(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流出力回路から前記電流−電圧変換回路へ前記検出電流が流れる電流経路、又は、前記電流出力回路から前記検出電極へ前記駆動電流が流れる電流経路に接続されるノードを備えており、当該ノードから前記検出電流の振幅を減少させる補正電流を出力する検出電流補正回路を有する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図14は、一般的な自己容量型センサの構成を示す図である。
図14Aは回路の構成を示し、
図14Bは交流電圧Vs及び出力電圧Voutの波形を示す。グランド電位若しくは固定電位とみなせる物体(指など)が検出電極81に近接すると、検出電極81とグランドとの間にキャパシタCsが形成される。このキャパシタCsは、物体と検出電極81との距離に応じて変化する。そのため、キャパシタCsの容量値を測定することにより、物体の近接状態に関する情報が得られる。
【0005】
演算増幅器84の出力端子がキャパシタCfを介して反転入力端子に接続されているため、演算増幅器84の負帰還動作により反転入力端子の電圧は非反転入力端子と略等しくなる。すなわち、演算増幅器84の反転入力端子に接続された検出電極81の電圧は、非反転入力端子に印加される交流電圧Vsと略等しくなる。これにより、キャパシタCsには交流電圧Vsとほぼ等しい電圧が発生し、この交流電圧に応じた交流電流がキャパシタCsに流れる。キャパシタCfには、キャパシタCsと略等しい交流電流が流れる。従って、キャパシタCfに発生する交流電圧の振幅は、静電容量Csの容量値に比例する。出力電圧Voutは、このキャパシタCfに発生する電圧と交流電圧Vsとを加算した電圧になる。
図14Bに示すように、出力電圧Voutは交流電圧Vsより振幅が大きい。
【0006】
比較的感度の高い自己容量型センサであっても、指の近接による静電容量の変化は極めて微小であるため、ノイズの影響を受け難くするには出来るだけ感度を大きくすることが望ましい。
図14Aに示す回路において感度を大きくするには、交流電圧Vsの振幅を大きくしてキャパシタCsに流れる電流を増やせばよい。しかしながら、
図14Bに示すように出力電圧Voutは交流電圧Vsより大きな振幅を持つため、出力電圧Voutの振幅をあまり大きくすると、出力電圧Voutが電源電圧範囲(VDD〜GND)を超えてしまう。実際上は、
図14Bに示すように電源電圧範囲(VDD〜GND)を越えられないため、出力電圧Voutはこの電源電圧範囲内に制限されて歪んだ波形となる。この問題は、交流電圧Vsが正弦波でも他の波形(矩形波等)でも同様であり、キャパシタCfを抵抗素子に置き換えても変わらない。従って、
図14Aに示す回路では、検出電極81を駆動する交流電圧Vsの振幅をあまり大きくすることができず、感度を高め難いという問題がある。
【0007】
また、検出電極81には、キャパシタCfの他にも、近接する物体と無関係な寄生キャパシタが存在する。検出電極81と周囲の導電物との寄生キャパシタを低減する方法として、例えば、交流電圧Vsと同電位の電極パターンにより検出電極81をシールドする方法が考えられる。しかしながら、演算増幅器84の入力段には、
図15に示すように寄生キャパシタCpが存在する。この寄生キャパシタCpは、トランジスタ85の素子構造に起因するものであり、シールド等では取り除くことができない。このような寄生キャパシタが存在すると、見掛け上、キャパシタCsの容量値が大きくなり、キャパシタCfの交流電圧が大きくなる。そのため、交流電圧Vsの振幅を更に小さくしなくてはならず、感度が低下するという問題がある。通常は、静電容量の検出結果からアナログ的若しくはデジタル的な方法により寄生キャパシタの誤差分を減算しているが、このような後段側での処理には、
図14Aに示す初段の回路の出力電圧Voutを小さくする効果はない。そのため、上述した感度の低下は避けられない。
昨今は、さまざまな用途において低電力化が望まれているなかで高感度化が必要になってきている。しかしながら、従来の技術では、電源電圧を低く抑えながら高感度化を図ることが困難となっている。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、物体の近接に応じて変化する微小な静電容量を高感度に検出できる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る入力装置は、物体の近接に応じた情報を入力する入力装置であって、物体の近接に応じて前記物体との間に形成される被検出キャパシタの静電容量値が変化する検出電極と、周期的にレベルが変化する所定の検出用電圧が前記検出電極において発生するように前記検出電極へ駆動電流を出力するとともに、前記駆動電流に比例した検出電流を出力する電流出力回路とを有する。
【0010】
