特許第6357406号(P6357406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357406
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20180702BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   G06K7/00 004
   G06K7/00 021
   G06K7/08 040
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-221542(P2014-221542)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-91107(P2016-91107A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】相吉 寛之
(72)【発明者】
【氏名】田多井 俊男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 武喜
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−26826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00
G06K 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録されたデータの読取および前記カードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、
前記カードが通過するカード通過路と、前記カードの一方の面に形成される磁気ストライプに当接する磁気ヘッドと、前記カードの他方の面に形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックとを備え、
前記カードリーダの、前記カードの挿入口が形成される側を手前側とし、その反対側を奥側とするとともに、前記カード通過路を通過する前記カードの厚さ方向の一方側を第1方向側とし、その反対側を第2方向側とすると、
前記磁気ヘッドは、前記カードリーダの手前側部分に配置されるとともに、前記磁気ヘッドのギャップが前記第1方向側から前記カード通過路に臨むように配置され、
前記IC接点ブロックは、前記カードリーダの奥側部分に配置されるとともに、前記IC接点バネが前記第2方向側から前記カード通過路に臨むように配置され、
前記カードリーダの、前記カード通過路よりも前記第1方向側の部分は、手前側に向かうにしたがって前記第1方向側へしだいに大きくなり、
前記カードリーダの、前記カード通過路よりも前記第2方向側の部分は、奥側に向かうにしたがって前記第2方向側へしだいに大きくなっていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
カードに記録されたデータの読取および前記カードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、
前記カードが通過するカード通過路と、前記カードリーダが搭載される上位装置へ前記カードリーダを取り付けるための基準面となる取付基準面と、前記カードの一方の面に形成される磁気ストライプに当接する磁気ヘッドと、前記カードの他方の面に形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックとを備え、
前記カードリーダの、前記カードの挿入口が形成される側を手前側とし、その反対側を奥側とするとともに、前記カード通過路を通過する前記カードの厚さ方向の一方側を第1方向側とし、その反対側を第2方向側とすると、
前記磁気ヘッドは、前記カードリーダの手前側部分に配置されるとともに、前記磁気ヘッドのギャップが前記第1方向側から前記カード通過路に臨むように配置され、
前記IC接点ブロックは、前記カードリーダの奥側部分に配置されるとともに、前記IC接点バネが前記第2方向側から前記カード通過路に臨むように配置され、
前記カード通過路を通過する前記カードの幅方向から見たときに、前記カード通過路は、奥側に向かうにしたがって前記第1方向側へ向かうように前記取付基準面に対して傾斜していることを特徴とするカードリーダ。
【請求項3】
前記カードリーダが搭載される上位装置に前記カードリーダを固定するための金属製の薄板からなる固定フレームを備え、
前記固定フレームは、前記カード通過路を通過する前記カードの幅方向に直交する平板状の直交平面部を備え、
前記直交平面部には、前記上位装置に前記カードリーダを固定するためのネジ孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されたデータの読取やカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードを手動で操作して、カードに記録されたデータの読取やカードへのデータの記録を行うカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダは、扁平な略直方体状に形成されている。このカードリーダには、カード挿入口から挿入されたカードが通過するカード通過路が形成されている。また、このカードリーダは、カードの一方の面に形成される磁気ストライプに当接する磁気ヘッドと、カードの他方の面に形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネと、複数のIC接点バネが取り付けられる接点バネ保持部材と、接点バネ保持部材を付勢する引張りコイルバネとを備えている。