【文献】
シランカップリング剤 A Guide to Silan Solutions,東レ・ダウコーニング株式会社,2008年10月,p.15,URL,http://www.dowcorning.co.jp/ja_JP/content/japan/japanproducts/Z003_silane_coupling_agents.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記担体が、芳香族または脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、油脂化学的に誘導された油、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、シリコーン油、水、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア配合物。
【背景技術】
【0002】
良好の感覚的感触、すなわち、柔らかさおよび滑らかさは、フェースケア製品、ボディケア製品、ハンドケア製品、日焼け止め、制汗用化粧品、デオドラント、着色化粧品、およびフェース/ハンド/ボディ洗浄剤を含む洗い流さないタイプ(リーブオンタイプ)および洗い流すタイプ(リンスオフタイプ)のスキンケア製品の両方に必要とされる。この必要性に対処するために、カチオン性界面活性剤(これは「カチオン性第四級化合物」としても知られる、第四級アンモニウム官能基を有するカチオン性化合物である)およびシリコーン油(これは典型的には、有機側鎖を有するポリシロキサンである)などの多くの感覚増強剤が開発されている。カチオン性第四級化合物およびシリコーン油は、通常、スキンケア配合物中でそれらの感覚的感触特性を改善するために使用される。しかしながら、高レベルのカチオン性第四級化合物は、皮膚上で刺激を引き起こし、シリコーン油は、消費者の要求を満たすのに十分な感覚的有益性を提供しない。
【0003】
カチオン性第四級化合物およびシリコーン油の代替品として開発されたシリコーンエラストマーは、スキンケア配合物中で使用される最適な感覚調節剤の1つであると現在考えられている。シリコーンエラストマーの独特な構造(すなわち、シリコーン油中で膨潤した緩く架橋されたシリコーンポリマー)および大きな粒径のために、シリコーンエラストマーは、シリコーン流体またはカチオン性第四級化合物のいずれとも異なる皮膚感触を有する。これらの感触は、「ベルベット状感触」、「粉末状感触」、「滑らかな感触」、および「クッション感触」として説明されている。さらに、これらの皮膚感触は、配合物中の溶媒の量、したがって膨潤の程度を制御することによって、調節することができる。一般的に、これらの柔らかなエラストマー粒子の不規則な形状は、皮膚に明確に区別される感触を与える。
【0004】
しかしながら、シリコーンエラストマーの主な欠点は、高コストおよび他の溶媒との制限された相溶性である。その結果として、シリコーンエラストマーは、大衆消費市場へのそれらの広範囲な用途を妨げる前述の欠点と共に、限られた高価な最終スキンケア製品になる可能性がある。処置された皮膚表面上の不必要な沈着および環境持続性のために、シリコーンの使用の減少へと向かう現代の傾向もある。シリコーン油に匹敵する性能を有する新しい材料および配合物を製造するための技術の欠如は、高生産量かつ高需要のパーソナルケア市場への新しいパーソナルケア製品の参入を制限している。
【0005】
国際特許出願公開第WO2011034836A1号は、シラン官能化ポリオレフィンポリマー(特に、ビニルトリメトキシシラングラフト化ポリエチレン(PE−g−VTMS))を含む安定な熱可塑性組成物のための出発材料を、溶融成形プロセス中に混合し、インサイチュで反応させ、これによって成形後の外部熱または水分の必要性を回避する、3wwにおけるプロセスによって、溶融成形物品、例えば、ワイヤおよびケーブル構成要素を製造するためのプロセスを記載している。これらのPE−g−VTMSを含有する熱可塑性組成物で作製された物品は、このような物品を製造するために以前に使用された他の材料と比べて、シリカ含有相とポリオレフィン相との間でより大きな相溶性を有する。
【0006】
米国特許出願公開第US2009/0214455A1号は、2つの化合物を塗布することによって形成される、ケラチン材料をコーティングするための組成物を開示しており、この2つの化合物の少なくとも一方がシリコーン化合物であり、これらは互いに反応することが可能である。得られた組成物は、ケラチンへの良好な接着および良好な生体適合性、すなわち、改善された感触ならびに低臭気を有する。
【0007】
日本特許第2008174571A号は、触媒の存在下でSi−H結合を含有するシリコーンによるオレフィンの付加反応によって製造されたシリコーン変性オレフィンワックスを含有する化粧品化合物を開示し、このオレフィンワックスは、エチレン−ジエンコポリマーおよびエチレン−C
3−12−オレフィン−ジエンコポリマーを含む。これらの化粧品は、良好な塗布性、撥水性、使用感触、保存安定性を有し、柔らかさ、滑らかさ、エモリエント効果、ならびに光沢を皮膚および毛髪に与えることが示された。
【0008】
米国特許第7,863,361号は、パーソナルケア用途のためのシリコーンポリマーとアルキルトリシロキサンとの組み合わせを含むシリコーン系組成物を開示しており、これは所望の範囲の粘度を維持しつつ、低固体分を有するシリコーン組成物を提供する。