上記の構成によれば、周期的にレベルが変化する前記検出用電圧が前記検出電極において発生するように、前記電流出力回路から前記検出電極へ前記駆動電流が流れる。前記駆動電流は、前記被検出キャパシタに流れるため、前記被検出キャパシタの静電容量値に応じた値を持つ。前記電流出力回路から出力される前記検出電流は、この駆動電流に比例しているため、前記被検出キャパシタの静電容量値に応じた値を持つ。従って、前記検出電流は、前記物体の近接に応じて変化する値を持っており、物体の近接に応じた情報を示す。
また、前記検出用電圧の振幅を増大させた場合、前記被検出キャパシタに流れる前記駆動電流の振幅が増大するため、前記検出電流の振幅も増大する。この場合、前記検出電流の振幅の増大は、回路動作が可能な電源電圧範囲の条件によって直接的に制限されない。そのため、例えば回路定数等を適宜設定することにより、前記検出電流の振幅が電源電圧範囲の条件により制限されることを回避できる。従って、前記検出用電圧の振幅を最大限に増大させることが可能になるため、感度の向上を図ることができる。
【0011】
好適に、前記電流出力回路は、入力される前記検出用電圧と前記検出電極において発生する電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた前記駆動電流を前記検出電極へ出力する増幅回路と、前記駆動電流に比例した前記検出電流を出力するカレントミラー回路とを含んでよい。
あるいは、前記電流出力回路は、入力される前記検出用電圧と前記検出電極の電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた前記駆動電流を前記検出電極へ出力する第1増幅回路と、入力される前記検出用電圧と前記検出電極の電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた前記検出電流を出力する第2増幅回路とを含んでもよい。
【0012】
好適に、上記入力装置は、前記検出電流に応じた電圧を出力する電流−電圧変換回路を有する。
例えば、前記電流−電圧変換回路は、一方の端子において前記検出電流を入力するキャパシタと、前記キャパシタの前記一方の端子の電圧と基準電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた電圧を前記キャパシタの他方の端子に出力する第3増幅回路とを含んでよい。
【0013】
好適に、上記入力装置は、前記電流出力回路から前記電流−電圧変換回路へ前記検出電流が流れる電流経路、又は、前記電流出力回路から前記検出電極へ前記駆動電流が流れる電流経路に接続されるノードを備えており、当該ノードから前記検出電流の振幅を減少させる補正電流を出力する検出電流補正回路を有してよい。
上記の構成によれば、前記電流経路に接続された前記ノードから前記補正電流が供給されることにより、前記検出電流の振幅が減少する。そのため、前記被検出キャパシタの静電容量値を見掛け上大きくする寄生的なキャパシタによる誤差が、前記検出電流の振幅の減少によって補正可能となる。また、前記検出電流の振幅が減少すると、前記電流−電圧変換回路から出力される電圧の振幅が減少し、電源電圧範囲に対して前記電流−電圧変換回路の出力電圧の余裕が増える。そのため、前記検出用電圧の振幅を更に増大させることが可能となり、感度の更なる向上が可能となる。
【0014】
好適に、前記検出電流補正回路は、一方の端子が前記ノードに接続され、周期的にレベルが変化する補正用電圧が他方の端子に印加された補正用キャパシタを含んでよい。
あるいは、前記検出電流補正回路は、補正用キャパシタと、周期的にレベルが変化する所定の補正用電圧が前記補正用キャパシタにおいて発生するように前記補正用キャパシタへ電流を出力するとともに、前記補正用キャパシタに出力する電流に比例した前記補正電流を前記ノードから出力する補正用電流出力回路とを含んでもよい。この場合、前記補正用電流出力回路は、入力される前記補正用電圧と前記補正用キャパシタにおいて発生する電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた補正参照電流を前記補正用キャパシタへ出力する増幅回路と、前記補正参照電流に比例した前記補正電流を出力するカレントミラー回路とを含んでよい。
【0015】
好適に、前記補正用電圧は前記検出用電圧と等しくてもよい。
これにより、回路構成が簡易化される。
【0016】
好適に、上記入力装置は、前記検出電極に近接して配置され、前記検出用電圧が印加されるシールド電極を有してもよい。
これにより、検出対象の物体以外のものが前記検出電極と静電結合することにより形成される寄生キャパシタの影響が低減される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、物体の近接に応じて変化する微小な静電容量を高感度に検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る入力装置の構成の一例を示す図である。
図1に示す入力装置は、電極部1と、選択部2と、静電容量検出部3と、処理部4と、記憶部5と、インターフェース部6を有する。
