特許第6357276号(P6357276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357276分離した入口流及び出口流を有する磁気冷却システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357276
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】分離した入口流及び出口流を有する磁気冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 21/00 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   F25B21/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-504347(P2017-504347)
(86)(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公表番号】特表2017-522532(P2017-522532A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】US2014070106
(87)【国際公開番号】WO2016018451
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2017年5月31日
(31)【優先権主張番号】62/029,697
(32)【優先日】2014年7月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503057053
【氏名又は名称】アストロノーティックス コーポレイション オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】オーリンガー ジョン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ボーダー アンドレ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チェル ジェレミー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド ジョン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ジム カール ブルーノ
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−124927(JP,A)
【文献】 特表2016−507714(JP,A)
【文献】 特表2013−525738(JP,A)
【文献】 特表2002−502949(JP,A)
【文献】 特表2004−506168(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/099663(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0071383(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0104568(US,A1)
【文献】 米国特許第04332135(US,A)
【文献】 特表2009−543022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動型磁気再生冷却器装置であって、
第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つの能動型磁気再生ベッドと、
第1の端部及び第2の端部を有する第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の前記第1の端部を前記能動型磁気再生ベッドの前記第1の端部に流体的に接続する第1の管と、
前記第1の熱交換器の前記第2の端部を前記能動型磁気再生ベッドの前記第1の端部に流体的に接続する第2の管と、を備え、
前記第1の管が、前記能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続し、
前記第2の管が、前記能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続し、
前記第1の管及び前記第2の管の前記副流路が、前記能動型磁気再生ベッドで交互に配置される、能動型磁気再生冷却器装置。
【請求項2】
前記第1の管の前記副流路が、前記第1の管と実質的に垂直な方向の前記第1の管の延長部分である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記副流路が、スロットによって前記能動型磁気再生ベッドに流体的に接続する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
能動型磁気再生冷却器であって、
第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つの能動型磁気再生ベッドと、
熱交換器と、
熱伝達流体と、
前記熱交換器の前記第1の端部を前記能動型磁気再生ベッドの前記第1の端部に流体的に接続する第1の管と、
前記熱交換器の前記第2の端部を前記能動型磁気再生ベッドの前記第1の端部に流体的に接続する第2の管と、
前記第1の管、前記第2の管、前記熱交換器、及び前記能動型磁気再生ベッドの細孔を通して前記熱伝達流体を送るように構成されたポンプと、を備え、
前記第1の管が、前記能動型磁気再生ベッドの前記第1の端部の第1の部分にわたって延在する第1のチャネルに接続され、前記第2の管が、前記能動型磁気再生ベッドの前記第1の端部の第2の部分にわたって延在する第2のチャネルに接続され、前記第1のチャネルが、前記第2のチャネルの一部の下に延在する前記第1のチャネルの下壁内に形成されるスロットを通して前記能動型磁気再生ベッドに流体的に接続され、前記第2のチャネルが、前記第1のチャネルの一部の下に延在する前記第2のチャネルの下壁内に形成されるスロットを通して前記能動型磁気再生ベッドに流体的に接続される、能動型磁気再生冷却器。
【請求項5】
能動型磁気再生冷却器であって、
第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つの能動型磁気再生ベッドと、
第1の端部及び第2の端部を有する熱交換器と、
熱伝達流体と、
前記熱伝達流体の流れを送るように構成されたポンプと、
時間変動磁場を高状態及び低状態で前記能動型磁気再生ベッドに印加するように構成された磁石と、
前記熱交換器の第1の端部を前記能動型磁気再生ベッドの第1の端部に接続する第1の管と、
前記熱交換器の第2の端部を前記能動型磁気再生ベッドの第1の端部に接続する第2の管と、を備え、
第1の動作モードでは、前記第1の管は前記能動型磁気再生ベッド上の磁場が高状態であるときに前記熱伝達流体を前記熱交換器から前記能動型磁気再生ベッドへ向かう流れに方向付けるように構成され、前記第2の管は前記能動型磁気再生ベッド上の磁場が低状態であるときに前記熱伝達流体を前記能動型磁気再生ベッドから前記熱交換器へ向かう流れに方向づけるように構成され、
第2の動作モードでは、前記ポンプは、前記第1の管及び前記第2の管の中の前記熱伝達流体を反転させて、蓄積された汚染粒子を前記能動型磁気再生ベッドの第1の端部から排出するように構成されている、能動型磁気再生冷却器。
【請求項6】
能動型磁気再生冷却器装置であって、
低温端及び高温端を有する第1の能動型磁気再生ベッドであって、磁気熱量材料を含む、第1の能動型磁気再生ベッドと、
時間変動磁場を高状態及び低状態で前記第1の能動型磁気再生ベッドに印加するように構成された磁石と、
入口端及び出口端を有する低温熱交換器と、
入口端及び出口端を有する高温熱交換器と、
熱伝達流体と、
