特許第6357269号(P6357269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6357269
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ケーブル装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/14 20060101AFI20180702BHJP
   F16C 1/26 20060101ALI20180702BHJP
   B62K 23/04 20060101ALN20180702BHJP
【FI】
   F16C1/14 A
   F16C1/26 C
   !B62K23/04
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-180405(P2017-180405)
(22)【出願日】2017年9月20日
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】592154488
【氏名又は名称】やまと興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】浅野 啓太
(72)【発明者】
【氏名】前田 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】小野口 恵美
【審査官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/188527(WO,A1)
【文献】 特開2016−183744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/14
F16C 1/26
B62K 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体(C1,C2)より分割構成される合成樹脂製のドラムケース(C)と、そのドラムケース(C)内に収容可能な回転ドラム(12)の一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブル(B1)と、前記回転ドラム(12)の他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブル(B2)とを備えたケーブル装置において、
前記第1ケース半体(C1)が、前記回転ドラム(12)の一方の半周部分を覆う第1ケース本体部(C1a)と、その第1ケース本体部(C1a)に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第1ボーデンケーブル(B1)のアウタケーブル(O)の彎曲した端末部(Oe)を一体に埋入した第1曲り部(C1b)とを有する一方、
前記第2ケース半体(C2)が、前記回転ドラム(12)の他方の半周部分を覆う第2ケース本体部(C2a)と、その第2ケース本体部(C2a)に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第2ボーデンケーブル(B2)のアウタケーブル(O)の彎曲した端末部(Oe)を一体に埋入した第2曲り部(C2b)とを有しており、
前記第1ボーデンケーブル(B1)においてそのインナワイヤ(I)がアウタケーブル(O)の前記端末部(Oe)を通して前記第1ケース本体部(C1a)内に延出して、その延出端部(Ie)が前記回転ドラム(12)に連結され、
前記第2ボーデンケーブル(B2)においてそのインナワイヤ(I)がアウタケーブル(O)の前記端末部(Oe)を通して前記第2ケース本体部(C2a)内に延出して、その延出端部(Ie)が前記回転ドラム(12)に連結され
前記第1,第2曲り部(C1b,C2b)相互の合わせ面(f1,f2)の少なくとも一方には、該合わせ面(f1,f2)より窪んだ凹面(41,42)と、その凹面(41,42)より隆起し且つ該凹面(41,42)を横断するように延びる複数の補強リブ(41a,42a)とが形成されることを特徴とするケーブル装置。
【請求項2】
相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体(C1,C2)より分割構成される合成樹脂製のドラムケース(C)と、そのドラムケース(C)内に収容可能な回転ドラム(12)の一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブル(B1)と、前記回転ドラム(12)の他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブル(B2)とを備えたケーブル装置において、
前記第1ケース半体(C1)が、前記回転ドラム(12)の一方の半周部分を覆う第1ケース本体部(C1a)と、その第1ケース本体部(C1a)に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第1ボーデンケーブル(B1)のアウタケーブル(O)の彎曲した端末部(Oe)を一体に埋入した第1曲り部(C1b)とを有する一方、
前記第2ケース半体(C2)が、前記回転ドラム(12)の他方の半周部分を覆う第2ケース本体部(C2a)と、その第2ケース本体部(C2a)に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第2ボーデンケーブル(B2)のアウタケーブル(O)の彎曲した端末部(Oe)を一体に埋入した第2曲り部(C2b)とを有しており、
前記第1ボーデンケーブル(B1)においてそのインナワイヤ(I)がアウタケーブル(O)の前記端末部(Oe)を通して前記第1ケース本体部(C1a)内に延出して、その延出端部(Ie)が前記回転ドラム(12)に連結され、
前記第2ボーデンケーブル(B2)においてそのインナワイヤ(I)がアウタケーブル(O)の前記端末部(Oe)を通して前記第2ケース本体部(C2a)内に延出して、その延出端部(Ie)が前記回転ドラム(12)に連結され、
前記第1,第2曲り部(C1b,C2b)相互の合わせ面(f1,f2)には、該合わせ面(f1,f2)より窪んだ凹面(41,42)がそれぞれ形成されると共に、少なくとも一方の前記凹面(41,42)の底部からは、他方の前記凹面(42,41)に向けて隆起する突起(41t,42t)が一体に形成され、
前記一方の凹面(41,42)の前記突起(41t,42t)は、前記他方の凹面(42,41)に当接し、又は該他方の凹面(42,41)の前記突起(42t,41t)に当接することを特徴とするケーブル装置。
【請求項3】
前記第1,第2ボーデンケーブル(B1,B2)の各アウタケーブル(O)、インナワイヤ(I)の摺動を直接案内する合成樹脂製のライナ(3)と、このライナ(3)を収容、保持する中空のシールド(4)と、このシールド(4)の外周を被覆する合成樹脂製の外皮(5)とを備え、前記シールド(4)を、前記ライナ(3)の周囲で互いに密着するように配列する複数の金属素線(21)を縒り合わせてなる中空ストランド(22)で構成し、この中空ストランド(22)の一端部を前記外皮(5)より露出させると共に、この中空ストランド(22)の一端部を拡径して、各金属素線(21)が離散した第1フレア部(23)となし、また前記ライナ(3)の一端部をも拡径して、前記第1フレア部(23)に隣接する第2フレア部(24)となし、前記第1ボーデンケーブル(B1)のアウタケーブル(O)における前記端末部(Oe)並びに前記第1及び第2フレア部(23,24)が前記第1曲り部(C1b)で包まれるようにして前記第1ケース半体(C1)全体が射出成形され、また前記第2ボーデンケーブル(B2)のアウタケーブル(O)における前記端末部(Oe)並びに前記第1及び第2フレア部(23,24)が前記第2曲り部(C2b)で包まれるようにして前記第2ケース半体(C2)全体が射出成形されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のケーブル装置。
【請求項4】
相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体(C1,C2)より分割構成される合成樹脂製のドラムケース(C)と、そのドラムケース(C)内に収容可能な回転ドラム(12)の一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブル(B1)と、前記回転ドラム(12)の他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブル(B2)とを備えたケーブル装置であって、
