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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生物サンプル内の、検出される微生物Mを代表する被検体のインビトロイムノアッセイに基づいた検出のための方法の特異性を向上するための方法であって、前記被検体が配列Sが由来する微生物Mの標的タンパク質であるか又はこの標的タンパク質に対する抗体AbMであって、
前記方法が、イムノアッセイの実施の間に、ペプチド配列S又はS’を有する7から12アミノ酸の少なくとも一のペプチドの使用を含み、
配列S’は干渉微生物M’の抗原タンパク質のペプチド配列に由来し、配列Sは検出される微生物Mの標的タンパク質のペプチド配列内に含まれ、微生物Mは微生物M’と異なり、前記配列SとS’がその長さにわたり少なくとも50%の同一性を示し、隣接する少なくとも4のアミノ酸が同一又は類似アミノ酸であり、前記配列SとS’の長さが同一であるか配列の一端及び/又は他端に1又は2のアミノ酸が配置されることにより相違を示し、
前記微生物MはC型肝炎ウイルス(HCV)であり、
干渉微生物M’の抗原タンパク質に対するAbM’抗体の存在に関連する擬陽性結果をブロックする
ことを特徴とする、方法。
HCVウイルスと異なる微生物が、黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)、肺炎レンサ球菌(streptococcus pneumoniae)、枯草菌(bacillus subtilis)、シュードモナス・エントモフィラ(pseudomonas entomophila)及びシュードモナス・プチダ(pseudomonas putida)(GB−1菌株)から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の使用又は方法。
配列S又はS’を有するペプチドが、配列番号1の配列を有するY7E−1、配列番号3の配列を有するA8E及び配列番号5の配列を有するY7E−2から選択されることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の使用又は方法。
【発明の概要】
【0011】
したがって本発明は、それらの配列が、
(i)微生物M1の抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S1、及び
(ii)微生物M1とは異なる微生物M2の標的タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S2から選択され、
前記配列S1とS2が互いに対してアラインメントされること、それらが7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さが同一であること、あるいはそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すことが理解されることを特徴とする干渉ペプチドに関する。
【0012】
一つの主題は、検出される微生物M2の標的タンパク質に対する少なくとも1個の抗体Ab
M2の検出による、生物サンプル内の微生物M2の存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法であって、
a)イムノアッセイに必要とされる、検出される前記少なくとも1個の抗体Ab
M2に対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程であって、前記少なくとも1個の結合パートナーが、抗体が対象とする前記標的タンパク質に由来するか又は標的タンパク質自体である工程、
b)(i)微生物M2とは異なる微生物M1の抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S1、及び
(ii)前記微生物M2の標的タンパク質のペプチド配列に由来し、前記少なくとも1個の結合パートナーのペプチド配列内に含まれる7−12個のアミノ酸のペプチド配列S2から選択される配列を有する少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程であって、
前記配列S1とS2が互いに対してアラインメントされること、それらが7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さが同一であること、あるいはそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すことが理解される工程、
c)前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)抗体Ab
M2と結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物M2の存在を検出する工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0013】
別の主題は、検出される微生物M2の少なくとも1個の標的タンパク質の検出による、生物サンプル内の微生物M2の存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法であって、
a)イムノアッセイに必要とされる、前記微生物M2の前記少なくとも1個の標的タンパク質に対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程、
b)(i)微生物M2とは異なる微生物M1の抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S1、及び
(ii)前記微生物M2の標的タンパク質のペプチド配列に由来し、前記少なくとも1個の標的タンパク質のペプチド配列内に含まれる7−12個のアミノ酸のペプチド配列S2から選択される配列を有する少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程であって、
前記配列S1とS2が互いに対してアラインメントされること、それらが7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さが同一であること、あるいはそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すことが理解される工程、
c)前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)標的タンパク質と結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物M2の存在を検出する工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0014】
さらに別の主題は、
(i)微生物M1の抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S1、及び
