(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルカリ性溶液を用いた処理工程を有する半導体装置の製造方法において、基板内に内蔵される半導体チップの封止または粘着シート上における半導体チップの封止に用いられる封止シートであって、
前記封止シートは、少なくとも硬化性の接着剤層を備え、
前記接着剤層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および最小被覆面積が550m2/g以上、1500m2/g以下である表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものであることを特徴とする封止シート。
前記表面処理剤は、シラザン化合物、アルコキシシランおよびシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の封止シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、近年では、粘着シート上において半導体チップを封止する手法の開発も進められている。当該方法では、粘着シート上に設けられた半導体チップに対して封止シートにおける接着剤層を積層し、当該接着剤層を硬化することで、半導体チップが封止されてなる封止体が得られる。当該封止体には、さらに電極が形成されることがある。この場合、当該封止体から粘着シートを剥離して、当該封止体の露出した面に層間絶縁膜を積層する。その後、当該層間絶縁膜を貫通する孔を形成し、当該孔を通じて半導体チップと外部とを電気的に接続する電極が形成される。このような方法によれば、ファンアウト型ウエハレベルパッケージ(FOWLP)等が製造される。
【0006】
上述したチップ内蔵基板やFOWLP等の製造方法においては、硬化層や層間絶縁膜に孔を形成する際に樹脂の残渣(以下「スミア」という場合がある。)が発生し、このスミアが孔内に残ることがある。スミアが孔内に残った状態で電極を形成すると、電極の導通不良といった問題が生じ易くなる。そのため、そのような問題を回避するために、孔の形成に続いて、発生したスミアを除去するデスミア処理が行われる。このようなデスミア処理は、アライメント用の孔を形成した場合にも行われることがある。
【0007】
デスミア処理としては、処理の対象をアルカリ性溶液に晒すという手法が行われる。当該手法によれば、スミアをアルカリ性溶液に溶解させて、除去することができる。また、アルカリ性溶液による処理は、製品における樹脂表面に微細な凹凸を形成する目的で行われることもある。この場合、樹脂表面がアルカリ性溶液によって部分的に溶解され、表面に凹凸が形成される。
【0008】
しかしながら、従来の封止シートを使用して形成される封止体に対して、上述したようなアルカリ性溶液による処理を行った場合、硬化層中に存在する多数の無機フィラーが硬化層から脱離するという問題が生じる。このような脱離が生じた硬化層は、加熱された際に膨張し易いものとなる。当該膨張は、半導体装置のその後の製造工程や製造された半導体装置の使用時において、硬化層の温度の上昇に伴って生じるため、良好な性能を有する半導体装置を製造する観点から、上記のような膨張が生じないことが求められる。
【0009】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、硬化層から無機フィラーが脱離し難い封止シートを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような封止シートを使用した、良好な性能を有する半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、アルカリ性溶液を用いた処理工程を有する半導体装置の製造方法において、基板内に内蔵される半導体チップの封止または粘着シート上における半導体チップの封止に用いられる封止シートであって、前記封止シートは、少なくとも硬化性の接着剤層を備え、前記接着剤層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および最小被覆面積が550m
2/g以上、1500m
2/g以下である表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものであることを特徴とする封止シートを提供する(発明1)。
【0011】
上記発明(発明1)に係る封止シートでは、無機フィラーの表面に存在する大半のヒドロキシ基が、上記範囲の最小被覆面積を有する表面処理剤との反応により消失しているため、硬化層がアルカリ性溶液に晒されたときに、無機フィラーが硬化層から脱離し難く、その結果、加熱による硬化層の膨張が抑制される。
【0012】
上記発明(発明1)において、前記表面処理剤は、シラザン化合物、アルコキシシランおよびシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい(発明2)。
【0013】
上記発明(発明2)において、前記シラザン化合物は、下記式(1)
SiR
3−N(H)−SiR
3 … (1)
〔式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数が1以上、6以下である、置換されたまたは置換されていないアルキル基を表す。〕の構造を有する化合物であることが好ましい(発明3)。
【0014】
上記発明(発明1〜3)において、前記無機フィラーは、シリカフィラーまたはアルミナフィラーであることが好ましい(発明4)。
【0015】
上記発明(発明1〜4)において、前記無機フィラーの平均粒径は、0.01μm以上、3.0μm以下であることが好ましい(発明5)。
【0016】
上記発明(発明1〜5)において、前記無機フィラーの最大粒径は、0.05μm以上、5.0μm以下であることが好ましい(発明6)。
【0017】
上記発明(発明1〜6)において、前記無機フィラーは、球状であることが好ましい(発明7)。
【0018】
上記発明(発明1〜7)において、前記接着剤組成物は、イミダゾール系硬化触媒をさらに含有することが好ましい(発明8)。
【0019】
第2に本発明は、基材の少なくとも一方の面上に1または2以上の半導体チップを設ける工程、少なくとも前記半導体チップを覆うように、前記封止シート(発明1〜8)における前記接着剤層を積層する工程、前記接着剤層を硬化することで、前記接着剤層が硬化してなる硬化層と、前記硬化層により封止された前記半導体チップと、前記基材とを備える封止体を得る工程、前記硬化層における前記基材とは反対側の面から、前記硬化層と前記半導体チップとの界面までを貫通する孔を形成する工程、前記孔が形成された前記封止体をアルカリ性溶液に晒すことで、前記孔をデスミア処理する工程、および前記孔を通じて前記半導体チップに電気的に接続された電極を形成することで、チップ内蔵基板を得る工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明9)。
【0020】