前記第1ケース半体(C1)が、前記回転ドラム(12)の一方の半周部分を覆う第1ケース本体部(C1a)と、その第1ケース本体部(C1a)に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第1ボーデンケーブル(B1)のアウタケーブル(O)の彎曲した端末部(Oe)を一体に埋入した第1曲り部(C1b)とを有する一方、
前記第2ケース半体(C2)が、前記回転ドラム(12)の他方の半周部分を覆う第2ケース本体部(C2a)と、その第2ケース本体部(C2a)に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第2ボーデンケーブル(B2)のアウタケーブル(O)の彎曲した端末部(Oe)を一体に埋入した第2曲り部(C2b)とを有しており、
前記第1ボーデンケーブル(B1)においてそのインナワイヤ(I)がアウタケーブル(O)の前記端末部(Oe)を通して前記第1ケース本体部(C1a)内に延出して、その延出端部(Ie)が前記回転ドラム(12)に連結され、
前記第2ボーデンケーブル(B2)においてそのインナワイヤ(I)がアウタケーブル(O)の前記端末部(Oe)を通して前記第2ケース本体部(C2a)内に延出して、その延出端部(Ie)が前記回転ドラム(12)に連結され、
前記第1,第2ボーデンケーブル(B1,B2)の各アウタケーブル(O)が、インナワイヤ(I)の摺動を直接案内する合成樹脂製のライナ(3)と、このライナ(3)を収容、保持する中空のシールド(4)と、このシールド(4)の外周を被覆する合成樹脂製の外皮(5)とを備えていて、前記シールド(4)が、前記ライナ(3)の周囲で互いに密着するように配列された複数の金属素線(21)を縒り合わせてなる中空ストランド(22)で構成され、この中空ストランド(22)の一端部が前記外皮(5)より露出すると共に、この中空ストランド(22)の一端部が拡径されて、各金属素線(21)が離散した第1フレア部(23)とされ、また前記ライナ(3)の一端部も拡径されて、前記第1フレア部(23)に隣接する第2フレア部(24)とされ、前記第1ボーデンケーブル(B1)のアウタケーブル(O)における前記端末部(Oe)並びに前記第1及び第2フレア部(23,24)が前記第1曲り部(C1b)で包まれるようにして前記第1ケース半体(C1)全体が射出成形され、また前記第2ボーデンケーブル(B2)のアウタケーブル(O)における前記端末部(Oe)並びに前記第1及び第2フレア部(23,24)が前記第2曲り部(C2b)で包まれるようにして前記第2ケース半体(C2)全体が射出成形されるケーブル装置の製造方法であって、
前記第1ケース半体(C1)の前記射出成形には、前記第1ケース本体部(C1a)及び前記第1曲り部(C1b)をそれぞれ成形するためのケース本体部成形キャビティ部(70a)及び曲り部成形キャビティ部(70b)を少なくとも有するキャビティ(70)と、前記射出成形の前に前記第1ボーデンケーブル(B1)のアウタケーブル(O)の前記端末部(Oe)を前記曲り部成形キャビティ部(70b)にセットする際に、該端末部(Oe)を前記曲り部成形キャビティ部(70b)に対して互いに協働して位置決め保持し得る複数の位置決め突起(81,81′;82,82′)とを備えた金型装置(D)が使用され、
前記第1曲り部(C1b)の表面には、前記複数の位置決め突起(81,81′;82,82′)の、前記射出成形の終了後における抜き跡(h1,h1′;h2,h2′)が現れており、
前記第1曲り部(C1b)の、前記第2曲り部(C2b)との合わせ面(f1)側の表面に現れる前記抜き跡(h1,h1′;h2)の数が、前記第1曲り部(C1b)の、前記第2曲り部(C2b)とは反対側の表面に現れる前記抜き跡(h2′)の数よりも多いことを特徴とする、ケーブル装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数の位置決め突起(81,81′;82,82′)には、前記曲り部成形キャビティ部(70b)に対し前記合わせ面(f1)に沿う方向で前記端末部(Oe)を相互間に挟むようにして位置決め保持する複数対の第1位置決め突起(81,81′)と、前記曲り部成形キャビティ部(70b)に対し前記合わせ面(f1)と直交する方向で前記端末部(Oe)を相互間に挟むようにして位置決め保持する複数対の第2位置決め突起(82,82′)とが含まれ、
前記第1曲り部(C1b)の、前記第2曲り部(C2b)とは反対側の表面に現れる前記抜き跡(h2′)は、前記合わせ面(f1)とは反対側から前記端末部(Oe)に係合する前記第2位置決め突起(82′)の抜き跡(h2′)のみであることを特徴とする、請求項に記載のケーブル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のボーデンケーブルを含むケーブル装置、特に相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体より分割構成される合成樹脂製のドラムケースと、そのドラムケース内に収容可能な回転ドラムの一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブルと、同回転ドラムの他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブルとを備えたケーブル装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ケーブル装置は、特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−183745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のケーブル装置では、第1,第2ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部に一端部をそれぞれ接続固定する金属製の第1,第2曲り管内にインナワイヤ保護用の樹脂製パイプインナを装入し、その第1,第2曲り管の他端部をドラムケースに後付けで各々結合すると共に、第1,第2ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部より上記樹脂製パイプインナを通して各々引き出したインナワイヤを、ドラムケース内で回転ドラムに連結している。
【0005】
このような従来装置では、金属製の第1,第2曲り管をドラムケースとは別々に製作後、ドラムケースに各々結合する必要がある上、第1,第2曲り管内に樹脂性パイプインナを各々装入する必要があり、全体として部品点数や加工工数が多くなり、コスト増、重量増の要因となる。更に第1,第2曲り管を同じ向きに整列保持するためには、その両曲り管相互を連結部材を介して一体的に結合する必要があるが、この場合には部品点数が更に増え、上記した問題が一層顕著となる。
【0006】
そこで斯かる問題を解決すべく、例えば図10図11に示す参考例のように第1,第2ボーデンケーブルB1′,B2′のアウタケーブルO′端末部に接続固定する第1,第2曲り管P1,P2を合成樹脂製としてその両曲り管P1,P2内に、アウタケーブルO′外端より引き出したインナワイヤIをそれぞれ直接(即ち樹脂性パイプインナを介さずに)挿通させ、一方、ドラムケースC′の第1ケース半体C1′を、回転ドラム12の一方の半周部を覆う第1ケース本体部C1a′とこれに一体に連なる半管状の第1曲り部C1b′とで構成すると共に、ドラムケースC′の第2ケース半体C2′を、回転ドラム12の他方の半周部を覆う第2ケース本体部C2a′とこれに一体に連なる半管状の第2曲り部C2b′とで構成し、第1,第2曲り部C1b′,C2b′内に、それらの合わせ面の開口部より第1,第2曲り管P1,P2をそれぞれ装入した状態で、その合わせ面間を接合することが考えられる。
【0007】
この参考例では、特許文献1記載の装置のような樹脂製パイプインナや連結部材が不要となって構造が簡素化されるが、その反面、次のような別の問題がある。
[1]アウタケーブルO′の端末部に連なる部分が、アウタケーブルO′よりも大径の第1,第2曲り管P1,P2と、それらの外側を覆う半管状の第1,第2曲り部C1b′,C2b′とを含む二重管構造となって、全体として装置が大型化する。
[2]第1,第2曲り管P1,P2が、横断面U字溝状の第1,第2曲り部C1b′,C2b′内でガタつき易く、異音発生の要因となる。
[3]インナワイヤIの牽引時に、アウタケーブルO′端末部から第1,第2曲り管P1,P2に作用する回転ドラム12側への圧縮荷重を第1,第2曲り部C1b′,C2b′に機械的に受け止めさせるために、第1,第2曲り管P1,P2及び第1,第2曲り部C1b′,C2b間に機械的係合手段K(荷重伝達手段)を特別に設ける必要があり、それだけ構造が複雑化する。
