特許第6357310号(P6357310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357310ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子及び該ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子より得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357310
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子及び該ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子より得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   C08J9/12
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-250251(P2013-250251)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-108033(P2015-108033A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】米田 祥美
【審査官】 弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−053273(JP,A)
【文献】 特開2008−274024(JP,A)
【文献】 特開平10−316791(JP,A)
【文献】 特開2009−126914(JP,A)
【文献】 特開2009−256460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリプロピレン系樹脂95.0〜99.5重量%と、(B)180℃での動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率との比率である損失正接tanδが0.6以上2.0以下である改質ポリプロピレン系樹脂0.5〜5.0重量%からなる樹脂混合物[(A)および(B)の合計量を100重量%とする]を基材樹脂とするポリプロピレン系樹脂粒子を発泡して得られるものであり、
改質ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが8g/10分以上であることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
【請求項2】
改質ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが80g/10分以下であることを特徴とする、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
【請求項3】
改質ポリプロピレン系樹脂が、線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合して得られた改質ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
【請求項4】
ポリプロピレン系樹脂粒子、水および発泡剤を耐圧容器中に収容し、攪拌条件下に分散させると共に、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温した後、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出してポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を金型に充填し、型内発泡成形させることによって得られることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子および、該ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子から得られる型内発泡成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、緩衝性、軽量性、断熱性などの特徴をもつ。
同様の型内発泡成形体と比較しても、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体と比較すると、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率に優れている。また、ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体と比較すると、寸法精度、耐熱性、圧縮強度が優れている。
【0003】
これらの特徴により、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材をはじめ、断熱材、緩衝包装材など様々な用途に用いられている。最近では、自動車業界において低環境負荷の側面からガソリンの消費量低減のため自動車の燃費向上の需要が大きくなっており、燃費向上に大きく貢献できる自動車重量の軽量化、すなわち自動車部材として用いられる型内発泡成形体の軽量化が求められている。
【0004】
通常、型内発泡成形体の軽量化に対し、剛性の高いポリプロピレン系樹脂を使用して軽量化前の成形体の物性を維持する方法が取られている。一般に、高い剛性のポリプロピレン系樹脂とは、コモノマー含量の少ない、融点の高い樹脂であるが、樹脂の融点が高くなるに従って、良好な成形体を得る為に必要となる成形加熱蒸気圧力は高くなる傾向にある。このため、より高い剛性を求める場合、加熱蒸気の多量消費の為、ユーティリティーコストが高くなり、成形加工コストが高くなる。
【0005】
さらに、高剛性の樹脂を用いた場合、加熱成形圧が高くなることから、耐圧仕様の高い成形機や金型を用いる必要が生じ、ユーティリティーコストに加え、設備コストが高くなる。現在ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の型内発泡成形用の成形機は、耐圧0.4MPaの仕様であるものが大半を占めており、該成形機を用いて通常生産される成形加熱蒸気圧力は概ね0.36MPa程度までである。型内発泡成形用に用いられるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、これに対応できるような特性の樹脂を用いており、一般には融点が130〜150℃程度のプロピレン/エチレンランダム共重合体が用いられている。
【0006】
他方、型内発泡成形体の剛性を向上する為の技術に関して、従来より様々な技術が検討されている。
特許文献1には、基材樹脂として融点が149〜157℃、メルトフローレートが1〜20g/10分、かつ半結晶時間が一定の値以下のプロピレン系ランダム共重合体を基材樹脂として用いる技術が開示されている。しかしながら、該技術は、型内発泡成形に必要となる加熱蒸気圧力が0.42MPaと高く、耐圧性能の高い成形機を必要とする。
【0007】
また、特許文献2には、1−ブテンがコモノマーとして3〜12重量%含むポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いることにより、成形加熱蒸気圧力が0.3MPa前後で高い剛性を持つポリプロピレン系樹脂発泡成形体が得られる技術が開示されている。しかし、エチレン成分を含まない1−ブテン単独系のポリプロピレン系樹脂ランダム共重合体は、エチレン成分を含むポリプロピレン系樹脂に比べて、硬く脆い性質がある。1−ブテン単独系のポリプロピレン系樹脂ランダム共重合体を発泡体の基材樹脂として用いた場合、自動車部材用途では緩衝特性、圧縮後の寸法回復性や低温領域での衝撃性が劣るという問題がある。
【0008】
但し、特許文献1、2は、重合時のコモノマー量を変更することによって高剛性とする技術である為、ポリプロピレン系樹脂として特殊な品種となり、樹脂コストが高い。
一方、一般的に市販されている汎用ポリプロピレン系樹脂の剛性を高める技術としては、結晶核剤やタルクなどの無機物を添加する技術があるが、射出成形でしか効果が発現せず、型内発泡成形体では成形性を悪化させて剛性が低下する傾向にあり、ほとんど技術が開発されていない。
【0009】
型内発泡成形体の剛性を高くする技術として、改質ポリプロピレン系樹脂を用いた技術が報告されている。
特許文献3では、高剛性の改質ポリプロピレン系樹脂をポリプロピレン系樹脂に添加し、押出発泡法により予備発泡粒子を得る技術が開示されている。しかしながら、当該特許では高い剛性を得る為に、改質ポリプロピレン系樹脂の出発樹脂として高剛性である高融点のポリプロピレン系単独重合体を使用しており、且つ実施例の添加量は25%と多い為、型内発泡成形時の伸びに改善の余地があり、良品の型内発泡成形体が得られにくい問題があった。
【0010】
