特許第6357482号(P6357482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357482コンクリート分配マスト用マストアームおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357482
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】コンクリート分配マスト用マストアームおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20180702BHJP
   B66C 23/64 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   E04G21/04
   B66C23/64
【請求項の数】13
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-548461(P2015-548461)
(86)(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公表番号】特表2016-503131(P2016-503131A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2013076980
(87)【国際公開番号】WO2014095926
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】102012224340.2
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510312961
【氏名又は名称】プッツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】フューゲル ディートマル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスターマン カール
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102296823(CN,A)
【文献】 実開昭55−131369(JP,U)
【文献】 実開昭60−115956(JP,U)
【文献】 実開昭49−055803(JP,U)
【文献】 特開2003−193512(JP,A)
【文献】 特開平03−180628(JP,A)
【文献】 特開平11−200397(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02816970(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01775390(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
E04G 23/08
B66C 23/64
E02F 9/14
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に、下ベルト(22)と、上ベルト(20)と、これらベルト(20,22)を結合させている2つの側壁(24,26)とから形成され、縦軸線に沿って長尺に延びている箱型プロファイルサポート(18)と、長方形に閉じた前記箱型プロファイルサポート(18)の中空横断面内に配置されている少なくとも1つの隔壁パネル要素(28)とを備えたコンクリート分配マスト用マストアームにおいて、
前記隔壁パネル要素(28)が、前記箱型プロファイルサポート(18)に沿って延びる縦溶接継ぎ目(44)を介して、前記箱型プロファイルサポート(18)と溶接され、前記ベルト(20,22)または前記側壁(24,26)が、充填継ぎ目としての前記縦溶接継ぎ目(44)を配置するための切り取り部(46)を備えていることを特徴とするマストアーム。
【請求項2】
前記縦溶接継ぎ目(44)が、前記ベルト(20,22)と前記側壁(24,26)との間の結合領域内で前記縦軸線方向に延びていることを特徴とする、請求項1に記載のマストアーム。
【請求項3】
前記隔壁パネル要素(28)が、前記箱型プロファイルサポート(18)の縁から該箱型プロファイルサポート(18)の前記中空横断面側へ突出する溶接連結板(32)を備えた平らな隔壁パネル(30)から形成されていること、前記縦溶接継ぎ目(44)がそれぞれ1つの溶接連結板(32)に設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のマストアーム。
【請求項4】
前記溶接連結板(32)が、前記隔壁パネル(30)の上側エッジ部分および下側エッジ部分に、好ましくは前記箱型プロファイルサポート(18)の縦軸線両側溶接されていることを特徴とする、請求項3に記載のマストアーム。
【請求項5】
前記隔壁パネル(30)が、好ましくは対角線方向突張り部(38)を介して前記箱型プロファイルサポート(18)の前記縁の領域に係合する隅角部(36)を有していること、各隅角部(36)に1つの前記溶接連結板(32)が配置されていることを特徴とする、請求項3または4に記載のマストアーム。
【請求項6】
好ましくはT字状に形成される前記溶接連結板(32)が、前記隔壁パネル(30)から両側へ突出している、前記箱型プロファイルサポート(18)との溶接のための結合細条部(42)を有していることを特徴とする、請求項3から5までのいずれか一つに記載のマストアーム。
【請求項7】
前記溶接連結板(32)が、前記ベルト(20,22)または前記側壁(24,26)に対し面当接している基面(45)を有していることを特徴とする、請求項3から6までのいずれか一つに記載のマストアーム。
【請求項8】
