【実施例】
【0085】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約を受けるものではない。
以下に示す触媒製造例や重合例は、特に断りのない場合は乾燥窒素雰囲気下で行った。なお、実施例において各種物性は以下のように測定した。
【0086】
[元素分析]
株式会社島津製作所製ICP(誘導結合プラズマ) 発光分析法装置:ICPS−8100型を用いて測定を行った。アルミニウム、ジルコニウムの定量、定性分析には、試料を硫酸および硝酸にて湿式分解後、定容(必要に応じてろ過及び希釈含む)したものを検液とした。またケイ素の定量、定性分析には試料を炭酸ナトリウムにて溶融後、塩酸を加え溶解し、定容および希釈したものを検液とした。
【0087】
[MFR]
オレフィン重合体のMFRは、テスター産業製TP−406型MFR計を用いASTM D1238−89に従い、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定した。
【0088】
[嵩密度(BD)]
オレフィン重合体の嵩密度は、ASTM D 1895−96 A法に準じて測定を行った。
【0089】
[走査型電子顕微鏡]
走査型電子顕微鏡による粒子の観察は粒子に白金スパッタリングを行い、日本電子株式会社製JSM−6510LV電子顕微鏡を用いた。また、白金スパッタリング処理は日本電子株式会社製JFC−1600を用いた。
【0090】
[固体状アルミノキサン(B)の調製]
固体状アルミノキサンの調製は、国際公開2010/055652に記載の方法(予備実験1および実施例5)、および、特開2013−49783号に記載の方法(実施例1)に準じて実施した。
【0091】
具体的には、充分に窒素置換した2000mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、0.5mol/Lに調整したトリメチルアルミニウムのトルエン溶液1000mLを装入した。この溶液を15℃になるまで冷却し、これに安息香酸21.8gを溶液の温度が25℃以下になるような速度でゆっくりと添加し、その後50℃で加熱熟成を1時間行った。この時、トリメチルアルミニウムと安息香酸の酸素原子のモル比は、1.40であった。反応液を70℃で4時間加熱し、その後60℃で6時間加熱した後、一度室温まで冷却した。次いで100℃で8時間加熱し、固体状アルミノキサンを析出させた。溶液を30℃以下まで冷却した後、洗浄のためにn−ヘキサン1000mLを攪拌下に添加した。30分間静置した後、上澄み液1500mLを除去し、さらにn−ヘキサン1500mLを攪拌下に添加した。15分間静置した後、上澄み液1500mLを除去し、さらにn−ヘキサン150mLを攪拌下に添加した。最後に15分間静置した後、上澄み液1800mLを除去し、n−ヘキサンを総量が250mLになるように添加した。
【0092】
得られた固体状アルミノキサンのヘキサンスラリーの一部を採取し、濃度を調べたところ、スラリー濃度:23.8mg/mL、Al濃度:0.340mmol/mLであった。また、得られた固体状アルミノキサンを走査型電子顕微鏡により粒子を観察したところ平均粒子径は5.3μm、比表面積は19.1m
2/mmol―Alであった。
【0093】
[比較例1]
[オレフィン重合用触媒(E0)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジメチル0.00921mmolのヘプタン溶液1.0mLを加えた後、触媒/ヘキサン/ヘプタンスラリーの総量が20.0mLになるようにヘプタンを添加した。60分攪拌した後、攪拌を停止し、オレフィン重合用触媒(E0)を得た。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度3.73mg/mLであった。
【0094】
[オレフィン重合体(エチレン重合体)の製造]
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。飽和後にガスを水素−エチレン混合ガス(水素濃度:1.25vol%)に切り替えた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液(Al=1.0mol/L)0.25mmol、ポリアルキレンオキシグリコール(商品名:アデカプルロニックL−71、旭電化工業株式会社製)の4g/Lヘキサン溶液0.62mLを添加した。さらにオレフィン重合用触媒(E0)を固体成分換算で6.00mg装入し、75℃に昇温して、0.65MPa・Gとなるように水素−エチレン混合ガス(水素濃度:1.25vol%)を連続的に供給し、60分間重合を行った。オートクレーブを冷却および残留ガスをパージして重合を停止した。重合器の内壁にはエチレン重合体の付着が見られなかった。得られたエチレン重合体のスラリーを桐山ロート(φ95mm、ろ紙No.5B)でろ過した。ろ紙のつまりはなかった。エチレン重合体を80℃で10時間、減圧乾燥を行った。得られたエチレン重合体(PE)は46.65gであり、重合活性は160kg−PE/mmol−Zr・hr、生産性は7775g−PE/g−cat.・hrであった。ポリマー分析の結果、嵩密度は0.34g/cm
3、MFR=27.65g/10分、であった。
【0095】
[実施例1]
[ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、0.0261mol/Lのペンタフルオロフェノール(ワコーケミカル製)のヘプタン溶液0.21mLを加えた後、2時間攪拌した。攪拌を停止し、ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を得た。
【0096】
[オレフィン重合用触媒(E1)の合成]
先に合成したペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)からそのまま続けて合成した。懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムメチル0.00921mmolのヘプタン溶液1.0mLを加えた後、触媒/ヘキサン/ヘプタンスラリーの総量が20.0mLになるようにヘプタンを添加した。60分攪拌した後、攪拌を停止し、オレフィン重合用触媒(E1)を得た。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0418mg/mL、Al濃度3.75mg/mLであった。
【0097】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E1)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0098】
[実施例2]
[ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D2)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、0.0261mol/Lのペンタフルオロフェノール(ワコーケミカル製)のヘプタン溶液2.12mLを加えた後、2時間攪拌した。攪拌を停止し、ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D2)を得た。
【0099】
[オレフィン重合用触媒(E2)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D2)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E2)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0419mg/mL、Al濃度3.74mg/mLであった。
【0100】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E2)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0101】