【0009】
本発明は、上述のシリコーン変性ポリオレフィンの変型を使用することによって、改善された感覚的感触を有しつつ、同時に皮膚上の塗布性および非粘着性感触を含む他の所望の特性を維持するパーソナルケア配合物を提供する上での問題に対処する。このようなエラストマーポリマーは、担体流体中で膨潤されまたは溶解され、柔らかで、シルキーな、および滑らかな感触を有し、皮膚上で容易に広げることができ、べたつきがない配合物を生成することができる。このような配合物は、感覚的な性能に対処するためのより良いコストおよび改善された配合物相溶性を提供し、それらを大量販売用に経済的および技術的に実行可能なスキンケア代替品にする。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、シラン官能化ポリオレフィンおよび溶媒を含む、パーソナルケア配合物を提供する。シラン官能化ポリオレフィンは、1つ以上のC
2−C
40オレフィン、または1つ以上のC
2−C
20オレフィン、または1つ以上のC
2−C
10オレフィン、好ましくは1つ以上のC
2−C
8オレフィンなどの1つ以上のポリオレフィンモノマーから誘導された重合単位と、少なくとも1つの重合可能なシランとを含む。シラン単位は、シラン官能化ポリオレフィンを形成するために、オレフィンと共重合されていてもよく、またはポリオレフィンポリマーに引き続いてグラフトされていてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、パーソナルケア配合物は、シラン官能化ポリオレフィンとは異なる1つ以上のポリオレフィンをさらに含んでもよい。
【0025】
パーソナルケア配合物の感覚的感触を改善するための方法も本発明によって提供され、本方法は、少なくとも1つのシラン官能化ポリオレフィンをパーソナルケア配合物中に含めることを含む。
【0026】
本発明はまた、身体を処置するための方法を提供し、本方法は、上記記載のパーソナルケア配合物を身体に外側から塗布することを含む。
【0027】
以下の用語、フレーズおよび意味が以降使用される。
【0028】
本明細書で使用される「周囲条件」および同類用語は、物品の周囲領域または環境の温度、圧力および湿度を意味する。典型的なオフィスビルまたは実験室の周囲条件は、23℃の温度および大気圧を含む。
【0029】
反対のことを述べない限り、前後関係から暗に示されない限り、または当該技術分野において慣用的でない限り、全ての部およびパーセントは、重量に基づき、全ての試験法は本開示の出願日付現在のものである。米国特許実務の目的で、任意の参照された特許、特許出願または公開の内容は、特に合成技術、用語の定義(本開示において具体的に提供された任意の定義と矛盾しない限りで)、および当該技術分野における一般的な知識に関して、その全体が参照により組み込まれる(またはその等価なUSバージョンも参照により組み込まれる)。
【0030】
本開示における数値範囲は近似であり、したがって、特に指示がない限り、数値範囲は、範囲の外側にある値を含んでもよい。数値範囲は、少なくとも2つの単位の離隔が任意のより低い値と任意のより高い値との間に存在するという条件で、1単位の増分量において、より低い値とより高い値からのおよびこれらを含むすべての値を含む。例として、例えば分子量、粘度、メルトインデックス、その他などの組成上の特性、物理的な特性または他の特性が、100〜1,000であるならば、例えば100、101、102等の全ての個々の値、および例えば100〜144、155〜170、197〜200等のサブ範囲が明示的に列挙される。1未満である値を含有するまたは1を超える小数を含有する範囲(例えば、1.1、1.5等)については、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。10未満の1桁の数字を含有する範囲(例えば、1〜5)については、1単位は、典型的には0.1であると考えられる。これらは具体的に意図されるものの例に過ぎず、列挙された最低値と最大値との間の数値の全ての可能な組み合わせが、本開示において明確に記載されると考えられる。数値範囲は、数ある中でも、組成物の成分量および種々のプロセスパラメータに対して、本開示内で提供される。
【0031】
「ポリマー」は、同一のタイプであろうと異なるタイプであろうと、モノマー、ならびにオリゴマーおよび他のポリマーを反応させることによって(すなわち、重合することによって)調製される化合物を意味する。したがって、一般的な用語ポリマーは、通常、ただ1つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される用語「ホモポリマー」を包含し、用語「コポリマー」および「インターポリマー」は、2つまたはそれ以上の異なるタイプのモノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーの重合によって調製されたポリマーである。関連技術分野における当業者であれば容易に認識されるように、オリゴマーは、単に小さなポリマーであり、すなわち、小さな数(すなわち、2〜100,000)の反復モノマー単位を有するポリマーである。
【0032】
本明細書ではアルケンまたはアルケンモノマーとも呼ばれる「オレフィン」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する不飽和化学化合物であり、この最も簡単なものは、一般式C
