特許第6357487号(P6357487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357487安定化ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープ(ENV)トリマーワクチン及びそれを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357487
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】安定化ヒト免疫不全ウイルス(HIV)エンベロープ(ENV)トリマーワクチン及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/155 20060101AFI20180702BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 39/21 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20180702BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20180702BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20180702BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20180702BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20180702BHJP
【FI】
   C07K14/155ZNA
   C12N15/63 Z
   A61K39/21
   A61K39/39
   A61K35/76
   A61K35/761
   A61P31/18
   !C12P21/02 C
【請求項の数】18
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2015-551842(P2015-551842)
(86)(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公表番号】特表2016-503819(P2016-503819A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(86)【国際出願番号】US2014010543
(87)【国際公開番号】WO2014107744
(87)【国際公開日】20140710
【審査請求日】2016年11月8日
(31)【優先権主張番号】61/749,737
(32)【優先日】2013年1月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】303036197
【氏名又は名称】ベス イスラエル デアコネス メディカル センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】バロウシュ,ダン,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】コロラ,ジョーセフ
【審査官】 藤井 美穂
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−509340(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0045472(US,A1)
【文献】 PNAS,2008年,Vol.105, No.10,pp.3739-3744, Supporting Information
【文献】 PNAS,2012年,Vol.109, No.30,pp.12111-12116
【文献】 Journal of Virology,2014年 6月,VOl.88, No.17,pp.9538-9552
【文献】 DEFINITION: RecName: Full=Envelope glycoprotein gp160; AltName: Full=Env polyprotein; Contains: RecName: Full=Surface protein gp120; Short=SU; AltName: Full=Glycoprotein 120; Short=gp120; Contains: RecName: Full=Transmembrane protein gp41; Short=TM; AltName: Full=Glycoprotein 41; Short=gp41; Flags: Precursor.,Database DDBJ/EMBL/GenBank [online], Accessin No.P35961, 28-NOV-2012 uploaded, [retrieved on 2017-09-20],<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/544246?sat=16&satkey=15199769>
【文献】 Retrovirology,2012年,Vol.9, No.Suppl.2,#P299
【文献】 Journal of Virology,2002年,Vol.76, No.9,pp.4634-4642
【文献】 Journal of Virology,2010年,Vol.84,pp.3270-3279
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00 − 7/08
C12N 15/00 − 15/90
UniProt/GeneSeq
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
CAplus/WPIDS/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三つのgp140ポリペプチドを含む安定化トリマーであって、前記gp140ポリペプチドのそれぞれが、配列番号2のアミノ酸30〜724を含むアミノ酸配列を含む、前記安定化トリマー。
【請求項2】
請求項1に記載の安定化トリマーを含む組成物。
【請求項3】
一以上の異なる安定化トリマーをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記一以上の異なる安定化トリマーが三つのgp140ポリペプチドを含み、これらのgp140ポリペプチドのそれぞれが、配列番号3と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号3の配列を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記一以上の異なる安定化トリマーが三つのgp140ポリペプチドを含み、これらのgp140ポリペプチドのそれぞれが、配列番号3のアミノ酸30〜708を含むアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤をさらに含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
アジュバントをさらに含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか一項に記載の組成物を含むワクチン。
【請求項9】
少なくとも一つのgp140ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記gp140ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸30〜724を含むアミノ酸配列を含む、前記核酸分子。
【請求項10】
少なくとも一つのgp140ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記gp140ポリペプチドが、配列番号2を含むアミノ酸配列を含む、前記核酸分子。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項12】
それを必要とする被験者においてHIV感染を治療し、又はそのリスクを低減するのに用いるための組成物であって、有効量の請求項8に記載のワクチンを含む、前記組成物。
【請求項13】
HIVが感染した被験者においてHIV媒介活性を低減するのに用いるための組成物であって、有効量の請求項8に記載のワクチンを含む、前記組成物。
【請求項14】
前記ワクチンが、初回免疫ワクチンの投与後の追加免疫としての投与のために製剤化され、該初回免疫ワクチンが、配列番号6と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする第一の核酸分子を含む第一のベクターを少なくとも含み、及び任意に配列番号7と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする第二の核酸分子を含む第二のベクターを含む、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
それを必要とする被験者におけるHIV感染を治療し、又はそのリスクを低減するためのワクチンの生産方法であって、
(a)請求項11に記載のベクターを細胞とin vitro又は生体外で接触させるステップ、及び
(b)前記少なくとも一つのgp140ポリペプチドを発現させて、前記細胞において安定化トリマーを形成させるステップ
を含む、前記方法。
【請求項16】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
安定化gp140ポリペプチドトリマーを組換え生産する方法であって、
(a)gp140ポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子をin vitro又は生体外で真核細胞で発現させて、前記細胞において前記gp140ポリペプチドの安定化トリマーを形成させるステップであって、前記gp140ポリペプチドが配列番号2を含むアミノ酸配列を含むステップ、及び
(b)前記安定化gp140ポリペプチドトリマーを単離するステップ
を含む、前記方法。
【請求項18】
それを必要とする被験者におけるHIVに対する抗体応答を誘導するための免疫原組成物を製造することをさらに含む、請求項17に記載の方法であって、
(c)単離された安定化gp140ポリペプチドトリマーを、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤と製剤化して免疫原組成物を形成するステップ
をさらに含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府によって資金援助された研究に関する声明
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)/アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)によって与えられた助成金番号AI096040及びAI084794の下で政府のサポートによりなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスに対する細胞免疫応答を惹起するワクチンは、ウイルス感染を効率的に処置又は予防するために、世界のウイルス多様性を反映するよう努めている。HIVワクチンについては、強く多様なヒト免疫不全ウイルス(HIV)特異的T細胞応答が、有効なHIVワクチンにとって望ましい。非常に可変的なエンベロープタンパク質(Env)は、HIVに対する中和抗体の主要な標的であり、したがって、ワクチン抗原は、これらの抗体反応を惹起するために仕立てられ得る。この目的のために、天然のHIVビリオンのEnvのトリマー構造を模倣する免疫原が、抗体ベースのHIVワクチンとして、活発に探求されている。しかしながら、多様な中和抗体反応を惹起する生化学的に安定なトリマーEnv免疫原を生産するのは困難であることが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、ワクチン開発のための分野において、よりうまくいくHIV免疫結果を可能とするために、広い中和抗体反応を惹起し得る新規な、最適化されたトリマーEnv免疫原をはじめとする、満たされていない要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の態様では、本発明は、三つのgp140ポリペプチドを有する安定化トリマーであって、該gp140ポリペプチドの少なくとも一つ(例えば二つ又はそれぞれ)が、配列番号2(mEnv+)と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号2の配列を含む、前記安定化トリマーを特徴とする。
