特許第6357397号(P6357397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357397
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20180702BHJP
   F25D 27/00 20060101ALI20180702BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   F25D11/00 101B
   F25D11/00 102Z
   F25D27/00
   F25D29/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-207679(P2014-207679)
(22)【出願日】2014年10月9日
(65)【公開番号】特開2016-75452(P2016-75452A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】青山 勝
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−295942(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0038553(US,A1)
【文献】 特開2003−240429(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0271475(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0058792(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102435041(CN,A)
【文献】 特開2010−071564(JP,A)
【文献】 特開2004−271176(JP,A)
【文献】 特開2006−342996(JP,A)
【文献】 特開2009−192132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 − 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉する扉と、
冷蔵庫本体の外側で氷及び水のいずれかを供給するディスペンサ部と、
前記ディスペンサ部を駆動する入力手段と、
前記ディスペンサ部の設定を表示及び操作するディスペンサコントロールパネルと、
前記貯蔵室の設定を表示及び操作する庫内設定コントロールパネルと、
前記ディスペンサコントロールパネル及び前記庫内設定コントロールパネルをそれぞれ点灯表示させる複数の照明手段と、
前記冷蔵庫本体の正面側の所定距離に人がいることを検知する人検知手段と、を備え、
前記人検知手段で人を検知した場合、前記照明手段によって前記ディスペンサコントロールパネルを点灯表示し、
前記人検知手段で人を検知した状態で、前記ディスペンサ部の操作入力を検知した場合、該ディスペンサ部を駆動して、
前記人検知手段で人を検知していない状態で、前記ディスペンサ部の操作入力を検知した場合、該ディスペンサ部を停止することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉する扉と、
冷蔵庫本体の外側で氷及び水のいずれかを供給するディスペンサ部と、
前記ディスペンサ部を駆動する入力手段と、
前記ディスペンサ部の設定を表示及び操作するディスペンサコントロールパネルと、
前記貯蔵室の設定を表示及び操作する庫内設定コントロールパネルと、
前記ディスペンサコントロールパネル及び前記庫内設定コントロールパネルをそれぞれ点灯表示させる複数の照明手段と、
前記冷蔵庫本体の正面側の所定距離に人がいることを検知する人検知手段と、を備え、
前記人検知手段で人を検知した場合、前記照明手段によって前記ディスペンサコントロールパネルを点灯表示し、
前記人検知手段で人を検知して、前記照明手段によって前記ディスペンサコントロールパネルを点灯表示する場合、前記庫内設定コントロールパネルの消灯状態を維持することを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許文献1(特開2007−149580号公報)がある。