また、特許文献4では、ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混練して得られた高剛性の改質ポリプロピレン系樹脂を除圧発泡法にて予備発泡粒子とする技術が開示されている。しかしながら、基材樹脂のポリプロピレン系樹脂すべてを改質する為、溶融粘度が非常に高くなり、型内発泡成形時の伸びを悪化させ、良品の型内発泡成形体が得られにくい問題があった。
【0011】
一方、特許文献5では、ポリプロピレン系樹脂にポリエーテルをブロック共重合させた改質ポリプロピレン系樹脂を添加する技術が開示されている。しかし、一般的にポリプロピレン系樹脂は他の素材だけでなく、例えばポリプロピレン系単独重合体とプロピレン/エチレンランダム共重合体のように組成の異なるポリプロピレン系樹脂の場合やメルトフローレートの異なるポリプロピレン系樹脂との相溶性が非常に悪い。したがって、特許文献5では、ポリプロピレン−ポリエーテル共重合体をポリプロピレン系樹脂に添加すると相溶せず、型内発泡成形体の強度は低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−156879号公報
【特許文献2】特開平1−242638号公報
【特許文献3】特開2008−274024号公報
【特許文献4】特開2009−256460号公報
【特許文献5】特開2009−298931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、0.4MPa耐圧仕様の成形機にて融着・表面美麗性に優れ、且つ剛性の高い型内発泡成形体を得ることができるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、樹脂融点が低い、すなわち、剛性の低いポリプロピレン系樹脂であっても、溶融時の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率との比率である損失正接tanδが0.6以上2.0以下である改質ポリプロピレン系樹脂を少量添加することにより、改質時に用いられる基材のポリプロピレン系樹脂との相溶性を損なわない為、融着、表面美麗性に優れ、且つ剛性が高くなることを見出し、本発明の完成に至った。
【0015】
すなわち、本発明の第1は、
(A)ポリプロピレン系樹脂95.0〜99.5重量%と、(B)180℃での動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率との比率である損失正接tanδが0.6以上2.0以下である改質ポリプロピレン系樹脂0.5〜5.0重量%からなる樹脂混合物[(A)および(B)の合計量を100重量%とする]を基材樹脂とするポリプロピレン系樹脂粒子を発泡して得られることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に関する。
【0016】
好ましい形態としては、
(1)改質ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが5g/10分以上80g/10分以下であることを特徴とする、前記記載のポリプロピレン系予備発泡粒子、
(2)改質ポリプロピレン系樹脂が、線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合して得られた改質ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする、前記記載のポリプロピレン系予備発泡粒子である。
【0017】
本発明の第2は、耐圧容器内に、前記ポリプロピレン系樹脂粒子、水および発泡剤を収容し、撹拌条件下分散させると共に、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温した後、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出してポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
【0018】
本発明の第3は、前記ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を金型に充填し、型内発泡成形させることによって得られることを特徴とするポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、0.4MPa耐圧仕様の成形機での型内発泡成形時にて融着・表面美麗性に優れ、また、得られた発泡成形体は高い剛性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のポリプロピレン系樹脂の融点を求めるために、示差走査熱量測定(DSC)において、ポリプロピレン系樹脂粒子を10℃/分の昇温速度での40℃から220℃まで昇温し、次に10℃/分の降温速度での220℃から40℃まで降温し、そして10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで2回目の昇温操作を行い、該2回目の昇温時のDSC曲線の一例である。
図2】本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の、10℃/分の昇温速度にて40℃から220℃まで昇温する示差走査熱量測定(DSC)より得られるDSC曲線(温度vs吸熱量)の一例である。DSC曲線は、2つの融解ピークを有し、低温側融解熱量領域Qlと高温側融解熱量領域Qhの2つの融解熱量領域を有している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子は、(A)ポリプロピレン系樹脂および、(B)180℃での動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率との比率である損失正接tanδが0.6以上2.0以下である改質ポリプロピレン系樹脂からなる樹脂混合物を基材樹脂とするポリプロピレン系樹脂粒子を発泡して得られるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子である。
【0022】
本発明で用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂は、コモノマーとして1−ブテンおよび/またはエチレンを含むポリプロピレン系ランダム共重合体である。
但し、1−ブテンやエチレン以外のコモノマーを含んでいても良く、このようなコモノマーとしては、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどのα−オレフィンが挙げられる。更にはシクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエンなどが、挙げられる。
【0023】
本発明においては、ポリプロピレン系ランダム共重合体の中でも、良好な発泡性の観点から、プロピレン/エチレン/1−ブテンランダム共重合体、あるいはプロピレン/エチレンランダム共重合体が好ましい。
【0024】
更に、これらプロピレン/エチレンランダム共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテンランダム共重合体においては、ポリプロピレン系樹脂100重量%中、プロピレンからなる構造単位が90重量%以上99.8重量%以下、1−ブテンおよび/またはエチレンからなる構造単位が0.2重量%以上10重量%以下であることが好ましく、プロピレンからなる構造単位が92重量%以上99重量%以下、1−ブテンおよび/またはエチレンからなる構造単位が1重量%以上8重量%以下であることがより好ましい。
プロピレンからなる構造単位が99.8重量%を超え、1−ブテンおよび/またはエチレンからなる構造単位が0.2重量%未満では、型内発泡成形する際の成形加熱蒸気圧力が高くなる傾向がある。プロピレンからなる構造単位が90重量%未満で、1−ブテンおよび/またはエチレンからなる構造単位が10重量%を超えると、型内発泡成形体の寸法安定性が低下する傾向や圧縮強度が低下する傾向がある。
【0025】
本発明において、1−ブテンからなる構造単位としては、ポリプロピレン系樹脂100重量%中、6重量%以下が好ましく、3重量%以上5重量%以下がさらに好ましい。
1−ブテンからなる構造単位が6重量%を超えると、ポリプロピレン系ランダム共重合体自体の剛性が弱くなり、圧縮強度等の実用剛性を満足しなくなる傾向がある。
【0026】
本発明において、エチレンからなる構造単位としては、ポリプロピレン系樹脂100重量%中、0.2重量%以上4重量%以下が好ましく、0.2重量%以上3.5重量%以下がさらに好ましい。
エチレンからなる構造単位が4重量%を超えると、圧縮強度等の実用剛性に耐えなくなる傾向がある。
【0027】
本発明のポリプロピレン系樹脂を重合する際の触媒としては、特に制限は無く、チーグラーナッタ系重合触媒やメタロセン系重合触媒などを用いることができる。
【0028】