[実施例3]
[ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D3)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、0.261mol/Lのペンタフルオロフェノール(ワコーケミカル製)のヘプタン溶液2.12mLを加えた後、2時間攪拌した。攪拌を停止し、ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D3)を得た。
【0102】
[オレフィン重合用触媒(E3)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D3)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E3)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0419mg/mL、Al濃度3.78mg/mLであった。
【0103】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E3)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0104】
[実施例4]
[3,4,5―トリフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D4)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下
、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、0.0242mol/Lの3,4,5―トリフルオロフェノール(東京化成工業製)のヘプタン溶液0.23mLを加えた後、2時間攪拌した。攪拌を停止し、3,4,5―トリフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D4)を得た。
【0105】
[オレフィン重合用触媒(E4)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記3,4,5―トリフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D4)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E4)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0421mg/mL、Al濃度3.80mg/mLであった。
【0106】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E4)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0107】
[実施例5]
[α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D5)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、減圧で溶媒を留去した。粉末の固体状メチルアルモキサンにトルエン8.0mLを添加し、トルエンスラリーとした。これに、0.0164mol/Lのα,α,α−トリフルオロトルエン(和光純薬工業製)のトルエン溶液0.56mLを加えた後、30分間攪拌した。続けて、オイルバスにより100℃で30分間反応させた。オイルバスを外して自然放冷し、α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D5)を得た。
【0108】
[オレフィン重合用触媒(E5)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D5)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E5)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0421mg/mL、Al濃度3.74mg/mLであった。
【0109】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E5)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0110】
[実施例6]
[α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D6)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、減圧で溶媒を留去した。粉末の固体状メチルアルモキサンにトルエン8.0mLを添加し、トルエンスラリーとした。これに、0.0164mol/Lのα,α,α−トリフルオロトルエン(和光純薬工業製)のトルエン溶液1.12mLを加えた後、30分間攪拌した。続けて、オイルバスにより100℃で30分間反応させた。オイルバスを外して自然放冷し、α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D6)を得た。
【0111】
[オレフィン重合用触媒(E6)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D6)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E6)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度3.79mg/mLであった。
【0112】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E6)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0113】
[実施例7]
[α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D7)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、減圧で溶媒を留去した。粉末の固体状メチルアルモキサンにトルエン8.0mLを添加し、トルエンスラリーとした。これに、0.0164mol/Lのα,α,α−トリフルオロトルエン(和光純薬工業製)のトルエン溶液2.24mLを加えた後、30分間攪拌した。続けて、オイルバスにより100℃で30分間反応させた。オイルバスを外して自然放冷し、α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D7)を得た。
【0114】
[オレフィン重合用触媒(E7)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D7)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E7)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0421mg/mL、Al濃度3.68mg/mLであった。
【0115】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E7)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0116】
[実施例8]
[α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D8)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、減圧で溶媒を留去した。粉末の固体状メチルアルモキサンにトルエン8.0mLを添加し、トルエンスラリーとした。これに、0.0164mol/Lのα,α,α−トリフルオロトルエン(和光純薬工業製)のトルエン溶液3.36mLを加えた後、30分間攪拌した。続けて、オイルバスにより100℃で30分間反応させた。オイルバスを外して自然放冷し、α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D8)を得た。
