特許第6357450号(P6357450)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357450
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   B60P1/44 J
   B60P1/44 E
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-150288(P2015-150288)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-30423(P2017-30423A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良彦
(72)【発明者】
【氏名】光吉 輝芳
(72)【発明者】
【氏名】平井 正則
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−272989(JP,A)
【文献】 特開2009−001152(JP,A)
【文献】 特開2009−292341(JP,A)
【文献】 特許第4037400(JP,B2)
【文献】 特開2013−208942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方に架装されて荷物の積みおろしに用いられ、車両の荷箱下方で収納される荷受台を有し、当該収納された荷受台を車両後方側に引き出す引き出し制御及び引き出された荷受台を下降させる下降制御が可能な制御部を備えた荷受台昇降装置であって、
前記下降制御における下降信号を出力する第1操作部と、
前記荷受台を引き出す引き出し信号を出力する第2操作部と、
前記第2操作部の前記引き出し信号に基づいて所定位置まで引き出された荷受台を検知して前記制御部に検知信号を出力するセンサと、
を備え、
前記制御部は、前記センサが前記所定位置の荷受台を検知したとき、第2操作部の前記引き出し信号に基づいて引き出されている前記荷受台に対し、当該引き出し信号の入力が継続されているにもかかわらず前記荷受台の移動規制するように構成されている
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記第1操作部は、前記引き出し制御及び前記下降制御の操作信号が出力可能となっており、
前記荷受台の移動の規制は、前記第1操作部及び前記第2操作部のうちの前記第2操作部が操作されているときのみに行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記第1操作部の前記引き出し信号が入力されたとき、前記荷受台は、前記スライド駆動部による前記車両前後方向の後方移動に続いて前記昇降駆動部による下降がなされ、
前記第2操作部の前記引き出し信号が入力されたとき、前記荷受台は、前記スライド駆動部による前記車両前後方向の後方移動が前記所定位置で停止される
ことを特徴とする請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1操作部の操作信号を受信する受信部と、前記第2操作部の操作信号が入力される入力部と、前記スライド駆動部又は前記昇降駆動部の駆動させるための演算部とに接続された切替部を有しており、
前記切替部は、前記入力部に前記第2操作部の操作信号が入力されると、前記受信部との接続をオン状態からオフ状態に切り替える
ことを特徴とする請求項に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記第2操作部の操作信号によって、前記荷受台が前記車両の荷箱下方で収納された状態としたとき、前記切替部は前記受信部との接続をオフ状態からオン状態に切り替える
ことを特徴とする請求項に記載の荷受台昇降装置。
【請求項6】
前記所定位置は、前記荷箱の後端部から車両後方側に前記荷受台が突出するとともに前記作業位置よりも車両前方側となる途中位置とされている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の荷受台昇降装置。
【請求項7】
前記荷受台は車両前後方向に折り畳まれた状態で前記車両の荷箱下方に収納され、
さらにこの収納された状態から前記所定位置まで、略同一の折り畳み状態及び略同一の高さで引き出される
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に架装された荷受台昇降装置、特に荷箱下方に収納される荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両後部に架装された荷受台昇降装置には、荷箱の下方に収納されるものがある。その一例が、図6(a)に示す荷受台昇降装置90で、荷受台91が左右一対のリンクアーム92に支持されて、使用時には地面と荷箱B90との間を矢印A91に沿って昇降する。上記収納時には、荷受台91はその先部91aが基部91bに折り畳まれた(矢印A92)状態となる。
