(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357352
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】自動工具交換装置付きドリルタップマシン
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/157 20060101AFI20180702BHJP
B23B 47/20 20060101ALI20180702BHJP
B23B 47/06 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
B23Q3/157 C
B23B47/20
B23B47/06
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-110380(P2014-110380)
(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公開番号】特開2015-223670(P2015-223670A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】392000774
【氏名又は名称】株式会社タック技研工業
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(72)【発明者】
【氏名】重松 義廣
(72)【発明者】
【氏名】森田 弘
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭49−033992(JP,A)
【文献】
実開昭61−191845(JP,U)
【文献】
実開平02−019441(JP,U)
【文献】
特開平06−000740(JP,A)
【文献】
特開昭62−157745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/157
B23B 31/117
B23B 47/06
B23B 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ケーシングと、
前記外側ケーシング内に前後動可能に配置された筒状ケーシングと、
前記筒状ケーシング内に第1のベアリング群を介して回転自在に配置され、前側に工具ホルダを取付け可能な保持手段が形成され、後側には第1のスプラインが形成された主軸と、
前記外側ケーシングの後部に第2のベアリング群を介して回転自由に配置され、前部には前記第1のスプラインに噛合する第2のスプラインを備え、後部には動力伝達手段を備えた駆動軸と、
前記駆動軸を回転駆動する第1のモータと、
前記主軸及び前記駆動軸に平行に配置され、前記外側ケーシングに第3のベアリング群を介して回転自由に設けられた雄ねじ及び該雄ねじに螺合する雌ねじと、
前記雌ねじと前記筒状ケーシングの後部とを連結する連結金具と、
前記雄ねじを回転駆動する第2のモータと、
前記外側ケーシングの前側に取付けられ、前記主軸の軸心に対して直交する取付け面を有する支持部材と、
前記支持部材の取付け面に装着され、前記主軸の軸心に向かって前記工具ホルダを第1のシリンダによって半径方向に進退移動し、第2のシリンダによって半径方向内側に取付けられた前記工具ホルダの把持及び把持解放をそれぞれ行う複数の工具交換機構とを有し、しかも前記雄ねじと前記雌ねじにはボールねじ機構が使用されている自動工具交換装置付きドリルタップマシンであって、
前記支持部材は正面視して半径方向内側領域が欠損した半円形状又は円弧角が180度未満の扇形形状となって、しかも、前記半円形状又は前記扇形形状の中心は、前記主軸の軸心に一致する自動工具交換装置付きドリルタップマシン。
【請求項2】
請求項1記載の自動工具交換装置付きドリルタップマシンにおいて、前記工具ホルダは、前部に工具チャックを、後部に前記主軸のテーパ孔に係合するテーパ部と該テーパ部の基部に形成された膨径部とを有し、前記保持手段は前記膨径部を挟持するクランプ機構と、該クランプ機構によって挟持した前記膨径部を後方に付勢するスプリングと、該スプリングに対向して前記クランプ機構の動作を解除する第3のシリンダとを有する自動工具交換装置付きドリルタップマシン。
【請求項3】
