特許第6357210号(P6357210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357210粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357210
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 3/025 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   A61C3/025
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-210727(P2016-210727)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-86899(P2017-86899A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】15192001.4
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509235534
【氏名又は名称】ヴェー ウント ハー デンタルヴェルク ビュールモース ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】カールハインツ エーダー
(72)【発明者】
【氏名】ウルフガング ペルヴァイン
(72)【発明者】
【氏名】ヨゼフ シュピッツァウアー
(72)【発明者】
【氏名】ウド ホーマン
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−156341(JP,A)
【文献】 米国特許第02950564(US,A)
【文献】 米国特許第03815286(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0233280(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 3/025
A61M 11/00
B05B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末媒体(30)を人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料に吐出するための医療用又は歯科用装置(1)であって、粉末媒体(30)を容器内部空間(3)内に収容するための容器(2)を備え、該容器(2)が、圧縮ガス源(4)に接続可能であり、かつ該圧縮ガス源(4)からのガスを前記容器内部空間(3)内に搬送可能であることにより、粉末媒体(30)を圧縮ガスと共に前記容器内部空間(3)外に搬送可能であり、前記容器(2)が、吐出ユニット(5)に接続可能であるため、粉末媒体(30)が圧縮ガスと共に前記吐出ユニット(5)に搬送され、かつ前記吐出ユニット(5)から人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料方向に吐出可能であり、前記容器(2)が、前記容器内部空間(3)の少なくとも一部を規定する容器壁(6)と、該容器壁(6)に接続され、かつ前記圧縮ガス源(4)からの圧縮ガスを前記容器内部空間(3)内に搬送可能な少なくとも1つの孔(8)を有する容器底部(7)とを含む医療用又は歯科用装置において、
多孔質材料で構成された圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)が設けられ、圧縮ガスが、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の前記多孔質材料を通過して前記容器内部空間(3)内に搬送可能であるため、前記容器内部空間(3)内における粉末媒体(30)の少なくとも一部が、前記容器内部空間(3)外の前記吐出ユニット(5)に搬送されることなく、通気されるよう構成されており、
前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)が孔(11)を有し、該孔(11)を通して前記圧縮ガス源(4)からの圧縮ガスを前記容器内部空間(3)内に搬送可能であり、これにより粉末媒体(30)が前記容器内部空間(3)外に搬送されるよう構成されており、
前記孔(11)は、前記容器内部空間(3)内に延在するスタンドパイプ(15)に接続され、前記圧縮ガスを受けることにより前記圧縮ガスとともに前記粉末体(30)が前記スタンドパイプ(15)を通って前記容器内部空間(3)外の前記吐出ユニット(5)に搬送されるよう構成されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)が、前記容器内部空間(3)内にて、前記容器底部(7)方向にテーパ付けされたセクション(3A)に配置されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)が、前記容器内部空間(3)に隣接し、かつ前記容器内部空間(3)を前記容器底部(7)から分離する中間底部を構成していることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の下方に、該圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の底面(9B)に沿って延びる圧縮ガスチャンバ(10)が配置され、該圧縮ガスチャンバ(10)により、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)に圧縮ガスが供給されることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)は、圧縮ガスを透過させるための複数のチャネル又は細孔を有し、
前記チャネル又は細孔の直径又は大きさが20μm以下であることにより、前記粉末媒体(30)の粒子は、該チャネル又は細孔に実質的に入り込むことができず又は通過することができないように構成されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、圧縮ガスを前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の多孔質材料に供給するための第1圧縮ガスライン(12)が配置され、従って該第1圧縮ガスライン(12)により搬送された圧縮ガスが前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の多孔質材料を通過して前記容器(2)の前記容器内部空間(3)内に搬送され、これにより前記容器内部空間(3)内における粉末媒体(30)の少なくとも一部が通気されることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項7】