[4]半管状の第1,第2曲り部C1b′,C2b′内に、それらの合わせ面の開口部より第1,第2曲り管P1,P2をそれぞれ装入するため、その合わせ面の設計に当り第1,第2曲り管P1,P2の装入作業性に配慮する必要があり、それだけ設計自由度が低くなる。例えば、合わせ面の開口部を横切る方向に延びる補強リブ(後述する実施形態の補強リブ41a,42a又は突起41t,42tを参照)を第1,第2曲り部C1b′,C2b′の内面に突設することは、第1,第2曲り管P1,P2の脱着作業の障害となるため、難しい。
【0008】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、上記した種々の問題点を簡単な構造で一挙に解決可能なケーブル装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体より分割構成される合成樹脂製のドラムケースと、そのドラムケース内に収容可能な回転ドラムの一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブルと、前記回転ドラムの他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブルとを備えたケーブル装置において、前記第1ケース半体が、前記回転ドラムの一方の半周部分を覆う第1ケース本体部と、その第1ケース本体部に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第1ボーデンケーブルのアウタケーブルの彎曲した端末部を一体に埋入した第1曲り部とを有する一方、前記第2ケース半体が、前記回転ドラムの他方の半周部分を覆う第2ケース本体部と、その第2ケース本体部に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第2ボーデンケーブルのアウタケーブルの彎曲した端末部を一体に埋入した第2曲り部とを有しており、前記第1ボーデンケーブルにおいてそのインナワイヤがアウタケーブルの前記端末部を通して前記第1ケース本体部内に延出して、その延出端部が前記回転ドラムに連結され、前記第2ボーデンケーブルにおいてそのインナワイヤがアウタケーブルの前記端末部を通して前記第2ケース本体部内に延出して、その延出端部が前記回転ドラムに連結され、前記第1,第2曲り部相互の合わせ面の少なくとも一方には、該合わせ面より窪んだ凹面と、その凹面より隆起し且つ該凹面を横断するように延びる複数の補強リブとが形成されることを第1の特徴とする。
【0010】
また本発明は、相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体より分割構成される合成樹脂製のドラムケースと、そのドラムケース内に収容可能な回転ドラムの一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブルと、前記回転ドラムの他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブルとを備えたケーブル装置において、前記第1ケース半体が、前記回転ドラムの一方の半周部分を覆う第1ケース本体部と、その第1ケース本体部に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第1ボーデンケーブルのアウタケーブルの彎曲した端末部を一体に埋入した第1曲り部とを有する一方、前記第2ケース半体が、前記回転ドラムの他方の半周部分を覆う第2ケース本体部と、その第2ケース本体部に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第2ボーデンケーブルのアウタケーブルの彎曲した端末部を一体に埋入した第2曲り部とを有しており、前記第1ボーデンケーブルにおいてそのインナワイヤがアウタケーブルの前記端末部を通して前記第1ケース本体部内に延出して、その延出端部が前記回転ドラムに連結され、前記第2ボーデンケーブルにおいてそのインナワイヤがアウタケーブルの前記端末部を通して前記第2ケース本体部内に延出して、その延出端部が前記回転ドラムに連結され、前記第1,第2曲り部相互の合わせ面には、該合わせ面より窪んだ凹面がそれぞれ形成されると共に、少なくとも一方の前記凹面の底部からは、他方の前記凹面に向けて隆起する突起が一体に形成され、前記一方の凹面の前記突起は、前記他方の凹面に当接し、又は該他方の凹面の前記突起に当接することを第の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記第1,第2ボーデンケーブルの各アウタケーブルが、インナワイヤの摺動を直接案内する合成樹脂製のライナと、このライナを収容、保持する中空のシールドと、このシールドの外周を被覆する合成樹脂製の外皮とを備え、前記シールドを、前記ライナの周囲で互いに密着するように配列する複数の金属素線を縒り合わせてなる中空ストランドで構成し、この中空ストランドの一端部を前記外皮より露出させると共に、この中空ストランドの一端部を拡径して、各金属素線が離散した第1フレア部となし、また前記ライナの一端部をも拡径して、前記第1フレア部に隣接する第2フレア部となし、前記第1ボーデンケーブルのアウタケーブルにおける前記端末部並びに前記第1及び第2フレア部が前記第1曲り部で包まれるようにして前記第1ケース半体全体が射出成形され、また前記第2ボーデンケーブルのアウタケーブルにおける前記端末部並びに前記第1及び第2フレア部が前記第2曲り部で包まれるようにして前記第2ケース半体全体が射出成形されることを第3の特徴とする。
【0012】
また本発明は、相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体より分割構成される合成樹脂製のドラムケースと、そのドラムケース内に収容可能な回転ドラムの一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブルと、前記回転ドラムの他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブルとを備えたケーブル装置であって、前記第1ケース半体が、前記回転ドラムの一方の半周部分を覆う第1ケース本体部と、その第1ケース本体部に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第1ボーデンケーブルのアウタケーブルの彎曲した端末部を一体に埋入した第1曲り部とを有する一方、前記第2ケース半体が、前記回転ドラムの他方の半周部分を覆う第2ケース本体部と、その第2ケース本体部に一端が連なり且つ少なくとも中間部が彎曲形成されて前記第2ボーデンケーブルのアウタケーブルの彎曲した端末部を一体に埋入した第2曲り部とを有しており、前記第1ボーデンケーブルにおいてそのインナワイヤがアウタケーブルの前記端末部を通して前記第1ケース本体部内に延出して、その延出端部が前記回転ドラムに連結され、前記第2ボーデンケーブルにおいてそのインナワイヤがアウタケーブルの前記端末部を通して前記第2ケース本体部内に延出して、その延出端部が前記回転ドラムに連結され、前記第1,第2ボーデンケーブルの各アウタケーブルが、インナワイヤの摺動を直接案内する合成樹脂製のライナと、このライナを収容、保持する中空のシールドと、このシールドの外周を被覆する合成樹脂製の外皮とを備えていて、前記シールドが、前記ライナの周囲で互いに密着するように配列された複数の金属素線を縒り合わせてなる中空ストランドで構成され、この中空ストランドの一端部が前記外皮より露出すると共に、この中空ストランドの一端部が拡径されて、各金属素線が離散した第1フレア部とされ、また前記ライナの一端部も拡径されて、前記第1フレア部に隣接する第2フレア部とされ、前記第1ボーデンケーブルのアウタケーブルにおける前記端末部並びに前記第1及び第2フレア部が前記第1曲り部で包まれるようにして前記第1ケース半体全体が射出成形され、また前記第2ボーデンケーブルのアウタケーブルにおける前記端末部並びに前記第1及び第2フレア部が前記第2曲り部で包まれるようにして前記第2ケース半体全体が射出成形されるケーブル装置の製造方法であって、前記第1ケース半体の前記射出成形には、前記第1ケース本体部及び前記第1曲り部をそれぞれ成形するためのケース本体部成形キャビティ部及び曲り部成形キャビティ部を少なくとも有するキャビティと、前記射出成形の前に前記第1ボーデンケーブルのアウタケーブルの前記端末部を前記曲り部成形キャビティ部にセットする際に、該端末部を前記曲り部成形キャビティ部に対して互いに協働して位置決め保持し得る複数の位置決め突起とを備えた金型装置が使用され、前記第1曲り部の表面には、前記複数の位置決め突起の、前記射