(ii)前記微生物M1とは異なる微生物M2の標的タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S2から選択される配列を有する干渉ペプチドの使用であって、
生物サンプル内の検出する前記微生物M2を表す検体のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法において、前記配列S1とS2が互いに対してアラインメントされること、それらが7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さが同一であること、あるいはそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すことが理解される使用に関する。
【0015】
別の主題は、イムノアッセイの実施中に、
(i)微生物M2とは異なる微生物M1の抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S1、及び
(ii)微生物M2の標的タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S2から選択される配列を有する少なくとも1個の干渉ペプチドであって、
前記配列S1とS2が互いに対してアラインメントされること、それらが7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さが同一であること、あるいはそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すことが理解される干渉ペプチドの使用を含むことを特徴とする、生物サンプル内の検出される微生物M2を表す検体のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法の特異性を改善するための方法に関する。
【0016】
本出願人は、あらゆる予想に反して、微生物M2を検出するためのイムノアッセイの実施中に、試験するサンプルと関係がある偽陽性の検出を、特定ペプチドの使用によって、低減する、又はさらに排除することができることを示しており、これらのペプチドは以下の特徴を有する:
それらは微生物M2とは異なる微生物M1の抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S1を有する、又はそれらは検出される微生物M2の標的タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S2を有する、
配列S1とS2が互いに対してアラインメントされる、
配列S1とS2が7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示す、
配列S1とS2が同一の長さを有すること、又はそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸長相違を示す。
【0017】
明快にするため、一般化することが望ましいとき、本発明の目的で使用する干渉ペプチドは、このペプチドが配列S1又はS2を有していようと、したがってそれが微生物M1又はM2に由来しようと、配列Sを有するペプチドと呼ぶ。したがって配列Sを有するペプチドを単離するために使用したペプチドは、この選択が完全に任意であるという認識で、配列S’を有するペプチドと呼ぶ。配列S1とS2を有する2個のペプチド、及びしたがってSとS’が使用可能であり、本発明による干渉ペプチドとして使用され、したがってそれを選択して、配列S’を有するペプチドとして配列S1又はS2を有する干渉ペプチドを指すことが可能であるからである。
【0018】
言い換えると、本発明の目的で使用する干渉ペプチドは、微生物Mの抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列Sを有する干渉ペプチドであり、前記配列Sは微生物Mと異なる微生物M’の標的タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸の異なるペプチド配列S’とアラインメントされており、前記配列SとS’は7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さは同一であること、又はそれらは前記配列の一端又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すことが理解される。
【0019】
配列Sを有するこのペプチドは、検出するのが望ましくない微生物(M又はM’)に対してサンプルを中和するのに特に有用であり、前記微生物が検出される微生物(それぞれM’又はM)に対して干渉をもたらす。したがって、検出するのが望ましくない前記微生物は干渉微生物と呼ぶことができる。
【0020】
言い換えると、検出する標的微生物が微生物Mであるとき、標的微生物由来の配列Sを有するペプチドは、干渉微生物M’を中和するよう働く。他方で、検出する標的微生物が微生物M’であるとき、したがって干渉微生物由来の配列Sを有するペプチドは、干渉微生物Mを中和するよう働く。
【0021】
明快にするため、検出するのが望ましい微生物は、当然ながらこの名称は任意であり、それを選択して微生物M1と呼ぶことが可能であるという認識で、ここでは微生物M’又はMを表す微生物M2と示す。
【0022】
言い換えると、前に定義した本発明の配列Sを有する干渉ペプチドは、微生物M又は微生物M’の検出のために使用する。
【0023】
その存在を検出することが望ましい微生物M2(M’又はM)は、確実な診断を実施して治療又はフォローアップを施す、又はその蔓延を制限することが必要である病状を引き起こす任意の微生物である。微生物は、当業者によく知られているウイルス、細菌又は酵母であってよい。
【0024】
ウイルスの非制限的な例として、A、B、C、E及びG型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルス、HIV−1及びHIV−2などのヒト免疫不全ウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、H1N1及びH5N1などのインフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、麻疹ウイルス、JCウイルスなどに言及することができる。
【0025】
細菌の非制限的な例として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などのブドウ球菌属(Staphylococcus)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)などのレンサ球菌属(Streptococcus)、及びバシラス属(Bacilli)に言及することができる。
【0026】
酵母の非制限的な例として、カンジダ属(Candida)に言及することができる。
【0027】
