特許第6357236号(P6357236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357236ライン分岐部に電流を供給するための方法および給電制御部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357236
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ライン分岐部に電流を供給するための方法および給電制御部
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   H02J3/38 110
   H02J3/38 130
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-537327(P2016-537327)
(86)(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公表番号】特表2016-529870(P2016-529870A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014068526
(87)【国際公開番号】WO2015032722
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2017年6月16日
(31)【優先権主張番号】102013109608.5
(32)【優先日】2013年9月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゾファリー,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】プライア,オリヴァー
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/162025(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02498364(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0121652(US,A1)
【文献】 特開2003−061251(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/29954(WO,A1)
【文献】 米国特許第6605881(US,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第2388879(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0241426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 − 1/16
H02J 3/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン保護ヒューズ(7)によって保護され、かつ、最大許容値までの電流用に設計された電気設備(1)のライン分岐部(3)に電流を給電するための方法であって、
− 外部エネルギー供給ネットワーク(5)からの電流、およびエネルギー生成システム(9)からの電流が、前記ライン分岐部(3)に給電されるとともに、
− 前記外部エネルギー供給ネットワーク(5)から前記ライン分岐部(3)に給電された前記電流が、給電された前記電流に対する限界値を規定する前記ライン保護ヒューズ(7)によって制限され、かつ、
− 前記エネルギー生成システム(9)によって生成された前記電流の前記給電が、特定の最大電流であるが、可変の最大電流を超えて給電されないように制御される方法において、
前記ライン保護ヒューズ(7)の前記限界値が、給電制御部(6)の制御のもとで引き下げられた後にだけ、前記最大電流を、前記給電制御部(6)の前記制御のもとで引き上げ、さらに多量の電流を、前記エネルギー生成システム(9)から前記ライン分岐部(3)に給電可能にして、前記最大電流の前記引き上げ後であっても、前記ライン分岐部(3)の前記電流の前記最大許容値を超過しないようにすることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記限界値および前記最大電流が、前記給電制御部(6)の前記制御のもとで、段階的に、および/または所定の経時的な変動を考慮に入れて、適合されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
− 特定の時点において、前記最大電流よりも多量の電流を前記エネルギー生成システム(9)から前記ライン分岐部(3)に給電可能である場合に、リクエスト信号が、前記エネルギー生成システム(9)から前記給電制御部(6)に送信され、
− 前記ライン保護ヒューズ(7)の前記限界値が、前記給電制御部(6)の前記制御のもとで、特定量分だけ引き下げられ、かつ、
− 前記特定量分だけ追加の電流を給電するための前記最大電流の前記引き上げを可能にする制御信号が、前記給電制御部(6)から前記エネルギー生成システム(9)に送信されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記リクエスト信号の前記送信の後に、所定の時間間隔内に前記制御信号が前記エネルギー生成システム(9)によって受信されたときにだけ、前記最大電流が引き上げられることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法において、リクエスト信号に応答して制御信号が受信されなかった所定の時間間隔の後に、さらなるリクエスト信号が、前記エネルギー生成システム(9)によって前記給電制御部(6)に送信されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法において、前記最大電流の前記引き上げ後、および/または前記限界値の前記引き下げ後に、確認信号が、前記給電制御部(6)に送信されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項3乃至6の何れか1項に記載の方法において、前記エネルギー生成システム(9)と、前記給電制御部(6)との間で交信された前記信号が、無線で伝達されるか、または前記ライン分岐部(3)を経由して伝達されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法において、前記エネルギー生成システム(9)から給電された前記電流が、前記最大電流から、所定の差異量を超える分だけ逸脱している場合に、前記最大電流が特定量分だけ引き下げられ、前記最大電流の前記引き下げの後にだけ、前記ライン保護ヒューズ(7)の前記限界値が前記特定量分だけ引き上げられることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、前記エネルギー生成システム(9)からの、前記最大電流を超過する電流が、エネルギーバッファ蓄積装置を充電するために使用され、かつ/または、前記最大電流未満が前記エネルギー生成システム(9)から給電される場合に、前記エネルギーバッファ蓄積装置または1つのエネルギーバッファ蓄積