本発明で用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂の融点は、125℃以上153℃以下であり、130℃以上150℃以下であることが好ましく、135℃以上148℃以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の融点が125℃未満では、型内発泡成形体の寸法安定性が低下する傾向があり、融点が155℃を超えると、型内発泡成形する際の成形加熱蒸気圧力が高くなる傾向がある。
【0029】
ここで、ポリプロピレン系樹脂の融点の測定は、示差走査熱量計DSC[例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、次のように行う。すなわち、ポリプロピレン系ランダム共重合体樹脂5〜6mgを、10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して樹脂を融解し、その後10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、再度10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温し、このような一連の温度履歴を与えた時に得られるDSC曲線から、2回目の昇温時の融解ピーク温度を融点とする。
【0030】
本発明で用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以降、「MFR」と称する。)としては、特に制限は無いが、0.5g/10分以上100g/10分以下が好ましく、2g/10分以上50g/10分以下がより好ましく、3g/10分以上20g/10分以下がさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂のMFRが上記範囲にあると、比較的大きな発泡倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られやすく、それを型内発泡成形して得られた型内発泡成形体の表面美麗性が優れ、寸法収縮率が小さいものを得ることができる。
【0031】
ここで、ポリプロピレン系樹脂のMFRの値は、JIS−K7210記載のMFR測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で測定した時の値である。
【0032】
本発明における(B)改質ポリプロピレン系樹脂としては、線状のポリプロピレン系樹脂(以下、ポリプロピレン系樹脂のことを「原料ポリプロピレン系樹脂」と称する)に電子線を照射して長鎖分岐を導入したもの(例えば、ボレアリス社製HMS−PP)や、原料ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂、等が挙げられる。
特に、原料ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂が、製造が容易で経済的に有利な点から好ましい。さらに改質ポリオレフィン系樹脂と予備発泡粒子の基材樹脂が同じポリオレフィン系樹脂である為、剛性が高くなったかどうかの技術的判断が明確といえる。
【0033】
本発明の(B)改質ポリプロピレン系樹脂の製造で用いられるラジカル重合性単量体としては、1,3−ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエン系単量体、スチレンやα−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体、トリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどの多官能単量体などが例示される。
これらの内、少量で基材ポリプロピレン系樹脂の改質が可能なことから、イソプレンが好ましい。
【0034】
本発明におけるラジカル重合性単量体の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.1重量部以上1重量部以下であることが好ましい。
【0035】
本発明の(B)改質ポリプロピレン系樹脂の製造で用いられるラジカル重合開始剤としては、1分間半減期温度が高く、水素引き抜き性が高い有機化酸化物であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;
パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;
t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが例示される。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらラジカル重合開始剤の内、少量で原料ポリプロピレン系樹脂の改質が可能なことから、パーオキシエステルが好ましい。
【0036】
本発明の(B)改質ポリプロピレン系樹脂の製造におけるラジカル重合開始剤の添加量としては、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.1重量部以上1.4重量部以下であることが好ましい。
【0037】
本発明における(B)改質ポリプロピレン系樹脂を製造する工程は、各原料を樹脂の溶融状態で混練しうる装置内で行うことが好ましい。このような混練装置としては、生産性が高いことから押出機がより好ましく、効率的に反応し得ることから、二軸押出機が特に好ましい。
【0038】
本発明における(B)改質ポリプロピレン系樹脂を製造する工程において、各原料を押出機に供給する方法に特に制限はないが、例えば、ラジカル重合性単量体にイソプレンを用いる場合、原料ポリプロピレン系樹脂とラジカル重合開始剤を二軸押出機ホッパーに供給し、樹脂溶融後に押出機途中からイソプレンを圧入する方法などが例示される。
【0039】
本発明で用いられる(B)改質ポリプロピレン系樹脂の230℃におけるMFRは、5g/10分以上80g/10分以下であることが好ましく、8g/10分以上50g/10分以下であることがより好ましい。
改質ポリプロピレン系樹脂のMFRが5g/10分未満の場合は、改質ポリプロピレンの粘度が非常に高い為、成形時の伸びが悪化し、表面美麗性が劣ると共に、改質ポリプロピレン系樹脂が添加されるポリプロピレン系樹脂への相溶性が低下する為、剛性が低下する傾向がある。一方、改質ポリプロピレン系樹脂のMFRが80g/10分超では、改質度が低い為、高剛性の効果を示さない傾向がある。
【0040】
本発明の(B)改質ポリプロピレン系樹脂の180℃での動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率との比率である損失正接tanδ(以下、単に「tanδ」と称す場合がある)は、0.6以上2.0以下が好ましく、0.8以上1.5以下がより好ましい。
改質ポリプロピレン系樹脂のtanδが0.6未満の場合は、改質ポリプロピレンの粘度が非常に高い為、成形時の伸びが悪化し、表面美麗性が劣ると共に、改質ポリプロピレン系樹脂が添加されるポリプロピレン系樹脂への相溶性が低下する為、剛性が低下する傾向がある。改質ポリプロピレン系樹脂のtanδが2.0超の場合は、改質度が低い為、高剛性の効果を示さない傾向がある。
【0041】
本発明における(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)改質ポリプロピレン系樹脂の混合比率としては、(A)ポリプロピレン系樹脂95.0〜99.5重量%および(B)改質ポリプロピレン系樹脂0.5〜5.0重量%[(A)および(B)の合計量が100重量%]が好ましく、(A)ポリプロピレン系樹脂96.0〜99.0重量%および(B)改質ポリプロピレン系樹脂1.0〜4.0重量%がより好ましく、(A)ポリプロピレン系樹脂97.0〜99.0重量%および(B)改質ポリプロピレン系樹脂1.0〜3.0重量%がさらに好ましい。
(B)改質ポリプロピレン系樹脂の混合比率が0.5%未満では、高剛性の効果を示さない傾向があり、混合比率が5.0重量%超では、改質ポリプロピレン系樹脂の溶融粘度が高い為、成形時の伸びが悪化し、表面美麗性が劣ると共に、改質ポリプロピレン系樹脂のポリプロピレン系樹脂への相溶性が低下するため、剛性が低下する傾向がある。
【0042】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、(A)ポリプロピレン系樹脂および(B)改質ポリプロピレン系樹脂からなる樹脂混合物を基材樹脂とするポリプロピレン系樹脂粒子に加工した後、発泡させることにより得ることができる。
【0043】
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂粒子は、例えば、ポリプロピレン系樹脂および改質ポリプロピレン系樹脂を押出機、ニーダー、バンバリミキサー、ロール等を用いて溶融し、例えばストランド状に押出し、冷却前あるいは冷却後に、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状に成形加工されて、ポリプロピレン系樹脂粒子となる。