それぞれ1つの前記ベルト(20,22)と1つの前記側壁(24,26)とが、結合領域において、前記縦溶接継ぎ目(44)を覆っている覆い継ぎ目(50)によって互いに溶接されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載のマストアーム。
【請求項9】
前記箱型プロファイルサポート(18)が、少なくとも1つの折り曲げ部分(16)において折り曲げられていること、前記折り曲げ部分(16)が隔壁パネル要素(28)によって補強されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一つに記載のマストアーム。
【請求項10】
互いに枢着結合されてコンクリート搬送管を保持するための複数のマストアームを備えた分配マストにおいて、少なくとも1つのマストアーム(10)が請求項1からまでのいずれか1つの請求項に従って構成されている分配マスト。
【請求項11】
コンクリート分配マスト用マストアーム(10)を製造する方法であって、下ベルト(22)と上ベルト(20)と2つの側壁(24,26)とを互いに結合させて長方形の閉じた長尺の箱型プロファイルサポート(18)を形成させ、その際少なくとも1つの隔壁パネル要素(28)を前記箱型プロファイルサポート(18)の中空横断面に設置するようにした前記方法において、
前記隔壁パネル要素(28)を、前記箱型プロファイルサポート(18)に沿って延びる縦溶接継ぎ目(44)を介して、前記箱型プロファイルサポート(18)と溶接し、前記ベルト(20,22)または前記側壁(24,26)に、充填継ぎ目としての前記縦溶接継ぎ目(44)を配置するための切り取り部(46)を備えさせることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記隔壁パネル要素(28)を、平らな隔壁パネル(30)と、前記箱型プロファイルサポート(18)の縁から該箱型プロファイルサポート(18)の前記中空横断面側へ突出するように前記隔壁パネル(30)の縁側に取り付けられる溶接連結板(32)とから予め作製し、そして該溶接連結板(32)に設けたそれぞれ1つの前記縦溶接継ぎ目(44)を介して、前記ベルト(20,22)と前記側壁(24,26)との間の結合領域において前記箱型プロファイルサポート(18)内に固定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記縦溶接継ぎ目(44)を、1つの前記側壁(24,26)を1つの前記ベルト(20,22)と結合させるための覆い継ぎ目(50)によって覆うことを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に、下ベルトと、上ベルトと、これらベルトを結合させている2つの側壁とから形成され、縦軸線に沿って長尺に延びている箱型プロファイルサポートと、長方形に閉じた前記箱型プロファイルサポートの中空横断面内に配置されている少なくとも1つの隔壁パネル要素とを備えたコンクリート分配マスト用マストアームに関するものである。本発明はさらにこのようなマストアームの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、互いに枢着結合される複数のマストアームを備えたコンクリート搬送管用担持体としてのコンクリート分配マストを開示しており、複数のマストアームは1つの閉じた箱型のプロファイルを有している。この場合、複数のマストアームは1つの箱型プロファイルを有し、少なくとも1つのマストアームは、内部空間を横方向に貫通する隔壁を含んでいる。この特許文献1からは、箱型パネルの固定または組み立てに関してはこれ以上のことは明らかでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第19644410A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この点から出発して、本発明の課題は、技術水準で知られているこの種の生産物および方法をさらに改善して、簡単で正確に製造可能で、耐荷重性のある、特にコンクリート分配マスト用のマストアームの構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するため、独立請求項に記載した構成要件の組み合わせが提案される。本発明の有利な構成および更なる構成は従属項から明らかである。
【0006】
本発明は、横溶接継ぎ目による切欠き効果を回避するという思想から出発している。これに対応して、本発明によれば、隔壁パネル要素が、箱型プロファイルサポートに沿ってその縦軸線方向に延びる縦溶接継ぎ目を介して、箱型プロファイルサポートと溶接され、ベルトまたは側壁が、充填継ぎ目としての縦溶接継ぎ目を配置するための切り取り部を備えていることが提案される。これによって好ましい溶接技術処理を保証でき、アームの荷重方向に対し横方向に延びる溶接継ぎ目が切欠きのようにアームに作用することなく、隔壁パネルの補強作用を活用することができる。同時に、これにより、パネル厚の減少とともに、アームの耐荷重性または支持強度およびねじり剛性をも向上させることができる。
【0007】
有利な実施態様によれば、縦溶接継ぎ目は、ベルトと側壁との間の結合領域内で縦軸線方向に延びており、その結果組み立ても容易になる。
【0008】
隔壁パネル要素が、箱型プロファイルサポートの縁から該箱型プロファイルサポートの中空横断面側へ突出する溶接連結板を備えた平らな隔壁パネルから形成され、且つ縦溶接継ぎ目がそれぞれ1つの溶接連結板に設けられていることによって、長尺の溶接継ぎ目結合部を簡素化させることができる。
【0009】
固定結合を可能にするため、溶接連結板が、隔壁パネルの上側エッジ部分および下側エッジ部分に、好ましくは箱型プロファイルサポートの縦軸線両側溶接されているのが有利である。
【0010】