電極部1に設けられた検出電極に指やペンなどの物体が近接すると、検出電極Esとグランドとの間に形成されるキャパシタが変化する。本実施形態に係る入力装置は、物体の近接に応じた情報として、この検出電極(Es)とグランドとの間に形成されるキャパシタの静電容量値を検出して取得する。例えば、電極部1への物体の近接の有無や、物体の近接位置、電極部1と物体との距離、物体の大きさなどの情報を取得するユーザーインターフェース装置(タッチパッド、タッチパネルなど)に適用される。なお、本明細書における「近接」とは、接触した状態で近くにあることと、接触しない状態で近くにあることを両方含む。
【0020】
電極部1は、指やペンなどの物体の近接を検出するための複数の検出電極Esを有する。複数の検出電極Esは、例えば、物体の検出領域の表面に沿って格子状に配置される。検出領域の縦方向に並んだ検出電極の静電容量値から、検出領域の縦方向における物体の位置が特定される。また、検出領域の横方向に並んだ検出電極の静電容量値から、検出領域の横方向における物体の位置が特定される。
【0021】
選択部2は、電極部1に設けられた複数の検出電極Esから一つの検出電極Esを選択して静電容量検出部3に接続する回路であり、処理部4の制御に従って接続を切り換える。
【0022】
静電容量検出部3は、選択部2を介して接続された検出電極Esとグランドとの間の静電容量を検出し、当該検出結果を示す検出値Dsを取得する。
【0023】
処理部4は、入力装置の全体的な動作を制御する回路であり、例えば、記憶部5に格納されるプログラムの命令コードに従って処理を行うコンピュータや、特定の機能を実現するロジック回路を含んで構成される。処理部4の処理は、その全てをコンピュータにおいてプログラムに基づいて実現してもよいし、その一部若しくは全部を専用のロジック回路で実現してもよい。
【0024】
処理部4は、電極部1の各検出電極Esを順番に静電容量検出部3と接続するように選択部2を制御し、各検出電極Esの静電容量値を静電容量検出部3において検出し、その検出値Dsを記憶部5の所定のデータ記憶領域に格納する。そして、処理部4は、記憶部5に格納した各検出電極Esの検出値Dsに基づいて、電極部1の検出領域に物体(指など)が近接した座標を計算する。例えば、処理部4は、縦方向に並ぶ複数の検出電極Esについて取得された複数の検出値Dsに基づいて、物体が近接した位置の縦方向の座標を計算するとともに、横方向に並ぶ複数の検出電極Esについて取得された複数の検出値Dsに基づいて、物体が近接した位置の横方向の座標を計算する。また、処理部4は、各検出電極Esの検出値Dsに基づいて、物体の大きさや電極からの離間距離などを計算してもよい。
【0025】
記憶部5は、処理部4において処理に使用される定数データや変数データを記憶する。処理部4がコンピュータを含む場合、記憶部5は、そのコンピュータにおいて実行されるプログラムを記憶してもよい。記憶部5は、例えば、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリ、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、ハードディスクなどを含んで構成される。
【0026】
インターフェース部6は、入力装置と他の装置(入力装置を搭載する情報機器のコントロール用ICなど)との間でデータをやり取りするための回路である。処理部4は、計算した物体の近接位置の座標や、物体の大きさ、検出電極からの離間距離などの情報を、インターフェース部6から図示しない上位装置へ出力する。上位装置では、これらの情報を用いて、例えばポインティング操作やジェスチャ操作などを認識するユーザーインターフェースが構築される。
【0027】
次に、電極部1と静電容量検出部3を含んだ本実施形態の要部について更に詳しく説明する。
【0028】
図2は、第1の実施形態に係る入力装置の要部の構成例を示す図であり、電極部1と静電容量検出部3のより詳しい構成を示す。この
図2においては、選択部2の図示が省略されており、一の検出電極Esが不図示の選択部2によって静電容量検出部3に接続された状態が図解されている。
【0029】
電極部1は、各検出電極Esに近接して配置されたシールド電極ASを有する。シールド電極ASは、検出対象の物体以外のもの(例えば周辺の電子部品など)が検出電極Esと静電結合すること防ぐための静電的なシールドである。シールド電極ASは、検出対象の物体が近接する部分を除いた検出電極Esの周囲の少なくとも一部を覆うように配置される。シールド電極ASを設けることによって、検出対象の物体との間に形成されるキャパシタ(以下、「被検出キャパシタCs」と記す場合がある。)と無関係な寄生キャパシタが形成され難くなる。
【0030】
シールド電極ASには、後述する電圧発生回路30の検出用電圧Vsが印加される。検出電極Esとシールド電極ASとの間にもキャパシタが形成されるが、後述するように検出電極Esはシールド電極Asと同電位になるように制御されるため、当該キャパシタには電流が流れない。従って、検出電極Esとシールド電極ASとの間に形成されるキャパシタは、静電容量検出部3の検出値にほとんど影響を与えない。
【0031】