nH
2nに一致し、式中nは、正のゼロ以外の整数である。
【0033】
以降で使用されるフレーズ「から誘導された重合単位を含む」は、ポリマーをその構成モノマーの点から説明している。例えば、ポリオレフィンから誘導された重合単位を含むポリマーは、ポリマーが、少なくとも1つのオレフィンモノマーの重合反応から形成されたことを意味する。
【0034】
「ポリオレフィン」は、少なくとも1つのタイプのオレフィン、典型的には、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等のC
2−C
10オレフィンから誘導された単位を含有するポリマーである。例えば、ポリエチレンは、エチレンモノマーから誘導された単位を含有するポリマーであり、典型的には、少なくとも50モルパーセント(50mol%)の、エチレンから誘導された単位を含む。同様に、ポリプロピレンは、プロピレンモノマーから誘導された単位、典型的には少なくとも50mol%のプロピレンを含有する。
【0035】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」等の用語は、2つまたはそれ以上のポリマーのブレンドを意味する。このようなブレンドは混和性であってもよく、混和性でなくてもよい。このようなブレンドは、相分離されていてもよく、または相分離されていなくともよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知の他の方法から決定される1つ以上のドメイン構成を含有してもよく、または含有しなくてもよい。
【0036】
「架橋」は、ポリマーが、ポリマーの官能基と同一のポリマー内の他の官能基または他の官能化ポリマーの官能基との間の反応および結合を誘導する処置(例えば、熱、フリーラジカルの存在、光、水への曝露等)を受けているか処置に曝露されていることを意味する。さらには、「架橋」ポリマーとみなされるためには、ポリマーは、他の官能基と反応させたその官能基の全てを、またはそのほとんどでも有する必要があるわけではない。実際、本発明の目的のために、少なくとも5モル%の反応させたまたは結合した官能基などの非常に少量な部分のみを有するポリマーも架橋されているとみなされる。
【0037】
「架橋性」は、ポリマーがまだ架橋または結合されてはいないが、このような処置(例えば、水への曝露、加熱等)を受けるまたは処置に暴露される際に架橋を生じるまたは促進することになる官能基を含むことを意味する。
【0038】
「組成物」、「配合物」等の用語は、2つまたはそれ以上の成分の物理的混合物もしくはブレンドを意味する。例えば、シラン官能化ポリエチレンにおいては、反応組成物は、反応または重合の前に、少なくとも1つのエチレンポリマー、少なくとも1つのビニルシラン、および少なくとも1つのフリーラジカル反応開始剤を含む物理的混合物である。パーソナルケア製品においては、典型的な配合物は、例えば溶媒もしくは担体、および滑沢剤、充填剤、抗酸化剤等の任意の所望の添加剤を含んでもよい。
【0039】
以降使用される用語「パーソナルケア配合物」は、治療薬もしくは化粧品化合物を皮膚もしくは毛髪に送達させるために、身体への外側からの塗布に好適である化合物もしくは成分の混合物またはブレンドを意味し、これは、クリーム、ゲル、ローション、液剤、スプレー、粉剤、ムースおよび泡剤の形態であってもよい。パーソナルケア配合物は、それらの目的および送達される化合物のタイプに応じて、洗い流さないタイプ(リーブオンタイプ)および洗い流すタイプ(リンスオフタイプ)であってもよい。パーソナルケア配合物から作られる特定の製品としては、限定されないで、デオドラント、制汗用化粧品、および制汗用化粧品/デオドラント;シェービングクリームまたはゲル;スキンローション、保湿剤、およびトナー;浴用石鹸ならびにシャワーソープ、ゲルおよびローション;クレンジング製品;シャンプー、コンディショナー、ムース、スタイリングゲル、ヘアスプレー、毛髪染料、ヘアカラー製品、毛髪脱色剤、ウェーブ製品、縮毛矯正剤、縮毛制御剤、および毛髪ボリューム剤などの毛髪ケア製品;マニキュア、マニキュアリムーバー、爪用クリームならびにローション、表皮軟化剤;日焼け止め、昆虫忌避剤および老化防止製品などの保護クリームならびにスプレー;口紅、ファンデーション、フェースパウダー、アイライナー、アイシャドウ、ブラッシュ、メークアップ、マスカラなどの着色化粧品;同様に香料用の送達ビヒクル、ならびに医薬組成物の皮膚への局所塗布用の送達系が挙げられる。より具体的には、好適なパーソナルケア配合成分の非限定的な例ではあるが、例えば、軟化剤、保湿剤、保水剤、顔料(ビスマスオキシクロリドならびに二酸化チタン被覆のマイカなどの真珠箔顔料を含める)、着色剤、香料、殺生物剤、防腐剤、抗酸化剤、抗菌剤、抗真菌剤、制汗剤、表皮剥離剤、ホルモン、酵素、医薬品化合物、ビタミン、塩、電解質、アルコール、ポリオール、紫外線吸収剤もしくは遮断剤、植物抽出物、界面活性剤、シリコーン油、有機油、ワックス、膜形成剤、増粘剤(例えば、ヒュームドシリカまたはシリカ水和物など)、粒子状充填剤(例えば、タルク、デンプン、変性デンプン、マイカ、ナイロン、粘土(例えば、ベントナイトならびに有機物改良粘土)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
