【実施例】
【0018】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置1について
図1を参照しながら説明する。本実施形態では、被検眼Eの眼軸長の寸法を測定する眼科装置に適用して説明する。
【0019】
本実施例の眼科装置1は、
図1に示すように、干渉光学系100と、制御部(CPU)4と、モニタ6を有している。その他、眼科装置1には、被検眼Eの前眼部を観察する観察光学系、被検眼Eに対して眼科装置を所定の位置関係にアライメントするためのアライメント光学系を有している(図示省略)。
【0020】
干渉光学系100は、時間的に波長を変化させながら光を出力する波長掃引光源102を用いたフーリエドメイン方式が採用されている。波長掃引光源102から出力された光は、光ファイバ104を経由してカプラ106に導かれる。カプラ106は、4本の光ファイバ104、108、114及び116を接続している。光ファイバ104により導かれた光は、カプラ106により測定光と参照光とに分割される。測定光は、被検眼Eに照射される光である。参照光は、所定の参照経路を介して測定光に合成される。
【0021】
測定光は、光ファイバ108に導かれてファイバ端部110から平行光束を出射する。平行光束となった測定光は、被検眼Eに照射される。
【0022】
被検眼Eに照射された測定光は、被検眼Eの深さ方向の各部位で反射される。反射された測定光は、測定光路を介してカプラ106に戻ってくる。さらに、この測定光は、光ファイバ116によりカプラ118に導かれる。測定光には、被検眼Eの深さ方向の情報を含んでいる。
【0023】
一方、カプラ106により生成された参照光は、光ファイバ114によってカプラ118に導かれる。カプラ118は、4本の光ファイバ114、116、120a及び120bを接続している。カプラ118の分岐比は50:50である。
【0024】
光ファイバ116により導かれた測定光と光ファイバ114により導かれた参照光は、カプラ118により合成されて干渉光を生成する。検出器124は、第1受光素子124aと第2受光素子124bを有するバランス型光検出器であり、光ファイバ120a及び120bにより導かれた干渉光を検出する。検出器124における第1受光素子124aは、光ファイバ120aにより導かれた干渉光を検出し、第1干渉信号を生成する。検出器124における第2受光素子124bは、光ファイバ120bにより導かれた干渉光を検出し、第2干渉信号を生成する。
【0025】
検出器124は、第1受光素子124aにより生成された第1干渉信号と第2受光素子124bにより生成された第2干渉信号とを差分した差分干渉信号を制御部4に入力する。
【0026】
制御部4は、各種演算処理を行う機能を備えている。本実施例では、解析信号生成部8と、第1干渉信号ゲイン調整部10を有している。解析信号生成部8は、検出器124から入力される差分干渉信号をフーリエ変換することで、深さ方向の光強度分布を表わす解析信号を生成する。第1干渉信号ゲイン調整部10は、解析信号生成部8で生成された解析信号に基づき第1干渉信号のゲイン調整が行われる。
【0027】
第1干渉信号のゲイン調整について
図2を用いて説明する。第1干渉信号ゲイン調整部10は、解析信号生成部8から解析信号が入力されると、S1において所定範囲X内の深さ位置にピークが存在するか否か判定する。不要成分ピークは、解析信号における固定の深さ位置にて発生するため、本実施例では、予め不要成分ピークが発生する深さ位置を特定し、その位置を含んで所定範囲Xが設定されている(
図3を参照)。
【0028】
所定範囲X内の深さ位置にピークが検出されなかった場合には、解析信号には不要成分が存在しないと判定し、第1干渉信号のゲイン調整は行わないで、処理を終了する。
【0029】
一方、S1において所定範囲X内の深さ位置にピークが検出された場合には、S2において、S1で検出されたピークが閾値Lの強度を超えるか否かを判定する。閾値Lは、被検眼Eの各部位からのピークの強度より低くなるように設定されている(
図3を参照)。
【0030】
ピークが閾値Lの強度を超えない場合には、被検眼Eの眼寸法の算出に影響する不要成分は解析信号に存在しないと判定し、第1干渉信号のゲイン調整は行わないで、処理を終了する。
【0031】