装置からの電流が、少なくとも一時的に、前記ライン分岐部(3)に給電されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法において、前記外部エネルギー供給ネットワーク(5)からの前記電流および前記エネルギー生成システム(9)からの前記電流が、前記ライン分岐部(3)の両端部領域において給電されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法において、前記最大電流が、前記ライン保護ヒューズ(7)のトリガ特性を考慮に入れていることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、複数のエネルギー生成システム(9)からの電流が、前記ライン分岐部(3)に給電されるとともに、各エネルギー生成システム(9)が、それぞれに特定の最大電流であるが、可変の最大電流を超えて前記ライン分岐部(3)に給電されないように制御され、かつ、さらに多量の電流を、対応する前記エネルギー生成システム(9)から前記ライン分岐部(3)に給電可能にする、前記それぞれの最大電流の前記引き上げが、前記給電制御部(6)によって一元的に制御されることを特徴とする方法。
【請求項13】
エネルギー生成システム(9)および外部エネルギー供給ネットワーク(5)から、ライン保護ヒューズ(7)によって保護され、かつ、最大許容値未満の電流用に設計された電気設備(1)のライン分岐部(3)に電流を給電するための給電制御部(6)であって、
− 前記ライン保護ヒューズ(7)が、前記外部エネルギー供給ネットワーク(5)から給電された前記電流に対する限界値を規定するとともに、
− 前記ライン分岐部(3)の前記電流の前記最大許容値を超過するのを防ぐために、前記給電制御部(6)が、最大値として、前記エネルギー生成システム(9)から給電し得る最大電流を決定するための制御装置を有し、かつ、
− 前記給電制御部(6)が、前記最大電流を規定するために制御信号を前記エネルギー生成システム(9)に送信するためのインタフェースを有する給電制御部(6)において、
前記ライン保護ヒューズ(7)の前記限界値が引き下げられた後にだけ、前記インタフェースが、さらに大きな最大電流を規定するための制御信号を送信することによって、前記最大電流の前記引き上げ後であっても前記ライン分岐部(3)の前記電流の前記最大許容値を超過しないように、さらに多量の電流を、前記エネルギー生成システム(9)から前記ライン分岐部(3)に給電可能であることを特徴とする給電制御部(6)。
【請求項14】
請求項13に記載の給電制御部(6)において、さらに多量の電流を、前記エネルギー生成システム(9)から給電可能であるように、前記給電制御部(6)が、前記エネルギー生成システム(9)によって送信された、前記最大電流の前記引き上げに関係するリクエスト信号を受信するためのインタフェースを有することを特徴とする給電制御部(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー生成システムおよび外部エネルギー供給ネットワークから、ライン保護ヒューズによって保護され、かつ、最大許容値までの電流用に設計された電気設備の、ライン分岐部に電流を給電するための方法に関する。本発明はまた、エネルギー生成システムおよび外部エネルギー供給ネットワークから、電気設備のそのようなライン分岐部に電流を給電するための給電制御部に関する。
【0002】
特に、電気設備は、家庭用設備、すなわち家庭用に電力の内部供給を行うための光起電力システム(PVシステム)が取り付けられている家庭用設備であってもよい。
【背景技術】
【0003】
電力の内部供給を行うためのPVシステムが取り付けられている公知の家庭用設備の場合には、PVシステムは、最大値として、ライン分岐部に流れる電流が最大許容値を超過しないだけの電流を、家庭用設備のライン分岐部に給電するように設計されている。PVシステムが十分な電流を生成、給電しない場合であっても、エネルギー供給を保証するために、ライン分岐部は、外部エネルギー供給ネットワークに接続されている。外部エネルギー供給ネットワークへの接続は通常、ライン保護ヒューズが取り付けられている電力計を経由して行われる。ライン保護ヒューズによって、ライン分岐部に対して許容可能であるよりも多量の電流が、外部エネルギー供給ネットワークからライン分岐部に給電されないことが保証されている。しかしながら、PVシステムは、必ずしもライン保護ヒューズを有する電力計を経由している必要はなく、ライン分岐部の別の場所で、例えば、家屋の屋根領域の、ライン分岐部の端部においてライン分岐部に接続される。PVシステムによって生成され、給電された電流は、この時、当該のライン分岐部のライン保護ヒューズを通って流れないので、許容可能であるよりも多量の電流がライン分岐部に給電される場合が生じ得る。すなわち、ライン分岐部が、ライン保護ヒューズによって、ライン分岐部に流れる電流が最大許容値を超過する過電流状態から保護されない場合が生じ得る。
【0004】
特許文献米国特許出願公開第2011/0241426 A1号明細書、および同じパテントファミリーに属する、米国特許第8,362,646 B2号明細書は、2つの別個の電流給電部を有するライン分岐部内の過電流状態を回避する方法を開示している。この目的のために、外部エネルギー供給ネットワークから給電された電流を記録する電流センサが、外部エネルギー供給ネットワークに対する接続点領域に設けられている。この値は、PVシステムのインバータの制御部に伝達される。その後、この値は、制御部によって、外部エネルギー供給ネットワークから給電された電流およびPVシステムから給電された電流の合計が、対応するライン分岐部に対する最大許容電流値を超過しているかどうか調べられる。最大許容電流値を超過している場合には、PVシステムがOFFに切り換わるか、または、給電された電流の合計が許容電流値を超過しないように、削減される。外部エネルギー供給ネットワークから給電された電流およびPVシステムから給電された電流の合計が、対応するライン分岐部に対する最大許容電流値を超過しているかどうかを調べるのに必要な情報が、受信されない場合にも、PVシステムがOFFに切り換わることが起こる。2つの電流の給電合計が許容電流値を超過しているときに、PVシステムが、OFFに切り換わる命令または削減する命令に応答しない場合には、電流はやはり、外部エネルギー供給ネットワークに対する接続点に設けられた電源保護ヒューズによってOFFに切り換わらない。
【0005】
特許文献欧州特許出願公開第2 388 879 A1号明細書は、電気エネルギー供給ネットワークからの電流、および局所的エネルギー生成システムからの電流が給電されるライン分岐部内の過電流状態を回避する、別の方法を開示している。この目的のために、保護装置が、外部エネルギー供給ネットワークに対する接続点の領域に設けられている。この保護装置は、一方では、外部エネルギー供給ネットワークから給電される電流の測定値を受信し、他方では、同一時点に局所的エネルギー生成システムから給電される電流の測定値を受信する。2つの測定値の合計は、保護装置によって決定される。給電された電流の合計が、ライン分岐部における電流に対する最大許容値を超過する場合には、ライン分岐部を外部エネルギー供給ネットワークから分離する保護スイッチが開放される。個々の測定値は、それらがタイムスタンプで発生された場所で提供される。保護装置が、同一時点に関連する測定値をすべて受信してしまうまで、すでに利用可能な測定値はバッファ蓄積される。
