特許第6357284号(P6357284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357284壁面近接型家具部材用リクライニング機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357284
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】壁面近接型家具部材用リクライニング機構
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/035 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   A47C1/035
【請求項の数】38
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-548868(P2017-548868)
(86)(22)【出願日】2016年3月8日
(65)【公表番号】特表2018-512206(P2018-512206A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016021361
(87)【国際公開番号】WO2016148983
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2018年2月26日
(31)【優先権主張番号】14/660,144
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591136377
【氏名又は名称】レイジーボーイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LA−Z−BOY CHAIR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル リチャード イー
(72)【発明者】
【氏名】コール ユージーン オウ セコンド
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−70787(JP,A)
【文献】 特開2008−132141(JP,A)
【文献】 米国特許第5312153(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0140855(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/070585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/02 − A47C 1/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具部材であって、
前部と後部の間を平行に延出する一対のレールを備え、前記レールはそれぞれ、トラックと、このトラックの前端に少なくとも部分的に挿入されるストッパプラグを備えるベースアセンブリと、
ベースフレームと、背もたれフレームと、座部フレームを備え、前記背もたれフレームは前記ベースフレームに回転可能に連結され、前記座部フレームは、前記背もたれフレームが回転すると、これに対応して前記座部フレームが前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームに対して動くように、前記背もたれフレームに可動に連結されるフレームアセンブリと、
前記ベースフレームを支持すると共に前記座部フレームに連結され、駆動リンクと側板を備える傾斜機構とを備え、
前記駆動リンクと前記側板は、前記背もたれフレームが前記ベースフレームに対して回転すると、前記トラックに沿って摺動して前記ベースフレームが前記ベースアセンブリに対して移動するように、前記トラックに摺動可能に係合し、
前記側板はそれぞれ、前記背もたれフレームがフルリクライニング位置にある時、前記ストッパプラグの一つに接触する軸受を備え
一対のベースストッパ部材が前記ベースフレームに固定され、前記ベースストッパ部材は、前記背もたれフレームが前記フルリクライニング位置にある時は前記ストッパプラグから離間し、前記背もたれフレームが直立位置にある時は前記ストッパプラグに当接する
ことを備えることを特徴とする家具部材。
【請求項2】
請求項に記載の家具部材であって、
サイドストッパ部材が前記ベースストッパ部材のそれぞれに固定され、
前記サイドストッパ部材と前記トラック間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限されることを特徴とする家具部材。
【請求項3】
請求項に記載の家具部材において、
前記ベースストッパ部材はそれぞれL字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備え、
前記第一脚部および第二脚部は共に、対応する前記ストッパプラグに接触することを特徴とする家具部材。
【請求項4】
請求項1に記載の家具部材であって、前記ベースフレームは、前記ベースアセンブリに対して移動するにつれて、前記ベースアセンブリに対して傾斜することを特徴とする家具部材。
【請求項5】
請求項1に記載の家具部材において、前記ベースフレームに対する前記背もたれフレームの移動とは独立して、伸展位置と後退位置の間で移動可能なレッグレスト機構をさらに備えることを特徴とする家具部材。
【請求項6】
請求項に記載の家具部材において、前記傾斜機構を駆動する第一リニアアクチュエータと、前記レッグレスト機構を駆動する第二リニアアクチュエータとをさらに備えることを特徴とする家具部材。
【請求項7】
請求項に記載の家具部材において、前記第一リニアアクチュエータは、前記背もたれフレームを前記ベースフレームに対して回転させることを特徴とする家具部材。
【請求項8】
請求項に記載の家具部材において、前記第一リニアアクチュエータは、前記座部フレームを前記ベースフレームに対して駆動することを特徴とする家具部材。
【請求項9】
請求項に記載の家具部材であって、前記第一および第二リニアアクチュエータは、互いに位置合わせされると共に、当該家具部材が通常の使用時に配置される支持面から鉛直方向上方に延出する軸に沿って配置され、前記軸は前記支持面に直交することを特徴とする家具部材。
【請求項10】
請求項に記載の家具部材において
前記ベースストッパ部材はそれぞれ、L字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備え、
前記第一脚部と第二脚部は共に、対応する前記ストッパプラグに接触し、
サイドストッパ部材が前記ベースストッパ部材それぞれに固定され、
前記サイドストッパ部材と前記トラック間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限されることを特徴とする家具部材。
【請求項11】
請求項に記載の家具部材であって、前記背もたれフレーム前記直立位置にある間に前記第二リニアアクチュエータのみが作動して、前記レッグレスト機構が前記後退位置から前記伸展位置に移動すると、前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームが、前記直立位置からプレチルト位置まで前記ベースアセンブリに対して後方に傾斜することを特徴とする家具部材。
【請求項12】