一方、S2において、S1で検出されたピークが閾値Lの強度を超える場合には、S3において、第1干渉信号のゲイン調整が行われる。すなわち、第1干渉信号と第2干渉信号の強度が同じになるように、第1干渉信号ゲイン調整部10の制御の下、検出器124は、第1干渉信号のゲインを増減させる。
【0032】
そして、第1干渉信号ゲイン調整部10により処理された解析信号を用いて、解析信号における光強度分布から被検眼Eの内部の各部位(角膜の前面及び後面、水晶体の前面及び後面、網膜の表面)の位置を特定し、これらの位置から眼寸法(例えば、眼軸長、前房深度、水晶体厚、角膜厚)を算出し、その結果をモニタ6に表示する。
【0033】
上述の説明から明らかなように、本実施例に係る眼科装置1では、解析信号における不要成分の有無を判定し、その判定結果に応じて検出器124における第1干渉信号のゲインを調整するようになっている。従って、好適に不要成分が除去された解析信号を得ることができる。さらに、第1干渉信号と第2干渉信号の強度のバランスを調整したことにより、広いダイナミックレンジを確保して感度等の光学性能を安定して得ることも可能となる。
【0034】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0035】
例えば、上述した実施例では、所定範囲X内の深さ位置にピークが存在するか否かで、不要成分が存在するかどうかを判定したが、検出器124における第1干渉信号又は第2干渉信号のゲイン調整を行うことで不要成分が存在するかどうかを判定してもよい。すなわち、具体的には、検出器124における第1干渉信号または第2干渉信号のゲインを変えたときに、強度が変化するピークが存在した場合、そのピークが不要成分であると判定することもできる。
【0036】
また、本実施例では、第1干渉信号ゲイン調整部10により検出器124における第1干渉信号をゲイン調整したが、第2干渉信号をゲイン調整してもよいし、第1干渉信号及び第2干渉信号の両方をゲイン調整してもよい。
【0037】
また、本実施例では、被検眼の眼寸法を測定する眼科装置を開示したが、波長掃引光源の光を検出するバランス型光検出器を有する眼科装置であれば適用が可能であり、例えば、被検眼の深さ方向の断層画像(例えば、前眼部の断層画像や眼底の断層画像)を取得する眼科装置に本発明を利用してもよい。
【0038】
[第1の実施形態の第1変形例]
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例について
図4を用いて説明する。第1の実施形態の第1変形例においては、検出器124における第1干渉信号のゲインの調整が、制御部4における第1干渉信号ゲイン調整部10によるゲインの調整に代えて、ゲイン調整スイッチを用いる。よって、本変形例においては、
図4を用いてゲイン調整の方法について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0039】
図4は第1の実施形態の第1変形例による眼科装置50の全体構成を示す図である。前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。眼科装置50は、波長掃引光源102から光が出力されると、第1の実施形態と同様に、制御部12における解析信号生成部8は、解析信号を生成する。制御部12は、解析信号生成部8により生成された解析信号をモニタ6に表示させる。このとき、制御部12は、解析信号が得られる毎に、リアルタイムで新しい解析信号を表示していく。
【0040】
モニタ6は、タッチパネル式であり、検者はモニタ6に表示される設定項目を選択操作することにより各種条件を設定することができるようになっている。
図5に示すように、タッチパネル式のモニタ6上の画面には、第1干渉信号のゲインを調整するための第1干渉信号ゲイン調整スイッチ14と第2干渉信号のゲインを調整するための第2干渉信号ゲイン調整スイッチ16が設けられている。さらに、解析信号には、不要成分ピークが現れる所定範囲Xや不要成分ピークの閾値Lがわかるように示されている。
【0041】
検者は、随時表示される解析信号を観察しながら、解析信号における所定範囲Xの深さ位置に閾値Lの強度を超える不要成分ピークが確認された場合には、第1干渉信号ゲイン調整スイッチ14又は第2干渉信号ゲイン調整スイッチ16を操作することにより、第1干渉信号と第2干渉信号のゲインを調整する。このとき、制御部12は、第1干渉信号ゲイン調整スイッチ14と第2干渉信号ゲイン調整スイッチ16からの操作信号に基づいて検出器124に対してゲインを増加もしくは減少させる。