【0044】
本発明においては、(A)ポリプロピレン系樹脂および(B)改質ポリプロピレン系樹脂の他に、必要に応じて、酸化防止剤、耐光性改良剤、帯電防止剤、着色剤、難燃性改良剤、導電性改良剤等の添加剤を加えて、ポリプロピレン系樹脂粒子としても良い。これらの添加剤は、通常、ポリプロピレン系樹脂粒子の製造過程において溶融した樹脂中に添加することが好ましい。
また、後述する発泡剤として炭酸ガス、空気や水を用いる場合には、発泡性を向上させることのできる無機造核剤および/または吸水物質を添加することが好ましい。
【0045】
なお、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂粒子の融点を前述した示差走査熱量計を用いて測定することにより、その融点を、本発明のポリプロピレン系ランダム共重合体の融点とすることが可能である。
【0046】
本発明で用いられる無機造核剤は、発泡の起点となる気泡核の形成を促し、発泡倍率の向上に寄与すると共に、均一な気泡形成にも寄与する。
無機造核剤としては、例えば、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
本発明における無機造核剤の含有量は、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量%中、0.005重量%以上0.5重量%以下であることが好ましい。
【0048】
本発明で用いられる吸水物質とは、当該物質をポリプロピレン系樹脂粒子中に添加し、該ポリプロピレン系樹脂粒子を水と接触させる或いは水分散系で発泡剤含浸をする際に、ポリプロピレン系樹脂粒子内に水を含有させうる物質をいう。
【0049】
本発明で用いられる吸水物質の具体例としては、例えば、
塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硼砂、硼酸亜鉛等の水溶性無機物;
ポリエチレングリコール、ポリエーテルを親水性セグメントとした特殊ブロック型ポリマー[三洋化成(株)製、商品名:ペレスタット];
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体等のアルカリ金属塩、カルボキシル化ニトリルゴムのアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩及びポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩等の親水性ポリマー;
エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、イソシアヌル酸等の多価アルコール類;メラミン等が挙げられる。
これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
本発明における吸水物質の含有量は、目的とする発泡倍率、使用する発泡剤、使用する吸水物質の種類によって異なり一概に記載することはできないが、水溶性無機物、多価アルコール類を使用する場合、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量%中、0.01重量%以上2重量%以下であることが好ましく、親水性ポリマーを使用する場合、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量%中、0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
【0051】
本発明において着色剤の添加に制限はなく、着色剤を添加せずにナチュラル色とすることもできるし、青、赤、黒など着色剤を添加して所望の色とすることもできる。
着色剤としては、例えば、ペリレン系有機顔料、アゾ系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0052】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂粒子と水を含んでなる分散液を耐圧容器中に収容した後、攪拌条件下に分散させると共に、発泡剤の存在下、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温し、次いで耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出して、ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させ製造することができる。なお、この工程を「一段発泡工程」と称する場合があり、この工程で得られるポリプロピレン系樹脂粒子を「一段発泡粒子」と称する場合がある。
【0053】
より具体的には、例えば、次の方法が挙げられる。
(1)耐圧容器内に、ポリプロピレン系樹脂粒子および水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて、密閉容器内を真空引きした後、1MPa(ゲージ圧)以上2MPa以下(ゲージ圧)の発泡剤を導入し、ポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱する。加熱することによって、密閉容器内の圧力が約2MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)まで上がる。必要に応じて、発泡温度付近にて、さらに発泡剤を追加して所望の発泡圧力に調整、さらに温度調整を行った後、必要に応じて該発泡圧力および温度で所定時間保持し、次いで、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
(2)耐圧容器にポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて密閉容器内を真空引きした後、ポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱しながら、発泡剤を導入してもよい。
(3)耐圧容器にポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、発泡温度付近まで加熱し、さらに発泡剤を導入し、発泡温度とし、密閉容器の内圧よりも低い圧力域に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることもできる。
【0054】
なお、低圧域に放出する前に、炭酸ガス、窒素、空気あるいは発泡剤として用いた物質を圧入することにより、耐圧容器内の内圧を高め、発泡時の圧力開放速度を調節し、更には、低圧域への放出中にも炭酸ガス、窒素、空気あるいは発泡剤として用いた物質を耐圧容器内に導入して圧力を制御することにより、発泡倍率の調整を行うこともできる。
【0055】
ここで、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域としては、大気圧であることが好ましい。この場合、設備が複雑なものとならず、また、低圧域の特別な圧力調節も不要となる。
【0056】
前記低い圧力域の温度としては、常温でもかまわないし、常温よりも高温に設定しておいても良い。常温よりも高温に設定する方法としては、加熱水蒸気で加温しておく方法などが挙げられる。
加熱水蒸気で加温している圧力域に分散液を放出して、ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡させ製造する場合、後述するように、得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC曲線の微分曲線中に極大値が発現しやすく、好ましい態様の一つである。
このような観点から、加温する温度としては、60℃以上120℃以下が好ましく、70℃以上115℃以下がより好ましい。
【0057】
なお、軟化点温度以上に昇温する際、ポリプロピレン系樹脂粒子の融点−20℃以上、ポリプロピレン系樹脂粒子の融点+10℃以下の範囲の温度に昇温することが、発泡性を確保する上で好ましい。
【0058】
本発明に使用される発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロブタン等の脂肪式環化水素類;空気、窒素、炭酸ガス、水等の無機ガス;等が挙げられる。これらの発泡剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上併用してもよい。
これらのうちでも、無機ガスを用いることが好ましく、炭酸ガス、空気、水を用いることが特に好ましい。
【0059】
本発明における発泡剤の使用量は、特に限定はなく、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の所望の発泡倍率に応じて適宣使用すれば良い。発泡剤の使用量は、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対して3重量部以上60重量部以下であることが好ましい。