出成形の終了後における抜き跡が現れており、前記第1曲り部の、前記第2曲り部との合わせ面側の表面に現れる前記抜き跡の数が、前記第1曲り部の、前記第2曲り部とは反対側の表面に現れる前記抜き跡の数よりも多いことを第の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第の特徴に加えて、前記複数の位置決め突起には、前記第1曲り部成形キャビティ部に対し前記合わせ面に沿う方向で前記端末部を相互間に挟むようにして位置決め保持する複数対の第1位置決め突起と、前記第1曲り部成形キャビティ部に対し前記合わせ面と直交する方向で前記端末部を相互間に挟むようにして位置決め保持する複数対の第2位置決め突起とが含まれ、前記第1曲り部の、前記第2曲り部とは反対側の表面に現れる前記抜き跡は、前記合わせ面とは反対側から前記端末部に係合する前記第2位置決め突起の抜き跡のみであることを第の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケーブル装置の主要構成部品としては、回転ドラムの一方の半周側を覆う第1ケース本体部、及び第1ボーデンケーブルの彎曲したアウタケーブル端末部を一体に埋入した第1曲り部を一体化した第1ケース半体と、回転ドラムの他方の半周側を覆う第2ケース本体部、及び第2ボーデンケーブルの彎曲したアウタケーブル端末部を一体に埋入した第2曲り部を一体化した第2ケース半体の都合二部品だけとなる。これにより、全体として部品点数や加工工数が削減されると共に装置の小型軽量化が図られるため、組立容易且つ低コストで、しかも小型軽量なケーブル装置が得られる。また特に第1,第2曲り部は、その各々に第1,第2ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部を埋入一体化したので、両曲り部内に両者の合わせ面を通してアウタケーブル端末部又はこれに連なる樹脂製曲り管を特別に装入する必要はなくなり、それだけ合わせ面の形状構造の設計自由度が拡がり、設計が容易となる。その上、第1,第2ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部を第1,第2曲り部にそれぞれ埋入一体化したことで、アウタケーブル端末部と第1,第2曲り部との相互間でのガタのない緊密一体状態が容易に得られ、しかもインナワイヤの牽引時に、アウタケーブル端末部から第1,第2曲り部に作用する回転ドラム側への圧縮荷重を、機械的係合手段(荷重伝達手段)を特別に介さずとも第1,第2曲り部に機械的に強固に受け止めさせることができ、構造簡素化が図られる
【0015】
しかも本発明の第の特徴によれば、第1,第2曲り部相互の合わせ面の少なくとも一方には、その合わせ面より窪んだ凹面と、その凹面より隆起し且つ凹面を横断するように延びる複数の複数の補強リブとが形成されるので、第1,第2曲り部相互の一方又は両方の合わせ面において、上記凹面の形成により駄肉軽減を図りながら補強リブ特設によって、合わせ面に十分な強度を付与することができる。しかも第1,第2ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部は、第1,第2曲り部中に一体に埋入されているため、補強リブがアウタケーブル等の組付作業の邪魔になる虞れはなくなり、合わせ面における補強リブの設計自由度を高めることができる。
【0016】
また本発明のの特徴によれば、第1,第2曲り部相互の合わせ面には、該合わせ面より窪んだ凹面がそれぞれ形成されると共に、少なくとも一方の凹面の底部からは、他方の凹面に向けて隆起する突起が一体に形成され、一方の凹面の突起は、他方の凹面に当接し、又は他方の凹面の突起に当接するので、第1,第2曲り部の双方の合わせ面において、上記凹面の形成により駄肉軽減を図りながら突起特設によって、合わせ面に十分な強度を付与することができる。しかも第1,第2ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部は、第1,第2曲り部中に一体に埋入されているため、上記突起がアウタケーブル等の組付作業の邪魔になる虞れはなくなり、合わせ面における突起の設計自由度が高められる。
【0017】
また本発明の第3の特徴によれば、ボーデンケーブルの中空のシールドを、ライナの周囲で互いに密着するように配列する複数の金属素線を縒り合わせてなる中空のストランドで構成したので、シールドを、同一直径のインナワイヤを使用した従来のボーデンケーブルにおけるシールドよりも充分に小径に構成できて、ボーデンケーブルの小径化、延いては軽量化を図ることができる。しかも、中空のストランドは、金属帯板をコイル状に密着巻きしてなる従来品のシールドに比して、引張り及び圧縮強度も剛性も高いため、インナワイヤのプル操作力は勿論、プッシュ操作力にも充分耐えることができ、何れの操作力の伝達効率をも高めることができ、更には可撓性にも優れており、その用途を広めることができる。また中空ストランドの一端部を外皮より露出させると共に、この中空ストランドの一端部を拡径して、各金属素線が離散した第1フレア部となし、またライナの一端部をも拡径して、第1フレア部に隣接する第2フレア部となし、第1,第2ボーデンケーブルのアウタケーブルの第1及び第2フレア部が第1,第2曲り部で包まれるようにして第1,第2ケース半体がそれぞれ射出成形されるので、その両射出成形により、第1,第2ケース本体部及び第1,第2曲り部を一体化した第1,第2ケース半体が簡単に得られるばかりか、第1フレア部の離散した多数の金属素線、並びにライナの拡径端部よりなる第2フレア部が、第1,第2ケース半体に深く食い込んでアンカ効果を発揮することになり、第1,第2ケース半体及びアウタケーブル間の結合強度を効果的に高めることができる。
【0018】
また特に第の特徴によれば、第1ケース半体の射出成形に用いる金型装置が、第1ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部を第1曲り部成形キャビティ部に対し互いに協働して位置決め保持し得る複数の位置決め突起を備えるので、それら位置決め突起により、第1ケース半体の射出成形の際に第1ボーデンケーブルのアウタケーブル端末部を第1曲り部成形キャビティ部に対し正しく位置決め保持することができ、第1曲り部の成形性が良好となる。その上、第1曲り部の表面には、複数の位置決め突起の、射出成形終了後における抜き跡が現れており、第1曲り部の、第2曲り部との合わせ面側の表面に現れる抜き跡の数が、第1曲り部の、第2曲り部とは反対側の表面に現れる抜き跡の数よりも多いので、その合わせ面側に現れる比較的多数の抜き跡を、第1,第2ケース半体の結合時に第1曲り部と接合される第2曲り部を以て体裁よく覆うことができ、従って、ケーブル装置の使用状態で第1曲り部の外表面に現れる抜き跡を少なくして、装置外観への影響を効果的に抑えることができる。
【0019】
また特に第の特徴によれば、複数の位置決め突起には、第1曲り部成形キャビティ部に対し第1,第2曲り部相互の合わせ面に沿う方向でアウタケーブル端末部を相互間に挟むようにして位置決め保持する複数対の第1位置決め突起と、第1曲り部成形キャビティ部に対し前記合わせ面と直交する方向でアウタケーブル端末部を相互間に挟むようにして位置決め保持する複数対の第2位置決め突起とが含まれ、第1曲り部の、第2曲り部とは反対側の表面に現れる抜き跡は、一部の(即ち前記合わせ面とは反対側からアウタケーブル端末部に係合する)第2位置決め突起の抜き跡のみであるので、ケーブル装置の使用状態で第1曲り部の表面に現れる抜き跡を最小限にすることができて、装置外観への影響を更に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るケーブル装置を自動二輪車のスロットル操作系に適用した一実施形態を示す一部破断全体概略図
図2】前記実施形態のアクセルグリップ近傍の分解斜視図
図3図1の3−3線拡大断面図
図4図1の4−4線拡大断面図
図5図4の5−5線断面図及び第1ケース半体(曲り部)の一部の横断面図
図6図5の6−6線断面図
図7図6の7部拡大断面図
図8】単体状態(即ちインサート成形前)のアウタケーブルのアクセルグリップ側の一端部の一部破断拡大側面図とその端面図
図9】第1ケース半体の射出成形過程で上、下型間に中型及び保形用心材をセットした状態(樹脂射出前)の金型装置を示す、図6に対応した縦断面図
図10】従来技術の改良案(参考例)のアクセルグリップ近傍の分解斜視図を示す(図2対応図)
図11】(A)は、図10の11−11線断面図(図1の中段対応図)、(B)は、(A)のB−B線断面図(図3対応図)