【0003】
特許文献1の要約欄では、「スイッチ2と光源4を被覆材5で被覆して表面から見えないようにし、前記スイッチ2は被覆材5の操作領域5aに指が接することで操作されるタッチスイッチとし、前記被覆材5の操作領域5aは光源4が消灯している時には表面から目視で認識できずに点灯した時に目視で認識できるようにし、前記スイッチに人が接近したことを検出する人感スイッチ6と、この人感スイッチ6の検出信号で前記光源4を点灯する制御部7を設けたスイッチ装置で、使用者がスイッチ2を操作しようとスイッチ2に接近すると被覆材5の操作領域5aを使用者が目視で認識でき、スイッチ2を確実に操作することができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−149580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成は、未使用状態の場合に電源をOFFにする一般的な電気機器を前提としている。
【0006】
ここで、常に電源がONで運転している冷蔵庫の場合、一度設定された冷却運転等の貯蔵に関する機能は、頻繁に変更されることが少ない。また、氷や水を外部へ供給するディスペンサ機能を備えた冷蔵庫の場合、スイッチ操作は特に必要とされない。
【0007】
よって、特許文献1の構成を冷蔵庫に適用すると、使用者が近づいただけで使用しないスイッチが点灯表示されるため、使用者にとっては目障りとなり、使い勝手への配慮が不十分となる。また、使用者が近づくたびに使用する頻度の低いスイッチを点灯させるため、消費電力量が増加する。
【0008】
そこで本発明は、使い勝手を向上した冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は一例として、冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉する扉と、冷蔵庫本体の外側で氷及び水のいずれかを供給するディスペンサ部と、前記ディスペンサ部を駆動する入力手段と、前記ディスペンサ部の設定を表示及び操作するディスペンサコントロールパネルと、前記貯蔵室の設定を表示及び操作する庫内設定コントロールパネルと、前記ディスペンサコントロールパネル及び前記庫内設定コントロールパネルをそれぞれ点灯表示させる複数の照明手段と、前記冷蔵庫本体の正面側の所定距離に人がいることを検知する人検知手段と、を備え、前記人検知手段で人を検知した場合、前記照明手段によって前記ディスペンサコントロールパネルを点灯表示し、(1)前記人検知手段で人を検知した状態で、前記ディスペンサ部の操作入力を検知した場合、該ディスペンサ部を駆動して、前記人検知手段で人を検知していない状態で、前記ディスペンサ部の操作入力を検知した場合、該ディスペンサ部を停止する、又は、(2)前記人検知手段で人を検知して、前記照明手段によって前記ディスペンサコントロールパネルを点灯表示する場合、前記庫内設定コントロールパネルの消灯状態を維持する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、使い勝手を向上した冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の冷蔵庫を示す正面図
図2】本実施形態のディスペンサ操作部概略構成図
図3】本実施形態の冷蔵庫運転設定操作パネル概略構成図
図4】本実施形態の冷蔵庫の電気回路概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の冷蔵庫を示す正面図である。図2は本実施形態のディスペンサ操作部の概略構成図である。図3は本実施形態の冷蔵庫運転設定操作パネル概略構成図である。図4は本実施形態の冷蔵庫の電気回路概略図である。
【0013】
冷蔵庫本体1は、前方に開口を有し、壁面(内壁と外壁の間)に断熱材を備えた断熱箱体を有する。この断熱箱体の前方の開口を開閉するための扉1a,1b,1cを、冷蔵庫本体1の前方に備えている。
【0014】