請求項4に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、圧縮ガスを前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の多孔質材料に供給するための第1圧縮ガスライン(12)が配置され、前記第1圧縮ガスライン(12)が、圧縮ガスチャンバ(10)に開口していることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項8】
請求項6に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、圧縮ガスを前記容器内部空間(3)内に前記孔(11)を通して搬送するための第2圧縮ガスライン(13)が配置され、従って粉末媒体(30)が圧縮ガスと共に前記容器内部空間(3)外に搬送されることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項9】
請求項8に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記第2圧縮ガスライン(13)が、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の前記孔(11)を通過して延びていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記第1圧縮ガスライン(12)及び前記第2圧縮ガスライン(13)が、共通の圧縮ガス源(4)に接続可能であることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記第1圧縮ガスライン(12)及び前記第2圧縮ガスライン(13)が、前記容器(2)に接続可能な供給ブロック(14)内に配置されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項12】
請求項11に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記第2圧縮ガスライン(13)の一部が、前記供給ブロック(14)の延長部(14A)に配置され、該延長部(14A)が、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の前記孔(11)内に突入していることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項13】
請求項8〜12の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記スタンドパイプ(15)は、第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部が前記第2圧縮ガスライン(13)に接続され、更に前記スタンドパイプ(15)が、前記容器(2)内に収容された粉末媒体(30)を吸い込むための少なくとも1つの吸い込み開口(16)を有するため、粉末媒体(30)が、前記第2圧縮ガスライン(13)を通して導入された圧縮ガスにより、前記少なくとも1つの吸い込み開口(16)から前記スタンドパイプ(15)内に吸い込まれ、かつ前記スタンドパイプ(15)内を前記第2端部方向に搬送されることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項14】
請求項13に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記少なくとも1つの吸い込み開口(16)が、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)近傍における前記スタンドパイプ(15)の第1端部に配置されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項15】
請求項8〜14の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、逆止弁(17)が配置され、該逆止弁(17)により、粉末媒体(30)が前記容器内部空間(3)から前記第2圧縮ガスライン(13)内に流出するのが回避されることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項16】
請求項8〜15の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、少なくとも前記第1圧縮ガスライン(12)又は前記第2圧縮ガスライン(13)がスロットル要素(18,19)を有し、これにより前記第1圧縮ガスライン(12)又は前記第2圧縮ガスライン(13)を通過する圧縮ガス体積流量が調整可能であることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、ノズル装置(5B)を含む吐出ユニット(5)が配置され、該吐出ユニット(5)が、人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料方向に粉末媒体(30)を吐出するよう構成されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)は、ガラス、金属又はプラスチックで構成されることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)は、円筒状ディスクとして構成されることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項20】
請求項4に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガスチャンバ(10)は、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の下方において、環状チャンバとして形成されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項21】
請求項4または20に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)は、肩部又はスペーサにより、前記容器底部に対して離間して配置されており、
前記圧縮ガスチャンバ(10)は、前記肩部又はスペーサによって形成された高さを有していることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項22】