【0003】
折り畳まれて収納された荷受台91は図6(b)に示すように、左右一対のヒンジ93の付近が上下に突出しているが、荷箱B90の下方で全体的に横長形状を有し、バンパとしても機能する。
【0004】
収納された荷受台91は、図6(c)のとおり、荷箱B90に対して車両後方側(図中の右側)に突出しない状態となっている。収納状態の荷受台91は、上面の多くが平坦面部910となっており、荷物の種類によっては荷受台昇降装置90を用いずに収納状態のままで平坦面部910に作業者が直接脚を載せて荷箱B90に移動することもできる。そうした際に、作業者が滑らないようにするために、平坦面部910の表面に列状に凸出した加工が施されたものもある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4037400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、荷受台91は収納状態のとき、荷箱B90の下方に潜り込んで、荷箱B90より車両後方側に突出していないので、作業者が平坦面部910に脚を載せた際に、その作業者の重心が車両後方側寄りになり、荷箱B90に移動し難い。また、収納状態のままだと、作業者が荷箱B90から降りる際に、荷受台91を視認できない。
【0007】
ところで、作業者は荷受台昇降装置90を使用時、収納状態の荷受台91を車両後方の作業位置まで引き出すため、その途中で引き出し動作を停止させることはできる。しかし、次のように途中位置で実際に引き出し動作を途中で停止させることには煩雑さが生じる。
【0008】
まず、有線式又は無線式の操作部のボタン操作で荷受台91の引き出し操作を行うが、脚を載せるためだけに荷受台91を引き出す場合、僅かな突出量で良いが、不意に大きく突出させると終了後に収納する引き入れ時間も合わせて多くの時間を要する。
【0009】
また、荷受台昇降装置90を途中で止めない通常の使用では、荷受台91が収納位置から接地した位置までの移動を一つのボタン操作だけ(例えば、「下」ボタンを押すだけ)で完了できる。しかし、ボタンを長く押すと、途中位置を通過するスライド動作だけでなく下降動作も行われてしまい、荷箱B90に対する相対高さが低くなる。
【0010】
そこで、確実に途中位置で停止させるために慎重なボタン操作を行おうとすると、その操作部のボタン操作自体が煩雑になる。例えば、慎重に引き出そうと断続的なボタン操作を行うことは、作業者にとって非常に煩雑で好ましくない。
【0011】
さらに、荷受台91が荷箱B90の下方に収納されているため、所定量だけの突出を明確に判別するには、作業者が車両側方でその後端部に立って直接視認することが求められる。つまり、作業者の立ち位置が制限されてしまう。
【0012】
本発明は、これらの点を鑑みてなされており、荷箱下方に収納された荷受台を作業者がステップとして簡単かつ確実に利用することができる荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、以下の手段を用いる。
【0014】
車両後方に架装されて荷物の積みおろしに用いられ、車両の荷箱下方で収納される荷受台を有し、当該収納された荷受台を車両後方側に引き出す引き出し制御が可能な制御部を備えた荷受台昇降装置を対象とする。
【0015】
前記制御部は、前記荷受台に対する引き出し信号の入力にかかわらず前記荷受台の移動が規制可能となるように構成されている点を特徴とする。ここで、「規制」とは引き出し移動を停止させることを意味している。
【0016】
また、前記制御部は、前記荷受台を下降させる下降制御が可能となるように構成されており、さらに前記制御部は、前記下降制御を介して前記収納された荷受台を接地した位置まで移動させる第1の引き出し制御と、前記荷受台の引き出しを規制可能となる第2の引き出し制御とを有する構成とすることもできる。
【0017】
また、前記第1の引き出し制御に対する引き出し信号を出力する第1操作部と、前記第2の引き出し制御に対する引き出し信号を出力する第2操作部と、を備えている構成としても良い。
【0018】
また、前記制御部において、前記第2操作部の操作信号が入力されたとき、前記第1操作部の操作信号が非接続状態とされる構成としても良い。さらに、車両側に設けられて、前記第2操作部の操作信号が入力されたときに前記車両前後方向の移動を検知して前記制御部に検知信号を出力する検知手段が設けられており、前記制御部は、前記検知信号に基づいて前記荷受台の前記車両前後方向の移動を規制する構成も可能である。その他、前記収納された荷受台を車両後方側に引き出す引き出し制御によって、荷箱と地面との間を昇降する作業位置まで引き出しとなっており、前記荷受台の引き出しを規制する位置は、前記荷箱の後端部から車両後方側に前記荷受台が突出するとともに前記作業位置よりも車両前方側となる途中位置とされている構成も可能である。