【文献】
Guy Ayissi Eyebe, et al.,Environmentally-friendly cellulose nanofibre sheets for humidity sensing in microwave frequencies,Sensors and Actuators B:Chemical,2017年 2月 2日,245,484-492
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の電極のうち一方の電極に形成された直線状に延在する複数の第1線状電極と、他方の電極に形成された直線状に延在する複数の第2線状電極とが前記感湿材に密着した状態で互い違いとなるように所定の間隔をおいて平行に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿度センサ。
前記印刷は、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷からなる群から選択される1つであることを特徴とする請求項4に記載の湿度センサ。
前記一対の電極のうち一方の電極に形成された直線状に延在する複数の第1線状電極と、他方の電極に形成された直線状に延在する複数の第2線状電極とが前記感湿材に密着した状態で互い違いとなるように所定の間隔をおいて平行に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の湿度センサの製造方法。
前記印刷は、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷からなる群から選択される1つであることを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の湿度センサの製造方法。
【背景技術】
【0002】
この種の湿度センサとしては、湿度を検出するための感湿材として、感湿ポリマと、水溶性セルロースからなる添加ポリマとの混合物を用いたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記従来の湿度センサにおいては、感湿ポリマを作るべく、最初に等モルのN,N,N',N'−テトラメチル−1,8−ジアミノオクタン20.0g(0.1mol)と1,8−ジクロロオクタン18.3g(0.1mol)とをN,N'−ジメチルホルムアミド40mlとエタノール40mlの混合溶媒中で60℃で240時間反応させることになる。次に、この反応物を大量のエーテル中に入れ、生成した重合体を回収して8,8アイオネンクロライド(以下、(IP)8,8 Clと言う)からなる感湿ポリマを作ることになる。
【0004】
次に、この(IP)8,8 Clと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶性セルロースエーテルからなり感湿ポリマに対して30重量%の添加ポリマ(OP)と、感湿ポリマに対して42倍の重量のイオン交換水とを混合することにより感湿液を作る。
【0005】
そして、絶縁基板に電極等が構成されたセンサ材料を上記感湿液に浸漬してから乾燥することにより、上記感湿材が形成された湿度センサを得ることができる。
【0006】
従って、上記従来の湿度センサにおいては、その構成要素である感湿材を得るまでに多くの手間と時間がかかることから、製造コストの上昇をきたすという問題があった。
【0007】
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、感湿材としてセルロースナノファイバーを用いることにより、その感湿材を得るまでの手間と時間を抑えて製造コストの低減を図りながら、測定精度の高い湿度センサを得ることができるという知見を得た。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減を図ることができ、かつ測定精度の高い湿度センサ及びその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基板と、前記基板の少なくとも一方の面に沿って薄膜状に設けられ、電気抵抗が湿度に応じて変化する感湿材と、前記感湿材に密着し、所定の間隔をおいて設けられた少なくとも一対の電極とを備えた湿度センサであって、前記感湿材は、セルロースナノファイバーにより形成されており、前記基板は、少なくとも前記感湿材を設ける側の面が不導体によって形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記セルロースナノファイバーは、繊維径が4〜100nmであり、繊維長が1〜50μmであることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記一対の電極のうち一方の電極に形成された直線状に延在する複数の第1線状電極と、他方の電極に形成された直線状に延在する複数の第2線状電極とが前記感湿材に密着した状態で互い違いとなるように所定の間隔をおいて平行に配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記感湿材は、水を有する液体に前記セルロースナノファイバーを分散させることによって得られたインキ状物質を、印刷、スピンコート又はディップコートにより前記基板の前記面に付着させることによって、当該面に前記セルロースナノファイバーによる薄膜状のものとして形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記インキ状物質は、前記セルロースナノファイバーを0.3〜3質量%含み、残部が前記液体及び不可避不純物からなり、前記液体は、前記水と有機溶剤との混合物であり、前記有機溶剤が前記水に対して1/3〜2/3質量の割合で混在していることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記有機溶剤は、エタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びトルエンからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の何れかにに記載の発明において、前記印刷は、