図2の例において、静電容量検出部3は、電流出力回路10と、電流−電圧変換回路20と、電圧発生回路30及び40と、検出値取得部50を有する。
【0032】
電流出力回路10は、電圧発生回路30から供給される検出用電圧Vsとほぼ等しい電圧が検出電極Esにおいて発生するように検出電極Esへ駆動電流Isを出力するとともに、この駆動電流Isに比例した検出電流Izmを出力する。
【0033】
図3は、電流出力回路10の構成の一例を示す図である。
図3に示す電流出力回路10は、増幅回路11とカレントミラー回路12を有する。
【0034】
増幅回路11は、例えばOTA(operational transconductance amplifier)であり、端子Yにおいて入力される検出用電圧Vsと端子Xに接続される
検出電極Esの電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた駆動電流Isを端子Xから検出電極Esへ出力する。
【0035】
図3の例において、増幅回路11は、トランジスタQ1,Q5,Q6,Q7と差動増幅器111を有する。トランジスタQ1,Q5は例えばP型MOSトランジスタであり、トランジスタQ6,Q7は例えばN型MOSトランジスタである。差動増幅器111の反転入力端子は端子Xに接続され、非反転入力端子は端子Yに接続され、出力端子はトランジスタQ5及びQ6のゲートに接続される。トランジスタQ5とトランジスタQ6のソースが共通に接続され、その共通接続されたノードが差動増幅器111の反転入力端子に接続される。トランジスタQ5のドレインがトランジスタQ7を介してグランドGNDに接続され、トランジスタQ6のドレインがトランジスタQ1を介して電源電圧VDDに接続される。トランジスタQ1のソースが電源電圧VDDに接続され、そのドレインとゲートがトランジスタQ6のドレインに接続される。トランジスタQ7のソースがグランドGNDに接続され、そのドレインとゲートがトランジスタQ5のドレインに接続される。
【0036】
端子Yに入力される検出用電圧Vsが検出電極Esの電圧に比べて高くなると、差動増幅器111の出力電圧が上昇し、トランジスタQ6のドレイン電流が増える。そのため、電源電圧VDDからトランジスタQ1,Q6を介して端子Xに出力される方向の駆動電流Isが増大する。この方向に駆動電流Isが流れると、被検出キャパシタCsが充電されるため検出電極Esの電圧が上昇し、検出用電圧Vsと検出電極Esの電圧との差が小さくなる。
一方、検出用電圧Vsが検出電極Esの電圧に比べて低くなると、差動増幅器111の出力電圧が低下し、トランジスタQ5のドレイン電流が増える。そのため、端子XからトランジスタQ5,Q7を介してグランドGNDに引き込まれる方向の駆動電流Isが増大する。この方向に駆動電流Isが流れると、被検出キャパシタCsが放電されるため検出電極Esの電圧が低下し、検出用電圧Vsと検出電極Esの電圧との差が小さくなる。
差動増幅器111のゲインが十分に大きいものとすると、検出電極Esの電圧は検出用電圧Vsとほぼ等しくなる。この場合、被検出キャパシタCsには検出用電圧Vsとほぼ同じ電圧が発生するため、駆動電流Isは検出用電圧Vsと同じ周期で振動する交流電流となる。
【0037】
カレントミラー回路12は、増幅回路11から出力される駆動電流Isに比例した検出電流Izmを出力する。
【0038】
図3の例に示すカレントミラー回路12は、トランジスタQ1,Q2,Q3,Q4,Q7,Q8,Q9及びQ10を有する。トランジスタQ1〜Q4は例えばP型MOSトランジスタであり、トランジスタQ7〜Q10は例えばN型MOSトランジスタである。なお、トランジスタQ1とQ7は、増幅回路11とカレントミラー回路12の双方に含まれる構成要素である。
【0039】
トランジスタQ2のソースが電源電圧VDDに接続され、そのゲートがトランジスタQ1のゲートに接続され、そのドレインがトランジスタQ9のドレインに接続される。トランジスタQ9のゲートとドレインが共通に接続され、そのソースがグランドGNDに接続される。トランジスタQ10のソースがグランドGNDに接続され、そのゲートがトランジスタQ9のゲートに接続され、そのドレインが端子Z−に接続される。
トランジスタQ8のソースがグランドGNDに接続され、そのゲートがトランジスタQ7のゲートに接続され、そのドレインがトランジスタQ3のドレインに接続される。トランジスタQ3のゲートとドレインが共通に接続され、そのソースが電源電圧VDDに接続される。トランジスタQ4のソースが電源電圧VDDに接続され、そのゲートがトランジスタQ3のゲートに接続され、そのドレインが端子Z−に接続される。
【0040】
カレントミラー回路12に含まれる各トランジスタが飽和領域で動作すること前提として動作を説明する。トランジスタQ1には、トランジスタQ6と同じドレイン電流が流れる。トランジスタQ1のゲート−ソース間には、このドレイン電流に応じた電圧が発生する。トランジスタQ2のゲート−ソース間の電圧は、トランジスタQ1のゲート−ソース間の電圧と等しいため、トランジスタQ2のドレイン電流はトランジスタQ1のドレイン電流に比例する。トランジスタQ9には、トランジスタQ2と同じドレイン電流が流れる。トランジスタQ9のゲート−ソース間には、このドレイン電流に応じた電圧が発生する。トランジスタQ10のゲート−ソース間の電圧は、トランジスタQ9のゲート−ソース間の電圧と等しいため、トランジスタQ10のドレイン電流はトランジスタQ9のドレイン電流に比例する。従って、トランジスタQ10のドレイン電流はトランジスタQ6のドレイン電流に比例する。
