特許第6357306号(P6357306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357306
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】長尺材の連続雰囲気熱処理炉
(51)【国際特許分類】
   C21D 1/00 20060101AFI20180702BHJP
   F27B 9/14 20060101ALI20180702BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20180702BHJP
   F27B 9/12 20060101ALI20180702BHJP
   F27B 9/39 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   C21D1/00 112D
   C21D1/00 112G
   C21D1/00 112J
   C21D1/00 112F
   C21D1/00 119
   F27B9/14
   F27B9/24 E
   F27B9/12
   F27B9/39
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-188169(P2013-188169)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-54981(P2015-54981A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591114102
【氏名又は名称】大同プラント工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】川手 賢治
(72)【発明者】
【氏名】森田 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】森 祐治
(72)【発明者】
【氏名】安藤 秀哲
【審査官】 佐藤 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−257950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00
F27B 9/00− 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気ガス下に鋼製の長尺材を連続して加熱し、冷却する長尺材の連続雰囲気熱処理炉において、
長尺材の搬送手段として、加熱室及び冷却室にメッシュベルトが装備されており、また冷却室以降の処理室にローラハースが装備されて成り、
加熱室及び冷却室に複数のローラが回転可能に所定間隔で敷設されており、該複数のローラに係合して無端のメッシュベルトが架設されていて、該複数のローラの回転によって該無端のメッシュベルトが作動し、該メッシュベルト上の長尺材を連続搬送するようにしたことを特徴とする長尺材の連続雰囲気熱処理炉。
【請求項2】
冷却室に、メッシュベルト上を連続搬送される長尺材に上下から冷却ガスを噴射する急速ガス冷却手段が装備された請求項1に記載の長尺材の連続雰囲気熱処理炉。
【請求項3】
加熱室の上流側と冷却室の下流側にガスパージ室が接続されており、冷却室の下流側のガスパージ室の入口側及び出口側に開閉扉が装備されていて、長尺材の熱処理中は常時、冷却室の下流側のガスパージ室の入口側の開閉扉又は出口側の開閉扉のいずれか一方が閉じた状態となるようにした請求項1又は請求項2に記載の長尺材の連続雰囲気熱処理炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長尺材の連続雰囲気熱処理炉に関し、更に詳しくは、鋼製のパイプやバー等の長尺材を発熱形ガスや吸熱形ガス等の雰囲気ガス下に連続して加熱し、冷却して熱処理する際に、かかる長尺材にビルドアップが付着することなく、また疵、曲がり、変色等が生じることなく、長尺材を効率的に熱処理することができる長尺材の連続雰囲気熱処理炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続雰囲気熱処理炉としては、ワークの搬送手段として、加熱室及び冷却室にローラハースを装備するものが提案されており(例えば特許文献1及び2参照)、また加熱室にローラハースを装備し、冷却室にメッシュベルトを装備するものも知られている。
【0003】