請求項2記載の自動工具交換装置付きドリルタップマシンにおいて、前記スプリングは前記主軸に内蔵されて、前記第3のシリンダは前記主軸を横方向に貫通するピンをリング状ロッドで押圧することによって、前記クランプ機構の動作を解除する自動工具交換装置付きドリルタップマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリル又はタップ等の工具を自動的に取り替えて孔加工又はねじ加工を行う自動工具交換装置付きドリルタップマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、電動シリンダの回転軸の先部にチャックを取付け、このチャックにドリルやタップを装着し、ねじ孔加工を行う電動加工装置は広く知られまた使用されている。ところが、特許文献1記載の電動加工装置を用いてねじ孔(雌ねじ)加工を行う場合、最初はチャックに所定径のドリルを装着して孔加工を行い、次にドリルをチャックから外してタップをチャックに取付けてねじ切り加工を行う必要があり、極めて手間であった。
【0003】
そこで、複数の電動加工装置を用意して、ドリル加工とタップ加工を分けて行うことも行われているが、ワーク又は電動加工装置を動かす必要があり、位置合わせが手間であるという問題があった。
そこで、特許文献2に記載のように、複数の刃物(ドリル、タップ等をいう)の付いたチャックを並べておき、必要に応じて刃物を選択することも行われている(通常、ATCと呼ばれている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−136314号公報
【特許文献2】特開2010−42458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の自動工具交換装置付きの工作機械は、平面板に複数の工具を並べるもので、かなり大型の装置となり、自動車や家電製品の組立ラインの一部に使用することは困難であった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来の簡易取付け型の電動加工装置を更に発展させ、複数の工具交換が自動で行え、しかも設置性(取付け易さ)がよく比較的狭い場所での水平設置も可能な自動工具交換装置付きドリルタップマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシンは、外側ケーシングと、
前記外側ケーシング内に前後動可能に配置された筒状ケーシングと、
前記筒状ケーシング内に第1のベアリング群を介して回転自在に配置され、前側に工具ホルダを取付け可能な保持手段が形成され、後側には第1のスプラインが形成された主軸と、
前記外側ケーシングの後部に第2のベアリング群を介して回転自由に配置され、前部には前記第1のスプラインに噛合する第2のスプラインを備え、後部には動力伝達手段を備えた駆動軸と、
前記駆動軸を回転駆動する第1のモータと、
前記主軸及び前記駆動軸に平行に配置され、前記外側ケーシングに第3のベアリング群を介して回転自由に設けられた雄ねじ及び該雄ねじに螺合する雌ねじと、
前記雌ねじと前記筒状ケーシングの後部とを連結する連結金具と、
前記雄ねじを回転駆動する第2のモータと、
前記外側ケーシングの前側に取付けられ、前記主軸の軸心に対して直交する取付け面を有する支持部材と、
前記支持部材の取付け面に装着され、前記主軸の軸心に向かって前記工具ホルダを第1のシリンダによって半径方向に進退移動し、第2のシリンダによって半径方向内側に取付けられた前記工具ホルダの把持及び把持解放をそれぞれ行う複数の工具交換機構とを有し、しかも前記雄ねじと前記雌ねじにはボールねじ機構が使用されている
自動工具交換装置付きドリルタップマシンであって、
前記支持部材は正面視して半径方向内側領域が欠損した半円形状又は円弧角が180度未満の扇形形状となって、しかも、前記半円形状又は前記扇形形状の中心は、前記主軸の軸心に一致する。
【0008】
【0009】
本発明に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシンにおいて、前記工具ホルダは、前部に工具チャックを、後部に前記主軸のテーパ孔に係合するテーパ部と該テーパ部の基部に形成された膨径部とを有し、前記保持手段は前記膨径部を挟持するクランプ機構と、該クランプ機構によって挟持した前記膨径部を後方に付勢するスプリングと、該スプリングに対向して前記クランプ機構の動作を解除する第3のシリンダとを有するのが好ましい。
【0010】
そして、本発明に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシンにおいて、前記スプリングは前記主軸に内蔵されて、前記第3のシリンダは前記主軸を横方向に貫通するピンをリング状ロッドで押圧することによって、前記クランプ機構の動作を解除するのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシンは、固定状態にある外側ケーシングに対して、筒状ケーシングが前後動し、この動きはボールねじ機構を介して第2のモータによって制御され。主軸の回転は噛合する第1、第2のスプラインを通じて、第1のモータによって駆動されるので、回転駆動系がコンパクトになる。