請求項11に記載の家具部材において、前記第二アクチュエータとは独立して前記第一アクチュエータの動作を制御する第一スイッチと、前記第一アクチュエータとは独立して前記第二アクチュエータの動作を制御する第二スイッチと、前記第一および第二アクチュエータの同時駆動を制御する第三スイッチを備えることを特徴とする家具部材。
【請求項13】
家具部材であって、
前部と後部との間を平行に延出する一対のレールを備えるベースアセンブリと、
ベースフレームと、背もたれフレームと、座部フレームを備え、前記背もたれフレームは前記ベースフレームに回転可能に連結され、前記座部フレームは、前記背もたれフレームが回転すると、これに対応して前記座部フレームが前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームに対して動くように、前記背もたれフレームに可動に連結されるフレームアセンブリと、
前記ベースフレームを支持し、前記座部フレームに連結され、軸受を備え、前記軸受は、前記背もたれフレームが前記ベースフレームに対して回転すると、前記軸受が前記レールに沿って移動し、前記ベースフレームが前記ベースアセンブリに対して移動するように、前記レールに移動可能に係合する傾斜機構と、
前記ベースフレームに固定され、前記背もたれフレームがフルリクライニング位置にある時は前記レールから離間し、前記背もたれフレームが直立位置にある時は前記レールに当接し、それぞれにサイドストッパ部材が固定された一対のベースストッパ部材を備え、
前記サイドストッパ部材と前記レール間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限されることを特徴とする家具部材。
【請求項14】
請求項13に記載の家具部材において、前記レールはそれぞれ、トラックと、このトラックの前端に少なくとも部分的に挿入されるストッパプラグを備えることを特徴とする家具部材。
【請求項15】
請求項14に記載の家具部材であって、前記背もたれフレーム前記フルリクライニング位置にある時、前記軸受が前記ストッパプラグに接触することを特徴とする家具部材。
【請求項16】
請求項13に記載の家具部材において、
前記ベースストッパ部材はそれぞれ、L字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備え、
前記第一脚部および第二脚部は共に、対応する前記レールに接触することを特徴とする家具部材。
【請求項17】
請求項13に記載の家具部材であって、前記ベースフレームは、前記ベースアセンブリに対して移動するにつれて、前記ベースアセンブリに対して傾斜することを特徴とする家具部材。
【請求項18】
請求項13に記載の家具部材において、前記ベースフレームに対する前記背もたれフレームの移動とは独立して、伸展位置と後退位置の間で移動可能なレッグレスト機構をさらに備えることを特徴とする家具部材。
【請求項19】
請求項18に記載の家具部材において、前記傾斜機構を駆動する第一リニアアクチュエータと、前記レッグレスト機構を駆動する第二リニアアクチュエータとをさらに備えることを特徴とする家具部材。
【請求項20】
請求項19に記載の家具部材において、前記第二アクチュエータとは独立して前記第一アクチュエータの動作を制御する第一スイッチと、前記第一アクチュエータとは独立して前記第二アクチュエータの動作を制御する第二スイッチと、前記第一および第二アクチュエータの同時駆動を制御する第三スイッチを備えることを特徴とする家具部材。
【請求項21】
請求項19に記載の家具部材であって、前記背もたれフレーム前記直立位置にある間に前記第二リニアアクチュエータのみが作動して、前記レッグレスト機構が前記後退位置から前記伸展位置に移動すると、前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームが、前記直立位置からプレチルト位置まで前記ベースアセンブリに対して後方に傾斜することを特徴とする家具部材。
【請求項22】
請求項19に記載の家具部材であって、前記第一および第二リニアアクチュエータは、互いに位置合わせされると共に、当該家具部材が通常の使用時に配置される支持面から鉛直方向上方に延出する軸に沿って配置され、前記軸は前記支持面に直交することを特徴とする家具部材。
【請求項23】
請求項22に記載の家具部材において、前記第一リニアアクチュエータは、前記背もたれフレームを前記ベースフレームに対して回転させることを特徴とする家具部材。
【請求項24】
請求項23に記載の家具部材において、前記第一リニアアクチュエータは、前記座部フレームを前記ベースフレームに対して駆動することを特徴とする家具部材。
【請求項25】
モーションソファであって、
第一支持部材と第二支持部材に設置された複数のシート部を備え、前記シート部はそれぞれ、
前記第一支持部材と前記第二支持部材に設置され、前部と後部との間を平行に延出する一対のレールを備え、前記レールはそれぞれ、トラックと、このトラックの前端に少なくとも部分的に挿入されるストッパプラグを備えるベースアセンブリと、
ベースフレームと、背もたれフレームと、座部フレームを備え、前記背もたれフレームは前記ベースフレームに回転可能に連結され、前記座部フレームは、前記背もたれフレームが回転すると、これに対応して前記座部フレームが前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームに対して動くように、前記背もたれフレームに移動可能に連結されるフレームアセンブリと、
前記ベースフレームを支持すると共に前記座部フレームに連結され、駆動リンクと側板を備える傾斜機構とを備え、
前記駆動リンクと前記側板は、前記背もたれフレームが前記ベースフレームに対して回転すると、前記トラックに沿って摺動して前記ベースフレームが前記ベースアセンブリに対して移動するように、前記トラックに摺動可能に係合し、
前記側板はそれぞれ、前記背もたれフレームがフルリクライニング位置にある時、前記ストッパプラグの一つに接触する軸受を備え、
前記シート部それぞれの前記傾斜機構は互いに独立して可動し、
一対のベースストッパ部材が前記ベースフレームに固定され、前記ベースストッパ部材は、前記背もたれフレームが前記フルリクライニング位置にある時は前記ストッパプラグから離間し、前記背もたれフレームが直立位置にある時は前記ストッパプラグに当接する ことを特徴とするモーションソファ。
【請求項26】
請求項25に記載のモーションソファであって、
サイドストッパ部材が前記ベースストッパ部材のそれぞれに固定され、
前記サイドストッパ部材と前記トラック間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限されることを特徴とするモーションソファ。
【請求項27】
請求項26に記載のモーションソファにおいて、
前記ベースストッパ部材はそれぞれ、L字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備え、
前記第一脚部および第二脚部は共に、対応する前記ストッパプラグに接触することを特徴とするモーションソファ。
【請求項28】
請求項25に記載のモーションソファであって、前記ベースフレームは、前記ベースアセンブリに対して移動するにつれて、前記ベースアセンブリに対して傾斜することを特徴とするモーションソファ。
【請求項29】
請求項25に記載のモーションソファにおいて、前記ベースフレームに対する前記背もたれフレームの移動とは独立して、伸展位置と後退位置の間で移動可能なレッグレスト機構をさらに備えることを特徴とするモーションソファ。