本発明によるシラン官能化ポリオレフィンを含むパーソナルケア配合物を、ここで詳細に説明する。これらのパーソナルケア配合物は、カチオン性第四級化合物およびシリコーン油などの従来の感覚増強剤を含有するパーソナルケア配合物と比べて、改善された感覚的感触、すなわち、柔らかさおよび滑らかさ、ならびに塗布性、非粘着性および吸着性を含める消費者によって望まれる他の特性の程度を有する。
【0041】
シラン官能化ポリオレフィン
「シラン官能化ポリオレフィン」は、シラン官能基を有するポリオレフィンポリマーを意味する。これらはランダムもしくはブロックポリマーであってもよく、および線状もしくは分岐状ポリマーでもよい。シラン官能基は、以降さらに詳細に記載されるように、1つ以上のオレフィンモノマーを少なくとも1つの重合可能なシランと重合した結果、または少なくとも1つの重合可能なシランを既存のポリオレフィンにグラフトした結果のいずれかであり得る。グラフト化は、典型的には、追加のモノマーまたは官能基が既存のポリマーの主鎖に直接結合されていることを意味するものとして、当業者には理解されている。
【0042】
1つ以上のオレフィンモノマーと有効に共重合することになる、または既存のポリオレフィンにグラフトし、もしくはこれらと架橋することになる任意のシランは、本発明のパーソナルケア配合物中に含有されるために好適なシラン官能化ポリオレフィンを合成するために使用することができる。最も広義には、好適なシランは、以下の式1により記載されるものなどの、重合可能な、またはビニルシランである:
【0044】
(式中、R
1は、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、0または1であるが、但し、xが1のとき、yは1であるものとし、mおよびnは、独立して包括的に1〜12の整数、好ましくは1〜4であり、各R’’は独立して、1〜12個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルオキシ基、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、および包括的に1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基からなる群から選択される加水分解性有機基であるが、但し、R’’基のうちの1つよりも多くがアルキルであることはないものとする)。
【0045】
特に、シランのR’’基に好適である1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基としては、例えば、限定せずに、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびペントキシ基が挙げられる。さらに非限定的な例として、好適なアリールオキシ基はフェノキシ基であってもよく、好適なアラルオキシ基は、ベンジルオキシ基であってもよい。シランのR’’基に好適である1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基としては、例えば、限定せずに、ホルミルオキシ、アセチルオキシおよびプロパノイルオキシ基が挙げられる。シランのR’’基に好適な置換アミノ基としては、例えば、限定せずに、アルキルアミノおよびアリールアミノ基が挙げられる。3つのR’’基のうちの1つのみが、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基、すなわち、1つのメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシル基であってもよい。
【0046】
好適なシランは、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルもしくはガンマ−(メタ)アクリルオキシアリル基などのエチレン性不飽和炭化水素基、および例えばヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、もしくはヒドロカルビルアミノ基などの加水分解性基を含む不飽和シランを含む。加水分解性基の例としては、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロプリオニルオキシ、およびアルキルもしくはアリールアミノ基が挙げられる。好ましいシランは、ポリマーにグラフトされ得るまたは他のモノマー(エチレンおよびアクリレートなど)とインリアクター(反応器内)で共重合され得る不飽和アルコキシシランである。これらのシランおよびこれらの調製の方法は、Meverdenらに対する米国特許第5,266,627号により完全に記載されている。ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびこれらのシランの混合物は、本発明における使用に好ましいビニルシランである。
【0047】
本発明の実施において使用される重合可能なシランの量は、ポリマーの性質、シラン、処理またはリアクターの条件、グラフトまたは共重合の効率、最終的用途、および同様な因子に応じて広範囲に変化することができるが、典型的には、少なくとも0.1重量パーセント、好ましくは少なくとも0.5重量パーセントが使用される。便宜性および経済性の配慮は、本発明の実施において使用されるシラン架橋剤の最大量への2つの主要な制限であり、典型的には、シラン架橋剤の最大量は、シラン含有ポリオレフィンの総重量に基づいて、50重量パーセントを超えず、好ましくは、これは15重量パーセントを超えない。