しかし、ワークの搬送手段として加熱室にローラハースを装備するものは、なかでもワークが鋼製のパイプやバー等の長尺材であり、かかる長尺材をライダ等を用いることなく直に搬送する場合、加熱処理中に、複数のローラに付着して堆積したビルドアップが長尺材に付着することを避けられず、また長尺材の先端が複数のローラと繰り返し衝突したり、長尺材が複数のローラと繰り返し擦れ合ったり、長尺材がローラ間で垂れたり、場合によっては長尺材の先端がローラの下に潜り込んだりして、長尺材に疵や曲がり等が生じることを避けられないという問題がある。
【0004】
またワークの搬送手段として冷却室にメッシュベルトを装備するものは、メッシュベルトを炉床板の上を滑らせて搬送するものであり、摩擦係数が大きく、引張力も大きくなるため、メッシュベルトは強固で重量が重くなり、加熱した長尺材の冷却を制御すること、例えば急冷することが難しく、結果として、長尺材の冷却に時間がかかり、また冷却が長尺材の肉厚によって不均一になって、これにより変色を生じたり、曲がりを生じたり、硬度が不充分になったり、更には比較的高温の状態で冷却室から排出されることが多いためにその取扱いが厄介であったりする等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−9594号公報
【特許文献2】特開2005−48264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、鋼製のパイプやバー等の長尺材を発熱形ガスや吸熱形ガス等の雰囲気ガス下に連続して加熱し、冷却して熱処理する際に、かかる長尺材にビルドアップが付着することなく、また疵、曲がり、変色等が生じることなく、長尺材を効率的に熱処理することができる長尺材の連続雰囲気熱処理炉を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決する本発明は、雰囲気ガス下に鋼製の長尺材を連続して加熱し、冷却する長尺材の連続雰囲気熱処理炉において、長尺材の搬送手段として、加熱室及び冷却室にメッシュベルトが装備されており、また冷却室以降の処理室にローラハースが装備されて成ることを特徴とする長尺材の連続雰囲気熱処理炉に係る。
【0008】
本発明に係る長尺材の連続雰囲気熱処理炉(以下、単に本発明の熱処理炉という)は、雰囲気ガス下に鋼製の長尺材を連続して加熱し、冷却して熱処理する、例えば焼鈍処理する熱処理炉である。熱処理する鋼製の長尺材は、パイプやバー等であるが、通常は長さが4〜6m程度のパイプである。雰囲気ガスとしては、熱処理目的に応じて、発熱形ガスや吸熱形ガスの他に、窒素形ガスや発熱吸熱ガス等を使用できる。
【0009】
本発明の熱処理炉は、加熱室及びその下流側に接続された冷却室を備え、通常は加熱室の上流側にパージ兼予熱室が接続されており、また冷却室の下流側にもパージ室が接続されている。上流側のパージ兼予熱室及び下流側のパージ室にはそれらの入口側及び出口側に開閉扉が装備されており、これらの開閉扉は通常、モータ駆動又はシリンダ駆動により昇降するようになっている。また加熱室には加熱源としてラジアントチューブやヒータ等が装備されている。更に冷却室には、加熱後のワークの冷却に水冷ジャケットからの輻射冷却を利用する冷却手段や、加熱後のワークに雰囲気ガスを循環させながら冷却して噴射する急速ガス冷却手段等が装備されている。そしてこれらの上流側のパージ兼予熱室、加熱室、冷却室及び下流側のパージ室には雰囲気ガスが供給されるようになっている。
【0010】
本発明の熱処理炉も、従来の連続雰囲気熱処理炉と同様、上流側のパージ兼予熱室、加熱室、冷却室及び下流側のパージ室に、ワークの搬送手段を備えているが、本発明の熱処理炉では、加熱室及び冷却室に、通常は更に加熱室の上流側のパージ兼予熱室にも、搬送手段としてメッシュベルトが装備されており、冷却室以降の処理室、例えば冷却室の下流側のパージ室にはローラハースが装備されている。ワークが長尺物、例えば長さが4〜6m程度のパイプの場合、これらのパイプをメッシュベルト上に搬送方向に沿うよう並列に載置し、かかる状態で連続搬送しつつ、加熱し、冷却した後、ローラハースへと移し替えるのである。
【0011】
メッシュベルト上に載置した状態でワークとして長尺物を連続搬送しつつ加熱し、冷却すると、長尺物をその上下から効率的に加熱し、冷却できるため、所望の熱処理を効率的に行なうことができ、しかも長尺物にビルトアップが付着したり、また疵、曲がり、変色等が生じるのを防止することができる。
【0012】