第3に本発明は、粘着シートの粘着面上に1または2以上の半導体チップを設ける工程、少なくとも前記半導体チップを覆うように、前記封止シート(発明1〜8)における前記接着剤層を積層する工程、前記接着剤層を硬化することで、前記接着剤層が硬化してなる硬化層と、前記硬化層により封止された前記半導体チップとを備える封止体を得る工程、前記封止体から前記粘着シートを剥離する工程、前記粘着シートの剥離により露出した前記封止体の面に、層間絶縁膜を積層する工程、前記層間絶縁膜における前記封止体とは反対側の面から、前記層間絶縁膜と前記半導体チップとの界面までを貫通する孔を形成する工程、前記孔が形成された前記層間絶縁膜が積層された前記封止体をアルカリ性溶液に晒すことで、前記孔をデスミア処理する工程、および前記孔を通じて前記半導体チップに電気的に接続された電極を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明10)。
【0021】
第4に本発明は、基材の少なくとも一方の面上または粘着シートの粘着面上に1または2以上の半導体チップを設ける工程、少なくとも前記半導体チップを覆うように、前記封止シート(発明1〜8)における前記接着剤層を積層する工程、前記接着剤層を硬化することで、前記接着剤層が硬化してなる硬化層と、前記硬化層により封止された前記半導体チップとを備える封止体を得る工程、および前記封止体をアルカリ性溶液に晒すことで、前記封止体の表面に凹凸を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明11)。
【発明の効果】
【0022】
本発明の封止シートは、硬化層から無機フィラーが脱離し難い。また、本発明の製造方法によれば、そのような封止シートを使用して、良好な性能を有する半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔封止シート〕
図1には、本実施形態に係る封止シート1の断面図が示される。
図1に示すように、本実施形態に係る封止シート1は、接着剤層11と、当該接着剤層11の少なくとも一方の面に積層された剥離シート12とを備える。なお、接着剤層11における剥離シート12とは反対の面に、別の剥離シートがさらに積層されてもよい。ただし、剥離シート12および別の剥離シートは省略されてもよい。
【0025】
本実施形態に係る封止シート1は、アルカリ性溶液を用いた処理工程を有する半導体装置の製造方法において、半導体チップの封止に用いられる。当該封止は、基板内に内蔵される半導体チップの封止、または粘着シート上における半導体チップの封止である。本実施形態に係る封止シート1を用いて製造される半導体装置は、封止された半導体チップを備えるものであり、例えばチップ内蔵基板や、ファンアウト型ウエハレベルパッケージ(FOWLP)、ファンイン型ウエハレベルパッケージ(FIWLP)等の半導体パッケージが挙げられる。
【0026】
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤層11が硬化性を有する。ここで、硬化性を有するとは、接着剤層11が加熱等によって硬化し得ることをいう。すなわち、接着剤層11は、封止シート1を構成している状態では未硬化である。接着剤層11は、熱硬化性であることが好ましい。これにより、積層された接着剤層11に対してエネルギー線を照射し難い場合であっても、当該接着剤層11を良好に硬化することができる。
【0027】
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤層11が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものである。
【0028】
上記表面処理剤は、最小被覆面積が550m
2/g以上、1500m
2/g以下である。
【0029】
上述の通り、接着剤層11は、上記表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されているため、接着剤層11を硬化してなる硬化層も当該無機フィラーを含有するものとなる。ここで、未処理状態では表面に多数のヒドロキシ基を有する無機フィラーであっても、上述のように表面処理されることにより、無機フィラー表面に存在するヒドロキシ基の多くが、表面処理剤が有する反応性基との反応により消失している。
【0030】
特に、上記範囲の最小被覆面積を有する表面処理剤は、その他の表面処理剤と比較して、分子内における反応性基以外の部分の分子量が小さく、換言すれば、当該部分の物理的な大きさが小さい。このような表面処理剤は、無機フィラー表面のヒドロキシ基と反応する際に、表面処理剤同士の当該部分での衝突が生じ難い。その結果、表面処理剤とヒドロキシ基との反応が妨げられることなく良好に進行し、無機フィラー表面に存在する大半のヒドロキシ基を消失させるものと推定される。
【0031】
このように表面に存在する大半のヒドロキシ基が消失した無機フィラーは、アルカリ性溶液との親和性が比較的低く、そのため、硬化層がアルカリ性溶液に晒されたときに、無機フィラーが硬化層から脱離し難い。ここで、無機フィラーが脱離すると、それにより生じる空隙には空気が存在するものとなり、硬化層が加熱された際には、当該空気が膨張し、それに伴い硬化層全体も膨張する。しかしながら、本実施形態に係る封止シート1を使用して形成される硬化層では、無機フィラーの脱離による空隙が生じ難く、そのため空気の膨張が生じ難いため、加熱による硬化層の膨張が抑制される。
【0032】
1.接着剤層
(1)無機フィラー
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤組成物に含まれる無機フィラーが表面処理剤により表面処理されている。これにより、硬化層からの当該無機フィラーの脱離が抑制される。また、接着剤組成物が無機フィラーを含有することにより、硬化層が優れた機械的強度を有するものとなり、得られる半導体装置の信頼性が向上する。
【0033】
本実施形態に係る封止シート1では、表面にヒドロキシ基を有する無機フィラーについて、表面処理剤による効果が発揮される。かかる無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、ムライト、コージェライト等の複合酸化物、モンモリロナイト、スメクタイト等を材料とするフィラーを例示することができ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもシリカフィラー、アルミナフィラーを使用することが好ましく、特にシリカフィラーを使用することが好ましい。
【0034】
無機フィラーの形状は、粒状、針状、板状、不定型等の何れでもよいものの、これらの中でも球状であることが好ましい。無機フィラーが球状であることにより、表面処理剤による表面処理を効果的に行うことができる。
【0035】
上記無機フィラーの平均粒径は、0.01μm以上であることが好ましく、特に0.1μm以上であることが好ましく、さらには0.3μm以上であることが好ましい。また、上記無機フィラーの平均粒径は、3.0μm以下であることが好ましく、特に1.0μm以下であることが好ましい。無機フィラーの平均粒径が0.01μm以上であると、無機フィラーの大きさが表面処理剤の分子と比較して十分に大きくなり、無機フィラーの表面における、表面処理剤同士の衝突が生じ難くなり、表面処理が効果的に行われるものとなる。その結果、硬化層をアルカリ性溶液に晒した際に、無機フィラーの脱離が良好に抑制される。一方、無機フィラーの平均粒径が3.0μm以下であることで、無機フィラーが、表面処理剤によって表面処理し易い表面積を有するものとなり、効果的に表面処理することが可能となるとともに、硬化層中に無機フィラーが良好に充填され、硬化層がより良好な機械的強度を有するものとなる。なお、本明細書における無機フィラーの平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装社製,製品名「ナノトラックWave−UT151」)を使用して、動的光散乱法により測定した値とする。