【0005】
関連する第二の態様では、本発明は、三つのgp140ポリペプチドを有する安定化トリマーであって、ここで該gp140ポリペプチドの少なくとも一つ(例えば二つ又はそれぞれ)が、配列番号1(mEnv)又は配列番号3(cEnv)の配列を実質的に(例えば99%以上の同一性を)有するアミノ酸配列、又は配列番号1若しくは3の配列を含む、前記安定化トリマーを特徴とする。
【0006】
幾つかの実施形態では、安定化トリマーはヘテロトリマーである。安定化ポリペプチドヘテロトリマーは、それぞれが配列番号1又は2と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号1若しくは2の配列を含む、二つのモザイクEnv1 gp140ポリペプチド(例えば、mEnv及び/又はmEnv+)、並びに配列番号3と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号3の配列を含む、一つのクレードC Env gp140ポリペプチド(例えば、配列番号3を有する「cEnv」)(例えば、二つのmEnv及び一つのcEnv;二つのmEnv+及び一つのcEnv;又は一つのmEnv、一つのmEnv+、及び一つのcEnv)を含み得る。他の実施形態では、安定化ヘテロトリマーは、配列番号1又は2と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号1若しくは2の配列を含む、一つのモザイクEnv1 gp140ポリペプチド(例えば、mEnv及び/又はmEnv+)、並びにそれぞれが配列番号3と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号3の配列を含む、二つのクレードC Env gp140ポリペプチド(例えば、cEnv)(例えば、一つのmEnv及び二つのcEnv;一つのmEnv+及び二つのcEnv)を含み得る。幾つかの実施形態では、安定化ヘテロトリマーは、二つの異なるモザイクEnv1配列の組合せ(例えば、一つのmEnv及び二つのmEnv+;二つのmEnv及び一つのmEnv+;又は一つのmEnv、一つのmEnv+、及び一つのcEnv)を含む。幾つかの実施形態では、安定化ヘテロトリマーは、cEnv及び二つの同じEnv1ポリペプチド(例えば、二つのmEnv及び一つのcEnv;二つのmEnv+及び一つのcEnv)を含む。他の実施形態では、安定化ヘテロトリマーは、一つのcEnv及び二つ異なるモザイクEnv1ポリペプチド(例えば、一つのcEnv、一つのmEnv、及び一つのmEnv+)を含む。さらに他の実施形態では、安定化ヘテロトリマーは、二つのcEnvポリペプチド及び一つのモザイクEnv1ポリペプチド(例えば、二つのcEnv及び一つのmEnv;又は二つのcEnv及び一つのmEnv+)を含む。
【0007】
あるいは、トリマーにおいて、gp140 Envポリペプチドの一つ又は二つが、配列番号4(モザイクgp140 Env2、「mEnv2」)又は配列番号5(モザイクgp140 Env3「mEnv3」)の配列を有する、安定化gp140 Envトリマーが調製され得る。他の実施形態では、前記安定化トリマーは、gp140 Envポリペプチドの少なくとも一つ(例えば、二つ又はそれぞれ)が、配列番号4又は5と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号4若しくは5の配列を含む、三つのgp140ポリペプチドを有する。好ましくは、mEnv2又はmEnv3は、本明細書で以下に記載する様に、それぞれトリマー形成ドメインを有するmEnv、mEnv+、又はcEnvと同様の方法で改変される。したがって、本発明の幾つかの実施形態では、以下の成分ポリペプチドを有する安定化gp140 Envトリマーが調製され得る:一つのmEnv及び二つのmEnv2;二つのmEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv+及び二つのmEnv2;二つのmEnv+及び一つのmEnv2;一つのcEnv及び二つのmEnv2;二つのcEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv、一つのmEnv+、及び一つのmEnv2;一つのmEnv、一つのcEnv、及びmEnv2;一つのmEnv+、一つのcEnv、及び一つのmEnv2;一つのmEnv及び二つのmEnv3;二つのmEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv+及び二つのmEnv3;二つのmEnv+及び一つのmEnv3;一つのcEnv及び二つのmEnv3;二つのcEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのmEnv+、及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのcEnv、及びmEnv3;一つのmEnv+、一つのcEnv、及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのmEnv2、及び一つのmEnv3;一つのmEnv+、一つのmEnv2、及び一つのmEnv3;又は一つのcEnv、一つのmEnv2、及び一つのmEnv3。
【0008】
第三の態様では、本発明は、第一又は第二の態様の安定化トリマーを含む組成物を特徴とする。一実施形態では、第三の態様の組成物は、一以上の異なる安定化トリマーを含む。他の実施形態では、異なる安定化トリマーは、gp140ポリペプチドの少なくとも一つ(例えば、二つ又はそれぞれ)が、配列番号1、2、3、4、又は5と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号1、2、3、4、若しくは5の配列を含む、三つのgp140ポリペプチドを有する。他の実施形態では、異なる安定化トリマーは、ホモトリマー又はヘテロトリマーであり得る。幾つかの実施形態では、第三の態様の組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、希釈剤、及び/又はアジュバントをさらに含む。
【0009】
第四の態様では、本発明は、第三の態様の組成物のいずれかを含むワクチンを特徴とする。幾つかの実施形態では、ワクチンは、それを必要とする被験者において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を処置し、又はそのリスクを低減するために用いられる。幾つかの実施形態では、ワクチンは、被験者への投与後に、中和抗HIV抗血清(例えば、中和抗HIV-1抗血清)の生産を惹起する。抗HIV抗血清は、例えば、クレードA、クレードB、及びクレードCのいずれか一以上から選択されるHIV(例えば、HIV-1)を中和し得る。
【0010】
第五の態様において、本発明は、少なくとも一つ(例えば、二つ、又は三つ以上)のgp140ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸分子であって、前記少なくとも一つのgp140ポリペプチドが、(a)配列番号1と少なくとも95%の同一性(例えば、少なくとも96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号1の配列、(b)配列番号2と少なくとも95%の同一性(例えば、少なくとも96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号2の配列、又は(c)配列番号3の配列を有するアミノ酸配列、(d)配列番号4の配列を有するアミノ酸配列、(e)配列番号5の配列を有するアミノ酸配列、又はそれらの組み合わせを含む、前記核酸分子を特徴とする。幾つかの実施形態では、核酸分子は、一以上の異なる(例えば、第二の、第三の、又は第四の)gp140ポリペプチド(例えば、配列番号1、2、3、4及び/又は5と少なくとも95%の同一性(例えば、少なくとも96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有する、又は配列番号1、2、3、4及び/若しくは5の配列を有するgp140ポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。幾つかの実施形態では、核酸分子は、単一の核酸分子転写物から複数のペプチド又はポリペプチド鎖の発現を可能とするために、一以上の内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を含む。
【0011】
第六の態様では、本発明は、一以上の第五の態様の核酸分子を含むベクターを特徴とする。幾つかの実施形態では、ベクターはアデノウイルスベクター又はポックスウイルスベクターである。アデノウイルスベクターは、例えば、組換えアデノウイルス血清型11(Ad11)、アデノウイルス血清型15(Ad15)、アデノウイルス血清型24(Ad24)、アデノウイルス血清型26(Ad26)、アデノウイルス血清型34(Ad34)、アデノウイルス血清型35(Ad35)、アデノウイルス血清型48(Ad48)、アデノウイルス血清型49(Ad49)、アデノウイルス血清型50(Ad50)、Pan9(AdC68)、又はそれらのキメラ変異体(例えば、アデノウイルス血清型5 HVR 48(Ad5HVR48))に由来し得る。ポックスウイルスベクターは、例えば、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)に由来し得る。
【0012】
第七の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の組成物(例えば、第一又は第二の態様の安定化トリマー、第三の態様の組成物、第四の態様のワクチン、第五の態様の核酸分子、及び/又は第六の態様のベクターのいずれか)を、被験者、例えば哺乳動物、例えばヒトに投与することを含む、それを必要とする被験者においてHIV感染を処置し、又はそのリスクを低減する方法を提供する。本発明のこの第七の態様に係る処置は、治療的又は予防的であり得る。
【0013】
第八の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の組成物(例えば、第一又は第二の態様の安定化トリマー、第三の態様の組成物、第四の態様のワクチン、第五の態様の核酸分子、及び/又は第六の態様のベクターのいずれか)を、被験者に投与することによって、HIVが感染した被験者においてHIV媒介活性を低減する方法を提供する。幾つかの実施形態では、HIV媒介活性は、ウイルス伝播、感染、又は細胞融合である。細胞融合は、例えば、標的細胞侵入又はシンチウム形成であり得る。幾つかの実施形態では、HIVが感染した被験者におけるHIV力価は、被験者、例えば哺乳動物、例えばヒトへのワクチンの投与後に(例えば、処置前の被験者、又はHIVに感染しているが、本発明の組成物で処置されていない対照被験者のHIV力価と比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上)低下する。
【0014】
幾つかの実施形態では、組成物(例えば、ワクチン)は、筋肉内に、静脈内に、皮内に、経皮的に、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に(intraprostatically)、胸膜内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、膣内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、皮下に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、臍内に(intraumbilically)、眼内に、経口的に、局所的に、局在的に、吸入によって、注射によって、注入によって、連続的な注入によって、標的細胞を直接的に入浴させる局在的な灌流によって、カテーテルによって、洗浄(lavage)によって、経管栄養によって、クリーム(creme)で、又は脂質組成物で投与される。幾つかの実施形態では、被験者は組成物の少なくとも一用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の用量)を投与されるか、又は毎日、毎週、毎月、又は毎年、少なくとも一用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の用量)を投与される。投与期間は、限定され得るか(例えば、1〜4週間、1〜12か月、1〜20年)、又は被験者の一生であり得る。他の実施形態では、被験者は組成物の少なくとも二用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の用量)を投与される。さらに別の実施形態では、組成物は、前記被験者に初回免疫又は追加免疫組成物として、又は初回−追加免疫計画において投与される。好ましい実施形態では、本発明の一以上の組成物(例えば、ワクチン)が追加免疫として投与される。
