特許第6357415号(P6357415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357415
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   H01L23/50 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-265184(P2014-265184)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-127067(P2016-127067A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100113642
【弁理士】
【氏名又は名称】菅田 篤志
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100147430
【弁理士】
【氏名又は名称】坂次 哲也
(72)【発明者】
【氏名】重松 亮一
【審査官】 綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−239625(JP,A)
【文献】 特開平06−069406(JP,A)
【文献】 特開昭63−281453(JP,A)
【文献】 特開昭58−090751(JP,A)
【文献】 特開昭56−100456(JP,A)
【文献】 特開平02−203544(JP,A)
【文献】 特開2012−018974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)互いに対向し、第1方向に延在する第1および第2外枠と、前記第1方向と直交する第2方向に延在し、前記第1外枠に接続され、かつ前記第2外枠から切り離されたタブ吊りリード支持部と、前記第1方向において、前記タブ吊りリード支持部から反対方向に延在する第1タブ吊りリードおよび第2タブ吊りリードと、前記第1タブ吊りリードに接続された第1タブと、前記第2タブ吊りリードに接続された第2タブと、前記第1タブの周囲に配置された複数の第1リードと、前記第2タブの周囲に配置された複数の第2リードと、を有するリードフレームを準備する工程、
(b)主面に複数の第1ボンディングパッドを有する第1半導体チップを、前記第1タブ上に搭載し、主面に複数の第2ボンディングパッドを有する第2半導体チップを、前記第2タブ上に搭載する工程、
(c)前記複数の第1ボンディングパッドを前記複数の第1リードに電気的に接続し、前記複数の第2ボンディングパッドを前記複数の第2リードに電気的に接続する工程、
(d)前記第1半導体チップ、前記第1タブ、および、前記第1タブ吊りリードを覆う第1封止体と、前記第2半導体チップ、前記第2タブ、および、前記第2タブ吊りリードを覆う第2封止体と、を形成する工程、
(e)前記第1封止体と前記第2封止体との間に位置する前記タブ吊りリード支持部を治具で押圧し、前記第1タブ吊りリードおよび前記第2タブ吊りリードを前記タブ吊りリード支持部から分離する工程、
を有し、
前記工程(d)において、前記第1封止体が形成される第1キャビティから前記第2封止体が形成される第2キャビティへ、前記タブ吊りリード支持部と前記第2外枠との間に位置するスルーゲート部を介して封止樹脂が供給され、
前記第1封止体は、平面視における外形が略四角形であり、前記第2方向に延在する第1辺を有し、
前記第2封止体は、平面視における外形が略四角形であり、前記第2方向に延在する第2辺を有し、
前記第1タブ吊りリードは、前記第2方向において第1幅狭部を有し、前記第1封止体の前記第1辺は、前記第1幅狭部と交差し、
前記第2タブ吊りリードは、前記第2方向において第2幅狭部を有し、前記第2封止体の前記第2辺は、前記第2幅狭部と交差し、
前記第1および第2幅狭部は、前記第1および第2タブ吊りリードの前記第1外枠と対向する側に設けられ、前記第2外枠と対向する側には設けられていない、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1方向における前記治具の幅は、前記第1封止体と前記第2封止体との間隔よりも狭い、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1封止体と前記第2封止体の間隔は、前記第1方向における前記治具の幅の2倍よりも狭い、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2方向において、前記第1幅狭部の幅は、前記第1幅狭部よりも前記第1タブに近い位置における前記第1タブ吊りリードの前記第2方向における幅よりも狭い、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)は、
