、13との接合予定部16を高周波誘導加熱によって局部加熱する。これにより、伝熱管11と接続管12、13とがろう付け接合される。
【0065】
高周波誘導加熱工程の詳細を説明する。まず、
図11、
図12に示すように、接合予定部16の側方に高周波誘導加熱用のコイル20を配置するとともに、コイル20の上方に均熱部材21を配置する。
【0066】
コイル20の配置の仕方の例を
図13に示す。
図13(a)の例では、コイル20を、伝熱管11の両側方および伝熱管11同士の間に、熱交換器10の幅方向W(
図13(a))の紙面垂直方向)に差し込む。
【0067】
図13(b)〜(d)の例のように、
図13(a)の例に対してコイル20を挿入しない箇所があってもよい。
【0068】
均熱部材21は、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを均熱化する均熱化手段である。均熱部材21は、磁束の通過を抑制する磁性体である。均熱部材21は、熱伝導体で形成された熱伝導部材である。均熱部材21は、例えばアルミニウムで形成されている。
【0069】
均熱部材21を、接続管12、13のうち接合予定部16から最も離れた部位とコイル20との間に、ろう付け、溶接または治具を用いて仮固定する。均熱部材21を、高周波誘導加熱工程の前に予め仮固定しておいてもよい。
【0070】
均熱部材21は、熱交換器10の幅方向Wに延びる板状の部材である。均熱部材21には、接続管12、13が貫通する孔21aが形成されている。均熱部材21のうち孔21aの周縁部は、接続管12、13の外周面に接触している。
【0071】
コイル20および均熱部材21を上記位置に配置した状態でコイル20に電流を流す。これにより発生する磁束によって、接合予定部16が高周波誘導加熱されてろう材が溶ける。
【0072】
このとき、均熱部材21によって、磁束による昇温バラツキを抑制することができる。その理由を以下に説明する。
【0073】
高周波誘導加熱では、磁束密度が高い部位が多く加熱される。そのため、均熱部材21を用いない場合、磁束密度および熱容量によって全体の温度が決まる。磁束密度は、コイル20の位置と、磁束が触れる配管との距離によって決まる。
【0074】
各接続管12、13がUベント高さ違いやL字曲げの部位違い等のように互いに異なる形状になっていたり、各接続管12、13の設置向きが互いに異なっていたりすると、各接続管12、13とコイル20との距離が互いに異なることとなるため、各接続管12、13の熱容量が互いに同じでも接続管12、13相互間で昇温バラツキが発生し、ろう付部相互間の温度バラツキが大きくなってしまう。
【0075】
この点、本実施形態では、磁性体である均熱部材21のシールド効果により、磁束の通過が抑制される。そのため、接続管12、13のうちコイル20に対して均熱部材21よりも離れた部位の形状が互いに異なっていても、接続管12、13のうちコイル20に対して均熱部材21よりも近い部位の形状とコイル20からの位置とが均一であれば、磁束による昇温バラツキを抑制することができる。
【0076】
さらに、接続管12、13同士が均熱部材21を介して熱伝導するので、接続管12、13相互間の昇温バラツキが一層抑制される。そのため、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けが一層均熱化されるので、ろう付け品質が一層高くなる。
【0077】
図14の二点鎖線に示すように、均熱部材21を用いない比較例では各接合予定部16の温度バラツキが約140℃である。これに対し、
図14の実線に示すように、均熱部材21を用いる本実施形態では、各接合予定部16の温度バラツキが約45℃になり、比較例に対して温度バラツキが約100℃も低減される。
【0078】
本実施形態では、均熱部材21は、高周波誘導加熱によって接続管12、13にろう付けされる。すなわち、本実施形態では、均熱部材21は、熱交換器10の構成部品である。
【0079】
均熱部材21を、高周波誘導加熱後、接続管12、13から取り外すようにしてもよい。すなわち、均熱部材21は、熱交換器10の製造工程で用いられる治具であってもよい。
【0080】
本実施形態では、コイル20を接合予定部16の側方に配置するとともに、均熱部材21、22を接続管12、13のうち接合予定部16から最も離れた部位とコイル20との間に配置した状態で、コイル20に電流を流すことによって、伝熱管11と接続管12、13とを接合予定部16で高周波誘導加熱によってろう付けする。