【0015】
他の好ましい実施形態では、本発明は、初回−追加免疫計画において初回組成物として、配列番号6と少なくとも85%のアミノ酸配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)、又は配列番号6の配列を有する第一のポリペプチド、又はこのポリペプチドをコードする第一の核酸分子を含む少なくとも一つの第一のベクター(例えば、アデノウイルス又はポックスウイルスベクター)を含むワクチンを投与することによって、被験者におけるHIV感染を処置し、又はそのリスクを低減する方法を特徴とする。任意に、配列番号7と少なくとも85%の同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)、又は配列番号7の配列を有する第二のポリペプチドもまた、第一のポリペプチドと組み合わせて投与され得るか、又は第一のポリペプチドをコードする第一のベクターが投与される場合には、第二のポリペプチドをコードする第二の核酸分子を含む第二のベクター(例えば、アデノウイルス又はポックスウイルスベクター)が第一のベクターと組み合わせて投与され得る。この初回−追加免疫計画における追加免疫組成物は、本発明の組成物(例えば、第一又は第二の態様の安定化トリマー、第三の態様の組成物、第四の態様のワクチン、第五の態様の核酸分子、及び/又は第六の態様のベクターのいずれか)の一以上を含み得る。さらに他の実施形態では、この初回−追加免疫計画における初回組成物は、配列番号8〜32のいずれかの配列を有するポリペプチド、配列番号8〜32のいずれかをコードする核酸分子を含む一以上のベクターを含み得、それに続く追加免疫は、本発明の組成物(第一又は第二の態様の安定化トリマー、第三の態様の組成物、第四の態様のワクチン、第五の態様の核酸分子、及び/又は第六の態様のベクターのいずれか)の一以上を含み得る。
【0016】
さらに他の実施形態では、本発明の一以上の組成物(例えば、ワクチン)は、初回−追加免疫計画における初回組成物として投与され、追加免疫組成物は、異なるワクチン組成物、例えば配列番号6〜32のいずれか一以上と少なくとも85%のアミノ酸配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有する、若しくは配列番号6〜32のいずれか一以上の配列の一以上のポリペプチドを含むワクチン、又は、それぞれが配列番号8〜32のいずれか一以上と少なくとも85%の同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有する、若しくは配列番号8〜32のいずれか一以上の配列の一以上のポリペプチドをコードする核酸分子を含む一以上のベクター(例えば、アデノウイルス又はポックスウイルスベクター)である(好ましくは、該ベクターは配列番号6及び/又は7のポリペプチドをコードする)。
【0017】
幾つかの実施形態では、被験者は、例えば、非ベクター組成物において、本発明のポリペプチド組成物(例えば、本発明の安定化gp140 Envトリマー)を投与され得る。投与されるポリペプチド組成物は、約1μg〜1mgの安定化Envトリマー、及びより好ましくは、50μg〜300μgの本発明の安定化Envトリマーを含み得る。
【0018】
送達ベクターがウイルスである他の実施形態では、、被験者は、少なくとも約1x103ウイルス粒子(vp)/用量、又は1x101〜1x1014vp/用量、好ましくは1x103〜1x1012vp/用量、及びより好ましくは1x105〜1x1011vp/用量で投与され得る。組成物は、例えば、曝露前又は診断前1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、35、40、45、50、55、又は60分、2、4、6、10、15、又は24時間、2、3、5、又は7日、2、4、6又は8週間、又はさらに3、4、若しくは6か月投与され得るか、又は曝露後又は診断後又はHIVに対して15〜30分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、20、24、48、又は72時間、2、3、5、又は7日、2、4、6又は8週間、3、4、6、若しくは9か月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20年またはそれ以上被験者に投与され得る。被験者は、組成物の一以上の用量を、毎日、毎週、毎月、又は毎年一回投与される。HIV感染を処置する場合には、本発明の組成物(第一、第二、又は第三の態様の安定化トリマー、第四又は第五の態様の組成物、第六の態様のワクチン、第七の態様の核酸分子、及び/又は第八の態様のベクターのいずれか)は、HIV感染又は疾患/症候群の症状の発生(例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS))若しくは確定診断の前に、又は診断若しくは症状が明白になった後に、被験者に投与され得る。組成物は、例えば、診断若しくは症状の臨床的認識の直後に、又は診断若しくは症状の検出の2、4、6、10、15、又は24時間、2、3、5、又は7日、2、4、6又は8週間、又は3、4、又は6か月後にさえ投与され得る。
【0019】
第九の態様では、本発明は、それを必要とする被験者におけるHIV感染を処置し、又はそのリスクを低減するためのワクチンの製造方法を提供する。本方法は、(a)本発明の第二の態様の核酸(例えば、第八の態様のベクターをさらに含む核酸)を細胞と接触させるステップ、及び(b)該核酸を細胞において発現させて、安定化トリマーを形成させるステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、in vitro又は生体外(ex vivo)で行われる。幾つかの実施形態では、細胞は、細菌、植物、又は哺乳動物細胞(例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物細胞)である。好ましい実施形態では、哺乳動物細胞は293T細胞である。
【0020】
最後の態様では、本発明は、(a)本発明の組成物(第一、第二、又は第三の態様の安定化トリマー、第四又は第五の態様の組成物、第六の態様のワクチン、第七の態様の核酸分子、及び/又は第八の態様のベクターのいずれか、例えば、mEnv及び/又はmEnv+トリマー及びcEnvトリマーを含むベクター)、(b)薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤、及び(c)それらの使用のための説明書を含むキットを特徴とする。キットは、任意にアジュバントを含み得る。
【0021】
本発明の全ての態様の好ましい実施形態では、被験者は哺乳動物、好ましくは霊長類、例えばヒトである。
【0022】
定義
本明細書では、「約」という用語は、記載された値の+/-10%を意味する。
【0023】
「アデノウイルス」は、カプシド及び二本鎖直鎖状DNAゲノムを含む、中程度のサイズ(90〜100nm)の、無エンベロープの正二十面体ウイルスを意味する。アデノウイルスは、天然に存在するが、単離された、アデノウイルス(例えば、sAd4287、sAd4310A、又はsAd4312)又は組換えアデノウイルス(例えば、複製欠損又は複製能力のあるsAd4287、sAd4310A、又はsAd4312、又はそれらのキメラ変異体)であり得る。
【0024】
本明細書では、「投与すること」は、医薬組成物(例えば、第一又は第四の態様のワクチンの、第三の態様の組成物、第五の態様の核酸分子、及び/又は第六の態様のベクターのいずれか等の、本発明の組成物)の用量を被験者に与える方法を意味する。本明細書で記載した方法において利用する組成物を、例えば、筋肉内に、静脈内に、皮内に、経皮的に、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、腟内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、皮下に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、臍内に、眼内に、経口的に、局所的に、局在的に、吸入によって、注射によって、注入によって、連続的な注入によって、標的細胞を直接的に入浴させる局在的な灌流によって、カテーテルによって、洗浄によって、経管栄養によって、クリームで、又は脂質組成物で、投与することができる。投与の好ましい方法は、様々な因子(例えば、投与される組成物の成分及び処置される状態の重症度)次第で、変動し得る。
【0025】
本明細書では、「クレード」という用語は、それらの遺伝的類似性の程度に従って分類される、関連するヒト免疫不全ウイルス(HIV)を指す。現在、HIV-1単離物の三つの群:M、N及びOがある。群M(主要な株)は、AからJの少なくとも10のクレードからなる。群O(外の株)は、類似した数のクレードからなり得る。群Nは、群M又はOのいずれにも分類されていない新しいHIV-1単離物である。ある特定の例示的実施形態では、本明細書に記載の本発明の組成物(例えば、第一又は第四の態様のワクチン、第三の態様の組成物、第五の態様の核酸分子、及び/又は第六の態様のベクターいずれか)は、HIVの2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のクレード及び/又は2つ以上の群に対して、認識し、免疫応答(例えば、中和抗HIV抗血清)を生じさせるだろう。
【0026】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という用語、又は「含む(comprises)」又は「含むこと(comprising)」等のバリエーションは、述べられた整数又は整数の群の包含を暗示するが、任意の他の整数又は整数の群の除外を暗示しないことが理解されよう。
【0027】
本明細書では、「エンベロープ糖タンパク質」という用語は、HIVビリオンのエンベロープの表面及びHIV感染細胞の細胞膜の表面上で発現される糖タンパク質を表すが、これらに限定されない。env遺伝子は、gp160をコードし、これはgp120及びgp41エンベロープ(Env)タンパク質にタンパク分解的に切断される。Gp120は、例えば、ヘルパーT細胞等の、CD4受容体を有する標的細胞上のそのような受容体に結合する。Gp41は、非共有結合的にgp120に結合しており、それによってHIVが細胞に侵入する第二のステップを提供する。それは、本来、ウイルスエンベロープ内に埋められているが、gp120がCD4受容体に結合した場合、gp120は、その高次構造を変化させ、gp41が曝露されるようになり、ここでそれは宿主細胞との融合を補助することができる。
【0028】
「遺伝子産物」は、遺伝子から転写されたmRNA及びそれらのmRNAから翻訳されたポリペプチドを含むことを意味する。
【0029】
「異種核酸分子」又は「異種遺伝子」は、異種核酸分子又は遺伝子によってコードされる目的の遺伝子産物又はその断片のその後の発現のための、細胞、組織、又は生物中への移入のために、本発明のベクター(例えば、アデノウイルス又はポックスウイルスベクター)中に挿入することができる任意の外来性の核酸分子(例えば、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドをコードする核酸分子)を意味する。好ましい実施形態では、本発明の部分として細胞又は被験者に投与することができる異種核酸分子は、少なくとも一つの最適化モザイクEnvポリペプチド(例えば、mEnv及びmEnv+等のモザイクEnv1ポリペプチド)及び/又はクレードC Envポリペプチド(例えば、cEnv等のクレードC Env1ポリペプチド)をコードする核酸分子を含むことができるが、これらに限定されない。
【0030】
「ヒト免疫不全ウイルス」又は「HIV」は、レトロウイルス科のファミリーの部分である、レンチウイルス亜科属のウイルスを意味し、ヒトに感染するHIVの二つの種である、HIV1型(HIV-1)及びHIV2型(HIV-2)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
「免疫応答」は、被験者(例えば、ヒト)の免疫系による抗原又は抗原決定基へのいずれかの応答を意味する。例示的な免疫応答は、体液性免疫応答(例えば、抗原特異的抗体、例えば、中和抗体(NAb)の作製)及び細胞媒介免疫応答(例えば、リンパ球増殖))を含む。