【請求項30】
請求項29に記載のモーションソファにおいて、前記傾斜機構を駆動する第一リニアアクチュエータと、前記レッグレスト機構を駆動する第二リニアアクチュエータとをさらに備えることを特徴とするモーションソファ。
【請求項31】
請求項30に記載のモーションソファにおいて、前記第一リニアアクチュエータは、前記背もたれフレームを前記ベースフレームに対して回転させることを特徴とするモーションソファ。
【請求項32】
請求項31に記載のモーションソファにおいて、前記第一リニアアクチュエータは、前記座部フレームを前記ベースフレームに対して駆動することを特徴とするモーションソファ。
【請求項33】
請求項32に記載のモーションソファであって、前記第一および第二リニアアクチュエータは、互いに位置合わせされると共に、当該家具部材が通常の使用時に配置される支持面から鉛直方向上方に延出する軸に沿って配置され、前記軸は前記支持面に直交することを特徴とするモーションソファ。
【請求項34】
請求項33に記載のモーションソファにおいて
前記ベースストッパ部材はそれぞれ、L字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備え、
前記第一脚部と第二脚部は共に、対応する前記ストッパプラグに接触し、
サイドストッパ部材が前記ベースストッパ部材それぞれに固定され、
前記サイドストッパ部材と前記トラック間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限されることを特徴とするモーションソファ。
【請求項35】
請求項32に記載のモーションソファであって、前記背もたれフレーム前記直立位置にある間に前記第二リニアアクチュエータのみが作動して、前記レッグレスト機構が前記後退位置から前記伸展位置に移動すると、前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームが、前記直立位置からプレチルト位置まで前記ベースアセンブリに対して後方に傾斜することを特徴とするモーションソファ。
【請求項36】
請求項35に記載のモーションソファにおいて、前記第二アクチュエータとは独立して前記第一アクチュエータの動作を制御する第一スイッチと、前記第一アクチュエータとは独立して前記第二アクチュエータの動作を制御する第二スイッチと、前記第一および第二アクチュエータの同時駆動を制御する第三スイッチを備えることを特徴とするモーションソファ。
【請求項37】
家具部材であって、
前部と後部の間を平行に延出する一対のレールを備えるベースアセンブリと、
ベースフレームと、背もたれフレームと、座部フレームを備え、前記背もたれフレームは前記ベースフレームに回転可能に連結され、前記座部フレームは、前記背もたれフレームが回転すると、これに対応して前記座部フレームが前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームに対して動くように、前記背もたれフレームに可動に連結されるフレームアセンブリと、
前記ベースフレームを支持すると共に前記座部フレームに連結され、側板を備える傾斜機構と、
前記ベースフレームに取り付けられ、前記背もたれフレームがリクライニング位置にある時は前記レールから離間し、前記背もたれフレームが直立位置にある時は前記レールに接触する一対のベースストッパ部材と、を備え、
前記側板は、前記背もたれフレームが前記ベースフレームに対して回転すると前記レールに沿って移動し、前記ベースフレームが前記ベースアセンブリに対して移動するように、前記レールに移動可能に係合されることを特徴とする家具部材。
【請求項38】
請求項37に記載の家具部材において、
前記ベースストッパ部材はそれぞれ、L字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備え、
前記第一脚部と第二脚部は共に、対応する前記レールに接触し、
サイドストッパ部材が前記ベースストッパ部材それぞれに取り付けられ、
前記サイドストッパ部材と前記レール間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限されることを特徴とする家具部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2015年3月17日に出願されたアメリカ特許出願番号14/660,144の優先権を主張する。上記出願の開示事項は全て、本明細書内に援用される。
【0002】
本開示は、家具部材用のリクライニング機構に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、本開示に関連する背景情報を提供するが、これは必ずしも先行技術にはあたらない。
【0004】
従来のリクライニングチェアやソファは、チェアやソファの背もたれが壁のせいでフルリクライニング位置まで移動できないことがないよう、チェアやソファの後方に十分なスペースが空くように室内の壁や他の物体から十分に離して配置されなければならない。そのため、使用者は、このようなチェアやソファを配置する際、背もたれが完全に倒れるスペースを確保すべく、リクライニングしないチェアやソファを位置決めする場合よりもさらに壁から離して位置決めする必要がある。本開示は、壁と背もたれの間の距離が直立位置とフルリクライニング位置の両方で同じないしほぼ同じになるように、背もたれが倒れるにつれてフレームアセンブリが前方に移動する家具部材を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本セクションは、開示事項の概略を示すものであり、その範囲全体又はその全ての特徴を包括的に開示するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一形態において、本開示は、ベースアセンブリと、フレームアセンブリと、傾斜機構を備えてもよい家具部材を提供する。ベースアセンブリは、前部と後部の間を平行に延出する一対のレールを備えてもよい。前記レールはそれぞれ、トラックと、このトラックの前端に少なくとも部分的に挿入されるストッパプラグを備えてもよい。前記フレームアセンブリは、ベースフレームと、背もたれフレームと、座部フレームを備えてもよい。前記背もたれフレームは前記ベースフレームに回転可能に連結されてもよい。前記座部フレームは、前記背もたれフレームが回転すると、これに対応して前記座部フレームが前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームに対して動くように、前記背もたれフレームに可動に連結されてもよい。前記傾斜機構は、前記ベースフレームを支持すると共に前記座部フレームに連結されてもよい。前記傾斜機構は駆動リンクと側板を備える傾斜機構とを備えてもよく、前記駆動リンクと前記側板は、前記背もたれフレームが前記ベースフレームに対して回転すると、前記駆動リンクと前記側板が前記トラックに沿って摺動して前記ベースフレームが前記ベースアセンブリに対して移動するように、前記トラックに摺動可能に係合する。前記側板はそれぞれ、前記背もたれがフルリクライニング位置にある時、前記ストッパプラグの一つに接触する軸受を備えてもよい。
【0007】
構成によっては、一対のベースストッパ部材が前記ベースフレームに固定される。前記ベースストッパ部材は、前記背もたれがフルリクライニング位置にある時は前記ストッパプラグから離間し、前記背もたれが直立位置にある時は前記ストッパプラグに当接してもよい。