トランジスタQ7及びQ8のドレイン電流とトランジスタQ3及びQ4のドレイン電流も上記と同様な動作によって比例関係にある。そのため、トランジスタQ5のドレイン電流はトランジスタQ4のドレイン電流に比例する。
【0041】
従って、電源電圧VDDから端子Xへ吐き出す方向に駆動電流Isが流れると、これに比例した検出電流Izmが端子Z−からグランドGNDへ引き込む方向に流れる。また、端子XからグランドGNDへ引き込む方向に駆動電流Isが流れると、これに比例した検出電流Izmが電源電圧VDDから端子Z−へ吐き出す方向に流れる。
以上が電流出力回路10の説明である。
【0042】
図2に戻る。
電圧発生回路30は、周期的にレベルが変化する検出用電圧Vsを発生する。例えば、検出用電圧Vsは、電源電圧範囲の中間電圧を中心として、電源電圧範囲の最低電位(GND)から最高電位(VDD)までの電圧幅に近い振幅で正弦波状に振動する波形を有する。ただし、本発明において検出用電圧Vsは正弦波に限定されておらず、例えば矩形波や三角波でもよい。
【0043】
電圧発生回路40は、一定の基準電圧Vrefを発生する。基準電圧Vrefは、例えば電源電圧範囲(GND〜VDD)の中間の電圧に設定される。
【0044】
電流−電圧変換回路20は、電流出力回路10から出力される検出電流Izmに応じた電圧Voを出力する。
【0045】
電流−電圧変換回路20は、例えば
図2に示すように、キャパシタCfと第3増幅回路21を有する。キャパシタCfの一方の端子には検出電流Izmが入力され、他方の端子には電圧Voが印加される。第3増幅回路21は、検出電流Izmが入力されるキャパシタCfの一方の端子の電圧と、電圧発生回路40から供給される基準電圧Vrefとの電圧差を増幅し、当該増幅結果に応じた電圧Voを出力する。第3増幅回路21は、例えばオペアンプやOTAであり、反転入力端子と出力端子との間にキャパシタCfが接続され、非反転入力端子に基準電圧Vrefが入力される。第3増幅回路21のゲインが十分大きい場合、キャパシタCfの両端には検出電流Izmに応じた交流電圧が発生する。電圧Voは、キャパシタCfに発生する交流電圧と基準電圧Vrefと加算した電圧であり、その波形は基準電圧Vrefを中心に振動する。
【0046】
なお、電流−電圧変換回路20は、キャパシタCfの代わりに抵抗などのインピーダンス素子を有してもよい。この場合も、検出電流Izmに応じた交流電圧がインピーダンス素子の両端に発生するため、検出電流Izmに応じた電圧Voが得られる。
【0047】
検出値取得部50は、電流−電圧変換回路20から出力される電圧Voに基づいて、被検出キャパシタCsの静電容量値に応じた検出値Dsを取得する。例えば検出値取得部50は、電圧Voに含まれる交流成分に検出用電圧Vsと同一周期の交流信号を乗算し、その乗算結果を積分することにより、交流成分の振幅に比例した検出値Dsを取得する。検出値取得部50は、例えばA/D変換器を含んでおり、検出値Dsをアナログ値からデジタル値に変換して処理部4に出力する。
【0048】
ここで、上述した構成を有する本実施形態に係る入力装置における静電容量値の検出動作を説明する。
【0049】
図4は、入力装置の静電容量検出部3における各部の電圧波形及び電流波形の例を示す図である。
図4Aは検出用電圧Vsと電圧Voの波形を示し、
図4Bは駆動電流Isと検出電流Izmの波形を示す。
検出電極Esの電圧が検出用電圧Vsとほぼ等しくなるように電流出力回路10から検出電極Esに駆動電流Isが供給されるため、検出用電圧Vsが
図4Aに示すような正弦波の波形の場合、被検出キャパシタCsには検出用電圧Vsとほぼ等しい正弦波の電圧が発生する。被検出キャパシタCsに流れる電流、すなわち駆動電流Isは、
図4Bにおいて示すように、検出用電圧Vsに対して位相が90度進む。検出電流Izmは駆動電流Isと比例しており、その方向は
図2に示す矢印の通りである。電流出力回路10から吐き出す電流の方向を正とした場合、
図4Bに示すように、検出電流Izmは駆動電流Isに対して逆相となる。
【0050】
電流出力回路10から出力される検出電流Izmは、ほぼ全てキャパシタCfに流れるため、キャパシタCfの両端には、検出電流Izmに比例した振幅を持つ交流電圧が発生する。第3増幅回路21の出力端子の電圧Voは、このキャパシタCfの両端に生じる交流電圧と基準電圧Vrefとが加算された電圧であり、基準電圧Vrefを中心に振動する。キャパシタCfの両端に生じる交流電圧の位相は、キャパシタCfに流れる検出電流Izmに対して90度遅れる。そのため、電圧Voの交流成分は、
図4Aに示すように検出用電圧Vsとほぼ同相になる。
【0051】