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷からなる群から選択される1つであることを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項4〜7の何れかに記載の発明において、前記基板は、所定の剛性を有する板状又は屈曲自在なシート状に形成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項9に記載の発明は、電気抵抗が湿度に応じて変化する感湿材を基板の少なくとも一方の面に薄膜状に設けた後、前記感湿材の上に少なくとも一対の電極を所定の間隔をおいて設けてなり、前記基板は、少なくとも前記感湿材を設ける側の面が不導体によって形成されており、前記感湿材は、セルロースナノファイバーが水を有する液体に分散されたインキ状物質を用いて、前記基板の前記面に、印刷、スピンコート又はディップコートにより、前記セルロースナノファイバーによって薄膜状に形成されており、前記一対の電極は、導体粉を溶媒に分散させた導電インキを用いて印刷により形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記セルロースナノファイバーは、繊維径が4〜100nmであり、繊維長が1〜50μmであることを特徴としている。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記一対の電極のうち一方の電極に形成された直線状に延在する複数の第1線状電極と、他方の電極に形成された直線状に延在する複数の第2線状電極とが前記感湿材に密着した状態で互い違いとなるように所定の間隔をおいて平行に配置されていることを特徴としている。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11の何れかに記載の発明において、前記インキ状物質は、前記セルロースナノファイバーを0.3〜3質量%含み、残部が前記液体及び不可避不純物からなり、前記液体は、有機溶剤が前記水に対して1/3〜2/3質量の割合で混合されていることを特徴としている。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項9〜12の何れかに記載の発明において、前記有機溶剤は、エタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びトルエンからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴としている。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項9〜13の何れかに記載の発明において、前記印刷は、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷からなる群から選択される1つであることを特徴としている。
【0024】
請求項15に記載の発明は、請求項9〜14の何れかに記載の発明において、前記基板は、所定の剛性を有する板状又は屈曲自在なシート状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係る発明によれば、セルロースナノファイバーが極めて細い繊維によって三次元ネットワークを構成した状態になるので、そのセルロースを構成する多くの親水性のOH基(ヒドロキシル基)がそのネットワーク全体に平均的に分散した状態になる。このため、セルロースナノファイバーにより形成された感湿材は、その全体が平均的に空気中(雰囲気中)の水分を吸収した状態になる。しかも、感湿材が薄膜状に形成されているので、空気中の水分が変動(即ち、湿度が変化)した場合でも、当該感湿材の水分が短時間で空気中の水分に対応した水分となるように変化することになる。
【0026】
即ち、感湿材に含まれる水分が空気中の水分に対応した水分となるように短時間で変化することになるので、当該感湿材の電気抵抗もその感湿材に含まれる水分に応じて変化することになる。従って、感湿材の電気抵抗を一対の電極で検出することにより、空気中の水分としての湿度を高精度で測定することができる。
【0027】
一方、セルロースナノファイバーは、水に分散させることによって、その水中で三次元ネットワークを構成することになり、水の粘度を増加させると共に、優れた分散安定性を示すことになる。従って、例えばセルロースナノファイバーを水に分散させたものをインキ状物質として構成し、このインキ状物質を、印刷、スピンコート、ディップコート等によって、基板に付着させることにより、薄膜状の感湿材を基板上に簡単にかつ短時間で形成することができる。
【0028】
また、印刷等による基板に付着したインキ状物質については、薄膜状になってことから、短時間でその水分を乾燥させることができる。即ち、インキ状物質から水分を乾燥させた後の感湿材を短時間で簡単に得ることができる。
【0029】
従って、感湿材を基板に簡単にかつ短時間で設けることができるので、湿度センサの製造コストを低減することができる。
【0030】
請求項2に記載の発明によれば、セルロースナノファイバーの繊維径が4〜100nmであり、繊維長が1〜50μmであるので、このセルロースナノファイバーが三次元ネットワークを構成することにより、親水性の多くのOH基がそのネットワーク全体に平均的に分散した状態になる。従って、感湿材の電気抵抗に基づいて、湿度を高い精度で検出することができる。
【0031】
請求項3に記載の発明によれば、一対の電極のうち一方の電極に形成された直線状に延在する複数の第1線状電極と、他方の電極に形成された直線状に延在する複数の第2線状電極とが感湿材に密着した状態で互い違いとなるように所定の間隔をおいて平行に配置されているので、第1線状電極と第2線状電極との間の感湿材における電流が流れる部分の断面積を増大させることができる。
【0032】
即ち、導体の電気抵抗をR、導体の電気抵抗率をρ、導体の長さをL、導体の断面積をSとすると、R=ρ×(L/S)の関係があるが、断面積Sを増加させることによって、導体としての感湿材の電気抵抗Rを低減することができる。
【0033】