【0006】
特許文献米国特許第6,605,881 B2号明細書は、PVシステムおよび外部エネルギー供給ネットワークを、負荷を有するライン分岐部に接続することが可能な接続箱を開示している。負荷を有するライン分岐部に対する接続点に設けられているのは、電流センサであり、この電流センサによって、負荷に流れる電流が検出される。電圧センサもまた設けられており、この電圧センサによって、外部エネルギー供給ネットワークの電圧が検出される。2つの値から、その瞬間にどれだけの電力が負荷によって消費されているかを決定することができる。その後、PVシステムは、負荷に必要な電力に依存して制御され、外部エネルギー供給ネットワークから給電される電力が、所定の値を超過しないことが保証されている。過電流状態から保護するために、接続箱は、2つの電流の合計が、負荷を有するライン分岐部の最大許容電流よりも大きくなる場合に、PVシステムおよび外部エネルギー供給ネットワークから電力分岐部を分離することができる保護スイッチを有する。
【0007】
特許文献国際公開第02/29954 A1号パンフレットは、エネルギー供給ネットワークに負荷を接続するための、制御可能な過電流保護の使用を開示している。過電流保護を、例えば、そのトリガ閾値およびそのトリガ特性に関して適合させることが可能になることで、過電流保護を種々の負荷に臨機応変に使用することができ、各場合において、種々の要件を考慮に入れることにより、過電流状態から最適な保護を確実に行えるようにすることを意図している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ライン分岐部の電流の最大許容値を超過することを確実に防ぎつつ、エネルギー生成システムおよび外部エネルギー供給ネットワークからの電流を、ライン分岐部に給電することが可能な方法を提供するという課題に対処するものである。同時に、本発明は、エネルギー供給システムから給電された電流の、不必要なスロットリングを回避することを意図するものである。さらに、本発明は、エネルギー生成システムおよび外部エネルギー供給ネットワークからの電流を、電気設備のライン分岐部に給電するための給電制御部を設けることで、ライン分岐部の最大許容電流よりも大きな電流の発生を確実に防ぐという課題に対処するものである。
【0009】
本発明が対処する課題は、本発明の、独立特許請求項1および13に記載の特徴により解決される。本発明によるさらなる好適な改良を、従属特許請求項から得ることができる。
【0010】
先行技術から公知の手順の場合には、PVシステム、および外部エネルギー供給ネットワークからの電流の給電は、対応するセンサを経由して、許容可能であるよりも多量の電流がライン分岐部に給電されていることが検出された後に、PVシステムが削減されるように制御されている。これは、少なくともある一定時間の間、過電流状態が必ず存在することを意味する。欧州特許出願公開第2 388 879 A1号明細書から公知の手順の場合もやはり、少なくとも短時間の間は、過電流状態が存在する可能性を確実に除外することはできない。なぜなら、局所的なエネルギー生成システムから給電された電流を最初に測定して、外部エネルギー供給ネットワークの電流の給電をOFFに切り換えるための、保護装置に伝達しなければならないからである。先行技術から公知の手順の場合には、過電流状態を受け入れなければならない時間は、特に、センサの感度、通信速度、そしてPVシステムを削減するのに要する時間にもまた左右される。とりわけ、PVシステムとの通信、またはそのようなシステム内の保護装置との通信は、家庭用設備の安全性に対する責任を部分的に負っているので、信頼度に関してますます高まる要求事項を満たさなければならない。特に、通信不具合の場合、または通信中のデータ輸送時間が長い場合には、少なくとも追加の、場合によっては複雑な手段がなければ、家庭用設備の安全性が十分に保証されない場合がある。
【0011】
本発明によれば、外部エネルギー供給ネットワークからの電流が、外部エネルギー供給ネットワークから給電される電流に対する可変の限界値を有するライン保護ヒューズを経由して給電され、エネルギー生成システムから、さらに多量の電流の給電が、この可変の限界値に依存して行われる場合には、そのような過電流状態が回避可能であることがわかっている。この目的のために、エネルギー生成システムから給電される電流に対する最大電流は、給電制御部の制御のもとで、ライン保護ヒューズの限界値が引き下げられた後にだけ、すなわち、給電制御部の制御のもとで、ライン分岐部の電流の最大許容値を超過しない程度まで低減された後にだけ、引き上げられる。その時、最大許容値よりも多量の電流が給電されるのを防ぐためのさらなる情報は、エネルギー生成システムにおいても、ライン保護ヒューズにおいても必要ない。例えば、その時点において、どのくらいの電流が外部エネルギー供給ネットワークから給電されているのかを決定するために、エネルギー生成システムを制御する必要はない。なぜなら、どのくらいの電流が最大値として外部エネルギー供給ネットワークから給電可能であるかは、最大電流にすでに考慮にされているからである。
【0012】
本発明による方法の場合には、一方では、外部エネルギー供給ネットワークから、他方では、エネルギー生成システムからライン分岐部に電流が給電される。外部エネルギー供給ネットワークからライン分岐部への電流の給電用に、給電される電流に対する可変の限界値を規定するライン保護ヒューズが設けられている。外部エネルギー供給ネットワークから給電される電流は、ライン保護ヒューズの限界値によって制限される。限界値を超過すると、場合によっては所定の時間の後に、または、ライン保護ヒューズ内に保存され、かつ、事前にプログラム可能なトリガ特性に従って、ライン保護ヒューズのトリガにつながるであろう。
【0013】
本発明による方法によれば、エネルギー生成システムによって生成された電流の給電が、特定の最大電流を超えて給電されないように制御される。しかしながら、この最大電流を変更してもよい。例えば、エネルギー生成システムからライン分岐部にさらに多量の電流を給電可能にするために、最大電流を引き上げてもよい。しかしながら、本発明による方法によれば、エネルギー生成システムからライン分岐部にさらに多量の電流を給電可能にするために、ライン保護ヒューズの限界値が、最大電流の引き上げ後であっても、ライン分岐部の電流の最大許容値を超過しないように適合された後にだけ、最大電流が引き上げられる。この場合には、最大電流の引き上げが、給電制御部によって制御され、給電制御部は、ライン保護ヒューズの限界値の引き下げもまた制御する。例えば、限界値がすでに最小値に達していることが原因で、ライン保護ヒューズの限界値が適合されていなければ、エネルギー生成システムからの給電用にさらに多量の電流が利用可能になっていても、最大電流は引き上げられない。このようにすることで、全体として、エネルギー生成システムからの電流の給電を増やしても、ライン分岐部の電流の最大許容値を超過しないことが保証されている。もっと正確に言えば、最大電流は、電流の最大許容値を超過し得ないように、ライン保護ヒューズの限界値に常に適合されている。しかしながら、これは、ライン分岐部の電流に対する最大許容値を絶対に超過し得ない、という意味ではない。例えば、ライン分岐部で追加の消費体がONに切り換わり、短時間の許容可能な過電流状態が生じる場合があるが、それに応じて、ライン保護ヒューズが、そのトリガ特性に基づいてトリガされることはなく、またトリガされるようにも意図されていない。