前記第1の能動型磁気再生ベッドに印加される前記時間変動磁場が前記高状態である場合、前記熱伝達流体の流れを前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記低温端から前記第1の能動型磁気再生ベッドを通して前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記高温端に方向付けるように構成された弁であって、前記第1の能動型磁気再生ベッドに印加される前記時間変動磁場が前記低状態である場合、前記熱伝達流体の流れを、前記高温熱交換器から、前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記高温端に、前記第1の能動型磁気再生ベッドを通して、前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記低温端に、及び前記低温熱交換器を通して方向付けるようにさらに構成された、弁と、
前記低温熱交換器の前記入口端を前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記低温端に流体的に接続する第1の管であって、前記第1の能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続する、第1の管と、
前記低温熱交換器の前記出口端を前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記低温端に流体的に接続する第2の管であって、前記第1の能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続する、第2の管と、
前記高温熱交換器の前記入口端を前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記高温端に流体的に接続する第3の管であって、前記第1の能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続する、第3の管と、
前記高温熱交換器の前記出口端を前記第1の能動型磁気再生ベッドの前記高温端に流体的に接続する第4の管であって、前記第1の能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続する、第4の管と、
前記第1の能動型磁気再生ベッド、前記低温熱交換器、前記高温熱交換器、前記弁、前記第1の管、前記第2の管、前記第3の管、及び前記第4の管を通して前記熱伝達流体を送るように構成されたポンプと、を備える、能動型磁気再生冷却器装置。
【請求項7】
前記第1の管の前記副流路及び前記第2の管の前記副流路が、前記第1の能動型磁気再生ベッドで交互に配置され、
前記第3の管の前記副流路及び前記第4の管の前記副流路が、前記第1の能動型磁気再生ベッドで交互に配置され、
前記第1の管、前記第2の管、前記第3の管、及び前記第4の管のそれぞれの前記副流路前記熱伝達流体の流れる方向が、それぞれ実質的に不変であり、
前記第1の能動型磁気再生ベッド中の前記熱伝達流体の流れが、実質的に双方向である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
熱伝達流体を第1の管を通して第1の熱交換器の第1の端部から能動型磁気再生ベッドの第1の端部へポンプで注入するステップを含み、前記第1の管が前記能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続し、
さらに、前記熱伝達流体を第2の管を通して前記第1の熱交換器の第2の端部へ前記能動型磁気再生ベッドの前記第1の端部からポンプで注入するステップを含み、前記第2の管が前記能動型磁気再生ベッド上に設けられた2つ以上の副流路に接続し、
前記第1の管及び前記第2の管の前記副流路が、前記能動型磁気再生ベッドで交互に配置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年7月28日出願の米国仮特許出願第62/029697号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府資金提供に関する記述
本発明は、米国エネルギー省により与えられたDE−AR0000128のもと、政府の援助を受けて行われた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
磁気冷却(MR)とは、一般的にある特定の磁気熱量材料の磁気熱量効果を利用する冷却システムを指す。磁気熱量効果は、一部には、磁気熱量材料を変化する磁場に曝すことによって生じる磁気熱量材料の温度変化を指す。現代の室温磁気冷却(MR)システムは、能動型磁気再生器(AMR)サイクルを用いて冷却を行うことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される主題は、AMRベッドとその熱源(低温側熱交換器(CHEX))またはヒートシンク(高温側熱交換器(HHEX))との間の熱伝達流体の運搬に関する。能動型磁気再生(AMR)冷却器装置は、第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つのAMRベッドと、第1の端部及び第2の端部を有する第1の熱交換器(HEX)と、を含み得る。AMR冷却器は、第1のHEXの第1の端部をAMRベッドの第1の端部に流体的に接続する第1の管と、第1のHEXの第2の端部をAMRベッドの第1の端部に流体的に接続する第2の管と、も含み得る。第1の管は、AMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。第2の管は、AMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。第1の管及び第2の管の副流路は、AMRベッドで交互に配置されてもよい。
【0005】
能動型磁気再生(AMR)冷却器は、第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つのAMRベッドと、第1の端部及び第2の端部を有する第1の熱交換器(HEX)と、熱伝達流体と、を含み得る。AMR冷却器は、第1のHEXの第1の端部をAMRベッドの第1の端部に流体的に接続する第1の管と、第1のHEXの第2の端部をAMRベッドの第1の端部に流体的に接続する第2の管と、をさらに含み得る。AMR冷却器は、第1の管、第2の管、第1のHEX、及びAMRベッドの細孔を通して熱伝達流体を送るように構成されたポンプも含み得る。第1の管は、AMRベッドの第1の端部で第1の領域内に広がることができ、第2の管は、AMRベッドの第1の端部と第1の領域との間の第2の領域内の第2の副流路内に広がることができる。第1の領域は、第2の領域内の第2の副流路間に広がる第1の副流路によってAMRベッドの第1の端部に流体的に接続されてもよい。
【0006】
能動型磁気再生(AMR)冷却器は、第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つのAMRベッドと、熱交換器(HEX)と、熱伝達流体と、を含み得る。AMR冷却器は、HEXの第1の端部をAMRベッドの第1の端部に流体的に接続する第1の管と、HEXの第2の端部をAMRベッドの第1の端部に流体的に接続する第2の管と、をさらに含み得る。AMR冷却器は、第1の管、第2の管、HEX、及びAMRベッドの細孔を通して熱伝達流体を送るように構成されたポンプも含み得る。第1の管は、AMRベッドの第1の端部の第1の部分にわたって延在する第1のチャネルに接続され得、第2の管は、AMRベッドの第1の端部の第2の部分にわたって延在する第2のチャネルに接続され得る。第1のチャネルは、第2のチャネルの一部の下に延在する第1のチャネルの下壁内に形成されるスロットを通してAMRベッドに流体的に接続され得る。第2のチャネルは、第1のチャネルの一部の下に延在する第2のチャネルの下壁内に形成されるスロットを通してAMRベッドに流体的に接続され得る。
【0007】
能動型磁気再生(AMR)冷却器は、第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つのAMRベッドと、熱交換器(HEX)と、熱伝達流体と、を含み得る。AMR冷却器は、HEXをAMRベッドの第1の端部に接続する第1の管をさらに含み得る。第1の管は、第1の動作モードでは熱伝達流体を一方向の流れに方向付けるように構成され得る。第1の管は、第2の動作モードでは熱伝達流体を第2の一方向の流れに方向付けるようにさらに構成され得る。AMR冷却器は、熱伝達流体を第1の一方向の流れ及び第2の一方向の流れで送るように構成されたポンプをさらに含み得る。