以上の構成において、前記荷受台は車両前後方向に折り畳まれた状態で前記収納位置に収納されており、前記収納位置から前記荷受台の引き出しを規制可能な位置まで、略同一の折り畳み状態で引き出される構成も適用可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の荷受台昇降装置によれば、荷受台の移動を規制する制御部を有するので、所定位置で確実に荷受台を停止させることができる。そのため、無駄に大きく車両後方側に荷受台が突出することもなく、引き入れも必要以上の時間を要しない。また、移動が規制されるので、引き出しに係るボタン操作を不意に長くなっても上記の所定位置で荷受台を停止できる。そのため、ボタンを単に継続して押すだけの簡易な操作でも所定位置で荷受台を停止できる。そして、荷受台が引き出される状態を厳格に視認しなくても、所定位置に荷受台を停止できるので、作業者の立ち位置も必要以上に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であり、荷受台が収納位置から作業位置に移動し、さらに接地位置までの状態が示されている。
図2】(a)は本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の油圧回路図、(b)は荷受台昇降装置の操作に係る制御を示すブロック図である。
図3】(a)は本発明の実施形態に係る荷受台の引き出し制御を示すタイミングチャート、(b)は同形態に係る荷受台の引き入れ制御を示すタイミングチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であり、荷受台が収納状態とステップ位置との間で移動する状態が示されている。
図5】(a)は本発明の実施形態に係る荷受台が収納状態とステップ状態との間での移動制御を示すフローチャート、(b)は同移動制御を示すタイミングチャートである。
図6】従来の実施形態に係る荷受台昇降装置の作業状態と収納状態を示す側面図及び後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、車両に搭載された荷箱Bと、その荷箱Bの下方で車両後部に架装された荷受台昇降装置100を示す側面図である。荷受台昇降装置100は、荷物の積みおろし用として荷物を載置するために荷受台1を使用する場合と、作業者が脚を載せてステップ部材として荷受台1を利用する場合とで、その動作制御を使い分け可能に構成されている。
【0023】
図1では、荷受台昇降装置100が、図1(a)〜図1(e)の順に、収納された状態から荷物の積みおろしが可能な状態に変化しており、その変化状態を操作する際に作業者が用いる第1操作部R1も併せて表示されている。また、荷箱Bの下部には、荷受台1に対して、図1中の移動とは異なる移動を操作するための第2操作部R2も設けられている。本実施形態では、第1操作部R1と第2操作部R2とが別々に設けられている。第1操作部R1は、図1で示す一連の動作を操作するために用いられ、第2操作部R2は、後述する図4で示す一連の動作を操作するために用いられる。なお、当図では、左側を車両の前方側とし、右側を車両の後方側としており、各操作において押されるボタンが変色表示されている。
【0024】
図1(a)は、収納位置にある荷受台昇降装置100が示されている。この収納位置とは、車両が走行可能な状態に荷受台昇降装置100が収納された状態と指し、図示のとおり、荷箱Bの後端よりも僅かに車両前方側に引き入れられている。なお、収納位置にある荷受台昇降装置100は車両のバンパとしても機能する。
【0025】
荷受台昇降装置100は、車両前後方向を長手方向とする車枠Cの後部で、その車枠C上に搭載した荷箱Bの下方に設けられており、折り畳み可能な荷受台1と、荷受台1を車両前後方向に移動させるスライド駆動部2と、荷受台1を昇降させる昇降駆動部3と、これらの駆動部2、3の駆動制御を行う制御部(不図示)とを備えている。荷受台1、スライド駆動部2、及び昇降駆動部3は既知の構成(例えば、特開2013−208942号公報)を有し、車両前後方向又は上下方向に荷受台1を移動できる。
【0026】
スライド駆動部2は、左右一対のガイドレール21、左右のスライダ22、連結部材23、及び左右のスライドシリンダ24を備えている。ガイドレール21は、車枠Cの下側に前後方向を長手方向として取り付けられている。スライダ22は、ガイドレール21に係合支持されていて、ガイドレール21に沿ってスライドする。連結部材23は、左右のスライダ22に装架されている。スライドシリンダ24は、ガイドレール21及びスライダ22に対してそれぞれの端部が固定され、スライドシリンダ24の伸縮動作に伴ってスライダ22が前後にスライドし、そして、スライダ22と一体となって連結部材23も前後に移動する。
【0027】