【0008】
構成によっては、サイドストッパ部材が前記ベースストッパ部材のそれぞれに固定される。サイドストッパ部材と前記トラック間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限される。
【0009】
構成によっては、各ベースストッパ部材はL字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備える。前記第一脚部および第二脚部は共に、対応する前記ストッパプラグに接触してもよい。
【0010】
構成によっては、前記ベースフレームは、前記ベースアセンブリに対して移動するにつれて、前記ベースアセンブリに対して傾斜する。
【0011】
構成によっては、前記家具部材は、前記ベースフレームに対する前記背もたれの移動とは独立して、伸展位置と後退位置の間で移動可能なレッグレスト機構を備える。
【0012】
構成によっては、前記家具部材は、第一リニアアクチュエータと第二リニアアクチュエータを備える。前記第一リニアアクチュエータは前記傾斜機構を駆動する。前記第二リニアアクチュエータは前記レッグレスト機構を駆動する。
【0013】
構成によっては、前記第一リニアアクチュエータは、前記背もたれフレームを前記ベースフレームに対して回転させる。
【0014】
構成によっては、前記第一リニアアクチュエータは、前記座部フレームを前記ベースフレームに対して駆動する。
【0015】
構成によっては、前記第一および第二リニアアクチュエータは、互いに位置合わせされると共に、当該家具部材が通常の使用時に配置される支持面から鉛直方向上方に延出する軸に沿って配置される。前記軸は前記支持面に直交してもよい。
【0016】
構成によっては、前記背もたれが直立位置にある間に前記第二リニアアクチュエータのみが作動して、前記レッグレスト機構が前記後退位置から前記伸展位置に移動すると、前記背もたれおよび前記ベースフレームが、前記直立位置からプレチルト位置まで前記ベースアセンブリに対して後方に傾斜する。
【0017】
構成によっては、前記家具部材は、前記第二アクチュエータとは独立して前記第一アクチュエータの動作を制御する第一スイッチと、前記第一アクチュエータとは独立して前記第二アクチュエータの動作を制御する第二スイッチと、前記第一および第二アクチュエータの同時駆動を制御する第三スイッチを備える。
【0018】
構成によっては、前記家具部材は、複数のシート部を備えるモーションソファであって、各シート部はそれぞれ、ベースアセンブリと、フレームアセンブリと、傾斜機構とを備える。前記シート部の前記傾斜機構は互いに独立して可動してもよい。
【0019】
構成によっては、前記家具部材は、チェア、二人掛けソファ、ユニット式ソファ、あるいは他の可動式家具製品になりうる。
【0020】
別の形態において、本開示は、ベースアセンブリと、フレームアセンブリと、傾斜機構と、一対のベースストッパ部材とを備えてもよい家具部材を提供する。前記ベースアセンブリは、前部と後部との間を平行に延出する一対のレールを備えてもよい。前記フレームアセンブリは、ベースフレームと、背もたれフレームと、座部フレームを備えてもよい。前記背もたれフレームは前記ベースフレームに回転可能に連結されてもよい。前記座部フレームは、前記背もたれフレームが回転すると、これに対応して前記座部フレームが前記背もたれフレームおよび前記ベースフレームに対して動くように、前記背もたれフレームに可動に連結されてもよい。前記傾斜機構は、前記ベースフレームを支持すると共に前記座部フレームに連結される。前記傾斜機構は軸受を備えてもよく、前記軸受は、前記背もたれフレームが前記ベースフレームに対して回転すると、前記軸受が前記トラックに沿って動き、これにより前記ベースフレームが前記ベースアセンブリに対して移動するように、前記トラックに可動に係合する。前記ベースストッパ部材は前記ベースフレームに固定されてもよい。前記ベースストッパ部材は、前記背もたれがフルリクライニング位置にある時は前記レールから離間し、前記背もたれが直立位置にある時は前記レールに当接してもよい。前記ベースストッパ部材にはそれぞれ、サイドストッパ部材が固定されてもよい。サイドストッパ部材と前記トラック間の干渉により、前記ベースフレームと前記ベースアセンブリの横方向の相対移動が制限される。
【0021】
構成によっては、前記レールはそれぞれ、トラックと、このトラックの前端に少なくとも部分的に挿入されるストッパプラグを備える。
【0022】
構成によっては、背もたれがフルリクライニング位置にある時、軸受はストッパプラグに接触する。
【0023】
構成によっては、各ベースストッパ部材はL字型の外形をなす第一脚部と第二脚部を備える。前記第一脚部および第二脚部は共に、対応するストッパプラグに接触してもよい。
【0024】
構成によっては、前記ベースフレームは、前記ベースアセンブリに対して移動するにつれて、前記ベースアセンブリに対して傾斜する。
【0025】
構成によっては、前記家具部材は、前記ベースフレームに対する前記背もたれの移動とは独立して、伸展位置と後退位置の間で移動可能なレッグレスト機構を備える。
【0026】
構成によっては、前記家具部材は、第一リニアアクチュエータと第二リニアアクチュエータを備える。前記第一リニアアクチュエータは前記傾斜機構を駆動する。前記第二リニアアクチュエータは前記レッグレスト機構を駆動する。
【0027】
構成によっては、前記第一および第二リニアアクチュエータは、互いに位置合わせされると共に、当該家具部材が通常の使用時に配置される支持面から鉛直方向上方に延出する軸に沿って配置される。前記軸は前記支持面に直交してもよい。
【0028】
構成によっては、前記第一リニアアクチュエータは、前記背もたれフレームを前記ベースフレームに対して回転させる。
【0029】
構成によっては、前記第一リニアアクチュエータは、前記座部フレームを前記ベースフレームに対して駆動する。
【0030】
構成によっては、前記家具部材は、複数のシート部を備えるモーションソファであって、各シート部はそれぞれ、ベースアセンブリと、フレームアセンブリと、傾斜機構とを備える。前記シート部の前記傾斜機構は互いに独立して可動してもよい。
【0031】
構成によっては、前記家具部材は、チェア、二人掛けソファ、ユニット式ソファ、あるいは他の可動式家具製品としてもよい。
【0032】
さらなる利用分野は、ここに示される記載から明らかになるであろう。この概要における説明および特定の実施例は、説明のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
ここに示される図面は、選択された実施形態の説明のみを目的とするものであり、可能な全ての実施を示すものではなく、本願開示事項の範囲を限定することを意図するものでもない。
図1】本開示の原理に従った、直立位置にある家具部材の斜視図である。
図2】直立位置にある家具部材の別の斜視図であり、明確にするために、家具部材のフレームが部分的に取り除かれている。
図3】直立位置にある家具部材の側面図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図4】直立位置にある家具部材の傾斜機構とベースアセンブリの一部を示す側面図である。
図5】直立位置にある家具部材の一部を示す別の斜視図である。
図6】直立位置にある家具部材の別の斜視図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図7】本開示の原理に従った、プレチルト位置にある家具部材の斜視図である。