【0014】
したがって、以下において、ライン分岐部の電流の最大許容値の超過防止について言及する場合には、これは、たとえエネルギー生成システムの最大電流をライン保護ヒューズのトリガ特性よりも少しでも大きく、または少しでも長く引き上げても、何れにせよ、このライン分岐部の電流の最大許容値を超過し得ない、という意味であると理解される。
【0015】
最大電流よりも多量の電流が、エネルギー生成システムからライン分岐部に給電可能である場合には、ライン保護ヒューズの限界値を、1回のステップで、追加で利用可能な電流に相当する量に適合させてもよい。
【0016】
ライン保護ヒューズの限界値の引き下げ後、次に、最大電流が、この量の分だけ引き上げられる。
【0017】
しかしながら、限界値および最大電流を、段階的に適合させてもまたよい。段階的に適合させることで、一種の穏やかな制御を達成することができる。すなわち、急激な変化を伴わずに、適合中であっても、ライン分岐部に一括して給電される電流に対する限界が、ライン分岐部の電流に対する最大許容値から著しく逸脱せずに、最大電流を大幅に変動することができる。特に穏やかな制御を行うには、小さなステップでの適合を選択してもよい。適合を特に迅速に行うのであれば、大きなステップ、またはステップ同士が速やかに連続するステップを選択することが有利な場合がある。特に、1回限りで急激にライン保護ヒューズの限界値を引き下げるのではなく、段階的に適合させることにより、望ましくないライン保護ヒューズの不用意なトリガの危険性を最小限に抑えることが可能になる。
【0018】
さらに、限界値および最大電流を、所定の経時的な変動を考慮に入れながら、適合させてもよい。例えば、最大電流の適合を、限界値の適合に対して時間を遅らせて、また、状況によっては無段階で、最大電流を限界値と同じ経時的な変動に適合させて実行してもよい。ランプを、例えば、適合に対する経時的な変動として規定してもよい。
【0019】
限界値および最大電流の適合は、給電制御部によって制御される。給電制御部、ライン保護ヒューズおよびエネルギー生成システムは、この場合、別個のユニットとして形成されてもよい。この時、給電制御部は、限界値および最大電力を制御するために、ライン保護ヒューズおよびエネルギー生成システムに接続されている。しかしながら、給電制御部は、ライン保護ヒューズと一体に形成されていることが好ましい。この時、給電制御部は、最大電流を規定するために、エネルギー生成システムに接続されている。
【0020】
本発明による方法の1つの実施形態によれば、特定の時点における最大電流よりも多量の電流を、エネルギー生成システムからライン分岐部に給電可能になれば、リクエスト信号が、エネルギー生成システムから給電制御部に送信される。リクエスト信号に応答して、次に、可能であれば、ライン保護ヒューズの限界値が、給電制御部の制御のもとで、特定量分だけ低減される。限界値が特定量分だけ低減されると、制御信号が給電制御部からエネルギー生成システムに送信され、これにより、追加の電流の給電に対する最大電流を、この特定量分だけ増加することが可能になる。このようにすることで、給電制御部の制御のもとで、ライン保護ヒューズの限界値の引き下げ後にだけ、最大電流が確実に引き上げられるようにする。
【0021】
特定の時点における最大電流よりも多量の電流が、エネルギー生成システムから給電可能であることが検出されるのに応答して、リクエスト信号が、エネルギー生成システムから給電制御部に直接送信されてもよい。しかしながら、この代わりに、給電制御部によってエネルギー生成システムに送信される問合せ信号に応答してだけ、リクエスト信号の送信が行われてもまたよい。この問い合わせ信号によって、どの電流が、その時点においてライン分岐部に給電可能であるかが問い合わせられる。その場合には、したがって、給電制御部が制御の能動部分の役割を担っているのに対して、エネルギー生成システムは、給電制御部の信号に単に応答しているだけである。
【0022】
ライン保護ヒューズの限界値、およびそれに続いて最大電流を適合させる量は、各場合において、エネルギー生成システムから追加で利用可能な電流の量に対応していてもよい。しかしながら、限界値および最大電流の適合が、複数のステップで、各場合において限界値および最大電流を分数単位で増減させることだけによって、実行されるようにしてもまたよい。例えば、段階的に行う適合の場合には、限界値および最大電流を、各適合ステップにおいて、固定された所定量分だけ適合させることも可能であろう。この時、適合ステップの数は、追加で利用可能な電流の量によって決まる。
【0023】
最大電流が、あらかじめ送信されていたリクエスト信号に応答して適合されていることを保証するために、エネルギー生成システムによるリクエスト信号の送信の後に、所定の時間間隔内に制御信号が受信されたときにだけ、最大電流が引き上げられるようにしてもよい。このようにすることで、例えば、リクエスト信号がまったく送信されていないにもかかわらず、最大電流の引き上げが生じることが防止できる。さらなる改良では、所定の時間間隔外で受信される制御信号の受信後に、ライン保護ヒューズの限界値および最大電流が互いに調和するようになっており、かつ、その時の実際の状態に適合されていることを保証するために、エネルギー生成システムによって、リクエスト信号を自動的に送信してもよい。
【0024】
さらに、リクエスト信号に応答して制御信号を受信しなかった所定の時間間隔の後に、エネルギー生成システムによって、給電制御部にさらなるリクエスト信号を送信するようにしてもよい。
【0025】
限界値が実際に引き下げられ、かつ/または最大電流が実際に引き上げられたかどうかを給電制御部が検出可能であるように、限界値の引き下げ後に、ライン保護ヒューズによって、確認信号を給電制御部に送信してもよいし、あるいは、最大電流の引き上げ後に、エネルギー生成システムによって、給電制御部に確認信号を送信してもよいし、これらの両方を行ってもよい。特に、ライン保護ヒューズからの、限界値を引き下げるための確認信号が存在する場合にだけ、給電制御部によって制御信号がエネルギー生成システムに送信されるようにしてもよい。エネルギー生成システムからの、前述のリクエスト信号に対する確認信号がすでに存在する場合にだけ、さらなるリクエスト信号に応答するようにしてもまたよい。
【0026】
前述の手段によって、過度の電流がライン分岐部に流れると、電源保護ヒューズのトリガは、この深刻な事態の間、何らかの信号の適正な伝達に依存せず、したがって、制御されない状態で遅滞しないことが保証されている。
【0027】