【0048】
少なくとも1つの重合可能なシランと重合し、本発明で有用なシラン官能化ポリオレフィンを形成するオレフィンモノマーは、C
2−20、またはC
2−10、さらにC
2−8のα−オレフィンなどのα−オレフィンであってもよい。さらに、これらは線状、分岐状または環式α−オレフィンであってもよい。線状および分岐状のα−オレフィンの非限定的な例としては、エチレン、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、および1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンはまた、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンをもたらすシクロヘキサンまたはシクルペンタンなどの環式構造を含有してもよい。
【0049】
用語の従来の意味におけるα−オレフィンではないが、本発明の適用上、ノルボルネンおよび関連するオレフィン、特に5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの特定の環式オレフィンは、ポリオレフィン中に含有されるのに好適なα−オレフィンであり、これらは少なくとも50重量パーセントの非環式C
2−20αオレフィンを別に含む。同様に、スチレンおよびその関連するオレフィン(例えば、α−メチルスチレン等)は、本発明の適用上のα−オレフィンである。
【0050】
シラン官能化ポリオレフィンを調製するために使用されるオレフィンモノマーは、シラン官能化ホモポリマーを結果として生じる単一タイプであってもよい。その一方で、複数のタイプのオレフィンモノマーを、重合可能なシランと反応させて、好適なシラン官能化ポリオレフィンを形成してもよい。
【0051】
シラン官能化ポリオレフィンは、高圧法、チーグラー・ナッタ触媒法、メタロセン触媒法、拘束幾何触媒、その他関連技術分野において当業者に既知のものなどの従来のポリオレフィン重合技術を使用して、オレフィンモノマーおよびビニルシランから合成することができる。いくつかの実施形態では、重合は、高圧法を使用して実施されてもよい。さらにいくつかの実施形態では、シラン官能化ポリオレフィンは、溶液、スラリー、または気相重合処理において、アクチベータと組み合わせた、モノ−もしくはビス−シクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニル遷移金属(好ましくは4族)触媒または拘束幾何触媒(CGC)を使用して調製されてもよい。例えば、ビニルトリアルコキシシランと1つ以上のオレフィンモノマーとの共重合は、エチレンホモポリマーおよびビニルアセテートとアクリレートのコポリマーの製造で使用されている高圧リアクター中で行われてもよい。
【0052】
さらに、このような重合は、限定されずに、0〜250℃、好ましくは30〜200℃の温度で、大気圧〜10,000気圧(1013メガパスカル(MPa))の圧力においてなどの当該技術分野において周知の条件で成し遂げることができる。所望の場合、懸濁液、溶液、スラリー、気相、固相の粉末重合または他の処理条件が使用されてもよい。重合反応が触媒される場合、触媒は、担持させまたは未担持にすることができ、支持体の組成は、幅広く変化することができる。シリカ、アルミナまたはポリマー(特に、ポリ(テトラフルオロエチレン)もしくはポリオレフィン)は代表的な支持体であり、触媒が気相重合処理で使用される場合、支持体が使用されることが望ましい。支持体は、1:100,000〜1:10、より好ましくは1:50,000〜1:20、最も好ましくは1:10,000〜1:30の範囲内の触媒(金属に基づく)の支持体に対する重量比を提供するのに十分な量で使用されることが好ましい。大部分の重合反応では、使用される触媒の重合可能な化合物に対するモル比は、10−12:1〜10−1:1、より好ましくは10
−9:1〜10
−5:1である。
【0053】
不活性液体は、重合に好適な溶媒として働くことができる。例としては、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびこれらの混合物などの直鎖ならびに分岐鎖炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびこれらの混合物などの環式ならびに脂環式炭化水素、ペルフルオロ化C
4−10アルカンなどのペルフルオロ化炭化水素、およびベンゼン、トルエン、キシレン、ならびにエチルベンゼンなどの芳香族ならびにアルキル置換芳香族化合物が挙げられる。重合に好適な溶媒の選択は、十分に関連技術分野における当業者の能力の範囲内にある。
【0054】
既に記述したように、本発明のパーソナルケア配合物中に含有されるために好適なシラン官能化ポリオレフィンは、少なくとも1つのビニルシランを既存のポリオレフィンポリマーにグラフトすることによって合成されてもよい。既存のポリオレフィンポリマーは、1つ以上のC
2−20α−オレフィン、または1つ以上のC
2−10α−オレフィン、さらにはC