図8】プレチルト位置にある家具部材の別の斜視図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図9】プレチルト位置にある家具部材の側面図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図10】プレチルト位置にある家具部材の別の側面図であり、明確にするために、フレームと傾斜機構が部分的に取り除かれている。
図11】プレチルト位置にある家具部材の別の斜視図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図12】本開示の原理に従った、フルリクライニング位置にある家具部材の斜視図である。
図13】フルリクライニング位置にある家具部材の別の斜視図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図14】フルリクライニング位置にある家具部材の側面図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図15】フルリクライニング位置にある家具部材の別の側面図であり、明確にするために、フレームと傾斜機構が部分的に取り除かれている。
図16】フルリクライニング位置にある家具部材の別の斜視図であり、明確にするために、フレームが部分的に取り除かれている。
図17】本開示の原理に従った、ストッパプラグの斜視図である。
図18】本開示の原理に従った、直立位置にある別の家具部材の部分斜視図である。
図19】プレチルト位置にある図18の家具部材の部分斜視図である。
図20】フルリクライニング位置にある図18の家具部材の部分斜視図である。
図21図18の家具部材の正面図である。
図22図18の家具部材の第一および第二アクチュエータに電気的に接続されコントローラの略図である。
図23】一つのシート部が直立位置にあり、別のシート部がプレチルト位置にあるモーションソファの部分斜視図である。
図24】一つのシート部が直立位置にあり、別のシート部がフルリクライニング位置にある図23のモーションソファの部分斜視図である。
【0034】
いくつかの図面を通じて、対応する参照番号は、対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面を参照して、例示的実施形態をより詳細に説明する。
【0036】
本願開示が完全となり、かつ本願開示により請求の範囲が当業者に十分に伝わるように実施形態を提示する。本願開示の実施形態の完全な理解を提供するため、具体的な構成要素、素子および方法の例など、数多くの具体的詳細を記載している。当業者にとって、具体的な詳細を用いる必要はなく、例示的実施形態は多くの異なる形態で実装可能であり、また本願開示を限定するものと解釈すべきでないことは明らかであろう。いくつかの例示的実施形態において、公知の方法、公知の素子構造および公知の技術は、詳細に記載されない。
【0037】
本明細書中で用いられる用語は、具体的な例示的実施形態を記述することのみを目的とするものであり、限定的であることを意図しない。本明細書で使用される際、単数形は、明示されていない限り複数形も含むことを意図する。用語「備える」、「備えて」、「含んで」および「有して」は包括的であり、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、および/または部品の存在を特定する。しかし、1以上の特徴、整数、工程、操作、要素、部品および/または群の存在または追加を排除するものではない。本明細書で記載される方法工程、プロセスおよび操作は、実行順序として詳細に特定されない限り、必ずしも記載または図示された特定の順序で実行を要するものと解釈されるべきではない。追加工程または代替工程が用いられてもよいことも理解されるであろう。
【0038】
要素または層が、他の要素または層「上に」ある、「に係合」、「に接続」または「に連結」すると記される場合、この要素または層は直接に他の要素または層上にあるか、係合、接続、または連結してもよい。または、介在要素または層があってもよい。一方、要素が、他の要素または層の「直接上に」ある、「に直接係合」、「に直接接続」または「に直接連結」すると記される場合、介在要素または層は存在しなくてよい。要素同士の関係を説明するのに使用される他の文言(例えば、「の間に」と「直接の間に」、「隣接して」と「直接隣接して」など)は、同様に解釈されるべきである。本明細書で用いられる際、用語「および/または」は1以上の関連づけられたリスト項目の全ての組み合わせを含む。
【0039】
第一、第二、第三等の用語が各種要素、部品、領域、層および/または切断面を説明するために本明細書で使用されるが、これらの要素、部品、領域、層および/または切断面はこれらの用語により限定されるものではない。これらの用語は、ある要素、部品、領域、層および/または切断面を他の領域、層または切断面から区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用される際の「第一」「第二」のような用語および他の数に関する用語は、文脈で明示されない限り、配列または順序を意味しない。したがって、下記で論じられる第一要素、部品、領域、層および/または切断面は、実施例の教示から逸脱することなく第二要素、部品、領域、層および/または切断面と称されることも可能である。
【0040】
「インナー」、「アウター」、「真下に」、「下に」、「下側の」「上に」、「上部に」等のような空間的に相対的な用語が、図示する際、ある要素または特徴と他の要素または特徴との関係の記載を容易にするために、本明細書で使われてもよい。空間的に相対的な用語は、図示される向きに加えて、使用時または操作時における装置の異なる向きを包含するとしてもよい。例えば、図の装置がひっくり返ると、他の要素または特徴の「下に」または「真下に」と記載される要素は、他の要素または特徴の「上に」置かれるだろう。このように、例示の用語「下に」は上と下両方への向きを包含することが可能である。装置は他方向に向かされてもよい(90度回転または他の向きに)。本明細書で使用される空間関連記述子は適宜解釈される。
【0041】
図1−17を参照し、家具部材10が示される。この家具部材10は、ベースアセンブリ12(図2)と、フレームアセンブリ14(図1)と、傾斜機構16(図2および3)と、レッグレスト機構18(図2および3)を備えてもよい。ベースアセンブリ12は、フレームアセンブリ14と、傾斜機構16と、レッグレスト機構18を支持する。また、ベースアセンブリ12は、家具部材10が配置される支持面すなわち地面G(図3)に対して静止したままの状態で、フレームアセンブリ14と、傾斜機構16と、レッグレスト機構18の移動を可能にする。以下でより詳細に記述されるが、フレームアセンブリ14と傾斜機構16は、直立位置(図1−6)、プレチルト位置(図7−11)、およびフルリクライニング位置(図12−16)の間で、ベースアセンブリ12に対して移動可能である。レッグレスト機構18は、ベースアセンブリ12およびフレームアセンブリ14に対して、後退位置(図1−6)と伸展位置(図7−16)の間を移動可能である。なお、フレームアセンブリ14と傾斜機構16は、レッグレスト機構18を伸展位置に移動させずに、フルリクライニング位置に移動可能である。
【0042】