昇降駆動部3は、チルトアーム31、リフトアーム32、コンプレッションアーム33、及びリフトシリンダ34をそれぞれ左右一対備えている。チルトアーム31は、その上端部が連結部材23に固定されたブラケット(不図示)に回動可能に連結されている。リフトアーム31は、前端部がチルトアーム31に対し、後端部が荷受台1に対してそれぞれ回動可能に連結されている。コンプレッションアーム33は、前端部が上記のブラケットに対し、後端部が荷受台1に対してそれぞれ回動可能に連結されている。リフトシリンダ34は、ロッド側がチルトアーム31の下端部に対し、ボトム側がリフトアーム32に対してそれぞれ回動可能に連結されている。リフトアーム32及びコンプレッションアーム33はスライダ22に対して荷受台1を昇降可能に連結する平行リンクを形成し、この平行リンクがリフトシリンダ34の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで荷受台1が水平姿勢を保って昇降する。
【0028】
図1(b)のように、荷受台1を収納位置から車両後方側に引き出す際、第1操作部R1の「下」ボタンを押すことで、スライダ22を矢印A1に沿って車両後方側にスライドさせる。このとき、荷受台1は荷箱Bの後端部から車両後方側に距離L1(約100mm程度)だけ突出した第1引き出し位置に移動する。
【0029】
第1引き出し位置に荷受台1が到達してそのまま「下」ボタンを押すと、図1(c)のように、荷受台1は矢印A2に沿って下降する。そして、荷箱Bから離れるように僅かに下降した第1下降位置に移動する。
【0030】
第1下降位置に荷受台1が到達した際、さらにそのまま「下」ボタンを押すと、図1(d)のように、荷受台1は矢印A3に沿って車両後方側にスライドする。そして、荷箱Bの後端部から車両後方側に距離L2だけ突出して荷受台1の昇降動作が可能な第2引き出し位置に移動する。
【0031】
さらに、そのまま「下」ボタンを押し続けると、図1(e)のように、荷受台1は矢印A4に沿って下降する。そして、荷受台1が接地した第2下降位置に到達する。なお、荷受台1が第2下降位置まで達すると、作業者は「下」ボタンを押すことを止め、手動で「く」の字状の荷受台1を水平に展開された状態(不図示)にする。
【0032】
この引き出し動作は、「下」ボタンを押しているだけで、荷受台1を収納位置から接地位置まで移動するものであり、作業者には簡易な操作方法となっている。そして、第1操作装置R1の「上」ボタンを押すと、展開されて水平姿勢のまま荷受台1を上昇させることができる。つまり、第1操作装置R1は、収納位置から作業位置まで引き出されて、その作業位置を通過可能に昇降操作する「作業位置操作装置」として用いられている。また、荷受台昇降装置100の使用後に荷受台1を収納位置に戻す際には、上記「く」の字状に作業者が手動で折り畳んだ後に、第1操作部R1の「上」ボタンを押すことで、上述した引き出しとは反対の動きとなる引き入れ動作が連続的に行われる。なお、上述した第2引き出し位置は、荷受台1の昇降作業が可能で荷物の積みおろし時に通過する作業位置となっている。
本実施形態に係る荷受台昇降装置100は図2(a)に示す油圧駆動装置4を備えている。
【0033】
この油圧駆動装置4は、電動モータ41、電動モータ41によって駆動される油圧ポンプ42、油圧ポンプ42の吸込側に設けたオイルタンク43、油圧ポンプ43の吐出管路4aの圧油をリフトシリンダ34に供給する第1圧油供給通路4b、第1圧油供給通路4bの流れを連通又は遮断する上昇動作用制御弁44、第1圧油供給通路4bにおける上昇動作用制御弁44の下流側から分岐してオイルタンク43に接続する圧油戻し通路4c、圧油戻し通路4cの流れを連通又は遮断する下降動作用制御弁45、下降動作用制御弁45の下流側に設けた流量制御弁Fv、油圧ポンプ42の吐出圧の最大値を規定するメインリリーフ弁Rm、及び電動モータ41とバッテリ(不図示)との間に介設したコンダクタリレー(不図示)を備えている。本実施の形態では、上昇動作用制御弁44と下降動作用制御弁45が、油圧ポンプ42からリフトシリンダ34への圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁を構成する。
【0034】
第1操作部R1からの操作信号に応じて、コンダクタリレーを介してバッテリから電動モータ41への給電制御が行われ、油圧ポンプ29が駆動する。同時に、上記の各制御弁44、45のソレノイド部44s、45sに駆動指令信号が適宜入力されて、油圧ポンプ29からの圧油給排制御が行われ、リフトシリンダ34が伸縮する。そのリフトシリンダ34の伸縮に伴って、荷受台1の昇降作動が行われる。
【0035】
また、油圧駆動装置4は、油圧ポンプ41の吐出管路4aから分岐してスライドシリンダ24のロッド側に接続する第2圧油供給通路4d、第2圧油供給通路4dに設けた絞り弁V及び逆止弁Rv、第2圧油供給通路4dから分岐してスライドシリンダ24のボトム側に接続する第3圧油供給通路4e、圧油供給通路4eの流れを連通又は遮断する引き出し動作用制御弁46、引き出し動作用制御弁46の下流側で第3圧油供給通路4eから分岐してオイルタンク43に接した圧油戻し通路4f、及び圧油戻し通路4fの流れを連通又は遮断する引き入れ動作用制御弁47を備えている。
【0036】