請求項1〜16の何れか一項に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記孔(11)は、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の中央部に配置されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項23】
請求項16記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、少なくとも1つの前記スロットル要素(18,19)は、前記第1圧縮ガスライン(12)内の圧縮ガス体積流量と、前記第2圧縮ガスライン(13)内の圧縮ガス体積流量とが、該スロットル要素(18,19)を通過した後で異なるように構成されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項24】
請求項23に記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記第1圧縮ガスライン(12)内の圧縮ガス体積流量が、前記第2圧縮ガスライン(13)内の圧縮ガス体積流量よりも大きいことを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【請求項25】
請求項15記載の医療用又は歯科用装置(1)であって、前記逆止弁(17)が、前記圧縮ガス透過性渦巻きプレート(9)の前記孔(11)を通過しているか、または、前記逆止弁(17)の少なくとも一部が、前記スタンドパイプ(15)内に配置されていることを特徴とする医療用又は歯科用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ガスによって流動化された粉末媒体を人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料に吐出するための医療用又は歯科用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、特許文献1(国際公開第2007/014246号パンフレット)に示されている。粉末媒体を吐出するためのこの装置は、圧縮ガス及び水を供給するための歯科ユニットに接続することができると共に、粉末媒体を収容するための容器と、粉末媒体及び圧縮ガスを治療部位に通過させるノズルを有するハンドピース状の吐出ユニットとを備える。この場合、容器及びその内部の粉末に圧縮ガスが供給されることにより、粉末媒体が容器から吐出ユニットに搬送される。
【0003】
実際の使用において、このような装置を一定の動作パラメータで作動させることは困難である。即ち、圧縮ガスにより容器内から搬送される粉末媒体量は、例えば、粉末媒体の充填レベルや粉末媒体の種類、例えばその粒度に応じて大きく変動する。また、容器内に収容される粉末媒体は極めて微細、即ち粒度が小さく、往々にして吸湿性を有するため、粉末媒体が容器内にて塊を生じることが付加的に起こり易い。この点も、圧縮ガスにより容器内から搬送される粉末媒体量に大幅な変動をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/014246号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、より安定的に作動可能とした、粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置を提供すること、特に、圧縮ガスにより搬送される粉末媒体量の変動をより小さくすると共に、従来技術に比べて、容器内において粉末媒体から形成される塊により、吐出ユニットに搬送される粉末媒体が受ける影響を低減する、粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1に係る特徴を有する粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置により解決される。特に有利な実施形態は、従属請求項に記載したとおりである。
【0007】
粉末媒体を人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料に吐出するための医療用又は歯科用装置は、粉末媒体を容器内部空間内に収容するための容器を備える。該容器は、圧縮ガス源に接続可能であり、かつ該圧縮ガス源からのガスが容器内部空間内に搬送可能であることにより、粉末媒体が圧縮ガスと共に容器内部空間外に搬送可能である。容器は、吐出ユニットに接続可能であるため、粉末媒体が圧縮ガスと共に吐出ユニットに搬送され、かつ吐出ユニットから人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料方向に吐出可能である。容器は更に、容器内部空間の少なくとも一部を規定する容器壁と、該容器壁に接続され、かつ圧縮ガス源からの圧縮ガスを容器内部空間内に搬送可能な少なくとも1つの孔を有する容器底部とを含む。これに加えて、容器底部には、多孔質材料で構成され、かつ圧縮ガス透過性渦巻きプレートが設けられ、圧縮ガスが多孔質材料を通過して容器内部空間内に搬送可能であるため、容器内部空間内における粉末媒体の少なくとも一部が、容器内部空間外の吐出ユニットに搬送されることなく、ほぐされ又は通気される。
【0008】
圧縮ガス透過性の多孔質材料で構成され、かつ圧縮ガスを容器内部空間内に通過させる渦流プレートが設けられることにより、容器内部空間内における粉末媒体のほぐれ、通気及び/又は浮遊が生じる。即ち、多孔質材料を通過する圧縮ガスの作用により、粉末媒体が液状又は活性状態、換言すれば流動化状態に変わる。このほぐれ、通気又は流動化により、粉末媒体が圧縮ガスに均一に充填されると共に、塊の形成が回避されるか及び/又は塊を形成している粉末媒体の粒子を互いに分離することが可能となる。従って、本発明の医療用又は歯科用装置は、大幅に安定的な動作パラメータで作動させることができる。
【0009】
好適には、圧縮ガスとして圧縮空気が使用される。圧縮空気は、圧縮空気源、例えばコンプレッサにより、粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置に供給される。この圧縮空気の供給を可能にするため、粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置は、圧縮ガスライン(圧縮ガス流路)又は圧縮空気ライン(圧縮空気流路)を介して圧縮空気源に接続される。
【0010】