【0032】
本明細書では、HIVに関する「低減する」という用語は、HIV媒介活性(例えば、感染、融合(例えば、標的細胞侵入及び/又はシンシチウム形成)、ウイルス伝播等)の低減若しくは低下及び/又はウイルス力価の低下を表す。HIV媒介活性及び/又はHIV力価は、対照被験者(例えば、処置されていない被験者又はプラセボで処置した被験者)のHIV力価と比較して、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%以上低下し得る。
【0033】
「中和抗体」又は「NAb」は、血清から精製されるか又は血清に存在し、特異的な抗原(例えば、gp140ポリペプチド又はgp120ポリペプチド等のHIV Env糖タンパク質)を認識し、宿主(例えば、ヒト)における抗原の効果を阻害する抗体を意味する。本明細書では、抗体は、単一の抗体又は複数の抗体であり得る。
【0034】
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、本明細書で互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを表し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチド若しくは塩基、及び/又はそれらのアナログ、又はDNA若しくはRNAポリメラーゼによって、又は合成反応によって、ポリマー中に組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらのアナログ等の改変ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への改変を、ポリマーの構築の前又は後に行うことができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲーションによって等、合成後にさらに改変され得る。改変の他の型は、例えば、天然に存在するヌクレオチドのアナログとの一つ以上の置換である「キャップ」、ヌクレオチド間改変、例えば無電荷結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート(phosphoamidate)、カルバメート等)を有するもの及び電荷結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)を有するもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシン等)等のペンダント部分を含有するもの、介入物(例えば、アクリジン、ソラレン等)を有するもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属等)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、改変結合(例えば、アルファアノマー核酸等)を有するもの等、並びにポリヌクレオチドの非改変形を含む。さらに、糖に通常存在するヒドロキシル基の任意のものを、例えば、標準的な保護基によって保護された、又は追加のヌクレオチドへの追加の結合を調製するために活性化された、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えることができるか、又は固体又は半固体支持体にコンジュゲートすることができる。5'及び3'末端OHを、リン酸化するか又は1〜20炭素原子のアミン又は有機キャップ基部分で置換することができる。他のヒドロキシル基は、標準的な保護基に誘導体化することもできる。ポリヌクレオチドは、例えば、2'-O-メチル-、2'-O-アリル、2'-フルオロ-又は2'-アジド-リボースを含めた、当技術分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖のアナログ形、炭素環式の糖アナログ、アルファ-アノマー糖、アラビノース、キシロース又はリキソース等のエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式のアナログ及びメチルリボシド等の塩基性ヌクレオシドアナログも含有することができる。一つ以上のホスホジエステル結合は、代替の連結基によって置き換えることができる。これらの代替の連結基は、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート(amidate)」)、P(O)R、P(O)OR'、CO又はCH2(「フォルマセタル(formacetal)」)によって置き換えられており、ここで各R又はR'は、独立的にH又は任意にエーテル(-O-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)を含有する、置換又は非置換アルキル(1〜20C)である、実施形態を含むが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドにおける全ての結合が同一である必要はない。前述の説明は、RNA及びDNAを含めた、ここで参照した全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
【0035】
「最適化」は、非天然ウイルスポリペプチド(例えば、本発明のgp140ポリペプチド)等の、天然に存在するペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質ではない免疫原性ポリペプチドを意味する。最適化ウイルスポリペプチド配列は、被験者(例えば、ヒト)の免疫化時(例えば、本発明の組成物、例えば、本発明のワクチン中に組み込まれた時)に産出される抗ウイルス免疫応答(例えば、細胞性又は体液性免疫応答)の幅、強度、深さ、又は持続時間を増加させるために、一つ以上の天然に存在するウイルス遺伝子産物(例えば、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質、例えば、ウイルスEnvポリペプチド、例えば、ウイルスEnv1、Env2、及び/又はEnv3ポリペプチド)のアミノ酸配列を改変することによって、最初に生産される。したがって、最適化ウイルスポリペプチドは、「親」ウイルス遺伝子配列に相当し得る、代わりに、最適化ウイルスポリペプチドは、特異的な「親」ウイルス遺伝子配列に相当しないかもしれないが、ウイルスの様々な株又は疑似種由来のアナログ配列に相当し得る。最適化ウイルスポリペプチドに含まれ得るウイルス遺伝子配列への改変は、アミノ酸付加、置換、及び欠失を含む。本発明の一実施形態では、最適化ポリペプチドは、モザイクEnv1 gp140(例えば、参照によって本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2012/0076812号を参照されたい)、又は最大のタンパク質発現、切断部位変異、第Xa因子部位、及び/又はfoldonトリマー形成ドメイン(例えば、配列番号2を参照されたい)のためのリーダー/シグナル配列を含むためにさらに改変されている、その最適化バージョン等のモザイクエンベロープタンパク質である。最適化ウイルスポリペプチドを生産する方法は、例えば、Fisher et al. "Polyvalent Vaccine for Optimal Coverage of Potential T-Cell Epitopes in Global HIV-1 Variants," Nat. Med. 13(1):100-106 (2007)及び参照によって本明細書に組み込まれている、国際特許出願公開WO2007/024941において報告されている。最適化ウイルスポリペプチド配列がいったん作られると、相当するポリペプチドを、標準的な技法(例えば、参照によって本明細書に組み込まれている、国際特許出願公開WO2006/040330及びWO2007/104792において開示されているアデノウイルスベクター等の組換えウイルスベクター)によって作製し又は投与し、且つ任意に本発明の一つ以上の他のウイルスポリペプチドとコンジュゲーションして構築して、安定化ポリペプチドトリマーを形成することができる。
【0036】
「薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、担体、又はアジュバント」は、医薬組成物の治療的性質を保持しつつ、被験者にとって生理学的に許容され、医薬組成物と共に投与される、希釈剤、賦形剤、担体、又はアジュバントを意味する。一つの例示的な薬学的に許容可能な担体は、生理食塩水である。他の生理学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、担体、又はアジュバント及びそれらの製剤は、当業者に既知である(例えば、米国特許出願公開第2012/0076812号を参照されたい)。
【0037】
組成物(例えば、アデノウイルス又はポックスウイルスベクター等の本発明のベクター)に関して、「組換え」は、治療剤への結合又は治療剤の封じ込めを可能にする且つ/又は被験者(例えば、ヒト)若しくは宿主細胞中への治療剤の導入を促進する変化(例えば、組成物、例えば、それぞれ、アデノウイルス又はポックスウイルスベクターのアデノウイルス又はポックスウイルスゲノムへの変化)を導入するために(例えば、標準的なクローニング技法を使用して)in vitroで操作された組成物を意味する。したがって、本発明の組換え組成物は、一つ以上の本発明の安定化Envポリペプチドトリマーの送達のためのアデノウイルス又はポックスウイルス輸送ベクター(例えば、複製欠損アデノウイルス又はポックスウイルスベクター)であり得る。
【0038】
「配列同一性」又は「配列類似性」は、2つ以上のアミノ酸配列、又は2つ以上のヌクレオチド配列間の同一性又は類似性が、配列間の同一性又は類似性の観点から表現されることを意味する。配列同一性は、「百分率(%)同一性」の観点から測定することができ、ここで百分率が高いほど、配列間で共有される同一性が高い。配列類似性は、(保存的アミノ酸置換を考慮に入れる)百分率類似性の観点から測定することができ、百分率が高いほど、配列間で共有される類似性が高い。核酸又はアミノ酸配列のホモログ又はオルソログは、標準的な方法を使用してアラインメントさせた場合、比較的高い程度の配列同一性/類似性を有する。配列同一性は、デフォルトの設定で配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, WI 53705)を使用して、測定することができる。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び他の改変に対する相同性の程度を割り当てることによって、類似の配列にマッチさせることができる。
【0039】
本明細書では、「安定化ポリペプチドトリマー」という用語は、(例えば、モノマー単位へのトリマーの解離を低減させる)トリマー構造の安定性を(例えば、一つ以上のオリゴマー形成ドメインの存在を介して)増加させるタンパク質及び/又はポリペプチド配列を含むオリゴマーを表すが、これらに限定されない。特に、安定化ポリペプチドトリマーは、三つのモザイクEnvタンパク質(例えば、Env1、Env2、及び/又はEnv3)、三つのクレードC Envタンパク質、又は一つ以上のモザイクEnvタンパク質及び一つ以上のクレードC Envタンパク質の組合せからなり、ここで少なくとも一つのEnvタンパク質がオリゴマー形成ドメインを含む。「オリゴマー形成ドメイン」は、例えば、HIV gp140トリマーの安定性を増加させる等、オリゴマーのエンベロープタンパク質の安定性を増加させるために使用することができるポリペプチド配列を表すが、これらに限定されない。オリゴマー形成ドメインを使用して、ホモオリゴマーのポリペプチド及びヘテロオリゴマーのポリペプチドの安定性を増加させることができる。オリゴマー形成ドメインは、当技術分野で既知であり、「トリマー形成ドメイン」を含む。トリマー形成ドメインは、トリマーポリペプチド(例えば、本発明の一つ以上のgp140ポリペプチドからなるトリマー)を安定化させるオリゴマー形成ドメインを表す。トリマー形成ドメインの例は、T4-fibritin「foldon」トリマー形成ドメイン、GCN4由来のコイルドコイルのトリマー形成ドメイン(Yang et al. (2002) J. Virol. 76:4634)、及びトリマータグとしての大腸菌(E.coli)アスパラギン酸トランスカルバモイラーゼの触媒作用サブユニット(Chen et al. (2004) J. Virol. 78:4508)を含むが、これらに限定されない。
【0040】