扉1aは、図1の冷蔵庫正面視で左側に位置する貯蔵室を開閉する扉である。扉1bは、図1の冷蔵庫正面視で右側上部に位置する貯蔵室を開閉する扉である。扉1cは、図1の正面視で右側下部に位置する貯蔵室を開閉する扉である。扉1aは、断熱箱体の正面視で左側の上下に設けたヒンジによって回動自在に支持されている。扉1b,1cは、断熱箱体の正面視で右側の上下に設けたヒンジによって回動自在に支持されている。扉1b,1cは、それぞれ独立して回動させることができる。扉1a,1b,1cは、それぞれ冷蔵庫本体1の中央寄りの位置に手掛け部1d,1e1,1e2を有する。手掛け部1d,1e1,1e2は、グリップ状のハンドルや凹形状の把持部、可動式のロックハンドル等、あらゆる自明の構成を採用することができる。手掛け部1d,1e1,1e2は、使用者が手を掛けて操作することで、対応する扉1a,1b,1cがヒンジを支点に回動する構成である。
【0015】
なお、貯蔵室及び扉のレイアウトはこれに限定するものではなく、貯蔵室が左右に仕切られて左右にそれぞれ1つずつ扉を備えたレイアウトや、貯蔵室が上下に仕切られてそれぞれの貯蔵室に扉を備えたレイアウト等、公知の構成及び公知の構成から想定可能なレイアウトを採用することができる。
【0016】
また、扉の構成も回動扉に限定するものではなく、引き出し式の扉や、スライド式の扉等、公知の構成及び公知の構成から想定可能な扉を採用することができる。
【0017】
本実施形態において、扉1aで開閉される貯蔵室は、冷凍温度帯の貯蔵室である。また、扉1b、1cで開閉される貯蔵室は、それぞれ冷蔵温度帯の貯蔵室である。
【0018】
冷凍温度帯の貯蔵室内には、図示しない製氷装置が設けられている。製氷装置は、水を貯めて凍結させる製氷部と、製氷後に製氷部を駆動させて氷を貯氷部へ供給する駆動部と、貯氷部の貯氷量を検出する検出部とを有する。また、冷蔵温度帯の貯蔵室内には、図示しない水貯蔵部が設けられている。さらに、冷蔵庫の各種機能を制御する制御部が、冷蔵庫本体1の上部(又は背部)に設けられている。
【0019】
この構成で、貯氷部の氷の量が所定より少ないと制御部で判定した場合、給水装置(一例として給水ポンプ)が駆動して、水貯蔵部の水が水配管を通じて製氷装置の製氷部へ供給される。製氷部の水が凍結することを判定するか、凍結すると予め推定した所定時間が経過した場合、製氷部の氷を貯氷部へ供給する。
【0020】
冷凍温度帯の貯蔵室を開閉する扉1aには、ディスペンサ部2を備えている。ディスペンサ部2は、角氷(キューブアイス)、破氷(クラッシュアイス)、及び冷水のいずれかを使用者の要求に応じて供給する機能を有する。ディスペンサ部2は、扉1aの前方から後方に向けて窪んだ形状であり、この窪みに使用者がコップやボトルを持った状態で手を挿入可能な寸法形状で構成している。ディスペンサ部2の窪み形状の背壁側には、ディスペンサ部2を駆動する入力手段としてスイッチレバー2aを有する。スイッチレバー2aが使用者の持つコップやボトル等で押されると、図示しないスイッチのOFFとONが変化して、使用者からディスペンサの駆動要求があったと制御部で判断し、ディスペンサ部2から氷又は水を供給する。
【0021】
角氷(キューブアイス)は、貯氷部に貯氷された氷がそのまま供給される形態である。破氷(クラッシュアイス)は、貯氷部に貯氷された氷が図示しない破砕部で破砕されて供給される形態である。冷水は、水貯蔵部から水配管を通してディスペンサ部2で供給される形態である。
【0022】
なお、本実施形態では水貯蔵部を冷蔵温度帯室に有する構成であるが、これに限定されず、水配管を通してディスペンサ部2から水道水を直接供給する構成であってもよい。また、水道と水貯蔵部を配管で連結して、水貯蔵部の水量が所定より少ない場合、水道水を水貯蔵部へ供給して冷却する構成であってもよい。また、水貯蔵部が着脱自在のタンクで構成して、使用者がこのタンクに水を補給して冷却する構成であってもよい。また、ペットボトル等の容器入りの市販の水を冷蔵温度帯の貯蔵室の所定位置に配置することで、水配管に連結する構成であってもよい。
【0023】
ここで、氷や水のディスペンサ部2は、本実施形態では扉1aの前部一箇所である。そのため、角氷、砕氷及び水のいずれを供給するかの選択を使用者に設定させる必要である。さらに、現在選択されている供給設定が角氷、砕氷及び冷水のいずれであるかを使用者に認識させる必要がある。
【0024】