【0008】
能動型磁気再生(AMR)冷却器装置は、低温端及び高温端を有する第1のAMRベッドを含み得る。第1のAMRベッドは、磁気熱量材料を含み得る。AMR冷却器装置は、時間変動磁場を高状態及び低状態で第1のAMRベッドに印加するように構成された磁石と、入口端及び出口端を有する低温熱交換器(CHEX)と、入口端及び出口端を有する高温熱交換器(HHEX)と、熱伝達流体と、をさらに含み得る。AMR冷却器装置は、第1のAMRベッドに印加される時間変動磁場が高状態である場合、熱伝達流体の流れを第1のAMRベッドの低温端から第1のAMRベッドを通して第1のAMRベッドの高温端に方向付けるように構成された弁も含み得る。弁は、第1のAMRベッドに印加される時間変動磁場が低状態である場合、熱伝達流体の流れを、HHEXから、第1のAMRベッドの高温端へ、第1のAMRベッドを通して、第1のAMRベッドの低温端へ、及びCHEXを通して方向付けるようにさらに構成され得る。AMR冷却器装置は、CHEXの入口端を第1のAMRベッドの低温端に流体的に接続する第1の管をさらに含み得る。第1の管は、第1のAMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。AMR冷却器装置は、CHEXの出口端を第1のAMRベッドの低温端に流体的に接続する第2の管も含み得る。第2の管は、第1のAMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。AMR冷却器装置は、HHEXの入口端を第1のAMRベッドの高温端に流体的に接続する第3の管を含み得る。第3の管は、第1のAMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。AMR冷却器装置は、HHEXの出口端を第1のAMRベッドの高温端に流体的に接続する第4の管をさらに含み得る。第4の管は、第1のAMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。加えて、AMR冷却器装置は、第1のAMRベッド、CHEX、HHEX、弁、第1の管、第2の管、第3の管、及び第4の管を通して熱伝達流体を送るように構成されたポンプを含み得る。
【0009】
方法は、熱伝達流体を第1の管を通して第1の熱交換器(HEX)の第1の端部から能動型磁気再生(AMR)ベッドの第1の端部へポンプで注入することを含み得る。第1の管は、AMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。方法は、熱伝達流体を第2の管を通して第1のHEXの第2の端部へAMRベッドの第1の端部からポンプで注入することも含み得る。第2の管は、AMRベッドで2つ以上の副流路に分かれてもよい。第1の管及び第2の管の副流路は、AMRベッドで交互に配置されてもよい。
【0010】
方法は、時間変動磁場を第1の動作モードで能動型磁気再生(AMR)ベッドに印加することと、時間変動磁場を第2の動作モードでAMRベッドに印加することと、も含み得る。方法は、時間変動磁場が第1の動作モードであるとき、熱交換器(HEX)をAMRベッドの第1の端部に接続する第1の管を通して一方向の流れで熱伝達流体をポンプで注入することと、第2の動作モードでは第1の管を通して第2の一方向の流れで熱伝達流体をポンプで注入することと、を含み得る。第1の一方向の流れ及び第2の一方向の流れは、互いに反対であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1a】AMRサイクルを使用する磁気冷却器システムを示す。
図1b】AMRサイクルを使用する磁気冷却器システムを示す。
図1c】AMRサイクルを使用する磁気冷却器システムを示す。
図1d】AMRサイクルを使用する磁気冷却器システムを示す。
図2a】周期運動中かつ第1の位置にある磁石を用いる2ベッド磁気冷却システムにおけるAMRモード動作を例示する略図である。
図2b】周期運動中かつ第2の位置にある磁石を用いる2ベッド磁気冷却システムにおけるAMRモード動作を例示する略図である。
図3a】例示的実施形態に従って、配管において一方向の流れを用いて、周期運動中かつ第1の位置にある磁石を用いる2ベッド磁気冷却システムにおけるAMRモード動作を例示する略図である。
図3b】例示的実施形態に従って、配管において一方向の流れを用いて、周期運動中かつ第2の位置にある磁石を用いる2ベッド磁気冷却システムにおけるAMRモード動作を例示する略図である。
図4】例示的実施形態に従って、流体流がベッドホイールの回転によって作動される弁によって制御される回転ベッド能動型磁気再生器冷却器を例示する略図である。
図5】例示的実施形態に従って、各端部にプレナム領域を有するAMRベッドを示し、各プレナムが入口流及び出口流の両方を運搬する。
図6】例示的実施形態に従って、入口流及び出口流の分離を確実にする分流器を有するAMRベッドを示す。
図7】例示的実施形態に従って、図6のAMRベッドの流れのシミュレーションの結果を示す。
図8】例示的実施形態に従って、分流器ならびに互い違いの入口及び出口を有するAMRベッドを示す。
図9】例示的実施形態に従って、図8のAMRベッド内の流れのシミュレーションの結果を示す。
図10】例示的実施形態に従って、各入口及び出口が、流れをより均一に分布させるように交互に配置される11の副流路に分割される分流器を有するAMRベッドを示す。
図11】例示的実施形態に従って、図10と同様の構成のAMRベッド内の流れのシミュレーションの結果を示す。
図12a】例示的実施形態に従って、交互に配置される複数の副流路管に分割される入口管及び出口管を有するAMRベッドを示す。
図12b】例示的実施形態に従って、交互に配置される複数の副流路管に分割される入口管及び出口管を有するAMRベッドを示す。
図12c】例示的実施形態に従って、交互に配置される複数の副流路管に分割される入口管及び出口管を有するAMRベッドを示す。
図13a】例示的実施形態に従って、交互に配置される副流路指部に接続する入口チャネル及び出口チャネルを有するAMRベッドを示す。
図13b】例示的実施形態に従って、交互に配置される副流路指部に接続する入口チャネル及び出口チャネルを有するAMRベッドを示す。
図13c】例示的実施形態に従って、交互に配置される副流路指部に接続する入口チャネル及び出口チャネルを有するAMRベッドを示す。
図14a】例示的実施形態に従って、交互に配置される縦方向の副流路スロットに分かれるAMRベッドに近接する入口管及び出口管を有するAMRベッドを示す。
図14b】例示的実施形態に従って、交互に配置される縦方向の副流路スロットに分かれるAMRベッドに近接する入口管及び出口管を有するAMRベッドを示す。
図14c】例示的実施形態に従って、交互に配置される縦方向の副流路スロットに分かれるAMRベッドに近接する入口管及び出口管を有するAMRベッドを示す。
図15a】例示的実施形態に従って、下方の入口領域を通過する複数の副流路管でAMRベッドに接続する上方の入口領域を有するAMRベッドを示す。
図15b】例示的実施形態に従って、下方の入口領域を通過する複数の副流路管でAMRベッドに接続する上方の入口領域を有するAMRベッドを示す。
図15c】例示的実施形態に従って、下方の入口領域を通過する複数の副流路管でAMRベッドに接続する上方の入口領域を有するAMRベッドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
AMRベッドとその熱源(もしくは低温側熱交換器(CHEX))またはヒートシンク(もしくは高温側熱交換器(HHEX))との間の熱伝達流体の運搬のための改善されたシステムが本明細書に記載される。例示的実施形態では、AMRサイクルを実装するための1つの方法は、磁気熱量材料の扇形状のベッドをホイールアセンブリ内に配置し、さらに扇形状の磁石を使用して磁場をホイールの扇形状の区分に印加することである。磁気熱量材料ベッドは、流体流に浸透しやすい。流体流を運搬するベッド内の細孔は、固体マトリクス中の結合した多孔体もしくはチャネル、または粒子、プレート、もしくはスクリーンのいずれかの間の結合した隙間を含む、多くの異なる形態であり得る。