用語「微生物M2の標的タンパク質」は、イムノアッセイ法によって検出することができ、又は他の場合さらにイムノアッセイ法によって検出可能である抗体応答を感染宿主の一部でもたらす、前記微生物のゲノムによってコードされ前記微生物による感染中に生じるタンパク質を意味するものとする。したがって例えばC型肝炎ウイルス(HCV)の場合、標的タンパク質は、例えばコア、NS3、NS4又はNS5タンパク質であってよい。HIV−1ウイルスに関しては、例えば、Env(gp160、gp120、gp41)、Gag(p55及びその成熟プロセシング型、p24カプシド、p17マトリックスなど)、Pol(逆転写酵素及びインテグラーゼ)、Tat、Nef及びRevタンパク質に言及することができる。別の例として、細菌黄色ブドウ球菌のEmp(細胞外マトリックスタンパク質結合タンパク質)若しくはPVL(パントンバレンタインロイコシジン)タンパク質、又は細菌肺炎レンサ球菌のリボソーム低分子サブユニットメチルトランスフェラーゼH、延長因子P又は他の場合DnaKシャペロンタンパク質に言及することができる。当然ながら当業者は、検出したい微生物の様々な標的タンパク質を完全に理解している。
【0028】
表現「検出される微生物M2(それぞれM’又はM)と異なる微生物M1(M又はM’)」は、微生物M2自体ではない任意の微生物を意味するものとする。微生物M1とM2は、同じ性質の微生物(ウイルス、細菌、酵母)及び同じ科に属する微生物(例えば検出される微生物M2はHCVウイルスであってよく、他の微生物はHBVウイルスである)、又は別の科に属する微生物であってよい(例えば検出するウイルスはHCVウイルスであり、他の微生物はHIV−1ウイルスである)。微生物M1とM2は、異なる性質の微生物であってよい(ウイルス/細菌、ウイルス/酵母、細菌/酵母)。これらの微生物は、各々の患者が遭遇し、それらに対して患者が抗体応答を発症し得る微生物である。
【0029】
一実施態様によれば、微生物M2はウイルス又は細菌である。別の実施態様によれば、微生物M2がウイルスであり微生物M1が細菌であり、又は他の場合微生物M2が細菌であり微生物M1がウイルスである。
【0030】
一実施態様によれば、ウイルスはC型肝炎ウイルス(HCV)であり、ウイルスと異なる微生物は、特に黄色ブドウ球菌、肺炎レンサ球菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)(GB−1菌株)から選択される細菌である。
【0031】
別の実施態様によれば、ウイルスはヒト免疫不全ウイルスHIV−1であり、ウイルスと異なる微生物は肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)である。
【0032】
表現「検出される微生物M2と異なる微生物M1(又は干渉微生物)の抗原タンパク質」は、生物サンプルを得る患者でもある感染宿主の一部において抗体応答を誘導する、前記微生物M1のタンパク質を意味するものとする。ここでも当業者は、検出が問題であるとき前に記載した標的タンパク質に対応する微生物M1の抗原タンパク質を知っており、さらに当業者は、抗原性であるか又は他の場合標的タンパク質と呼ばれる微生物のタンパク質と、非抗原性であるか又は他の場合非標的タンパク質と呼ばれるタンパク質を容易に区別することができる。
【0033】
当業者は、前に示したように、表現「抗原タンパク質」と表現「標的タンパク質」は、検出法における微生物に関してのみ、すなわち検出するのが望ましい微生物に関して(したがって標的タンパク質を指す)、又は中和するのが望ましい微生物に関して(したがって抗原タンパク質を指す)、区別する必要があることも理解している。したがって、この2つの用語を区別せず使用することになり、その使用を照合せず配列Sを有する干渉ペプチド自体に関して同一であることが理解される。
【0034】
本発明による配列S及びS’を有する、したがって配列S1又はS2を有するペプチドは、抗体のパラトープにより認識されるアミノ酸長に相当する7−12個のアミノ酸を有する。一実施態様によれば、配列S1及びS2は8−10個のアミノ酸を有する。
【0035】
別の実施態様によれば、配列Sを有する干渉ペプチドは以下から選択される:
配列番号1の配列を有するY7E−1、配列番号2の配列を有するペプチドV7Eである配列S’を有するペプチド、
配列番号2の配列を有するV7E、配列番号1の配列を有するペプチドY7E−1である配列S’を有するペプチド、
配列番号3の配列を有するA8E、配列番号4の配列を有するペプチドE8Eである配列S’を有するペプチド、
配列番号5の配列を有するY7E−2、配列番号4の配列を有するペプチドE8Eである配列S’を有するペプチド、
配列番号6の配列を有するD8E、配列番号4の配列を有するペプチドE8Eである配列S’を有するペプチド、
配列番号4の配列を有するE8E、配列番号3の配列を有するペプチドA8E又は配列番号5の配列を有するY7E−2又は配列番号6の配列を有するD8Eである配列S’を有するペプチド、
配列番号7の配列を有するE8L−1、配列番号8の配列を有するペプチドE8L−2である配列S’を有するペプチド、及び
配列番号8の配列を有するE8L−2、配列番号7の配列を有するペプチドE8L−1である配列S’を有するペプチド。
【0036】
これらの様々なペプチドの中で、配列番号2の配列を有するHCVペプチドV7Eは特許出願EP0582243A中に既に記載されている。しかしながら、このペプチドは免疫原としては記載されていない。それは、試験するサンプルと関係がある偽陽性を排除するために使用する干渉ペプチドとして一度も記載されていない。他のペプチドは新しく、本発明の主題となる。
【0037】
したがって本発明は、
(i)微生物M1の抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S1、及び
(ii)微生物M1とは異なる微生物M2の標的タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S2から選択される配列を有する干渉ペプチドであって、
前記配列S1とS2が互いに対してアラインメントされること、それらが7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さが同一であること、あるいはそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すこと、及び配列番号2の配列を有するペプチドV7Eが除外されることが理解される干渉ペプチドに関する。
【0038】
言い換えると、本発明は、微生物Mの抗原タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸の配列Sを有する干渉ペプチドであって、前記配列Sは微生物Mと異なる微生物M’の標的タンパク質のペプチド配列に由来する7−12個のアミノ酸のペプチド配列S’に対してアラインメントされており、前記配列SとS’が互いに対してアラインメントされること、それらが7−12個のアミノ酸と少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸のそれらの長さにわたり少なくとも50%の同一性を示すこと、それらの長さが同一であること、あるいはそれらが前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示すこと、及び配列番号2の配列を有するペプチドV7Eが除外されることが理解される干渉ペプチドに関する。