【0036】
また、上記無機フィラーの最大粒径は、0.05μm以上であることが好ましく、特に0.5μm以上であることが好ましい。また、当該最大粒径は、5μm以下であることが好ましく、特に3μm以下であることが好ましい。無機フィラーの最大粒径が上記範囲であることで、硬化層中に無機フィラーを充填し易くなり、硬化層がより優れた機械的強度を有するものとなる。
【0037】
表面処理剤は、最小被覆面積が550m
2/g以上であり、600m
2/g以上であることが好ましい。また、表面処理剤は、最小被覆面積が1500m
2/g以下であり、1200m
2/g以下であることが好ましく、特に1000m
2/g以下であることが好ましい。最小被覆面積が上記範囲であることで、表面処理剤における反応性基以外の部分の分子量が比較的小さいものとなり、すなわち物理的な大きさが比較的小さいものとなり、無機フィラー表面のヒドロキシ基と反応する際に、表面処理剤同士の当該部分での衝突が生じ難いと推定される。そのため、上記最小被覆面積を有する表面処理剤を使用することで、無機フィラー表面に存在するヒドロキシ基を効果的に消失させることができ、その結果、硬化層からの無機フィラーの脱離を効果的に抑制することができる。
【0038】
ここで、表面処理剤における最小被覆面積(m
2/g)とは、1gの表面処理剤を用いて単分子膜を形成した際の当該単分子膜の面積(m
2)をいう。最小被覆面積は、表面処理剤の構造等から理論的に算出することができ、例えば、反応性基としてトリアルコキシシラン基を有する表面処理剤を考える場合、当該トリアルコキシシラン基が加水分解して生じるSi(O)
3の構造は、1個のSi原子と3個のO原子とをそれぞれ頂点とする四面体となる。ここで、Si原子が半径2.10Åの球形であり、O原子が半径1.52Åの球形であり、Si−O結合の距離が1.51Åであり、2つのSi−O結合の辺のなす角度が109.5°であると仮定する。そして、当該四面体中の3個のO原子の全てが、無機フィラー表面のヒドロキシ基と反応するとして、3個のO原子が被覆できる最小の円形面積を計算すると、表面処理剤1分子当たり1.33×10
−19m
2/分子となる。これを、1モル当たりに換算すると8.01×10
4m
2/モルとなり、この1モルあたりの面積を表面処理剤の分子量で除することで、当該表面処理剤の最小被覆面積(m
2/g)を得ることができる。
【0039】
また、表面処理剤は、シラザン化合物、アルコキシシランおよびシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの表面処理剤は、表面処理剤における反応性基以外の部分の分子量が比較的小さいものとなり、すなわち物理的な大きさが比較的小さいものとなるため、無機フィラー表面のヒドロキシ基と反応する際に、表面処理剤同士の当該部分での衝突がより生じ難いと推定される。そのため、これらの表面処理剤を使用することで、無機フィラー表面に存在するヒドロキシ基をより効果的に消失させることができ、その結果、硬化層からの無機フィラーの脱離をより効果的に抑制することができる。
【0040】
上記シラザン化合物は、下記式(1)
SiR
3−N(H)−SiR
3 … (1)
〔式(1)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数が1以上、6以下である、置換されたまたは置換されていないアルキル基を表す。〕
の構造を有する化合物であることが好ましい。
【0041】
上記式(1)において、アルキル基の炭素数は、4以下であることが好ましく、特に2以下であることが好ましい。上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基またはプロピル基が好ましく、特にメチル基またはエチル基であることが好ましい。また、アルキル基が置換されている場合、アルキル基が有する水素原子の一部または全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等により置換されていることが好ましく、特にフッ素原子により置換されていることが好ましい。
【0042】
上記シラザン化合物の具体例としては、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサ(t−ブチル)ジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサオクチルジシラザン、1,3−ジエチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジ−n−オクチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジメチルテトラフェニルジシラザン、1,3−ジエチルテトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジプロピルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等が挙げられ、これらの中でも、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを使用することが好ましい。
【0043】
上記アルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、無機フィラーの脱離を効果的に抑制できるという観点から、ジメチルジメトキシシランを使用することが好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリロキシ」は、アクリロキシおよびメタクリロキシの両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
【0044】
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
無機フィラーを表面処理剤で表面処理する方法は、特に限定されず、一般的な方法により行うことができる。例えば、混合機を用いて未処理の無機フィラーを常温にて撹拌し、そこへ表面処理剤を噴霧した後、さらに所定時間撹拌することで表面処理することができる。噴霧後の撹拌時間は、例えば5分以上、15分以下であることが好ましい。なお、表面処理剤を無機フィラーに十分に定着させるために、上記の操作後、混合機から無機フィラーを取り出して1日以上放置してもよく、また、軽微な加熱処理を行なってもよい。また、均一に表面処理を行うために、表面処理剤の噴霧した後、有機溶媒をさらに添加して、上記撹拌を行ってもよい。混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、Vブレンダー、リボンブレンダー、バブルコーンブレンダー等のブレンダー、ヘンシェルミキサー、コンクリートミキサー等のミキサー、ボールミル等が挙げられ、これらの中でもミキサーを使用することが好ましい。
【0046】