このため、感湿材の電気抵抗率ρが大きくても、当該感湿材の電気抵抗を低減した状態で測定することができる。従って、感湿材の電気抵抗の読み取り精度の向上を図ることができるので、湿度の検出精度の向上を図ることができる。
【0034】
請求項4に記載の発明によれば、水を有する液体にセルロースナノファイバーを分散させることによって得られたインキ状物質を、印刷、スピンコート又はディップコートにより前記基板の前記面に付着させることによって、当該面にセルロースナノファイバーによる薄膜状の感湿材が形成されているので、厚さのばらつきの小さな極めて薄い感湿材を基板に形成することができる。従って、測定精度の向上を図ることができる。
【0035】
また、セルロースナノファイバーを、水を有する液体に分散させることによって、インキ状物質の粘度が増加することになるので、そのインキ状物質の基板に対する付着力を向上させることができる。従って、感湿材の基板への付着力の向上を図ることができる。
【0036】
請求項5に記載の発明によれば、インキ状物質についてはセルロースナノファイバーを0.3〜3質量%含み、残部が水を有する液体及び不可避不純物からなっているので、インキ状物質を基板において乾燥することによって、セルロースナノファイバーによる三次元ネットワーク状に形成された薄膜状の感湿材を得ることができる。しかも、インキ状物質の粘度の増加により感湿材の基板への付着力を向上させることができる。
【0037】
また、液体については有機溶剤が水に対して1/3〜2/3質量の割合で混合されているので、その有機溶剤による低い表面張力の作用により、インキ状物質の基板への濡れ性の向上を図ることができる。この場合、水に難溶の有機溶剤であっても、三次元ネットワーク状のセルロースナノファイバーによる編目内に油的が入り込み、乳化が安定した状態になるので、インキ状物質の基板への濡れ性の向上を図ることができる。従って、その濡れ性の向上からも、感湿材の基板への付着力の向上を図ることができる。
【0038】
請求項6に記載の発明によれば、有機溶剤がエタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びトルエンからなる群から選択される少なくとも1つであるので、これらの溶剤の低い表面張力の作用に基づいて、感湿材の基板への付着力の向上を図ることができる。
【0039】
例えば、水の表面張力が約72mN/mであるのに対して、エタノールは約22mN/m、メチルエチルケトンは約24mN/m、酢酸エチルは約23mN/m、トルエンは約28mN/mの表面張力である。この場合、トルエンのみが水に対して難溶であるが、撹拌等によりトルエンが微粒化し、ほぼ均一に乳化した状態になると共に、その乳化した状態をセルロースナノファイバーによって安定的に維持することができるので、トルエンについてもエタノール等の他の有機溶剤と同様に、インキ状物質の表面張力の低下に寄与することができる。
【0040】
なお、有機溶剤として、エタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びトルエンの何れか1つを用いても、2つ以上を同時に用いてもよい。
【0041】
請求項7に記載の発明によれば、印刷として、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷の何れか1つを用いることができるので、各印刷の特性に応じた適切な生産工程を組むことができる。
【0042】
この場合、インクジェット印刷を用いた場合には、印刷のための版を必要としないので、少量生産に適し、かつ低コストの湿度センサを得ることができる。
【0043】
また、フレキソ印刷の場合は、ロール・ツー・ロール方式の印刷が可能になるので、極めて大量の湿度センサを効率よく生産することができると共に、湿度センサの単価を下げる上で効果がある。また、フレキソ印刷の場合は版の凸部に付着したインキ状物質を基板に圧力をかけながら転写することになるので、基板に転写されたインキ状物質の厚さを10μm以下となるように極めて薄く形成することができると共に、その厚さのばらつきを極めて小さく抑えることができる。従って、極めて薄くかつ一定の厚さの感湿材を基板に形成することができるので、湿度の測定感度及び測定精度の向上を図ることができる。なお、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷の場合も、フレキソ印刷の場合と同様の効果を奏する。
【0044】
スクリーン印刷の場合は、インキ状物質をスキージによってスクリーンの編目から流出させることによって、基板に感湿材を形成することになるので、当該感湿材の厚さがフレキソ印刷の場合より厚い10μm以上となる。よって、湿度の測定感度の点で、フレキソ印刷より若干劣ることになる。また、ロール・ツー・ロール方式の印刷が可能であることから、フレキソ印刷より生産性が少し劣るものの、湿度センサの単価を下げる上で効果がある。なお、比較的安価な平面状のスクリーンの版を用いて間欠的に感湿材を形成する場合にはフレキソ印刷に比べて量産性が大分劣ることになるが、インクジェット印刷よりは量産性が優れ、かつ低コストの湿度センサを得ることができる。
【0045】
請求項8に記載の発明によれば、基板が所定の剛性を有する板状又は屈曲自在なシート状に形成されているので、所定の剛性を有する板状の湿度センサ又は屈曲自在なシート状の湿度センサとして、それぞれ特徴を有するものを得ることができる。
【0046】
即ち、所定の剛性を有する板状の湿度センサとしては、例えば携帯電話等の小型の電気機器における例えば電池ケースの蓋を基板として、その蓋の内側に感湿材及び一対の電極41、42を有するもので湿度センサを構成することにより、電気機器への水の浸入を湿度(感湿材の電気抵抗)によって常時検出するような用途等に用いることができる。
【0047】
一方、屈曲自在なシート状の湿度センサとしては、例えばおむつの湿度を測定するための用途等に用いることができる。また、プラントにおける配管の外面や内面に貼り付けた状態で湿度を測定することにより、配管腐食センシング等として用いることもできる。この場合、湿度センサを大面積のものとすることで、配管における広範囲の部位の腐食をセンシング可能にしても、小面積のものを配管における複数の位置に設けることで、その配管における広範囲の部位の腐食をセンシング可能にしてもよい。なお、タワーや鉄塔等の構成部材として例えば鋼管を用いている場合には、その鋼管内面に湿度センサを貼り付けることで、その内面の腐食状況や乾燥状況を観察することが可能になる。