第1操作部R1からの操作信号に応じて、コンダクタリレーを介して電動モータ41及び油圧ポンプ42が駆動することで、引き出し動作用制御弁46のソレノイド部46sに駆動指令信号が入力される。このとき、引き入れ動作用制御弁47は遮断位置であるから、油圧ポンプ42からの圧油が第3圧油供給通路4eを介しスライドシリンダ24のボトム側に供給され、荷受台1が車両後方側にスライドする。一方、車両前方側へのスライド動作も第1操作部R1からの操作信号に応じ、コンダクタリレーを介して電動モータ41及び油圧ポンプ42が駆動することで、引き入れ動作用制御弁47のソレノイド部47sに駆動指令信号が入力される。このとき、引き出し動作用制御弁46は遮断位置であるから、油圧ポンプ42からの圧油が圧油供給通路4cを介しスライドシリンダ24のロッド側に供給され、スライドシリンダ24のボトム側からの圧油が圧油戻し通路4fを介してオイルタンク43に流出する。この結果、スライドシリンダ24が収縮して荷受台1が車両前方側にスライドする。
【0037】
なお、本実施形態では、メインリリーフ弁Rmよりも下流側で引き出し動作用制御弁46及び引き入れ動作用制御弁47よりも上流側の位置に、吐出管路4aから分岐して圧油戻し通路4fに接続されたバイパス通路4gを有している。バイパス通路4gには、サブリリーフ弁Rsと切換弁48とを設けている。切換弁48は、そのソレノイド駆動部48sへの駆動信号によって、サブリリーフ弁73への圧油の連通又は遮断の制御が行われる。サブリリーフ弁Rsは、そのリリーフ圧(例えば6MPa程度)がメインリリーフ弁Rmのリリーフ圧(例えば20MPa程度)よりも低く設定してあり、切換弁48が連通位置に切り換わって吐出管路4aに接続した際には、吐出管路4aの圧油の最大値をメインリリーフ弁Rmのリリーフ圧よりも低い値に規定する。
【0038】
上記の吐出管路4aには、ガイドレール21に荷受台1が押し付けられたことを検出する圧力センサ54が設けられている。リフトシリンダ34が伸張してガイドレール21に荷受台1が接触したら吐出管路4aの圧力が上昇する。この圧力が所定値を超えたことを圧力センサ54が検知したら、ガイドレール8に荷受台1が接触したと判定できる。
【0039】
また、本実施形態には図示しないが他のセンサも用いられている。ガイドレール21には、後端センサ、格納センサ、及び位置センサも設けられている。ガイドレール21には、スライダ22の前後方向の移動範囲を規制する前後のストッパ(不図示)が設けられている。
【0040】
後端センサは、スライダ22後側の上記ストッパに当接した位置(以下「後端位置」)にあるかどうかを検出する検出手段である。格納センサは、スライダ22が前側の上記ストッパに当接した位置(以下「前端位置」)と後端位置との間の所定位置(以下「中間位置」)から後端位置側にスライダ22があるかどうかを検出する検出手段である。そして、位置センサは、作業者が脚を載せてステップ部材として荷受台1を利用する場合に第2操作部R2からの操作信号に基づいて駆動するものであり、上記中間位置よりも後端位置側にスライダ22があるかどうかを検出する検出手段である。これらセンサには近接センサやリミットスイッチなどを用いることができる。
【0041】
その他、上述した折り畳みが可能な荷受台1には、その折り畳みヒンジ部に、荷受台1の姿勢(折り畳み状態)を検出する折畳センサが設けられており、折畳センサの検知によって荷受台1が第1下降位置にあるか否かの判断が行われる。
図2(b)は荷受台昇降装置100に備えられた制御部6の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
【0042】
制御部6には、上述した折畳センサ51、格納センサ52、後端センサ53、圧力センサ54、及び位置センサ71が接続されている。さらに、制御部6は、これらのセンサ51〜54、71の出力信号が入力される入力部61と、荷受台昇降装置100に対する第操作部Rからの操作信号を受信する受信部62と、制御プログラム(例えばシーケンス制御やタイマ制御等に基づいたプログラム)や制御閾値を記憶した記憶部(メモリ)63と、記憶部63に記憶された制御プログラムに従って演算処理を実行し各シリンダ24、34の動作を指示するための演算部(CPU)64と、この演算部64で生成した指令信号を各制御弁44〜48のソレノイド部44s〜48sや上記のコンダクタリレー(図2(b)で“C”で表示)に適宜出力する出力部65とを備えている。さらに、この制御装置6は、第操作部Rからの出力信号のうち、荷受台1を車両後方側にスライドさせる操作信号の有無によって、受信部62と演算部64との接続切替を行う切替部66も有している。なお、上記の入力部61にはさらに、荷受台1の別スライド動作を操作する第2操作部R2の操作信号も入力される。
上記の制御部6を介した荷受台1の移動(動作)制御について図3のタイミングチャートを用いて説明する。
まず、荷受台1の引き出し動作は図3(a)のとおりとなる。
【0043】