(d−1)プランジャーと、前記プランジャーに連通する前記第1キャビティと、前記第1キャビティから前記スルーゲート部を介して前記第2キャビティに連通する金型を準備する工程、
(d−2)前記第1キャビティ内に前記第1半導体チップを、前記第2キャビティ内に前記第2半導体チップを配置する工程、
(d−3)前記プランジャーに封止樹脂を注入し、前記第1キャビティ、前記スルーゲート部および前記第2キャビティを、順に、前記封止樹脂で満たす工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1タブ吊りリードは、厚さ方向において、平坦な側面を有する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、例えばリードフレームを用いた樹脂封止型半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平5−315525号公報(特許文献1)には、吸湿水分を逃がし易くするために、モールド外周ライン7の吊りリード5幅を広く保ちながら、タブ吊りリード5の切断時の応力による樹脂剥離やクラック発生を防止するために、モールド外周ライン7の外側において、タブ吊りリード5に貫通孔6を設けた構造が開示されている。
【0003】
また、特許第2536184号公報(特許文献2)には、吊りリード13と引き抜き形補助吊りリード110で、支持強度を維持しながら、吊りリード13切断工程での樹脂ダメージを解消する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−315525号公報
【特許文献2】特許第2536184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink Small Outline Package)などの小型パッケージに実装された半導体装置を検討している。このような小型パッケージは、コスト削減の為に、個々の半導体装置形成領域が、行列状に多数配置されたリードフレームを用いて製造する。そして、リードフレーム内における半導体装置の取得数を増加させるために、半導体チップの樹脂封止工程では、「スルーモールド方式」を用いる。しかしながら、「スルーモールド方式」を用いて、半導体チップを封止した封止体を近接配置しているので、複数の封止体を個片化する際のタブ吊りリード切断工程では、タブ吊りリードの一方の面にダイを、他方の面にパンチを当ててタブ吊りリードを切断する方法が使用できない。つまり、隣り合う封止体間にパンチとダイの両方を入れるスペースがない。
【0006】
そこで、本発明者が検討している半導体装置では、タブ吊りリードを切断する工程において、「なで切り」と呼ぶ方法を実施している。つまり、タブ吊りリードの一方の側では封止体を支持し、他方の側からタブ吊りリードをパンチ(治具)で切断する方法である。
【0007】
しかしながら、この方法では、タブ吊りリード切断の際の応力が封止体に加わるために、タブ吊りリードと封止体の界面において封止体にクラックが発生し、半導体装置の信頼性が低下することが分かった。つまり、クラック部分から水分等が侵入することにより、封止体内の半導体チップに形成されている配線などが腐食して半導体装置が誤動作する問題が発生することが、本発明者の検討で判明した。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態である半導体装置の製造方法は、隣り合う2つの封止体間に、隣り合う封止体の間隔とほぼ同等の幅を有する治具を入れて、リードフレームの外枠につながるタブ吊りリード支持部からタブ吊りリードを切断する工程を有する。そして、タブ吊りリードには切り欠きが形成されているが、この切り欠きは封止体の辺と交差する位置に配置されており、タブ吊りリードを切断する工程では、切り欠き部分でタブ吊りリードが切断される。
【発明の効果】
【0010】
上記一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態である半導体装置の製造工程を示すプロセスフロー図である。