そこで、本実施形態の冷蔵庫は、扉1aにディスペンサコントロールパネル3を備えている。ディスペンサコントロールパネル3には、表示部3a、操作部3bが設けられている。操作部3bは、使用者が操作することで角氷(キューブアイス)、破氷(クラッシュアイス)、及び冷水の設定を選択することが可能な構成である。一例として、角氷(キューブアイス)、破氷(クラッシュアイス)、及び冷水を選択する操作部が複数並べて配置されており、該当する操作部を操作することで、使用者が意図する氷又は水のいずれかを選択することができる。
【0025】
扉1aの前面には、光透過性のガラス板1gを有する。ガラス板1gは有色層が直接印刷されて着色されることで、ガラスの光沢性を活かして意匠性を向上すると共に、扉内部の断熱材や他の構造物が外部から視認できないようにしている。また、有色層をガラス板1gへ設ける構成としては、直接印刷する以外にも、有色フィルムや有色部材をガラス板1gの背面に配置することで、同様に意匠性を向上することができる。
【0026】
操作部3bは、静電容量式のタッチスイッチで構成されており、ガラス板1gの背面に位置している。有色フィルムをガラス板1gの背面に配置させる場合は、有色フィルムの背面にタッチスイッチを配置する。
【0027】
操作部3bは、通常時は有色層によって外部から視認できない構成としている。操作部3bを表す文字や記号等は、光透過性のシートに印刷等によって構成し、このシートをガラス板1gとタッチスイッチとの間に配置する。この構成によって、後述する所定の条件の場合に、照明手段によって照明することで、操作部3bを表すシートの文字や記号等が、ガラス板1gを透過して外部から視認可能な状態としている。
【0028】
表示部3aは、複数の操作部3bのそれぞれに対応して複数設けられている。本実施形態では、図2に示すように各操作部3bの上方に表示部3aを配置しているが、これに限らず、下方や側方であってもよい。また、操作部の外周を囲むような表示部3aとしてもよい。この表示部3aは、一例として照明手段の点灯・消灯の組み合わせによって、操作部3bによって選択された機能が複数のうちいずれであるかを使用者に認識させる機能を有する。すなわち、使用者によって操作された操作部3bに対応する表示部3aを点灯させることで、いずれの操作部3bが操作されたかを使用者は視覚的に認識することができる。
【0029】
次に、庫内設定コントロールパネル5について説明する。本実施形態の冷蔵庫は、扉1aのディスペンサコントロールパネル3の上方に庫内設定コントロールパネル5を備えている。庫内設定コントロールパネル5には表示部5a、操作部5bが設けられている。表示部5a、操作部5bの基本構成は、ディスペンサコントロールパネル3の表示部3a、操作部3bと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
操作部5bは、使用者が操作することで貯蔵室温度(冷凍室温度、冷蔵室温度)を設定変更することが可能な構成である。一例として、具体的な温度を設定したり、冷却能力の強さ(例えば強、中、弱の三段階)を設定したりする構成である。
【0031】
また、表示部5aは、複数の操作部5bのそれぞれに対応して複数設けられている。本実施形態では、図3に示すように各操作部5bの上方に表示部5aを配置しているが、これに限らず、下方や側方であってもよい。この表示部5aは、一例として照明手段の点灯・消灯の組み合わせや、液晶等のデジタル表示によって、操作部5bで選択された設定状態を使用者に認識させる機能を有する。すなわち、使用者によって操作された操作部5bに対応する表示部5aの点灯内容を変更させることで、いずれの操作部5bに対応する設定が変更されたかを使用者は視覚的に認識することができる。
【0032】
なお、庫内設定コントロールパネル5は、ディスペンサコントロールパネル3の上方に配置する構成に限定されず、例えば、手掛け部1d,1e1,1e2又はその近傍に縦長に配置したり、扉1a,1b,1cのいずれかの端部近傍に縦長又は横長に配置したりと、あらゆる公知の構成から想定される範囲で変更することができる。
【0033】
また、本実施形態では扉1aにディスペンサ部2、ディスペンサコントロールパネル3、庫内設定コントロールパネル5を設けているが、これに限定されず、庫内や冷蔵庫本体1の壁面に設けてもよい。また、ディスペンサコントロールパネル3の表示部3a、操作部3bと、庫内設定コントロールパネル5の表示部5a、操作部5bを隣接して配置する構成に限らず、離れた位置に設けてもよい。