カレントミラー回路12における電流変換比率(検出電流Izm/駆動電流Is)を「α」とし、キャパシタCfの静電容量値を「C」とした場合、電圧Voは次の式で表わされる。
【0052】
[数1]
Vo = C×∫{α×Is}dt + Vref … (1)
【0053】
駆動電流Isは検出用電圧Vsを微分した波形を有しており、検出用電圧Vsに比例して増大するため、電圧Voの振幅も検出用電圧Vsに比例して増大する。しかしながら、キャパシタCfの容量値を小さくしたり、電流変換比率αを小さくすることにより、電圧Voの振幅は適宜調節可能である。そのため、検出用電圧Vsの振幅を電源電圧範囲の最大限まで大きくしても、電圧Voの振幅が電源電圧範囲を超えないように調節することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る入力装置によれば、周期的にレベルが変化する検出用電圧Vsとほぼ等しい電圧が検出電極Esにおいて発生するように、電流出力回路10から検出電極Esへ駆動電流Isが流れる。駆動電流Isは被検出キャパシタCsに流れるため、被検出キャパシタCsの静電容量値に比例した値を持つ。電流出力回路10から出力される検出電流Izmは、この駆動電流Isに比例しているため、被検出キャパシタCsの静電容量値に比例した値を持つ。従って、検出電流Izmに基づいて被検出キャパシタCsの静電容量値を取得可能であり、言い換えれば、物体の近接に応じた情報を取得できる。
【0055】
また、本実施形態に係る入力装置によれば、検出用電圧Vsの振幅を増大させた場合、被検出キャパシタCsに流れる駆動電流Isの振幅が増大するため、検出電流Izmの振幅も増大する。この場合、検出電流Izmの振幅の増大は、回路の動作が可能な電源電圧範囲(GND〜VDD)の条件によって直接的に制限されない。そのため、例えば、電流出力回路10の電流変換比率「α」や電流−電圧変換回路20のキャパシタCfの容量値「C」などを適当な値に設定し、電圧Voが電源電圧範囲(GND〜VDD)の範囲を超えないようにすることで、検出電流Izmの振幅が電源電圧範囲(GND〜VDD)の条件により制限されることを回避できる。従って、検出用電圧Vsの振幅を電源電圧範囲の最大限まで増大させることが可能になるため、被検出キャパシタCsの検出感度を高めることができる。
【0056】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0057】
[変形例1]
図5は、電流出力回路10の一変形例を示す図である。
図5に示す電流出力回路10は、
図3に示す電流出力回路10における2段のカレントミラー回路12を1段のカレントミラー回路12Aに変更したものである。
【0058】
カレントミラー回路12Aは、カレントミラー回路12と同様なトランジスタQ1,Q2,Q7及びQ8を有する。ただし、トランジスタQ2及びトランジスタQ8のドレインがそれぞれ端子Z+に接続されており、この端子Z+から検出電流Izpが出力される点がカレントミラー回路12と異なる。
【0059】
電源電圧VDDから端子Xへ吐き出す方向に駆動電流Isが流れると、これに比例した検出電流Izpが電源電圧VDDから端子Z+へ
吐き出す方向に流れる。また、端子XからグランドGNDへ引き込む方向に駆動電流Isが流れると、これに比例した検出電流Izpが端子Z+からグランドGNDへ引き込む方向に流れる。従って、カレントミラー回路12Aの検出電流Izpは、カレントミラー回路12の検出電流Izmに対して逆相となり、電圧Voの交流成分も逆相となる。
【0060】
この変形例のように、電圧Voの交流成分が検出用電圧Vsに対して逆相になる場合でも、この交流成分から被検出キャパシタCsの静電容量値を取得できるため、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
[変形例2]
図6は、電流出力回路10の他の一変形例を示す図である。
図6に示す電流出力回路10は、第1増幅回路13と第2増幅回路14を有する。
第1増幅回路13は、端子Yにおいて入力される検出用電圧Vsと端子Xに接続される検出電極Esの電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた駆動電流Isを端子Xから検出電極Esへ出力する。第1増幅回路13は例えばOTAであり、反転入力端子と出力端子が端子Xに接続され、非反転入力端子が端子Yに接続される。
【0062】
第2増幅回路14は、端子Yにおいて入力される検出用電圧Vsと端子Xに接続される検出電極Esの電圧との差を増幅し、当該増幅結果に応じた検出電流Izpを端子Z+から電流−電圧変換回路20に出力する。第2増幅回路14は例えばOTAであり、反転入力端子が端子Xに接続され、非反転入力端子が端子Yに接続され、出力端子が端子Z+に接続される。
【0063】
第2増幅回路14を第1増幅回路13とほぼ同一特性の回路で構成することにより、検出電流Izpが駆動電流Isとほぼ同一の値(若しくは駆動電流Isに比例した値)を持つようにすることができる。この変形例2においても、上述した変形例1と同様に、電圧Voの交流成分は検出用電圧Vsに対して逆相になる。