2−8α−オレフィンなどの1つ以上のオレフィンモノマーから誘導された重合単位を含む。さらに、このポリオレフィンは、1つのタイプのオレフィンモノマーのみを含むホモポリマーであってもよく、またはこれらは、2つまたはそれ以上のタイプのオレフィンモノマーを含むコポリマーであってもよい。既存のポリオレフィンにグラフトするために好ましい部類のビニルシランは、ビニルトリアルコキシシランである。
【0055】
シランの既存のポリオレフィンへのグラフト化は、任意の従来の方法によって、典型的にはフリーラジカル反応開始剤、例えば、過酸化物およびアゾ化合物の存在下で、またはイオン化放射等によって成し遂げることができる。有機過酸化物反応開始剤(例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、およびtert−ブチルペルアセテート)のいずれか1つなどの有機反応開始剤が好ましい。好ましいアゾ化合物は、2,2−アゾビスイソブチロニトリルである。反応開始剤の量は変化することができるが、これは典型的には、少なくとも0.04、好ましくは少なくとも0.06樹脂100重量部(phr)の量で存在する。典型的には、反応開始剤は、0.15phrを越えず、好ましくは、これは0.10phrを越えない。シラン架橋剤の反応開始剤に対する重量比もまた、広範囲に変化することができるが、典型的な架橋剤反応と開始剤の重量比は、10:1〜500:1、好ましくは18:1〜250:1である。樹脂100重量部またはphrで使用される「樹脂」は、オレフィンポリマーを意味する。
【0056】
任意の従来の方法がシラン架橋剤をポリオレフィンポリマーにグラフトするために使用することができるが、1つの特に好適な方法は、Buss混練機などの反応器の押出成形機の最初の段階でこれら2つを反応開始剤とブレンドすることである。グラフト化条件は変化できるが、溶融温度は、反応開始剤の滞留時間および半減期に応じて、典型的には160〜260℃、好ましくは190〜230℃である。
【0057】
多種多様なポリオレフィンが、本発明の好適なグラフトされたシラン官能化ポリオレフィンを合成するために使用することができるが、本発明は、ポリオレフィンとしてのポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーについてここで説明する。関連技術分野における当業者によって理解されるように、他のタイプのポリオレフィンの使用は、本発明に等しく適用可能であり、他のタイプのポリオレフィンが本発明に使用される場合、以下の詳細な説明の多くは、他のタイプのポリオレフィンに教示面で類似して等しく適用可能である。
【0058】
明らかに、エチレンホモポリマーは、本発明における使用に好適なシラン官能化ポリオレフィンを合成するために、前述のグラフト化処理で使用することができる。さらに、コポリマーの総重量に基づいて、少なくとも50重量%のエチレン含量および約15重量%、好ましくは約20重量%、さらにより好ましくは少なくとも約25重量%のα−オレフィン含量を有するエチレン/α−オレフィンコポリマーを使用することができる。これらのコポリマーは、典型的には、コポリマーの総重量に基づいて約50重量%未満の、好ましくは約45重量%未満の、より好ましくは約40重量%未満の、さらにより好ましくは約35重量%未満のα−オレフィン含量を有する。α−オレフィン含量は、Randall(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3))に記載される手順を使用して、
13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル分光法によって測定される。
【0059】
例示のエチレンコポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン等が挙げられる。例示のターポリマーとしては、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)およびエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。このコポリマーはランダムまたはブロックであり得る。
【0060】
本発明の実施で使用されるエチレン系ポリマーは、単独で使用することも、または1つ以上の他のエチレン系ポリマーと組み合わせて(例えば、モノマー組成ならびに含量、調製の触媒法等で互いに異なる2つまたはそれ以上のエチレンポリマーのブレンド)使用することができる。エチレン系ポリマーが2つまたはそれ以上のエチレンポリマーのブレンドであるならば、このときエチレンポリマーは、任意のインリアクター(反応器内)またはポストリアクター(後反応器)処理によってブレンドされることができる。
【0061】
高圧法で製造されるエチレンポリマーの例としては、(限定されるものではないが)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンシランリアクターコポリマー(Dow Chemical Companyによって製造されるSiLINK.RTM.など)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンエチルアセテートコポリマー(EEA)、およびエチレンシランアクリレートターポリマーが挙げられる。
【0062】