「被験者」は、哺乳動物(例えば、ヒト)等の脊椎動物である。哺乳動物は、家畜(乳牛等)、スポーツ動物(例えば、ウマ)、ペット(ネコ及びイヌ等)、マウス、及びラットも含むが、これらに限定されない。本明細書で記載した方法に従って処置される被験者(例えば、HIV感染を有する被験者又はHIV感染のリスクがある被験者)は、医師によってそのような状態を有すると診断されたものであり得る。診断は、任意の適した手段によって行うことができる。HIV感染のリスクが減少される又は予防される被験者は、そのような診断を受けていてもよく又は受けていなくてもよい。当業者は、本発明に従って処置される被験者が、標準的な試験に供された、又は、検査なしに、一つ以上のリスク因子(例えば、針刺し又はHIV若しくはHIV感染個体への既知の曝露)の存在により高いリスクにあるものとして同定されたものであることを理解するだろう。
【0041】
本発明の構築物に関して、「の配列を実質的に有すること」は、列挙された参照配列に少なくとも99%配列同一性を有する(例えば、記載された参照配列と比較して、わずか7未満のアミノ酸残基の相違、例えば、1、2、3、4、5、又は6アミノ酸残基の相違(例えば、付加、欠失、又は保存的アミノ酸置換)を有する)ことを意味する。
【0042】
「治療有効量」は、単独で、又は一つ以上の追加の(任意の)治療剤と共に、哺乳動物への投与時に有益な又は望ましい結果をもたらす治療剤の量を意味する。治療有効量は、治療剤が適用される状況次第である。例えば、本発明の安定化gp140トリマー等の治療剤を含むワクチン組成物を投与する状況において、ワクチン組成物の治療有効量は、本発明の組成物(例えば、ワクチン組成物)の投与なしに得られる応答と比較した場合に、HIVのレベルの低減(例えば、非処置対照と比較した、安定化又はHIV力価の低下によって測定される)、及び/又は中和抗HIV抗血清のレベルの増加(例えば、ルシフェラーゼに基づくウイルス中和アッセイにおける非処置対照と比較した、血清中和抗体レベルの増加によって測定される)を達成するために及び/又はウイルス感染の増加したリスクを有する被験者(例えば、ヒト)における感染性のウイルス(例えば、HIV)の増殖を予防するために十分な量である。理想的には、治療有効量は、被験者における実質的な細胞傷害性効果を引き起こすことなく、治療効果を提供する。一般的に、被験者(例えば、ヒト)に投与する組成物の治療有効量は、その被験者と関連しているいくつかの因子、例えば被験者の全体的な健康、処置される状態、又は状態の重症度次第で変動することになる。組成物の治療有効量は、産物の用量を変動させること及び生じた治療応答を測定することによって決定することができる。
【0043】
本明細書では、当技術分野においてよく理解されているように、「処置」は、臨床結果等の、有益な又は望ましい結果を得るための手法である。有益な又は望ましい結果は、検出可能であろうとなかろうと、一つ以上の症状又は状態の軽減又は寛解、疾患、障害、又は状態の広がりの縮小、疾患、障害、又は状態の状況の安定化(即ち、悪化していない)、疾患、障害、又は状態の蔓延の予防、疾患、障害、又は状態の進行の遅延又は緩徐化、疾患、障害、又は状態の寛解又は緩和、及び緩解(部分的であろうと全体的であろうと)を含み得るが、これらに限定されない。疾患、障害、又は状態を「緩和すること」は、処置の非存在下での程度又は時間経過と比較して、疾患、障害、又は状態の程度及び/又は望ましくない臨床徴候が少なくなる、且つ/又は進行の時間経過が緩徐化される又は延長されることを意味する。
【0044】
本明細書では、「ワクチン」という用語は、免疫応答(例えば、中和抗HIV抗血清の生産)を惹起するために使用する材料と定義される。被験者へのワクチンの投与は、HIV感染に対する少なくとも部分的な免疫を与えることができる。
【0045】
本明細書では、「ベクター」という用語は、ウイルス(例えば、アデノウイルス又はポックスウイルス)、ネイキッドDNA、オリゴヌクレオチド、陽イオン性脂質(例えば、リポソーム)、陽イオン性ポリマー(例えば、ポリソーム)、ビロソーム、ナノ粒子、又はデントリマー(dentrimer)を含むことを意味するが、これらに限定されない。「アデノウイルスベクター」は、一つ以上の異種遺伝子(例えば、一つ以上の本発明の最適化gp140ポリペプチド)をウイルス又は非ウイルス源から被験者又は宿主に送達するために使用することができるアデノウイルス種(例えば、アデノウイルス血清型11(Ad11)、アデノウイルス血清型15(Ad15)、アデノウイルス血清型24(Ad24)、アデノウイルス血清型26(Ad26)、アデノウイルス血清型34(Ad34)、アデノウイルス血清型35(Ad35)、アデノウイルス血清型48(Ad48)、アデノウイルス血清型49(Ad49)、アデノウイルス血清型50(Ad50)、Pan9(AdC68)、又はそのキメラ変異体(例えば、アデノウイルス血清型5 HVR48(Ad5HVR48)))由来の一つ以上の遺伝子(非構造的又は構造的)、又はその断片を含む組成物を意味する。ウイルスベクターの核酸材料は、一つ以上のウイルスポリペプチド(例えば、エンベロープ糖タンパク質)を含み得る、例えば、脂質膜において、又は構造タンパク質(例えば、カプシドタンパク質)によってカプセルに包まれていてもよい。ウイルスベクターを使用して、被験者の細胞を感染させることができ、これは次に、タンパク質産物(例えば、本発明の安定化トリマーが形成される、本明細書で記載した一つ以上のgp140 Envポリペプチド)へのウイルスベクターの異種遺伝子の翻訳を促進する。
【0046】
本明細書では、「ウイルス」という用語は、宿主細胞の外で増殖又は繁殖することができず、哺乳動物(例えば、ヒト)又は鳥類に感染する感染病原体と定義される。
【0047】
本発明の他の特性及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1A図1Aは、本発明のモザイクヒト免疫不全ウイルス(HIV)gp140エンベロープ(Env)ポリペプチド(「mEnv」、配列番号1)のアミノ酸配列を示す図である。枠で囲んだ領域は、シグナル/リーダー配列を特定し、下線を引いた領域は、gp120を特定し、標準文字領域は、gp41外部ドメインを特定し、二重下線を引いた領域は、T4-fibritin「foldon」トリマー形成/オリゴマー形成ドメインを特定する。
図1B図1Bは、本発明のモザイクHIV gp140 Envポリペプチド(「mEnv+」、配列番号2)のアミノ酸配列を示す図である。本ポリペプチド配列は、タンパク質発現を最大にするためにさらに最適化され、異なるシグナル/リーダー配列(枠で囲んだ領域)、切断部位不活性化変異(E/E置換変異)(丸で囲んだ残基)の付加、及び第Xa因子部位(ジグザグの下線を引いた領域)の付加を含む。他の領域は、図1Aにおいて記述した通りである。
図1C図1Cは、本発明の最適化クレードC Envポリペプチド(cEnv、配列番号3)のアミノ酸配列を示す図である。全ての領域は、図1Bにおいて記述した通りである。
図2図2は、それぞれ、レーン1及び2における、cEnv及び発現ベクター対照(pVRC8400)と比較した、それぞれ、レーン3及び4における、mEnv及びmEnv+の発現レベルを示すウエスタンブロットである。
図3図3は、ローラーボトル(750-mlの上清)における293T細胞のPEIトランスフェクション6日後のmEnv+トリマーの均一な溶出を示すゲル濾過クロマトグラフである。
図4図4は、ゲル濾過溶出後のmEnv+のピーク画分を示す4〜16%勾配SDS-PAGEの画像である。精製当たりの最終タンパク質収量は、ゲル濾過後約8.44mgである。最終濃度は、約5.62mg/mlである。
図5A-C】図5Aは、クレードB(SF162.LS及びBal.26)及びクレードC(MW965.26及びTV1.21)HIV-1エンベロープ偽ウイルス(pseudovirus)、並びにマウス白血病ウイルス(MuLV)(陰性対照)を含む列1中和感受性単離物のマルチクレードパネルに対して試験した、クレードC gp140 Env(cEnv)ホモトリマーでのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモット(guinea pig)におけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。図5Bは、クレードB(SF162.LS及びBal.26)及びクレードC(MW965.26及びTV1.21)HIV-1エンベロープ偽ウイルス、並びにマウス白血病ウイルス(MuLV)(陰性対照)を含む列1中和感受性単離物のマルチクレードパネルに対して試験した、モザイクgp140 Envバージョン-1(mEnv)ホモトリマーでのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。図5Cは、クレードB(SF162.LS及びBal.26)及びクレードC(MW965.26及びTV1.21)HIV-1エンベロープ偽ウイルス、並びにマウス白血病ウイルス(MuLV)(陰性対照)を含む列1中和感受性単離物のマルチクレードパネルに対して試験した、cEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。
図6A-B】図6Aは、列1B中間中和感受性クレードA HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、MS208.A1に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。図6Bは、列1B中間中和感受性クレードA HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、Q23.17に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。
図7A-B】図7Aは、列1A高中和感受性クレードB HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、SF162.LSに対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。図7Bは、列1B中間中和感受性クレードB HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、BaL.26に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。
図7C-D】図7Cは、列1B中間中和感受性クレードB HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、SS1196.1に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。図7Dは、列1B中間中和感受性クレードB HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、6535.3に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。
図8A-B】図8Aは、列1A高中和感受性クレードC HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、MW965.26に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。図8Bは、列1B中間中和感受性クレードC HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、TV1.21に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。
図8C-D】図8Cは、列1B中間中和感受性クレードC HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、ZM109F.PB4に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。図8Dは、列1B中間中和感受性クレードC HIV-1エンベロープ偽ウイルスである、ZM197M.PB7に対して試験した、cEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvトリマーの両方でのワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定するID50力価の定量分析を示すグラフである。