以下に詳細に記載するように、容器内には、容器内部空間内に延びるスタンドパイプが配置されるのが好適である。この場合、スタンドパイプは、容器内に収容された粉末媒体を吸い込むための少なくとも1つの吸い込み開口を有するため、粉末媒体がスタンドパイプを通して吐出ユニットに搬送される。少なくとも1つの吸い込み開口及び圧縮ガス透過性渦巻きプレートは、好適には、互いに近接して配置されるか又は隣接して配置される。これにより、粉末媒体のほぐれ、通気又は流動化は、特に少なくとも1つの吸い込み開口に対応する量で生じるため、スタンドパイプ内への粉末媒体の吸い込みが更に容易になる。
【0011】
好適には、容器内に収容された粉末媒体は全て、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの多孔質材料を通過して容器内部空間内に搬送される圧縮ガスにより、ほぐされ、通気され又は流動化される。
【0012】
圧縮ガス透過性渦巻きプレートは、好適には、ガラス、金属又はプラスチックで構成される。圧縮ガス透過性渦巻きプレートはまた、好適には、円筒状ディスクとして構成される。圧縮ガス透過性渦巻きプレートは更に、好適には、容器内部空間に対してより近い頂面及び容器内部空間に対してより離れた底面を有すると共に、頂面及び底面の間で延びる側面を有する本体を含む。圧縮ガス透過性渦巻きプレート、特にその本体は、好適には、頂面及び底面を接続し、かつ頂面及び底面に開口する複数のチャネル又は細孔を有するため、圧縮ガスを透過させることができる。チャネル又は細孔の直径又は大きさは、好適には、20μm以下、特に14μm以下とする。これにより、粉末媒体の粒子は、細孔又はチャネルに実質的に入り込むことができず又は通過することができない。
【0013】
圧縮ガス透過性渦巻きプレートは、好適には、特にその複数のチャネル又は細孔により、圧縮ガス透過性渦巻きプレートに搬送される圧縮ガスが頂面の少なくとも大部分を通過するよう構成される。これにより、特に粉末媒体のほぐれ又は通気は、粉末媒体が容器内部空間外の吐出ユニットに搬送されることなく実現される。
【0014】
容器内部空間は、好適には、容器底部方向にテーパ付けされた少なくとも1つのセクション又は部分容積部を含む。圧縮ガス透過性渦巻きプレートは、特に好適には、容器内部空間内にて、容器底部方向にテーパ付けされたセクションに配置される。スタンドパイプに設けられた少なくとも1つの吸い込み開口は、特に好適には、容器内部空間内にて、容器底部にテーパ付けされたセクションに配置される。これら特徴は、特に組み合わせた場合、有利には、容器内部空間内における粉末媒体の効果的な流動を可能とし、スタンドパイプに設けられた吸い込み開口を通した効果的な吸い込みを可能とし、及び/又は、粉末媒体の橋状の塊の形成を回避可能とする。
【0015】
圧縮ガス透過性渦巻きプレートにより、好適には、容器内部空間を画定し、かつ容器内部空間を容器底部から分離する中間底部が構成される。これにより、有利には、粉末媒体は(容器底部上に直接に堆積するのではなく)圧縮ガス透過性渦巻きプレート上にのみ堆積することが保証され、従って効果的にほぐされ、通気され又は流動化される。
【0016】
好適には、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの下方、特に圧縮ガス透過性渦巻きプレート及び容器底部の間には、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの広面積に亘って圧縮ガスを供給するための圧縮ガスチャンバが設けられる。この場合、圧縮ガスチャンバは、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの底面に沿って直接に延びており、好適には、渦流プレートの底面の広面積に亘って平面的に延びている。圧縮ガスチャンバはまた、好適には、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの底面の少なくとも50%に亘って、特に好適には少なくとも75%に亘って延びている。圧縮ガスチャンバは更に、好適には、ディスク状の圧縮ガス透過性渦巻きプレートの下方において、環状チャンバとして形成される。
【0017】
圧縮ガス透過性渦巻きプレートは、好適には、肩部又はスペーサにより、容器底部に対して離間して配置される。この場合、圧縮ガスチャンバは、特に肩部又はスペーサによって形成された距離に対応している。
【0018】
圧縮ガスライン(以下、「第1圧縮ガスライン」と称する)は、圧縮ガスを圧縮ガス透過性渦巻きプレートの多孔質材料に供給する機能を有し、好適には、圧縮ガスチャンバに開口する。圧縮ガスチャンバは、好適には、圧縮ガスラインにより供給された圧縮ガスを受け取るために設けられ、特にその圧縮ガスを圧縮ガス透過性渦巻きプレートの底面の広面積に亘って平面的に分布させるものである。これにより、圧縮ガス透過性渦巻きプレートを構成する多孔質材料底面の多数の箇所から、圧縮ガスが通過する。
【0019】
圧縮ガス透過性渦巻きプレートは、好適には、特にその中央部に配置された孔を有することにより、圧縮ガス源からの圧縮ガスが孔を通して容器内部空間内に搬送可能であるため、粉末媒体が容器内部空間外に搬送される。このように孔は、特にラインの一部を構成するか又はラインを収容する。このラインにより、圧縮ガスが圧縮ガス透過性渦巻きプレートのチャネル又は細孔を通過することなく、容器内部空間内に直接に搬送される。孔は、好適には、数mmの直径を有するものとする。
【0020】
医療用又は歯科用装置、特に容器は、好適には、第1圧縮ガスライン及び第2圧縮ガスラインを含む。第1圧縮ガスラインは、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの多孔質材料を、好適には圧縮ガス透過性渦巻きプレートの底面に沿って延びる圧縮ガスチャンバを介して、圧縮ガスで供給するために配置される。従って、第1圧縮ガスラインを通して搬送された圧縮ガスは、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの多孔質材料を通過して容器内部空間内に搬送される。これにより、容器内部空間内における粉末媒体の少なくとも一部がほぐされ又は通気される。第2圧縮ガスラインは、圧縮ガスを容器内部空間内に直接に搬送するために配置される。従って粉末媒体が圧縮ガスと共に容器内部空間外に搬送される。即ち、第2圧縮ガスラインを通して搬送される圧縮ガスは、特に圧縮ガス透過性渦巻きプレートにおける多孔質材料の細孔及びチャネルを通過することがない。第2圧縮ガスラインを通して搬送される圧縮ガスは、特に好適には、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの孔を直接に通過するよう、容器内部空間内又はスタンドパイプ内に搬送される。