【0039】
特定の一実施態様によれば、本発明は以下のペプチド:配列番号1の配列を有するY7E−1、配列番号3の配列を有するA8E、配列番号4の配列を有するE8E、配列番号5の配列を有するY7E−2、配列番号6の配列を有するD8E、配列番号7の配列を有するE8L−1及び配列番号8の配列を有するE8L−2に関する。
【0040】
用語「少なくとも50%の同一性」は、各配列のアミノ酸の少なくとも半分が同一又は類似である事実を意味するものであり、これら2個の配列が少なくとも4個の同一又は類似隣接アミノ酸を示すことは理解される。
【0041】
一般に用語「類似アミノ酸」は、それが配列中の原型アミノ酸を置換するとき又はそれが不在のとき、前記配列の抗原反応性の如何なる破壊も引き起こさないアミノ酸を指す。
【0042】
特に好ましいアナログは、保存性の置換、即ち一アミノ酸ファミリーで起こる置換を含む。ファミリーの観点で、当業者によく知られる幾つかのアミノ酸分類が存在する。したがって一分類例によれば、アミノ酸は4ファミリー、即ち(1)アスパラギン酸及びグルタミン酸などの酸性アミノ酸、(2)リシン、アルギニン及びヒスチジンなどの塩基性アミノ酸、(3)ロイシン、イソロイシン及びメチオニンなどの非極性アミノ酸、及び(4)グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン及びチロシンなどの極性無電荷アミノ酸に分けることができる。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは時折芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンとイソロイシン又はバリン、アスパラギン酸とグルタミン酸、スレオニンとセリンの単離的置換、又は一アミノ酸と構造的関連がある別のアミノ酸の類似した保存的置換は、生物活性に対して大きな影響を与え得ないことは妥当に予想することができる。生物活性に対するアミノ酸置換の影響を予想するための方法の別の例は、Ng及びHenikoff、2001によって記載されている。
【0043】
配列SとS’(S1とS2)は互いに対してアラインメントされ、長さが同一であるか、あるいはそれらは前記配列の一端及び/又は他端に分布する1個又は2個のアミノ酸相違を示す。言い換えると、配列SとS’(S1とS2)は少なくとも7アミノ酸の共通配列を有し、前に記載した保存的置換又は欠失により、そのアミノ酸は同一又は類似であり、それらの長さが異なるとき、この共通配列に対して追加的アミノ酸を、一端に(1個又は2個のアミノ酸)、他端に(1個又は2個のアミノ酸)、又は両端に加える(各側に無関連に1個又は2個のアミノ酸)。したがって、Xが共通配列である場合、A
nは末端に位置するアミノ酸の差であり、nは1−4の整数であり、本発明のペプチドのアラインメントは以下のように表すことができる:
【0044】
したがってアミノ酸の最大差は4である。
【0045】
当業者は、当業者によく知られているHopp/Woods及びKyte−Dooliteのプロットを参照して、生物活性に如何なる大きな影響も与えずに変化を許容し得る配列の領域を容易に決定する。
【0046】
一実施態様によれば、配列SとS’(S1とS2)に共通である配列のアミノ酸は以下の特徴の少なくとも1つに従う:
それらは同一である、
それらがアナログを示す場合、それらは最大1個又は2個のアナログを示す、
保存的置換によりそれらは最大3個のアナログを示す、
欠失によりそれらは最大1個又は2個のアナログを示す。
【0047】
別の実施態様によれば、少なくとも4個の隣接アミノ酸は以下の特徴の少なくとも1つに従う:
保存的置換によりそれらは同一又は類似である、
それらがアナログを示すとき、アナログの最大1個又は2個がある。
【0048】
本発明のさらに別の実施態様によれば、2個の配列SとS’(S1とS2)は、ペプチド分子の所定の長さにわたり少なくとも50%、好ましくは少なくとも55−60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80−90%の配列同一性、並びに50%を超える任意の値及び最大100%も示す。
【0049】
本発明のペプチドは、偽陽性を与え得る生物サンプル中の微生物M2(M’又はM)の存在の決定中、免疫学的アッセイ法の偽陽性を低減する、又はさらに排除するのに特に有用であり、これらの偽陽性は、検出される微生物M2(M’又はM)とは異なる微生物M1(それぞれM又はM’)を対象とする抗体の存在によって引き起こされる(それらはAb
M1又はそれぞれAb
M若しくはAb
M’と呼ばれる)。
【0050】
検出される微生物M2(M’又はM)の存在の検出を実施するため、検出される微生物M2の標的タンパク質を対象とする少なくとも1つの抗体の検出を実施する(その抗体はAb
M2又はそれぞれAb
M’若しくはAb
Mと呼ばれる)、又は前に記載した少なくとも1つの標的タンパク質の検出のいずれか、又は両方を実施する。後者の場合、組合せ法又はコンボ法が言及される。
【0051】
生物サンプル内の微生物M2(M’又はM)の存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法が、検出される微生物M2の標的タンパク質に対する少なくとも1個の抗体Ab
M2の検出を含むか又はその検出からなるとき、前記方法は、
a)イムノアッセイに必要とされる、検出される前記少なくとも1個の抗体Ab
M2に対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程であって、前記少なくとも1個の結合パートナーが、抗体が対象とする前記標的タンパク質に由来するか又は標的タンパク質自体である工程、
b)前に定義した少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程であって、配列S1が検出される微生物M2と異なる微生物M1に属し、配列S2が前記少なくとも1個の結合パートナーのペプチド配列中に含まれることが理解される工程、
c)前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)抗体Ab
M2と結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物M2の存在を検出する工程を含む又はそれらからなる。
【0052】
検出される微生物M2が配列Sを有するペプチドが属する微生物であるとき(したがってそれが微生物Mである)、生物サンプル内の微生物Mの存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法が、検出される微生物Mの標的タンパク質に対する少なくとも1個の抗体Ab
Mの検出を含むか又はその検出からなり、前記方法は、