運転室内に設けられたメインスイッチがON状態とされた後、第1操作部R1の「下」ボタンを作業者が押すと、コンダクタリレーに通電して電動モータ41を駆動するとともに、ソレノイド部46sが励磁されてスライドシリンダ24が伸長される。このとき、同時にソレノイド部47sも励磁されて瞬時の期間だけ引き入れ動作用制御弁47が連通状態とされることで、スライドシリンダ24の伸長時に生じる騒音を抑制できる。なお、収納位置では、荷受台1はガイドレール21に押し付けられているので、摩擦などで車両後方側の動作(第1引き出し動作)が阻害されないように、僅かな圧抜きもソレノイド部45sの励磁によって行われる。荷受台1の引き出し中には、格納センサ52の信号を基に判定する。格納センサ52の信号がOFFでスライダ22が中間位置に達するまでは、「下」ボタンを押している間だけスライダ22が引き出され、「下」ボタン操作が解除された場合には停止状態とされる。
【0044】
第1下降の動作制御は、スライダ22が中間位置に達すると、格納センサ52がOFFに切り替えられることで、引き出し動作用制御弁46を閉じてスライダ22の引き出し動作を停止状態とされる。そして、電動モータ41及び油圧ポンプ42を停止させるとともに下降動作用制御弁45を開けて荷受台1を下降させる。第1下降の動作中には、荷受台1が所定の高さまで下降したかどうかを折畳センサ51の信号を基に判定する。折畳センサ51の信号がOFFに切り替えられた際には、その動作が停止状態とされる。
【0045】
第1下降動作が停止された際、「下」ボタンが押されていると、第2引き出し動作に移行する。再度、電動モータ41を駆動するとともに引き出し動作用制御弁46を開けてスライダ22を引き出す。スライダ22の引き出し中には、スライダ22が後端位置に達したかどうかを後端センサ53の信号を基に判定する。後端センサ53の信号がONに切り替えられた際にはその動作が停止状態とされる。
【0046】
そして、第2引き出し動作が停止された際、「下」ボタンが押されていると、第2下降の動作に移行する。このとき、電動モータ41油圧ポンプ29を停止させるとともに下降動作用制御弁45を開けて荷受台1を再び下降させる。この下降動作は、「下」ボタンから操作信号が入力されている間継続され、荷受台1が接地して作業者が下降操作を止めたら停止状態とされる。
次に、荷受台1の引き入れ動作は図3(b)のとおりとなる。
【0047】
この引き入れ動作を行う場合、接地位置において作業者が事前に手動で荷受台1を「く」の字状に折り曲げる。その後、第1操作部R1の「上」ボタンを押す。「上」ボタンが押されることで、第1上昇の操作信号が入力され、コンダクタリレーに通電して電動モータ41を駆動するとともに、上昇動作用制御弁44を開いて荷受台1を上昇させる(第1上昇)。このとき、上昇動作用制御弁44とともに引き出し動作用制御弁46が開かれており、スライダ22が後端位置にある状態のまま荷受台1が接地位置から上昇する。荷受台1が第1上昇の動作中には、荷受台1が所定の高さに達したかどうか、具体的には荷受台1(のヒンジ部)の角度が設定角度に達したかどうかを折畳センサ51の信号を基に判定する。荷受台1が上記所定の高さに達するまでは、「上」ボタンが押されている間だけ荷受台1が上昇され、操作が解除された場合には停止状態とされる。
【0048】
第1上昇の動作制御は、荷受台1が所定の高さに達すると、折畳センサがONに切り替えられ、上昇動作用制御弁44を閉じて荷受台1の上昇動作が停止状態とされる。そして、「上」ボタンが押されていると、引き入れ動作用制御弁47を開いて、荷受台1を上記の所定の高さで保持したままスライダ22を引き入れさせる。このとき、引き入れ動作用制御弁47を開くと同時に引き出し動作用制御弁46を僅かな時間だけ開いてスライドシリンダ24及びリフトシリンダ34の圧抜きを実行すると良い。第1引き入れの動作中には、スライダ22が中間位置に達したかどうかを格納センサ52の信号を基に判定する。格納センサ52の信号がONに切り替えられた際には、その動作が停止状態とされる。
【0049】
第1引き入れ動作が停止状態とされた際、「上」ボタンが押されていると、第2上昇の動作に移行する。スライダ22が中間位置に達すると、引き入れ動作用制御弁47を閉じてスライダ22の引き入れ動作(第1引き入れ動作)が停止状態とされるとともに、切換弁48を連通位置に切り換えてリリーフ圧をサブリリーフ弁Rsによる低リリーフ圧に切り換える。その後、上昇動作用制御弁44を開けて、スライダ22が中間位置にある状態のまま荷受台1を再び上昇させる。この荷受台1の再上昇を開始する際、上昇再開時点でリリーフ圧がサブリリーフ弁Rsによるリリーフ圧に厳密に低下していることは問われず、回路的にサブリリーフ弁Rsが作動できるであれば良い。第2上昇の動作中には、荷受台1が適切な高さに達したかどうかを圧力センサ54の信号を基に判定する。圧力センサ54の信号がONに切り替えられると、その動作が停止状態とされる。第2上昇動作では、その動作中に油圧回路のリリーフ圧をサブリリーフ弁Rsによる低リリーフ圧に下げることにより、荷受台1とガイドレール21との間に作用する押圧力が過大になることはない。
【0050】