更なる改善は、隔壁パネルが、好ましくは対角線方向突張り部を介して箱型プロファイルサポートの縁の領域に係合する隅角部を有していること、且つ各隅角部に1つの溶接連結板が配置されていることによって達成できる。
【0011】
好ましくはT字状に形成される溶接連結板が、隔壁パネルから両側へ突出している、箱型プロファイルサポートとの溶接のための結合細条部を有し、且つ溶接連結板が、ベルトまたは側壁に対し面当接している基面を有していれば、構造的な点でも有利である。
【0013】
それぞれ1つのベルトと1つの側壁とが、結合領域において、縦溶接継ぎ目を覆っている覆い継ぎ目によって互いに溶接されていても好ましい。この場合、覆い継目は縦溶接継目とダイレクトに接触または融着している。これにより、縦溶接継目は、通常設けられているベルトと側壁とを結合させる担持溶接継目と重なることができる。
【0014】
特に、省スペースでしかも高支持力のアーム構造にとっては、箱型プロファイルサポートが、少なくとも1つの折り曲げ部分において折り曲げられ、且つ折り曲げ部分が隔壁パネル要素によって補強されていれば、有利である。
【0015】
本発明の対象は、互いに枢着結合されてコンクリート搬送管を保持するための複数のマストアームを備えた分配マストにおいて、少なくとも1つのマストアームが本発明に従って構成されている分配マストにも関わる。
【0016】
冒頭で述べた課題は、方法に関しては、隔壁パネル要素を、箱型プロファイルサポートに沿って延びる縦溶接継ぎ目を介して、箱型プロファイルサポートと溶接し、ベルトまたは側壁が、充填継ぎ目としての縦溶接継ぎ目を配置するための切り取り部を備えさせることによって解決される。
【0017】
更なる有利な解決手段は、隔壁パネル要素を、箱型プロファイルサポートの縁から該箱型プロファイルサポートの中空横断面側へ突出する溶接連結板を備えた溶接連結板から予め作製し、そして該溶接連結板に設けたそれぞれ1つの縦溶接継ぎ目を介して、ベルトと側壁との間の結合領域において箱型プロファイルサポート内に固定することにある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次に、図面に図示した実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。
図1】隔壁パネルを組み込んだコンクリート分配マスト用マストアームの透過斜視図である。
図2図1のマストアームの隔壁パネル部分の部分拡大図である。
図3】上ベルトを結合させる際の隔壁パネル部分の折り曲げ斜視図である。
図4】組み込まれた隔壁パネルの領域でのマストアームの部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示したマストアーム10は、枢着端部12,14を介して、コンクリート搬送管を誘導するための屈曲マストとして他のマストアームと結合させることができ、この場合アーム折り曲げ領域16はアームパケットを省スペースに折り畳むことを可能にする。マストアーム10は、縦軸線に沿って長尺に延びている箱型プロファイルサポート18を有し、箱型プロファイルサポート18は、上ベルト20と、下ベルト22と、2つの側壁24,26とから、横断面にて長方形に組み立てられている。折り曲げ領域16には、透明に図示した箱型プロファイルサポート18の中空横断面内に補強用の隔壁パネル要素28が配置されている。
【0021】
図2から最も明らかなように、各隔壁パネル要素28は、基本形状が長方形の平らな1つの隔壁パネル30と、隅角領域において縁側へ突出している4つの溶接連結板32とから成っている。
【0022】
隔壁パネル30は軽量化のために繰り抜き部34を備えており、この場合溶接連結板32を備えている隅角部36は、対角線方向突張り部38を介して結合を維持され、その結果箱型プロファイルサポート18の平行四辺形ずれが阻止される。
【0023】
T字状に形成されている溶接連結板32は、そのベース脚部において、周回するように延在する溶接継ぎ目40を介して隔壁パネル30のエッジ部分と固定結合されている。溶接連結板32の、隔壁パネル30の両側で横方向に突出している結合細条部42は、以下に詳細に述べるように、サポート縦軸線の方向に延在している縦溶接継ぎ目44を介して箱型プロファイルサポート18と結合させることを可能にする。この場合、縦溶接継ぎ目44はそれぞれ1つのベルト20,22と1つの側壁24,26との間の結合領域内にある。組立状態では、溶接連結板32はその自由基面45でもってベルト20,22に対し面当接する。
【0024】
次に、図3および図4を用いて箱型プロファイルサポート18の製造または組み立てについて説明する。隔壁パネル要素28は、隔壁パネル30を平鉄材から裁断し、これに溶接連結板32を溶接することにより、予め別個に作製する。更なる方法ステップで、ベルト20,22のエッジ側に、縦溶接継ぎ目44を配置するための切り取り部46を備えさせる。箱型プロファイルサポート18の仕上げの際、まず下ベルト26と両側壁24,26とを互いに溶接させるとともに、位置調整された箱型パネル要素28とも溶接させる。この場合、箱型パネル要素28は組立の際の寸法安定性の用をも成すことができる。次に、上ベルト20を矢印48の方向に載置して固定させることができる。
【0025】
溶接連結板32の領域に、それぞれ縦溶接継ぎ目44を充填継ぎ目として外側からベルト切り取り部分46に挿入する(図4)。次に、側壁24,26と上ベルト20との溶接結合を結合継ぎ目50を介して行う。結合継ぎ目50は、エッジ領域において側壁24,26の縁側突出部に沿って上ベルト20上方に延在し、縦溶接継ぎ目46を切り取り部46の領域において覆う。溶接継ぎ目44,50は下ベルト22においても対応的に配置されていてよい。このように、組立のために箱型プロファイルサポート18内部での溶接作業は必要ない。また、横溶接継ぎ目の結果としての切欠き効果が回避される。
図1
図2
図3
図4