図2】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の平面図である。
図3図2に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図4】一実施の形態の半導体装置の製造工程で用いる樹脂封止金型の平面図である。
図5図3に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
図8図6に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図9】(a)は、図7に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。(b)は、図7に続く半導体装置の製造工程中の側面図である。
図10】変形例1の半導体装置の製造工程中の平面図である。
図11】(a)は、変形例2の半導体装置の製造工程中の平面図である。(b)は、変形例2の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図12】(a)は、変形例3の半導体装置の製造工程中の平面図である。(b)は、変形例3の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0013】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0014】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であっても良いし、その特定の数値未満の数値でも良い。
【0015】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0016】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0017】
(実施の形態)
<半導体装置の製造方法>
本実施の形態の半導体装置(半導体集積回路装置)の製造方法について、図1から図9を用いて説明する。図1は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示すプロセスフロー図である。図2から図9は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の平面図または断面図である。平面図では、紙面の横方向をX方向、縦方向をY方向として説明する。X方向とY方向は、互いに直交する方向である。
【0018】
図2は、図1に示したプロセスフロー図の「リードフレームおよび半導体チップの準備」工程(S1)のうちの、リードフレーム1の準備工程を示している。リードフレーム1は、X方向およびY方向において、行列状に配置された複数の単位半導体装置形成領域UTを有している。例えば、単位半導体装置形成領域UTは、X方向に36行、Y方向に7列配置され、リードフレーム1には、252個の単位半導体装置形成領域UTが配置されている。
【0019】
図2では、1つのグループを構成する3つの単位半導体装置形成領域UTを示している。つまり、リードフレーム1のX方向には、12グループが配置されており、Y方向には、X方向に配置された12グループが7列配置されている。1つのグループを構成する3つの単位半導体装置形成領域UTは、外枠2で周囲を囲まれている。隣り合う単位半導体装置形成領域UTの間には、X方向に延在する外枠2から、Y方向に、タブ吊りリード支持部6およびダムバー支持部7が延在している。
【0020】
単位半導体装置形成領域UTの中心には、後述する半導体チップを搭載するための略四角形のタブ3が配置されている。タブ3のY方向に延在する2つの辺から、それぞれ、X方向にタブ吊りリード4が延びており、タブ吊りリード4は、リードフレーム1の外枠2から延在するタブ吊りリード支持部6に接続している。タブ吊りリード4は、タブ3から等しい幅でタブ吊りリード支持部6に向かって延在しているが、タブ吊りリード支持部6に接続される部分に切り欠き5を有している。切り欠き5は、略半円形であり、切り欠き5が形成された部分(幅狭部)のタブ吊りリード4の幅は、タブ3に繋がる部分のタブ吊りリード4の幅よりも狭い(小さい)。また、切り欠き5が形成された部分のタブ吊りリード4の幅は、タブ吊りリード4の全域の中で最も狭い(小さい)。さらに、切り欠き5は、X方向に延在するタブ吊りリード4の2つの辺4aおよび4bの内の、一方の辺4aにのみ形成されており、他方の辺4bには形成されていない。図2のX方向において、タブ3から2本のタブ吊りリード4が、反対方向に延在しているが、両方のタブ吊りリード4に上記の切り欠き5が設けられている。また、タブ吊りリード4は、X方向において、タブ吊りリード支持部6から左右に延在している。