【0013】
例示的実施形態では、1組の弁及びポンプが設置され、流れがいずれかの方向でベッドを通して送られることを可能にする。ポンプは、時間式動作(time sequenced)弁を伴う連続して稼働するポンプであってもよく、またはポンプは、一方向弁を伴う往復ディスプレーサであってもよく、または代替の実施形態では、他の配置が使用されてもよい。AMR動作のため、ホイールが回転するか、または磁石が回転する。この回転は、ベッド上の磁場を変化させ、流れの方向がホイールまたは磁石の位置に同調して弁によって切り替えられることにより、流れがベッドを通して方向付けられる。
【0014】
AMRサイクルの早期実装は、米国特許第4,332,135号において見ることができ、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。AMRサイクルは、図1a〜1dに概略的に示されるように4段階を有する。図1a〜1dにおけるMRシステムは、磁気熱量材料(MCM)の多孔質ベッド190と、MCMベッド190を通って流れることによってMCMと熱を交換する熱伝達流体と、を含む。図1a〜1dでは、ベッドの左側が低温側であり、右側が高温側である。代替の実施形態では、高温側及び低温側は入れ替えられてもよい。流体流のタイミング及び方向(高温から低温または低温から高温)は、磁場の印加及び除去と協調し得る。実例として、磁石界(magnet field)は、永久磁石、電磁石、または超電導磁石によって提供され得る。
【0015】
AMRサイクルの実例である図1aでは、サイクルの第1の段階である磁化が生じる。MCMベッド190中の流体が停滞している間に、磁場192がMCMベッド190に印加され、MCMの温度が強磁性相転移の温度に近い場合、それを加熱させる。図1aの磁化段階では、4つの弁は全て閉じられ、MCMベッド190を通る流体流を阻む。4つの弁は、低温入口弁182、低温出口弁184、高温出口弁186、及び高温入口弁188を含む。図1bでは、サイクルの第2の段階である低温から高温への流れが生じる。MCMベッド190にわたって磁場192が維持され、流体は温度TCi(低温入口温度)で、低温側から高温側へMCMベッド190を通してポンプで注入される。低温入口弁182及び高温出口弁186は、この段階の間、MCMベッド190を通る流体の動きを促進するために開いている。この段階の間、低温出口弁184及び高温入口弁188は閉じている。流体はMCMベッド190の各区分から熱を取り除き、より高い温度でプロセスが継続するMCMベッド190の次の区分を通ることにより、MCMベッド190を冷却し、流体を温める。流体は、高温出口弁186を通ってMCMベッド190を退出する際、最終的に温度THo(高温出口温度)に達する。典型的には、この流体は、その熱を周囲環境に排気する高温側熱交換器(HHEX)194を通して循環する。図1cでは、第3の段階の脱磁が生じる。流体流は、低温入口弁182及び高温出口弁186が閉じると終結し、磁場192が除去される。この段階の間は、低温出口弁184及び高温入口弁188も閉じている。これは、MCMベッド190をさらに冷却させる。図1dでは、サイクルの最終段階である、高温から低温への流れが生じる。この最終段階の間、流体は温度THi(高温入口温度)で、継続して磁場192がない状態で、MCMベッド190を通して高温側から低温側へポンプで注入される。またこの段階では、低温出口弁184及び高温入口弁188は開いているが、低温入口弁182及び高温出口弁186は閉じている。流体は、MCMベッド190の各区分に熱を追加し、プロセスがより低い温度で継続するMCMベッド190の次の区分を通ることにより、MCMベッド190を温め、流体を冷却する。流体は、最終的に、サイクル中に流体が達する最低温度である温度TCo(低温出口温度)に達する。典型的には、このより冷たい流体は、冷却システムから熱を集める低温側熱交換器(CHEX)196を通して循環し、このシステムがその低温を維持することを可能にする。
【0016】
AMRサイクルの大きな利点は、K.L.Engelbrecht,G.F Nellis,S.A Klein,and C.B.Zimm,Recent Developments in Room Temperature Active Magnetic Regenerative Refrigeration,HVAC&R Research,13(2007)pp.525−542(以後、「Engelbrechtら」)に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。その利点とは、スパン(熱が排気される温度から熱が吸収される温度を引いたもの)が、磁場の印加時の磁気熱量材料の温度変化の絶対値(断熱性温度変化、Delta−Tad)よりもはるかに大きくなり得ることである。
【0017】
AMRサイクルの4つの段階の実行を完了するまでにかかる時間は、サイクル時間と称され、その逆数はサイクル周波数として既知である。MRシステムの温度スパンは、入口流体温度の差であり、THi−TCiと定義される。AMRサイクルは蒸気圧縮サイクルと類似しており、この場合、気体圧縮(気体を加熱させる)が磁化の役割を担い、気体の自由膨張(気体温度を低下させる)が脱磁の役割を担う。蒸気圧縮サイクルでは、熱伝達流体は、CHEX及びHHEXの相を変化させて、熱伝達を補助する。AMRサイクルのCHEX及びHHEXではそのような相変化が生じる必要はないが、水等の高い単相熱伝導係数を有する流体が使用され得る。図1a〜1dは単一ベッドMRシステムの動作を例示したが、代替の実施形態では、各々が同じAMRサイクルを経る複数のベッドが、冷却力を上昇させるため、システムの大きさを低減させるため、さもなければAMRサイクルの実装を改善するために、単一システム内で組み合わせられてもよい。
【0018】
図2a及び2bは、2つのAMRベッドを有するAMRサイクルの例示的実施形態を示す。図2a及び2bでは、MCMの温度は、常磁性から強磁性転移に近いことも想定され、この場合、MCMは、磁場が印加されると温かくなり、磁場が除去されると冷たくなる。反強磁性転移に近い温度でMCMを使用することも可能であり、この場合、AMRサイクルは同様の様式で動作するが、MCMは、磁場が印加されると冷たくなり、磁場が除去されると温かくなる。
【0019】
図2aにおいて、ポンプ1は、高温側熱交換器(HHEX)2を通して高温出口温度Thoで熱伝達流体(HTF)を送り、ここでHTFは、熱を周囲に放出し、高温入口温度Thiまで冷える。HTFは、高温入口弁3に入る。高温入口弁3は、HTFを管15及び18を通して、磁石9の外側の位置11に隣接する脱磁状態である磁気熱量材料(MCM)の多孔質ベッド4の高温端に方向付ける。HTFは、MCMベッド4を通って流れることにより低温出口温度Tcoまで冷却され、管22を通して低温側熱交換器(CHEX)6に方向付けられ、ここでHTFは、負荷から熱を吸収し、低温入口温度Tciまで温まる。流体は、管24を通して、磁化状態である磁石9の内部にあるMCMの多孔質ベッド8の低温端に方向付けられる。MCMベッド8は、現在磁石9で占められている位置20に隣接して磁化状態である。HTFは、MCMベッド8を通って流れることにより温度Thoまで温められ、管26及び13を通して高温出口弁10に方向付けられ、流体サイクルを完了する。一定時間Tbの後、磁石9をMCMベッド8及び位置20から取り外して、MCMベッド4に、及び位置11内に移動し、弁10及び3を交換し、図2bに示される状況を作り出す。再び、ポンプ1は、HHEX2を通して温度Thoで熱伝達流体(HTF)を送り、ここでHTFは、熱を周囲に放出し、温度Thiまで冷える。HTFは、高温入口弁3に入る。高温入口弁3は、HTFを管17及び26を通して、磁石9の外側の位置20に隣接する脱磁状態であるMCMベッド8の高温端に方向付ける。HTFは、MCMベッド8を通って流れることにより温度Tcoまで冷却され、管24を通してCHEX6に方向付けられ、ここでHTFは、負荷から熱を吸収し、温度Tciまで温まる。次いで、HTFは、管22を通して、現在位置11を占めている磁石9の内部にある磁化状態であるMCMベッド4の低温端に方向付けられる。HTFは、MCMベッド4を通って流れることにより温度Thoまで温められ、管18及び19を通して高温出口弁10に方向付けられ、流体サイクルを完了する。一定時間Tbの後、磁石9を再び位置11及びMCMベッド4から取り外して、位置20及びMCMベッド8に戻し、弁10及び3を交換し、再び図2aに示される状況を作り出す。