【0021】
第1圧縮ガスライン及び第2圧縮ガスラインは、互いに分離したラインとして構成される。互いに分離したこれら圧縮ガスラインが設けられるため、有利には、異なるパラメータを有する圧縮ガス、例えば異なる圧縮ガス体積流量を、圧縮ガス透過性渦巻きプレートを通過させて容器内部空間内に直接に搬送することができる。
【0022】
少なくとも第1圧縮ガスライン又は第2圧縮ガスラインは、好適には、スロットル要素、例えばスロットルバルブを有し、これにより第1圧縮ガスライン又は第2圧縮ガスラインを通過する圧縮ガス体積流量が調整可能である。特に好適には、第1圧縮ガスラインは第1スロットル要素を有し、第2圧縮ガスラインは第2スロットル要素を有する。少なくとも1個のスロットル要素又は第1スロットル要素及び第2スロットル要素は、好適には、圧縮ガス体積流量が、第1圧縮ガスライン及び第2圧縮ガスライン内のスロットル要素を通過した後に異なるよう構成され、特に、圧縮ガス透過性渦巻きプレートに供給される第1圧縮ガスライン内の圧縮ガス体積流量が、第2圧縮ガスライン内の圧縮ガス体積流量よりも大きいよう構成される。幾つかの試験においては、このような構成により、医療用又は歯科用装置の特に良好で安定的な動作挙動が達成され、とりわけ圧縮ガスが粉末媒体とともに均一に充填された。
【0023】
第2圧縮ガスラインは、好適には、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの孔を通過して延びるか、又は該孔は、第2圧縮ガスラインの一部を構成する。これにより、特に省スペース化が図られる。
【0024】
好適には、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの孔、及び/又は、圧縮ガス透過性渦巻きプレート、及び/又は、第2圧縮ガスラインの少なくとも一部、及び/又は、容器内部空間の少なくとも一部、及び/又は、容器壁の少なくとも一部は、特に容器の中心軸線周りに同心状に配置される。
【0025】
第1圧縮ガスライン及び第2圧縮ガスラインは、好適には、特に共通の圧縮ガス供給ラインにより、共通の圧縮ガス源に接続することができる。共通の圧縮ガス供給ラインは、特に好適には、患者用チェアを含む歯科ユニットに接続可能であるため、該歯科ユニットにより、医療用又は歯科用装置に圧縮ガスを供給することができる。
【0026】
第1圧縮ガスライン及び第2圧縮ガスラインは、好適には、容器に接続可能な供給ブロック内に配置される。この供給ブロックは、好適には、医療用又は歯科用装置における容器及びベース部又は操作部の間の接続要素又は取り付け要素として構成される。供給ブロックはまた、好適には、容器をベース部又は操作部に着脱可能又は着脱不能に接続する。供給ブロックは更に、好適には、金属で構成される。この場合、第1圧縮ガスライン及び第2圧縮ガスラインは、供給ブロック内における孔として形成される。
【0027】
好適には、第2圧縮ガスラインの一部が配置された供給ブロックの延長部は、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの孔に突入しているため、圧縮ガス透過性渦巻きプレート、供給ブロック及び容器が互いに有利に固定及び配置される。供給ブロックの延長部の直径又は幅は、好適には、供給ブロックにおける他の部分の直径又は幅よりも小さい。供給ブロックの延長部には、好適には、第2圧縮ガスラインの一部だけが配置されるのに対して、供給ブロックの他の部分には、第1圧縮ガスラインの一部及び第2圧縮ガスラインの一部が配置される。
【0028】
好適には、供給ブロック、特にその延長部と、圧縮ガス透過性渦巻きプレート及び/又は圧縮ガスチャンバ及び/又は容器、特に容器底部との間のインターフェースには、少なくとも1個のシール要素が配置される。これにより、インターフェースに沿う圧縮ガスの流出が回避される。
【0029】
医療用又は歯科用装置、特に容器は、好適には、第1端部及び第2端部を有するスタンドパイプを備える。スタンドパイプの第1端部は、第2圧縮ガスライン及び/又は供給ブロックの延長部に接続され、及び/又は、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの孔内に突入しているため、圧縮ガスが第2圧縮ガスラインからスタンドパイプ内(従って容器内部空間内に直接)に流れることができる。スタンドパイプは更に、容器内に収容された粉末媒体を吸い込むための少なくとも1つの吸い込み開口、好適には複数の吸い込み開口を有するため、粉末媒体は、第2圧縮ガスラインを通して導入された圧縮ガスにより、少なくとも1つの吸い込み開口から(特にベンチュリ効果に起因して)スタンドパイプ内に吸い込まれ、かつスタンドパイプ内を第2端部方向に搬送される。
【0030】
スタンドパイプの内径は、好適には、少なくとも1つの吸い込み開口から第2端部方向に拡大している。スタンドパイプには、好適には、3つ以上の吸い込み開口が設けられ、スタンドパイプの周方向に均一に配置される。
【0031】
少なくとも1つの吸い込み開口は、好適には、スタンドパイプの第1端部、特に圧縮ガス透過性渦巻きプレート近傍に配置される。即ち、少なくとも1つの吸い込み開口は、容器内部空間内における粉末媒体のほぐれ、通気又は流動化が特に活発な部分容積部内に設けられる。これにより、医療用又は歯科用装置の特に良好で安定的な動作挙動が達成され、とりわけ圧縮ガスが粉末媒体で安定的に充填される。
【0032】
医療用又は歯科用装置、特に容器は、好適には、逆止弁を備える。この逆止弁により、容器内部空間から粉末媒体が第2圧縮ガスライン内に流出するのが回避される。逆止弁は、例えば、ダックビル弁を含む。
【0033】
逆止弁の少なくとも一部は、好適には、第2圧縮ガスライン内、特に供給ブロック内又はその延長部内に配置される。逆止弁は更に、好適には、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの孔を通過する。この場合、逆止弁の少なくとも一部は、好適には、スタンドパイプ内に突入している。
【0034】
逆止弁は、好適には、第2圧縮ガスライン内に搬送される圧縮ガスにより作動可能である。この場合、逆止弁は、第2圧縮ガスライン内を流れる圧縮ガスのガス圧が所定値を上回ると開放し、第2圧縮ガスライン内を流れる圧縮ガスのガス圧が所定値を下回ると閉鎖する。
【0035】
容器、特に容器壁は開口を含み、該開口を通して、粉末媒体で充填された圧縮ガスが容器外の吐出ユニット方向に搬送される。好適には、開口は搬送管に接続され及び/又は搬送管が開口に収容される。この場合、搬送管は、粉末媒体で充填された圧縮ガスを吐出ユニット方向に搬送するよう構成される。開口又は搬送管は、好適には、スタンドパイプに流体接続される。搬送管の内径は、好適には、スタンドパイプの内径よりも小さい。搬送管は、好適には、粉末媒体で充填された圧縮ガスを吐出ユニット方向に搬送するラインに接続される。このラインは、好適には、吐出ユニットまで延びているか又は吐出ユニット内に延びている。