【0081】
これによると、高周波誘導加熱時に均熱部材21、22が磁束の通過を抑制することによって、接続管12、13のうちコイル20に対して均熱部材21よりも離れた部位の磁束密度を低下させて当該部位の昇温を抑制できる。そのため、接続管12、13毎に形状が違っても接続管12、13相互間で昇温にバラツキが生じることを抑制できる。
【0082】
したがって、各接続管12、13から各接合予定部16への熱伝導バラツキを抑制できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを均熱化でき、ひいては熱交換器10における伝熱管11と接続管12、13とのろう付け接合品質を高くできる。
【0083】
本実施形態では、均熱部材21、22を、接続管12、13の少なくとも一部に熱伝導可能に接触させる。
【0084】
これにより、接続管12、13同士が均熱部材21を介して熱伝導するので、接続管12、13相互間の昇温バラツキを一層抑制できる。そのため、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを一層均熱化できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付け品質を一層高くできる。
【0085】
本実施形態では、均熱部材21、22として、伝熱管11の並び方向Wに延びる部材を用いる。これにより、一度の高周波誘導加熱によって、多数の接合予定部16をろう付け接合できる。
【0086】
(第3実施形態)
上記実施形態では、均熱部材21は、伝熱管11の並び方向Wに延びる板状の部材であるが、本実施形態では、
図15、
図16に示すように、均熱部材22は、伝熱管11同士の間に嵌まり込むブロック状の部材である。
【0087】
均熱部材22は、磁束を集中させて磁束の通過を抑制する磁性体である。磁束通過抑制部材22は、例えばアルミニウムで形成されている。
【0088】
均熱部材22を、接続管12、13のうち接合予定部16から最も離れた部位とコイル20との間に、ろう付け、溶接または治具を用いて仮固定する。均熱部材21を、高周波誘導加熱工程の前に予め仮固定しておいてもよい。均熱部材22の縁部は、接続管12、13の外周面に接触している。
【0089】
本実施形態のように、均熱部材22として、伝熱管11同士の間に嵌まり込む部材を用いても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
(第4実施形態)
本実施形態では、
図17に示すように、板状の均熱部材21の端部が延長され且つコイル20と逆方向に曲げられている。これにより、均熱部材21の端部への磁束集中を低減できるとともに均熱部材21の端部の熱容量を増加できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを一層均熱化できる。
【0091】
(第5実施形態)
本実施形態では、
図18に示すように、板状の均熱部材21が、両端列の伝熱管11の近傍には設けられず、中央列の伝熱管11の近傍のみに設けられる。
【0092】
これによると、中央列の伝熱管11の近傍に設けられた均熱部材21が誘導加熱されて発熱するので、発熱量の少ない中央列の伝熱管11を、発熱量の多い両端列の伝熱管11と同程度の温度にすることができる。その結果、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを一層均熱化できる。
【0093】
(第6実施形態)
本実施形態では、
図19に示すように、板状の均熱部材21が屈曲した形状を有しており、均熱部材21の中央側の部位が両端側の部位と比較してコイル20の近くに位置している。
【0094】
均熱部材21のうち中央側の部位では両端側の部位と比較して磁束密度が高くなって発熱量が多くなるので、発熱量の少ない中央列の伝熱管11への伝熱量が多くなる。これにより、発熱量の少ない中央列の伝熱管11を、発熱量の多い両端列の伝熱管11と同程度の温度にすることができるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを一層均熱化できる。
【0095】
(第7実施形態)
本実施形態では、
図20に示すように、サイドプレート17の両端が接続管12、13側に曲げられている。製造上の誤差等の理由により、サイドプレート17の組み付け位置にバラツキが生じるので、最短列の伝熱管11とサイドプレート17の曲げ部との間の距離にもバラツキが生じる。最短列の伝熱管11とサイドプレート17の曲げ部との間の距離が長いと最端列の伝熱管11では磁束密度が高くなるので高温になる。