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず、図1〜図を参照して、本発明の一実施形態について説明する。この実施形態は、本発明のケーブル装置CAを、車両例えば自動二輪車用エンジンのスロットルバルブ操作系に適用した一例であり、この例では、対をなす第1,第2ボーデンケーブルB1,B2が開弁操作用と閉弁操作用とに別々に用いられる。
【0022】
自動二輪車のハンドルバー10の左右一端部には、アクセルグリップ11がハンドルバー10の軸線回りに回転操作可能に嵌合支持され、その支持構造は、従来周知であるので説明を省略する。アクセルグリップ11の内端部には、これに一体的に回転するよう連結された回転ドラム12が連設される。
【0023】
一方、車載エンジンの吸気系に設けたスロットルボディTには、スロットルドラム30が回動可能に軸支され、このスロットルドラム30は、吸気量調整用のスロットル弁(図示せず)と連動回転するように連結される。そして、回転ドラム12に対しスロットルドラム30が第1,第2ボーデンケーブルB1,B2を介して連動連結される。尚、スロットルドラム30には、これを常に閉弁方向に付勢する戻しばね(図示せず)が連結されている。
【0024】
ケーブル装置CAは、回転ドラム12を収容する合成樹脂製のドラムケースCと、そのドラムケースC内に収容可能な回転ドラム12の一方向の回転によりスロットルドラム30を開弁方向に牽引操作可能な可撓性の第1ボーデンケーブルB1と、回転ドラム12の他方向の回転によりスロットルドラム30を開弁方向に牽引操作可能な可撓性の第2ボーデンケーブルB2とを備える。
【0025】
第1,第2ボーデンケーブルB1,B2は2本とも同一構造であって、その各々が、可撓性のインナワイヤIと、このインナワイヤIを内部に挿通させてその摺動を案内する可撓性のアウタケーブルOとを備える。
【0026】
ドラムケースCは、適当な結合手段(例えば複数のボルト14)で相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体C1,C2より二つ割り構造に分割構成される。また、このドラムケースCは、アクセルグリップ11の内端側に隣接配置され、第1,第2ケース半体C1,C2の相互間にハンドルバー10を一体的に挟着するようにしてハンドルバー10に固定される。第1,第2ケース半体C1,C2は、後述するように合成樹脂の射出成形により各々一体成形される。
【0027】
そして、第1ケース半体C1は、回転ドラム12の一方の半周部分を覆うように中空の半円盤状に形成される第1ケース本体部C1aと、この第1ケース本体部C1aに一端が連なる第1曲り部C1bとを一体に有する。第1曲り部C1bは、第1ケース本体部C1aよりハンドルバー10の軸方向で内方側、即ちハンドルポスト側に少なくとも中間部(本実施形態では略全体)が彎曲して延びている。この第1曲り部C1bには、第1ボーデンケーブルB1のアウタケーブルOの、一方側(即ち回転ドラム12側の)の彎曲した端末部Oeを一体に埋入している。
【0028】
一方、第2ケース半体C2は、回転ドラム12の他方の半周部分を覆うように中空の半円盤状に形成されて第1ケース本体部C1aにボルト14で締結される第2ケース本体部C2aと、この第2ケース本体部C2aに一端が連なる第2曲り部C2bとを一体に有する。第2曲り部C2bは、第2ケース本体部C2aよりハンドルバー10の軸方向で内方側、即ちハンドルポスト側に少なくとも中間部(本実施形態では略全体)が彎曲して延びている。この第2曲り部C2bには、第2ボーデンケーブルB2のアウタケーブルOの、一方側(即ち回転ドラム12側の)の彎曲した端末部Oeを一体に埋入している。
【0029】
第1,第2ケース本体部C1a,C2aの相対向する合わせ面は、ハンドルバー10に対応する中央部分が略半円弧状の凹曲面51,52に形成され、またその凹曲面51,52の両側に平坦面がそれぞれ隣接形成される。そして、その両凹曲面51,52の相互間にはハンドルバー10が挟着、保持され、また相対向する上記平坦面は、互いに直接接触し且つボルト14で緊密に接合される。尚、少なくとも一方の凹曲面51,52とハンドルバー10との嵌合面間には、その間を相対回転不能に係合する図示しない回り止め手段(例えば凹凸係合手段)が設けられる。
【0030】
また本実施形態では、凹曲面51,52が第1,第2ケース本体部C1a,C2aの軸方向一方側の厚肉の側壁部に形成されており、一方、その軸方向他方側の側壁部には、凹曲面51,52よりやや大径の略半円弧状の凹曲面61,62が形成される。そして、この凹曲面61,62は、アクセルグリップ11の小径内端部11mを緩く(従って、回動可能に)囲繞しており、その小径内端部11mの内端に回転ドラム12が一体に連設される。尚、上記した凹曲面51,52;61,62の横断面形状は、厳密な半円状としてもよいし、或いは、本実施形態のように一方の凹曲面51,61を僅かに劣弧状とし且つ他方の凹曲面52,62を僅かに優弧状としてもよい。
【0031】
また、第1,第2曲り部C1b,C2b相互の合わせ面f1,f2の少なくとも一方(本実施形態では両方)には、合わせ面f1,f2より窪んだ凹面41,42が形成される。その凹面41,42は、本実施形態では第1,第2曲り部C1b,C2bの長手方向に沿って彎曲した横断面略コ字形の凹溝状に形成される。
【0032】
第1,第2曲り部C1b,C2b相互の合わせ面f1,f2の何れか一方で且つ凹面41,42の左右両側縁部には、第1,第2曲り部C1b,C2bの長手方向に沿って延びる一対の凸条部44が、また同合わせ面f1,f2の何れか他方で且つ凹面41,42の左右両側縁部には、第1,第2曲り部C1b,C2bの長手方向に沿って延びて一対の凸条部44に各々嵌合する一対の凹条部45がそれぞれ形成される。而して、それら凸条部44及び凹条部45相互が係合することで、第1,第2曲り部C1b,C2b相互の合わせ面f1,f2が互いに印籠嵌合され、これにより、合わせ面f1,f2に沿う方向での第1,第2曲り部C1b,C2b相互のずれ移動が規制される。
【0033】
また第1,第2曲り部C1b,C2b相互の合わせ面f1,f2の凹面41,42は、第1,第2ケース本体部C1a,C2aに近づくにつれて徐々に深くなる(即ち合わせ面f1,f2から徐々に離れる側に傾斜する)ように形成される。この凹面41,42の傾斜は、第1,第2曲り部C1b,C2bの外面形状の傾斜(より具体的には第1,第2ケース本体部C1a,C2aに近づくにつれて合わせ面f1,f2から徐々に離間するような傾斜)に対応する。従って、第1,第2曲り部C1b,C2bの凹面41,42直下の、彎曲した底壁部46,47も同様に、合わせ面f1,f2に対して傾斜する。
【0034】
そして、第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブルOの彎曲した端末部Oeは、上記底壁部46,47に一体に埋設される。かくして、その傾斜した底壁部46,47中のアウタケーブル端末部Oeからは、インナワイヤIが回転ドラム12の略接線方向に引き出されるため、そのインナワイヤIを回転ドラム12外周に無理なく巻き付かせることができる。
【0035】
第1,第2曲り部C1b,C2b相互の合わせ面f1,f2の上記凹面41,42には、その凹面41,42より隆起し且つ凹面41,42を横断するように延びて相互に間隔をおいて配列される複数の補強リブ41a,42aが一体に形成される。各補強リブ41a,42aは、第1,第2曲り部C1b,C2bの、凹面41,42を挟む両側壁間を結合一体化しているため、第1,第2曲り部C1b,C2bの軽量化(即ち駄肉軽減)のためにその合わせ面f1,f2に凹面41,42を特設しても、第1,第2曲り部C1b,C2bに対して十分な剛性強度を付与することができる。しかも第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブル端末部Oeは、第1,第2曲り部C1b,C2b中に一体に埋入されているため、補強リブ41a,42aがアウタケーブルO等の組付作業の邪魔になる虞れはなくなり、合わせ面f1,f2における補強リブ41a,42aの設計自由度を高めることができる。
【0036】
また第1,第2曲り部C1b,C2b相互の合わせ面f1,f2に形成される少なくとも一方(本実施形態では両方)の凹面41,42の底部からは、他方の凹面42,41に向けて隆起する少なくとも1個の突起41t,42tが一体に形成される。そして、本実施形態では、上記一方の凹面41,42の突起41t,42tが、他方の凹面42,41の突起42t,41tに当接している。尚、上記一方の凹面41,42の突起41t,42tを、他方の凹面42,41に直接当接(即ち突起41t,42t以外の部位)に当接させるようにしてもよい。
【0037】