そして、第2上昇動作が停止状態とされた際、第2引き入れの動作に移行する。第2上昇動作によって圧力センサ54からの検出信号が入力され、この検出信号が所定圧力(例えば40MPa)以上の接触圧力であることを認識した場合に荷受台1が格納位置の高さに達したことを認識する。このとき、上昇用制御弁44を閉じて荷受台1の上昇動作を停止させ、ガイドレール21に荷受台1が接触したことをトリガとして、荷受台1を格納高さで保持したままスライダ22を引き入れさせる。
【0051】
この第2引き入れ動作は、第2上昇動作が完了(ガイドレール21に荷受台1が接触したことを認識)した場合に制御部6によって自動的に指令される動作であり、制御部6は、第1操作部R1の操作の有無に関係なく、引き入れ動作用制御弁47を開いてスライダ22を引き入れる。このとき、引き入れ動作用制御弁47を開いた時点から僅か(例えば500ms)に遅れて切換弁Vを閉じ、油圧回路のリリーフ圧をメインリリーフ弁Rmによるリリーフ圧に復帰させる。第2引き入れ動作の開始時点に、ガイドレール21に対する荷受台1の接触圧力を弱めておくためである。こうして荷受台1を収納位置まで引き入れさせた後、制御部6は電機モータ41及び油圧ポンプ42を停止させ、電源が切られたかどうかを判定し、電源OFFを確認して引き入れ動作を終了する。
【0052】
本実施形態では、荷物の積みおろしのために荷受台1に荷物を載置できる上述した「引き出し動作及び引き入れ動作」とは別に、車両前後方向において、収納位置と作業位置(第1引き出し位置)との間の途中位置で荷受台1を停止させて、その停止された荷受台1に作業者が脚を載せて荷箱と地面との間を移動するためのステップとして利用することもできる。
【0053】
そこで、荷受台昇降装置100をステップとして利用する際の当該装置100の動作について図4を用いて説明する。なお、当図では、その際に用いる第2操作部R2も併せて表示されており、各操作で押されるボタンに関して変色表示されている。
図4(a)に示す収納位置の荷受台昇降装置100は、図1(a)と同様、荷箱Bの下方で荷箱Bの後端部からは突出しない状態となっている。
【0054】
荷受台1をステップとして作業者が利用するために、図4(b)に示すように第2操作部R2の「出」ボタン(図中の右側のボタン)を押すと、荷箱Bの後端部から距離L11(約150mm程度)まで矢印A11に沿って荷受台1が引き出されたステップ利用位置に達する。このとき、荷受台1は収納位置と同じ姿勢及び高さの「略同一の折り畳み状態」のままステップ利用位置までスライドする。
【0055】
そして、距離L11の大きさまで突出した状態となった後も、図4(c)に示すように「出」ボタンが押されていても、荷受台1は車両後方側に移動せず、同じ大きさ(距離L11)だけ突出した状態が保持されている。つまり、上述した「途中位置」がこのステップ利用位置となっており、荷受台昇降装置100の車両前後方向の移動が規制される位置である。
【0056】
その後、図4(d)に示すように、「出」ボタンを押さずに、「入」ボタン(図中の左側のボタン)を押すと、荷受台1はその姿勢及び高さの「略同一の折り畳み状態」のまま収納位置までスライドする。
【0057】
この第2操作部R2の操作信号は制御部6の入力部61に入力される(図2(b)参照)。入力部61は切替部66にも信号を出力しており、第2操作部R2の信号によって図5(a)及び図5(b)のように制御される。
【0058】
まず、作業者が第2操作部R2の「出」ボタンを押す(S1)と、荷受台1が引き出される(S2)。制御部6では、入力部61が「出」ボタンによる操作信号を受信すると切替部66に切替信号を出力し、この切替信号を受信した切替部66は、受信部62との接続をON状態からOFF状態に切り替える(図2(b)参照)。そのため、引き出し動作(S2)を行う状態となると、第1操作部R1で「上」ボタンを押して荷受台1を収納位置に戻そうとしても荷受台1を車両前方側にスライドさせることができない。ただし、この状態であっても、第2操作部R2の操作信号は入力部61及び切替部66を介して演算部64に出力されるので、「入」ボタンを押す(S4)ことで荷受台1を収納位置に戻すことはできる(S10)。なお、本実施形態では、収納位置のときに荷受台1はガイドレール21に押し付けられているので、ガイドレール21との摩擦力を抑制するために、図5(b)のとおりステップ引き出しの開始時に、下降動作用制御弁45が瞬時の連通状態となって圧抜きが行われるが、荷受台1はステップ引き出し開始前と「略同一の折り畳み状態」で同じ高さ及び同じ姿勢を維持している。
【0059】
第2操作部R2による引き出し動作が継続されて位置センサ71の検知状態がONになる(S5)と、「出」ボタンが押されたままでもその引き出し動作が規制される(S6)。つまり、図5(b)にも示すように、制御部6において、位置センサ71の検知信号が入力部61に出力されると、引き出し動作用制御弁46が遮断状態となり、スライドシリンダ24の伸長を停止させる。その結果、図4(c)のとおり、荷受台1は所定のステップ利用位置に停止状態となり、作業者が不意に長い時間「出」ボタンを押したままでも、荷受台1はステップ利用位置を越えて車両後方側に突出することはない(S7)。