接着剤組成物中に含有される無機フィラーのうち、表面処理剤で表面処理された無機フィラーの割合は、40質量%以上であることが好ましく、特に50質量%以上であることが好ましい。当該割合が上記範囲であることで、硬化層からの無機フィラーの脱離を効果的に抑制することと、硬化層が優れた機械的強度を有することとを良好に両立することが可能となる。
【0047】
接着剤組成物中における、表面処理剤で表面処理された無機フィラーの含有量は、40質量%以上であることが好ましく、特に50質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、90質量%以下であることが好ましく、特に85質量%以下であることが好ましく、さらには80質量%以下であることが好ましい。表面処理剤で表面処理された無機フィラーの含有量が上記範囲であることで、接着剤層11がより良好な機械的強度を有するものとなる。
【0048】
(2)熱硬化性樹脂
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤組成物が熱硬化性樹脂を含有することにより、半導体チップを強固に封止することが可能となる。熱硬化性樹脂としては、接着剤層11の硬化を可能とするものであれば特に限定されず、例えば、封止材に通常含有される樹脂を使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノキシ樹脂、酸無水物化合物、アミン系化合物などが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール系硬化触媒を使用した硬化に適すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、酸無水物化合物およびアミン系化合物を使用することが好ましく、特に、優れた接着性を示すという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの混合物、またはエポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物および酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも1種との混合物を使用することが好ましい。
【0049】
エポキシ樹脂は、一般的に、加熱を受けると三次元網状化し、強固な硬化物を形成する性質を有する。このようなエポキシ樹脂としては、公知の種々のエポキシ樹脂が用いることができ、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、フェニルノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸のグリシジルエーテル;アニリンイソシアヌレート等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したグリシジル型もしくはアルキルグリシジル型のエポキシ樹脂;ビニルシクロヘキサンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−ジシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等のように、分子内の炭素−炭素二重結合を例えば酸化することによりエポキシが導入された、いわゆる脂環型エポキシドを挙げることができる。その他、ビフェニル骨格、トリフェニルメタン骨格、ジシクロヘキサジエン骨格、ナフタレン骨格等を有するエポキシ樹脂を用いることもできる。これらエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述したエポキシ樹脂の中でも、ビスフェノールAのグリシジルエーテル(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(ナフタレン型エポキシ樹脂)またはこれらの組み合わせを使用することが好ましい。
【0050】
フェノール樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリフェニルメタン型フェノール、テトラキスフェノール、ノボラック型フェノール、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するフェノール(ビフェニル型フェノール)等が挙げられ、これらの中でも、ビフェニル型フェノールを使用することが好ましい。これらのフェノール樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との反応性等の観点から、フェノール樹脂を併用することが好ましい。
【0051】
接着剤組成物中における熱硬化性樹脂の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、特に15質量%以上であることが好ましく、さらには、20質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、60質量%以下であることが好ましく、特に50質量%以下であることが好ましく、さらには40質量%以下であることが好ましい。当該含有量が10質量%以上であることで、接着剤層11の硬化がより十分なものとなり、半導体チップをより強固に封止することができる。また、当該含有量が60質量%以下であることで、接着剤層11の意図しない段階での硬化をより抑制することができ、保存安定性がより優れたものとなる。
【0052】
(3)熱可塑性樹脂
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤組成物が熱可塑性樹脂を含有することにより、接着剤層11をシート状に形成することが容易となる。そのため、当該熱可塑性樹脂としては、接着剤層をシート状に形成することを可能とするものであれば特に限定されず、例えば、封止材に通常含有される樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂の例としては、フェノキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂、シラン系樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられ、これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
フェノキシ系樹脂としては、特に限定されないものの、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型、ビスフェノールS型、ビスフェノールアセトフェノン型、ノボラック型、フルオレン型、ジシクロペンタジエン型、ノルボルネン型、ナフタレン型、アントラセン型、アダマンタン型、テルペン型、トリメチルシクロヘキサン型、ビフェノール型、ビフェニル型等が例示され、これらの中でもビスフェノールA型フェノキシ樹脂を使用することが好ましい。
【0054】
接着剤組成物中における熱可塑性樹脂の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、特に3質量%以上であることが好ましく、さらには、5質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、30質量%以下であることが好ましく、特に20質量%以下であることが好ましく、さらには10質量%以下であることが好ましい。当該含有量が上記範囲であることで、接着剤層11をシート状に形成することがより容易となる。