【0021】
Y方向において、タブ3の両側には、それぞれ、複数本のリード8が配置されており、複数本のリード8は、Y方向に延在している。各リード8の一端は、タブ3のX方向に延在する2つの辺に沿って配置されており、他端は、外枠2に接続されている。また、複数本のリード8は、X方向に延在するダムバー9に接続されており、ダムバー9は、その両端で、タブ吊りリード支持部6とダムバー支持部7に接続されている。複数のリード8は、ダムバー9によって互いに連結され、さらに、タブ吊りリード支持部6およびダムバー支持部7に連結されている。
【0022】
リードフレームは、たとえば、銅リッチの銅系の素材または鉄リッチの鉄系の素材で形成されている。
【0023】
次に、図1に示したプロセスフロー図の「リードフレームおよび半導体チップの準備」工程(S1)のうちの、半導体チップ10を準備する。図3には平面図を示すが、半導体チップ10は、略直方体の形状を有するシリコン(Si)基板からなり、シリコン基板の略四角形の主面には複数の半導体素子、複数の配線、および複数のボンディングパッド11が形成されている。つまり、半導体チップ10の主面には複数の半導体素子、複数の配線、および、複数のボンディングパッドが形成されている。ボンディングパッド11は、配線を介して半導体素子に電気的に接続されている。
【0024】
図3は、図1に示したプロセスフロー図の「ダイボンディング」工程(S2)および「ワイヤボンディング」工程(S3)を示している。
【0025】
まず、半導体チップ10を、リードフレーム1のタブ3上に搭載し、図示しない接着剤により半導体チップ10をタブ3に接着する。次に、半導体チップ10のボンディングパッド11とリード8の一端とをワイヤ12で接続する。通常は、1つのボンディングパッド11と、一つのリード8とが、1本のワイヤ12で接続されるが、2つのボンディングパッド11を2本のワイヤ12を用いて1つのリード8と接続しても良い。ワイヤ11として、銅ワイヤまたは金ワイヤが用いることができる。
【0026】
図4および図5は、図1に示したプロセスフロー図の「樹脂封止」工程(S4)を示している。図4は、樹脂封止金型15の平面図である。樹脂封止金型15には、プランジャー(樹脂充填部)16、ランナ部17、ゲート部18、キャビティ部19、および、スルーゲート部20が形成されており、さらに、スルーゲート部20の先には、キャビティ部19およびスルーゲート部20が、連続して多数個接続されている。つまり、ランナ部17に、直列接続された複数のキャビティ部19が接続されている。そして、1つのプランジャー16には、ランナ部17と直列接続された複数のキャビティ部からなる列が3列接続されている。
【0027】
プランジャー16に注入された封止樹脂(レジン)は、ランナ部17およびゲート部18を経由してキャビティ部19に注入され、さらに、スルーゲート部20を介して、次のキャビティ19に注入される。そして、次々に、スルーゲート部20を介してキャビティ部19に封止樹脂が注入され、キャビティ部が封止樹脂で満たされる。封止樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂からなる。X方向において、プランジャー16に連通された2つ目以降のキャビティ部19には、1つ目のキャビティ部19と通過した封止樹脂が注入される。2つ目のキャビティ部19に注入される封止樹脂は、1つ目のキャビティ部19を介してプランジャー16から注入される。このような封止樹脂の注入方式を「スルーモールド」と呼んでおり、樹脂封止金型15内に配置できるキャビティ部19の数を増加できるという特徴が有る。言い換えると、1枚のリードフレーム1に配置できる単位半導体装置形成領域UTの数を増加できる。
【0028】
樹脂封止金型15は、上型と下型とで構成されており、上型と下型の間に、「ワイヤボンディング」工程(S3)が完了したリードフレーム1が挟み込まれていて、キャビティ部19には、図3の半導体チップ10、タブ3、ワイヤ12、および、リード8の一部が位置している。例えば、プランジャーは、下型に形成され、キャビティ19は上型と下型の両方に形成されている。ランナ部17、ゲート部18、および、スルーゲート部20は、例えば、下型に形成するが、上型と下型の両方に形成しても良い。