【0020】
図2a及び2bに示される2つの流れの周期は、弁の交換ならびにMCMベッド8からMCMベッド4へ、及び再びMCMベッド8へ戻す磁石9の移動と共に、1つのAMRサイクルを構成する。
【0021】
実質的な温度スパンにわたって熱を輸送する冷却器としてAMRサイクルの効率的な動作は、2方向での流れがMCM材料全体を通して均衡であること、つまり、サイクル中の低温から高温への総流量が後続の高温から低温への総流量と同じ規模であることを必要とする。MCMは、通常は流体流に浸透性であるベッド(AMRベッド)の形態であり、実質的な磁気熱量効果を生むために磁場の大きな変化に供されなければならない。大きな磁場は、1つ以上の高価な高磁界磁石によって発生させることができる。磁化されたベッドと接続する任意のHEXは、高磁場領域の多くを消費しないように、磁石のエアギャップの外側に位置するべきである。次にHEXは、ある長さの配管でAMRベッドに繋げられ得る。AMRに対する熱源及びシンクの位置に関する実施上の懸念点は、非常に長い配管の導管に関与することがある。一例は、大型ビルの空調装置であり、HHEXはビルの屋上にある場合があり、複数のCHEXがビルの至る所に位置し得る。
【0022】
AMR型磁気冷却器内の流体流の説明に有用なパラメータは利用率であり、これは、AMRベッド内のMCMの熱容量に対する、2分の1のサイクル中にAMRベッドを通って流れる流体の熱容量の比率である。流体質量流量f、半サイクルにおける流れ時間T、MCM質量m、MCM平均比熱容量Cpm、流体比熱容量Cpfに対して、利用率は以下の通りである。
方程式1:U=(fT Cpf)/(m Cpb
【0023】
利用率が2よりもはるかに大きい場合、再生器として稼働しているAMRベッドは、大きい温度スパンを支持することができない。反対に、利用率が0.1よりもはるかに小さい場合、1サイクル当たりの冷却負荷は比較的低く、磁場の変化及び流れの反転に関連付けられる摩擦損失は、AMRベッドの潜在的な冷却負荷の大部分を使い尽くす。
【0024】
低密度の気体状熱伝達流体が使用される場合、低密度の気体状熱伝達流体の熱容積は固体磁気熱量材料の熱容積よりもはるかに少ないため、2分の1のサイクル中にAMRベッド(複数可)を通して移動する流体の体積(行程体積)は、好適な利用率でのAMRベッド(複数可)の体積よりもはるかに大きくなり得る。実質的な冷却力が必要とされる場合、AMRベッドを通した熱伝達流体の必要とされる高体積の移動における流動損失は大きくなり、AMRの効率を大きく低減する。この問題の解決策は、水等の高熱容積を有する液体の熱伝達流体を使用することである。しかしながら、この場合、好適な利用率での行程体積は、AMRベッドの体積と同位になり、さらにAMRベッドをHEXに接続する配管の体積とも同位になる。
【0025】
行程体積が配管の体積よりもそこまで大きくなく、双方向の流れを伴う単一の管がHEXをAMRベッドに繋げる場合、その管内を流れる流体の大部分は、HEX及びAMRベッドの両方への実質的な曝露を経ず、このため、AMRベッドとHEXとの間で熱を効果的に伝達しない。このタイプの損失は、一般的に、シャトル損失またはデッドボリューム損失と称される。例えば、行程体積が図2aの管24の体積よりも少ない場合、ベッド8が磁化されるとき、最初にCHEX6内にある流体は、流体流周期の終了までにベッド8に達せず、このため熱をベッド8に伝達しない。配管デッドボリュームの悪影響を低減するための方法は、米国特許第5,934,078号(Reciprocating active magnetic regenerator refrigeration apparatus)において、及びその特許に基づくデバイスに関する論文(C.Zimm,A.Jastrab,A.Sternberg,V.Pecharsky,K.Gschneidner,Jr.,M.Osborne,and I.Anderson,“Description and Performance of a Near−Room Temperature Magnetic Refrigerator”,Advances in Cryogenic Engineering,43,pp.1759−1766(1998)、以後Zimm,Jastrabら)において考察されている。その概念に対するさらなる改良点は、米国特許第6,526,759号(Rotating bed magnetic refrigeration apparatus)において、及びその特許に基づくデバイスに関する論文(C.Zimm,A.Boeder,J.Chell,A.Sternberg,A.Fujita,S.Fujieda,and K.Fukamichi,“Design and Performance of a Permanent Magnet Rotary Refrigerator”,International Journal of Refrigeration,Vol.29,pp.1302−1306(2006)、以後Zimm,Boederら)に記載された。この方法とは、AMRベッドの一端とHEXとの間に2つの管を提供し、第1の管内の流体をHEX出口からAMRベッドへ単一方向でのみ流れるようにし、第2の管内の流体をAMRベッドからHEX入口へ単一方向でのみ流れるようにする弁または他の構成要素を使用することである。この一方向の管の流れの場合、HEXを通過する全ての流体が、最終的に第1の管も通過してAMRベッドに達し、HEXへの途中でAMRベッドを退出する全ての流体が、第2の管及びHEXを通過する。
【0026】
図3a及び3bは、2つのAMRベッド及び配管内の一方向の流れを有するAMRサイクルの例示的実施形態を示す。図3aにおいて、ポンプ1は、高温側熱交換器(HHEX)2を通して高温出口温度Thoで熱伝達流体(HTF)を送り、ここでHTFは、熱を周囲に放出し、高温入口温度Thiまで冷える。HTFは、高温入口弁3に入る。高温入口弁3は、管15を通して、磁石9の外側の位置11に隣接する脱磁状態である磁気熱量材料(MCM)の多孔質ベッド4の高温端にHTFを方向付ける。HTFは、MCMベッド4を通って流れることにより低温出口温度Tcoまで冷却され、管23を通して低温出口弁5に方向付けられる。低温出口弁5は、HTFを低温側熱交換器(CHEX)6に方向付け、ここでHTFは、負荷から熱を吸収し、低温入口温度Tciまで温まる。流体は、低温入口弁7に入り、管25を通して、磁化状態である磁石9の内部にあるMCMの多孔質ベッド8の低温端に方向付けられる。MCMベッド8は、現在磁石9で占められている位置20に隣接して磁化状態である。HTFは、MCMベッド8を通して温度Thoまで温められ、管13を通して高温出口弁10に方向付けられ、流体サイクルを完了する。一定時間Tbの後、磁石9をMCMベッド8及び位置20から取り外して、MCMベッド4上に、及び位置11内に移動し、弁10、3、5、及び7を交換し、図3bに示される状況を作り出す。再び、ポンプ1は、HHEX2を通して温度Thoで熱伝達流体(HTF)を送り、ここでHTFは、熱を周囲に放出し、温度Thiまで冷える。HTFは、高温入口弁3に入る。高温入口弁3は、管17を通して、磁石9の外側の位置20に隣接する脱磁状態であるMCMベッド8の高温端にHTFを方向付ける。HTFは、MCMベッド8を通って流れることにより温度Tcoまで冷却され、管29を通して低温出口弁5に方向付けられる。低温出口弁5は、HTFをCHEX6に方向付け、ここでHTFは、負荷から熱を吸収し、温度Tciまで温まる。HTFは、低温入口弁7に入り、管27を通して、現在位置11を占めている磁石9の内部の磁化状態であるMCMベッド4の低温端に方向付けられる。HTFは、MCMベッド4を通して温度Thoまで温められ、管19を通して高温出口弁10に方向付けられ、流体サイクルを完了する。一定時間Tbの後、磁石9を再び位置11及びMCMベッド4から取り外して、位置20及びMCMベッド8に戻し、弁10及び3を交換し、再び図3aに示される状況を作り出す。図3a及び3bに例示される管13、15、17、19、23、25、27、及び29の各々に関して、流れは一方向でのみ生じる。