【0055】
(4)イミダゾール系硬化触媒
本実施形態に係る封止シート1では、接着剤組成物が、イミダゾール系硬化触媒をさらに含有することが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂の硬化反応を効果的に進行させることが可能となり、接着剤層11を良好に硬化することが可能となる。
【0056】
イミダゾール系硬化触媒の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾールなどが挙げられ、反応性の観点から、2−エチル−4−メチルイミダゾールを使用することが好ましい。なお、イミダゾール系硬化触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
接着剤組成物中におけるイミダゾール系硬化触媒の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、特に0.05質量%以上であることが好ましく、さらには、0.1質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、2.0質量%以下であることが好ましく、特に1.5質量%以下であることが好ましく、さらには1.0質量%以下であることが好ましい。当該含有量が上記範囲であることで、接着剤層11をより良好に硬化することが可能となる。
【0058】
(5)その他の成分
接着剤組成物は、前述した表面処理剤により表面処理された無機フィラーに加えて、別の無機フィラーをさらに含有してもよい。この場合、当該別の無機フィラーは、アルカリ性溶液の処理によって硬化層から脱離し難いものであることが好ましく、特に、表面にヒドロキシ基を実質的に有しない無機フィラーであることが好ましい。あるいは、当該別の無機フィラーは、アルカリ性溶液の処理によって硬化層から脱離する場合があるものの、当該脱離が硬化層の膨張に殆ど寄与しない程度にしか生じないような無機フィラーであってもよい。
【0059】
また、接着剤組成物は、さらに、可塑剤、安定剤、粘着付与材、着色剤、カップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0060】
(6)接着剤層の厚さ
接着剤層11の厚さは、封止の用途や、封止後の硬化した接着剤層11の厚さ等を考慮して設定することができるが、例えば、2μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましく、さらには10μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、500μm以下であることが好ましく、特に300μm以下であることが好ましく、さらには100μm以下であることが好ましい。接着剤層11の厚さが2μm以上であることで、接着剤層11を半導体チップの周囲に効果的に埋め込むことができる。また、接着剤層11の厚さが500μm以下であることで、封止後のチップを保護する効果を良好に得ることができる。
【0061】
2.剥離シート
本実施形態に係る封止シート1は、剥離シート12を備えていてもよい。剥離シート12の構成は任意であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。これらの剥離面(封止シート1の接着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離剤が挙げられる。
【0062】
剥離シート12の厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上、250μm以下である。
【0063】
3.封止シートの製造方法
本実施形態に係る封止シート1は、従来の封止シートと同様に製造することができる。例えば、接着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、剥離シート12の剥離面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより封止シート1を製造することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、接着剤層11を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。剥離シート12は工程材料として剥離してもよいし、封止に使用するまでの間、接着剤層11を保護していてもよい。
【0064】
また、封止シート1の両面に剥離シート12がそれぞれ積層された積層体の製造方法としては、前述の剥離シート12の剥離面上に塗工液を塗布して塗膜を形成し、これを乾燥させて接着剤層11と剥離シート12とからなる積層体を形成し、この積層体の接着剤層11における剥離シート12とは反対の面を他の剥離シート12の剥離面に貼付して、剥離シート12/接着剤層11/剥離シート12からなる積層体を得ることができる。この積層体における剥離シート12の少なくとも一方は工程材料として剥離してもよいし、封止に使用するまでの間、接着剤層11を保護していてもよい。なお、上記溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンの有機溶媒等が挙げられる。
【0065】
〔半導体装置の製造方法〕
本実施形態に係る封止シート1を使用して、半導体装置を製造することができる。特に、この製造方法は、封止シート1を使用して半導体チップを封止する工程、および当該封止により得られた封止体をアルカリ性溶液により処理する工程を含む。このような半導体装置の製造方法の例としては、基板内に内蔵される半導体チップを封止する工程を含む、チップ内蔵基板を製造する方法、粘着シート上において半導体チップを封止する工程を含む方法、封止体の表面に凹凸を形成する工程を含む方法等が挙げられる。具体的には、以下に説明する第1の態様、第2の態様および第3の態様に係る半導体装置の製造方法が挙げられる。
【0066】
1.第1の態様に係る半導体装置の製造方法
第1の態様に係る半導体装置の製造方法は、基材の少なくとも一方の面上に1または2以上の半導体チップを設ける工程(以下、第1の態様に係る製造方法について「準備工程」という場合がある。)、少なくとも当該半導体チップを覆うように、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11を積層する工程(以下、当該方法について「積層工程」という場合がある。)、および当該接着剤層11を硬化することで、当該接着剤層11が硬化してなる硬化層と、当該硬化層により封止された半導体チップと、基材とを備える封止体を得る工程(以下、当該方法について「硬化工程」という場合がある。)、硬化層における基材とは反対側の面から、硬化層と半導体チップとの界面までを貫通する孔を形成する工程(以下、当該方法について「孔形成工程」という場合がある。)、当該孔が形成された封止体をアルカリ性溶液に晒すことで、当該孔をデスミア処理する工程(以下、当該方法について「アルカリ処理工程」という場合がある。)、および当該孔を通じて半導体チップに電気的に接続された電極を形成することで、チップ内蔵基板を得る工程(以下、当該方法について「電極形成工程」という場合がある。)を含む。