【0048】
請求項9に記載の発明によれば、水を有する液体にセルロースナノファイバーを分散させることによって得られたインキ状物質を、印刷、スピンコート又はディップコートにより前記基板の前記面に付着させることによって、当該面にセルロースナノファイバーによる薄膜状の感湿材を設けた後、当該感湿材としてのインキ状物質が乾燥前又は乾燥後に、
当該感湿材の上に、導体粉を溶媒に分散させた導電インキを用いて一対の電極を印刷により設けているので、セルロースナノファイバーを上記液体に分散させることで粘度が増加したインキ状物質の基板への付着性を向上させることができると共に、三次元ネットワーク状に構成された感湿材に対する導電インキの密着性も向上させることができる。従って、感湿材や一対の電極が脱落することのない構造的に安定した品質の湿度センサを得ることができる。
【0049】
また、インキ状物質を、印刷、スピンコート又はディップコートにより基板の前記面に付着させることにより、感湿材を形成しているので、厚さのばらつきの極めて小さな薄い感湿材を基板に形成することができる。従って、測定精度の高い湿度センサを得ることができる。
【0050】
請求項10に記載の発明によれば、セルロースナノファイバーの繊維径が4〜100nmであり、繊維長が1〜50μmであるので、請求項2に記載の発明と同様に、感湿材の電気抵抗に基づいて、湿度を極めて高い精度で測定することができる湿度センサを得ることができる。
【0051】
請求項11に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様に、感湿材の電気抵抗を下げた状態でその電気抵抗を測定することができる。従って、電気抵抗の読み取り精度の向上を図ることができるので、湿度の検出精度の高い湿度センサを得ることができる。
【0052】
請求項12に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明と同様に、セルロースナノファイバーによる三次元ネットワークに形成された薄膜状の感湿材を有する湿度センサを得ることができると共に、感湿材の基板への付着力を向上させた湿度センサを得ることができる。しかも、有機溶剤による濡れ性の向上により、感湿材の基板への付着力を更に向上させることができる。
【0053】
請求項13に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明と同様に、感湿材の基板への付着力の向上を図ることができる。なお、有機溶剤として、エタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びトルエンの何れか1つを用いても、2つ以上を同時に用いてもよい。
【0054】
請求項14に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明と同様に、各印刷の特性に応じた適切な生産工程を組むことができる。この場合、インクジェット印刷を用いた場合には、印刷のための版を必要としないので、少量であるが、低コストで湿度センサを得ることができる。
【0055】
また、フレキソ印刷の場合は、極めて大量の湿度センサを効率よく生産することができると共に、湿度センサの単価を下げる上で効果がある。しかも、基板に転写したインキ状物質の厚さを極めて薄く形成することができると共に、その厚さのばらつきを極めて小さく抑えることができる。従って、湿度の測定精度の高い湿度センサを得ることができる。なお、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷の場合も、フレキソ印刷の場合と同様の効果を奏する。
【0056】
更に、スクリーン印刷の場合は、感湿材の厚さがフレキソ印刷の場合より厚くなる。また、量産性の面でもフレキソ印刷より劣ることになる。但し、インクジェット印刷よりは湿度センサの量産性が向上したものとなる。
【0057】
請求項15に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明と同様に、所定の剛性を有する板状の湿度センサ又は屈曲自在なシート状の湿度センサとしてそれぞれ特徴を有するものを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0060】
この実施形態で示す湿度センサ1は、
図1及び
図2に示すように、基板2と、この基板2の一方の面2aに沿って薄膜状に設けられた感湿材3と、この感湿材3の表面に密着し、所定の間隔をおいて設けられた一対の電極41、42とを備えている。
【0061】
基板2は、10〜300μmの厚さの絶縁性を有するプラスチックフィルム(例えばポリイミド(PI)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等)20によって屈曲自在に形成されている。
【0062】
感湿材3は、所定の厚さ(例えば0.1〜25μm)で、平面視において所定の大きさの四角形状(例えば正方形状や長方形状)に形成されている。なお、この例では、平面視において一辺が3〜20mmの正方形状又は長方形状に形成されている。
【0063】
この感湿材3は、セルロースナノファイバーによって形成されたものであり、空気中の水分(即ち、湿度)に応じて電気抵抗が変化するようになっている。セルロースナノファイバーは、繊維径が4〜100nmであり、繊維長が1〜50μmのものである。また、セルロースナノファイバーは、分子式が(C
6H
10O
5)
nであり、構造式が次の化1の通りとなっている。
【化1】
【0064】
なお、感湿材3は、水を有する液体にセルロースナノファイバーを分散させることによって得られたインキ状物質をフレキソ印刷により基板2の一方の面2aに付着させることによって、当該面2aにセルロースナノファイバーによる薄膜状のものとして形成されている。インキ状物質は、セルロースナノファイバーを0.3〜3質量%含み、残部が上記水を有する液体及び不可避不純物からなっている。上記水を有する液体は、当該水と有機溶剤との混合物であり、その有機溶剤が水に対して1/3〜2/3質量の割合で混合したものとなっている。有機溶剤はエタノールである。