【0096】
そこで、本実施形態では、均熱部材21の端部が、サイドプレート17の曲げ位置とコイル20との間に曲げられた形状になっている。これにより、均熱部材21の曲げ部が誘導加熱されるので、サイドプレート17の影響を排除でき、安定した均熱性が得られる。
【0097】
(第8実施形態)
本実施形態では、伝熱管11の肉厚が互いに異なっている。
図21の例では、右方側の2本の伝熱管11の肉厚が、左方側の2本の伝熱管11の肉厚よりも薄くなっている。
【0098】
板状の均熱部材21は屈曲した形状を有しており、均熱部材21のうち薄肉の伝熱管11側の部位は、厚肉の伝熱管11側の部位と比較してコイル20から離されている。
【0099】
均熱部材21のうち薄肉の伝熱管11側の部位は、厚肉の伝熱管11側の部位と比較して磁束密度が小さくなって発熱量が少なくなる。そのため、熱容量の小さい薄肉の伝熱管11と、熱容量の大きい厚肉の伝熱管11とで温度を均一化できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを一層均熱化できる。
【0100】
(第9実施形態)
本実施形態では、伝熱管11の肉厚が互いに異なっている。
図22の例では、右方側の2本の伝熱管11の肉厚が、左方側の2本の伝熱管11の肉厚よりも薄くなっている。
【0101】
板状の均熱部材21のうち薄肉の伝熱管11側の部位は、折り返されて2重になっている。板状の均熱部材21のうち厚肉の伝熱管11側の部位は、折り返されておらず1重になっている。
【0102】
均熱部材21のうち、薄肉の伝熱管11側の部位は、厚肉の伝熱管11側の部位と比較して熱容量が大きくなって温度上昇量が少なくなる。そのため、熱容量の小さい薄肉の伝熱管11と、熱容量の大きい厚肉の伝熱管11とで温度を均一化できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを一層均熱化できる。
【0103】
薄肉の伝熱管11側では板状の均熱部材21が2枚重ねになっていて、厚肉の伝熱管11側では板状の均熱部材21が1枚のみになっていても、
図22の例と同様の作用効果を得ることができる。
【0104】
板状の均熱部材21の板厚が部位毎に異なっていて、均熱部材21のうち薄肉の伝熱管11側の部位の板厚が、厚肉の伝熱管11側の部位の板厚よりも大きくなっていても、
図22の例と同様の作用効果を得ることができる。
【0105】
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
【0106】
(1)上記第2実施形態では、均熱部材21のうち孔21aの周縁部は、接続管12、13の外周面に接触しているが、孔21aの周縁部は、接続管12、13の外周面に接触していなくてもよい。
【0107】
この場合、各接合予定部16の温度バラツキが約70℃になり、均熱部材21を用いない比較例に対して温度バラツキが約70℃低減される。
【0108】
(2)上記実施形態では、熱交換器10は、冷凍サイクルの冷媒と、空気とを熱交換させる冷凍サイクル用熱交換器であるが、熱交換器10は、種々の熱媒体同士を熱交換させる種々の熱交換器であってもよい。
【0109】
(3)上記第1実施形態では、伝熱管11と接続管12、13とをラインバーナ30によってろう付け接合し、上記第2実施形態では、伝熱管11と接続管12、13とを高周波誘導加熱によってろう付け接合するが、マルチバーナ、赤外加熱、マイクロ波加熱等の加熱方法を用いて伝熱管11と接続管12、13とをろう付け接合してもよい。
【0110】
この場合、上記実施形態の均熱部材21、22と同様の熱伝導部材を接続管12、13の少なくとも一部に熱伝導可能に接触させれば、接続管12、13同士が均熱部材21を介して熱伝導するので、接続管12、13相互間の昇温バラツキを抑制できる。そのため、伝熱管11と接続管12、13とのろう付けを均熱化できるので、伝熱管11と接続管12、13とのろう付け品質を高くできる。
【0111】
伝熱管11と接続管12、13とをトーチろう付けによって接合してもよい。この場合、上記実施形態の均熱部材21、22と同様の熱伝導部材を接続管12、13の少なくとも一部に熱伝導可能に接触させれば、プレヒーティング効果が得られるので、隣接する接合部を連続的にろう付け接合する際に効率的にろう付け接合できる。