【0036】
医療用又は歯科用装置は、好適には、以下に記載する要素の少なくとも1つを更に備える。即ち、吐出ユニット、特に粉末媒体を人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料に吐出するよう構成されたノズル装置を有するハンドルと、吐出ユニット方向に液体を搬送することにより、液体が吐出ユニットを介して人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料方向に吐出可能となる液体ラインと、第1圧縮ガスラインの少なくとも一部、及び/又は、第2圧縮ガスラインの少なくとも一部、及び/又は、共通の圧縮ガス供給ラインの少なくとも一部、容器に供給される圧縮ガスから水分を分離するための湿分分離器、及び/又は、液体ラインの少なくとも一部、及び/又は、圧縮ガス用のスロットル要素を制御するための少なくとも1個の制御要素、及び/又は、液体ラインを通過する液体流量を制御するための少なくとも1個の制御要素、及び/又は、供給ブロック、及び/又は、容器用のレセプタクルが設けられたベース部又は操作部と、圧縮源からの圧縮ガスをベース部若しくは操作部又は容器内に搬送するための圧縮ガスライン、及び好適には液体源からの液体を吐出ユニット方向に搬送するための液体ラインを含む第1供給管と、粉末媒体で充填された圧縮ガスをベース部若しくは操作部又は容器内から吐出ユニット方向に搬送するための圧縮ガスライン、及び好適には液体を吐出ユニット方向に搬送するための液体ラインを含む第2供給管と、圧縮ガス源とを備える。
【0037】
以下に、粉末媒体を人間若しくは動物、又は組織置換材料に吐出するための医療用又は歯科用装置の作動方法について記載する。医療用又は歯科用装置は、粉末媒体を容器内部空間内に収容するための容器を備える。この場合、容器は、圧縮ガス源に接続可能であり、該圧縮ガス源の圧縮ガスは、容器内部空間内に搬送されることにより、粉末媒体が圧縮ガスと共に容器内部空間外に搬送される。医療用又は歯科用装置における容器は更に、吐出ユニットに接続可能であるため、粉末媒体が圧縮ガスと共に吐出ユニットに搬送され、かつ吐出ユニットから人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料方向に吐出可能である。容器は、特に、容器内部空間の少なくとも一部を規定する容器壁と、該容器壁に接続され、かつ圧縮ガス源からの圧縮ガスを容器内部空間内に搬送可能な少なくとも1つの孔を有する容器底部とを含む。この容器底部には、多孔質材料で構成された圧縮ガス透過性渦巻きプレートが設けられる。医療用又は歯科用装置の作動方法は、容器底部に、多孔質材料で構成された圧縮ガス透過性渦巻きプレートが設けられ、圧縮ガスが、圧縮ガス透過性渦巻きプレートの多孔質材料を通過して容器内部空間内に搬送可能であるため、容器内部空間内における粉末媒体の少なくとも一部が、容器内部空間外の吐出ユニットに搬送されることなく、ほぐされ又は通気されるステップを含む。
【0038】
本発明の方法においては更に、好適には、圧縮ガスが上述したスタンドパイプ内に搬送されることにより、粉末媒体が、好適にはベンチュリ効果に起因してスタンドパイプ内に吸い込まれ、特にスタンドパイプを通して吐出ユニットに搬送される。
【0039】
スタンドパイプ及び圧縮ガス透過性渦巻きプレートには、好適には、特に上述した第1圧縮ガスライン及び第2圧縮ガスラインを介して、2つの異なる圧縮ガス流が供給される。これら2つの異なる圧縮ガス流は、好適には、特に上述した少なくとも1個のスロットル要素により調整され、互いに異なる体積流量を有する。
【0040】
以下、本発明を添付図面に関連する好適な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置の説明図である。
図2】圧縮ガス源に接続することが可能な、粉末媒体を収容するための容器の説明図である。
図3図2に示す領域Aの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、粉末媒体30を人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料に吐出するための医療用又は歯科用装置1を示す。この装置1は、粉末媒体30を収容するための容器2と、ベース部又は操作部20と、吐出ユニット5と、ベース部又は操作部20を吐出ユニット5に接続する第1供給管21と、ベース部又は操作部20を圧縮ガス源及び/又は歯科ユニット4に接続する第2供給管22とを備える。
【0043】
圧縮ガス源は、歯科ユニット4に接続された独立した要素として構成されているか又は歯科ユニット4の一部として構成されている。
【0044】
歯科ユニット4は、圧縮ガス源又はその接続部に加えて、好適には、歯科用チェアと、液体源への接続部と、複数の異なる歯科器具、特にハンドピースを制御するための制御装置と、歯科ユニット4から液体(水)、圧縮ガス、特に圧縮空気、及び/又は、電気などの媒体を受け取るために、歯科器具を接続できる複数の接続部とを含む。粉末媒体を吐出するための医療用又は歯科用装置1は、好適には、これら接続部の1つを介して歯科ユニット4に接続可能である。これにより、少なくとも圧縮ガス、場合によっては水及び/又は電気を受け取ることができるため、装置1を作動させることができる。
【0045】
吐出ユニット5は、粉末媒体30を、人間若しくは動物の組織、又は組織置換材料方向に吐出するための少なくとも1個のノズル装置5Bを含む。吐出ユニット5はまた、好適には、手で保持することができると共にノズル装置5Bが取り付けられたハンドル5Aを含む。この場合、粉末媒体30で充填された圧縮ガスを搬送するラインが、ハンドル5A及び/又はノズル装置5Bに接続され、及び/又は、ハンドル5A及び/又はノズル装置5B内に延びている。
【0046】
第2供給管22は、圧縮ガス源及び/又は歯科ユニット4からの圧縮ガスを、ベース部又は操作部20及び/又は吐出ユニット5方向に導くための少なくとも1つのラインを含む。第1供給管21は、粉末媒体30で充填された圧縮ガスを、容器2及び/又はベース部又は操作部20から吐出ユニット5方向、特にノズル装置5B方向に導くための少なくとも1つのラインを含む。第1供給管21及び/又は第2供給管22は、好適には、液体を吐出ユニット5方向に導くためのライン、及び/又は、電気をベース部若しくは操作部20、又は吐出ユニット5方向に導くための電気ラインを付加的に含む。