【0065】
なお、上記フレキソ印刷に代えて、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、スピンコート又はディップコート等により、インキ状物質を基2の一方の面2aに付着させることにより、セルロースナノファイバーによる薄膜状の感湿材3を当該一方の面2aに形成するようにしてもよい。
【0066】
上記有機溶剤としてエタノールを用いた例を示したが、この有機溶剤としては、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル及びトルエン等からなる群から選択される1つ又は2つ以上を混合したものであってもよい。
【0067】
一対の電極41、42は、感湿材3の表面に密着するようにして、所定の間隔をおいて設けられたものであり、当該電極41、42間の感湿材3の電気抵抗を検出することが可能になっている。この場合、各電極41、42は、それぞれ直線状に延在する複数(この例では3本ずつ)の第1線状電極41a、第2線状電極42aを有するものとなっている。
【0068】
第1線状電極41a及び第2線状電極42aは、線長も線幅も同じ寸法のものとなっており、感湿材3に密着した状態で互い違いとなるように所定の間隔をおいて平行に配置されている。具体的には、線長が2〜17mm、線幅が50〜300μmであり、第1線状電極41aと第2線状電極42aの隙間の寸法(即ち、線間)が20〜200μmである。なお、好ましくは、線長が5〜7mm、線幅が80〜100μmであり、第1線状電極41aと第2線状電極42aの隙間の寸法が20〜40μmである。更に好ましくは、線長が6mm、線幅が90μmであり、第1線状電極41aと第2線状電極42aの隙間の寸法が30μmである。
【0069】
このように構成された電極41、42は、導体粉として銀粉を溶媒に分散させた導電インキを用いてフレキソ印刷により、感湿材3の表面に形成されるようになっている。なお、フレキソ印刷に代えて、上述のスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、その他の印刷を用いてもよい。
【0070】
上記のように構成された湿度センサ1を製造するには、基板2の一方の面2aに感湿材3を設けた後、その感湿材3の上に一対の電極41、42を設けることになる。
【0071】
感湿材3については、インキ状物質がフレキソ印刷によりプラスチックフィルム20(
図1及び
図2参照)に印刷されることにより、当該プラスチックフィルム20からなる基板2に設けられた状態になる。この場合、図示しないフレキソ印刷機の版胴に巻かれた凸版から直接的に又はブランケット胴を介して間接的にインキ状物質がプラスチックフィルム20に転写されることになる。この際、上記凸版における凸部の上面に付着したインキ状物質が直接的に又は間接的にプラスチックフィルム20に転写されることにより、四角形状で薄膜状の感湿材3が当該プラスチックフィルム20上に印刷されることになる。この場合、プラスチックフィルム20が版胴やブランケット胴等の周速度と同等の速度で移動する過程で、当該プラスチックフィルム20に感湿材3が高速で印刷されることになる。
【0072】
印刷後の感湿材3は、一対の電極41、42が設けられる前に、インキ状物質に含まれる上述の水及び有機溶剤が乾燥工程において除かれることになる。乾燥工程は、プラスチックフィルム20が連続して移動する状態で行われる。
【0073】
一対の電極41、42は、上記乾燥工程後において、感湿材3の表面に導電インキをフレキソ印刷することにより、当該感湿材3上に設けられることになる。即ち、上記版胴とは異なる版胴に巻き付けた凸版から直接的に又はブランケット胴を介して間接的に、導電インキが感湿材3の表面に転写されることにより、一対の電極41、42が感湿材3上に設けられることになる。また、印刷した電極41、42に含まれる上述の溶媒については、その印刷後の乾燥工程において除かられることになる。これらの電極41、42の印刷工程及びその乾燥工程も、プラスチックフィルム20が連続的に移動する状態で行われる。
【0074】
即ち、プラスチックフィルム20が
図2に示す矢印の方向に連続的に移動する過程で、当該プラスチックフィルム20に複数の感湿材3及び一対の電極41、42が形成されることになる。そして、プラスチックフィルム20を基板2の形状に切断することにより、複数の湿度センサ1を得ることができる。このため、いわゆるロール・ツー・ロール方式の印刷や切断に基づいて複数の湿度センサ1を大量に製造することが可能になる。
【0075】
なお、インキ状物質の水や有機溶媒と、導電インキの溶媒との相性がよい場合には、感湿材3の乾燥前に、当該感湿材3の表面に一対の電極41、42を印刷するようにしてもよい。
【0076】
上記のように構成された湿度センサ1について湿度と電気抵抗との関係を実験した結果を
図3に示す。また、
図3から読み取った湿度と電気抵抗とをまとめたものを次の表1に示す。なお、湿度は相対湿度を示す。また、
図4は、表1のデータを片対数グラフに記載することで、直線性の有無を検討したものである。
【表1】
【0077】
(1)実験装置の概要
(i)分流式精密湿度供給装置(SRG-1M-10L)
販売元:株式会社第一科学、製造元:神栄テクノロジー株式会社
完全に乾燥した気体(0%Rh)と、飽和気体(100%Rh)とを混合させ、流量比により一定の相対湿度の気体をつくる装置である。
(ii)高性能低温循環恒温水槽(RE415S)
販売元:株式会社第一科学、製造元:LAUDA
試験槽周囲を流れる一定の温度の水流により、試験槽内の空気を一定の温度に維持するための装置である。
(iii)恒温水循環試験槽(特注)
販売元:第一科学、製造元:第一科学
湿度センサを収容して試験を行うための一定の湿度及び温度を保持し、湿度を0%Rh〜100%Rhに変化させることのできる試験槽である。
(iv)LCRメーター(IM3523)
販売元:アスカ電子株式会社、製造元:日置電機株式会社
電気抵抗を測定するための装置である。
(v)湿度センサー計測システム(特注)
製造販売元:アスカ電子株式会社