このような突起41t,42tの特設によれば、第1,第2曲り部C1b,C2b相互の合わせ面f1,f2に第1,第2曲り部C1b,C2bの軽量化のために凹面41,42を特設しても、突起41t,42tの突っ張り効果に基づいて第1,第2曲り部C1b,C2bに対し更に十分な剛性強度を付与することができる。しかも第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブル端末部Oeは、第1,第2曲り部C1b,C2b中に一体に埋入されているため、突起41t,42tがアウタケーブルO等の組付作業の邪魔になる虞れはなくなり、合わせ面f1,f2における突起41t,42tの設計自由度を高めることができる。
【0038】
また第1,第2曲り部C1b,C2bの外端部(即ち第1,第2ケース本体部C1a,C2aとは反対側の端部)は、両曲り部C1b,C2bの合わせ面f1,f2相互を突き合わせた状態で、弾性材料(例えばゴム)よりなる連結具Jを介して着脱可能に連結される。即ち、第1,第2曲り部C1b,C2bの外端部の外周には、中間部外周よりも大径の係合凸部48,49が一体に形成され、その両係合凸部48,49は、第1,第2曲り部C1b,C2bの合わせ面f1,f2相互を突き合わせた状態で、連結具Jの一端開口部Jaに着脱可能に嵌合、連結される。
【0039】
連結具Jの一端開口部Jaの内周面には、係合凸部48,49に係脱可能に係合する環状の爪部Jatが一体に突設される。また、連結具Jの他端側は二股状に分岐しており、その分岐部Jb,Jb′からは、第1,第2曲り部C1b,C2bの外端より連結具J内を経て延びる第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブルOがそれぞれ引き出される。
【0040】
また第1,第2曲り部C1b,C2bには、後述する第1,第2ケース半体C1,C2の射出成形過程でキャビティ70内にアウタケーブルOの端末部Oeを位置決め保持するのに用いる複数の位置決め突起81,81′;82,82′にそれぞれ対応した抜き跡h1,h1′,h2,h2′が複数対ずつ点在して形成される。
【0041】
第1ボーデンケーブルB1においてインナワイヤIはアウタケーブルOの端末部Oeを通して第1ケース本体部C1a内に、また第2ボーデンケーブルB2においてそのインナワイヤIはアウタケーブルOの前記端末部Oeを通して第2ケース本体部C2a内にそれぞれ延出している。そして、その各々のインナワイヤI,Iの延出端部Ie,Ieは、ドラムケースC内(より具体的には第1,第2ケース本体部C1a,C2aの相互間の空間)で回転ドラム12の外周部に相異なる巻付け方向に巻き付けられ、且つ接続端子15,15を介して回転ドラム12の外周部の係止凹部に各々着脱可能に連結される。
【0042】
ところで本実施形態の第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブルOは、インナワイヤIの摺動を直接案内する合成樹脂製のライナ3と、このライナ3を収容、保持する中空のシールド4と、このシールド4の外周を被覆する合成樹脂製の外皮5とを備える。そして、本実施形態のシールド4は、ライナ3の周囲で互いに密着するように配列する複数の金属素線21,21…を縒り合わせてなる中空ストランド22をもって構成される。
【0043】
図3には、直径1.0mmのインナワイヤIを使用する場合のボーデンケーブルB1,B2の設計例を示す。例えば、金属素線21,21…の直径は0.4mm、金属素線21,21…の本数は18本、金属素線21,21…の縒りピッチは47〜53mm、金属素線21,21…の縒り方式はS縒りであり、シールド4の外径は2.6mmであり、外皮5の外径(従ってアウタケーブルOの外径)は3.0mmであり、また重量は21g/mである。
【0044】
これに対し、上記と同様に直径1.0mmのインナワイヤIを使用する参考例のボーデンケーブルB1′,B2′の設計例を図11(B)に示す。この場合、シールド04を構成すべくコイル状に密着巻きする金属帯板mの板の肉厚は0.5mm、シールド04の外径は、4.0mmであり、外皮05の外径(従ってアウタケーブルO′の外径)は3.0mmであり、また重量は62g/mである。この場合、注目すべき点は、本実施形態のシールド4の肉厚0.4mm(=金属素線の直径)、同外径2.6mmと、参考例のシールド04の肉厚0.5mm(=金属帯板mの板厚)、同外径4.0mmとのそれぞれの差である。
【0045】
而して、参考例のシールド04の外径4.0mmは、板厚0.5mmの金属帯板mをコイル状に密着巻きする成形上の限界であり、同外径を4.0mm未満にするには、金属帯板mの板厚を0.5mm未満とする必要があるが、そうすると、シールド04の強度を満足させることが困難になる。それに対して、本実施形態のシールド4の外径を、参考例のシールド04の外径より大幅に小径化し得たことは、直径0.4mmの複数本の金属素線21,21…をライナ3の周囲で互いに密着するように配列して縒り合わせて中空ストランド22を形成し、これをもってシールド4としたことによる。
【0046】
このように本実施形態のシールド4の小径化(参考例の約1/1.5)によれば、ボーデンケーブルB1,B2の小径化(例えば外径が3.0mm以下)、延いては軽量化(重量が参考例の約1/3)を図ることができる。しかも、中空ストランド22よりなるシールド4は、金属帯板mをコイル状に密着巻きしてなる参考例のシールド04に比して、引張り及び圧縮強度も剛性も高いため、インナワイヤIのプル操作力は勿論、プッシュ操作力にも充分耐えることができ、いずれの操作力の伝達効率をも高めることができ、更には可撓性にも優れており、その用途は極めて広い。
【0047】
次に、図6図8も併せて参照して、第1,第2ケース半体C1,C2と第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブルOの端末部Oeとの結合構造について、より具体的に説明する。
【0048】
先ず図8に示すように、第1,第2ケース半体C1,C2の合成樹脂による射出成形前(即ちアウタケーブルOの、第1,第2曲り部C1b,C2bへの埋入前の自由状態)に、予めアウタケーブルOの端末部Oeの外端において外皮5を除去して、中空ストランド22の端部を外皮5より露出させると共に、この中空ストランド22の端部を拡径することにより、各金属素線が離散した第1フレア部23が形成される。また前記ライナ3の端部をも拡径して、第1フレア部23に隣接する第2フレア部24が形成される。この第2フレア部24は、第1フレア部23よりも小径に形成され、且つ第1フレア部23との間に隙間が設けられる。
【0049】
そして、第1,第2ケース半体C1,C2は、特に第1,第2曲り部C1b,C2bにおいて第1及び第2フレア部23,24と外皮5の端部とを包むようにして射出成形される。その際、成形材料たる合成樹脂は、第1フレア部23を構成する金属素線21間、並びに第1及び第2フレア部23,24間の隙間に入り込む。
【0050】
而して、第1,第2ケース半体C1,C2を各々射出成形するに際して、第1フレア部23の離散した多数の金属素線21、並びにライナ3の端部よりなる第1フレア部23は、第1,第2曲り部C1b,C2bに深く食い込んで強力なアンカ効果を発揮することになり、第1,第2曲り部C1b,C2b及びアウタケーブル端末部Oe間の結合強度が高められる。また特に、第1及び第2フレア部23,24間にも、合成樹脂が入り込む隙間を設けたことで、第1及び第2フレア部23,24がそれぞれ独立して第1,第2曲り部C1b,C2bに深く食い込んで強力なアンカ効果を発揮し、第1,第2曲り部C1b,C2b及びアウタケーブル端末部Oe間の結合強度が一層高められる。しかも第2フレア部24を第1フレア部23よりも小径に形成したことで、上記射出成形の際に、第1フレア部23の各金属素材21間、並びに第1及び第2フレア部23,24間への合成樹脂の入り込みが良好となり、第1及び第2フレア部23,24の第1,第2曲り部C1b,C2bに対するアンカ効果がより高められる。
【0051】
またスロットルボディTには、図1に例示したようにスロットルドラム30の周辺で支持部材としての取付ステー31が固定される。その取付ステー31には、第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のスロットルボディT側の端末部が、その端末部に固定(例えばカシメ結合)した従来周知のエンドピースE1,E2及び複数のナット32を介して結合、保持される。
【0052】