【0047】
容器2は、ベース部又は操作部20に、例えば着脱可能又は着脱不能に接続されている。ベース部又は操作部20には、好適には、容器2用のレセプタクル23が設けられ、及び/又は、圧縮ガスをベース部若しくは操作部20から、又はその内部に配置された圧縮ガスラインから容器2内に導き及び/又は容器2からベース部若しくは操作部20内に導く接続装置又は圧縮ガスラインが設けられている。
【0048】
上述した圧縮ガスライン及び液体ラインに加えて、ベース又は操作部20内には、好適には、少なくとも1個の調整要素を設けることができ、例えば少なくとも1個のスロットル要素18、19、25(図2及び図3を参照)を圧縮ガスライン内に設けることができ、又は流量を変更するための少なくとも1個のバルブを吐出ユニット5方向に液体を導く液体ライン内に設けることができる。ベース部又は操作部20には、好適には、少なくとも1個の操作要素24が設けられている。この操作要素24により、使用者は、ベース部又は操作部20内に設けられた調整要素、例えば液体の流量を変更するための上述したバルブ、又は上述した少なくとも1個のスロットル要素を操作することができる。
【0049】
ベース部又は操作部20内には更に、好適には、容器2をベース部又は操作部20、特にその内部に設けられた少なくとも1つのラインに接続する供給ブロック14(図2参照)が設けられている。以下に詳述するこの供給ブロック14は、容器2をベース部又は操作部20に機械的に接続するために構成されているものでもある。
【0050】
ベース部又は操作部20には更に、好適には、容器2内に供給される圧縮ガス中の水分を分離するための湿分分離器26が配置されている。湿分分離器26は、フィルタ材料又は乾燥剤を含む。
【0051】
図2に拡大して示す容器2は、好適には、円筒状容器壁2を含む。この容器壁2により、容器内部空間3の少なくとも一部、容器壁6に接続された容器底部7、及び容器カバー27が規定される。
【0052】
容器2は、少なくとも1つの接続部により、圧縮ガス源4に接続可能であるため、圧縮ガス源4からの圧縮ガスを容器内部空間3内に搬送することができる。容器2は更に、吐出ユニット5に接続可能であるため、粉末媒体30が充填された圧縮ガスを吐出ユニット5に搬送することができる。
【0053】
容器カバー27は、好適には、容器底部7の反対側に配置されている。容器カバー27はまた、好適には、容器2、特に容器壁6に対して移動可能に配置されているか又は分離可能に配置されているため、粉末媒体30を容器内部空間3内に充填することができる。容器カバー27は更に、好適には、ドーム状の形状を有するか又は容器内部空間3から外方に向けてアーチ状の形状を有する。
【0054】
容器内部空間3は、好適には、少なくとも1つの円筒状セクション3Bを含む。このセクション3Bには、好適には、容器底部7に向けてテーパ付けされたセクション3Aが接続されている。
【0055】
好適には円形の容器底部7には、少なくとも1つの孔8(図3参照)が設けられ、この孔8を通して圧縮ガス源4からの圧縮ガスを容器内部空間3内に導入することができる。容器底部7には更に、好適には、更なる孔28が設けられ、この孔28を通して粉末媒体30で充填された圧縮ガスを容器内部空間3外に導出することができる。孔28は、容器壁6及び/又は容器カバー27内に少なくとも一部が設けられるか又は全部が設けられてもよい。
【0056】
孔28内には、好適には、搬送管29が収容されているか又は孔28に接続されている。この搬送管29は、粉末媒体30で充填された圧縮ガスを容器内部空間3外、特に吐出ユニット5方向に導出するよう構成されている。粉末媒体30を特に吐出ユニット5方向に搬送するため、搬送管29は、特に第1供給管内に設けられた圧縮ガスラインに接続されている。
【0057】
容器底部7には、多孔質材料で構成された、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9が設けられている。この場合、圧縮ガスは、多孔質材料を通過して容器内部空間3内に搬送可能であるため、容器内部空間3内における粉末媒体30の少なくとも一部が、容器内部空間3外の吐出ユニット5に搬送されることなく、ほぐされ又は通気される。圧縮ガス透過性渦巻きプレート9は、好適には、円形状又は平坦な円筒状に構成されている。圧縮ガス透過性渦巻きプレート9の高さは、数mm、例えば7 mm未満、特に5 mm未満とするのが好適であり、直径は、50 mm未満、特に35 mm未満とするのが好適である。圧縮ガス透過性渦巻きプレート9の本体には、該プレート9の頂面9A及び底面9Bの開口に達する複数のチャネル又は孔が設けられているため、圧縮ガスがプレート9を通過することができる。
【0058】
圧縮ガス透過性渦巻きプレート9は、容器内部空間3内にて、特に容器底部7方向にテーパ付けされたセクション3Aに隣接して又は該セクション3Aに配置されているため、粉末媒体30が特に渦流プレート9方向に又は該プレート9上に流動可能である。特に好適には、テーパ付けされたセクション3Aは、その最小直径が圧縮ガス透過性渦巻きプレート9、特にその頂面9A(図3も参照)で終端している。これにより、容器内部空間3に収容された粉末媒体30の全部が圧縮ガス透過性渦巻きプレート9上に直接に堆積する。
【0059】
圧縮ガス透過性渦巻きプレート9は、好適には、容器2に着脱不能に固定されており、例えばプラスチックで構成された容器2内に注入されている。
【0060】
特に図2に明示するように、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9は、容器内部空間3に隣接し、かつ容器内部空間3及び/又は粉末媒体30を容器底部7から分離する中間底部を構成している。圧縮ガス透過性渦巻きプレート9又は中間底部は、好適には、容器内部空間3内又は該空間3に隣接する空間、特に円筒状の収容空間に配置されている。
【0061】
圧縮ガス透過性渦巻きプレート9は更に、好適には、その中央部に配置された孔11を有するため、圧縮ガス源4からの圧縮ガスを(多孔質材料を通過せずに)容器内部空間3内に直接導入することができる。これにより、粉末媒体30が容器内部空間3外に搬送される。
【0062】
特に図3に明示されているように、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9は、少なくとも1個の肩部又はスペーサ31、例えば1個のスペーサ又は図3の実施形態に従えば2個の環状スペーサにより、容器底部から離間している。これにより、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9の底面9Bの下方、特に圧縮ガス透過性渦巻きプレート9及び容器底部7の間に広面積に亘って圧縮ガスチャンバ10が形成されている。この圧縮ガスチャンバ10は、圧縮ガスを圧縮ガス透過性渦巻きプレート9に平面的に供給するために機能する。