そして、外側ケーシングの前側(先部)には、主軸の軸心に対して直交する取付け面を有する支持部材が設けられ、この支持部材の取付け面に装着され、半径方向に進退して工具ホルダの把持及び把持解放をそれぞれ行う複数の工具交換機構を有するので、複数の工具(刃物)の自動交換ができる。
【0012】
特に、本発明に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシン
は、支持部材が正面視して半径方向内側領域が欠損した半円形状又は円弧角が180度未満の扇形形状となって、しかも、半円形状又は扇形形状の中心を、主軸の軸心に一致するようにした
ので、外側ケーシングをそのまま平面状の載置面(その他の取付け部材)に取付けることができ、従来の環状の支持部材を用いる場合より狭いスペースにこの自動工具交換装置付きドリルタップマシンを取付けることができる。
【0013】
また、本発明に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシンにおいて、保持手段が工具ホルダの膨径部を挟持するクランプ機構と、クランプ機構によって挟持した膨径部を後方に付勢するスプリングと、スプリングに対向してクランプ機構の動作を解除する第3のシリンダとを有する場合は、常時は、スプリングでクランプ機構の動作を行っているので、仮に停電となった場合でも、工具ホルダが外れるという心配がない。
【0014】
そして、本発明に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシンにおいて、スプリングが主軸に内蔵されて、第3のシリンダが主軸を横方向に貫通するピンをリング状ロッドで押圧することによって、クランプ機構の動作を解除するようにした場合は、この自動工具交換装置付きドリルタップマシンの分解、組立が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシンの側断面図である。
【
図2】同自動工具交換装置付きドリルタップマシンの部分側断面図である。
【
図3】(A)は同自動工具交換装置付きドリルタップマシンの工具交換機構の正面図、(B)は同左側面図、(C)は同一部省略右側面図、(D)は同一部省略平面図である。
【
図4】同自動工具交換装置付きドリルタップマシンの一部省略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
図1〜
図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る自動工具交換装置付きドリルタップマシン10は、
1)外側ケーシング11と、
2)外側ケーシング11内に前後動可能に配置された筒状ケーシング12と、
3)筒状ケーシング12内に第1のベアリング群の一例であるベアリング13、14を介して回転自在に配置され、前側(先部)に工具ホルダ15を取付け可能な保持手段16が形成され、後側には第1のスプラインの一例であるスプライン孔17が形成された一部中空の主軸18と、
4)外側ケーシング11の後部に第2のベアリング群の一例であるベアリング19、20を介して回転自由に配置され、前部にはスプライン孔17に噛合する第2のスプラインの一例であるスプライン軸21を備え、更に後部には動力伝達手段の一例であるプーリ22を備えた駆動軸23と、
5)駆動軸23を回転駆動する第1のモータ(サーボモータ)24と、
6)主軸18及び駆動軸23に平行に配置され、外側ケーシング11に第3のベアリング群の一例であるベアリング26、27を介して回転自由に設けられた雄ねじ28及び雄ねじ28に螺合する雌ねじ29を備えたボールねじ機構30と、
7)雌ねじ29を筒状ケーシング12の後部に連結する連結金具31と、
8)雄ねじ28を回転駆動する第2のモータ(サーボモータ)32と、
9)外側ケーシング11の先側(前側)に取付けられ、主軸18の軸心に対して直交する取付け面を有する正面視して半円形状の支持部材33(
図2には図示せず)と、
10)支持部材33の取付け面に装着されガイド部材34に沿って、第1のシリンダ35によって主軸18の軸心に向かって半径方向に進退移動するスライド部材37、スライド部材37の半径方向内側端に工具ホルダ15を把持及び把持解放する第2のシリンダ39をそれぞれ備えた複数の工具交換機構40とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0017】
外側ケーシング11は、例えば、アルミニウム、アルミ合金ダイキャスト、鋳物、マグネシウム合金ダイキャスト等からなって、主軸18を回転可能に支持する筒状ケーシング12を前後動可能に支持する領域42と、筒状ケーシング12を前後動するボールねじ機構30を収納する領域43とを有する。