a)前に定義したペプチド配列Sを有する少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程、
b)イムノアッセイに必要とされる、検出される前記少なくとも1個の抗体Ab
Mに対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程であって、前記少なくとも1個の結合パートナーが、抗体が対象とする前記標的タンパク質に由来するか又は標的タンパク質自体であり、ペプチド配列Sを含む工程、
c)ペプチド配列Sを有する前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)抗体Ab
Mと結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物Mの存在を検出する工程を含む又はそれらからなる。
【0053】
検出される微生物M2が、配列Sを有するペプチドが属する微生物ではなく、配列S’を有するペプチドが属する微生物であるとき(したがってそれが微生物M’である)、生物サンプル内の微生物M’の存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法が、検出される微生物M’の標的タンパク質に対する少なくとも1個の抗体Ab
M’の検出を含むか又はその検出からなり、前記方法は、
a)前に定義したペプチド配列Sを有する少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程、
b)イムノアッセイに必要とされる、検出される前記少なくとも1個の抗体Ab
M’に対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程であって、前記少なくとも1個の結合パートナーが、抗体が対象とする前記標的タンパク質に由来するか又は標的タンパク質自体であり、前に定義したペプチド配列S’を含む工程、
c)ペプチド配列Sを有する前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)抗体Ab
M’と結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物M’の存在を検出する工程を含む又はそれらからなる。
【0054】
表現「前記少なくとも1個の結合パートナーが、抗体が対象とする前記標的タンパク質に由来するか又は標的タンパク質自体である」は、結合パートナーが、アッセイするサンプルの抗体と結合することができる、前に記載した標的タンパク質又は他の場合その断片であることを意味するものとする。
【0055】
生物サンプル内の微生物M2(M’又はM)の存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法が、検出される微生物M2の少なくとも1個の標的タンパク質の検出を含むか又はその検出からなるとき、前記方法は、
a)イムノアッセイに必要とされる、前記微生物M2の前記少なくとも1個の標的タンパク質に対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程、
b)前に定義した少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程であって、配列S1が検出される微生物M2と異なる微生物M1に属し、配列S2が前記少なくとも1個の標的タンパク質のペプチド配列中に含まれることが理解される工程、
c)前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)標的タンパク質と結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物M2の存在を検出する工程を含む又はそれらからなる。
【0056】
検出される微生物M2が配列Sを有するペプチドが属する微生物であるとき(したがってそれが微生物Mである)、生物サンプル内の微生物Mの存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法が、検出される微生物Mの少なくとも1個の標的タンパク質の検出を含むか又はその検出からなり、前記方法は、
a)イムノアッセイに必要とされる、前記微生物Mの前記少なくとも1個の標的タンパク質に対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程、
b)前に定義した配列Sを有する少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程であって、前記配列Sが前記少なくとも1個の標的タンパク質のペプチド配列内に含まれる工程、
c)配列Sを有する前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)標的タンパク質と結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物Mの存在を検出する工程を含む又はそれらからなる。
【0057】
検出される微生物M2が、配列Sを有するペプチドが属する微生物ではなく、配列S’を有するペプチドが属する微生物であるとき(したがってそれが微生物M’である)、生物サンプル内の微生物M’の存在のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法が、検出される微生物M’の少なくとも1個の標的タンパク質の検出を含むか又はその検出からなり、前記方法は、
a)イムノアッセイに必要とされる、前記微生物M’の前記少なくとも1個の標的タンパク質に対する少なくとも1個の結合パートナーを提供する工程、
b)前に定義した配列Sを有する少なくとも1個の干渉ペプチドを提供する工程であって、対応する配列S’が前記少なくとも1個の標的タンパク質のペプチド配列内に含まれることが理解される工程、
c)配列Sを有する前記少なくとも1個の干渉ペプチドの存在下でイムノアッセイを実施する工程、及び
d)標的タンパク質と結合パートナー(一又は複数)の間で形成される複合体の測定により微生物M’の存在を検出する工程を含む又はそれらからなる。
【0058】
検索する標的タンパク質に対する結合パートナーによって、抗体、抗体分画、ナノフィチン、この抗原に対する受容体、又は検索する標的タンパク質との相互作用があることが知られる任意の他のタンパク質に言及することができる。
【0059】
結合パートナー抗体は、例えばポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれかである。
【0060】
ポリクローナル抗体は、微生物M2(M’又はM)がウイルスである場合、標的タンパク質又は不活性化及び/又は分画ウイルス粒子を用いた、又は微生物M2(M’又はM)が細菌である他の場合、細菌タンパク質の細菌性溶解物若しくは抽出物を用いた動物の免疫処置、次に、前記動物からの血清サンプルの入手、及び他の血清成分からの前記抗体の分離により、特に抗体、特に前記標的タンパク質によって特異的に認識される抗原が結合したカラムにおけるアフィニティークロマトグラフィーにより、精製型での所望の抗体の回収により得ることができる。