【0034】
また、庫内設定コントロールパネル5は、貯蔵室温度の設定に限らず、冷蔵庫が備える各種機能、例えば、食品を減圧状態で保存する機能、製氷機能、節電機能、急速冷凍機能、急速冷蔵機能等の貯蔵手段に関する設定を含むことができる。
【0035】
次に、人検知手段4について説明する。図1に示すように、ディスペンサ部2の窪み形状の上部に、人検知手段4が設けられている。この位置に人検知手段4を配置することで、扉前面に人検知手段4が突出することを抑えて、扉前面をフラットな形状に保ちつつ、人検知手段4の検知性能を発揮することができる。
【0036】
人検知手段4は、一例として赤外線センサを採用する。赤外線センサは、発光部と受光部を有する構成であり、発光部からの赤外線が人にあたり反射して、受光部に入射することで、冷蔵庫の所定距離に人がいることを検知する構成である。
【0037】
なお、人検知手段4はこれに限らず、温度センサやカメラ等、人の存在が把握可能な手段であれば、あらゆる公知の構成を採用することができる。また、人検知手段4の配置はこれに限定されず、扉面や扉端部、冷蔵庫本体の壁面等、人を検知することが可能な位置であればあらゆる位置に配置することができる。
【0038】
図4に示すように、冷蔵庫本体1には、制御基板6が組み込まれている。制御基板6は、人検知手段4の制御や、スイッチレバー2aからの入力、ディスペンサ部2の制御、ディスペンサ設定コントロールパネル3の表示部3a、操作部3bの制御、冷蔵庫運転設定操作パネル5の表示部5a、操作部5bの制御、貯蔵室の冷却制御等を行う。
【0039】
この構成において、人検知手段4で冷蔵庫本体1の周辺の人の動きを検出した場合、制御基板6は、冷蔵庫が人によって操作される可能性があると判断する。ここで、特にディスペンサ部3を備えた冷蔵庫の場合、使用者は扉の開閉を伴わず、ディスペンサ部3のみを使用する場合も多くあると想定される。そのため、人検知手段4で冷蔵庫本体1の周辺の人の動きを検出した場合、ディスペンサコントロールパネル3の表示部3aの点灯表示を行う。すなわち、使用者が冷蔵庫本体1に近づいたことを人検知手段4が検知した場合、ディスペンサ部2から角氷(キューブアイス)、破氷(クラッシュアイス)、及び冷水のいずれが供給される状態に設定されているかを表示する。使用者の要求にあった氷又は冷水を供給する状態に設定されていれば、そのままディスペンサ部2で供給動作を行えばよい。異なる状態に設定されていれば、使用者は操作部3bを操作して、要求する氷又は冷水に設定すればよい。
【0040】
また、冷蔵庫本体1の周囲に人がいない場合、ディスペンサ部2が使用されることはないため、ディスペンサコントロールパネル3の表示部3a及び操作部3bを消灯する。具体的には、人検知手段4で冷蔵庫周辺に人の動きを検出しなくなってから、一定時間経過後に表示部3aの表示を消灯する。これにより、冷蔵庫を操作しない状態の時は、扉の前面に表示部3a及び操作部3bが見えない状態となるため、フラットなガラス面を強調してすっきりした印象を与えて、意匠性に優れた冷蔵庫となる。さらに、冷蔵庫を使用しない状態の時は、表示部3a及び操作部3bを消灯するため、消費電力の低減につながる。
【0041】
一方、庫内設定コントロールパネル5は、貯蔵室温度(冷凍室温度、冷蔵室温度)を表示する表示部5aと、使用者が操作することで貯蔵室温度(冷凍室温度、冷蔵室温度)を設定変更することが可能な操作部5bと、を有する。また、表示部5aとして前述した冷蔵庫の諸機能の設定状態を表示して、操作部5bとしてこれら諸機能の設定を変更する構成を採用することができる。
【0042】
すなわち、庫内設定コントロールパネル5の表示部5a及び操作部5bによって、表示及び操作する機能は、冷蔵庫内の貯蔵に関するものである。一般的にこれら冷蔵庫内の貯蔵に関する諸機能は常に運転状態であって、この状態を維持して食品を貯蔵するため、一度設定されると頻繁に変更されることは少ない。特にディスペンサ部2を有する冷蔵庫の場合、ディスペンサ部2の使用頻度が、庫内設定コントロールパネル5の使用頻度よりも高くなる。すなわち、ディスペンサ部2に関するディスペンサコントロールパネル3の使用頻度が、庫内設定コントロールパネル5の使用頻度よりも高くなるといえる。