【0067】
図2および
図3には、第1の態様に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する断面図が示される。最初に、
図2(a)に示されるように、準備工程として、基材3の両面上に半導体チップ2を設ける。本実施形態では、基材3の一方の面に設けられた半導体チップ2と、基材3の他方の面に設けられた半導体チップ2とが、基材3を平面視した場合に重ならない位置に設けられている。基材3上に半導体チップ2を設ける手法は特に限定されず、一般的な手法を採用することができる。例えば、ピックアップ装置を用いて、半導体チップ2が基材3の所定の位置に載置される。半導体チップ2は、粘着剤、接着剤等を使用して、基材3上に固定されてもよい。基材3の材料としては、チップ内蔵基板の製造に一般的に使用される基材を使用することができる。
【0068】
続いて、
図2(b)に示されるように、積層工程として、基材3の両面側に、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11を積層する。当該積層により、基材3上に設けられた半導体チップ2は、接着剤層11により覆われる。接着剤層11を積層する際、封止シート1における剥離シート12とは反対側の面を基材3に積層した後、剥離シート12を接着剤層11から剥離する。接着剤層11を積層する際には、半導体チップ2の周囲に空間が生じないように積層することが好ましい。
【0069】
次に、
図2(c)に示されるように、硬化工程として、接着剤層11を硬化して、硬化層11’を形成する。当該硬化は、接着剤層11を加熱することにより行うことが好ましい。当該硬化により、硬化層11’と、硬化層11’により封止された半導体チップ2と、基材3とを備える封止体4が得られる。
【0070】
次に、
図3(a)に示されるように、孔形成工程として、硬化層11’を貫通する孔5を形成する。具体的には、硬化層11’における基材3とは反対側の面から、硬化層11’と半導体チップ2との界面までを貫通する孔5を形成する。
図3(a)の断面図では、1つの半導体チップ2に対して2つの孔5が形成された様子が示されている。孔5の形成は一般的な手法を用いて行うことができ、例えば、硬化層11’における基材3とは反対の面にレーザーを照射することで孔5を形成することができる。このようなレーザー照射は、孔を形成する際に一般的なレーザー照射装置を使用して、一般的な照射条件にて行うことができる。
【0071】
次に、アルカリ処理工程として、孔5が形成された封止体4をアルカリ性溶液に晒す。上記孔形成工程では、硬化層11’に孔5を形成する際に、硬化層11’を構成する成分の残渣(スミア)が発生し、当該スミアが孔5内に残ることがある。このようなスミアは、封止体4をアルカリ性溶液に晒すことによって除去することができる。このような処理はデスミア処理とも呼ばれ、孔5内のスミアを除去することで、後述する電極成形工程において孔5内に電極を形成した際に、当該電極の導通不良を抑制することができる。アルカリ性溶液に晒す処理は、一般的な手法により行うことができ、例えば、30℃以上、120℃以下のアルカリ性溶液中に、封止体4を15分間浸漬させることで行うことができる。
【0072】
上記アルカリ性溶液としては、デスミア処理に一般的に使用される溶液(デスミア液)を使用することができ、例えば、過マンガン酸カリウムを含有する水酸化ナトリウム溶液、過マンガン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを含有する水溶液等を使用することができる。また、上記アルカリ性溶液としては、過マンガン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを含有する水溶液の他に、水酸化カリウムを含有する水溶液等も使用することができる。
【0073】
最後に、
図3(b)に示されるように、電極形成工程として、孔5内に電極6を形成する。当該電極6は、孔5を通じて半導体チップ2に電気的に接続されている。電極6の形成は、一般的な手法により行うことができる。例えば、硬化層11’における孔5を形成した面に対して、銅といった金属を用いたメッキ処理を行い、孔5に対して当該金属を埋め込む。続いて、メッキされた当該金属における不要な部分をエッチング等により除去し、残る金属片として電極6を形成することができる。なお、電極6を形成することにより、チップ内蔵基板7を得ることができる。
【0074】
本実施形態に係る封止シート1を用いて形成される硬化層11’は、前述した表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する。当該無機フィラーは、その表面に存在するヒドロキシ基の大半が表面処理剤との反応により消失している。このような無機フィラーは、アルカリ性溶液との親和性が低く、そのため、アルカリ処理工程において硬化層11’をアルカリ性溶液に晒したときに、硬化層11’から無機フィラーが脱離し難いものとなる。その結果、半導体装置のその後の製造工程や、製造された半導体装置の使用時において、硬化層11’の温度が上昇した場合であっても硬化層11’の膨張が抑制される。したがって、本実施形態に係る封止シート1を使用することで、良好な性能を有する半導体装置を製造することができる。
【0075】
なお、第1の態様に係る半導体装置の製造方法により得られるチップ内蔵基板7では、所定の半導体チップ2が内部に埋め込まれている分、基板表面に実装される半導体チップの数を減らすことができるため、基板の表面積を縮小することができる。すなわち、基板の小型化が可能となる。また、導体チップや半導体デバイスといった全ての電子部品を基板表面に実装する場合と比較して、内蔵される半導体チップと、表面に実装される電子部品との間の配線の長さを短縮することができ、これにより、電気特性を向上できるとともに、実装後の基板における電子部品の高密度化も可能となる。
【0076】
2.第2の態様に係る半導体装置の製造方法
第2の態様に係る半導体装置の製造方法は、粘着シートの粘着面上に1または2以上の半導体チップを設ける工程(以下、第2の態様に係る製造方法について「準備工程」という場合がある。)、少なくとも当該半導体チップを覆うように、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11を積層する工程(以下、当該方法について「接着剤層積層工程」という場合がある。)、当該接着剤層11を硬化することで、当該接着剤層11が硬化してなる硬化層と、当該硬化層により封止された半導体チップとを備える封止体を得る工程(以下、当該方法について「硬化工程」という場合がある。)、当該封止体から当該粘着シートを剥離する工程(以下、当該方法について「剥離工程」という場合がある。)、当該粘着シートの剥離により露出した封止体の面に、層間絶縁膜を積層する工程(以下、当該方法について「層間絶縁膜積層工程」という場合がある。)、層間絶縁膜における封止体とは反対側の面から、層間絶縁膜と半導体チップとの界面までを貫通する孔を形成する工程(以下、当該方法について「孔形成工程」という場合がある。)、孔が形成された層間絶縁膜が積層された封止体をアルカリ性溶液に晒すことで、孔をデスミア処理する工程(以下、当該方法について「アルカリ処理工程」という場合がある。)、および孔を通じて半導体チップに電気的に接続された電極を形成する工程(以下、当該方法について「電極形成工程」という場合がある。)を含む。