【0061】
モノクローナル抗体はハイブリドーマ技法により得ることができ、その一般的な原理は本明細書で以後要約する。
【0062】
最初に、動物、一般にマウスを、微生物M2(M’又はM)がウイルスである場合、対象の標的タンパク質又は不活性化及び/又は分画ウイルス粒子を用いて、又は微生物M2(M’又はM)が細菌である他の場合、細菌タンパク質の細菌性溶解物若しくは抽出物を用いて免疫処置し、したがって前記動物のBリンパ球はこの抗原に対する抗体を産生することができる。これらの抗体産生リンパ球は、次いで「不死化」ミエローマ細胞(実施例中ではネズミ)と融合させてハイブリドーマが生じる。特定抗体を産生し無限に増殖することが可能である細胞の選択を、このように得た細胞の異種混合物を使用して次いで実施する。各ハイブリドーマはクローンの型で増殖し、各々が、例えばELISAにより、一次元又は二次元イムノトランスファー(ウエスタンブロット)により、免疫蛍光法により、又はバイオセンサーを使用して、前記標的タンパク質に対するその認識性を試験することができる、モノクローナル抗体の産生をもたらす。このように選択したモノクローナル抗体は、特に前に記載したアフィニティークロマトグラフィー技法に従い後に精製する。
【0063】
モノクローナル抗体は、当業者によく知られている技法を使用して、遺伝子操作によって得られる組換え抗体であってもよい。
【0064】
抗体断片の例として、Fab、Fab’及びF(ab’)
2断片、さらにscFv(単鎖可変断片)及びdsFv(二本鎖可変断片)鎖に言及することができる。これらの機能性断片は、特に遺伝子操作によって得ることができる。
【0065】
ナノフィチン(商品名)は、抗体と同様に生物学的標的に結合することができ、したがってそれを検出すること、それを捕捉すること、又は生物内でそれを非常に簡単に標的化することができる低分子タンパク質である。
【0066】
検出される微生物M2(M’又はM)を表す検体とも呼ばれる、タンパク質及び/又は抗体を検出するかどうかとは無関係に、結合パートナーには、それらが検出する検体に対して特異的又は非特異的であり得るという共通の事実がある。結合パートナーがこれらの検体に独占的又はほぼ独占的に結合することができるとき、それらは特異的であると言われる。これらの検体に対する結合の選択性が弱く、したがって結合パートナーが、他のタンパク質若しくは抗体などの他のリガンドと結合し得るとき、それらは非特異的であると言われる。好ましい一実施態様によれば、特異的結合パートナーが好ましい。
【0067】
本発明の方法において検索する検体に対して特異的又は非特異的である、これらの結合パートナーは、実施するイムノアッセイの文脈において捕捉試薬として、検出試薬として、又は捕捉及び検出試薬として使用することができる。
【0068】
当然ながら、例えば「イムノアッセイ」における用語「免疫」は、本出願においては、結合パートナーが抗体などの免疫学的パートナーであることを、厳密に示すものとして考えるべきではない。実際当業者も、リガンドとも呼ばれる結合パートナーが免疫学的パートナーでなく、例えばアッセイを設計した検体の受容体であるとき、この用語を広く使用している。したがって、用語「免疫」が頭字語ELISA中に含まれていても「リガンド結合アッセイ」とも広く呼ばれる非免疫学的結合パートナーを使用するアッセイに関しては、ELISAアッセイ(酵素結合免疫吸着アッセイ)に言及することが一般的な習慣である。明快にするため、本出願人は、それが免疫学的パートナーでないときでさえ結合パートナーを使用する任意のアッセイに関して、用語「免疫」を本出願全体で使用する。
【0069】
イムノアッセイの実施は、検出される微生物M2(M’又はM)及び使用する結合パートナーに従いその試験を適応させる当業者には広く知られている工程である。
【0070】
この方法中、本発明の一つ又は複数のペプチドを加え、当業者はそれに応じて試験条件を適応させる。イムノアッセイ法は、本発明による1、2、3又は4個の干渉ペプチドの使用を含むことが好ましい。
【0071】
干渉ペプチド(一又は複数)を、イムノアッセイの開始前、又はイムノアッセイの抗原−抗体反応工程のいずれか1つにおいて、アッセイする生物サンプルに加える。1工程イムノアッセイの場合、干渉ペプチドが存在する、又は生物サンプルが捕捉相と反応するとき加える。2工程イムノアッセイの場合、干渉ペプチドを捕捉中、又は露呈中、又は両方において加える。如何なる場合も、露呈工程(基質の添加及びシグナルの可視化又は検出)前に干渉ペプチドを加える。
【0072】
検体と結合パートナーの間で形成される複合体の測定による微生物M2(M’又はM)の存在の検出は、直接的又は間接的手段などの、当業者に知られるイムノアッセイの可視化の任意の方法によって実施することができる。
【0073】
直接的検出、即ち標識により実施されない検出の場合、例えば表面プラズモン共鳴によって、又は伝導性ポリマーを含む電極でのサイクリックボルタンメトリーによって、免疫反応を観察する。
【0074】
間接的検出は、検出試薬と呼ばれる結合パートナー、又は標的タンパク質自体又は一つ若しくは複数のその断片のいずれかの標識によって実施する。
【0075】
用語「標識」は、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に生成することができる標識試薬の結合を意味するものとする。これらの標識試薬の非制限的一覧は以下のものからなる:
・例えば比色定量分析、蛍光又は発光により検出可能なシグナルを生成する酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ又はグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、
・発色団、例えば蛍光、発光又は色素化合物、
・放射性分子、例えば
32P、
35S又は
125I、及び
・Alexas又はフィコシアニンなどの蛍光分子。
【0076】
間接的検出系、例えばアンチリガンドと反応することができるリガンドを使用することもできる。リガンド/アンチリガンド対は当業者によく知られており、例えばその例は以下の対、ビオチン/ストレプトアビジン、ハプテン/抗体、抗原/抗体、ペプチド/抗体、糖/レクチン、ポリヌクレオチド/そのポリヌクレオチドと相補的な配列である。この場合、結合パートナーを有するのはリガンドである。アンチリガンドは前段落中に記載した標識試薬を使用して直接検出可能であり、又はリガンド/アンチリガンドを使用してそれ自体検出可能であり得る。
【0077】
これらの間接的検出系は、特定条件下において、シグナルの増幅をもたらす可能性がある。このシグナル増幅技法は当業者にはよく知られており、以前の特許出願、FR98/10084、又は本出願人による国際公開第A−95/08000号、又はChevalier等、1997による記事を参照することができる。
【0078】
使用する標識のタイプに応じて、当業者は、任意のタイプの測定装置、例えば分光光度計、分光蛍光計、又は他の場合高解像度カメラを使用して検出可能なシグナルの標識又は発光の可視化を可能にする試薬を加える。
【0079】