リクエスト信号、問合せ信号、制御信号および確認信号の伝達を、これら信号がエネルギー生成システムと、給電制御部との間で、無線で、またはライン分岐部を経由して伝達される場合には、特に複雑でない、かつ/または、柔軟なやり方で実行することができる。一意に割り当てるために、特定のエネルギー生成システムと、給電制御部との間で交信された信号は、例えば、信号に含まれる特定のパルスパターン、周波数またはアドレスによって符号化されてもよい。給電制御部と、ライン保護ヒューズとの間の通信は、無線で、またはライン分岐部を経由して行われてもまたよい。しかしながら、給電制御部およびライン保護ヒューズが1つのユニットとして形成される場合には、通信または制御は、特に、このユニットの接続を行うことによって、または光学的データ伝達によって(例えば、光結合素子によって)行われる。
【0028】
エネルギー生成システムからライン分岐部に特定の時点における最大電流をもはや給電することができないときに、最大限許容可能な枠組みの中でライン分岐部への電力供給を保証するために、最大電流を特定量分だけ引き下げ、ライン保護ヒューズの限界値を特定量分だけ引き上げると有利である。本発明による一実施形態によれば、エネルギー生成システムから給電された電流が、最大電流から所定の差異量を越えて逸脱している場合には、最大電流が特定量分だけ引き下げられる。しかしながら、この場合には、最大電流の引き下げの後にだけ、ライン保護ヒューズの限界値が、特定量分だけ引き上げられる。このようにすることで、最大電流または限界値の適合中に、ライン分岐部の電流がその間に最大許容値を超過してしまうのを防いでいる。最大電流を引き上げる場合のように、この場合、対応する信号の交信によって制御を行ってもよい。さらに、所定の差異量分の適合を、1回のステップで行ってもよい。しかしながら、限界値および最大電流は、段階的に、および/または所定の経時的な変動を考慮に入れて行ってもまたよい。
【0029】
最大電流よりも多量の電流がエネルギー生成システムから利用可能な場合には、最大電流を超えた電流を使用してエネルギーバッファ蓄積装置の充電を行ってもよい。例えば、ライン保護ヒューズの限界値のさらなる引き下げが可能であるか、そしてその結果として、追加の電流を給電するための最大電流のさらなる引き上げもまた可能であるかどうかに依存して、エネルギーをエネルギーバッファ蓄積装置に蓄積するかどうかの決定を行ってもよい。エネルギーバッファ蓄積装置の充電状態といったような他のパラメータを考慮に入れてもまたよい。エネルギーバッファ蓄積装置に蓄積されたエネルギーを、例えば、エネルギー生成システムだけではまかないきれない、増加したエネルギー需要を一時的に穴埋めするために使用してもよい。特に、例えば、PVシステムの場合に、雲の層が上空を急速に通過したために、エネルギー生成システムによって供給される電流が、短時間の間一時的に減少したときに、このようにすることで、最大電流および限界値が、短期間の間に再三引き上げられたり、引き下げられたりするのを回避することが可能である。
【0030】
特に、外部エネルギー供給ネットワークからの電流およびエネルギー生成システムからの電流を、ライン分岐部の両端部領域に給電してもよい。例えば、外部エネルギー供給ネットワークによって、接地線を経由して電流供給を行ってもよい。一方、エネルギー生成システムは、家屋の屋根に取り付けられて、屋根領域のライン分岐部に接続される。給電ポイントが物理的に遠く離れていてもなお、本発明による方法によって、一方では、外部エネルギー供給ネットワークからの給電がライン保護ヒューズにより制限されていることによって、また他方では、エネルギー生成システムからの給電がライン保護ヒューズの限界値に依存して制御された、可変の最大電流により制限されていることによって、電力分岐部の電流の最大許容値を超過しないことを確実に保証することができる。
【0031】
エネルギー生成システムおよび外部エネルギー供給ネットワークから給電される電流Iを制限することにより、P=IRによる固定した関係において定められた、それぞれの給電される電力Pに対してもまた制限する。なお、ここでRは、接続負荷を含むライン分岐部のオーム抵抗を表している。
【0032】
ライン分岐部の伝達能力を十分に利用するために、不変の最大電流の代わりに、ライン保護ヒューズのトリガ特性を考慮に入れた最大電流を、エネルギー生成システムから給電している電流に対して規定することが得策である場合がある。トリガ特性を考慮に入れることにより、状況によってはライン分岐部の電流の最大許容値を一時的に超過するが、当該のライン分岐部用のライン保護ヒューズのトリガ特性未満にあるようなレベルに設定された電流を、給電できるようにすることもまた可能である。例えば、最大電流を、エネルギー生成システムから給電される、事前定義された時間間隔tにわたって平均した最大平均値を超過しない電流Iによって、または、所定の時間間隔tにわたって一括して給電される電流Iの2乗、すなわち、時間間隔tにわたって、所定の値を超過しないIの時間積分によって規定してもよい。本発明による方法のこの実施形態を使用することにより、例えば、削減レベルで動作するエネルギー生成システムの場合において、最大値として、すなわち、エネルギー生成システムが削減されずに動作するときに、どれだけの電力を、エネルギー生成システムがライン分岐部に給電可能であるのかを確定することができる。この目的のために、エネルギー生成システムを、削減運転から始めて、別の動作点での動作が、短い時間であるためにライン保護ヒューズのトリガ特性未満にあることが確実である限り、この別の動作点で短時間の間動作させてもよい。このようにして、場合によっては、複数回、相前後して様々な動作点において、例えば、光起電力システムの様々な発電機電圧で、どれだけの発電機電力がそこで、短時間の間利用可能であるかを検出することができ、そして、ここから、最大給電可能電力を推定することができる。ライン分岐部の経緯に依存して、すなわち、直近において特定時間内に、電流の最大許容値も実際に達成した程度に依存して、ライン保護ヒューズのトリガ特性を適合させることが同様に得策である場合がある。これは、実際に給電された電流の経時的な変動が決定され、データが給電制御部に伝達されることを前提とする。これにより、特定の時点における最大電流の許容値を決定するために、あるいは、電流の最大許容値を超過しているときに、状況によっては瞬間的に、ライン保護ヒューズをトリガする必要があるのかどうかを決定するために、その時点におけるラインの初期状態を推定することが可能になる。
【0033】
本発明による方法の1つの特定の実施形態によれば、電流が、複数のエネルギー生成システムからライン分岐部に給電される。この場合、各エネルギー生成システムは、それぞれ特定の最大電流であるが、可変の最大電流を超えてライン分岐部に給電されないように制御されている。さらに多量の電流が、対応するエネルギー生成システムからライン分岐部に給電されることを可能にするための、それぞれの最大電流の引き上げが、この場合には、給電制御部によって一元的に制御される。給電制御部の制御のもとでそれぞれの最大電流が一元的に引き上げられることにより、単純な方法で、ライン分岐部の電流の最大許容値もまた、その間に超過しないようにすることができる。各場合においてエネルギー生成システムを個々に制御可能にするために、様々なパルスパターン、および/または、様々な周波数を、信号の交信に使用するようにしてもよい。この代わりとして、伝達された通信データパケットは、符号化されたデータパケットの受信部、または複数の受信部、場合によっては送信部を有するようにしてもよい。できるだけ少数のエネルギー生成システムによって電力需要を満たすことができるように、それぞれの最大電流に対する制御部を維持してもよい。しかしながら、様々なエネルギー生成システムが、極力等しい比率で一括してライン分岐部に給電される電流に寄与するように、最大電力レベルが給電制御部によって制御されるようにしてもまたよい。