磁気ヘッドは、カード挿入口が形成されるカードリーダの手前端側部分に配置され、IC接点バネおよび接点バネ保持部材は、カードリーダの奥端側部分に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−26826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカードリーダは、扁平な略直方体状に形成されており、このカードリーダの厚さは薄い。一方、市場では、この種のカードリーダのさらなる薄型化の要求がある。特許文献1に記載のカードリーダの場合、磁気ヘッド、接点バネ保持部材および引張りコイルバネ等を薄型化すれば、カードリーダをさらに薄型化することは可能である。しかしながら、特許文献1に記載のカードリーダにおいて、これらの構成部品を薄型化すると、変形カードに対する磁気ヘッドの追従性、磁気ヘッドとカードとの接触圧およびIC接点バネとカードとの接触圧が変動する等の問題が生じて、磁気ヘッドやIC接点バネによるデータの読取精度や記録精度が低下するおそれがある。すなわち、特許文献1に記載のカードリーダをさらに薄型化するために、磁気ヘッドや接点バネ保持部材等を薄型化すると、このカードリーダの信頼性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックと、磁気ヘッドとを備えるカードリーダにおいて、従来と同様の信頼性を確保しつつ、従来以上に薄型化することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録されたデータの読取およびカードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、カードが通過するカード通過路と、カードの一方の面に形成される磁気ストライプに当接する磁気ヘッドと、カードの他方の面に形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックとを備え、カードリーダの、カードの挿入口が形成される側を手前側とし、その反対側を奥側とするとともに、カード通過路を通過するカードの厚さ方向の一方側を第1方向側とし、その反対側を第2方向側とすると、磁気ヘッドは、カードリーダの手前側部分に配置されるとともに、磁気ヘッドのギャップが第1方向側からカード通過路に臨むように配置され、IC接点ブロックは、カードリーダの奥側部分に配置されるとともに、IC接点バネが第2方向側からカード通過路に臨むように配置され、カードリーダの、カード通過路よりも第1方向側の部分は、手前側に向かうにしたがって第1方向側へしだいに大きくなり、カードリーダの、カード通過路よりも第2方向側の部分は、奥側に向かうにしたがって第2方向側へしだいに大きくなっていることを特徴とする。
【0007】
本発明のカードリーダでは、磁気ヘッドは、カードリーダの手前側部分に配置されるとともに、磁気ヘッドのギャップが第1方向側からカード通過路に臨むように配置され、IC接点ブロックは、カードリーダの奥側部分に配置されるとともに、IC接点バネが第2方向側からカード通過路に臨むように配置されている。また、本発明では、カードリーダの、カード通過路よりも第1方向側の部分は、手前側に向かうにしたがって第1方向側へしだいに大きくなっており、カードリーダの、カード通過路よりも第2方向側の部分は、奥側に向かうにしたがって第2方向側へしだいに大きくなっている。そのため、本発明では、カードリーダを薄型化しても、カード通過路よりも第1方向側において、磁気ヘッドが配置されるカードリーダの手前側部分を厚くし、カード通過路よりも第2方向側において、IC接点ブロックが配置されるカードリーダの奥側部分を厚くすることが可能になる。したがって、本発明では、カードリーダを薄型化しても、従来から使用されている磁気ヘッドおよびIC接点ブロック等を配置することが可能になる。その結果、本発明では、従来と同様のカードリーダの信頼性を確保しつつ、従来以上にカードリーダを薄型化することが可能になる。また、本発明では、カードリーダを薄型化しても、従来から使用されている磁気ヘッドおよびIC接点ブロック等を配置することが可能になるため、カードリーダを薄型化する際のカードリーダの設計工数を低減することが可能になる。
【0008】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録されたデータの読取およびカードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、カードが通過するカード通過路と、カードリーダが搭載される上位装置へカードリーダを取り付けるための基準面となる取付基準面と、カードの一方の面に形成される磁気ストライプに当接する磁気ヘッドと、カードの他方の面に形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックとを備え、カードリーダの、カードの挿入口が形成される側を手前側とし、その反対側を奥側とするとともに、カード通過路を通過するカードの厚さ方向の一方側を第1方向側とし、その反対側を第2方向側とすると、磁気ヘッドは、カードリーダの手前側部分に配置されるとともに、磁気ヘッドのギャップが第1方向側からカード通過路に臨むように配置され、IC接点ブロックは、カードリーダの奥側部分に配置されるとともに、IC接点バネが第2方向側からカード通過路に臨むように配置され、カード通過路を通過するカードの幅方向から見たときに、カード通過路は、奥側に向かうにしたがって第1方向側へ向かうように取付基準面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0009】