【0060】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子製造時に使用する耐圧容器には特に制限はなく、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよく、例えばオートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
【0061】
本発明では、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子製造時の分散液の分散性を高め、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子どうしの凝着を防ぐ観点から無機分散剤を用いることが好ましい。
このような無機分散剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、アルミノ珪酸塩、カオリン、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0062】
本発明においては、より分散性を高める為に、分散助剤を併用することが好ましい。このような分散助剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、無機分散剤と分散助剤の組み合わせとしては、第三リン酸カルシウムとアルキルスルホン酸ナトリウムの組み合わせが好ましい。
【0063】
本発明における無機分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂の種類と使用量によって異なるが、通常、水100重量部に対して、無機分散剤0.2重量部以上3重量部以下であることが好ましく、分散助剤0.001重量部以上0.1重量部以下であることが好ましい。
【0064】
本発明においては、水中での分散性を良好なものにする為に、通常、水100重量部に対して、ポリプロピレン系樹脂粒子を20重量部以上100重量部以下で使用することが好ましい。
【0065】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、特に制限が無いが、3倍以上50倍以下であることが好ましく、7倍以上45倍以下であることがより好ましい。
ここで、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)およびエタノール水没体積v(cm)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρr(0.90g/cm)との比から、発泡倍率K=ρr/ρbを求めたものである。
【0066】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度は、特に制限が無いが、10g/L以上200g/L以下であることが好ましく、12g/L以上150g/L以下であることがより好ましい。
ここで、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の嵩密度は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を容器に静かに投入して満たした後、容器中のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量を測定し、これを容器の容量で除し、g/L単位で表したものである。
【0067】
ところで、一段発泡粒子は、製造する際の発泡剤の種類にも依るが、発泡倍率が10倍に達しない場合がある。このような場合には、一段発泡粒子に、無機ガス(例えば、空気、窒素、炭酸ガス、等)を含浸して内圧を付与した後、特定の圧力の水蒸気と接触させることにより、一段発泡粒子よりも発泡倍率が向上したポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得ることができる。
【0068】
このように、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子をさらに発泡させてより発泡倍率の高いポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子とする工程を、「二段発泡工程」と称し、得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を、「二段発泡粒子」と称する場合がある。
【0069】
本発明において、二段発泡工程における水蒸気の圧力は、二段発泡粒子の発泡倍率を考慮した上で、0.04MPa(ゲージ圧)以上0.25MPa(ゲージ圧)以下に調整することが好ましく、0.05MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下に調製することがより好ましい。
二段発泡工程における水蒸気の圧力が0.04MPa(ゲージ圧)未満では、必要する発泡倍率まで膨らまない場合があり、0.25MPa(ゲージ圧)を超えると、得られる二段発泡粒子同士が融着してブロッキングしてしまい、その後の型内発泡成形に供することができなくなる傾向がある。
【0070】
一段発泡粒子に含浸する空気の内圧は、二段発泡粒子の発泡倍率および二段発泡工程の水蒸気圧力を考慮して適宜変化させることが望ましいが、0.2MPa以上(絶対圧)0.6MPa以下(絶対圧)であることが好ましい。
一段発泡粒子に含浸する空気の内圧が0.2MPa(絶対圧)未満では、発泡倍率を向上させるために高い圧力の水蒸気が必要となり、二段発泡粒子がブロッキングする傾向にある。一段発泡粒子に含浸する空気の内圧が0.6MPa(絶対圧)を超えると、得られる二段発泡粒子同士が融着してブロッキングしてしまい、その後の型内発泡成形に供することができなくなる傾向がある。
【0071】
なお、一段発泡工程にて敢えて低い発泡倍率の一段発泡粒子を得ておき、次いで、二段発泡工程により、所望の発泡倍率を有する二段発泡粒子としてもかまわない。
【0072】
本発明における二段発泡粒子の嵩密度としては、10g/L以上45g/L以下のものを用いることが好ましい。
【0073】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の表面に付着した無機分散剤量は、2000ppm以下が好ましく、1300ppm以下がより好ましく、800ppm以下がさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の表面に付着した無機分散剤量が2000ppmを超えると、型内発泡成形する際の融着性が低下する傾向にある。
【0074】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、図2に示すように、10℃/分の昇温速度にて40℃から220℃まで昇温する示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークを有し、低温側融解熱量(Ql)と高温側融解熱量(Qh)の少なくとも2つの融解熱量を有する。
【0075】
なお、本発明においては、全融解熱量(Q)、低温側融解熱量(Ql)および高温側融解熱量(Qh)を、次のように定義する。
低温側融解熱量(Ql)および高温側融解熱量(Qh)の和である全融解熱量(Q=Ql+Qh)とは、得られるDSC曲線において、低温側で融解が開始する温度100℃での吸熱量(点A)から、高温側で融解が終了する温度での吸熱量(点B)を結ぶ線分ABを引き、線分ABとDSC曲線で囲まれた部分である。
DSC曲線の低温側融解熱量および高温側融解熱量の2つの融解熱量領域の間の最も吸熱量が小さくなる点を点Cとし、点Cから線分ABに向かってY軸と平行な線を上げて交わる点をDとした時、線分ADと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が、低温側融解熱量(Ql)であり、線分BDと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が高温側融解熱量(Qh)である。
【0076】
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子において、高温側融解熱量の比率{Qh/(Ql+Qh)}×100)(%)(以下、「高温熱量比」と称する場合がある)が、10%以上30%以下であることが好ましく、12%以上28%未満であることがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の高温熱量比が10%未満では、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が連泡化しやすくなることにより、型内発泡成形体が収縮しやすくなる傾向がある。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の高温熱量比が30%を超えると、型内発泡成形する際のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡性の悪化に伴い融着性が低下し、型内発泡成形体を構成するポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の間隙が大きくなる。