ベースアセンブリ12は、前側支持部材20と、後側支持部材22と、一対のレール24を備えてもよい。前側支持部材20と後側支持部材22は、支持面Gに接触する複数の脚部25を備えることができる。レール24は、前側支持部材20と後側支持部材22の間を互いに平行に延出し、前側支持部材20と後側支持部材22に固定される。レール24はそれぞれ湾曲したトラックチャネル26を備える。このトラックチャネル26はレール24の全長にわたって延出してもよい。ストッパプラグ28(図4および17)が、各トラックチャネル26の前端に少なくとも部分的に挿入されてもよい。ストッパプラグ28は、トラックチャネル26に圧入されてよいし、および/または、他の形でレール24に固定されてもよい。各ストッパプラグ28は、トラックチャネル26に挿入される本体部29と、トラックチャネル26の外側に配置されるフランジ部31を備えてもよい。本体部29は、湾曲した端面37(図4)を備えてもよい。この端面37は、家具部材10がフルリクライニング位置にある時、傾斜機構16の前側軸受に接触してもよい。構成によっては、面37の曲率半径は前側軸受74の曲率半径と一致する大きさにしてもよい。本体部29およびフランジ部31は、一体物として互いに一体に形成されてもよい。図4に示されるように、フランジ部31は、レール24の前端33と長辺35の一部を囲って延出し、それらを少なくとも部分的に覆ってもよい。
【0043】
フレームアセンブリ14は、チェア本体であるベースフレーム30と、背もたれフレーム32と、座部フレーム34を備えてもよい(図3)。背もたれフレーム32は、直立位置とフルリクライニング位置の間でベースフレーム30と座部フレーム34に対して回転可能である。背もたれフレーム32は、一対の揺動リンク36によってベースフレーム30に枢動可能に連結される。各揺動リンク36は、フリクションリンク38とリアアーム40に枢動可能に連結される。リアアーム40は、フリクションリンク38のスロット44と摺動可能に係合する留め具42を備える。座部フレーム34は、リアアーム40と一対のフロントアーム46に支持される。フロントアーム46はそれぞれスロット48を有する。フロントアーム46のスロット48は、ベースフレーム30に取り付けられた支持ロッド50と摺動可能に係合する。
【0044】
リアアーム40とフロントアーム46は協働して座部フレーム34を支持する。背もたれフレーム32が直立位置とリクライニング位置の間でベースフレーム30に対して回転すると、フリクションリンク38のスロット44は留め具42に沿って摺動し、フロントアーム46のスロット48は支持ロッド50に沿って摺動する。これにより、座部フレーム34はベースフレーム30に対して前方に移動する(図3および15を比較)。
【0045】
フレームアセンブリ14はまた、一対のベースストッパ部材51と一対のサイドストッパ部材53を備えてもよい。ベースストッパ部材51は、ベースフレーム30のフロントボード55(図1、10および15)に固定されてもよい。ベースストッパ部材51はL字型の外形を有してもよい。ベースストッパ部材51はそれぞれ、第一脚部57と第二脚部59を備えてもよい。これらの脚部は、互いに略直交し、すなわち、互いに角度をなし、ベースストッパ部材51のL字型の外形を形成する。サイドストッパ部材53は、ベースストッパ部材51および/またはベースフレーム30に固定されてもよい。
【0046】
傾斜機構16、一対の上側接続リンク52と、一対の側板54と、一対の前上側駆動リンク56と、一対の前下側駆動リンク58と、一対の後側駆動リンク60を備える。上側接続リンク52は、第一端部62で、座部フレーム34を支持するフロントアーム46に枢動可能に接続される。上側接続リンク52は、第二端部で、前上側駆動リンク56の第一端部に枢動可能に接続される。各前上側駆動リンク56の第二端部は、各前下側駆動リンク58の第一端部に枢動可能に連結される。各前下側駆動リンク58の第二端部は、ベースアセンブリ12の別の一部分における対応するレール24に、枢動可能に連結される。
【0047】
図3および4に示されるように、側板54はベースフレーム30に固定される。側板54はそれぞれ、トラックチャネル26に摺動可能または回転可能に係合する前側軸受74(図4)を備える。後側駆動リンク60はそれぞれ、トラックチャネル26に摺動可能または回転可能に係合する後側軸受76を備える。後側駆動リンク60はまた、対応する側板54のスロット80に摺動可能に係合するペグ78を備える。駆動ロッド84が回転すると後側駆動リンク60が側板54に対して回転するように、連結リンク83(図2)は後側駆動リンク60をレッグレスト機構18の駆動ロッド84に接続される。
【0048】
レッグレスト機構18は、駆動ロッド84と一対のパンタグラフリンク機構86を備えてもよい。ハンドル88が駆動ロッド84の端部に接続される。ハンドル88がベースフレーム30に対して回転すると、それに対応して駆動ロッド84がベースフレーム30に対して回転する。このような駆動ロッド84の回転により、パンタグラフリンク機構86は後退位置と伸展位置の間で移動する。図示されないが、レッグレスト機構18が伸展位置にある状態の家具部材10に座りつつ、使用者が脚および/または足をレッグレスト台に載せてもいいように、レッグレスト台がパンタグラフリンク機構86に取り付けられ、パンタグラフリンク機構86によって支持される。
【0049】
図1−17を引き続き参照して、家具部材10の動作を詳述する。前述したように、フレームアセンブリ14および傾斜機構16は、直立位置(図1−6)、プレチルト位置(図7−11)、およびフルリクライニング位置(図12−16)の間で、ベースアセンブリ12に対して移動可能である。レッグレスト機構18は、ベースアセンブリ12およびフレームアセンブリ14に対して、後退位置(図1−6)と伸展位置(図7−16)の間を移動可能である。
【0050】
図3に示されるように、家具部材10が直立位置にある時、ベースフレーム30と、背もたれフレーム32と、座部フレーム34は、支持面Gに対して第一位置に位置づけられる。図9に示されるように、家具部材10がプレチルト位置にある時、ベースフレーム30と、背もたれフレーム32と、座部フレーム34は、支持面Gに対して第二位置に位置づけられる。しかしながら、ベースフレーム30と、背もたれフレーム32と、座部フレーム34の互いの位置づけは、直立位置およびプレチルト位置において同じでもよい。家具部材10が直立位置からプレチルト位置に移動すると、プレチルト位置において、フレームアセンブリ14の後端が直立位置の時よりも鉛直方向に支持面Gに近接し、フレームアセンブリ14の前端が直立位置の時よりも鉛直方向に支持面Gから離間するように、フレームアセンブリ14が傾斜する。図14に示されるように、家具部材10がフルリクライニング位置に移動すると、フレームアセンブリ14は支持面Gに対してさらに傾斜し、また同時に、ベースフレーム30と、背もたれフレーム32と、座部フレーム34が互いに相対移動する。フルリクライニング位置において、ベースフレーム30の後端は、直立位置およびプレチルト位置の時よりも鉛直方向に支持面Gに近接し、ベースフレーム30の前端は、直立位置およびプレチルト位置の時よりも鉛直方向に支持面Gから離間する。さらに、家具部材10が直立位置およびフルリクライニング位置にある状態で配置される部屋の壁(図示されず)と家具部材10が、ベースアセンブリ12を壁に対して動かさなくても所望の間隔を維持できるように、家具部材10がフルリクライニング位置に移動するにつれて、フレームアセンブリ14は前方に(レール24の前端に向かって)移動する。