【0029】
図5は、「樹脂封止」工程(S4)が完了したリードフレーム1の平面図である。封止体21は、半導体チップ10、タブ3、タブ吊りリード4、ワイヤ12、および、リード8の一部を覆っている。X方向に延在する封止体21の2辺21X、21Xは、ダムバー9よりも半導体チップ10側に位置している。さらに、封止体21は、タブ吊りリード4を覆っており、Y方向に延在する封止体21の2辺21Y、21Yは、タブ吊りリード4に設けた切り欠き5と交差している。図5では、封止体21の外形線を示しているが、この外形線は、上型と下型の合せ面における封止体21の外形を示している。換言すると、封止体21が接触する、タブ吊りリード4の上面又は下面における外形である。
【0030】
また、図5に示すように、隣り合う封止体21の間または封止体21の両側には、ゲート部樹脂体22が形成されている。ゲート部樹脂体22は、図4に示すゲート部18またはスルーゲート部20に対応する位置に形成されている。ゲート部樹脂体22の樹脂厚は、キャビティ部21の樹脂厚よりも薄い。
【0031】
図6は、図1に示したプロセスフロー図の「リード分離」工程(S5)を示している。図6に示すように、リード8間、リード8とタブ吊りリード支持部6との間、およびリード8とダムバー支持部7との間のダムバー9を切断する。さらに、リード8と外枠2との間を分離する。この「リード分離」工程(S5)を経ると、複数のリード8は、電気的に分離される。なお、例えば、ダムバー9の切断においては、リードフレーム1の上面にダイ、下面にパンチを、直接当てて切断することができる。
【0032】
次に、図示はしないが、図1に示したプロセスフロー図の「リード成形」工程(S6)を実施する。図9に示すように、リード8の封止体21から露出した部分を、リード8の先端が、封止体21の下面よりも下側に位置するようにガルウイング型(L字形)に成形する。
【0033】
図7は、図1に示したプロセスフロー図の「タブ吊りリード切断」工程(S7)を示している。隣り合う封止体21の間に、治具(パンチ)25を入れ、リードフレーム1のタブ吊りリード支持部6を押圧することにより、タブ吊りリード4をタブ吊りリード支持部6から分離(切断)する。
【0034】
図8は、治具25で、タブ吊りリード4を切断する際の断面図を示している。封止体21は、主面21Aと裏面21Bとを有する。例えば、主面21Aは、半導体チップ10の主面側に対応している。封止体21の裏面21B側は、支持体であるダイ(支持台)26の上に配置されており、封止体21の主面21Aの側から治具25で、タブ吊りリード支持部6を押圧力Fで押圧することにより、タブ吊りリード4をタブ吊りリード支持部6から切断(分離)する。図8で示すように、封止体21の主面側21Aから切断用の治具25を入れる際に、裏面側21Bはタブ吊りリード支持部6を支持することなく、封止体21の裏面21Bを支持した状態で、タブ吊りリード4をタブ吊りリード支持部6から切断する方法を「なで切り」と呼んでいる。
【0035】
ここで、隣り合う封止体21の間隔W1は、治具25を入れる必要があるため、治具25の幅W2よりも大きくする必要がある(W1>W2)。また、治具25で封止体21が傷付かないように治具25と封止体21とのクリアランスも考慮して封止体21の間隔W1を設定している。ただし、隣り合う封止体21の間隔W1は、封止体21の裏面側21Bからは、治具25と同様の治具を当てられない程度に狭くしている。つまり、隣り合う封止体21の間隔W1は、治具25の幅W2の2倍よりも狭い(小さい)(W1<2×W2)。
【0036】
なお、図7に示すように、タブ吊りリード4をタブ吊りリード支持部6から切断する際に、治具25でゲート部樹脂体22も封止体21から切断する。つまり、図1に示したプロセスフロー図の「タブ吊りリード切断」工程(S7)において、封止体21からゲート部樹脂体22も除去する。ただし、両者は、別の工程で実施しても良い。この「タブ吊りリード切断」工程(S7)を経ることで、半導体装置を個片化することができる。
【0037】