本発明の熱処理炉において、搬送手段としてのメッシュベルトは、駆動源としての駆動モータからの回転力がチェーン等を介して無端のメッシュベルトに直接加えられるようにしたものでもよいが、加熱室及び冷却室に、通常は更に加熱室の上流側のパージ兼予熱室にも、複数のローラが回転可能に所定間隔で敷設されており、該複数のローラに係合して無端のメッシュベルトが架設されていて、駆動源としての駆動モータの回転力がチェーン等を介して複数のローラに直接加えられ、かかる複数のローラと接する無端のメッシュベルトがかかる複数のローラとの摩擦力によってのみ作動するようにしたものが好ましい。
【0013】
前記のように複数のローラとの摩擦力によってのみ作動するようにした、すなわちかかる複数のローラを取り囲むようにして回転するようにした無端のメッシュベルトは、相応に軽量の細線により粗目に作製することができ、またかかるメッシュベルトを支持する複数のローラも相応に軽量で小径のものを長い間隔で敷設することができるため、結果として、かかるメッシュベルト上に載置した状態でワークとしての長尺物を連続搬送しつつ加熱し、冷却すると、長尺物をその上下からより効率的に加熱し、冷却できるため、所望の熱処理をより効率的に行なうことができ、しかも長尺物にビルトアップが付着したり、また疵、曲がり、変色等が生じるのをより有効に防止することができる。また、万が一、メッシュベルトに長尺物の錆やボンデ等が付着した場合でも、炉外のブラシ装置等で容易に取り除くことができる。
【0014】
本発明の熱処理炉において、冷却室に装備する冷却手段は、水冷ジャケットのようなものでもよいが、メッシュベルト上を連続搬送される加熱後の長尺材にそれ上下から冷却ガスを噴射する急速ガス冷却手段が好ましい。冷却室内の雰囲気ガスをクーラで冷却し、冷却した雰囲気ガスをファンで送風しつつ、メッシュベルト上を連続搬送される加熱後の長尺材にその上下から噴射して、噴射後の雰囲気ガスを前記のクーラへと循環させる操作を行ない、長尺材を急冷するのである。
【0015】
前記のような急速ガス冷却手段は、メッシュベルト上を連続搬送される加熱後の長尺物を、その上下から更により効率的に均一に冷却できるため、所望の熱処理を更により効率的に行なうことができ、しかも長尺物にビルトアップが付着したり、また疵、曲がり、変色等が生じるのを更により有効に防止することができる。
【0016】
本発明の熱処理炉において、加熱室の上流側と冷却室の下流側にガスパージ室を接続し、冷却室の下流側のガスパージ室の入口側及び出口側に開閉扉を装備して、長尺材の熱処理中は常時、冷却室の下流側のパージ室における入口側の開閉扉又は出口側の開閉扉のいずれか一方を閉じた状態となるように制御するのが好ましい。冷却室の下流側のパージ室において、入口側の開閉扉及び出口側の開閉扉を例えばシリンダ駆動で昇降させて開閉する場合、入口側の開閉扉のシリンダ駆動と出口側の開閉扉のシリンダ駆動のタイミングを制御装置から発せられる信号により制御して、入口側の開閉扉及び出口側の開閉扉のいずれか一方を閉じた状態にするのである。
【0017】
前記のように、冷却室の下流側のパージ室において、長尺材の熱処理中は常時、入口側の開閉扉及び出口側の開閉扉のいずれか一方を閉じた状態にすると、所謂トンネル効果が生じるのを防止でき、上流側の冷却室で冷却した雰囲気ガスを相応に激しく噴射して加熱後の長尺材を急冷しても、冷却室やその上流側の加熱室の雰囲気が乱れるのを防止できるため、結果として、メッシュベルト上を連続搬送される長尺物をその上下から更に一層効率的に冷却できるため、所望の熱処理を更に一層効率的に行なうことができ、しかも長尺物にビルトアップが付着したり、また疵、曲がり、変色等が生じるのを更に一層有効に防止することができる。また、下流側のパージ室に長尺物が入り終わったら、入口側の扉を閉め、出口側の扉を開けて、迅速搬送で抽出すれば、ロスタイムがほとんどなく、更に効率的な操業ができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の熱処理炉によると、鋼製のパイプやバー等の長尺材を発熱形ガスや吸熱形ガス等の雰囲気ガス下に連続して加熱し、冷却して熱処理する際に、かかる長尺材にビルドアップが付着することなく、また疵、曲がり、変色等が生じることなく、長尺材を効率的に熱処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の熱処理炉を側面から見た縦断面の状態で例示する全体図。
図2図1と同じ熱処理炉を側面から見た縦断面の状態で示す部分拡大図。
図3図1と同じ熱処理炉を正面(熱処理炉の入口側)から見た縦断面の状態で示す部分拡大図。
【実施例】
【0020】