【0077】
図4および
図5には、第2の態様に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する断面図が示される。最初に、
図4(a)に示されるように、準備工程として、粘着シート8の片面上に半導体チップ2を設ける。粘着シート8上に半導体チップ2を設ける手法は特に限定されず、一般的な手法を採用することができる。例えば、ピックアップ装置を用いて、半導体チップ2が粘着シート8の所定の位置に載置される。この場合、粘着シート8の粘着性を有する面上に半導体チップ2を設けることが好ましい。粘着シート8としては、当該シートが発揮する粘着力によって、当該シート上に半導体チップ2を固定できるものであれば特に限定されず、基材と、当該基材に積層された粘着剤層とからなるものであってよく、または、自己粘着性を有する基材であってもよい。また、このような基材および粘着剤層は、後述する硬化工程における加熱に耐えうる耐熱性を有することが好ましい。さらに、粘着剤層は、エネルギー線硬化性であることが好ましい。これにより、エネルギー線の照射により粘着剤層を硬化させ、粘着シート8の粘着力を低下させることが可能となる。その結果、後述する剥離工程において、封止体6から粘着シート8を剥離することが容易となる。
【0078】
続いて、
図4(b)に示されるように、接着剤層積層工程として、粘着シート8における半導体チップ2が設けられた面側に、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11を積層する。当該積層により、粘着シート8上に設けられた半導体チップ2は、接着剤層11により覆われる。接着剤層11を積層する際、封止シート1における剥離シート12とは反対側の面を粘着シート8に積層した後、剥離シート12を接着剤層11から剥離する。接着剤層11を積層する際には、半導体チップ2の周囲に空間が生じないように積層することが好ましい。
【0079】
次に、
図4(c)に示されるように、硬化工程として、接着剤層11を硬化して、硬化層11’を形成する。当該硬化は、接着剤層11を加熱することにより行うことが好ましい。当該硬化により、硬化層11’と、硬化層11’により封止された半導体チップ2とを備える封止体4が得られる。
【0080】
次に、
図4(d)に示されるように、剥離工程として、封止体4から粘着シート8を剥離する。前述の通り、粘着シート8がエネルギー線硬化性を有する粘着剤層を備える場合、剥離の前に、粘着剤層に対してエネルギー線を照射して、硬化させることで、粘着シート8の粘着力を低下させ、当該剥離を容易に行うことが可能となる。
【0081】
次に、
図5(a)に示されるように、層間絶縁膜積層工程として、粘着シート8の剥離により露出した封止体4の面に、層間絶縁膜9を積層する。層間絶縁膜9としては、一般的な手法により積層することができ、例えば、CVD法、スピンコート法、ディップコート法、スプレー法等により、シリコン系材料、有機ポリマー、シリコン酸化膜等を封止体4上に製膜することで、層間絶縁膜9を形成することができる。
【0082】
次に、
図5(b)に示されるように、孔形成工程として、層間絶縁膜9を貫通する孔5を形成する。具体的には、層間絶縁膜9における基材3とは反対側の面から、層間絶縁膜9と半導体チップ2との界面までを貫通する孔5を形成する。
図5(b)の断面図では、1つの半導体チップ2に対して2つの孔5が形成された様子が示されている。孔5の形成は、一般的な方法で行ってよく、例えば、層間絶縁膜9における基材3とは反対の面にレーザーを照射することで孔5を形成してもよい。このようなレーザー照射は、孔の形成に一般的なレーザー照射装置を使用して、一般的な照射条件にて行うことができる。
【0083】
次に、アルカリ処理工程として、孔5が形成された層間絶縁膜9が積層された封止体4をアルカリ性溶液に晒す。上記孔形成工程では、層間絶縁膜9に孔5を形成する際、層間絶縁膜9を構成する成分の残渣(スミア)が発生し、当該スミアが孔5内に残ることがある。アルカリ処理工程により、孔5内のスミアを除去することができ、後述する電極成形工程において孔5内に電極を形成した際に、当該電極の導通不良を抑制することができる。ここにおいて、アルカリ性溶液に晒す手法およびアルカリ性溶液の種類は、第1の態様に係る半導体装置の製造方法において説明した手法および種類を使用することができる。
【0084】
最後に、
図5(c)に示されるように、電極形成工程として、孔5内に電極6を形成する。当該電極6は、孔5を通じて半導体チップ2に電気的に接続されている。電極6の形成は、一般的な手法により行うことができ、例えば、第1の態様に係る半導体装置の製造方法において説明した電極6の形成の手法を使用することができる。
【0085】
本実施形態に係る封止シート1を用いて形成される硬化層11’は、前述した表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する。当該無機フィラーは、その表面に存在するヒドロキシ基の大半が表面処理剤との反応により消失している。このような無機フィラーは、アルカリ性溶液との親和性が低く、そのため、アルカリ処理工程において硬化層11’をアルカリ性溶液に晒したときに、硬化層11’から無機フィラーが脱離し難いものとなる。その結果、半導体装置のその後の製造工程や、製造された半導体装置の使用時において、硬化層11’の温度が上昇した場合であっても硬化層11’の膨張が抑制される。したがって、本実施形態に係る封止シート1を使用することで、良好な性能を有する半導体装置を製造することができる。
【0086】
なお、第2の態様に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置として、ファンアウト型ウエハレベルパッケージといった半導体パッケージ等を製造することができる。
【0087】
3.第3の態様に係る半導体装置の製造方法
第3の態様に係る半導体装置の製造方法は、基材の少なくとも一方の面上または粘着シートの粘着面上に1または2以上の半導体チップを設ける工程(以下、第3の態様に係る製造方法について「準備工程」という場合がある。)、少なくとも当該半導体チップを覆うように、本実施形態に係る封止シート1における接着剤層11を積層する工程(以下、当該方法について「積層工程」という場合がある。)、当該接着剤層11を硬化することで、当該接着剤層11が硬化してなる硬化層と、当該硬化層により封止された半導体チップとを備える封止体を得る工程(以下、当該方法について「硬化工程」という場合がある。)、および、当該封止体をアルカリ性溶液に晒すことで、当該封止体の表面に凹凸を形成する工程(以下、当該方法について「アルカリ処理工程」という場合がある。)を含む。
【0088】
第3の態様に係る半導体装置の製造方法における、準備工程、積層工程および硬化工程は、第1の態様に係る半導体装置の製造方法において説明した各工程と同様に行うことができる。
【0089】