【0051】
直立位置において、傾斜機構16の前側軸受74と後側軸受76は、レール24のトラックチャネル26に沿って第一位置に配置される。図4に示されるように、直立位置において、前側軸受74はストッパプラグ28から離間する。さらに、図4は、家具部材10が直立位置にある時、ベースストッパ部材51がそれぞれ対応するストッパプラグ28に2カ所で接触するように、ベースストッパ部材51(ベースフレーム30に固定)がストッパプラグ28に接触することを示す。より具体的には、各ベースストッパ部材51の第一脚部57と第二脚部59は共に、ストッパプラグ28のフランジ部31の異なる部位に接触する。ベースストッパ部材51とストッパプラグ28のフランジ部31間のこうした接触により、家具部材10が直立位置にある間、特に家具部材10の使用者が家具部材10に入ったり出たりする間(すなわち、使用者が体を家具部材に沈めたり、家具部材10から立ち上がったりする間)の家具部材10の安定性が向上する。
【0052】
さらに、レール24に対しサイドストッパ部材53が近接配置されることで(家具部材10が直立位置にある場合)、ベースアセンブリ12に対するフレームアセンブリ14の横方向(左右の)の移動量が制限される。図5に示されるように、家具部材10が直立位置にある時、各レール24と隣接するサイドストッパ部材53の間には小さな隙間しか存在しない。いくつかの実施形態において、サイドストッパ部材53は共に、それぞれのレール24に同時に接触してもよい。フレームアセンブリ14とベースアセンブリ12間の横方向の相対移動の範囲を限定することで、家具部材10が直立位置にある間、特に家具部材10の使用者が家具部材10に入ったり出たりする間の家具部材10の安定性が向上する。プレチルト位置およびフルリクライニング位置において、ベースストッパ部材51とサイドストッパ部材53は、ストッパプラグ28およびレール24から離間してもよい。
【0053】
家具部材10を直立位置からプレチルト位置に移動する際、使用者は、ハンドル88を図3に示される位置から図9に示される位置に回転させてもよい。ハンドル88が回転すると、これに応じて駆動ロッド84が動き、連結リンク83が回転する。これにより、後側駆動リンク60に接続されるペグ78が側板54のスロット80内を下向きに摺動するように、後側駆動リンク60が側板54に対して回転する。また、連結リンク83が回転すると、後側駆動リンク60と側板54はレール24に対して後方に移動する(すなわち、前側軸受74と後側軸受76はトラックチャネル26内をトラックチャネル26の後端に向かって移動する)。また、ハンドル88の図3の位置から図9の位置への回転によって駆動ロッド84が回転すると、前上側駆動リンク56が回転し、これにより、前下側駆動リンク58と上側接続リンク52が回転する。ハンドル88の図3の位置から図9の位置への移動に応じた傾斜機構16のこのような同期した動きにより、フレームアセンブリ14は支持面Gに対して後方に傾斜する。さらに、前述したように、このようなハンドル88と駆動ロッド84の回転はまた、同時にパンタグラフリンク機構86を伸展位置に移動させる。
【0054】
家具部材10を直立位置からフルリクライニング位置に移動、あるいは、プレチルト位置からフルリクライニング位置に移動する際、使用者は背もたれフレーム32にもたれて、背もたれフレーム32をベースフレーム30に対して回転させてもよい。背もたれフレーム32のこのような動きによって、座部フレーム34とフロントアーム46はベースフレーム30に対して前方に移動する。フロントアーム46がベースフレーム30に対して移動すると、上側接続リンク52が前方に移動し、次に前上側駆動リンク56と前下側駆動リンク58が回転する。前下側駆動リンク58の第二端部72はフレームアセンブリ14(すなわち、レール24および/または前側支持部材20)に取り付けられているため、前上側駆動リンク56と前下側駆動リンク58のこのような回転により、傾斜機構16とフレームアセンブリ14は、前側軸受74がストッパプラグ28の本体部29に接触するまで(図15)、レール24に沿って前方に案内される。このような傾斜機構16の動きにより、フレームアセンブリ14はベースアセンブリ12に対して前方に移動すると同時に、ベースアセンブリ12に対して後方に傾斜する。
【0055】
図18−21を参照し、別の家具部材110が示される。この家具部材110は、ベースアセンブリ112と、フレームアセンブリ114と、傾斜機構116と、レッグレスト機構118と、第一電気機械リニアアクチュエータ119および第二電気機械リニアアクチュエータ121を備える。ベースアセンブリ112、フレームアセンブリ114、傾斜機構116およびレッグレスト機構118の構造および機能は、ここで記載および/または上記図中で示される相違点を別として、前述のベースアセンブリ12、フレームアセンブリ14、傾斜機構16およびレッグレスト機構18と同様または同一でもよい。従って、同様の特徴事項は再度詳細には記載されない。家具部材10と同様に、家具部材110のフレームアセンブリ114および傾斜機構116は、直立位置(図18)、プレチルト位置(図19)、およびフルリクライニング位置(図20)の間で、ベースアセンブリ112に対して移動可能である。レッグレスト機構118は、ベースアセンブリ112およびフレームアセンブリ114に対して、後退位置(図18)と伸展位置(図19および20)の間を移動可能である。
【0056】
第一リニアアクチュエータ119は、フレームアセンブリ114に対して固定された第一端部123と、ベースアセンブリ112に対して固定された第二端部125を有してもよい。より具体的には、第一端部123はフレームアセンブリ114の前部に設置された横材127に固定されてもよく、第二端部125はベースアセンブリ112の後側支持部材122に固定されてもよい。第一リニアアクチュエータ119はその長さを入れ子式に伸縮自在とされて、第一端部123を第二端部125に対して近接離隔可能であり、これに応じて傾斜機構116が動くと、前述のように、フレームアセンブリ114はベースアセンブリ112に対して直立位置とフルリクライニング位置の間で移動および傾斜する。すなわち、第一端部123が第二端部125から遠ざかると、フレームアセンブリ114はベースアセンブリ112に対して後方に傾斜し、かつ、前方に移動して、家具部材110をフルリクライニング位置に向かって移動させる。第一端部123が第二端部125に近づくと、フレームアセンブリ114はベースアセンブリ112に対して前方に傾斜し、かつ、後方に移動して、家具部材110を直立位置に向かって移動させる。
【0057】
傾斜機構16と同様に、傾斜機構116は、フレームアセンブリ114の座部フレーム(座部フレーム34と同様)を支持するフロントアーム146に接続される上側接続リンク152を備えてもよい。これにより、第一リニアアクチュエータ119が動作して第一端部123を第二端部125から離間させると、これに応じてフロントアーム146が支持ロッド150(フレームアセンブリ114のベースフレーム130に取り付けられている)に対して動き、座部フレームをベースフレーム130に対して前方に移動させる。家具部材10に関連して前述したように、座部フレームがベースフレーム130に対して前方に移動すると、背もたれフレーム132がベースフレーム130に対して回転する。
【0058】