【0117】
[オレフィン重合用触媒(E8)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D8)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E8)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0418mg/mL、Al濃度3.71mg/mLであった。
【0118】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E8)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0119】
[実施例9]
[α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D9)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、減圧で溶媒を留去した。粉末の固体状メチルアルモキサンにトルエン8.0mLを添加し、トルエンスラリーとした。これに、0.0164mol/Lのα,α,α−トリフルオロトルエン(和光純薬工業製)のトルエン溶液6.71mLを加えた後、30分間攪拌した。続けて、オイルバスにより100℃で2時間反応させた。オイルバスを外して自然放冷し、α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D9)を得た。
【0120】
[オレフィン重合用触媒(E9)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D9)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E9)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度3.77mg/mLであった。
【0121】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E9)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0122】
[参考例2]
[ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D10)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のn−ヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、0.261mol/Lのペンタフルオロフェノール(ワコーケミカル製)のヘプタン溶液10.6mLを加えた後、2時間攪拌した。攪拌を停止し、ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D10)を得た。
【0123】
[オレフィン重合用触媒(E10)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D10)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E10)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度3.74mg/mLであった。
【0124】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E10)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0125】
[参考例3]
[α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D11)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、減圧で溶媒を留去した。粉末の固体状メチルアルモキサンにトルエン8.0mLを添加し、トルエンスラリーとした。これに、0.328mol/Lのα,α,α−トリフルオロトルエン(和光純薬工業製)のトルエン溶液8.4mLを加えた後、30分間攪拌した。続けて、オイルバスにより100℃で2時間反応させた。オイルバスを外して自然放冷し、α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D11)を得た。
【0126】
[オレフィン重合用触媒(E11)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記α,α,α−トリフルオロトルエン変性固体状メチルアルミノキサン(D11)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E11)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0413mg/mL、Al濃度3.71mg/mLであった。
【0127】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E11)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0128】
[比較例4]
[トリイソブチルアルミニウム接触触媒(I0)の合成]
比較例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E0)の合成を行った。このスラリーに1mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液0.1mLを撹拌しながら加えた。20℃で3時間反応を行い、トリイソブチルアルミニウム接触触媒(I0)を得た。
【0129】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(I0)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0130】
[実施例10]
[トリイソブチルアルミニウム接触触媒(I2)の合成]
オレフィン重合用触媒(E0)を実施例2で合成したオレフィン重合用触媒(E2)に変更することを除いては、比較例4と同様にしてトリイソブチルアルミニウム接触触媒(I2)の合成を行った。
【0131】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(I2)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0132】
[実施例11]
[トリイソブチルアルミニウム接触触媒(I7)の合成]
オレフィン重合用触媒(E0)を実施例7で合成したオレフィン重合用触媒(E7)に変更することを除いては、比較例4と同様にしてトリイソブチルアルミニウム接触触媒(I7)の合成を行った。
【0133】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(I7)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表1に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表1に記す。
【0134】
<実施例1〜11、比較例1、4、参考例2、3の対比>
実施例1〜9と比較例1とを対比すると、含フッ素有機化合物の添加により活性向上の効果が見られる。また、実施例1〜9と参考例2、3を対比すると、含フッ素有機化合物の添加量が多すぎる場合には活性が低下している。これらのことから、含フッ素有機化合物の添加量には最適な範囲があり0.2モル%以上20モル%以下である。