【0043】
そこで、本実施形態では、人検知手段4で冷蔵庫本体1の周辺の人の動きを検出した場合、ディスペンサコントロールパネル3の表示部3a(及び操作部3b)の点灯表示を行う一方で、庫内設定コントロールパネル5の表示部5a(及び操作部5b)は点灯させずに消灯状態とする。
【0044】
すなわち、使用する頻度の高い表示部3aを点灯表示して、使用する頻度の低い表示部5aを表示させずに消灯状態とするので、消費電力の低減となる。また、表示部3a,5aの全てを点灯させずに、使用する可能性の高いディスペンサ部2に関する表示部3a(及び操作部3b)を選択的に点灯させることで、無駄な点灯表示が省略されて、使用者がディスペンサ部2に関する設定状態を容易に素早く把握することができ、ディスペンサ部2に関する設定状態の変更も容易となり、ディスペンサ機能の使い勝手を向上することができる。
【0045】
本実施形態では、表示部3a,5a(及び操作部3b,5b)を普段は消灯させているが、冷蔵庫本体1に使用者が近づいてきたことを人検知手段4で検知すると、一部の表示(本実施形態では表示部3a)を自動で点灯させる。そして、人検知手段4が人の近接を検知した状態で、スイッチレバー2aの入力を検知した場合、ディスペンサ部2から氷又は水を供給する。
【0046】
一方、人検知手段4が冷蔵庫周辺に人の動きを検出していない場合は、表示部3a,5aは消灯した状態である。この状態で、スイッチレバー2aからの入力を検知した場合、人が周囲にいないにも関わらずディスペンサ機能の入力があったと判断して、ディスペンサ部2から氷又は水の供給を行わない。
【0047】
すなわち、人検知手段4によって人が近くにいることを検知していない状態で、スイッチレバー2aからの入力があった場合、誤入力であると判断して、ディスペンサ部2からの氷又は水の供給はロックする。これにより、ディスペンサ機能の信頼性を向上した冷蔵庫を提供することができる。
【0048】
以上の本実施形態によれば、冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉する扉と、冷蔵庫本体の外側で氷及び水のいずれかを供給するディスペンサ部と、前記ディスペンサ部を駆動する入力手段と、前記ディスペンサ部の設定を表示及び操作するディスペンサコントロールパネルと、前記貯蔵室の設定を表示及び操作する庫内設定コントロールパネルと、前記ディスペンサコントロールパネル及び前記庫内設定コントロールパネルをそれぞれ点灯表示させる複数の照明手段と、前記冷蔵庫本体の正面側の所定距離に人がいることを検知する人検知手段と、を備え、前記人検知手段で人を検知した場合、前記照明手段によって前記ディスペンサコントロールパネルを点灯表示する。これにより、使い勝手と操作性が向上して、消費電力を抑制した冷蔵庫を提供することができる。
【0049】
また、前記人検知手段で人を検知した状態で、前記ディスペンサ部の操作入力を検知した場合、該ディスペンサ部を駆動して、前記人検知手段で人を検知していない状態で、前記ディスペンサ部の操作入力を検知した場合、該ディスペンサ部を停止する。これにより、ディスペンサ機能の信頼性を向上することができる。
【0050】
また、冷蔵庫周辺に人の動きを検出したら、貯蔵に関する機能は消灯のままとして、ディスペンサ機能に関する表示を自動で点灯させる。これにより、使い勝手と操作性が向上して、消費電力を抑制した冷蔵庫を提供することができる。
【0051】
これらの他にも、実施形態の構成の一部を置換することが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。さらには、実施形態の構成の一部について、他の構成を追加、削除、置換等することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 冷蔵庫本体
1a,1b,1c 扉
2 ディスペンサ部
2a スイッチレバー(入力手段)
3 ディスペンサ設定コントロールパネル
3a 表示部
3b 操作部
4 人検知手段
5 庫内設定コントロールパネル
5a 表示部
5b 操作部
6 制御基板
図1
図2
図3
図4