湿度センサの湿度と電気抵抗との関係を実験結果として
図3に示すように出力する装置である。
(vi)露点計(DewStarS-1)
販売元:株式会社第一科学、製造元:神栄テクノロジー株式会社
空気の露点と気温から湿度を求める光学式の露点湿度計である。
【0078】
(2)実験の雰囲気の温度:25℃
(3)実験内容
JIS規格(B7920:2000)の「湿度計−試験方法」に準ずる環境下で、各機器を運転状況のままにしておいて、湿度センサを安定した状態に置き、湿度が上昇する方向と下降する方向の各条件下において、所定の時間経過ごと(35分間隔ごと)に、湿度と、湿度センサの電気抵抗とを測定することにより、当該湿度センサの性能を検査した。
【0079】
(4)湿度センサについて
(i)感湿材の厚さ:1μm
(a)表面の縦×横の寸法=9mm×7mm
(b)厚さ=1μm
(c)セルロースナノファイバー
平均幅=5nm、平均長さ=1μm
(ii)水を有する液体
液体は、水とエタノールの混合液である。
水とエタノールとの質量割合は以下の通りである。
水:エタノール=11:5≒3:1.36
(iii)セルロースナノファイバーと上記液体との質量割合
セルロースナノファイバー:液体=0.4:99.6
(iv)一対の電極
第1及び2線状電極の線長=5.8mm
第1及び2線状電極の線幅=90μm
第1線状電極と第2線状電極との間の隙間寸法(線間)=30μm
【0080】
(5)湿度の制御
(i)湿度の変更間隔=10%Rh
(ii)湿度変更の時間間隔=35分
【0081】
図3、4及び表1を参照しながら、実験結果について考察すると次のようになる。
即ち、湿度と電気抵抗との関係について生の実験結果である
図3から表1を得て、この表1のデータを片対数グラフにプロットすると、
図4のようになる。なお、湿度は上述のように相対湿度を示す。この
図4から、電気抵抗は、湿度が上昇する方向にあるときも、下降する方向にあるときも、片対数グラフにおける40〜90%Rhの範囲で直線性を示すことが確認できた。
【0082】
即ち、40〜90%Rhの実用的な湿度の測定範囲においては、湿度と電気抵抗とを片対数グラフ上において直線によって近似することができるので、湿度センサの電気抵抗を測定することにより、雰囲気の湿度を正確かつ簡単に検出することができる。なお、40%Rh以下の湿度の場合も、湿度と電気抵抗との関係を片対数グラフ上において所定の曲線で近似することにより、湿度センサの電気抵抗から雰囲気の湿度を正確に検出することができる。
【0083】
ここで、
図4に示す各直線L1、L2の近似式を求めると次のようになる。即ち、
図4に示す湿度と電気抵抗との直線関係は、湿度の方向をx軸とし、電気抵抗の方向をy軸とすると、次の直線の近似式
logy=Ax+B…(1式)
で示すことができ、この式から次の近似式
y=10
B×10
Ax…(2式)
を得ることができ、更に10
A=a、10
B=bとおくとにより、次の
y=b×a
x…(3式)
を得ることができる。なお、Aは
図4おける各直線L1、L2の傾きであり、Bは当該各直線L1、L2とy軸との交点における当該y軸の値である。
【0084】
ここで、湿度が上昇傾向にあるときの直線L1の上記(3式)については各要素に1の添え字を付して示し、湿度が下降傾向にあるときの直線L2の上記(3式)については各要素に2の添え字を付して示すことにより、これらの直線L1、L2の近似式を求めると次のようになる。
【0085】
即ち、直線L1については、
図4から読み取った値により次のようになる。
A1=(3.542−9.351)/90
=−5.809/90
=−0.06454
a1=10
A1
=10
−0.06454
B1=9.351
b1=10
B1
=10
9.351
【0086】
従って、直線L1の上記(3式)は次のようになる。
y1=b1×a1
x1
=10
9.351×10
−0.06454×x1
=10
9.351/10
0.06454×x1 …(L1−3式)
【0087】
ここで、x1=0(%Rh)とすると、
y1=10
9.351/10
0
=10
9.351
=2.244×10
9(Ω)
よって、
図4の直線L1から読み取った湿度0(%Rh)ときの抵抗2.244×10
9(Ω)と一致する。
【0088】
また、x1=40(%Rh)とすると
y1=10
9.351/10
2.582
=10
6.769
=5.875×10
6(Ω)
よって、
図4の直線L1から読み取った湿度40(%Rh)ときの抵抗5.879×10
6(Ω)とほぼ一致する。なお、多少の誤差が生じているが、これは四捨五入や読み取り等の誤差によるものと考えられる。
【0089】
また、x1=90(%Rh)とすると
y1=10
9.351/10
5.809
=10
3.542
=3.483×10
3(Ω)
よって、
図4の直線L1から読み取った湿度90(%Rh)ときの抵抗3.484×10
3(Ω)とほぼ一致する。なお、多少の誤差が生じているが、これも四捨五入や読み取り等の誤差によるものと考えられる。
【0090】
一方、直線L2については、
図4から読み取った値により次のようになる。
A2=(3.506−8.890)/90
=−5.384/90
=−0.05982
a2=10
A2
=10
−0.05982
B2=8.890
b2=10
B2
=10
8.890
【0091】
従って、直線L2の上記(3式)は次のようになる。
y2=b2×a2
x2
=10
8.890×10
−0.05982×x2
=10
8.890/10
0.05982×x2 …(L2−3式)
【0092】
ここで、x2=0(%Rh)とすると、
y2=10
8.890/10
0
=10
8.890
=7.762×10
8(Ω)
よって、
図4の直線L2から読み取った湿度0(%Rh)ときの抵抗7.757×10
8(Ω)とほぼ一致する。なお、多少の誤差が生じているが、これは四捨五入や読み取り等の誤差によるものと考えられる。
【0093】
また、x2=40(%Rh)とすると
y2=10
8.890/10
2.393
=10
6.497
=3.141×10
6(Ω)
よって、
図4の直線L2から読み取った湿度40(%Rh)ときの抵抗3.139×10
6(Ω)とほぼ一致する。この場合も四捨五入や読み取り等の誤差により、多少の誤差が生じたものと考えられる。