次に前記実施形態の作用を説明する。自動二輪車の運転中、例えば、ドライバーがアクセルグリップ11を一方向(加速方向)に回転操作することで、その回転が回転ドラム12及び第1ボーデンケーブルB1を介してスロットルドラム30に伝達されて、スロットル弁が開き方向に回動することでエンジンが加速する。またアクセルグリップ11を他方向(減速方向)に回転操作することで、その回転が回転ドラム12及び第2ボーデンケーブルB2を介してスロットルドラム30に伝達され、スロットル弁が閉じ方向に回動することでエンジンが減速する。
【0053】
本実施形態において、ドラムケースCを分割構成する第1,第2ケース半体C1,C2は、前述のように第1及び第2ケース本体部C1a,C2a及び第1,第2曲り部C1b,C2bを一体に備えていて、全体として複雑な三次元立体形状を有しており、その上、第1,第2曲り部C1b,C2bにおいてアウタケーブルOの湾曲した端末部Oeがインサート成形される。そこで、図9を参照して、第1ケース半体C1の射出成形手法の一例を次に説明する。尚、第2ケース半体C2の射出成形手法も同様である。
【0054】
先ず、この射出成形に用いる金型装置Dについて説明する。金型装置Dは、複数の金型要素、たとえば下型D1と、その下型D1に対し駆動手段(図示せず)により昇降駆動可能な上型D2と、下型D1及び上型D2間に挟まれる中型D3とを備える。そして、それら下型D1及び中型D3と、上型D2との相互間には、第1ケース半体C1の全体形状に対応したキャビティ70が形成される。このキャビティ70は、本実施形態では第1ケース半体C1の内面(即ち第2ケース半体C2との合わせ面f1)が下向きとなり且つ第1ケース半体C1の外面(即ち第2ケース半体C2とは反対側の外表面)が上向きとなるように配置される。
【0055】
即ち、上型D2の下型D1に対する対向面(下面)には、第1ケース半体C1の外面形状に対応した凹凸形状が形成され、一方、下型D1及び中型D3の、上型D2に対する各対向面(上面)には、第1ケース半体C1の内面形状に対応した凹凸形状が形成される。下型D1の、上型D2との対向面には、中型D3を嵌合支持する支持凹部91が設けられ、中型D3は、下型D1の支持凹部91に嵌合支持されることで、射出成形の前及び最中において定位置に保持される。
【0056】
キャビティ70は、第1ケース本体部C1aを成形するためのケース本体部成形キャビティ部70aと、第1曲り部C1bを成形するための曲り部成形キャビティ部70bとを有しており、その両キャビティ部70a,70bは、下型D1及び上型D2相互の型締め状態で互いに直接連通する。
【0057】
尚、金型装置Dの適所には、キャビティ70の適所に溶融樹脂を導入するための湯口(図示せず)が形成され、その湯口には、図示しない溶融樹脂射出手段が設けられていて、そこからキャビティ70に加圧状態の溶融樹脂が随時供給可能となっている。
【0058】
また本実施形態の金型装置Dは、射出成形前に第1ボーデンケーブルB1のアウタケーブルOの彎曲した端末部Oeを曲り部成形キャビティ部70bにセットするに際して、その端末部Oeを曲り部成形キャビティ部70bに対し互いに協働して位置決め保持し得る各複数対の第1,第2位置決め突起81,81′;82,82′を備える。各位置決め突起81,81′;82,82′は、細長い円柱状のピンで構成される。
【0059】
そのうち、複数対の第1位置決め突起81,81′は、曲り部成形キャビティ部70bに対しアウタケーブル端末部Oeを、第1曲り部C1bの第2曲り部C2bとの合わせ面f1、即ち下型D1及び上型D2の合わせ面に沿う方向(より具体的には曲り部成形キャビティ部70bを横切る方向)で端末部Oeを相互間に挟むようにして位置決め保持可能である。また、複数対の第2位置決め突起82,82′は、曲り部成形キャビティ部70bに対しアウタケーブル端末部Oeを、前記合わせ面f1と直交する方向(より具体的には金型装置Dの上下方向)で端末部Oeを相互間に挟むようにして位置決め保持可能である。
【0060】
この場合、第1位置決め突起81,81′は、その全部が下型D1の上型D2との対向面(上面)に上向きに突設される。一方、第2位置決め突起82,82′は、その一部82(本実施形態では半数)が下型D1の上型D2との対向面(上面)に上向きに突設され、またその残り82′(本実施形態では残り半数)が上型D2の下型D1との対向面(下面)に下向きに突設される。
【0061】
そして、射出成形後の第1曲り部C1bの表面には、上記第1,第2位置決め突起81,81′;82,82′の、射出成形後における抜き跡h1,h1′;h2,h2′が現れている。この場合、第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとの合わせ面f1側の表面(即ち内面)に現れる抜き跡h1,h1′;h2の数は、第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとは反対側の表面(即ち外面)に現れる抜き跡h2′の数よりも多い。
【0062】
より具体的に言えば、第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとは反対側の外表面に現れる抜き跡h2′は、第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとの合わせ面f1とは反対側から端末部Oeに係合する第2位置決め突起82′の抜き跡h2′のみであり、その他の位置決め突起81,81′,82の抜き跡h1,h1′,h2は何れも上記合わせ面f1側に現れている。
【0063】
かくして、本実施形態の金型装置Dは、第1ケース半体C1の射出成形の際に曲り部成形キャビティ部70bに対しアウタケーブル端末部Oeを互いに協働して位置決め保持するための各複数対の第1,第2位置決め突起81,81′;82,82′を備えるため、その射出成形の際にアウタケーブル端末部Oeが第1曲り部成形キャビティ部70bに対し正しく位置決め保持されて第1曲り部C1bの成形性が良好となる。その上、第1曲り部C1bの表面には、第1,第2位置決め突起81,81′;82,82′の、射出成形の終了後における抜き跡h1,h1′;h2,h2′が現れており、特に第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとの合わせ面f1側の表面(内面)に現れる抜き跡h1,h1′,h2の数は、第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとは反対側の表面(外面)に現れる抜き跡h2′の数よりも多いことから、その合わせ面f1側に多く現れる抜き跡h1,h1′,h2を、射出成形後の第1,第2ケース半体C1,C2の結合時に第1曲り部C1bと接合される第2曲り部C2bを以て体裁よく覆うことができる。これにより、ケーブル装置CAの使用状態で第1曲り部C1bの外表面に現れる抜き跡h2′を少なくできて、装置外観への影響を効果的に抑えることができる。
【0064】
また特に本実施形態の金型装置Dでは、第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとは反対側の表面(外面)に現れる抜き跡h2′が、第1曲り部C1bの、第2曲り部C2bとの合わせ面f1とは反対側からアウタケーブル端末部Oeに係合する第2位置決め突起82′の抜き跡h2′のみである。これにより、ケーブル装置CAの使用状態において第1曲り部C1bの外表面に現れる抜き跡を最小限とすることができるため、装置外観への影響が更に効果的に抑えられる。
【0065】
ところで第1ケース半体C1の射出成形は、アウタケーブルOのライナ3内に可撓性を有する保形用心材Rを予め挿入した状態で、キャビティ70に溶融状態の合成樹脂を射出するようにして行われることが望ましい。その場合には、射出成形後において保形用心材Rがライナ3内より引き抜かれ、代わりにインナワイヤIがライナ3内に挿通される。保形用心材Rとして、図示例では射出成形圧力でも変形しない材料(例えばナイロン、ステンレス等)製のロープが使用される。
【0066】
この保形用心材Rの外径は、アウタケーブルOのライナ3の内径より僅かに小さいサイズのものが選択され、従って、その保形用心材Rがライナ3内をスムーズに摺動して抜差し可能である。また本実施形態では、保形用心材Rの基端部Raが中型D3の内部に結合される。尚、下型D1及び上型D2の相対向面には、保形用心材Rを上下より挟み込み可能な横断面半円弧状の凹溝71,72が相対向するように各々形成される。
【0067】