【0034】
本発明によるさらなる解決策は、エネルギー生成システムおよび外部エネルギー供給ネットワークから、最大許容値未満の電流用に設計された電気設備のライン分岐部に電流を給電するための給電制御部に関係する。給電制御部は、ライン保護ヒューズを有する。ライン保護ヒューズは、外部エネルギー供給ネットワークから給電される電流に対する可変の限界値を規定する。この場合には、追加で規定されたトリガ特性を、ライン保護ヒューズに保存してもよい。例えば、それぞれ関係する過電流の大きさに依存して、電源保護ヒューズの対応するトリガ時間を定義する、様々な時間を規定してもよい。さらに、ライン分岐部の電流の最大許容値を超過するのを防ぐために、給電制御部は、最大値として、エネルギー生成システムから給電し得る最大電流を決定するための制御装置を有する。さらに、給電制御部が、最大電流を規定するために制御信号をエネルギー生成システムに送信するためのインタフェースであって、さらに大きな最大電流を規定するための制御信号を送信するだけのインタフェースを有することにより、最大電流の引き上げ後であっても、ライン保護ヒューズの限界値が、ライン分岐部の電流の最大許容値を超過しないように適合された後に、さらに多量の電流を、エネルギー生成システムからライン分岐部に給電可能である。
【0035】
特に、給電制御部を、本発明による方法を実行するために設計してもよい。この目的のために、給電制御部は、さらに多量の電流をエネルギー生成システムから給電可能であるように、または場合によっては、さらに多量の電流を外部エネルギー供給ネットワークから給電可能であるように、例えば、最大電流の引き上げ、および場合によっては、引き下げに関係するエネルギー生成システムによって送信されたリクエスト信号を受信するためのインタフェースを追加で有してもよい。制御信号を送信するための、またはリクエスト信号を受信するためのインタフェースを、特定の時点においてエネルギー生成システムからライン分岐部に給電可能な電流について問い合わせるための問合せ信号をエネルギー生成システムに送信するのに適するように、または、最大電流の適合を確認するための確認信号をエネルギー生成システムから受信するのに適するように設計してもまたよい。加えて、制御信号を送信するための、またはリクエスト信号を受信するためのインタフェースを、限界値の引き上げまたは引き下げを確認するための確認信号をライン保護ヒューズから受信するのに適するように、設計してもまたよい。
【0036】
本発明の有利な発展形態は、特許請求項、明細書、および図面により提供される。特徴の説明、および複数の特徴の組合せの説明で言及された利点は、単なる例示的なものであって、代替的に、または累積的に実施可能であり、本発明による実施形態の利点を、必ずしも達成しなければならないというのではない。その結果、添付の特許請求項の主題を変更することなく、原出願の明細書および特許明細書の開示内容に関して、以下のことが当てはまる。さらなる特徴、特に、表された幾何学的な形状、ならびに複数の構成要素の互いに対する相対寸法、それらの相対配置および連動は、図面から理解することができる。特許請求項の選択された従属的な参照からいくぶんか逸脱して、本発明の様々な実施形態の特徴または様々な特許請求項の特徴を組み合わることも同様に可能であり、本明細書によって示唆されている。このことは、別個の図面に表された、または明細書に言及された特徴にも適用される。これらの特徴を、様々な特許請求項の特徴と組み合わせることもまた可能である。同様に、特許請求項で列挙された特徴は、本発明の他の実施形態について省略される場合がある。特許請求項および本明細書で言及された特徴は、それらの数に関して、正確にこの数または、言及された数よりも大きな数を表すように理解されるものとし、副詞「少なくとも」を使用してはっきりと表現する必要はない。したがって、例えば、1つの要素が言及される場合には、これは、正確に1つの要素、2つ以上の要素が存在することを意味すると理解されるものとする。これらの特徴は、他の特徴によって補足されてもよいし、もしくはそれぞれの産物を構成する唯一の特徴であってもよい。各特許請求項に含まれる表示記号は、特許請求項によって保護される主題の範囲の限定を表すものではない。それらは単に、特許請求項をより理解し易くする目的を果たすにすぎない。
【0037】
本発明を、図面に表される好適な実施形態に基づいて、以下にさらに説明し、記述する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、PVシステムおよび外部エネルギー供給ネットワークから家庭のライン分岐部に電流を給電するための、本発明による給電制御部を示す。
図2図2は、2つのPVシステムおよび1つの外部エネルギー供給ネットワークから家庭のライン分岐部に電流を給電するための、本発明による給電制御部を示す。
図3図3は、最大電流を引き上げるための、本発明による方法についての、非常に簡略化されたブロック図を示す。
図4図4は、最大電流を適合させるための、本発明による方法についての、非常に簡略化されたブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、ライン分岐部3を有する、家屋2用の電気設備1を示す。電流を給電するためのライン分岐部3は、接続点4を経由して外部エネルギー供給ネットワーク5に接続されている。この場合、外部エネルギー供給ネットワーク5から給電された電流は、給電制御部6の一部であるライン保護ヒューズ7を経由して、ライン分岐部3に給電され、ライン保護ヒューズ7は、外部エネルギー供給ネットワーク5から給電される電流に対する限界値を規定する。さらに、ライン分岐部3は、関連するインバータ11を有する接続点8を有するエネルギー生成システム9、ここではPVシステム10に対する。図1に表されるように、ライン分岐部3は、負荷13を有する1つまたは複数のサブ分岐部12を有してもよい。サブ分岐部12には、エネルギー生成システム9および外部エネルギー供給ネットワーク5から給電された電流が供給される。
【0040】
エネルギー生成システム9のインバータ11を使用して、PVシステム10からライン分岐部3に給電される電流量を制御する。この場合には、エネルギー生成システム9からライン分岐部3に、所定の最大電流を超えて給電されないように、給電がインバータ11によって制御されている。エネルギー生成システム9から給電される電流の制御を、例えば、PVシステム10のP(U)特性を使用することによって、すなわち、所定の最大電流を超過しないように選択される特定の時点における動作点によって行ってもよい。インバータ11の制御によって、特定の時点において、エネルギー生成システム9からライン分岐部3に、さらに多量の電流が給電可能であることが検出された場合には、外部エネルギー供給ネットワーク5から引き出す必要がある電流を減らすために、利用可能な追加の電流を使用して、負荷13に供給することが望ましい。しかしながら、追加の電流を、さらなる適合を行わずにライン分岐部3に給電すると、ライン分岐部3の電流に対する最大許容値を超過している過電流状態が、ライン分岐部3で起こり得る。なぜなら、その時、外部エネルギー供給ネットワーク5からは、大量の電流が不変のまま、そして同時に、エネルギー生成システム9から、さらに多量の電流がライン分岐部3に給電されてしまうからである。