【0064】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、第2の実施形態に係る入力装置の要部の構成例を示す図である。入力装置の全体の構成は
図1と同じである。
【0065】
図7に示す静電容量検出部3は、
図2に示す静電容量検出部3と同様の構成に加えて、検出電流補正回路70を有する。検出電流補正回路70は、被検出キャパシタCsと並列に存在する寄生キャパシタによる誤差を補正するための回路である。検出電流補正回路70は、電流出力回路10から電流−電圧変換回路20へ検出電流Izmが流れる電流経路に接続されるノードN1を備えており、このノードN1から検出電流Izmの振幅を減少させる補正電流Icpを出力する。
【0066】
図7の例において、検出電流補正回路70は、補正用キャパシタCcpと電圧発生回路71を有する。補正用キャパシタCcpの一方の端子はノードN1に接続され、他方の端子には電圧発生回路71の補正用電圧Vcpが印加される。補正用電圧Vcpは、周期的にレベルが変化する電圧であり、例えば、検出用電圧Vsと同相の交流成分を含んだ電圧である。
【0067】
図8は、検出電流Izmの補正を行う場合における静電容量検出部3の各部の電圧波形及び電流波形の例を示す図である。
図8Aは検出用電圧Vsと補正用電圧Vcpの電圧波形を示し、
図8Bは検出電流Izmと補正用キャパシタCcpの電流Icpの波形を示す。
【0068】
ノードN1は、電流−電圧変換回路20の第3増幅回路21によって基準電圧Vrefとほぼ等しい一定の電圧に固定されている。そのため、補正用キャパシタCcpには、
図8Bに示すように、補正用電圧Vcpの交流成分の微分波形に相当する補正電流Icpが流れる。この補正電流IcpがノードN1に供給されることにより、電流−電圧変換回路20には、検出電流Izmに比べて補正電流Icpの分だけ振幅が減少した検出電流(Izm−Icp)が入力される。
【0069】
図9は、検出電流Izmの補正を行う場合と補正を行わない場合における電流−電圧変換回路20の出力波形の違いを示す図である。
図9に示すように、補正用キャパシタCcpによって検出電流Izmの補正を行った場合の電流−電圧変換回路20の出力電圧Vocは、補正を行わない場合の電圧Voに比べて「ΔVo」だけ小さくなる。この「ΔVo」は、補正用キャパシタCcpの容量値や補正用電圧Vcpの振幅を調整することによって、寄生キャパシタによる誤差と等しくなるように設定される。
【0070】
本実施形態に係る入力装置によれば、検出電流Izmが流れる電流経路上のノードN1に補正電流Icpが供給されることにより、電流−電圧変換回路20へ入力される検出電流の振幅が減少する。そのため、被検出キャパシタCsの静電容量値を見掛け上大きくする寄生的なキャパシタによる誤差を、検出電流の振幅の減少によって補正することが可能となる。また、検出電流の振幅が減少することにより、電流−電圧変換回路20から出力される電圧Vocの振幅が減少し、電源電圧範囲(GND〜VDD)に対して電流−電圧変換回路20の出力電圧Vocの余裕が増える。そのため、検出用電圧Vsの振幅を更に増大させることが可能となり、感度の更なる向上が可能となる。
【0071】
なお、
図7の例では、駆動電流Isに対して逆方向の検出電流Izmを出力する電流出力回路10が用いられているが、例えば
図5や
図6に示す電流出力回路10を用いる場合でも、検出電流Izpの補正は可能である。この場合、検出電流Izpは駆動電流Isと同方向に流れるため、電圧発生回路71においては、検出用電圧Vsに対して逆相の交流成分を含んだ補正用電圧Vcpを発生すればよい。
【0072】
また、
図7の例では、検出用電圧Vsと補正用電圧Vcpをそれぞれ別の電圧発生回路により発生させているが、補正用キャパシタCcpの静電容量値の調整が可能であれば、
図10において示すように、検出用電圧Vsと補正用電圧Vcpを共通の電圧発生回路30によって発生してもよい。これにより、回路構成を簡略化できる。
【0073】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図11は、第3の実施形態に係る入力装置の要部の構成例を示す図である。入力装置の全体の構成は
図1と同じである。
【0074】
図11に示す静電容量検出部3は、
図7に示す静電容量検出部3における検出電流補正回路70を検出電流補正回路70Aに置き換えたものである。
【0075】
検出電流補正回路70Aは、補正用キャパシタCcpと、補正電流出力回路72と、電圧発生回路71を有する。
補正電流出力回路72は、電圧発生回路72から供給される補正用電圧Vcpとほぼ等しい電圧が補正用キャパシタCcpにおいて発生するように補正用キャパシタCcpへ電流Ixを出力するとともに、この電流Ixに比例した補正電流IcpをノードN1から出力する。補正電流出力回路72は、例えば先に説明した
図5や
図6と同様の構成を有しており、端子Xとグランドとの間に補正用キャパシタCcpが接続され、端子Yに補正用電圧Vcpが入力され、端子Z+がノードN1に接続される。