本発明のカードリーダでは、磁気ヘッドは、カードリーダの手前側部分に配置されるとともに、磁気ヘッドのギャップが第1方向側からカード通過路に臨むように配置され、IC接点ブロックは、カードリーダの奥側部分に配置されるとともに、IC接点バネが第2方向側からカード通過路に臨むように配置されている。また、本発明では、カード通過路を通過するカードの幅方向から見たときに、カード通過路は、取付基準面に対して奥側に向かうにしたがって第1方向側へ向かうように傾斜している。そのため、本発明では、カードリーダを薄型化しても、カード通過路よりも第1方向側において、磁気ヘッドが配置されるカードリーダの手前側部分を厚くし、カード通過路よりも第2方向側において、IC接点ブロックが配置されるカードリーダの奥側部分を厚くすることが可能になる。したがって、本発明では、カードリーダを薄型化しても、従来から使用されている磁気ヘッドおよびIC接点ブロック等を配置することが可能になる。その結果、本発明では、従来と同様のカードリーダの信頼性を確保しつつ、従来以上にカードリーダを薄型化することが可能になる。また、本発明では、カードリーダを薄型化しても、従来から使用されている磁気ヘッドおよびIC接点ブロック等を配置することが可能になるため、カードリーダを薄型化する際のカードリーダの設計工数を低減することが可能になる。
【0010】
本発明において、カードリーダは、カードリーダが搭載される上位装置にカードリーダを固定するための金属製の薄板からなる固定フレームを備え、固定フレームは、カード通過路を通過するカードの幅方向に直交する平板状の直交平面部を備え、直交平面部には、上位装置にカードリーダを固定するためのネジ孔が形成されていることが好ましい。このように構成すると、カードの幅方向におけるカードリーダの側面に直交平面部を配置することが可能になるため、カードリーダが上位装置に取付可能となっていても、カードリーダを薄型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明では、複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックと、磁気ヘッドとを備えるカードリーダにおいて、従来と同様のカードリーダの信頼性を確保しつつ、従来以上にカードリーダを薄型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
図2図1に示すカードの平面図である。
図3図1に示すカードリーダから基板、固定フレームおよび前面カバーを取り外した状態の平面図である。
図4図1に示すカードリーダの内部構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
(カードリーダの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカード2の平面図である。図3は、図1に示すカードリーダ1から基板9、固定フレーム11および前面カバー17を取り外した状態の平面図である。図4は、図1に示すカードリーダ1の内部構造を説明するための図である。
【0015】
本形態のカードリーダ1は、ユーザが手動でカード2を操作して、カード2に記録されたデータの読取およびカード2へのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うための装置であり、所定の上位装置(図示省略)に搭載されて使用される。このカードリーダ1は、扁平な略直方体状に形成されている。図4に示すように、カードリーダ1には、カード2が通過するカード通過路3が形成されている。カードリーダ1は、内部にカード通過路3が形成されるフレーム4と、複数のIC接点バネ5を有するIC接点ブロック6と、磁気ヘッド7とを備えている。また、カードリーダ1は、内部に挿入されたカード2の引抜きを防止するレバー部材8と、各種の電子部品等が実装される2枚の基板9、10と、カードリーダ1が搭載される上位装置にカードリーダ1を固定するための固定フレーム11とを備えている。
【0016】
本形態では、図1等に示すX方向にカード2が通過する。すなわち、X方向は、カード通過路3を通過するカード2の通過方向である。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード通過路3を通過するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード通過路3を通過するカード2の幅方向である。以下の説明では、X方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、X1方向側を「手前(前)」側、X2方向側を「奥(後ろ)」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態では、下側(Z2方向側)は、カード2の厚さ方向の一方側である第1方向側であり、上側(Z1方向側)は、その反対側である第2方向側である。また、本形態のカードリーダ1は、上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。
【0017】
カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の略長方形状の塩化ビニール製のカードである。図2に示すように、カード2の裏面には、磁気データが記録される磁気ストライプ2aが形成されている。また、カード2には、ICチップ(図示省略)が内蔵されており、カード2のおもて面には、ICチップの外部接続端子2bが形成されている。本形態のカード2は、国際規格やJIS規格に準拠したカードであり、磁気ストライプ2aは、略長方形状に形成されるカード2の長手方向に沿って形成されている。また、外部接続端子2bは、カード2の長手方向の一端2c側に形成されている。カード2は、カード2のおもて面が上側を向くとともに、カード2の長手方向が前後方向と略一致した状態で、かつ、カード2の長手方向の一端2c側からカードリーダ1に挿入される。