【0060】
また、第2操作部R2によるステップ利用位置への引き出し動作が行われると、上述のとおり第1操作部R1による操作ができなくなるので、ステップ利用位置にある荷受台1に対して第1操作部R1を用いて収納位置に戻すことはできない(S8)。
【0061】
そして、荷受台1をステップとして利用する作業が終了すると、作業者が第2操作部R2の「入」ボタンを押す(S9)ことで、引き入れ動作用制御弁47が連通状態となってスライドシリンダ24を収縮させることができる(S10)。荷受台1の引き入れ動作が開始されて荷受台1が収納位置に戻ることで、切替部66による受信部62との接続がOFF状態からON状態に切り替えられる。つまり、第1操作部R1による荷受台1の操作が可能となる。
【0062】
このようにして、第2操作部R2は、収納位置から引き出されるとともに、車両前後方向において作業位置よりも車両前方側で規制される途中位置までの移動を操作するために用いられており、「途中位置操作部」として機能する。
【0063】
なお、本実施形態では、第2操作部R2の「出」ボタンが押されると、第1操作部R1の操作ができないように制御部6で設定されているが、第2操作部の「出」ボタンが押された場合であっても、第1操作部R1の「下」ボタンによる操作信号だけ演算部64が受信せず、「上」ボタンによる操作信号は演算部64が受信する構成としても良い。つまり、収納位置(図4(a))からステップ利用位置(図4(b)及び図4(c))に荷受台1がスライドした場合であっても、第1操作部R1を用いて収納位置に向かって荷受台1を戻すことができる構成としても良い。この場合、作業者が第2操作部R2の位置まで移動しなくても、荷受台1を収納位置に戻すことができるので煩雑性が抑制される面もある。
【0064】
以上のとおり、本実施形態では、第2操作部R2を用いて、荷受台1をステップとして利用する上で、車両後方側へのスライド動作を規制して所定位置で確実に停止させる構成となっているので、その突出量が無用に大きくなることはない。また、単に「出」ボタンを押すだけの簡易操作によって所定位置で荷受台1を停止状態にできる。したがって、荷受台1のスライド動作が無用に行われることもなく、ボタン操作も煩雑にならない。また、荷箱Bの下部でその後端部よりも僅かに車両前方側に固定された第2操作部R2を用いても、所定位置で荷受台1が確実に停止されるので、荷箱Bの後端部に対する突出量の厳密な把握を作業者に求められることがなく、作業者は荷受台昇降装置100のスライド動作に合わせて移動することや、突出量を視認し易い位置に立つこと等の制限を受けない。
【0065】
また、荷受台1がステップ利用位置にあることで、作業者はその荷受台1に脚を載せて荷箱B内への移動が簡易になる。特に、車両後方側から荷箱B内に移動する作業者にとっては、荷箱Bよりも車両後方側に荷受台1が突出していることで、脚を載せた際に荷箱Bに対して前傾姿勢をとることができるので、荷箱Bへの移動の際の安全性を確保できる。また、荷受台1が収納位置から水平方向(図1(b)の矢印A11方向)にスライドし、収納状態と同姿勢で荷受台1がステップ利用位置に達するので、脚を掛ける部位も水平状態かつ荷箱Bとの相対的高さも同じ状態を維持でき、作業者の安全性をさらに確保できる。
【0066】
本実施形態のように、荷箱Bの下方で収納される荷受台昇降装置100だと、当該装置100を用いずに地面と荷箱Bとの間の積みおろしができる荷物の場合、車両後方側が遮られないので、作業者にとって有益な簡易性かつ迅速性が、上述したステップ利用によってその効果がさらに顕著となる。
【0067】
また、本実施形態では、荷物を載置してその荷物の積みおろしに荷受台昇降装置100を用いる場合に、図1で示すような移動が可能な構成としたが、周知の移動で、例えば収納位置からその高さを維持したままスライダ22が最後方位置までスライドされ、その位置から接地位置(図1(e)の第2下降位置)まで下降される構成としても、第2操作部R2を利用した際に車両前後方向、特に車両後方側への移動が規制されることによって上述した効果を得ることができる。
【0068】
さらに、第2操作部R2は第1操作部と別に設けられているが、第1操作部に設けられて1つの操作部で上述した荷受台1の移動(図1及び図4)の操作が可能な構成としても良い。もちろん、第2操作部R2の取付位置も図1に示す位置には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、車両の荷箱下方に収納される荷受台昇降装置に対して有用である。
【符号の説明】
【0070】
100 荷受台昇降装置
1 荷受台
2 スライド駆動部
3 昇降駆動部
4 油圧駆動装置
6 制御部
B 荷箱
C 車枠
R1 第1操作部(作業位置操作部)
R2 第2操作部(途中位置操作部)
61 入力部
62 受信部
63 記憶部
64 演算部
65 出力部
66 切替部
71 位置センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6