【0042】
検者は、モニタ6に表示される解析信号における所定範囲Xの深さ位置に閾値Lの強度を超える不要成分ピークが存在しなくなったところで、第1干渉信号又は第2干渉信号のゲイン調整を止めて、測定スイッチ18を押す。このとき、制御部12は、測定スイッチ18からの操作信号に応じて解析信号から眼寸法を算出する。
【0043】
なお、本実施例では、第1干渉信号ゲイン調整スイッチ14と第2干渉信号ゲイン調整スイッチ16を設けたが、第1干渉信号ゲイン調整スイッチ14のみや第2干渉信号ゲイン調整スイッチ16のみでもよい。
【0044】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について
図6を用いて説明する。第2の実施形態においては、検出器124における第1干渉信号と第2干渉信号の強度のバランスを調整する方法が、第1干渉信号と第2干渉信号のゲインの調整に代えて、検出器124における第1受光素子124aに入射する光量の調整を用いる。よって、本実施形態においては、
図6を用いて光量調整の方法について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0045】
図6は第2の実施形態による眼科装置60の全体構成を示す図である、前述した第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施例では、制御部18に光量調整部20を有するとともに、第1受光素子124aに導かれる干渉光の光量を調整するための光減衰器(アッテネータ)122を設ける。すなわち、第1受光素子124aは、光減衰器122を介して光ファイバ120aにより導かれた干渉光を検出する。光減衰器122は、制御部18における光量調整部20の制御の下、第1受光素子124aに導かれる干渉光の光量を調整する。
【0046】
眼科装置60は、波長掃引光源102から光が出力されると、第1の実施形態と同様に、制御部18における解析信号生成部8は、解析信号を生成する。光量調整部20は、解析信号生成部8で生成された解析信号に基づき第1受光素子124aに導かれる干渉光の光量の調整が行われる。
【0047】
具体的には、まず上述した第1実施形態と同様に、S1における所定範囲X内の深さ位置にピークが存在するか否か判定と、S2におけるS1で検出されたピークが閾値Lの強度を超えるか否かの判定が行われる。S1において、所定範囲X内の深さ位置にピークが存在すると判定され、S2において、S1で検出されたピークが閾値Lの強度を超えると判定されると、第1受光素子124aに導かれる干渉光の光量の調整が行われる。すなわち、第1干渉信号と第2干渉信号の強度が同じになるように、光減衰器122を用いて第1受光素子124aに導かれる干渉光の光量を減光させる。
【0048】
そして、光量調整部20により処理された解析信号から眼寸法を算出する。
【0049】
なお、本実施例では、検出器124における第1受光素子124aに入射する光量の調整を行ったが、検出器124における第2受光素子124bに入射する光量の調整を行ってもよいし、検出器124における第1受光素子124a及び第2受光素子124bの両方の入射する光量の調整を行ってもよい。
【0050】
第1の実施形態、第1の実施形態の第1変形例、第2の実施形態では、解析信号における不要成分を特定して、第1干渉信号と第2干渉信号の強度のバランスを調整したが、第1干渉信号と第2干渉信号そのものを用いて、第1干渉信号と第2干渉信号の差の値に基づいて、第1干渉信号と第2干渉信号の強度のバランスを調整してもよい。
【0051】
具体的には、検出器124から入力された第1干渉信号と第2干渉信号の差がゼロか否かを判定する。第1干渉信号と第2干渉信号の差がゼロの場合には、第1干渉信号と第2干渉信号の強度のバランスを調整する必要がない(バランスは整っている)と判定し、第1干渉信号と第2干渉信号の強度の調整は行わない。第1干渉信号と第2干渉信号の差がゼロでない場合には、第1干渉信号と第2干渉信号の差がゼロとなるように、第1干渉信号と第2干渉信号の強度のバランス調整を行う。第1干渉信号と第2干渉信号の強度のバランスを調整する方法は、上述した実施形態のいずれか(ゲイン調整又は光量調整)を用いることができる。
【0052】
以上、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。