【0018】
図3に示すように、カードリーダ1の手前端側の一部分は、ユーザによるカード2の挿入およびカード2の引抜きが可能となるように切り欠かれた切欠部13となっている。具体的には、上下方向から見たときの形状が略U形状となる切欠部13が、フレーム4の手前端から奥側に向かって切り欠かれるように形成されている。また、左右方向では、フレーム4の中間位置に切欠部13が形成されており、左右方向における切欠部13の両側には、右側突出部14と左側突出部15とが形成されている。
【0019】
カード通過路3は、図4に示すように、左右方向から見たときの形状が直線状となるように形成されている。カード通過路3の手前端は、カード2が挿入される挿入口16となっている。すなわち、右側突出部14の手前端および左側突出部15の手前端に挿入口16が形成されている。切欠部13の奥端側部分、右側突出部14および左側突出部15は、前面カバー17に覆われている。前面カバー17の前端側には、カード2を通過させるためのスリット状の通過孔が形成されている。
【0020】
磁気ヘッド7は、挿入口16の近傍に配置されている。具体的には、磁気ヘッド7は、右側突出部14の手前端部分に配置されている。すなわち、磁気ヘッド7は、カードリーダ1の手前側部分に配置されている。また、磁気ヘッド7は、磁気ヘッド7のギャップが下側からカード通過路3に臨むように配置されており、磁気ヘッド7のギャップは、カード通過路3を通過するカード2の磁気ストライプ2aに当接する。
【0021】
磁気ヘッド7は、板バネ18に固定されており、板バネ18の付勢力によって上側に付勢されている。また、板バネ18は、フレーム4に固定される支持ピン(図示省略)に支持されており、磁気ヘッド7は、前後方向を揺動の軸方向として板バネ18とともに揺動可能となっている。板バネ18および支持ピンは、カードリーダ1の手前側部分に配置されるとともに、カード通過路3の下側に配置されている。
【0022】
IC接点ブロック6は、カードリーダ1の奥側部分に配置されている。具体的には、IC接点ブロック6は、カードリーダ1の奥端側部分に配置されている。また、IC接点ブロック6は、IC接点バネ5が上側からカード通過路3に臨むように配置されており、IC接点ブロック6は、カード通過路3の上側に配置されている。図4に示すように、IC接点ブロック6の奥端には、カード2の先端(奥端)が係合するカード係合部6aが形成されている。
【0023】
また、IC接点ブロック6は、平行リンク機構20を介してフレーム4の上端側部分に連結されており、前後方向にスライドしながら上下動する。具体的には、IC接点ブロック6は、奥側に移動すると下降し、手前側に移動すると上昇する。また、IC接点ブロック6は、引張りコイルバネ(付勢部材)21によって手前側に付勢されている。平行リンク機構20および引張りコイルバネ21は、カードリーダ1の奥端側部分に配置されるとともに、カード通過路3の上側に配置されている。なお、フレーム4に形成されるガイド溝にIC接点ブロック6の一部が係合するとともに、このガイド溝に案内されて、IC接点ブロック6が前後方向にスライドしながら上下動しても良い。
【0024】
本形態では、カードリーダ1の奥側へ挿入されたカード2の先端がIC接点ブロック6のカード係合部6aに係合すると、IC接点ブロック6が奥側にスライドしながら下降して、カード2の外部接続端子2bに複数のIC接点バネ5が接触する。また、奥側に挿入されたカード2が手前側に引き抜かれると、カード2のおもて面からIC接点バネ5が離れるように、引張りコイルバネ21の付勢力によって、IC接点ブロック6が手前側にスライドしながら上昇する。
【0025】
レバー部材8は、カード通過路3を閉鎖する閉位置とカード通過路3を開放する開位置との間で回動可能となっており、挿入されたカード2の引抜きを閉位置で防止する。具体的には、レバー部材8は、カード2の外部接続端子2bとIC接点バネ5とが接触してデータの読取や記録を行っている際のカード2の引抜きを防止する。また、カードリーダ1は、図3に示すように、閉位置へレバー部材8を付勢するネジリコイルバネ22と、閉位置でレバー部材8の回動を規制する規制ピン23と、レバー部材8の回動を規制する回動規制位置とレバー部材8の回動を可能にする回動可能位置との間で規制ピン23を移動させるソレノイド24とを備えている。
【0026】
本形態では、挿入口16にカード2が挿入されていないときに、レバー部材8は、カード通過路3の手前端側を閉鎖している。この状態で、カード2が挿入されると、カード通過路3の手前端側を閉鎖するレバー部材8の手前端側の傾斜面にカード2の先端が当接して、レバー部材8が、ネジリコイルバネ22の付勢力に抗して回動し、カード通過路3を開放する。また、その後さらにカード2が奥側へ挿入されると、レバー部材8はネジリコイルバネ22の付勢力で回動して、カード通過路3の手前端側を閉鎖する。
【0027】
基板9、10は、リジッド基板であり、略長方形の平板状に形成されている。基板9は、基板10よりも大きくなっている。基板9は、フレーム4の、前面カバー17よりも奥側の部分のほぼ全体を上側から覆うように、フレーム4の上面側に固定されている。基板10は、フレーム4の下面の一部を覆うようにフレーム4の下面側に固定されている。なお、フレーム4の上面側には、左右方向へ弾性変形可能な複数の係合爪4aが形成されており、基板9は、基板9に形成された係合孔または基板9の端面と係合爪4aとを係合させることでフレーム4に固定されている。すなわち、基板9は、スナップフィット構造によってフレーム4に固定されている。また、基板10は、SIM(Subscriber Identity Module)が実装されたSIM基板である。一方、基板9は、カードリーダ1の制御回路等が実装されるメイン基板である。