【0041】
「ライン分岐部3内の過電流状態」という概念は、特に、このライン分岐部3に接続されたサブ分岐部12の少なくとも1つに、過電流状態の障害事例が生じる可能性もまた含んでいる。例えば、比較的多数の負荷13を特定のサブ分岐部12に接続し、同時に動作させる場合は常に、これに該当する。ここでもまた、検討対象の1つのサブ分岐部12の負荷13には通常、エネルギー生成システム9、および外部エネルギー供給ネットワーク5の両方から電流が供給される。例えば、特に外部エネルギー供給ネットワーク5から引き出された電流が、依然としてライン保護ヒューズ7をトリガする限界値未満にある場合には、エネルギー生成システム9の最大電流の対応する制限または適合が行われない限り、当該のサブ分岐部12で検出できない過電流状態が容易に生じる。これは、特に、当該のサブ分岐部12に接続された負荷13は、それ自体について着目すると、どれも欠陥はないが、一括すると、単にサブ分岐部12において同時に動作する負荷13が多すぎる場合にもあてはまる。
【0042】
ライン分岐部3、およびそこに接続されたサブ分岐部12の過電流状態を防ぐために、本発明によれば、第1に、給電制御部6の制御のもとで、エネルギー生成システム9からの追加の電流がライン分岐部3に給電されたときに、ライン保護ヒューズ7の限界値が、ライン分岐部3の電流の最大許容値を超過しないように適合される。ライン保護ヒューズ7の限界値を下げたあとにだけエネルギー生成システム9に対する最大電流が引き上げられ、これにより給電制御部6の制御のもとで、ライン保護ヒューズ7がトリガされる前に外部エネルギー供給ネットワーク5からライン分岐部3に給電される電流を減らすことが可能になる。その時はじめて、負荷13に供給するためにエネルギー生成システム9からライン分岐部3に給電される電流を増やす動作点を、選択することができる。
【0043】
ライン分岐部3への供給が一時的に不足すること、および/または不適切にライン保護ヒューズ7をトリガすることを回避するために、ライン保護ヒューズ7の限界値は、エネルギー生成システム9から追加で利用可能な電流量分を1回のステップで低減しないことが好ましい。むしろ、ライン保護ヒューズ7の限界値の適合、およびエネルギー生成システム9に対する最大電流の適合は、より小さなステップで制御されたやり方でライン保護ヒューズ7によって実行される。ここではステップは、エネルギー生成システム9および外部エネルギー供給ネットワーク5から一括してライン分岐部3に給電可能な電流が、ライン分岐部3に対する最大許容値に可能な限り近くなるように選択されるのが好ましい。同時に、制御が複雑になり過ぎず、できるだけ短い時間で適合が実行できるように、ステップの増加量を選択しなければならない。ライン保護ヒューズ7の、特定の時点における限界値から、エネルギー生成システム9から給電され得る最大値としての最大電流の決定は、給電制御部6の制御装置によって行われてもよい。事前定義されたランプに基づいて、限界値の引き下げ、および最大電流の引き上げを行う場合には、特に低レベルの通信複雑性が必要である。最も単純な場合では、これは、ランプの開始時にライン保護ヒューズ7の限界値を引き下げるためのトリガ信号を必要とするだけであり、このトリガ信号によって、所定のランプに従って、限界値の引き下げ開始後まもなく、または開始直後に、最大電流の引き上げが開始される。
【0044】
図1に表された電気設備1の場合では、最大電流を規定するために、給電制御部6とインバータ11との間の通信が、いわゆる電力線通信に基づいて、ライン分岐部3自体を経由して行われる。しかしながら、この代わりに、給電制御部6およびインバータ11は、無線通信用インタフェースを有してもまたよい。
【0045】
図1では、本発明による方法は、PVシステム10の形態のエネルギー生成システム9として表されているが、必ずしもそのような形態に限定されるものではない。むしろ、他の制御可能なエネルギー生成システム9、例えば、燃料電池、風力タービン、熱・電気複合利用発電プラントなどを、代替的に、でなければ、累積的に使用してもよい。同時に、エネルギー生成システム9に追加して、エネルギーバッファ蓄積装置(図1に図示せず)に接続することが可能であり、このようにすれば、特にエネルギー生成システム9の、短期的な電力の変動を緩衝することができる。このようにすることで、自然に発生する電力変動が原因で、限界値および最大電流の望ましくない適合が急速に連続して生じることを防ぐことができる。
【0046】
図2に示される電気設備1の場合には、2つのエネルギー生成システム9が、ライン分岐部3に電流を給電するための接続点8に接続されている。この場合には、ライン分岐部3への電流の給電は、ライン保護ヒューズ7を有する給電制御部6によって一元的に制御される。2つのエネルギー生成システム9に対して規定された最大電流およびライン保護ヒューズ7の限界値は、この場合、ライン分岐部3の電流の最大許容値を超過しないように、互いに調和するようになっている。それよりも多量の電流が、エネルギー生成システム9の一方からライン分岐部3に給電される可能性がある場合には、可能であれば、ライン保護ヒューズ7の限界値が低減される。限界値の低減後(または時間遅れで)、対応するエネルギー生成システム9の最大電流が適合される。ライン保護ヒューズ7の限界値を低減する代わりに、一方のエネルギー生成システム9から、さらに多量の電流を給電可能であるように、もう一方のエネルギー生成システム9に対する最大電流が低減されてもよい。その場合には、最初に、もう一方のエネルギー生成システム9の最大電流が、給電制御部6の制御のもとで低減される。次に、一方のエネルギー生成システム9の最大電流が引き上げられ、そこからさらに多量の電流をライン分岐部3に給電することができる。その時、ライン保護ヒューズ7の限界値の適合を行う必要はない。ここでもまた、上述したような適合を、小さな連続的なステップの形式で、または、事前定義されたランプに従って、実行することが可能である。
【0047】
図2に表された例示的な実施形態の場合とは異なり、電気設備1は、複数のライン分岐部3、各ライン分岐部3に対してそれぞれ設けられた、それぞれのライン分岐部3に電流を給電するためのエネルギー生成システム9を有してもまたよい。外部エネルギー供給ネットワーク5から電流を給電するために、および電流の給電を制御するために、電気設備1は、ライン分岐部3のそれぞれに対して、複数のライン保護ヒューズ7を有する単一の、かつ共通の給電制御部6を有してもよい。給電制御部6と、エネルギー生成システム9との間の通信用に、給電制御部6は、共通のインタフェースを有してもよい。しかしながら、各エネルギー生成システム9用に、インタフェースが設けられていてもまたよい。例えば、通信は、それぞれのライン分岐部3を経由して行われてもよい。
【0048】