図7および図8で説明したように、タブ吊りリード4には、切り欠き5が入っているので、この部分が切り口として作用し、切り欠き5に対応する部分(幅狭部)でタブ吊りリード4をタブ吊りリード支持部6から切断できる。つまり、小さな応力でタブ吊りリード4をタブ吊りリード支持部6から分離(切断)できる。また、封止体21の辺21Yが切り欠き5と交差しているため、タブ吊りリード4は、辺21Yに沿って切断される。したがって、平面視において、タブ吊りリード4が、辺21Yから突出しない構造とすることが出来る。言い換えると、タブ吊りリード4の突出量を低減することができる。このように、小さな押圧力でタブ吊りリード4を切断できるので、封止体21にクラックが発生するのを防止することができ、封止体21内部への水分の侵入を防止(低減)でき、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
【0038】
図9(a)は、個片化した半導体装置のY方向における断面図であり、図9(b)は、X方向における半導体装置の側面図である。
【0039】
図9(a)に示すように、半導体装置は、半導体チップ10、タブ3、複数のリード8、複数のワイヤ12、および、封止体21を有している。半導体チップ10は、タブ3上に、図示しない接着剤で接着されており、半導体チップ10の主面に形成された複数のボンディングパッド11は、ワイヤ12によりリード8に電気的に接続されている。タブ3、半導体チップ10、複数のワイヤ12、および、複数のリード8は封止体21で封止されている。
【0040】
図9(b)に示すタブ吊りリード4は、封止体21の側面に露出している。露出部において、タブ吊りリード4は、略四角形を有する。これは、タブ吊りリード4の平面形状が、エッチング加工ではなく、プレス加工により加工されていることを意味している。つまり、タブ吊りリード4は、厚さ方向に2つの平坦な側面を有している。
【0041】
<変形例1>
図10は、図2に示すリードフレームの変形例を示す平面図である。上記実施の形態のリードフレーム1とは、切り欠き5の構造が異なるが、その他の部分は同様であり、上記実施の形態と同様の符号を付し、その説明は省略する。図10では、変形例1のリードフレームの符号を「1A」と表記している。また、リードフレーム1Aの単位半導体装置形成領域UTに相当する部分のみを図示している。
【0042】
図10に示すように、タブ3からX方向に延在するタブ吊りリード4は、2つの辺4aおよび4bを有しており、タブ吊りリード4がタブ吊りリード支持部6と接続される部分に、2つの切り欠き5aおよび5bが設けられている。2つの切り欠き5aおよび5bは、略半円形であり、辺4aには切り欠き5aが、辺4bには切り欠き5bが設けられている。2つの切り欠き5aおよび5bは、Y方向において、対応する位置に配置されており、その部分(幅狭部)のタブ吊りリード4の幅は、タブ3に繋がる部分のタブ吊りリード4の幅よりも狭い(小さい)。もちろん、X方向において、タブ部3から延在する2本のタブ吊りリード4に、上記の切り欠き5aおよび5bが形成されている。
【0043】
また、図10には、封止体21の外形を示しており、上記実施の形態と同様に、Y方向に延在する封止体21の2辺21Y、21Yは、切り欠き5aおよび5bと交差している。言い換えると、封止体21の2辺21Y、21Yは、タブ吊りリード4の幅狭部と交差している。
【0044】
タブ吊りリード4の両辺4aおよび4bにそれぞれ切り欠き5aおよび5bが入っているので、上記実施の形態に比べ、より小さな応力で、タブ吊りリード4を切断することができ、封止体21にクラックが発生するのを防止できる。
【0045】
<変形例2>
図11(a)および図11(b)は、図2に示すリードフレームの変形例を示す平面図および断面図である。上記実施の形態のリードフレーム1とは、切り欠き5の構造が異なるが、その他の部分は同様であり、上記実施の形態と同様の符号を付し、その説明は省略する。図11(a)および図11(b)では、変形例1のリードフレームの符号を「1B」と表記している。また、リードフレーム1Bの単位半導体装置形成領域UTに相当する部分のみを図示している。
【0046】
図11(a)および図11(b)に示すように、タブ3からX方向に延在するタブ吊りリード4は、2つの辺4aおよび4bを有しており、タブ吊りリード4がタブ吊りリード支持部6と接続される部分に、略半円形の断面を有する溝5cが、辺4aから辺4bにわたって設けられている。また、タブ吊りリード4は、主面4cと裏面4dとを有しており、溝5cは、主面4cに形成されている。溝5cの形成部でタブ吊りリード4の肉厚は、タブ3に繋がる部分のタブ吊りリード4の肉厚よりも薄い(小さい)。タブ吊りリード4において、タブ3に繋がる部分は、「肉厚部」と呼ぶことができ、溝5cの形成部は、「肉薄部」と呼べる。もちろん、X方向において、タブ部3から延在する2本のタブ吊りリード4に、上記の溝5cが形成されている。なお、溝5cの断面構造は、V字型またはU字型などでも良い。