図9A-C】図9Aは、293T細胞の一過性トランスフェクション後48時間のHIV-1 mEnv、mEnv2、及びmEnv3の発現を示すウエスタンブロットである。cEnv(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270)及びクレードA(92UG037.8)gp140(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111)を陽性対照として使用した。図9Bは、精製mEnvの分子ふるいクロマトグラフィープロフィールを示すグラフである。図9Cは、凍結融解及び4℃で7日間のインキュベーション後のmEnvの分子ふるいクロマトグラフィープロフィールを示すグラフである。凍結融解及び7日間の4℃インキュベーションに関するシグナルは、密接に重なっている。
図10A-D】図10Aは、CD4へのmEnvの表面プラズモン共鳴(SPR)結合プロフィールを示すグラフである。可溶性の、二つのドメインCD4を、CM5チップに不可逆的に結合させ、mEnvを62.5〜1000nMの濃度でチップ上に流した。センサーグラムを黒で示し、動態学的適合を灰色で示し、二つのシグナルは、密接に重なっている。RU=応答単位。図10Bは、17b IgGへのmEnvのSPR結合プロフィールを示すグラフである。17b IgGを捕え、mEnvトリマーを、免疫原に結合したCD4の存在(灰色のトレース)又は非存在(黒のトレース)下で、1000nMの濃度で結合したIgG上に流した。図10C及び10Dは、VRC01及び3BNC117へのmEnvのSPR結合プロフィールを示すグラフである。VRC01 IgG(C)又は3BNC117 IgG(D)を捕え、mEnvトリマーを、62.5〜1000nMの濃度で結合したIgG上に流した。センサーグラムを黒で示し、動態学的適合を灰色で示し、両方のグラフにおいて、二つのシグナルは密接に重なっている。RU=応答単位。
図11A-11F】図11A〜11Fは、グリカン依存bnAb PGT121、PGT126並びに四次依存bnAb PG9及びPG16へのmEnvのSPR結合プロフィールを示すグラフである。全ての実験に関して、プロテインAは、CM5チップに不可逆的に結合しており、IgGは捕えられた。モザイクM gp140を、62.5〜1000nMの濃度で結合した(A)PGT121 IgG及び(B)PGT126 IgG上に流した。モザイクgp140を結合した(C)PG9 IgG及び(D)PG16 IgG上に流した。モザイクgp120も、結合した(E)PG9 IgG及び(F)PG16 IgG上に流した。センサーグラムを黒で示し、動態学的適合を灰色で示し、全てのグラフにおいて、二つのシグナルは、密接に重なっている。RU=応答単位。
図12A-D】図12Aは、mEnvトリマー配列に対する2F5及び4E10エピトープ配列の配列アラインメントである。図12Bは、(1)mEnv(2)92UG037.8 gp140(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270)(陽性対照)及び(3)モザイクM gp120(陰性対照)に結合した2F5及び4E10のウエスタンブロットである。図12Cは、mEnvの2F5及び4E10結合ELISAを示すグラフのセットである。mEnv(モザイクgp140)とモザイクgp120のどちらも、検出可能なシグナルを示さない。クレードA(92UG037.8)中間-gp41(Frey et al. (2008) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105:3739)(陽性対照)を、正方形で示し、mEnvを、三角形で示す。点線は、アッセイバックグラウンド閾値を示す。図12Dは、mEnvへのプロテインAが捕えた2F5及び4E10のSPR結合を示すグラフのセットであり、GCN4 gp41陽性対照は黒であり、mEnvは灰色である。
図13】TZM.bl細胞のmEnv偽ウイルス粒子感染を示すグラフである。全長モザイクM gp160 Envで作られた偽ウイルス粒子を使用して、TZM.blアッセイにおいてCD4及び共受容体CCR5/CXCR4を発現する標的TZM.bl細胞に感染させる。水平破線は、ウイルスを有さないTZM.bl細胞単独のバックグラウンドを示す(陰性対照)。RLU、相対発光単位。
図14A-14B】図14A及び図14Bは、ELISAエンドポイント結合抗体応答を示すグラフである。(A)Matrix M又は(B)CpG/Emulsigenアジュバントにおいて、クレードC gp140(cEnv)、mEnv又は二価のcEnv+mEnv(C+M)gp140で免疫化したモルモットにおける各免疫化後4週間で得た血清を、mEnv及びcEnvトリマー抗原に対してエンドポイントELISAにおいて試験した。データを、各時点+/-標準偏差での幾何平均力価として示す。水平破線は、アッセイバックグラウンド閾値を示す。*P<0.05、独立t検定。
図15A-D】図15A及び図15Bは、Matrix Mアジュバントを使用した、TZM.blアッセイにおける列1 HIV-1単離物のパネルに対する中和抗体力価を示すグラフである。cEnv(C)、mEnv(M)、又は二価のcEnv+mEnv(C+M)ワクチン接種モルモットにおける第三のトリマーワクチン接種後に得た血清を、TZM.bl中和アッセイにおける列1(MW965.26、SF162.LS、Bal.26、DJ263.8、TV1.21、MS208、Q23.17、SS1196.1、6535.3、ZM109.F、ZM197M)HIV-1 Env偽ウイルスのマルチクレードパネルに対して試験した。水平線は、中央値力価を示す。水平破線は、アッセイバックグラウンド閾値を示す。ワクチン接種前時点からの血清は、最小のバックグラウンドを示した。*P<0.05、マンホイットニー検定法。図15C及びDは、CpG/Emulsigenアジュバントを使用した、TZM.blアッセイにおける列1 HIV-1単離物のパネルに対する中和抗体力価を示すグラフである。cEnv(C)、mEnv(M)、又は二価のcEnv+mEnv(C+M)ワクチン接種モルモットにおける第三のトリマーワクチン接種後に得た血清を、TZM.bl中和アッセイにおける列1(MW965.26、SF162.LS、Bal.26、DJ263.8、TV1.21、MS208、Q23.17、SS1196.1、6535.3、ZM109.F、ZM197M)HIV-1 Env偽ウイルスのマルチクレードパネルに対して試験した。水平線は、中央値力価を示す。水平破線は、アッセイバックグラウンド閾値を示す。ワクチン接種前時点からの血清は、最小のバックグラウンドを示した。*P<0.05、マンホイットニー検定法。
図16A-B】図16A及びBは、A3R5中和アッセイにおけるHIV-1列2クレードB及びC単離物に対するモルモット血清の中和抗体力価を示すグラフである。Matrix MアジュバントcEnv、mEnv又は二価のcEnv+mEnv(C+M)をワクチン接種したモルモットにおけるワクチン接種前(Pre)及び第三のトリマーワクチン接種後(Post)に得た血清を、A3R5中和アッセイにおいて、(A)列2クレードC単離物Ce_1086_B2、Ce2010及びDu422.1及び(B)列2クレードB単離物SC22.3C2、SUMA及びREJOに対して試験した。水平破線は、アッセイバックグラウンド閾値を示す。*P<0.05、マンホイットニー検定法。
図17A-C】図17Aは、2リットル新鮮製剤における、「mEnv+」と称されるモザイクM gp140の最適化バージョンの高い純度を示すグラフである。図17Bは、凍結融解又は4℃で1週間のインキュベーション後のmEnv+の高い安定性を示すグラフである。凍結融解及び7日間の4℃インキュベーションに関するシグナルは、密接に重なっている。図17Cは、凍結融解又は4℃で1週間のインキュベーション後のmEnv+の高い安定性を示すSDS-PAGEゲルである。
図18A-18B】図18A及びBは、様々なアジュバントを使用したmEnv+と比較した、アジュバントとしてAdju-Phosを使用した、mEnvの免疫原性を示すグラフである。mEnv及びmEnv+は、ELISAによる結合抗体によって測定されるものと同等の免疫原性を示す。
図19図19は、ワクチン接種前(Pre)及びワクチン接種後(Post)のモルモットにおけるTZM.bl中和抗体応答を測定する、ID50力価の定量分析を示すグラフのセットである。mEnv及びmEnv+は、アジュバントに関わらず、これらのアッセイにおいて同等の免疫原性を示した。
【発明を実施するための形態】
【0049】
発明の詳細な説明
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(例えば、1型HIV(HIV-1))によって誘導されるほとんどの抗体は、非中和性であるか又は狭く単離体特異的であるかのいずれかであるので、感染の開始又は伝播を予防するにあたって無効である。HIVワクチン開発における最大の挑戦の一つは、世界的パンデミックを特徴付ける多様なHIV株に対して有効な保護的中和抗体を誘導できるHIVエンベロープ免疫原を設計することである。実際、エンベロープ糖タンパク質上の比較的保存された領域を認識する「広く中和性の」抗体の生成は稀である。本発明は、驚くほど広い中和抗体応答をin vivoで惹起する安定化トリマーHIVエンベロープ(Env)タンパク質及びそれらの組合せの発見に部分的に基づく。
【0050】
本発明の安定化gp140 Envトリマー
本発明は、新規安定化HIV gp140 Envポリペプチドトリマーを特徴とする。本発明の安定化トリマーは、最適化gp140 Envポリペプチドを特徴とする。これらのポリペプチドは、以下のドメイン及び/若しくは変異のうち一つ以上を有し得る、又は含むように改変され得る。gp140 Envポリペプチド構成要素は、安定なトリマー形成を支持するためにT4-フィブリチン(T4-fibritin)「フォルドン(foldon)」トリマー形成ドメイン配列を含み得る(例えば、各々がC末端トリマー形成ドメインを含む、それぞれmEnv(配列番号1)、mEnv+(配列番号2)及びcEnv(配列番号3)のアミノ酸配列を示す、図1A、1B及び1Cを参照のこと)。これらの最適化gp140 Envポリペプチドは、例えば、ペプチダーゼによる切断を排除することによる、安定性を増強するための切断部位変異もまた有し得る(例えば、gp120部分とgp41部分との間の、それぞれmEnv+及びcEnvアミノ酸配列中の丸で囲んだ残基として変異残基を示す、図1B及び1Cを参照のこと)。これらの最適化gp140 Envポリペプチドは、タンパク質発現を最大化するために、シグナル/リーダー配列をさらに有し得る(例えば、それぞれ図1B及び1C中に境界を確定された、mEnv+又はcEnvのシグナル/リーダー配列を参照のこと)。さらに、これらの最適化gp140 Envポリペプチドは、例えばトリマー形成ドメインの上流(N末端側)に組み込まれ得る第Xa因子切断部位(SRIEGR)を含み得る(例えば、それぞれmEnv+及びcEnvのアミノ酸配列中の第Xa因子切断部位の位置を示す、図1B及び1Cを参照のこと)。本明細書で以下に議論するように、本発明の安定化トリマーは、好ましくはホモトリマー(例えば、三つの同一のポリペプチドから構成されるトリマー)である。本発明のヘテロトリマー(例えば、全て同一でない三つのポリペプチドから構成されるトリマー)もまた想定される。
【0051】
本発明の安定化トリマーは、好ましくは、例えば三つのgp140ポリペプチドを含む安定化ホモトリマーであり、これらのgp140ポリペプチドの各々は、配列番号2(mEnv+)と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列又は配列番号2(mEnv+)の配列を含む。本発明は、三つのgp140ポリペプチドを含む安定化ホモトリマーもまた特徴とし、これらのgp140ポリペプチドの各々は、配列番号1(mEnv)又は配列番号3(cEnv)又は配列番号4又は配列番号5の配列を実質的に(例えば、99%以上の同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号1(mEnv)又は配列番号3(cEnv)又は配列番号4又は配列番号5の配列を含む。本発明の例示的なホモトリマーには、以下の表1中のトリマー1、2及び3が含まれる。
【0052】
あるいは、本発明の安定化トリマーは、安定化ヘテロトリマーであり得る。例えば、この安定化トリマーは、二つの異なるモザイクEnv1配列の組合せ(例えば、一つのmEnv及び二つのmEnv+;二つのmEnv及び一つのmEnv+;又は一つのmEnv、一つのmEnv+、及びcEnv)を含む安定化ヘテロトリマーであり得る。幾つかの例では、この安定化ヘテロトリマーは、cEnv及び二つの同じEnv1ポリペプチド(例えば、二つのmEnv及び一つのcEnv;二つのmEnv+及び一つのcEnv)を含む。他の例では、この安定化ヘテロトリマーは、一つのcEnv及び二つの異なるモザイクEnv1ポリペプチド(例えば、一つのcEnv、一つのmEnv及び一つのmEnv+)を含む。