【0027】
転移領域は、熱交換器からベッドへの配管内の一方向の流れと、AMRベッド内の双方向の流れとの間に生じる。米国特許第5,934,078号では、熱交換器からの一方向の配管は、環状ベッドの内側半径で中央内腔を有する4つの区分で構成された(米国特許第5,934,078号の図4及び6)。一方向の流れから双方向の流れへの転移は、AMRベッドのすぐ外側で生じた。この配置は、低いデッドボリュームを有するが、低温HEXからの流れの大部分は、低温HEXへ進むためにその後ベッドから退出する流れとは異なる位置でベッドに入った。同様に、高温HEXからの流れの大部分は、高温HEXへ進むためにその後ベッドから退出する流れとは異なる位置でベッドに入った。結果として、入口及び出口に近接するAMRベッドの部分は、一方向でのみ流れに曝された。一方向のみの流れを受けるAMRベッドの領域は、AMRサイクルを正確に経ず、このためデバイスの冷却力に寄与しなかった。第2の問題は、ベッドの端部に近接した各方向での一方向の流れが、ベッドの端部に近接する領域の一部分にのみ集中し、このため単位断面積当たりより速い流速で流れ、はるかに高い圧力低下損失を生み、デバイス効率を低減させることであった。
【0028】
米国特許第6,526,759号では、流量の分布領域が、一対の一方向の低温流管とベッドの低温端との間の転移領域に追加された(米国特許第6,526,759号の図2の項目41)。以後プレナムと称される流量分布領域の導入は、低温HEXから流体を受容するベッドの入口領域が、低温HEXに流体を供給するベッドの退出領域と同じであることを確実にする。この配置は、AMRベッド全体を通して双方向の流れを可能にし、ベッドの端部領域における圧力低下を低減させるが、デバイスのプレナム内にデッドボリュームを作り出す。
【0029】
米国特許第5,934,078号及び同第6,526,759号に示されるデッドボリューム問題を解決するための手法は、デッドボリュームの大きさを一方向の流れを被るAMRベッドの領域の大きさと交換した。これらの特許に記載されている初期デバイスの両方において、各AMRベッドの内部の合計流路は比較的長く、米国特許第5,934,078号に記載されているデバイスでは10cmであり、米国特許第6,526,759号に記載されているデバイスでは6cmである。両方の場合において、ベッド内の流路の長さは、ベッドの幅よりも大きかった。ベッドの幅に対するベッド内の流路の長さの比率であるアスペクト比は、両方のデバイスにおいて2よりも大きかった。このため、ベッド内部の一方向の流域の大きさ、またはベッドの入口におけるプレナムの大きさは、これらの過去のデバイスでは比較的小さいことがあった。磁気熱量材料の一単位質量当たりのより高い冷却力(より高い比冷却力)を有するより費用効果が高いAMRデバイスを得ることは、AMRベッド内のより速い流速及びより短い流路を伴い、それらは、AMRベッド内のデッドボリューム及び一方向の流域の両方の悪影響をより深刻にする。このため、以前の方法は、将来の高比冷却力AMRデバイスに適切ではない場合がある。
【0030】
実例では、図4は、磁場によって回転するホイールアセンブリ内にMCM材料のベッドが配置されたAMRサイクルの実施形態を示す。磁気冷却器93は、磁気熱量材料72を含有する回転ベッド71を含む。ベッド71が磁石73の隙間内で回転すると、磁場が印加される。ポンプ70は、熱伝達流体74の流れを、高温熱交換器75を通して高温固定子ディスク77上の内側スロット76内に送る。次いで流体は、回転高温ディスク79内の1組の内孔78を通過し、流体をベッド71の部分に運搬する高温流体入口管80に入り、高温流体入口管80は、磁石73の外側にあり低磁場である。流体は、低磁場である磁気熱量材料72の部分を通過し、次いで、流体を回転低温ディスク83内の内孔82に運搬する低温出口管81を通ってベッドを退出することによって冷却される。次いで流体は、低温固定子ディスク85内の内側スロット84を通過し、低温熱交換器86を通って低温固定子ディスク85内の外側スロット87に流れる。次いで流体は、低温回転ディスク83内の外孔88を通って、流体をベッド71の部分に運搬する低温入口管89に流れ、低温入口管89は、磁石73内にあり高磁場である。流体は、高磁場である磁気熱量材料72の部分を通過し、次いで、流体を回転高温ディスク79内の外孔91に運搬する高温出口管90を通ってベッドを退出することによって温められる。次いで流体は、高温固定子ディスク77内の外側スロット92を通過し、ポンプ70に流れる。
【0031】
磁場の変化に同調したベッドを通る流れの周期的な反転は、AMRサイクルの熱ポンプ注入能力を可能にするものである。場の存在下におけるベッドの低温側から高温側への流れは、熱をHHEXに送り、場の不在下におけるベッドの高温側から低温側への流れは、熱をCHEXから取り除く。磁場の変化は、磁石によって提供され、磁石の質量は高磁場の領域の体積に比例しなければならない(参照、S.L.Russek and C.B.Zimm,Potential for cost effective magnetocaloric air conditioning systems,International Journal of Refrigeration,Volume 29,Issue 8,December 2006,Pages 1366−1373,(以後、「Russekら」))。AMR型の磁気冷却器の推定費用は、磁石が大半を占め、磁石の費用はその質量に比例する(Russekら)。AMRベッドは、AMRサイクルを経るために磁石の高磁場領域を通過する。しかしながら、高磁界領域の体積及び磁石の費用を最小限にするために、CHEX及びHHEXを高磁場の領域の外側に位置付けることが有利である。熱交換器が磁場の外側に位置し、ベッドが磁場を通過する場合、配管を用いてベッドとHEXとの間で流体を運搬する。例えば、図4では、磁気熱量ベッドとHEXとの間で流体を運搬するために管80、81、89、及び90が提供される。
【0032】
図5は、図4の構成と類似の構成のAMRサイクルの実施形態のMCMベッド及び関連する配管のさらなる詳細を示す。高温入口管80は、上から降下し、AMRベッド71の上側に接続する上部プレナム102で終結する。一実施形態では、AMRベッド71は、0.2未満の平均アスペクト比(幅で除した流長)を有する。高温出口管90も上部プレナムに接続し、上部プレナムから上昇する。低温入口管89は、下方から上昇し、AMRベッド71の底部側に接続する下部プレナム106で終結する。低温出口管81も下部プレナム106に接続され、下部プレナム106から降下する。上部プレナム102及び下部プレナム106が十分な深度を有する場合、管80からの入口流及び管81からの出口流は、高温から低温への流れの間、AMRベッド71の上面及び底面全体にわたって分布し、このためAMRベッド71はかなり均一な高温から低温への流れを経る。同様に、流れが反転すると、管89及び90からの流れはAMRベッドの底面及び上面全体にわたって分布し、このためAMRベッド71はかなり均一な低温から高温への流れを経る。しかしながら、高温から低温への流れの最後に下部プレナム106内に残される流体は、低温HEXを通過せず、熱を吸収する。代わりに流体は、低温から高温への流れの間にAMRベッド71内に直接押し上げられるか、または低温HEXを出る流体と混合され、次いでAMRベッド71に押し上げられる。同様に、低温から高温への流れの最後に上部プレナム102に残される流体は、高温HEXを通過しない。代わりに流体は、高温から低温への流れの間にAMRベッド71内に押し下げられるか、または高温HEXを出る流体と混合され、次いでAMRベッド71に押し下げられる。このデッドボリューム効果は、デッドボリューム効果を埋め合わせるためにどのシステムパラメータが調整されるかに応じて、冷却力、または温度スパン、またはAMRシステムの効率を低減する。図5のアセンブリの場合のようにベッドのアスペクト比が低い場合、デッドボリューム領域は、行程体積と比べて比較的大きくなり、このためデッドボリューム効果は、低アスペクト比のAMRシステムの性能に深刻な影響を与える。
【0033】