【0063】
圧縮ガスチャンバ10は、第1圧縮ガスライン12を介して圧縮ガス源4に接続されているため、圧縮ガスを圧縮ガスチャンバ10内に搬送することができる。この場合、圧縮ガスは、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9の下方、特にプレート9の底面9Bの下方における圧縮ガスチャンバ10内に平面的に広がり、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9の多孔質材料を通過して容器内部空間3内に搬送される。圧縮ガス透過性渦巻きプレートを通過し及び/又は圧縮ガスチャンバ10内に導入される圧縮ガス体積流に圧力低下が生じることにより、容器内部空間3内に収容された粉末媒体30が、容器内部空間3外の吐出ユニット5に搬送されることなく、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9を通過する圧縮ガスによってほぐされ、通気され又は流動化される。
【0064】
第2圧縮ガスライン13は、圧縮ガスを容器内部空間3内に直接に導入するため、粉末媒体30が充填された圧縮ガスが容器内部空間3外に搬送される。この場合、第2圧縮ガスライン13も圧縮ガス源4に接続されている。第1圧縮ガスライン12及び第2圧縮ガスライン13は、好適には、第2供給管22内に配置された共通の圧縮ガスラインを介して圧縮ガス源4に接続されている。この共通の圧縮ガスラインは、好適には、ベース部又は操作部20内で第1圧縮ガスライン12及び第2圧縮ガスライン13に分かれているため、これら2つの圧縮ガスライン12,13が互いに分離した圧縮ガスラインとして機能する。
【0065】
第2圧縮ガスライン13は、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9内の孔11を通過して延びており、容器内部空間3内で終端している。圧縮ガスライン13の端部には、スタンドパイプ15が接続されているか又は取り付けられている。
【0066】
スタンドパイプ15は、容器内部空間3内に収容された粉末媒体30の上方に配置された第2自由端まで延びている。スタンドパイプ15は、容器2内に収容された粉末媒体30を吸い込むための複数の吸い込み開口16を有するため、粉末媒体30は、第2圧縮ガスライン13を通して導入された圧縮ガスにより、少なくとも1つの吸い込み開口16からスタンドパイプ15内に吸い込まれ、かつスタンドパイプ15内を第2端部方向に搬送される。
【0067】
第2自由端において、流動化された粉末媒体で充填された圧縮ガスは、スタンドパイプ15外に流出した後、容器内部空間3を通って搬送管29に搬送され、上述したように容器2外に流出する。
【0068】
第1圧縮ガスライン12及び第2圧縮ガスライン13は、容器2に接続可能な供給ブロック14に配置されている。この供給ブロック14は、容器2及びベース部又は操作部20の間の接続要素又は取り付け要素として構成されている。供給ブロック14は更に、複数のシール要素により、容器2、容器内部空間3、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9及び/又は圧縮ガスチャンバ10に対してシールされている。
【0069】
供給ブロック14は、その一端、特に容器内部空間3側の端部に延長部14Aを有する。この延長部14Aは、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9の孔11内に突入し、特に孔11を塞いでいる。このように延長部14A、好適にはその容器内部空間3側の頂面は、圧縮ガス透過性渦巻きプレート9と共に、上述した中間底部の一部を構成している。
【0070】
延長部14Aに配置された第2圧縮ガスライン13の一部は、延長部14Aの頂面の開口に達し、その開口は、スタンドパイプ15に接続されている。
【0071】
第2圧縮ガスライン13、特に供給ブロック14内又はその延長部14A内には、粉末媒体30が容器内部空間3から圧縮ガスライン13内に流出するのを回避する逆止弁17が配置されている。図3に明示されているように、逆止弁17は、第2圧縮ガスライン13内の狭窄部によって形成された肩部に支持され、かつ内側孔を有する中空ねじ32で固定されている。
【0072】
第1圧縮ガスライン12及び第2圧縮ガスライン13のそれぞれがスロットル要素18,19、例えばスロットルバルブを有するため、第1圧縮ガスライン12及び第2圧縮ガスライン13内を流れる圧縮ガス体積流量は、互いに独立して調整することができる。特に、2個のスロットル要素18,19は、第1圧縮ガスライン12及び第2圧縮ガスライン13内を流れる圧縮ガス体積流量が異なる値を有するよう構成されているか又は例えば操作要素24で作動させることができる。この場合、好適には、第1圧縮ガスライン12内を流れる圧縮ガス体積流量は、第2圧縮ガスライン13内を流れる圧縮ガス体積流量よりも大きい。
【0073】
医療用又は歯科用装置1は、好適には、(粉末媒体30を含まない)純粋な圧縮ガスを搬送管29内又は圧縮ガスライン34内(図2参照)に導入するよう構成された更なる圧縮ガスライン33を備える。これにより、吐出ユニット5方向に流動する粉末媒体30の濃度又は量を、例えば低下させることにより又は背圧を生じさせることにより変化させることが可能である。従って、装置1の作動又は停止時に、ハンドル5A方向に過度な粉末が搬送されることを回避することもできる。
【0074】
圧縮ガスライン33は、圧縮ガス源4に接続され、その圧縮ガス源4から粉末媒体を含まない圧縮ガスを受け取る。圧縮ガスライン33は更に、容器2外にて、搬送管29及び/又は該搬送管29に接続され、かつ流動化された粉末媒体30を吐出ユニット5方向に搬送するための圧縮ガスライン34に接続されているため、純粋な圧縮ガスを搬送管29内又は圧縮ガスライン34内に搬送することができる。
【0075】
吐出ユニット5方向に流動する粉末媒体30の濃度又は量をより効果的に変化させることができるよう、圧縮ガスライン33内には更なるスロットル要素25が設けられている。このスロットル要素25は、例えばベース部又は操作部20に配置された操作要素24により、特に調整可能に構成されている。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に係る本発明の基本的原理が適用されるか又は含まれる全ての実施形態を包含するものである。更に、上述した特徴は全て、互いに組み合わせることができる。
図1
図2
図3