【0053】
あるいは、この安定化ヘテロトリマーは、配列番号4(モザイクgp140 Env2、「mEnv2」)又は配列番号5(モザイクgp140 Env3、「mEnv3」)のアミノ酸配列を含む一つ、2つ又は三つの構成要素Envポリペプチドを含み得る。好ましくは、mEnv2又はmEnv3は、上で議論され、図1A〜1C中に示されるような、各々がトリマー形成ドメインを有するmEnv、mEnv+又はcEnvと同様の方法で改変される。従って、本発明の他の安定化ヘテロトリマーには、以下の構成要素ポリペプチドを有するトリマーが含まれる:一つのmEnv及び二つのmEnv2;二つのmEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv+及び二つのmEnv2;二つのmEnv+及び一つのmEnv2;一つのcEnv及び二つのmEnv2;二つのcEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv、一つのmEnv+及び一つのmEnv2;一つのmEnv、一つのcEnv及びmEnv2;一つのmEnv+、一つのcEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv及び二つのmEnv3;二つのmEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv+及び二つのmEnv3;二つのmEnv+及び一つのmEnv3;一つのcEnv及び二つのmEnv3;二つのcEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのmEnv+及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのcEnv及びmEnv3;一つのmEnv+、一つのcEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのmEnv2及び一つのmEnv3;一つのmEnv+、一つのmEnv2及び一つのmEnv3;又は一つのcEnv、一つのmEnv2及び一つのmEnv3。本発明の例示的なヘテロトリマーには、以下の表1中のトリマー4〜31が含まれる。
【0054】
【表1】
【0055】
本発明の安定化gp140 Envトリマー組成物
上記したもの等の本発明の安定化gp140 Envトリマーのいずれか一つが、組成物(例えば、医薬組成物)中に含まれ得る。従って、本発明は、上記安定化gp140 Envトリマーの少なくとも一つを含む組成物を特徴とする(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の異なる型の安定化gp140 Envトリマーが、単一の組成物又はワクチン中に含まれ得る)。例えば、mEnv又はmEnv+のホモトリマーを含む組成物は、さらなる安定化トリマー形態、例えば、三つのgp140ポリペプチドを含むさらなる安定化トリマー形態をさらに含み得、これらのgp140ポリペプチドの各々は、配列番号3(cEnv)と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するアミノ酸配列又は配列番号3(cEnv)の配列を含む。
【0056】
これらの組成物は、三つのモザイクEnv1ポリペプチド、例えば、mEnvの三つのポリペプチド又はmEnv+の三つのポリペプチド又は三つの最適化クレードC Envポリペプチド、例えば配列番号3のcEnvポリペプチドを含む、安定化ホモトリマーを含み得る。
【0057】
あるいは、これらの組成物は、安定化ヘテロトリマーもまた含み得る。例えば、この組成物(例えば、ワクチン)は、二つの異なるモザイクEnv1配列の組合せ(例えば、一つのmEnv及び二つのmEnv+;並びに二つのmEnv及び一つのmEnv+)を含む少なくとも一つの安定化ヘテロトリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、この組成物(例えば、ワクチン)は、cEnv及びEnv1ポリペプチド(例えば、二つのmEnv及び一つのcEnv;二つのmEnv+及び一つのcEnv;二つのcEnv及び一つのmEnv;並びに二つのcEnv及び一つのmEnv+)を含む少なくとも一つの安定化ヘテロトリマーを含む。他の実施形態では、これらの組成物は、一つのcEnv及び二つの異なるモザイクEnv1ポリペプチド(例えば、一つのcEnv、一つのmEnv及び一つのmEnv+)を含む少なくとも一つの安定化ヘテロトリマーを含む。
【0058】
任意に、これらの組成物は、配列番号4(モザイクgp140 Env2、「mEnv2」)又は配列番号5(モザイクgp140 Env3、「mEnv3」)のアミノ酸配列を含む一つ、2つ又は三つの構成要素Envポリペプチドを有する少なくとも一つの安定化ヘテロトリマーを含み得る。上述のように、好ましくは、mEnv2又はmEnv3は、上で議論され、図1A〜1C中に示されるように、各々がトリマー形成ドメインを有するmEnv、mEnv+又はcEnvと同様の方法で改変され得る、及び好ましくは改変されている。従って、本発明の他のワクチンは、以下の構成要素ポリペプチドを有する安定化ヘテロトリマーを含み得る:一つのmEnv及び二つのmEnv2;二つのmEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv+及び二つのmEnv2;二つのmEnv+及び一つのmEnv2;一つのcEnv及び二つのmEnv2;二つのcEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv、一つのmEnv+及び一つのmEnv2;一つのmEnv、一つのcEnv及びmEnv2;一つのmEnv+、一つのcEnv及び一つのmEnv2;一つのmEnv及び二つのmEnv3;二つのmEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv+及び二つのmEnv3;二つのmEnv+及び一つのmEnv3;一つのcEnv及び二つのmEnv3;二つのcEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのmEnv+及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのcEnv及びmEnv3;一つのmEnv+、一つのcEnv及び一つのmEnv3;一つのmEnv、一つのmEnv2及び一つのmEnv3;一つのmEnv+、一つのmEnv2及び一つのmEnv3;又は一つのcEnv、一つのmEnv2及び一つのmEnv3。
【0059】
本発明の組成物のいずれか一つは、薬学的に許容可能な担体、賦形剤若しくは希釈剤、及び/又はアジュバントをさらに含み得る。
【0060】
本発明の安定化gp140 Envトリマーワクチン
本発明は、本明細書及び上に記載される本発明の組成物の少なくとも一つを含むワクチンを特徴とする。ワクチンは、それを必要とする被験者において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を処置するため又はそのリスクを低減させるために、使用され得る。例えば、このワクチンは、被験者への投与後に中和性抗HIV抗血清(例えば、中和性抗HIV-1抗血清)の生産を惹起し得る。これらの抗HIV抗血清は、例えば、クレードA、クレードB及びクレードCのいずれか一つ以上から選択されるHIV(例えば、HIV-1)を中和することもまた可能であり得る。
【0061】
本発明の核酸分子
幾つかの実施形態では、本発明のワクチンは、一つ以上の本発明の核酸分子、例えば、gp140ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸分子を含み、このgp140ポリペプチドは、(a)配列番号1に対して少なくとも95%の同一性(例えば、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列、(b)配列番号2に対して少なくとも95%の同一性(例えば、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列、及び/若しくは(c)配列番号3の配列を有するアミノ酸配列、(d)配列番号4の配列を有するアミノ酸配列、(e)配列番号5の配列を有するアミノ酸配列、並びに/又はそれらの組合せを含む。以下で議論するように、本発明のベクター(例えば、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルス又はポックスウイルスベクター)は、これらの核酸分子の一つ以上を含み得る。従って、本発明のワクチンは、これらのベクターの一つ以上を含み得る。本発明の安定化gp140 Envトリマーポリペプチド、並びに一つ以上の最適化gp140 Envポリペプチドを取り込むワクチン、核酸及びベクターは、細胞若しくは生物において組換え発現され得るか、又はHIV(例えば、HIV-1)に感染した若しくはHIV(例えば、HIV-1)に感染するリスクがある被験者(例えば、ヒト)に、直接投与され得る。
【0062】
本発明のベクター
上述のように、本発明は、本発明の核酸分子の一つ以上を含むベクターを特徴とする。このベクターは、例えば、本発明の核酸分子の一つ以上を含む担体(例えば、リポソーム)、プラスミド、コスミド、酵母人工染色体又はウイルス(例えば、アデノウイルスベクター若しくはポックスウイルスベクター)であり得る。
【0063】
本発明のアデノウイルスベクターは、組換えアデノウイルス血清型11(Ad11)、アデノウイルス血清型15(Ad15)、アデノウイルス血清型24(Ad24)、アデノウイルス血清型26(Ad26)、アデノウイルス血清型34(Ad34)、アデノウイルス血清型35(Ad35)、アデノウイルス血清型48(Ad48)、アデノウイルス血清型49(Ad49)、アデノウイルス血清型50(Ad50)、Pan9(AdC68)又はそれらのキメラ変異体(例えば、アデノウイルス血清型5 HVR48(Ad5HVR48))に由来し得る。本発明のポックスウイルスベクターは、例えば、改変ワクシニアウイルスAnkara(MVA)に由来し得る。これらのベクターは、いくつかの供給源由来のさらなる核酸配列を含み得る。
【0064】
本発明のベクターは、本分野で公知の任意の組換え分子生物学技術を使用して構築され得る。このベクターは、標的細胞又は生物のトランスフェクション又は形質導入の際に、染色体外であり得るか、又は宿主細胞染色体中に組み込まれ得る。ベクターの核酸成分は、標的細胞一つ当たり単一又は複数のコピー数で存在し得、線状、環状又はコンカテマー化であり得る。これらのベクターは、単一の核酸転写物からの複数のペプチド鎖又はポリペプチド鎖の発現を可能にするために、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列もまた含み得る(例えば、ポリシストロニックベクター、例えば、ビシストロニックベクター又はトリシストロニックベクター)。
【0065】
本発明のベクターは、本発明のコードされたポリペプチド(複数可)(例えば、配列番号1(mEnv)、2(mEnv+)、3(cEnv)、4及び/若しくは5、又は配列番号1若しくは2に対して少なくとも90%、91%、92$、93&、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド)の発現を促進する遺伝子発現エレメントもまた含み得る。遺伝子発現エレメントには、(a)調節配列、例えば、ウイルス転写プロモーター及びそれらのエンハンサーエレメント、例えば、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスLTR及びモロニーマウス白血病ウイルスLTR、(b)スプライス領域及びポリアデニル化部位、例えば、SV40後期領域由来のもの、並びに(c)例えばSV40中のポリアデニル化部位、が含まれるがこれらに限定されない。プラスミド複製起点、抗生物質耐性又は選択遺伝子、多重クローニング部位(例えば、制限酵素切断遺伝子座)及び他のウイルス遺伝子配列(例えば、ウイルスの構造的、機能的又は調節エレメント、例えば、HIV末端反復配列(LTR)をコードする配列)もまた含まれる。
【0066】
例示的なベクターが以下に記載される。
【0067】
アデノウイルスベクター