【0094】
また、x2=90(%Rh)とすると
y2=10
8.890/10
5.384
=10
3.506
=3.206×10
3(Ω)
よって、
図4の直線L2から読み取った湿度90(%Rh)ときの抵抗3.203×10
3(Ω)とほぼ一致する。この場合も四捨五入や読み取り誤差等により、多少の誤差が生じていると考えられる。
【0095】
従って、湿度が上昇傾向にある状況下においては、直線L1の(L1−3式)を用いることにより電気抵抗から湿度を求めることができ、湿度が下降傾向にある状況下においては、直線L2の(L2−3式)を用いることにより電気抵抗から湿度を求めることができる。
【0096】
また、
図4において、湿度が約40%Rhのときの直線L1及び直線L2から得られる電気抵抗は3×10
6程度であるが、この電気抵抗のときの直線L1及び直線L2から得られる湿度の誤差は4%Rh程度である。このため、直線L1の(L1−3式)の傾きと直線L2の(L2−3式)の傾きを平均したものを傾きとする直線を得ることにより、−2〜+2%Rhの誤差範囲内で湿度を検出することが可能になる。但し、この誤差は、湿度が40〜90%Rhの実用的な範囲で測定した場合である。なお、40%Rh以下の場合は、上述したように曲線(図示せず)で近似することにより正確な湿度を検出することができる。
【0097】
上記のように構成された湿度センサ1においては、セルロースナノファイバーが極めて細い繊維によって三次元ネットワークを構成した状態になるので、そのセルロースを構成する多くの親水性のOH基(ヒドロキシル基)がそのネットワーク全体に平均的に分散した状態になる。このため、セルロースナノファイバーにより形成された感湿材3は、その全体が平均的に空気中(雰囲気中)の水分を吸収した状態になる。しかも、感湿材3が薄膜状に形成されているので、空気中の水分が変動(即ち、湿度が変化)した場合には、感湿材3の水分もその変動後の空気中の水分に対応するように短時間で変化することになる。
【0098】
即ち、感湿材3に含まれる水分が雰囲気中の水分に対応するように短時間で変化することになるので、当該感湿材3の電気抵抗を検出することにより、雰囲気中の水分(即ち、湿度)を高精度で測定することができる。
【0099】
一方、セルロースナノファイバーは、水に分散させることによって、その水中で三次元ネットワークを構成することになり、水の粘度を増加させると共に、優れた分散安定性を示す特徴がある。従って、例えばセルロースナノファイバーを水に分散させたものをインキ状物質として構成し、このインキ状物質を、印刷、スピンコート、ディップコート等によって、基板2に付着させることにより、薄膜状の感湿材3を基板2上に簡単にかつ短時間で形成することができる。
【0100】
また、印刷等の直後のインキ状物質については、薄膜状になっていることから、短時間で乾燥させることができる。即ち、インキ状物質の乾燥のために、感湿材3の形成時間が長くなることもない。
【0101】
従って、感湿材3を基板2に簡単にかつ短時間で設けることができるので、湿度センサの製造コストの低減を図ることができる。
【0102】
また、セルロースナノファイバーの繊維径が4〜100nmであり、繊維長が1〜50μmであるので、これらの繊維が三次元ネットワークを構成することにより、親水性の多くのOH基がそのネットワーク全体に極めて平均的に分散した状態になる。従って、感湿材3の電気抵抗に基づいて、湿度を極めて高い精度で測定することができる。
【0103】
更に、一対の電極41、42のうち一方の電極41に形成された直線状に延在する複数の第1線状電極41aと、他方の電極42に形成された直線状に延在する複数の第2線状電極42aとが感湿材3に密着した状態で互い違いとなるように所定の間隔をおいて平行に配置されているので、その感湿材3における電流が流れる部分の断面積を増大させることができる。
【0104】
なお、導体の電気抵抗をR、導体の電気抵抗率をρ、導体の長さをL、導体の断面積をSとすると、R=ρ×(L/S)の関係がある。
【0105】
このため、感湿材3の電気抵抗率ρが大きくても、当該感湿材3の電気抵抗を低い状態で測定することができる。従って、電気抵抗の読み取り精度の向上を図ることができるので、湿度の検出精度の向上を図ることができる。
【0106】
また、水を有する液体にセルロースナノファイバーを分散させることによって得られたインキ状物質を、印刷、スピンコート又はディップコートにより基板2の一方の面2aに付着させることによって、当該面2aにセルロースナノファイバーによる薄膜状の感湿材3が形成されているので、厚さのばらつきの小さな薄い感湿材3を基板2に形成することができる。従って、測定精度の向上を図ることができる。
【0107】
しかも、セルロースナノファイバーを、水を有する液体に分散させることによって、インキ状物質の粘度が増加することになるので、そのインキ状物質の基板2に対する付着力を向上させることができる。従って、感湿材3の基板2への付着力の向上を図ることができる。
【0108】
更に、インキ状物質についてはセルロースナノファイバーを0.3〜3質量%含み、残部が水を有する液体及び不可避不純物からなっているので、インキ状物質を基板2において乾燥することによって、セルロースナノファイバーによる三次元ネットワークに形成された薄膜状の感湿材3を確実に得ることができる。しかも、インキ状物質の粘度が適度に増加することになるので、感湿材3の基板2への付着力を確実に向上させることができる。
【0109】
また、液体については有機溶剤が水に対して1/3〜2/3質量の割合で混合されているので、その有機溶剤による低い表面張力の作用により、インキ状物質の基板2への濡れ性の向上を図ることができる。この場合、水に難溶の有機溶剤であっても、三次元ネットワーク状のセルロースナノファイバーによる編目内に油的が入り込み、乳化が安定した状態になるので、インキ状物質の基板2への濡れ性の向上を図ることができる。従って、その濡れ性の向上からも、感湿材3の基板2への付着力の向上を図ることができる。
【0110】
更に、有機溶剤としてエタノールを用いているので、この溶剤の低い表面張力の作用に基づいて、感湿材3の基板2への付着力の向上を図ることができる。
【0111】