【0018】
図1、
図2に示すように、主軸18の先部(全部)はテーパ孔44aとなって、工具ホルダ15の後部に設けられたテーパ部44が嵌入する。工具ホルダ15の後端(即ち、基部)に形成された膨径部45を挟持する複数の開閉する掛止爪を備えたクランプ機構46が主軸18内に設けられ、主軸18の先部に取付けられる工具ホルダ15を固定する。工具ホルダ15には先部に、ドリル又はタップ等の切削工具38dが交換可能に取付けられるチャック(工具チャック)47が設けられている。
【0019】
主軸18の後部には、内側にスプライン孔17を有する管軸48(主軸18の後半分を形成している)が設けられ、スプライン孔17には駆動軸23の前側に形成されたスプライン軸21が嵌入している。管軸48は第4のベアリング群の一例であるベアリング50、51に支持されている。また、スプライン軸21の後部にはプーリ22を備えている。
これによって、駆動軸23から主軸18に回転動力を与え、しかも、駆動軸23を基準にして主軸18が前後動できる構造となっている。管軸48は筒状ケーシング12に連結され、更に筒状ケーシング12は連結金具31を介して雌ねじ28に連結されている。
【0020】
図2に示すように、筒状ケーシング12の後側には前後方向に2つのピストン53、54を有するエアシリンダ(第3のシリンダの一例)55が設けられている。このエアシリンダ55の内筒(リング状ロッド)55aが出力軸を構成し、エアシリンダ55を作動して内筒55aが前進する場合は、クランプ機構46の操作軸56の中間位置に貫通して設けられ、しかも主軸18を横方向に貫通するピン57を、前方に押圧できる構造となっている。
図2において、55c、55dはそれぞれエアシリンダ55の吸気口、排気口を示す。
【0021】
操作軸56の先部には、膨径部45を挟持するクランプ機構46が設けられ、操作軸56を前方に押すとクランプ機構46による膨径部45の掴持が解除し、主軸18に内蔵された複数枚重ねた皿バネ(スプリングの一例)57aで操作軸56を後方に押して、膨径部45の掴持及び後方引っ張りを行うようになっている。これによって、工具ホルダ15をクランプ中にエア源が切れても、皿バネ57によって工具ホルダ15を主軸18の先部にクランプ保持する。以上に説明したクランプ機構46、皿ばね57a、及びエアシリンダ55を有して、工具ホルダ15の把持及び把持解放を行う保持手段16が構成される。
【0022】
外側ケーシング11には、前後をベアリング26、27によって支持された雄ねじ28が設けられ、これに雌ねじ29が螺合している。雄ねじ28と雌ねじ29の螺合にはボールが使用され、これによって、摩擦係数の極めて少ないボールねじ機構30を形成している。
図4に示すように、雄ねじ28の後部には、プーリ60、ベルト61、プーリ62を介して第2のモータ32が連結され、雄ねじ28を所定角度回転させて、筒状ケーシング12及び主軸18を前後動する。
【0023】
なお、プーリ22には、ベルト63、プーリ64を介して第1のモータ24から回転動力を与え、主軸18を正転又は逆転させる。そして、第1のモータ24、第2のモータ32は支持部材66を介して外側ケーシング11に固定されている。
筒状ケーシング12の下部には、取付け部材67を介して、前後左右にスライド部材68が設けられ、直下に配置されたスライドレール69、70上を前後方向に移動できる。これによって、筒状ケーシング12の前後動を確保している。
【0024】
次に、
図3(A)〜(D)を参照して、正面視して半径方向内側領域が欠損した半円形状の支持部材33に取付けられている工具交換機構40について説明する。この実施の形態においては、5の工具交換機構40が設けられているが、最低限2つであってもよい。なお、複数の工具交換機構40が同時に作動しないようにインターロック回路が設けられている。
全ての工具交換機構40は、主軸18の先側に工具ホルダ15を取付け又は取り外すものであるので、それぞれの軸心は主軸18の軸心と直交する。この実施の形態において、支持部材33に複数本のリニアレールからなるガイド部材34が放射状に等間隔で取付けられ、このガイド部材34に沿ってスライド部材37が摺動移動可能に設けられている。
【0025】
このスライド部材37の片側には、第1のシリンダ35が調整機構74を介して設けられ、スライド部材37が主軸18の軸心に向けて進退移動する。なお、調整機構74は第1のシリンダ35が伸びた場合の、スライド部材37の位置を調整するものである。この場合スライド部材37の半径方向内側には、半円形の突出保持部75が設けられ、工具ホルダ15の中間位置に設けられたリング溝76にこの突出保持部75が嵌入して、工具ホルダ15の片側半分を支持できる構造となっている。