【0028】
固定フレーム11は、金属製の薄板を所定形状に折り曲げることで形成されており、フレーム4に固定されている。この固定フレーム11は、基板9の手前側部分の上面を覆う上面部11aと、フレーム4の左右の側面を覆う2個の側面部11bとから構成されている。上面部11aは、上下方向に直交する平板状に形成されている。すなわち、上面部11aは、前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)とから構成されるXY平面と平行になっている。上面部11aの上面は、カードリーダ1が搭載される上位装置にカードリーダ1を取り付けるための基準面である取付基準面11cとなっている。側面部11bは、左右方向に直交する平板状に形成されている。側面部11bには、上位装置にカードリーダ1を固定するためのネジ孔11dが形成されている。ネジ孔11dは、側面部11bを左右方向で貫通するように形成されている。本形態の側面部11bは、カード2の幅方向に直交する直交平面部である。
【0029】
上述のように、カード通過路3は、左右方向から見たときの形状が直線状となるように形成されている。本形態では、カード通過路3は、図4に示すように、左右方向から見たときに、奥側に向かうにしたがって下側へ向かうように取付基準面11cに対して傾斜している。すなわち、カード通過路3は、左右方向から見たときに、奥側に向かうにしたがって下側へ向かうように前後方向に対して角度θ、傾斜している。角度θは、たとえば、4°である。また、上述のように、カードリーダ1は、上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。そのため、カードリーダ1の、カード通過路3よりも下側の部分は、手前側に向かうにしたがって下側へしだいに大きくなり、カードリーダ1の、カード通過路3よりも上側の部分は、奥側に向かうにしたがって上側へしだいに大きくなっている。
【0030】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁気ヘッド7は、カードリーダ1の手前側部分に配置されるとともに、磁気ヘッド7のギャップが下側からカード通過路3に臨むように配置されている。また、本形態では、IC接点ブロック6は、カードリーダ1の奥側部分に配置されるとともに、IC接点バネ5が上側からカード通過路3に臨むように配置されている。また、本形態では、カード通過路3は、左右方向から見たときに、奥側に向かうにしたがって下側へ向かうように取付基準面11cに対して傾斜しており、カードリーダ1の、カード通過路3よりも下側の部分は、手前側に向かうにしたがって下側へしだいに大きくなり、カードリーダ1の、カード通過路3よりも上側の部分は、奥側に向かうにしたがって上側へしだいに大きくなっている。
【0031】
そのため、本形態では、カードリーダ1を薄型化しても、カード通過路3よりも下側において、磁気ヘッド7や板バネ18等が配置されるカードリーダ1の手前側部分を厚くし、カード通過路3よりも上側において、IC接点ブロック6や平行リンク機構20等が配置されるカードリーダ1の奥側部分を厚くすることが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1を薄型化しても、従来から使用されているIC接点ブロック6、磁気ヘッド7、板バネ18および平行リンク機構20等を配置することが可能になる。その結果、本形態では、従来と同様のカードリーダ1の信頼性を確保しつつ、従来以上にカードリーダ1を薄型化することが可能になる。また、本形態では、カードリーダ1を薄型化しても、従来から使用されているIC接点ブロック6、磁気ヘッド7、板バネ18および平行リンク機構20等を配置することが可能になるため、カードリーダ1を薄型化する際のカードリーダ1の設計工数を低減することが可能になる。
【0032】
本形態では、左右方向に直交する平板状に形成される固定フレーム11の側面部11bに、カードリーダ1を上位装置に固定するためのネジ孔11dが形成されている。また、本形態では、2個の側面部11bは、フレーム4の左右の側面を覆うように配置されている。そのため、本形態では、カードリーダ1が上位装置に取付可能となっていても、カードリーダ1を薄型化することが可能になる。
【0033】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0034】
上述した形態では、固定フレーム11の側面部11bに、上位装置にカードリーダ1を固定するためのネジ孔11dが形成されている。この他にもたとえば、フレーム4に、上位装置にカードリーダ1を固定するためのネジが挿通される貫通孔等が形成されても良い。また、上述した形態では、カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードであるが、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。また、上述した形態では、カードリーダ1は、手動式のカードリーダであるが、本発明が適用されるカードリーダは、カード2の搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 カードリーダ
2 カード
2a 磁気ストライプ
2b 外部接続端子
3 カード通過路
5 IC接点バネ
6 IC接点ブロック
7 磁気ヘッド
11 固定フレーム
11b 側面部(直交平面部)
11c 取付基準面
11d ネジ孔
16 挿入口
X1 手前側
X2 奥側
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
Z1 第2方向側
Z2 第1方向側
図1
図2
図3
図4