一方、第3の態様に係る半導体装置の製造方法では、アルカリ処理工程として、上記封止体4をアルカリ性溶液に晒すことで、当該封止体4の表面に凹凸を形成する。この処理の条件は、形成する凹凸に応じて適宜することができ、例えば、上記封止体4を60℃以上、90℃以下のアルカリ性溶液中に、封止体4を5分間浸漬させることで行うことができる。また、アルカリ性溶液も、形成する凹凸に応じて適宜選択され、例えば、第1の態様に係る半導体装置の製造方法の説明において挙げたアルカリ性溶液を使用することができる。
【0090】
本実施形態に係る封止シート1を用いて形成される硬化層11’は、前述した表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する。当該無機フィラーは、その表面に存在するヒドロキシ基の大半が表面処理剤との反応により消失している。このような無機フィラーは、アルカリ性溶液との親和性が低く、そのため、アルカリ処理工程において硬化層11’をアルカリ性溶液に晒したときに、硬化層11’から無機フィラーが脱離し難いものとなる。その結果、半導体装置のその後の製造工程や、製造された半導体装置の使用時において、硬化層11’の温度が上昇した場合であっても硬化層11’の膨張が抑制される。したがって、本実施形態に係る封止シート1を、アルカリ性溶液を用いた表面凹凸形成の工程を備える半導体装置の製造方法に用いる場合にも、良好な性能を有する半導体装置を製造することができる。
【0091】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0092】
以下、実施例および試験例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。
【0093】
〔実施例1〜2および比較例1〜2〕
表1に示す構成成分を混合し、メチルエチルケトンにて希釈して、固形分濃度が40質量%である接着剤組成物塗工液を得た。当該塗工液を、片面がシリコーン剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離面上に塗布し、得られた塗膜をオーブンにて100℃で1分間乾燥することで、厚さ25μmの接着剤層と剥離フィルムとからなる封止シートを得た。
【0094】
なお、表1に示される無機フィラーの表面処理は、ナスフラスコ中において、メチルエチルケトンと未処理の無機フィラー100質量部とを40℃にて撹拌した後、表面処理剤を1質量部添加し、さらに180分間撹拌することで行った。
【0095】
〔試験例1〕(表面観察)
実施例および比較例で作製した封止シートを銅張り積層板上にラミネートした後、100℃で60分間加熱し、さらに170℃で60分間加熱することにより、接着剤層を硬化させた。硬化後の接着剤層を含む封止シートと銅張り積層板との積層体を、アルカリ性溶液としての過マンガン酸カリウムを含有する水酸化ナトリウム溶液中に80℃で15分間浸漬した。当該浸漬後の測定用サンプルの表面を、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製,製品名「S−4700」)を用いて、加速電圧10kV、傾斜角30度、倍率10000倍の条件で撮影した。得られた写真を
図6〜9に示す。ここで、
図6には実施例1に係る写真が、
図7には実施例2に係る写真が、
図8には比較例1に係る写真が、
図9には比較例2に係る写真がそれぞれ示される。
【0096】
図6および7に示される写真から、実施例1および2の硬化層の表面には、白色の粒が均一に存在していることがわかる。この白色の粒は、残存している無機フィラーである。すなわち、実施例1および2の封止シートを用いて形成された硬化層では、アルカリ性溶液による処理後においても、その表面から無機フィラーの脱離が殆ど生じなかったことがわかる。
【0097】
これに対し、
図8および
図9に示される写真から、比較例1および2の硬化層の表面には、黒色のくぼみが多数存在する様子がわかる。この黒色のくぼみは、無機フィラーが脱離して生じた空洞である。すなわち、比較例1および2の封止シートを用いて形成された硬化層では、アルカリ性溶液による処理により、多数の無機フィラーが脱離したことがわかる。
【0098】
ここで、表1に示す構成成分の詳細は以下の通りである。
[熱可塑性樹脂]
BisA型フェノキシ樹脂:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製,製品名「jER1256」)
[熱硬化性樹脂]
BisA型エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製,製品名「jER828」)
ビフェニル型エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製,製品名「NC−3000−L」)
ナフタレン型エポキシ樹脂:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製,製品名「HP−4700」)
ビフェニル型フェノール:ビフェニル型フェノール(明和化成社製,製品名「MEHC−7851−SS」)
[硬化触媒]
イミダゾール系熱硬化触媒:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成社製,製品名「2E4MZ」)
[無機フィラー]
シラザン処理シリカフィラー:シリカフィラー(アドマテックス社製,製品名「SO−C2」,平均粒径:0.5μm,最大粒径:2μm,形状:球状)を、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(信越化学社製,製品名「SZ−31」,最小被覆面積:967m
2/g)を用いて表面処理したもの
ジメチルジメトキシシラン処理シリカフィラー:シリカフィラー(アドマテックス社製,製品名「SO−C2」,平均粒径:0.5μm,最大粒径:2μm,形状:球状)を、ジメチルジメトキシシラン(信越化学社製,製品名「KBM−22」,最小被覆面積:649m
2/g)を用いて表面処理したもの
エポキシシラン処理シリカフィラー:シリカフィラー(アドマテックス社製,製品名「SO−C2」,平均粒径:0.5μm,最大粒径:2μm,形状:球状)を、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製,製品名「KBM−403」,最小被覆面積:330m
2/g)を用いて表面処理したもの
ビニルシラン処理シリカフィラー:シリカフィラー(アドマテックス社製,製品名「SO−C2」,平均粒径:0.5μm,最大粒径:2μm,形状:球状)を、ビニルトリメトキシシラン(信越化学社製,製品名「KBM−1003」,最小被覆面積:515m
2/g)を用いて表面処理したもの
【0099】
【表1】
【0100】
以上のように、実施例で得られた封止シートは、アルカリ性溶液による処理によっても硬化層からの無機フィラーの脱離が生じ難くかった。
アルカリ性溶液を用いた処理工程を有する半導体装置の製造方法において、基板内に内蔵される半導体チップ2の封止または粘着シート8上における半導体チップ2の封止に用いられる封止シート1であって、封止シート1は、少なくとも硬化性の接着剤層11を備え、接着剤層11は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および最小被覆面積が550m
/g以下である表面処理剤により表面処理された無機フィラーを含有する接着剤組成物から形成されたものである封止シート1。かかる封止シート1は、硬化層11’から無機フィラーが脱離し難い。