例えば、水の表面張力が約72mN/mであるのに対して、エタノールは約22mN/mである。また、他の有機溶剤であるメチルエチルケトンは約24mN/m、酢酸エチルは約23mN/m、トルエンは約28mN/mの表面張力である。この場合、トルエンのみが水に対して難溶であるが、撹拌等によりトルエンが微粒化し、ほぼ均一に乳化した状態になると共に、その乳化した状態をセルロースナノファイバーによって安定的に維持することができるので、エタノール、その他の有機溶剤と同様に、インキ状物質の表面張力の低下に寄与することができる。
【0112】
なお、有機溶剤として、エタノールの他に、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びトルエン等の何れか、又はエタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びトルエン等の2つ以上を混合したものを用いてもよい。
【0113】
また、印刷として、フレキソ印刷の他に、上述のように、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷の何れか1つを用いてもよく、これらの印刷を用いることにより、その各印刷の特性に応じた適切な生産工程を組むことができる。
【0114】
この場合、インクジェット印刷を用いた場合には、印刷のための版を製作する必要がないので、少量生産に適し、かつ低コストの湿度センサ1を得ることができる点で有利である。
【0115】
また、フレキソ印刷の場合は、ロール・ツー・ロール方式の印刷が可能になるので、極めて大量の湿度センサを効率よく生産することができると共に、当該湿度センサのコストを下げることができる。しかも、フレキソ印刷の場合は、版の凸部上面に付着したインキ状物質を基板2に圧力をかけながら転写することになるので、基板2に転写されたインキ状物質の厚さを10μm以下(0.1μmも可能)となるように極めて薄くすることができると共に、その厚さのばらつきも極めて小さく抑えることができる。従って、極めて薄くかつ一定の厚さの感湿材3を基板2に形成することができるので、湿度の測定感度及び測定精度の向上を図ることができる。なお、グラビア印刷及びグラビアオフセット印刷を使用した場合も、フレキソ印刷の場合と同様の効果を奏する。
【0116】
スクリーン印刷の場合は、インキ状物質をスキージによってスクリーンの編目から流出させることによって、感湿材3を基板2上に形成することになるので、当該感湿材3の厚さがフレキソ印刷の場合より厚い10μm以上となる。よって、湿度の測定感度の点で、フレキソ印刷より若干劣ることになる。また、ロール・ツー・ロール方式の印刷が可能であることから、フレキソ印刷より生産性が少し劣るものの、湿度センサの単価を下げる上で効果がある。なお、比較的安価な平面状のスクリーンの版を用いて間欠的に感湿材3を形成する場合にはフレキソ印刷に比べて量産性が大分劣ることになるが、インクジェット印刷よりは量産性が優れ、かつ低コストの湿度センサを得ることができる。
ている。
【0117】
また、上述したような印刷に代えて、スピンコート又はディップコートにより基板2の一方の面2aにインキ状物質を付着させた場合にも、当該面2aにセルロースナノファイバーによる薄膜状の感湿材3を形成することができるので、厚さのばらつきの小さな極めて薄い感湿材3を得ることができる。
【0118】
更に、基板2が屈曲自在なシート状に形成されているので、屈曲自在なシート状の湿度センサとしての特徴を有するものを得ることができる。屈曲自在なシート状の湿度センサとしては、例えばおむつの湿度を測定するための用途に用いることができる。また、例えばプラントにおける配管の外面や内面に貼り付けた状態で湿度を測定することにより、配管腐食センシング等として用いることもできる。この場合、湿度センサを大面積のものとすることで、配管における広範囲の部位の腐食をセンシング可能にしても、小面積のものを配管における複数の位置に設けることで、その配管における広範囲の部位の腐食をセンシング可能にしてもよい。なお、タワーや鉄塔等の構成部材として例えば鋼管を用いている場合には、その鋼管内面に湿度センサを貼り付けることで、その内面の腐食状況や乾燥状況を観察することができる。
【0119】
また、基板2が所定の剛性を有する板状のもの形成されている場合には、所定の剛性を有する板状の湿度センサとしての特徴を有するものとなる。所定の剛性を有する板状の湿度センサとしては、例えば携帯電話などの電気機器やカメラなどの精密機器等における例えば電池ケースの蓋を基板2として、その蓋の内側に感湿材3を設け更にその上に一対の電極41、42を有する湿度センサ1を構成することにより、その電気機器等内の水の浸入による湿度の異常を検出する用途に用いることができる。
【0120】
なお、上記実施の形成においては、感湿材3の上に一対の電極41、42を設けるように構成したが、当該感湿材3の上に電極41、42を複数対設けるようにしてもよい。この場合は、同一の感湿材3について複数の位置で電気抵抗を独立して検出することが可能になる。
【0121】
また、基板2の一方の面2aに感湿材3を設けその上に電極41、42を設けるように構成したが、当該基板2の一方及び他方の双方の面に感湿材3を設けそれぞれの感湿材3の上に電極41、42を設けるように構成してもよい。
【0122】
基板2は、絶縁性を有するプラスチックフィルムで構成した例を示したが、この基板2については感湿材3を設ける面が絶縁性を有するもの(即ち、不導体)によって形成されていればよい。なお、「繊維径」については「繊維幅」の語を用いることも可能である。
【解決手段】基板2と、基板2の少なくとも一方の面に沿って薄膜状に設けられ、電気抵抗が湿度に応じて変化する感湿材3と、感湿材3に密着し、所定の間隔をおいて設けられた少なくとも一対の電極41、42とを備え、感湿材3はセルロースナノファイバーにより形成されており、基板2は少なくとも感湿材3を設ける側の面が不導体によって形成されていることを特徴とする構成になっている。セルロースナノファイバーは繊維径が4〜100nm、繊維長が1〜50μmであることが好ましい。一方の電極41の第1線状電極41aと、他方の電極42の第2線状電極42aが感湿材3に密着し互い違いに所定の間隔をおいて平行に配置されたものとなっている。