図3は、例として与えられた、本発明による方法の順序を示す。さらに多量の電流をエネルギー生成システム9からライン分岐部3に給電することが可能になると、方法ステップ14において、リクエスト信号がエネルギー生成システム9から給電制御部6に送信される。この場合、このリクエスト信号は、給電制御部6の対応するインタフェースを経由して受信されてもよい。ライン保護ヒューズ7の限界値をさらに低減することができる場合には、方法ステップ15において、ライン保護ヒューズ7の限界値が給電制御部6の制御のもとで低減される。次に、方法ステップ16において、エネルギー生成システム9に対する最大電流が、特定の時点における限界値に依存して、給電制御部6の制御装置によって決定される。続いて、方法ステップ17において、最大電流を決定された最大電流まで引き上げ可能にする制御信号が、給電制御部6のインタフェースを経由してインバータ11に送信される。方法ステップ18において、さらに多量の電流をエネルギー生成システム9からライン分岐部3に給電するために、最大電流の引き上げが行われる。その後、方法ステップ19において、最大電流が意図したように引き上げられていることを給電制御部6に確認するために、確認信号が、インバータ11から給電制御部6に任意選択で送信されてもよい。
【0049】
方法ステップ14〜19とは別に、さらなる方法ステップを行うか、または、これら方法ステップのいくつかを組み合わせて1つの方法ステップとしてもよいし、その両方を行ってもよい。図3に示されるように、方法ステップ14でのリクエスト信号の送信後に、所定の時間内に制御信号が受信されていない場合には、さらなるリクエスト信号がインバータ11によって送信されることを目的として、例えば、安全ループ20を設けてもよい。このようにすることで、たとえその瞬間に、例えば、気象条件の変化が原因で、エネルギー生成システム9から最大電流を給電することがもはや不可能であっても、最大電流の引き上げが手遅れになるのを防ぐことができる。方法ステップ14でのリクエスト信号の送信後に、所定の時間間隔内にインバータ11によって制御信号が受信されている場合には、方法ステップ18での最大電流の変更だけを実行することができるようにしてもまたよい。例えば、先にリクエスト信号が送信されることなしに制御信号が受信される場合、またはリクエスト信号の送信が所定の時間よりも前であった場合には、方法ステップ18において、最大電流を引き上げる代わりに、方法ステップ14によるリクエスト信号の送信を開始する安全ループ21が実行されてもよい。適宜、ライン保護ヒューズ7の限界値、エネルギー生成システム9の最大電流、およびライン分岐部3に対する最大許容電流の、特定の時点における値の調節を、安全ループ20、21内でもう一度行ってもよい。例えば、ライン保護ヒューズ7に対する限界値が引き下げられたが、それに対応してエネルギー生成システム9の最大電流が引き上げられなかった等の理由により、これらの値が互いに調和しない場合には、この調和していない状態を修正することが可能であり、適正な初期状態を再度確立することが可能である。方法ステップ15での限界値の低減、方法ステップ16での最大電流の決定、および方法ステップ17での制御信号の送信を、いつ最大電流を引き上げてもよいかに関する時間情報を制御信号に含めながら、共通の方法ステップにおいて実行してもまたよい。特に、上述したような、小さな連続的なステップの形式で、または所定のランプ、もしくは経時的な変動に従って、限界値の引き下げ、および最大電流の引き上げを行う場合は常に、これは得策である。
【0050】
図4は、例として与えられた、本発明による方法のさらなる順序を示す。方法ステップ22において、特定の時点においてエネルギー生成システム9からライン分岐部3に給電可能な電流について問い合わせを行うために、問合せ信号が、給電制御部6のインタフェースを経由してインバータ11に送信される。方法ステップ23において、特定の時点において給電可能な電流について通知するために、インバータ11が、給電制御部6に応答信号を送信する。応答信号は、一種のリクエスト信号であると解釈してもまたよい。なぜなら、応答信号に依存して、ライン保護ヒューズ7の限界値の適合、および、エネルギー生成システム9の最大電流の適合が、方法ステップ14でのリクエスト信号の送信に類似したやり方で開始されるからである。方法ステップ24において、特定の時点においてエネルギー生成システム9からライン分岐部3に給電可能な電流と、特定の時点において規定された最大電流との比較が行われる。特定の時点において、最大電流によって規定されたよりも多量の電流が給電可能である場合には、限界値の適合、および最大電流の適合が、図3の方法ステップ15〜19に表された順序に従って行われる。
【0051】
特定の時点においてエネルギー生成システム9からライン分岐部3に給電可能である電流と、特定の時点において規定された最大電流との比較が、その特定の時点において、最大電流未満だけしか、エネルギー生成システム9からライン分岐部3に給電できないことを示す場合には、最大電流およびライン保護ヒューズ7の限界値が、方法ステップ25〜28によって、ライン分岐部3への供給が不足することが起こらないように適合される。この目的のために、外部エネルギー供給ネットワーク5からライン分岐部3にさらに多量の電流を給電可能にするために、ライン保護ヒューズ7の限界値を引き上げなければならない。一時的な過電流状態を防ぐために、限界値を引き上げる前に、最大電流をまず低減しなければならない。この目的のために、方法ステップ25において、特定の時点における最大電流よりも少量の最大電流を規定する制御信号が、給電制御部6のインタフェースからインバータ11に送信される。方法ステップ26において、制御信号によって制御されて、規定された最大電流が低減される。方法ステップ27において、最大電流が低減されていることを確認する確認信号が、インバータ11から給電制御部6に送信される。方法ステップ28において、ライン保護ヒューズ7の限界値を、この時に引き上げることができる。これにより、この引き上げがライン保護ヒューズ7のトリガにつながることなく、さらに多量の電流を、外部エネルギー供給ネットワーク5からライン分岐部3に給電することができる。
【0052】
一方で、不適切にライン保護ヒューズ7をトリガすること回避し、他方で、通信複雑性を最大規模で回避するために、ここでもまた、上述したような、小さな連続的なステップの形式で、または所定のランプもしくは経時的な変動に従うことに基づいて、互いに調和するようになっているライン保護ヒューズ7に対する限界値の引き上げ、およびエネルギー生成システム9の最大電流の引き下げを行うと、得策である。過電流状態を確実に防ぐために、この場合には、所定のランプ、もしくは所定の経時的な変動に従ってライン保護ヒューズ7に対する限界値が引き上げられる前に、最初に必ず、所定のランプ、もしくは所定の経時的な変動に従ってエネルギー生成システム9の最大電流の引き下げを開始しなければならない。
【符号の説明】
【0053】
1 電気設備
2 家屋
3 ライン分岐部
4 接続点
5 外部エネルギー供給ネットワーク
6 給電制御部
7 ライン保護ヒューズ
8 接続点
9 エネルギー生成システム
10 PVシステム
11 インバータ
12 サブ分岐部
13 負荷
14 方法ステップ
15 方法ステップ
16 方法ステップ
17 方法ステップ
18 方法ステップ
19 方法ステップ
20 安全ループ
21 安全ループ
22 方法ステップ
23 方法ステップ
24 方法ステップ
25 方法ステップ
26 方法ステップ
27 方法ステップ
28 方法ステップ
図1
図2
図3
図4