シラン官能基でグラフトされ、好適なシラン含有ポリエチレンを生成することができるエチレンポリマーの特定例としては、限定されずに、超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、Dow Chemical Companyによって製造されるFLEXOMERエチレン/1−ヘキセンポリエチレン)、均一分岐線状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Compamy LimitedによるTAFMERならびにExxon Chemical CompanyによるEXACT)、均一分岐実質的線状エチレン/アルファ−オレフィンポリマー(例えば、Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITYならびにENGAGEポリエチレン)、およびエチレンブロックコポリマー(Dow Chemical Companyから入手可能なINFUSEポリエチレン)が挙げられる。より好ましいエチレンポリマーは、均一分岐線状および実質的線状エチレンコポリマーである。実質的線状エチレンコポリマーが特に好ましく、これについては米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、および同第5,986,028号により完全に記載されている。
【0063】
ビニルトリアルコキシシランコモノマーをエチレンポリマー主鎖にグラフトするための方法は、例えば、米国特許第3,646,155号および同第6,048,935号に記載されている。
【0064】
パーソナルケア配合物の調製
得られたシラン官能化ポリオレフィンは、柔らかく、シルキーな、および滑らかな感触を有し、皮膚上で容易に広げることができ、べたつきがないパーソナルケア配合物を生成するために、担体、および任意の他の成分と組み合されてもよい。好適な担体としては、例えば、限定されずに、芳香族または脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、油脂化学的に誘導された油、すなわちヒマワリ油、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、もしくはシリコーン油、または水が挙げられる。
【0065】
このような担体と組み合される場合、シラン官能化ポリオレフィンは、担体中で膨潤し、または溶解することができ、あるいは水中で分散体を生成することもできる。得られたパーソナルケア配合物を含有する製品は、柔らかく、シルキーな、および滑らかな感触を供給し、皮膚上で容易に広げることができ、べたつきがない。これらの製品は、現在使用されているがより高価なシリコーンエラストマーと比べて、感覚性能に対処するためのより良いコストおよび改善された配合物相溶性を提供することが期待される。
【0066】
本発明のパーソナルケア配合物は、粉末、液体、ペレット、オイルゲル、オイルペースト、または水性分散液の形態であってもよい。これは、皮膚軟化剤(炭化水素油、エステル、天然油、シリコーン)、ワックス、感覚調節剤、レオロジー調節剤、保水剤(グリセリン等)、日光遮断有効物質、天然成分、生物活性薬、着色剤、硬質粒子、乳化剤、可溶化剤、および界面活性剤などの他のスキンケア成分と組み合されてもよい。
【0067】
パーソナルケア配合物がオイルゲル/ペーストの形態である場合、その中に含まれる架橋シラン改質ポリオレフィンの量は、典型的には、パーソナルケア配合物の総重量に基づいて、1〜60重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0068】
パーソナルケア配合物が、乳化剤(ローションまたはクリーム)の形態である場合、その中に含まれる架橋シラン改質ポリオレフィンの量は、典型的には、パーソナルケア配合物の総重量に基づいて、0.1〜60重量%、好ましくは1〜40重量%である。
【0069】
パーソナルケア配合物が、水性生成物である場合、その中に含まれる架橋シラン改質ポリオレフィンの量は、典型的には、パーソナルケア配合物の総重量に基づいて、0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。
【実施例】
【0070】
重要用語
PDMS=シリコーンポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)
AFFINITY GA1950=Dow Chemical Companyから入手可能な線状エチレン/1−オクテンポリマー
ENGAGE 7447=DuPont Dow Elastomer LLCから入手可能なエチレンとオクテンとのコポリマー
ENGAGE−g−VTES=DuPont Dow Elastomer LLCから入手可能なビニルトリエトキシシラン(VTES)でグラフトされたエチレンとオクテンとのコポリマー
MWn=分子量、数基準
MWw=分子量、重量基準
【0071】
インサイチュで行われた比較例1(対照)
シリコーンを含まず架橋されていないポリオレフィン
250mlのビーカー中にAFFINITY GA 1950(9g)およびENGAGE 7447(3g)を配置した。このビーカーに、84gのイソヘキサデカン(Permethyl 101A)を添加し、12.5重量%の溶液を生成した。反応器にオーバーヘッド撹拌器、窒素流入口(遅いパージ)を取り付けた。熱制御ホットプレートを使用して、撹拌された懸濁液を120℃に加熱し、全ての固体が溶融し、均一な溶液が得られるまで混合した。加熱を中止し、空気を75〜80℃に冷却しながら撹拌を続け、乳化の際にローション配合物に比例量を添加した(表I参照)。