本発明の方法を実施することができる生物サンプルは、イムノアッセイを実施することができる、微生物(抗原、抗体)を表す検体を含有し得る任意の生物サンプルである。これらのサンプルは当業者に広く知られている。このようなサンプルの例として、血清、血漿、血液、全血、尿又は脳脊髄液などの生体液だけでなく、さらに組織、便などに言及することができる。生物サンプルは、人間、ヒツジ類、蓄牛、ヤギ科のメンバー、イヌ科のメンバーを含めた哺乳動物、魚類及び鳥類種などの、病原性微生物の存在を検出することが必要である任意の動物に由来する。本出願人は、あらゆる予想に反して、検出される微生物M2と異なる微生物を対象とする抗体Ab
M1を、これらのサンプルが含有する可能性もあること、及び試験の偽陽性結果をもたらすのはこれらの抗体であることを示している。
【0080】
生物サンプルは事前工程で処理することができる。例えば、検出する抗原の露出を促進する酸性条件を使用することができる。イオン型又は非イオン型の洗浄剤、例えばトリトンX100又はSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)又はポリ(オキシエチレン)誘導体、例えばNP40を使用することができる。
【0081】
したがって本発明のペプチドの使用は、任意のイムノアッセイ法において特に有用である。したがって本発明の別の主題は、生物サンプル内の検出される微生物を表す検体のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法における、前に定義した配列Sを有する干渉ペプチドの使用に関する。
【0082】
本発明のペプチドの有用性は偽陽性の排除、したがって試験の特異性の改善にあるので、別の主題は、イムノアッセイの実施中に、前に定義した配列Sを有する少なくとも1個の干渉ペプチドの使用を含むことを特徴とする、生物サンプル内の検出される微生物を表す検体のインビトロイムノアッセイベースの検出のための方法の特異性を改善するための方法に関する。
【0083】
本発明は、非制限的な例示により与える以下の実施例によって、及びさらに
図1−4によってより明確に理解される。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図面中、「.」は前述の位置に存在するアミノ酸に対するアミノ酸同一性を表し、「−○」は所与の位置における欠失を表す。
【実施例】
【0086】
実施例1: 干渉ペプチドY7E−1(黄色ブドウ球菌)及びV7E(HCV)
HCV又は黄色ブドウ球菌による感染を診断するためのイムノアッセイの特異性を改善するため、本発明による2つの干渉ペプチドを定義した。
【0087】
ペプチドY7E−1は、黄色ブドウ球菌の細胞外マトリックスタンパク質結合タンパク質Empのアミノ酸322−330に相当するペプチド配列YSPTHYVPE(配列番号1)を有する(UniProtKBデータベースの受託番号Q8NXI8)。このペプチドY7EはHCVペプチドV7Eとアラインメントし、そのペプチド配列はVSPTHYVPE(配列番号2)であり、それはHCVのNS4Bタンパク質のアミノ酸218−226に相当する(NCBI RefSeq参照配列に従い番号処理、受託番号はNP_751926である)。
【0088】
ペプチドY7E−1とV7Eのアラインメントは
図1中に示す。ペプチドY7E−1とV7Eは、9アミノ酸の共通長に関して89%の同一性を有する。
【0089】
実施例2: 干渉ペプチドE8E(HCV)及びA8E(肺炎レンサ球菌)、Y7E−2(枯草菌)、及びD8E(シュードモナス・エントモフィラ又はシュードモナス・プチダGB−1菌株)
HCV、肺炎レンサ球菌、枯草菌、又はシュードモナス・エントモフィラ若しくはシュードモナス・プチダGB−1菌株による感染を診断するためのイムノアッセイの特異性を改善するため、本発明による数個の干渉ペプチドを定義した。
【0090】
ペプチドA8Eは、肺炎レンサ球菌のリボソーム低分子サブユニットメチルトランスフェラーゼHタンパク質のアミノ酸64−73に相当するペプチド配列AQKRLAPYIE(配列番号3)を有する(UniProtKBデータベースの受託番号C1CPL0)。このペプチドはHCVペプチドE8Eとアラインメントし、そのペプチド配列はECSQHLPYIE(配列番号4)であり、それはHCVのNS4Aタンパク質のアミノ酸53−54に相当し(NP_751925)、HCVのNS4Bタンパク質のアミノ酸1−8(NP_751926)と融合する。ペプチドA8EとE8Eのアラインメントは
図2A中に示す。ペプチドA8EとE8Eは、10アミノ酸の共通長に関して50%の同一性を有する。
【0091】
肺炎レンサ球菌以外の微生物のペプチドも、本発明のHCVペプチドE8Eとアラインメントさせることができる。ペプチドY7E−2は、枯草菌メチオニン結合リポタンパク質metQのアミノ酸84−92に相当するペプチド配列YFQHIPYLE(配列番号5)を有する(UniProtKBデータベースの受託番号O32167)。ペプチドY7E−2とE8Eのアラインメントは
図2B中に示す。ペプチドY7E−2とE8Eは、9アミノ酸の共通長に関して55%の同一性を有する。
【0092】
ペプチドD8Eはペプチド配列DIDAVLPYIE(配列番号6)を有し、それはシュードモナス・エントモフィラの延長因子Pタンパク質(UniProtKBデータベースの受託番号Q1ID35)及びシュードモナス・プチダ(GB−1菌株)(UniProtKBデータベースの受託番号B0KUN5)のアミノ酸97−106に相当する。ペプチドD8EとE8Eのアラインメントは
図2C中に示す。ペプチドD8EとE8Eは、10アミノ酸の共通長に関して50%の同一性を有する。
【0093】
実施例3: 干渉ペプチドE8L−1(肺炎マイコプラズマ)及びE8L−2(HIV−1)
HIV−1又は肺炎マイコプラズマによる感染を診断するためのイムノアッセイの特異性を改善するため、本発明による干渉ペプチドを定義した。
【0094】
ペプチドE8L−1は、肺炎マイコプラズマM129tRNA(グアニン−N(1)−)−メチルトランスフェラーゼタンパク質のアミノ酸200−209に相当するペプチド配列EAYRKEQQLL(配列番号7)を有する(UniProtKBデータベースの受託番号P75132)。このペプチドはHIV−1ペプチドE8L−2とアラインメントし、そのペプチド配列はERYLKDQQLL(配列番号8)であり、それはHIV−1のgp160エンベロープ糖タンパク質のアミノ酸584−593に相当する(NCBI RefSeq参照配列に従い番号処理、受託番号はNP_057856である)。このウイルスの大きな遺伝的変動を考慮すると、正確な位置は1つのHIV−1菌株と別の菌株で変わる可能性がある。ペプチドE8L−1とE8L−2のアラインメントは
図3中に示す。ペプチドE8L−1とE8L−2は、10アミノ酸の長さに関して70%の同一性を有する。
【0095】
実施例4: 本発明による干渉ペプチドの使用による抗HCV抗体に関するイムノアッセイの特異性の改善