【0135】
実施例2、7、10、11と比較例1、4とを対比すると、トリイソブチルアルミニウムと接触させることによりこれら実施例の触媒は比較例の触媒と比較して、ともわずかであるが活性が向上している。トリイソブチルアルミニウムの添加により、ごくわずかな空気中の水分や溶媒のロット差などに由来する極わずかな不純物等の影響、すなわち外乱の影響を受けにくい、安定した触媒活性を有する触媒となっていると思われる。
【0136】
【表1】
【0137】
[実施例12]
[オレフィン重合触媒成分(G1)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.00921mmolのトルエン溶液1.0mLを入れ、その溶液を撹拌しながら、室温下(20℃)、1mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液0.1mLを加えた。20℃で10分間撹拌を行った後、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.00969mmolのヘプタン溶液2.4mLを室温下(20℃)加えた後、10分攪拌し、オレフィン重合触媒成分(G1)を得た。
【0138】
[オレフィン重合用触媒(E’12)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、先に合成したオレフィン重合触媒成分(G1)溶液全量を加え、触媒/ヘキサン/ヘプタン/トルエンスラリーの総量が20mLになるようにヘプタンを添加した。4時間攪拌した後、攪拌を停止し、オレフィン重合用触媒(E’12)を得た。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0422mg/mL、Al濃度3.94mg/mLであった。
【0139】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E’12)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表2に記す。
【0140】
[実施例13]
[オレフィン重合触媒成分(G2)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.00921mmolのトルエン溶液1.0mLを入れ、その溶液を撹拌しながら、室温下(20℃)、1mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液0.1mLを加えた。20℃で10分間撹拌を行った後、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.00969mmolのトルエン溶液9.7mLを室温下(20℃)加えた後、10分攪拌し、オレフィン重合触媒成分(G2)を得た。
【0141】
[オレフィン重合用触媒(E’13)の合成]
オレフィン重合触媒成分(G1)を上記オレフィン重合触媒成分(G2)に変更することを除いては、実施例12と同様にしてオレフィン重合用触媒(E’13)を得た。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0423mg/mL、Al濃度4.02mg/mLであった。
【0142】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E’13)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表2に記す。
【0143】
[比較例5]
[ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート変性固体状メチルアルミノキサン(D12)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.00969mmolのヘプタン溶液2.4mLを加えた後、2時間攪拌した。攪拌を停止し、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート変性固体状メチルアルミノキサン(D12)を得た。
【0144】
[オレフィン重合用触媒(E12)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート変性固体状メチルアルミノキサン(D12)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E12)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0419mg/mL、Al濃度3.77mg/mLであった。
【0145】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E12)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表2に記す。
【0146】
[比較例6]
[N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート変性固体状メチルアルミノキサン(D13)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.00969mmolのトルエン溶液9.7mLを加えた後、2時間攪拌した。攪拌を停止し、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート変性固体状メチルアルミノキサン(D13)を得た。
【0147】
[オレフィン重合用触媒(E13)の合成]
ペンタフルオロフェノール変性固体状メチルアルミノキサン(D1)を上記N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート変性固体状メチルアルミノキサン(D13)に変更することを除いては、実施例1と同様にしてオレフィン重合用触媒(E13)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度3.78mg/mLであった。
【0148】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E13)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表2に記す。
【0149】
<実施例12、13、比較例1、5、6の対比>
実施例12、13と比較例1、5、6とを対比すると、含フッ素有機化合物がホウ素元素を有する化合物であった場合、添加順序により活性が大きく変わることがわかる。
【0150】
【表2】
【0151】
[実施例14]
[オレフィン重合用触媒(E"14)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジメチル0.00921mmolのヘプタン溶液1.0mLを加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止し、オレフィン重合用触媒(E0)を得た。このスラリーにジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.00969mmolのヘプタン溶液2.4mLを室温下(20℃)加え、触媒スラリーの総量が20mLになるようにヘプタンを添加した。5時間攪拌してオレフィン重合用触媒(E"14)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0418mg/mL、Al濃度3.75mg/mLであった。
【0152】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E"14)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表3に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表3に記す。