【0047】
また、図11(a)には、封止体21の外形を示しており、上記実施の形態と同様に、Y方向に延在する封止体21の2辺21Y、21Yは、溝5cと交差している。言い換えると、封止体21の2辺21Y、21Yは、タブ吊りリード4の肉薄部と交差している。
【0048】
タブ吊りリード4とタブ吊りリード支持部6の境界部分において、タブ吊りリード4に溝5cが形成されているので、小さな応力で、タブ吊りリード4を切断することができ、封止体21にクラックが発生するのを防止できる。
【0049】
<変形例3>
図12(a)および図12(b)は、図2に示すリードフレームの変形例を示す平面図および断面図である。上記実施の形態のリードフレーム1とは、切り欠き5の構造が異なるが、その他の部分は同様であり、上記実施の形態と同様の符号を付し、その説明は省略する。図10では、変形例1のリードフレームの符号を「1C」と表記している。また、リードフレーム1Bの単位半導体装置形成領域UTに相当する部分のみを図示している。変形例3のリードフレーム1Cは、変形例1と変形例2とを組み合わせた構造となっている。
【0050】
図12(a)および図12(b)に示すように、タブ3からX方向に延在するタブ吊りリード4は、2つの辺4aおよび4bを有しており、タブ吊りリード4がタブ吊りリード支持部6と接続される部分に、2つの切り欠き5aおよび5bが設けられている。2つの切り欠き5aおよび5bは、略半円形であり、辺4aには切り欠き5aが、辺4bには切り欠き5bが設けられている。2つの切り欠き5aおよび5bは、Y方向において、対応する位置に配置されており、その部分(幅狭部)のタブ吊りリード4の幅は、タブ3に繋がる部分のタブ吊りリード4の幅よりも狭い(小さい)。さらに、タブ吊りリード4がタブ吊りリード支持部6と接続される部分には、略半円形の断面を有する溝5cが、辺4aから辺4bにわたって設けられている。また、タブ吊りリード4は、主面4cと裏面4dとを有しており、溝5cは、主面4cに形成されている。溝5cの形成部でタブ吊りリード4の肉厚は、タブ3に繋がる部分のタブ吊りリード4の肉厚よりも薄い(小さい)。タブ吊りリード4において、タブ3に繋がる部分は、「肉厚部」と呼ぶことができ、溝5cの形成部は、「肉薄部」と呼べる。もちろん、X方向において、タブ部3から延在する2本のタブ吊りリード4に、上記の溝5cが形成されている。なお、溝5cの断面構造は、V字型またはU字型などでも良い。また、溝5cと切り欠き5aおよび5bは、対応する位置に配置されている。
【0051】
また、図12(a)には、封止体21の外形を示しており、上記実施の形態と同様に、Y方向に延在する封止体21の2辺21Y、21Yは、切り欠き5aおよび5bならびに溝5cと交差している。言い換えると、封止体21の2辺21Y、21Yは、タブ吊りリード4の幅狭部および肉薄部と交差している。切り欠き部5aまたは5bは、一方のみが形成されていても良い。
【0052】
タブ吊りリード4の両辺4aおよび4bにそれぞれ切り欠き5aおよび5bが入っており、さらに、切り欠き5aおよび5bが形成された部分には溝5cも形成されているので、上記実施の形態に比べ、より小さな応力で、タブ吊りリード4を切断することができ、封止体21にクラックが発生するのを防止できる。
【0053】
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 リードフレーム
2 外枠
3 タブ
4 タブ吊りリード
4a、4b 辺
4c 主面
4d 裏面
5、5a、5b 切り欠き
5c 溝
6 タブ吊りリード支持部
7 ダムバー支持部
8 リード
9 ダムバー
10 半導体チップ
11 ボンディングパッド
12 ワイヤ
15 樹脂封止金型
16 プランジャー
17 ランナ部
18 ゲート部
19 キャビティ部
20 スルーゲート部
21 封止体
21A 主面
21B 裏面
21Y 辺
22 ゲート部樹脂体
25 治具(パンチ)
26 ダイ(支持台)
UT 単位半導体装置形成領域
図1
図2
図3
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図12