【0076】
補正電流出力回路72において発生する補正用電圧Vcpは、周期的にレベルが変化する電圧であり、例えば、検出用電圧Vsと同相の交流成分を含んだ電圧である。
【0077】
補正用キャパシタCcpには、補正用電圧Vcpとほぼ等しい電圧が発生するため、補正用キャパシタCcpには、補正用電圧Vcpの交流成分の微分波形に相当する電流Ixが流れる。この電流Ixに比例した補正電流IcpがノードN1に供給されることにより、電流−電圧変換回路20には、検出電流Izmに比べて補正電流Icpの分だけ振幅が減少した検出電流(Izm−Icp)が入力される。従って、電流−電圧変換回路20の出力電圧Vocは、補正電流Icpが無い場合に比べて小さくなる。この出力電圧Vocの減少分(ΔVo)が寄生キャパシタの誤差と等しくなるように、補正用キャパシタCcpの容量値や補正用電圧Vcpの振幅が調整される。
【0078】
上述した構成を有する入力装置においても、第2実施形態に係る入力装置と同様に、寄生的なキャパシタに起因する誤差を補正しつつ、電源電圧範囲に対して電流−電圧変換回路20の出力電圧Vocの振幅に余裕を持たせることが可能となる。従って、検出用電圧Vsの振幅を更に増大させることが可能となり、感度の向上を図ることができる。
【0079】
また、補正電流出力回路72を用いることにより、電流変換率(補正電流Icp/電流Ix)を調節することも可能になるため、補正用キャパシタCcpの調節範囲が限られている場合でも、補正電流Icpの振幅を広範囲に調節できる。従って、寄生キャパシタの誤差を適切に補正できる。
【0080】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0081】
[変形例1]
図11に示す静電容量検出部3では、電流出力回路10から電流−電圧変換回路20へ流れる検出電流Izpの電流経路上のノードN1に補正電流Icpを供給しているが、例えば
図12に示すように、電流出力回路10から検出電極Esへ流れる駆動電流Isの電流経路上のノードN2に補正電流Icpを供給してもよい。この場合、電流−電圧変換回路20から出力される駆動電流は、検出電極Esに流れる駆動電流Isに対して補正電流Icpの分だけ振幅が小さくなるため(Is−Icp)、電流出力回路10から電流−電圧変換回路20へ流れる検出電流Izmの振幅も、補正電流Icpの分だけ減少する。従って、上述した実施形態と同様に、寄生的なキャパシタに起因する誤差を補正しつつ、電源電圧範囲に対して電流−電圧変換回路20の出力電圧Vocの振幅に余裕を持たせることが可能となる。
【0082】
[変形例2]
図11の例では、検出用電圧Vsと補正用電圧Vcpをそれぞれ別の電圧発生回路により発生させているが、補正用キャパシタCcpの静電容量値の調整が可能であれば、
図13において示すように、検出用電圧Vsと補正用電圧Vcpを共通の電圧発生回路30によって発生してもよい。これにより、回路構成を簡略化できる。
【0084】
図11〜
図13の例では、補正用キャパシタCcpに出力される電流Ixに対して同方向の補正電流Icpが出力される補正電流出力回路72(例えば
図5や
図6に示した構成を有する回路)が用いられているが、電流Ixに対して逆方向の補正電流Icpが出力される補正電流出力回路72(例えば
図3に示した構成を有する回路)を用いてもよい。この場合、検出用電圧Vsに対して逆相の交流成分を含んだ補正用電圧Vcpを
電圧発生回路71において発生させればよい。
【0085】
また、
図11,
図13の例では、駆動電流Isに対して逆方向の検出電流Izmを出力する電流出力回路10が用いられているが、例えば
図5や
図6に示す回路構成の電流出力回路10を用いる場合でも、検出電流Izpの補正は可能である。この場合、検出電流Izpは駆動電流Isと同方向に流れるため、
図11、
図13の例に対して逆相の補正電流Icpが検出電流補正回路70から出力されるようにすればよい。例えば、検出用電圧Vsに対して逆相の交流成分を含んだ補正用電圧Vcpを電圧発生回路71において発生させればよい。あるいは、補正用キャパシタCcpに出力される電流Ixに対して逆方向の補正電流Icpが出力されるように、補正電流出力回路72を例えば
図3に示した構成の回路へ変更してもよい。
【0086】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、更に種々のバリエーションを含んでいる。
【0087】
例えば、
図7,
図10に示す静電容量検出部3では、電流出力回路10と電流−電圧変換回路20との間の電流経路上(N1)に検出電流補正回路70の補正電流Icpを供給しているが、本発明の他の実施形態では、電流出力回路10と検出電極Esとの間の電流経路上(N2)に検出電流補正回路70の補正電流Icpを供給してもよい。
【0088】
本発明の入力装置は、指等の操作による情報を入力するユーザーインターフェース装置に限定されない。すなわち、本発明の入力装置は、人体に限定されない種々の物体の近接に応じて変化する検出電極の静電容量に応じた情報を入力する装置に広く適用可能である。