図1は本発明の熱処理炉を側面から見た縦断面の状態で例示する全体図である。図1に例示した熱処理炉は、パージ兼予熱室11、加熱室13、冷却室14及びパージ室15がこの順で入口側(図1の左手側)から出口側(図1の右手側)へと接続されている。パージ室11の入口側には開閉扉21が装備されており、またパージ室15の入口側及び出口側には開閉扉22,23が装備されている。パージ兼予熱室11、加熱室13、冷却室14及びパージ室15には、図示しない雰囲気ガス発生装置35からバルブ31〜34を介して雰囲気ガスが供給されるようになっている。
【0021】
加熱室13には加熱源としてヒータ41,42が装備されており、冷却室14には急速ガス冷却手段として冷却ガス循環噴射装置43,44が装備されている。
【0022】
パージ兼予熱室11、加熱室13及び冷却室14には複数のローラ51が回転可能に所定間隔で敷設されている。各ローラ51はその両端部が回転可能に軸受されており、これらのローラ51の少なくとも一端部にはスプロケットが取付けられていて、図示しない駆動モータを回転させると、チェーン及びこれと噛合する前記のスプロケットを介して各ローラ51が同調して回転するようになっている。各ローラ51は、後述するパージ室15のローラハース52と比べて、相応に軽量で小径のものが比較的長い間隔で敷設されている。
【0023】
前記の各ローラ51には、これと係合して無端のメッシュベルト61が架設されている。無端のメッシュベルト61は、冷却室14の出口側に設置されたウォーターシール装置61a、複数の支持ローラ61b及びテンションプーリ61cを経由して、パージ兼予熱室11、加熱室13及び冷却室14に敷設されたローラ51に到る経路で、複数のローラ51を取り囲むように、パージ兼予熱室11、加熱室13及び冷却室14内では複数のローラ51に載置された状態になっており、複数のローラ51が前記したように同調して回転すると、かかる複数のローラ51との摩擦力によってのみ作動するようになっている。無端のメッシュベルト61には余分な負荷がかからないため、相応の軽量の細線により粗目に作製されている。
【0024】
図2図1と同じ熱処理炉を側面から見た縦断面の状態で示す部分拡大図、また図3図1と同じ熱処理炉を正面(熱処理炉の入口側)から見た状態で示す部分拡大図である。冷却室14に装備された冷却ガス循環噴射装置43,44は同じ構造となっているので、以下冷却ガス循環噴射装置43について説明する。冷却ガス循環噴射装置43は、駆動モータ43a、駆動モータ43aの回転によって回転するファン43b、ファン43bに接続されたダクトから分岐されたダクト43c,43d、ダクト43c,43dに取付けられたダンパ43e,43f、ファン43bに相対して装備されたクーラ43g及びクーラ43gに接続されたダクト43hを備えている。
【0025】
ダクト43cの先端部は無端のメッシュベルト61上を連続搬送される加熱後の長尺物を上側から臨む位置にあり、またダクト43dの先端部は無端のメッシュベルト61上を連続搬送される加熱後の長尺物を下側から臨む位置にあって、双方の先端部には、無端のメッシュベルト61上を連続搬送される加熱後の長尺物にその上下から冷却したガスを噴射するスリットが形成されている。冷却室14内の雰囲気ガスをクーラ43gで冷却し、冷却した雰囲気ガスをファン43bでダクト43,43dを介して、無端のメッシュベルト61上を連続搬送される加熱後の長尺物にその上下から噴射して長尺物を急冷し、噴射後の雰囲気ガスをダクト43hを介してクーラ43gへと吸引するという操作を繰り返すようになっている。
【0026】
パージ室15には、搬送手段としてローラハース52が装備されている。ローラハース52それ自体は従来と同様のもので、したがってローラハース52の複数のローラは、加熱室13や冷却室14に敷設されたローラ51と比べて、相応に堅牢で重量に富む大径のローラが比較的短い間隔で敷設されたものとなっている。パージ室15の入口側の開閉扉22及び出口側の開閉扉23はシリンダ駆動により昇降し、そのタイミングが、またローラハース52を回転させる駆動モータ71の作動のタイミングが、制御装置72から発せられる信号により制御されていて、長尺物の熱処理中は常時、開閉扉22,23のうちでいずれか一方が必ず閉じた状態となるように制御されている。
【符号の説明】
【0027】
11 パージ兼予熱室
13 加熱室
14 冷却室
15 パージ室
21〜23 開閉扉
42 ヒータ
43,44 冷却ガス循環噴射装置
51 ローラ
52 ローラハース
61 メッシュベルト
72 制御装置
43b ファン
43c,43d,43h ダクト
43g クーラ
61a ウォーターシール装置
図1
図2
図3