C型肝炎ウイルス感染の診断は、第3世代免疫酵素血清検査であり特定検査に関してタンパク質コア、NS3、及びNS4、及びNS5を対象とする抗体を実証するイムノアッセイを使用して、現在実施されている。これらの検出抗HCV抗体は現在又は過去の感染の証拠である。
【0096】
抗ウイルス抗体の実証を可能にする免疫酵素血清検査は、マイクロプレートにおいて、自動的又は手動的に、又は他の場合Vidas(登録商標)(bioMerieux)などの自動式免疫分析用デバイスを使用して実施することができる。この場合、検査の全ての工程はこの装置により自動的に実施される。様々な免疫酵素技法、及び特にELISAは当業者によく知られており、その主な原理、及びさらにプロトコール例は、Humana Pressにより刊行されたJohn R.Crowtherによる書籍「The ELISA Guidebook」、第2版中に記載されている(DOI:10.1007/978−1−60327−254−4)。
【0097】
使い捨てチップ(SPR(登録商標))は、固相及びピペッティングシステムの両方として働く。チップの表面は、HCVコア、NS3及びNS4タンパク質を対象とする抗体の検出用の抗原でコーティングされている。第一工程では、サンプルを希釈し、次いでチップ内を上下に吸引する。サンプル中に存在する抗HCV抗体は、チップ内に存在する抗原に結合する。洗浄工程によって非結合化合物を除去する。第二工程中、組換えアルカリホスファターゼと結合した、Fab’型の(マウス)抗ヒト免疫グロブリン(抗IgG)モノクローナルIgGをチップ内で上下に吸引し、固相の抗原と結合した試験サンプル由来の抗HCVヒトIgGと結合する。再度、洗浄工程によって非結合化合物を除去する。最終露呈工程中、基質(4−メチルウンベリフェリルホスフェート)をチップ内で上下に吸引し、結合体の酵素はこの基質の加水分解に関する反応を触媒し、産物(4−メチルウンベリフェロン)を生成し、その放出蛍光は450nmで測定する。蛍光シグナルの値は、サンプル中に存在する抗体の濃度に比例する。検査の最後に、1に戻した標準S1の値(装置内に保存された値)で得られた値を割ることによって、装置により指数の形で、結果を自動式に計算する。したがって、その指数が1以上であるサンプルは免疫酵素検査によって陽性であると考え(抗HCV抗体の存在)、その指数が1未満であるサンプルは陰性であると考える(抗HCV抗体の不在)。以下の段落中では、このHCV抗体アッセイ手順は「操作モード1」と呼び、これはペプチドに干渉しない抗HCV抗体のアッセイに相当する。
【0098】
試験サンプル中に含有される要素が原因の、抗NS4抗体の検出用の操作モード1の抗原の非特異的認識と関係がある干渉を減らすため、実施例1及び2中で定義した様々な干渉ペプチドを使用した。これらは、検出するウイルス(微生物Mの検出用の本発明の配列Sを有するペプチドの使用)、又は検出するウイルスと異なる微生物(微生物M’の検出用の本発明の配列Sを有するペプチドの使用)のいずれかに属するペプチドである。これらのペプチドは、ポリマー1g当たり0.1−1.0mmolのアミンを含有するポリスチレンタイプのポリマーを使用する、Merrifield、1962及びFields及びNoble、1990により記載された固相ペプチド合成などの、当業者によく知られる手順に従い化学合成により生成した。化学合成の最後に、約2時間トリフルオロ酢酸−エタンジチオール−トリイソプロピルシラン−水(94/2.5/1/2.5V/V/V/V)混合物の存在下において、ペプチドを脱保護状態にしてポリマーから切断することができる。ポリマーの排除後、0℃でジエチルエーテルからの沈降によりペプチドを抽出する。それらは、高速液体クロマトグラフィーなどの技法により精製することができる。適切な精製分画の凍結乾燥は、質量分析法、高速液体クロマトグラフィー又はアミノ酸分析などの、標準的な物理化学的技法により特徴付けすることができる均質なペプチドをもたらす。
【0099】
HCV感染に関して陰性であり、Rhone−Alpes「Centres de Transfusion Sanguine」[血液バンク]由来の数百の血清サンプルをスクリーニングして、干渉問題を提示するサンプルを同定した。これを実施するため、Vidas自動式デバイスを使用し、操作モード1に従いサンプルをアッセイした。操作モード1に従い陽性であった血清のみを選択した(指数≧1)。
【0100】
操作モード1の結果と「Centres de Transfusion Sanguine」[血液バンク]により確定した陰性状態の結果の間のこのような差によって、干渉問題を定義する偽陽性血清を選択することができる。
【0101】
本発明による干渉ペプチドの使用が試験の感度を損ねないことを示すため、市販の血清プール(Trina Bioreactives AG)由来の陽性コントロールサンプルC1もアッセイした。
【0102】
表1は、干渉問題を提示する7個の血清、及び陽性コントロールC1について、ペプチドV7E(配列番号2)又はペプチドY7E(配列番号1)の存在有り又は無しで「操作モード1」に従い実施したアッセイの結果を与える。これらのペプチドは、免疫酵素検査プロトコールの第一工程中、試験するサンプルの希釈に相当する5μg/mlの濃度で加え、固相上に存在した抗原とそれらをインキュベートした。
【0103】
アッセイ中、ペプチドY7Eの添加によって全血清における干渉を完全に中和することができる。ペプチドV7Eは、7個中4個の血清における干渉を部分的に中和することができる。さらに、干渉ペプチドの使用が試験の感度を損ねることはない。
【0104】
同様に表2は、干渉問題を提示する他の2つの血清、及び陽性コントロールについて、ペプチドE8E(配列番号4)、ペプチドA8E(配列番号3)、又は他の場合ペプチドA6M(配列番号9)の存在有り又は無しで、抗HCV抗体検出プロトコールの操作モード1に従い実施したアッセイの結果を与える。これらのペプチドは、免疫酵素検査プロトコールの第一工程中、試験するサンプルの希釈に相当する1μg/mlの濃度で加え、固相上に存在した抗原とそれらをインキュベートした。
【0105】
そのペプチド配列がAPYIEKGM(配列番号9)であるペプチドA6Mも、リボソーム低分子サブユニットメチルトランスフェラーゼHタンパク質のアミノ酸69−76に相当する肺炎レンサ球菌ペプチドである(UniProtKBデータベースの受託番号C1CPL0)。このペプチドは本発明による干渉ペプチドではない。それは、特許請求するアラインメントの定義に相当しないからである(
図4参照)。実際、このペプチドはHCVペプチドE8Eと同一の4個の隣接アミノ酸を有し、8アミノ酸長であるとしても、その配列はE8Eのそれに対してアラインメントされていない。この点において、このペプチドA6Mは、表2中に示す実験中では陰性コントロールとして使用する。
【0106】
アッセイ中、ペプチドE8E、又は他の場合ペプチドA8Eの添加によって2個中2個の血清における干渉を完全に中和することができる。本発明によるペプチドではないペプチドA6Mは、如何なる血清においても干渉を中和することができない。再度ここでも、試験の感度が損なわれることはない。
参照文献
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