【0072】
比較例2
2%のPDMS(w/溶媒)で架橋されたシリコーン改質ポリオレフィン油
1Lのケトル反応器中にAFFINITY GA 1950(28.1g)およびENGAGE−g−VTES(8.88g)を配置した。ジャーに322mLのヘキサデカンを添加し、12.5重量%の溶液を生成した。反応器にオーバーヘッド撹拌器、窒素流入口(遅いパージ)および還流冷却器を取り付けた。加熱用マントルを使用して、撹拌された懸濁液を180℃に加熱した。均一溶液を180℃で1時間維持した後に、シラノール末端PDMS(6.0mL、含有したVTMSに対して0.375当量)を、シリンジを介して添加した。撹拌および加熱を90分の時間にわたって継続し、その後反応器の内容物を大型ジャーに注ぎ、滑らかなゲルを生成する周囲温度まで冷却させた。
【0073】
実施例1−本発明
シリコーンを含まない、H
2Oを介して架橋されたシラン改質ポリオレフィン油
1Lのケトル中に、AFFINITY GA 1950(28.1g)およびENGAGE−g−VTES(8.88g)を配置した。ジャーに322mLのヘキサデカンを添加し、12.5重量%の溶液を生成した。反応器にオーバーヘッド撹拌器、窒素流入口(遅いパージ)および還流冷却器を取り付けた。加熱用マントルを使用して、撹拌された懸濁液を180℃に加熱した。均一溶液を180℃で1時間維持した後に、H
2O(5mL)を、シリンジを介して添加した。撹拌および加熱を90分の時間にわたって継続し、その後反応器の内容物を大型ジャーに注ぎ、周囲温度まで冷却させて、滑らかなゲルを生成した。
【0074】
【表I】
【0075】
対称配合物−比較例1のポリオレフィン(シランを含まず、シリコーンを含まず、架橋されていない)
配合物A−比較例2のポリオレフィン(2%のシリコーンで架橋)
配合物B−実施例1のポリオレフィン(シランでグラフトされかつ水で架橋されたポリオレフィン)
【0076】
スキンローション調製の手順
以下の一般的な手順に従い、それぞれが上表1に列挙された成分を含有する3つのスキンケアローションで、上記記載のポリオレフィン(比較例1ならびに2および実施例1)のうちの1つを含むものを生成した。
【0077】
適当なサイズの容器内で、相Iの水を添加し、モデレーター速度で混合を開始し、キサンタンガムを混合しながら水に振りかけ、全ての水和物が粒状物を含まなくなるまで混合し、グリセリンをバッチに添加し、混合しながら75〜80℃に加熱する。
【0078】
別の適当なサイズの容器内で、相IIの成分を混合し(対照配合物については、比較例Iに指示されているPermethyl 101A、Affinity GA 1950およびEngage 7447ELを予備混合し、その後、他の相IIの成分を混合する)、相IIの混合物を、均一な半透明溶液が得られるまで、撹拌しながら75〜80℃に加熱する。
【0079】
75〜80℃において、相IIを適当な速度から高速で混合しながら相Iに添加し、均一なエマルジョンが得られるまで混合し、加熱を止め、混合しながらバッチを空冷する。
【0080】
温度が35℃以下になるとき、相IIIをバッチに添加し、均一になるまで混合し、クエン酸(50%溶液)でpHをpH5.5〜6.5まで調整する。
【0081】
インビトロ官能評価
上記記載のスキンケアローション試料インビトロ官能評価を、自動摩擦計を使用する摩擦分析によって行った。自動コーティング機を使用して、スキンケアローションの薄膜(〜10グラム毎平方メートル)を黒色のレネッタ(lenetta)プラスチックシート上に塗被することによって、摩擦分析用試料を作製した。摩擦測定を摩擦計で行い、ここでは鋼球(3/8インチの直径)が、固定した速度(1mm/秒)および一定の垂直荷重でコーティングの上を引きずられ、側面摩擦力が測定される。それぞれの垂直荷重について2回の測定を実施し、再現性を確認した。垂直力(40〜80gm)は、人がローションを塗布しながら人の皮膚に与える力を広範囲にカバーするよう特に選択された。
【0082】
図は、
H2Oにより架橋されたシラン改質ポリオレフィン(配合物B)、PDMSにより架橋されたシリコーン改質ポリオレフィン(配合物A)、および非架橋ポリオレフィン(対照)を含むスキンケアローションのインビトロ官能試験の性能を示している。試料表面に加えられた垂直力が横軸上にプロットされ、対応する測定された動的摩擦力が縦軸上にプロットされている。より高い摩擦力は、ローションを皮膚に塗布する際に人が感じるより高い抗力に相当する。ローションが粘着性であればおよび/またはローションが塗布しにくければ、より高い抗力であるはずである。動的摩擦力はこれらの因子の両方を捕捉し、したがって、非粘着性で塗布が容易なスキンケアローションは、より低い摩擦力を呈さねばならない。
【0083】
プロットは、(水または官能化シリコーンのいずれかによって)架橋されたポリオレフィンが、複数の垂直荷重で、非架橋ポリオレフィンよりも低い摩擦力を呈することを示している。このより低い摩擦力は、架橋ポリオレフィン試料が、非架橋ポリオレフィンローション試料よりも粘着性が少なく、より滑らか/より研磨性があり、広げることがより容易であることを示唆している。