図6は、図5と同様の幾何学的配置であるが、障壁部品111及び112が、上部プレナム及び下部プレナムであった所に挿入され、プレナムの各々を2つの別個のチャネルに分割する。高温入口管80は、上から降下し、AMRベッド71の上部左側に接続する高温入口チャネル114で終結する。低温出口チャネル116は、AMRベッド71の底部左側に接続し、低温出口チャネル116よりも下の低温出口管81にも接続する。低温入口管89は、下方から上昇し、AMRベッド71の底部右側に接続する低温入口チャネル119で終結する。高温出口チャネル110は、AMRベッド71の上部右側に接続し、高温出口チャネル110から上昇する高温出口管90にも接続する。
【0034】
有限要素流体流モデルは、図6の幾何学的配置から構築され、生じるべき流体流は、水の粘度及び密度を有する非圧縮性流体に対するナビエ−ストークス方程式に従って決定された。図7は、底部右側の低温入口管から入り、14mmの高さのAMRベッドを通って流れ、上部右側の高温出口管から退出する流れの事例に対する計算結果を示す。一方の平面がベッドの上部よりも2mm下にあり、他方がベッドの底部の2mm上にある、ベッド内部の2つの平面を横断する流れの強度が示される。代替の実施形態では、異なる寸法が使用されてもよい。上部プレナム及び下部プレナムを入口領域及び出口領域に分割することによって、デッドボリューム効果が大幅に低減される。しかしながら、図7のベッド内部の流れの強度の検査をすると、ベッドの右側が、低温から高温への流れの大部分を経て、それに応じて次の半サイクルでは、ベッドの左側が、高温から低温への流れの大部分を経ることが明らかである。図6の障壁部品111及び112を通り抜ける中心面に近接していないベッドの部分は、AMRサイクルを実行するのに必要とされる正確に均衡のとれた双方向の流れを経ない。この効果は、ベッドの長さがベッドの幅よりも短い場合、最も深刻であり、ベッドを組み込むAMRシステムの性能(埋め合わせるためにどのシステムパラメータが調整されるかに応じて、冷却力または温度スパンまたは効率)の大きな低下をもたらす。加えて、一方向のみの流れを示す入口及び出口に近接する領域は、流れがより小さい区域にわたって集中するため、より高い最大流量も受け、このため、より高い圧力低下を被る。
【0035】
図8は、プレナムの各々を2つの別個のチャネルに分割する、上部プレナム及び下部プレナムであった所に挿入される障壁部品111及び112を有する、図5と同様の幾何学的配置である。この場合、入口及び出口は、ベッドの両側に対して互い違いである。高温入口管80は、上から降下し、AMRベッド71の上部右側に接続する高温入口チャネル114で終結する。低温出口チャネル116は、AMRベッド71の底部左側に接続し、低温出口チャネル116よりも下の低温出口管81にも接続する。低温入口管89は、下方から上昇し、AMRベッド71の底部右側に接続する低温入口チャネル119で終結する。高温出口チャネル110は、AMRベッド71の上部左側に接続し、高温出口チャネル110から上昇する高温出口管90にも接続する。
【0036】
有限要素流体流モデルは、図8の幾何学的配置から構築され、生じるべき流体流は、水の粘度及び密度を有する非圧縮性流体に対するナビエ−ストークス方程式に従って決定された。図9は、上部右側の高温入口管から入り、AMRベッドを通って流れ、底部左側の低温出口管を退出する流れの事例に対する、一方が上部から2mmであり、他方が底部から2mmである2つの水平面のための14mmの高さのベッドに対する計算結果を示す。代替の実施形態では、異なる寸法が使用されてもよい。
【0037】
図7及び9の流れの領域を比較すると、ベッドの両側に対して入口領域及び出口領域を互い違いにすることは、正確に均衡のとれたAMR流を経る領域を増加させることが明らかであり、これは、互い違いではない場合よりもベッドの性能を上昇させる。しかしながら、ベッドの上部左側及び底部右側に近接する領域よりも図9でより速い流れを示す図8のベッドの障壁部品111及び122に近接するベッドの領域では、著しい流れの不均一性が依然として生じる。反対方向で流れが生じるとき、障壁部品111及び122に近接するベッド内で同様の流量過多が出現し、ベッドの上部右側及び底部左側で流量不足が出現する。実質的に一方向のみで流れを示すベッドの領域は、AMRサイクルを適切に実行せず、このため、デバイスの性能への寄与を低下させる。加えて、より小さい区域にわたって集中するより高い最大流量を示すベッドの入口及び出口に近接する領域は、より高い圧力低下を被る。しかしながら、障壁部品111及び112による入口流及び出口流の分離は、デッドボリューム効果を実質的に低減させる。入口チャネルに入る流れの大部分はHEXから生じ、続いてAMRベッドに入る。出口チャネルに向けてAMRベッドを出る流れの大部分は、続いてHEXに達する。
【0038】
図10は、図5、6、及び8のものと類似の流れの配置を示すが、各入口及び出口チャネルは副流路に分かれ、11個の別個のスロットにおいてAMRベッド71に接続する。代替の実施形態では、異なる数のスロットが使用されてもよい。流れの分離及び分布は、図6及び8において使用された障壁部品の代替である流れ挿入部122、123によって達成される。AMRベッド71の上部の11個の入口スロット124及び11個の出口スロット125は交互に配置され、ベッド71の底部の11個の入口スロット126及び11個の出口スロット127も交互に配置される。各スロットは、ベッド71の右側及び左側の両方にわたって延在する。高温入口管80は、上から降下し、AMRベッド71の右部分にわたって延在して11個のスロット124に接続する高温入口チャネル114で終結し、高温入口チャネル114は、入口チャネル114の下壁を通してAMRベッド71の上部右側に、及び高温出口チャネル110の下でスロットの続きを通してAMRベッド71の左側に接続する。低温出口チャネル116は、11個のスロット127を介して、出口チャネル116の上壁を通してAMRベッド71の底部右部分に、及び低温入口チャネル112の下でスロットの続きを通してAMRベッド71の左側に接続し、低温出口チャネル116よりも下の低温出口管81にも接続する。低温入口管89は、下方から上昇し、低温入口チャネル112で終結し、低温入口チャネル112は、AMRベッド71の左部分の下に延在し、チャネル112の上壁内の11個のスロット126を介して、AMRベッド71の底部左側部分に接続し、低温出口チャネル116の下のスロットの続きを通してAMRベッド71の底部右部分に接続する。高温出口チャネル110は、チャネル110の下壁に割り込む11個のスロット125を介してAMRベッド71の上部左側に、及び高温入口チャネル114の下のスロット125の続きを通してAMRベッド71の上部右側に接続し、高温出口チャネル110から上昇する高温出口管90にも接続する。
【0039】
有限要素流体流モデルは、図10のものと類似の交互に配置されたスロット構成を有する幾何学的配置から構築され、生じるべき流体流は、水の粘度及び密度を有する非圧縮性流体に対するナビエストークス方程式に従って決定された。図11は、高温入口管(図10の80)に入り、14mmの長さのAMRベッド71を通って流れ、低温出口管81を退出する流れに対応する事例に対する、一方が上部から2mmであり、他方がベッドの底部から2mmである2つの水平面を横断する流れの強度の計算結果を示す。
【0040】
図11の事例に関して、複数の低温入口スロットまたは複数の高温出口スロットに非常に近接するベッドの領域は、一方向のみ、すなわち高温から低温への若干多い流れを経るだろうことが予想されるだろう。しかしながら、流れのバラツキの量は、ベッドの端部と流れを示す平面との間の2mmの距離において、既に非常に小さい違いまで低下されている。実質的に一方向のみの流れを示すベッドの領域による性能の損失は、これらの領域が非常に小さい体積を有するため、非常に小さい。加えて、入口スロット及び出口スロットに近接する集中した流れの領域の深度は非常に限定されているため、圧力低下の上昇はごくわずかである。さらに、流れ挿入部品122及び123による入口流及び出口流の分離は、デッドボリューム効果を低減させる。入口スロットに入る流れの大部分は、HEXから生じ、続いてAMRベッドに入る。出口スロットに向けてAMRベッドを出る流れの大部分は、続いてHEXに達する。