【0153】
[実施例15]
[オレフィン重合用触媒(E"15)の合成]
ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの使用量を0.0185mmolのヘプタン溶液4.6mLに変更することを除いては、実施例14と同様にしてオレフィン重合用触媒(E"15)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0421mg/mL、Al濃度3.80g/mLであった。
【0154】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E"15)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表3に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表3に記す。
【0155】
[実施例16]
[オレフィン重合用触媒(E"16)の合成]
ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの使用量を0.0277mmolのヘプタン溶液6.9mLに変更することを除いては、実施例14と同様にしてオレフィン重合用触媒(E"16)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度3.77g/mLであった。
【0156】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E"16)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表3に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表3に記す。
【0157】
[実施例17]
[オレフィン重合用触媒(E"17)の合成]
ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの使用量を0.0369mmolのヘプタン溶液9.2mLに変更することを除いては、実施例14と同様にしてオレフィン重合用触媒(E"17)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度3.76g/mLであった。
【0158】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E"17)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表3に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表3に記す。
【0159】
[実施例18]
[オレフィン重合用触媒(E"18)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジメチル0.00921mmolのヘプタン溶液1.0mLを加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止し、オレフィン重合用触媒(E0)を得た。このスラリーにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(ワコーケミカル製)0.0369mmolのトルエン溶液9.2mLを室温下(20℃)加えた後、5時間攪拌してオレフィン重合用触媒(E"18)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0418mg/mL、Al濃度3.70g/mLであった。
【0160】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(E"18)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表3に記す。
【0161】
[実施例19]
[オレフィン重合用触媒(I"16)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジメチル0.00921mmolのヘプタン溶液1.0mLを加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止し、オレフィン重合用触媒(E0)を得た。このスラリーに1mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液0.1mLを撹拌しながら加えた。20℃で3時間反応を行い、トリイソブチルアルミニウム接触触媒(I0)を得た。このスラリーにジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0277mmolのヘプタン溶液6.9mLを室温下(20℃)加え、触媒スラリーの総量が20mLになるようにヘプタンを添加した。3時間攪拌してオレフィン重合用触媒(I"16)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0420mg/mL、Al濃度4.02g/mLであった。
【0162】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(I"16)に変更し、固体触媒の挿入量が下記表3に記載の量となるように変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表3に記す。
【0163】
[実施例20]
[オレフィン重合用触媒(I"18)の合成]
充分に窒素置換した100mLの四口フラスコに攪拌棒を装着し、これに窒素雰囲気下、上記で調製した固体状メチルアルミノキサン(B)のヘキサンスラリーをアルミニウム換算で2.77mmol入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20℃)、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジメチル0.00921mmolのヘプタン溶液1.0mLを加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止し、オレフィン重合用触媒(E0)を得た。このスラリーに1mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液0.1mLを撹拌しながら加えた。20℃で3時間反応を行い、トリイソブチルアルミニウム接触触媒(I0)を得た。このスラリーにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン(ワコーケミカル製)0.0369mmolのトルエン溶液9.2mLを室温下(20℃)加え、触媒スラリーの総量が20mLになるようにヘプタンを添加した。3時間攪拌してオレフィン重合用触媒(I"18)の合成を行った。得られた懸濁液中の固体触媒成分の濃度を調べたところ、Zr濃度0.0419mg/mL、Al濃度4.10g/mLであった。
【0164】
[エチレン重合体(オレフィン重合体)の製造]
オレフィン重合用触媒(E0)を前記合成したオレフィン重合用触媒(I"18)に変更することを除いては、比較例1と同様にしてエチレン重合体を製造した。結果を表3に記す。
【0165】
<実施例12、14〜20、比較例1、4、5の対比>
実施例12、14〜18と比較例1、5を対比すると、含フッ素有機化合物がホウ素元素を有する化合物であった場合、添加順序により活性が大きく変わることが見られる。実施例16、18、19、20と比較例1、4を対比すると、トリイソブチルアルミニウム接触により3触媒系ともわずかであるが活性が向上している。トリイソブチルアルミニウムの添加により、ごくわずかな空気中の水分や溶媒のロット差などに由来する極わずかな不純物等の影響、すなわち外乱の影響を受けにくい、安定した触媒活性を有する触媒となっていると思われる。
【0166】
【表3】