第二リニアアクチュエータ121は、フレームアセンブリ114に対して固定された第一端部129と、レッグレスト機構118に対して動作可能に連結された第二端部131(図19)を備えてもよい。より具体的には、第一端部129はフレームアセンブリ114の後部に設置された横材133に固定されてもよく、第二端部131は、レッグレスト機構118の駆動ロッド184に回転可能に連結されたクランクリンク135(図19)に回転可能に連結されてもよい。第二リニアアクチュエータ121はその長さが入れ子式に伸縮自在とされて、第二端部131を第一端部129に対して近接離隔可能であり、これに応じて駆動ロッド184が回転する。家具部材10に関連して前述したように、駆動ロッド184が回転することにより、レッグレスト機構118が後退位置と伸展位置の間で移動できると共に、フレームアセンブリ114がベースアセンブリ112に対して直立位置とプレチルト位置の間で移動できる。
【0059】
図21に図示されるように、第一リニアアクチュエータ119と第二リニアアクチュエータ121は位置合わせされると共に、支持面Gに垂直で、支持面Gから鉛直方向上方に延出する軸Aに沿って配置されてもよい。すなわち、第二リニアアクチュエータ121は、軸Aに沿って第一リニアアクチュエータ119の鉛直方向上方に配置される。このようなリニアアクチュエータ119と121の構成によれば、リニアアクチュエータ119と121の動作による反力は少なくとも部分的に相互に弱め合うことになり、リニアアクチュエータ119と121の動作中の家具部材10の安定性は向上する。
【0060】
家具部材110は、第一アクチュエータ119と第二アクチュエータ121に電気的に連通しているコントローラ160(図22に概略的に図示)を備えてもよい。コントローラ160は、第一および第二アクチュエータ119、121の一方ないし両方を選択的に駆動させる回路を備えてもよい。このような回路は、第一スイッチ162、第二スイッチ163、第三スイッチ164、第四スイッチ165、第五スイッチ166および第六スイッチ167を備えてもよい。これらのスイッチ162、163、164、165、166、167は、家具部材110の使用者がスイッチ162、163、164、165、166、167を制御できるように、ボタン、トグルスイッチ、または他の構造を備えることができる。
【0061】
第一スイッチ162および第二スイッチ163は、第一アクチュエータ119への電流の到達を許可したり妨げることによって、第二アクチュエータ121の動作とは独立して第一アクチュエータ119の動作を制御してもよい。このように、第一スイッチ162および第二スイッチ163は、レッグレスト機構118とは独立して傾斜機構116を動かすために使用可能である。第一スイッチ162は傾斜機構116を第一方向に動かしてもよい(例えば、背もたれフレーム132をフルリクライニング位置に向かって動かす)。第二スイッチ163は傾斜機構116を第一方向とは反対の第二方向に動かしてもよい(例えば、背もたれフレーム132を直立位置に向かって動かす)。
【0062】
第三スイッチ164および第四スイッチ165は、第二アクチュエータ121への電流の到達を許可したり妨げることによって、第一アクチュエータ119の動作とは独立して第二アクチュエータ121の動作を制御してもよい。このように、第三スイッチ164および第四スイッチ165は、傾斜機構116とは独立してレッグレスト機構118を動かすために使用可能である。第三スイッチ164はレッグレスト機構118を第一方向に(例えば、完全に進展した位置に向かって)動かしてもよい。第四スイッチ165はレッグレスト機構118を第一方向とは反対の第二方向に(例えば、後退位置に向かって)動かしてもよい。
【0063】
第五スイッチ166および第六スイッチ167は、第一アクチュエータ119および第二アクチュエータ121への電流の流れを同時に制御することによって、第一アクチュエータ119および第二アクチュエータ121の動作を同時に制御してもよい。例えば、第五スイッチ166は、傾斜機構116をフルリクライニング位置に向かって移動させると同時に、レッグレスト機構118を完全な伸展位置に向かって移動させるために使用可能である。第六スイッチ167は、傾斜機構116を直立位置に移動させると同時に、レッグレスト機構118を後退位置に移動させるために使用可能である。
【0064】
いくつかの構成において、コントローラ160は第一、第二、第三および第四スイッチ162、163、164、165のみを備え、第五および第六スイッチ166、167を備えなくてもよい。いくつかの構成において、コントローラは第五および第六スイッチ166、167のみを備え、第一、第二、第三および第四スイッチ162、163、164、165を備えない場合もある。
【0065】
なお、図1−21で図示される家具部材10、110は椅子であるが、いくつかの構成において、家具部材10、110が、ソファ、二人掛けソファ、ユニット式ソファ、あるいは他の可動式家具製品の場合もある。
【0066】
図23および24を参照し、モーションソファ200が示される。このモーションソファ200は第一シート部202と第二シート部203を備える。この第一シート部202と第二シート部203は共に第一支持レール204と第二支持レール205に設置され、また、直立位置、プレチルト位置およびフルリクライニング位置の間で相対移動できる。図23は、プレチルト位置にある第一シート部202と直立位置にある第二シート部203を示す。図24は、フルリクライニング位置にある第一シート部202と直立位置にある第二シート部203を示す。図23および24には示されないが、モーションソファ200は、第一および第二シート部202、203の間で、第一および第二支持レール204、205に設置される第三シート部を備えてもよい。いくつかの構成において、第三シート部は、第一および第二支持レール204、205に対して固定されてもよい。なお、モーションソファ200が任意の数の可動シート部と任意の数の固定シート部を備える場合もある。
【0067】
第一および第二シート部202、203はそれぞれ、ベースアセンブリ212と、フレームアセンブリ214と、傾斜機構216と、レッグレスト機構218を備えてもよい。ベースアセンブリ212、フレームアセンブリ214、傾斜機構216およびレッグレスト機構218の構造および機能は、前述のベースアセンブリ12、112、フレームアセンブリ14、114、傾斜機構16、116およびレッグレスト機構18、118と同様または同一でもよい。従って、同様の特徴事項は再度記載されない。シート部202および203のベースアセンブリ212は、第一および第二支持レール204、205に設置される。第一シート部202のフレームアセンブリ214、傾斜機構216およびレッグレスト機構218は、第二シート部203のフレームアセンブリ214、傾斜機構216およびレッグレスト機構218とは独立して可動とされてもよい。
【0068】
実施形態に関する上記記載は、図解および説明の目的で提供される。網羅的または開示事項を限定することを意図しない。特定の実施形態の個別の要素または特徴は、一般にその特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合には、詳細に図示または説明されないとしても選択された実施形態で交換可能であり、使用可能である。同じものが多くの点で変更されてもよい。そのような変更は本開示事項からの逸脱とはみなされない。そのような修正は全て本開示事項の範囲内に含まれることが意図される。
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