【0077】
なお、高温熱量比や高温側融解熱量は、例えば、一段発泡工程における昇温後から発泡までの保持時間(概ね発泡温度に達した後から発泡するまでの保持時間)、発泡温度(発泡時の温度)、発泡圧力(発泡時の圧力)等により適宜調整することができる。
一般的には、保持時間を長くする、発泡温度を低くする、発泡圧力を低くすることにより、高温熱量比あるいは高温側融解熱量が大きくなる傾向がある。
【0078】
以上のことから、保持時間、発泡温度、発泡圧力を系統的に適宜変化させた実験を何回か試行することにより、所望の高温熱量比や高温側融解ピーク熱量となる条件を容易に見出すことができる。なお、発泡圧力の調節は、発泡剤の量により調節することできる。
【0079】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が0.05mm未満では、型内発泡成形体の表面美麗性が悪化する傾向があり、0.4mmを超えると、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が連泡化しやすくなることにより、型内発泡成形体が収縮しやすくなる傾向がある。
【0080】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の粒重量は、0.5mg/粒以上4.0mg/粒以下であることが好ましく、0.7mg/粒以上1.8mg/粒以下であることがより好ましい。
なお、粒重量が0.5mg/粒以上4.0mg/粒以下であるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂粒子の粒重量を0.5mg/粒以上4.0mg/粒以下とすることにより、容易に得ることができる。
【0081】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂粒子は、前述したとおり、一旦溶融した樹脂をストランド状に押出し、冷却前あるいは冷却後に、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状に成形加工することで得られるが、粒重量が0.5mg/粒未満の場合、粒重量のばらつきが大きくなり、発泡倍率ばらつきの大きなポリプロピレン系樹脂発泡粒子となる傾向がある。粒重量が4.0mg/粒を超える場合、型内発泡成形する際に、発泡粒子間の間隙が大きくなり、表面美麗性が悪化する傾向にある。
【0082】
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して型内発泡成形体とするが、型内発泡成形方法としては、例えば、
イ)ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を無機ガス、例えば空気や窒素、炭酸ガス等で加圧処理してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、
ロ)ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、
ハ)特に前処理することなくポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、等の方法が利用し得る。
【0083】
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いてポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得る方法の具体例としては、例えば、
予めポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を耐圧容器内で空気加圧し、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子中に空気を圧入することにより内圧(発泡能)を付与した後、これを2つの金型からなる閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填し、水蒸気などを加熱媒体として0.1MPa以上0.4MPa以下(ゲージ圧)程度の加熱水蒸気圧下で3秒以上60秒以下程度の加熱時間で成形し、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子同士を融着させた後、金型を水冷により型内発泡成形体取り出し後のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の変形が抑制される程度まで冷却した後、金型を開き、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得る方法などが挙げられる。
【0084】
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の内圧は、例えば、耐圧容器内で、1時間以上48時間以下、室温以上80℃以下の温度条件下、空気、窒素等の無機ガスによって0.1MPa以上1.0MPa(ゲージ圧)以下に加圧することによって調整できる。
【0085】
本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体の密度は、特に制限がないが、10g/L以上200g/L以下が好ましく、12g/L以上150g/L以下がより好ましい。
ここで、型内発泡成形体の密度とは、成形体中央付近から直方体試験片を切り出し、縦、横、厚みの寸法の積からサンプル体積を算出し、サンプル重量をサンプル体積で除し、各サンプルの密度を算出した後平均し、g/L単位で表した。
【実施例】
【0086】
以下、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0087】
実施例および比較例において、使用した物質は、以下のとおりであるが、特に精製等は行っていない。
●ポリプロピレン系樹脂
○ポリプロピレン系樹脂A:プロピレン/エチレン/1−ブテンランダム共重合体[TPC社製、融点147℃、MFR6.1g/10分]
○ポリプロピレン系樹脂B:プロピレン/エチレンランダム共重合体[プライムポリマー社製、融点151℃、MFR9.5g/10分]
○ポリプロピレン系樹脂C:プロピレン/エチレンランダム共重合体[プライムポリマー社製、融点136℃、MFR7.3g/10分]
【0088】
なお、実施例および比較例における評価は、次の方法により行なった。
【0089】
(ポリプロピレン系樹脂の融点測定)
ポリプロピレン系樹脂の融点の測定は、示差走査熱量計DSC[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、得られたポリプロピレン系樹脂粒子5〜6mgを、10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温して樹脂粒子を融解し、その後10℃/minの降温速度で220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、2回目の昇温時の融解ピーク温度として求められる値である。
【0090】
(ポリプロピレン系樹脂のMFR測定)
得られたポリプロピレン系樹脂粒子に対して、JIS−K7210記載のMFR測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で測定した時の値である。
【0091】
(改質ポリプロピレン系樹脂の損失正接tanδ)
得られた改質ポリプロピレン系樹脂を、1.5mm厚のスペーサーを用いて190℃にて5分間熱プレスして1.5mm厚のプレス板を作製した。得られたプレス板から、φ25mmのポンチを用いて打ち抜き、試験片を得た。
測定装置としては、粘弾性測定装置[TAインスツルメンツ社製、ARES]を用い、φ25mmのパラレルプレート型冶具を装着した。冶具を囲うように恒温槽を設置し、180℃に保温、冶具が予熱された後に恒温槽を開け、パラレルプレート間にφ25mmとした試験片を挿入して恒温槽を閉じ、5分間予熱した後にパラレルプレート間隔を1mmまで圧縮した。圧縮後、再度恒温槽を開き、パラレルプレートからはみ出した樹脂を真鍮のヘラで掻き取り、恒温槽を閉じて再度5分間保温した後に、動的粘弾性測定を開始した。
測定は、歪み量5%、窒素雰囲気下で、角振動数0.1rad/sから100rad/sまでの範囲で行い、各角振動数での貯蔵弾性率と損失弾性率を得、下記式により損失正接tanδを算出した
損失正接tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率
これらの結果のうち、角周波数1rad/sでの損失正接tanδの値を採用した。