保形用心材Rは、それの先端部側からアウタケーブルOのライナ3内に挿入されるものであり、その挿入作業は、第1ケース半体C1の射出成形の前(より具体的にはアウタケーブルOの端末部Oeを下型D1上にセットする前)に行われる。従って、第1ケース半体C1の射出成形時には、保形用心材Rが挿入されたアウタケーブルOは射出成形圧力に十分に対抗可能である。これにより、例えばアウタケーブルOが比較的小径で低剛性の場合や、或いはアウタケーブルOを曲げることで外皮5に扁平薄肉部が生じるような場合でも、高い成形圧力のためにアウタケーブルOが潰れ変形するのを保形用心材Rで効果的に防止できるから、射出成形後にアウタケーブルOにインナワイヤIを挿通させた状態ではインナワイヤIの摺動性、延いては操作フィーリングが効果的に高められる。
【0068】
次に第1ケース半体C1の射出成形手順を具体的に説明する。先ず、射出成形前において、第1ボーデンケーブルB1は、図8に示すようにアウタケーブルOのスロットルグリップ11側の端末部Oeの外端において外皮5を除去して、中空ストランド22の端部を外皮5より露出させると共に、この中空ストランド22の端部を拡径することにより、各金属素線が離散した第1フレア部23を形成し、更にライナ3の端部をも拡径して、第1フレア部23に隣接する第2フレア部24を形成しておく。
【0069】
次に、中型D3に結合された保形用心材Rにその先端側からアウタケーブルOを、第1,第2フレア部23,24を先にして嵌挿させる。その嵌挿は、図9に例示したように、中型D3の、曲り部成形キャビティ70b側の一側面に突設されて保形用心材Rを囲繞する先細り筒状突部93が第2フレア部24の基部内周に食い込むように嵌入、係合されることで嵌挿限界位置が規定される。この中型D3の筒状突部93は、射出成形時に溶融合成樹脂がアウタケーブルOのライナ3内に侵入するのを防止する機能も果たす。
【0070】
次いで、図9に例示したように、中型D3を保形用心材R及びアウタケーブルOと共に下型D1上にセットし、即ち、中型D3の下端部を下型D1上面の支持凹部91に嵌合支持させると共に、アウタケーブルOの端末部Oeを撓曲させながら下型D1上面の、曲り部成形キャビティ部70bに対応した成形面上にセットする。このとき、下型D1上面に起立する複数対の第1位置決め突起81,81′により、アウタケーブルOの端末部Oeが上記成形面の定位置に位置決め保持される。
【0071】
更に下型D1上に、中型D3を間に挟むようにして上型D2を被せ合わせ、それら下型D1及び中型D3と、上型D2との相互間にキャビティ70を画成する。この場合、上型D2及び下型D1より突出する上下複数対の第2位置決め突起82,82′により、アウタケーブルOの端末部Oeが曲り部成形キャビティ部70bにおいて上下方向にも位置決め保持される。
【0072】
この状態で、図示しない湯口より、溶融状態の合成樹脂をキャビティ70内に加圧注入し、これによりそのキャビティ70に対応した第1ケース半体C1が射出成形される。この射出成形が完了した後は、先ず、上型D2を上昇させて下型D1及び中型D3より離脱させ、次いで下型D1に対し中型D3を成形品と共に上昇させて、成形品を中型D3と一緒に下型D1より離脱させる。しかる後に、中型D3を成形品に対し筒状突部93の軸線に沿う方向に引き出し、それと共に、保形用心材Rを第1ボーデンケーブルB1のアウタケーブルOより引き抜く。
【0073】
また、第2ケース半体C2についても、上記した第1ケース半体C1の射出成形過程と同様の金型装置Dを使用し且つ同様の射出成形手順をとることにより、第1ケース半体C1と同様に射出成形されるが、その説明は省略する。
【0074】
以上のようにして射出成形された第1,第2ケース半体C1,C2に端末部Oeが埋入、一体化された各アウタケーブルO内にインナワイヤIを挿通させ、これにより、第1,第2ボーデンケーブルB1,B2として使用可能となる。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、ケーブル装置CAの主要構成部品としては、回転ドラム12の一方の半周側を覆う第1ケース本体部C1a、及び第1ボーデンケーブルB1の彎曲したアウタケーブル端末部Oeを一体に埋入した第1曲り部C1bを一体化した第1ケース半体C1と、回転ドラム12の他方の半周側を覆う第2ケース本体部C2a、及び第2ボーデンケーブルB2の彎曲したアウタケーブル端末部Oeを一体に埋入した第2曲り部C2bを一体化した第2ケース半体C2の都合二部品だけとなる。これにより、全体として部品点数や加工工数が削減されると共に装置各部の小型軽量化が図られるため、組立容易且つ低コストで、しかも小型軽量なケーブル装置CAが得られる。
【0076】
また特に第1,第2曲り部C1b,C2bは、その各々に第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブル端末部Oeを埋入一体化したので、両曲り部C1b,C2b内に両者の合わせ面f1,f2を通してアウタケーブル端末部Oe又はこれに連なる樹脂製曲り管を特別に装入する必要はなくなり、それだけ合わせ面f1,f2の形状構造の設計自由度が拡がり、設計が容易となる。その上、第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のアウタケーブル端末部Oeを第1,第2曲り部C1b,C2bにそれぞれ埋入一体化したことで、アウタケーブル端末部Oeと第1,第2曲り部C1b,C2bとの相互間でのガタのない緊密一体状態が容易に得られ、しかもインナワイヤIの牽引時に、アウタケーブル端末部Oeから第1,第2曲り部C1b,C2bに作用する回転ドラム12側への圧縮荷重を、機械的係合手段(荷重伝達手段)を特別に介さずとも第1,第2曲り部C1b,C2b(従って第1,第2ケース半体C1,C2)に機械的に強固に受け止めさせることができ、構造簡素化が図られる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0078】
例えば、前記実施形態では、自動二輪車用エンジンのスロットルバルブ操作系にケーブル装置CAを適用したものを示したが、本発明のケーブル装置CAは、車両のスロットルバルブ操作系以外の操作系にも適用可能であり、また車両以外の種々の操作系にも適用可能である。
【0079】
また前記実施形態では、アウタケーブルOのシールド4として、ライナ3周囲で互いに密着するよう配列された複数の金属素線21を縒り合わせてなる中空ストランドより構成したものを示したが、本発明の第1の特徴においては、実施形態に限定されず、例えば図11に例示した参考例のような金属帯板mをライナ03の外周でコイル状に密着巻きして構成したものを、アウタケーブルのシールドとして用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
B1,B2・・第1,第2ボーデンケーブル
CA・・・・・・ケーブル装置
C・・・・・・ドラムケース
C1,C2・・第1,第2ケース半体
C1a,C2a・・第1,第2ケース本体部
C1b,C2b・・第1,第2曲り部
f1,f2・・合わせ面
h1,h1′;h2,h2′・・抜き跡
I・・・・・・インナワイヤ
Ie・・・・・インナワイヤの延出端部
O・・・・・・アウタケーブル
Oe・・・・・アウタケーブルの端末部
D・・・・・・金型装置
3・・・・・・ライナ
4・・・・・・シールド
5・・・・・・外皮
21・・・・・金属素線
22・・・・・中空ストランド
23・・・・・第1フレア部
24・・・・・第2フレア部
41,42・・・・凹面
41a,42a・・補強リブ
48,49・・・・係合凸部
70・・・・・キャビティ
70a・・・・ケース本体部成形キャビティ
70b・・・・曲り部成形キャビティ
81,81′・・位置決め突起・第1位置決め突起としての第1位置決めピン
82,82′・・位置決め突起・第2位置決め突起としての第2位置決めピン
【要約】
【課題】第1,第2ケース半体より分割構成される合成樹脂製のドラムケースと、そのドラムケース内に収容可能な回転ドラムの一方向の回転により牽引可能な可撓性の第1ボーデンケーブルと、同回転ドラムの他方向の回転により牽引可能な可撓性の第2ボーデンケーブルとを備えたケーブル装置において、部品点数を削減すると共に組立を容易化し、小型軽量化とコスト節減を図る。
【解決手段】第1,第2ケース半体C1,C2が、回転ドラム12の半周部分を覆うケース本体部C1a,C2aと、第1ボーデンケーブルB1,b2のアウタケーブルOの、彎曲した一方の端末部Oeに略沿うよう彎曲形成されて同端末部Oeを一体に埋入した曲り部C1b,C2bとを一体に有し、第1,第2ボーデンケーブルB1,B2のインナワイヤIが第1,第2ケース本体部C1a,C2a内に延出して、その両延出端部IeがドラムケースC内で回転ドラム12に連結される。
【選択図】 図2
図1
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図5
図6
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図11