【0026】
突出保持部75の外側には、押さえ爪77が設けられ、リング溝76に嵌入した突出保持部75を保持する。リング溝76を突出保持部75に把持する荷重は重ね合わせた皿ばね78によって形成され、把持を解除する場合は、第2のシリンダ79を操作することによって行う。これによって、事故等でエア源の供給に支障がある場合は、皿ばね78で押さえ爪77を保持し、リング溝76からスライド部材37が外れないようにしている。
【0027】
続いて、この自動工具交換装置付きドリルタップマシン10の使用方法及び動作について説明する。
まず、所定位置にこの自動工具交換装置付きドリルタップマシン10を取付ける。この場合、外側ケーシング11に取付けられた支持部材33は、この自動工具交換装置付きドリルタップマシン10の底板材79を基準にして上側に半円形状であるので、工具交換機構40を支持部材33上に並べて取付けることができる。半円形状の支持部材33の中心は、主軸18の軸心に一致している。
【0028】
この場合、この自動工具交換装置付きドリルタップマシン10をXYテーブルの上に取付けると、二次元上を自動工具交換装置付きドリルタップマシン10を移動させることができる。この自動工具交換装置付きドリルタップマシン10を所定の位置に設置した後、工具ホルダ15のチャック47に使用する刃物(ドリル、タップ)を取付ける。第1のシリンダ35を縮め、第2のシリンダ39を伸ばした状態(即ち、工具交換機構40の先側に設けられた突出保持部75が半径方向外側にあって、半円形の突出保持部75が開いた状態)で、突出保持部75に工具ホルダ15を装着する。
【0029】
この後、第2のシリンダ39を縮めて、皿バネ57によって押さえ爪77を作動させ、工具ホルダ15を突出保持部75に固定する。
この状態で、最初に使用する工具を、工具ホルダ15と共に、第1のシリンダ35を伸ばして、主軸18の軸心まで移動させる。なお、この時点では筒状ケーシング12は、外側ケーシング11の後ろ側待機位置にある。
【0030】
次に、第2のモータ32を所定方向に回転させて、雄ねじ28を回転駆動し、筒状ケーシング12を前進させ、主軸18の先部にあるテーパ孔44aに工具ホルダ15のテーパ部44を嵌入させる。この時、エアシリンダ55を作動させて、クランプ機構46を開き、工具ホルダ15の膨径部45を把持しないようになっている。
これによって、クランプ機構46に膨径部45が嵌入するので、エアシリンダ55を解除し、皿ばね57aによって、クランプ機構46を作動させて工具ホルダ15を主軸18の先部に固定する。
【0031】
次に、第1のモータ24を回転させて、駆動軸23を介して主軸18を回転させ、更に第2のモータ32を回転させて、対象物に孔加工又はねじ切り加工を行う。この場合、下孔は一つの工具交換機構40に設けられたドリルで形成し、次に別の工具交換機構40に設けられたタップでねじ加工することもできる。なお、これらの制御は、予めプログラムされた手順に基づいて行う。
【0032】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。
この実施の形態では、スプリングとして多数枚重ねた皿ばねを用いているが、コイルばねを使用することも可能である。また、シリンダとしてエアシリンダを用いるのが好ましいが、油圧シリンダであってもよい。
更に、支持部材は前記実施の形態では半円形状であったが、円弧角が180度未満の扇形形状、矩形、その他の多角形であっても本発明は適用される。
【符号の説明】
【0033】
10:自動工具交換装置付きドリルタップマシン、11:外側ケーシング、12:筒状ケーシング、13、14:ベアリング、15:工具ホルダ、16:保持手段、17:スプライン孔、18:主軸、19、20:ベアリング、21:スプライン軸、22:プーリ、23:駆動軸、24:第1のモータ、26、27:ベアリング、28:雄ねじ、29:雌ねじ、30:ボールねじ機構、31:連結金具、32:第2のモータ、33:支持部材、34:ガイド部材、35:第1のシリンダ、37:スライド部材、38d:切削工具、39:第2のシリンダ、40:工具交換機構、42、43:領域、44:テーパ部、44a:テーパ孔、45:膨径部、46:クランプ機構、47:チャック、48:管軸、50、51:ベアリング、53、54:ピストン、55:エアシリンダ、55a:内筒、55c:吸気口、55d:排気口、56:操作軸、57:ピン、57a:皿バネ、60:プーリ、61:ベルト、62:プーリ、63:ベルト、64:プーリ、66:支持部材、67:取付け部材、68:スライド部材、69、70:スライドレール、74:調整機構、75:突出保持部、76:リング溝、77:押さえ爪、78:皿ばね、79:底板材