【0092】
(ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率)
得られたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子3g以上10g以下程度を秤取り、60℃で6時間乾燥した後、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で状態調節し、重量w(g)を測定後、水没法にて体積v(cm)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρrとの比から発泡倍率K=ρr/ρbを求めた。
なお、以下に示す実施例および比較例においては、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρrは、いずれも0.90g/cmとした。
【0093】
(最低加熱蒸気圧力)
ポリプロピレン発泡成形機[ダイセン株式会社製、KD345]を用い、縦400mm×横300mm×厚み60mmの直方体状金型に、予め発泡粒子内部の空気圧力が0.2MPa(絶対圧)になるように調整したポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、まず0.1MPa(ゲージ圧)の水蒸気で金型内の空気を追い出し、その後、所定の圧力の加熱蒸気を用いて10秒間加熱成形させることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。この際、加熱蒸気圧力を0.20MPa(ゲージ圧)から0.01MPaずつ増加させて、成形体を作製した。
得られた発泡成形体の表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れ、クラックに沿って型内発泡成形体を割り、破断面を観察し、破断面の全粒子数に対する破壊粒子数の割合を求め、成形体融着率を評価した。
融着率が80%以上に達する最低の蒸気圧力を、最低成形圧力とした。
【0094】
(成形体表面伸び)
最低加熱圧力で得られた型内発泡成形体に関して、表面伸びの評価を以下の基準により評価した。
○:予備発泡粒子の輪郭全てが隣り合った予備発泡粒子と融着し、成形体表面に露出する発泡粒子どうしに間隙が無い。
×:成形体表面に露出する発泡粒子どうしに間隙がある。
【0095】
(発泡成形体密度)
最低加熱圧力で得られた発泡成形体の中央内部より、バーチカルスライサーを用いて、縦50mm×横50mm×厚み25mmの密度測定用試験片を切り出した。
得られた密度測定用試験片の縦、横、厚みの寸法を、ノギスを用いて測定して、試験片の体積Vを求め、更に重量Wを測定して、密度=W/Vにより算出した。
【0096】
(圧縮強度測定)
剛性の評価方法は、静的圧縮強度で評価した。
密度測定用の縦50mm×横50mm×厚み25mmの試験片を気温23℃、湿度50%の恒温恒湿室にて24時間状態調整した後、引張圧縮試験機[ミネベア製、型式:TG−20kN]を用いて、10mm/分の速度で圧縮試験を行った。
試験片を圧縮したときの圧縮率50%で算出された値を圧縮強度の値とした。
【0097】
(総合評価)
総合評価の基準は以下の通りとした。
○:成形体表面伸びが○、且つ、改質プロピレン系樹脂無添加品と比較して改質プロピレン系樹脂添加品の圧縮強度が増加した場合。
×:成形体表面伸びが×の場合、もしくは成形体表面伸びが○、且つ、改質プロピレン系樹脂無添加品と比較して改質プロピレン系樹脂添加品の圧縮強度が同等以下の場合。
【0098】
(実施例1)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]
ポリプロピレン系樹脂A100重量部に、ラジカル重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−イソプロピルモノカルボネート[日本油脂(株)製、パーブチルI]0.70重量部をハンドブレンドにて混合した配合物を、計量フィーダーを用いて2軸押出機[(株)日本製鋼所製、TEX44XCT−38]に供給し、液体添加ポンプを用いて押出機途中からイソプレン0.37重量部を供給し、樹脂温度200℃で溶融混練することにより、改質ポリプロピレン系樹脂を得た。
得られた改質ポリスチレン系樹脂は、tanδが1.2で、MFRは11.2g/10分であった。
【0099】
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]
得られた改質ポリプロピレン系樹脂0.5重量部およびポリプロピレン系樹脂A99.5重量部に、ポリエチレングリコール[ライオン(株)製、平均分子量300]0.5重量部および、無機造核剤としてのタルク[林化成(株)製、タルカンパウダーPK−S]0.1重量部を添加・混合した。
得られた混合物を、2軸押出機[(株)オーエヌ機械製、TEK45]を用いて、樹脂温度200℃にて溶融混練した後、ストランド状に押出し、得られたストランドを水冷後、切断してポリプロピレン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を製造した。
【0100】
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]
内容量10Lの耐圧容器中に、得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、分散剤としてのパウダー状塩基性第3リン酸カルシウム1重量部および分散助剤としてのn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.05重量部を含む水系分散媒170重量部、ならびに、発泡剤として炭酸ガス6.0重量部を仕込み、攪拌しながら、発泡温度としてポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上の150℃まで昇温し、10分間保持した後、炭酸ガスを追加圧入して発泡圧力2.5MPa(ゲージ圧)に調整し、30分間保持した。その後、炭酸ガスを圧入しながら、耐圧容器内の温度および圧力を一定に保持しつつ、耐圧容器下部のバルブを開いて、水系分散媒を開孔径3.6mmφのオリフィス板を通して、非密閉系(大気圧下)の筒状容器内に放出することにより、発泡倍率20倍のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。なお、筒状容器内は、蒸気で100℃に加温した。
【0101】
[ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の作製]
ポリプロピレン発泡成形機[ダイセン株式会社製、KD345]を用い、縦400mm×横300mm×厚み60mmの直方体状金型に、予め発泡粒子内部の空気圧力が0.2MPa(絶対圧)になるように調整したポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、まず0.1MPa(ゲージ圧)の水蒸気で金型内の空気を追い出し、その後、所定の圧力の加熱蒸気を用いて10秒間加熱成形させることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。この際、加熱蒸気圧力を0.20MPa(ゲージ圧)から0.01MPaずつ増加させて、成形体を作製した。
型内発泡成形時の最低加熱蒸気圧力、得られた型内発泡成形体について評価を行った。結果を、表1に示す。
【0102】
(実施例2)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)98重量部および改質ポリプロピレン系樹脂2重量部とした以外は、実施例1と同様にして予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。
結果を、表1に示す。
【0103】
(実施例3)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)95重量部および改質ポリプロピレン系樹脂5重量部とした以外は、実施例1と同様にして予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0104】
(実施例4)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)98重量部および改質ポリプロピレン系樹脂2重量部とし、[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]における発泡温度150℃、発泡圧力3.3MPa(ゲージ圧)に変更して予備発泡粒子の発泡倍率を30倍に変化させた以外は、実施例1と同様にして予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0105】