【0041】
12個のAMRベッドを有するAMR型磁気冷却器が、図4に示される構成を使用して、図5に示されるAMRベッド入口及び出口の幾何学的配置を用いて構築された。CHEXとHHEXとの間の配管中の流れは、実質的に一方向であったが、入口流及び出口流は、図5に示される上方プレナム102及び下方プレナム106において混合され得る。毎分15リットルの流体流速で、冷却器は、24.2Cのスパンで499.8ワットの冷却力を生み出した。次いで、図10に示される入口及び出口の幾何学的配置を作り出すために、分流器がプレナム102及び106内に挿入された。流れ挿入部122及び123は、入口流及び出口流を分離するように設計された。毎分15リットルの同じ流体流速及び24.4Cの実質的に同じ温度スパンで、冷却力は611.7ワットまで22%上昇した。
【0042】
図10は、入口流及び出口流を分離する2つ以上の交互に配置された副流路に分かれるAMRベッドに近接する入口管及び出口管の一例を示す。入口流及び出口流の分離は、デッドボリューム損失を防ぎ、複数の交互に配置された副流路は、集中したまたは一方向の流れの領域を最小化することによって、AMRベッド内のより良好な流量分布を可能にする。適切な流れの分離及び適切な流量分布を達成するための入口及び出口の幾何学的配置を構成する複数の方法が存在する。他の例が、以下でより詳細に考察される。以下の図12、13、14、及び15では、AMRベッドの一方の端部(高温端等)における構造のみが示される。同様の構造が、AMRベッドの他方の端部(低温端等)に設置されるべきである。
【0043】
図12a、12b、及び12cは、入口流及び出口流を分離するAMRベッドに近接する入口管及び出口管の第2の例を示す。図12aは透視側面図であり、図12bは実側面図であり、図12cは、図12aに示される平面A−Aで切り取られた断面である。HEXからAMRベッドに流れを運搬する主要入口管131は、副管132の形態であるいくつかのより小さい副流路に分かれ、その各々はAMRベッド133に接続する。AMRベッドからHEXに流れを運搬する主要出口管134は、副管135の形態であるいくつかのより小さい副流路に分かれ、その各々はAMRベッド133に接続する。任意に、副管132及び135は、AMRベッド133に接続する前に複数のより小さい副管にさらに分かれてもよい。入口副管132及び出口副管135は交互に配置され、AMRベッド133のほぼ全てにわたって双方向の流れが発達するように流れを分布させる。管及び副管の配置は、最良の流量分布及び最小の圧力低下を得るためにフラクタル幾何学的配置に近づいてもよい。
【0044】
図13a及び13bは、入口流及び出口流を分離するAMRベッドに近接する入口管及び出口管の第3の例を示す。図13aは上面図であり、図13bは、図13aに示される平面A−Aで切り取られた断面である。入口管141は、左側の入口チャネル142に接続し、左側の入口チャネル142は、入口チャネル142及び入口管141と実質的に垂直である入口指部143の形態で副流路に接続する。出口管144は、出口指部146の形態で副流路に接続する右側の出口チャネル145に接続する。入口指部143及び出口指部146は交互に配置され、AMRベッド147のほぼ全てにわたって双方向の流れが発達するように流れを分布させる。
【0045】
磁石ギャップ内の空間は重要であるため、AMRベッドカバープレート、及び流れ分離器を含有するプレナム領域の両方の必要とされる体積を最小化することは有益である。図13cでは、指状の流路が、複数の扇形状のAMRベッド150を覆う同質のカバープレート148に割り込んでいる。入口管141は、入口指部143の形態で副流路に接続する入口チャネル142に接続する。出口管144は、出口指部146の形態で副流路に接続する出口チャネル145に接続する。アセンブリは、カバープレート148内のリリーフ副流路143及び146によって提供される流量分布を有する構造機能及び流体機能の両方に役立つ。カバープレートを終結させる平らな表面は、扇形状のMCMベッド150の真下に位置することが意図され、円形の通路は流れのための効率的な導管として機能する。流体流の結果として流路内に内圧が生じ、流れを運搬する配管及び副流路の歪みをもたらすことがある。解放された流れの副流路143及び146の間に残される流れ分割障壁149は、リブ付きのベッド構造に典型的な様式で歪みに対してカバープレート148を硬化させるというさらなる目的に役立つ。
【0046】
図14a、14b、及び14cは、入口流及び出口流を分離するAMRベッドに近接する入口管及び出口管の第4の例を示す。図14aは、上位で取られた上面図であり、図14bは、下位で取られた上面図であり、図14cは、図14bに示される平面A−Aで切り取られた断面である。入口管151は、横道の主要入口チャネル152、及びAMRベッド154の上の入口指部153の形態の縦方向の副流路に接続する。指部153は、AMRベッド154の上方側に接続する。出口管155は、入口チャネル152の上及びAMRベッド154の上の横道の主要出口チャネル156に接続する。出口チャネル156は、入口指部153の間を通る出口指部157の形態の縦方向の流路に接続し、AMRベッド154の上方側に接続する。指部153は、ベッド154内に流れを運搬し、指部157は、AMRベッド154の外に流れを運搬する。入口指部153及び出口指部157はベッド154で交互に配置され、AMRベッド154のほぼ全てにわたって双方向の流れが発達するように流れを分布させる。
【0047】
図15a、15b、及び15cは、入口流及び出口流を分離するAMRベッドに近接する入口管及び出口管の第5の例を示す。出口管161は、AMRベッド163に近接する上方出口プレナム162内に広がり、入口管164は、AMRベッド163と入口プレナム162との間の下方入口プレナム165内に広がる。出口プレナム162は、出口プレナム162の下面にわたって広がり、入口プレナム165を通過する複数の管166の形態の副流路によってベッド163に接続される。入口プレナム165は、入口プレナム162からの管166の間の区域167内の副流路内においてAMRベッド163の低温端に接続する。入口領域166及び出口領域167は交互に配置され、AMRベッド163のほぼ全てにわたって双方向の流れが発達するように流れを分布させる。
【0048】
汚染粒子の蓄積が、分離された入口流及び出口流を用いる延長動作中にAMRベッドの表面上に生じ得る。入口からベッドにかけてAMRシステム内の圧力を観察し、圧力の上昇時、流れの方向を短時間にわたり反転して、AMRベッドから生じる流れをフィルタに方向付けるという、この問題の解決策が発見されている。AMRベッドの入口表面上に留まる粒子は、反転された流れによって押し退けられ得、フィルタによって取り除かれ得る。流れの方向の反転は、正方向の圧力低下がその初期値を20%超えて上昇したときに実行されてもよく、100のAMRフローサイクルにわたって続けられてもよい。
【0049】
文章では「管」という用語を使用し、図のいくつかは本発明の構成要素間で流体流を運搬する管を示すが、構成要素間で流体を運搬する任意の好適な導管が使用されてもよい。例えば、導管は、射出成形されたアセンブリ中の流体流路であってもよく、または導管は付加製造によって作られたアセンブリ中の流体流路であってもよく、または導管は従来の管であってもよい。
【0050】
例示的な実施形態を説明するために1つ以上のフロー図及び/またはブロック図が使用された。任意のフロー図の使用は、実施される動作の順序に対する制限であることを意図していない。例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明のために提示された。開示される正確な形態に関して包括的または制限であることを意図するものではなく、修正及び変形が、上述の教示を踏まえて可能であるか、または開示される実施形態の実践から得ることができる。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義されることが意図される。
図1a-d】
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
図14c
図15a
図15b
図15c