(実施例5)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)98重量部および改質ポリプロピレン系樹脂2重量部に変更し、[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、筒状容器内を加温しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0106】
(実施例6)
実施例5で得られたポリプロピレン系予備発泡粒子(一段発泡粒子)を、80℃にて6時間乾燥させた後、耐圧容器内にて、加圧空気を含浸させて、内圧を0.37MPa(絶対圧)にした後、0.08MPa(ゲージ圧)の水蒸気と接触させることにより、二段発泡させた(二段発泡粒子)以外は、実施例5と同様の操作により予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0107】
参考例7)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、ラジカル開始剤量を0.40重量部、イソプレン量を0.45重量部に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0108】
(実施例8)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、ラジカル開始剤量を1.30重量部、イソプレン量を0.27重量部とした以外は、実施例2と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0109】
(実施例9)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、改質ポリプロピレン系樹脂作製時のラジカル開始剤量を1.30重量部、イソプレン量を0.20重量部とした以外は、実施例2と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0110】
(実施例10)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、改質ポリプロピレン系樹脂の基材樹脂をポリプロピレン系樹脂(B)に変更した以外は、実施例8と同様の操作により、改質ポリエチレン系樹脂を得、さら、実施例8と同様の操作により予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0111】
(参考例1)
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)のみを用いた以外は、実施例5と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0112】
(参考例2)
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)のみを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0113】
(参考例3)
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)のみを用いた以外は、実施例4と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
なお、参考例1〜3は、圧縮強度比較における基準値とした為、総合評価は実施しない。
【0114】
(比較例1)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)99.8重量部および改質ポリプロピレン系樹脂0.2重量部とした以外は、実施例1と同様にして予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0115】
(比較例2)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)92重量部および改質ポリプロピレン系樹脂8重量部とした以外は、実施例1と同様にして予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0116】
(比較例3)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(A)87重量部および改質ポリプロピレン系樹脂13重量部とした以外は、実施例1と同様にして予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0117】
(比較例4)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、イソプレン量を0.62重量部に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、予備発泡粒子を得、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0118】
(比較例5)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、ラジカル開始剤量を1.5重量部、イソプレン量を0.20重量部に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0119】
(比較例6)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、ラジカル開始剤量を2.0重量部、イソプレン量を0.20重量部に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
(実施例11)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、改質ポリプロピレン系樹脂の基材樹脂をポリプロピレン系樹脂(B)に変更した以外は、実施例8と同様の操作により改質ポリプロピレン系樹脂を得、さらに、[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂種をポリプロピレン系樹脂(B)に変更した以外は、実施例8と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表2に示す。
【0122】
(参考例4)
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(B)のみを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表2に示す。
なお、参考例4は、圧縮強度比較における基準値とした為、総合評価は実施しない。
【0123】
(比較例7)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、ラジカル開始剤量を1.50重量部、イソプレン量を0.20重量部に変更した以外は、実施例11と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表2に示す。
【0124】
【表2】
【0125】
(実施例12)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、改質ポリプロピレン系樹脂の基材樹脂をポリプロピレン系樹脂(C)に変更した以外は、実施例8と同様の操作により改質ポリプロピレン系樹脂を得、さらに、[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂種をポリプロピレン系樹脂(C)に変更した以外は、実施例8と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表3に示す。
【0126】
(参考例5)
[ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の作製]において、ポリプロピレン系樹脂(B)のみを用いた以外は、実施例1と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表3に示す。
なお、参考例5は、圧縮強度比較における基準値とした為、総合評価は実施しない。
【0127】
(比較例8)
[改質ポリプロピレン系樹脂の作製]において、ラジカル開始剤量を1.50重量部、イソプレン量を0.20重量部に変更した以外は、実施例12と同様の操作により、予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を用いて型内発泡を得、評価を実施した。結果を、表3に示す。
【0128】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上のように、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子において、本発明記載の技術を用いると、現状よく使用されている0.4MPa耐圧仕様の成形機にて融着、表面美麗性に優れた高剛性の型内発泡体の製造が可能である。したがって、軽量化した型内発泡体を提供することが可能である。
図1
図2