組換えアデノウイルスは、例えば、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上の発現のためのベクターとしての使用のための、いくつかの顕著な利点を提供する。これらのウイルスは、高い力価になるように調製され得、非複製細胞に感染し得、標的細胞集団との接触後にex vivoで標的細胞の高効率の形質導入を与え得る。さらに、アデノウイルスは、それらのDNAを宿主ゲノム中に組み込まない。従って、発現ベクターとしてのそれらの使用は、自発的増殖障害を誘導するリスクを低減する。動物モデルでは、アデノウイルスベクターは、およそ1週間にわたって高レベル発現を媒介することが一般に見出されている。導入遺伝子発現(本発明の核酸分子の発現)の持続時間は、細胞又は組織特異的プロモーターを使用することによって延長され得る。アデノウイルスベクター自体の分子操作における他の改善は、より持続性の導入遺伝子発現及びより少ない炎症をもたらしている。これは、さらなる初期アデノウイルス遺伝子中に特異的変異を有するいわゆる「第二世代」ベクター、及び「ガットレス(gutless)」ベクターで見られ、これらのベクターでは、事実上全てのウイルス遺伝子が、Cre-Lox戦略を利用して欠失される(各々参照によって本明細書に組み込まれるEngelhardtら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6196(1994)及びKochanekら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:5731(1996))。
【0068】
各々参照によって本明細書に組み込まれる国際特許出願公開WO2006/040330及びWO 2007/104792中に開示される稀な血清型及びキメラアデノウイルスベクターが、本発明のベクターとして特に有用である。例えば、組換えアデノウイルス血清型11(Ad11)、アデノウイルス血清型15(Ad15)、アデノウイルス血清型24(Ad24)、アデノウイルス血清型26(Ad26)、アデノウイルス血清型34(Ad34)、アデノウイルス血清型35(Ad35)、アデノウイルス血清型48(Ad48)、アデノウイルス血清型49(Ad49)、アデノウイルス血清型50(Ad50)、Pan9(AdC68)又はそれらのキメラ変異体(例えば、アデノウイルス血清型5 HVR48(Ad5HVR48))は、gp140 Envトリマーの形成及びgp140 Envトリマー形成の提示を促進するために、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上をコード及び/又は送達し得る。幾つかの実施形態では、一つ以上の組換えアデノウイルスベクターが、本発明の安定化トリマーの形成のためにgp140 Envポリペプチドを発現させるために、被験者に投与され得る。
【0069】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
非病原性パルボウイルス由来のアデノ随伴ウイルス(AAV)もまた、これらのベクターが、抗ベクター細胞性免疫応答をほとんど惹起せず、ほとんどの実験系において数カ月間持続する導入遺伝子発現を生じるため、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上の送達及び/又は発現を促進するために使用され得る。
【0070】
本発明の安定化トリマーは、AAVベクターを使用して、本明細書に記載されるgp140 Envポリペプチドの発現の際に生産され得る。
【0071】
レトロウイルスベクター
レトロウイルスは、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの発現に有用である。アデノウイルスとは異なり、レトロウイルスゲノムは、RNAに基づく。レトロウイルスは、細胞に感染するとき、そのRNAを細胞中にいくつかの酵素と一緒に導入する。レトロウイルス由来のウイルスRNA分子は、逆転写と呼ばれるプロセスを介して、プロウイルスと呼ばれる二本鎖DNAコピーを産生する。細胞核中への輸送の後に、プロウイルスDNAは、宿主細胞染色体中に組み込まれ、形質導入された細胞及びこの細胞に由来し得る任意の子孫細胞のゲノムを恒久的に変更する。細胞又は生物中に遺伝子を恒久的に導入する能力は、遺伝子治療に使用されるレトロウイルスをよく表す特徴である。レトロウイルスには、ウイルス感染及びプロウイルス組込みを促進するためのいくつかのアクセサリータンパク質を含むヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含むウイルスの科であるレンチウイルスが含まれる。現在、「第三世代」レンチウイルスベクターは、全くの複製無能、広いトロピズム、及び哺乳動物細胞に対する増加した遺伝子移入能力を特徴とする(例えば、各々参照によって本明細書に組み込まれるMangeat及びTrono, Human Gene Therapy 16(8):913(2005)並びにWiznerowicz及びTrono, Trends Biotechnol. 23(1):42(2005)を参照のこと)。
【0072】
本発明の安定化トリマーは、レトロウイルスベクターを使用して、本明細書に記載されるgp140 Envポリペプチドの発現の際に産生され得る。
【0073】
他のウイルスベクター
アデノウイルス及びレトロウイルスベクターに加えて、本発明のトリマーの形成を促進するために、細胞(例えば、血球、例えば白血球)又は被験者(例えば、ヒト)における本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上の送達及び/又は発現を促進するために使用され得る他のウイルスベクター及び技術が、本分野で公知である。これらのウイルスには、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス及び改変ワクシニアウイルスAnkara(MVA);例えば、各々参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,603,112号及び米国特許第5,762,938号を参照のこと)、ヘルペスウイルス、トガウイルス(例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス;例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,643,576号を参照のこと)、ピコルナウイルス(例えば、ポリオウイルス;例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,639,649号を参照のこと)、バキュロウイルス、並びにWattanapitayakul及びBauer(参照によって本明細書に組み込まれるBiomed. Pharmacother. 54:487(2000))に記載される他のウイルス、が含まれる。
【0074】
ネイキッドDNA及びオリゴヌクレオチド
本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上をコードするネイキッドDNA又はオリゴヌクレオチドもまた、本発明のトリマーの形成を促進するために、細胞又は被験者(例えば、ヒト)においてこれらのポリペプチドを発現させるためにも使用され得る。例えば、各々参照によって本明細書に組み込まれるCohen, Science 259:1691-1692(1993);Fynanら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:11478(1993);及びWolffら, BioTechniques 11:474485(1991)を参照のこと。これは、非ウイルス性トランスフェクションの最も単純な方法である。ネイキッドDNAの送達のための効率的な方法、例えば、エレクトロポレーション、並びに高圧ガス及び担体粒子(例えば、金)を使用して細胞中にDNAコーティングされた金粒子を射ち込む「遺伝子銃」の使用、が存在する。
【0075】
リポプレックス及びポリプレックス
本発明のトリマーの形成を促進するための、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上をコードする核酸の、細胞又は被験者中への送達を改善するために、リポプレックス(例えば、リポソーム)及びポリプレックスが、トランスフェクションプロセスの間の望ましくない分解から核酸を保護するために使用され得る。これらの核酸分子は、ミセル又はリポソーム等の組織化された構造の脂質で覆われ得る。組織化された構造が核酸分子と複合体化される場合、これはリポプレックスと呼ばれる。三つの型の脂質が存在する:アニオン性(負に荷電している)、中性又はカチオン性(正に荷電している)。カチオン性脂質を利用するリポプレックスは、遺伝子移入に対する有用性が証明されている。カチオン性脂質は、それらの正の電荷に起因して、負に荷電した核酸と自然に複合体化する。また、それらの電荷の結果として、これらは、細胞膜と相互作用し、リポプレックスのエンドサイトーシスが生じ、核酸が細胞質中に放出される。これらのカチオン性脂質は、細胞による核酸の分解に対しても保護する。
【0076】
ポリマーと核酸との複合体は、ポリプレックスと呼ばれる。ほとんどのポリプレックスは、カチオン性ポリマーからなり、その生産は、イオン性相互作用によって調節される。ポリプレックスとリポプレックスの作用の方法の間の一つの大きな差異は、ポリプレックスが細胞質中にその核酸積載物を放出できず、従ってこの目的を達成するために、不活化アデノウイルス等のエンドソーム溶解剤(エンドサイトーシスの間に形成されるエンドソームを溶解するため)との同時トランスフェクションが行われる必要があることである。しかし、必ずしもこの限りではなく、ポリエチレンイミン等のポリマーは、キトサン及びトリメチルキトサンと同様、その独自のエンドソーム破壊方法を有する。
【0077】
リポプレックス又はポリプレックスを形成するために、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上をコードする核酸分子の一つ以上と組み合わせて使用され得る例示的なカチオン性脂質及びポリマーには、ポリエチレンイミン、リポフェクチン、リポフェクタミン、ポリリシン、キトサン、トリメチルキトサン及びアルギネートが含まれるがこれらに限定されない。
【0078】
ハイブリッド法
遺伝子移入のいくつかのハイブリッド法は、2つ以上の技術を組み合わせる。ビロソームは、例えば、リポプレックス(例えば、リポソーム)を不活化ウイルスと組み合わせる。このアプローチは、ウイルス法単独又はリポソーム法単独のいずれかと比較して、呼吸器上皮細胞においてより効率的な遺伝子移入を生じることが示されている。他の方法は、他のウイルスベクターをカチオン性脂質と混合すること、又はウイルスをハイブリダイズすることを含む。これらの方法の各々は、本発明のトリマーの形成を促進するために、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上をコードする本発明の核酸分子の一つ以上を、細胞又は被験者中への移入を促進するために使用され得る。
【0079】
デンドリマー
デンドリマーもまた、本発明のトリマーの形成を促進するために、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上をコードする本発明の核酸分子の一つ以上を、細胞又は被験者中へ移入するために使用され得る。デンドリマーは、球状形状を有する高度に分岐した高分子である。その粒子の表面は、多くの方法で官能化され得、得られた構築物の特性の多くはその表面によって決定される。特に、カチオン性デンドリマー(即ち、正の表面電荷を有するもの)を構築することが可能である。遺伝子材料(例えば、核酸分子)の存在下にあるとき、電荷の相補性が、核酸とカチオン性デンドリマーとの一時的会合をもたらす。その後、その目的地に達する途上で、デンドリマー-核酸複合体は、エンドサイトーシスを介して細胞中に取り込まれる。
【0080】
本発明の組成物を使用した処置の方法
in vivo投与
本発明は、治療有効量の一つ以上の本発明の組成物(即ち、本明細書に記載されるワクチン、ベクター、安定化トリマー(複数可)、核酸、ポリペプチド、安定化トリマー、又はそれらの他の組成物)の、それを必要とする被験者(例えば、ヒト、例えば、HIVに感染したヒト又はHIV感染のリスクがあるヒト)へのin vivo投与のための方法を特徴とする。本発明の組成物一つ以上を被験者に投与すると、本発明の安定化トリマーは、ウイルス免疫原に対する防御的又は治療的免疫応答(例えば、細胞性又は体液性免疫応答、例えば、中和性抗HIV抗血清の生産、例えば、クレードA、クレードB及び/又はクレードCのHIVから選択されるHIVを中和する抗HIV抗血清)を惹起し得る。
【0081】
この方法は、それを必要とする被験者においてHIV感染を処置するため又はそのリスクを低減するために使用され得る。被験者は、HIVに感染していてもよく、又はHIVへの曝露のリスクがあり得る。本発明の組成物は、AIDSを処置するために、HIVに感染した被験者に投与され得る。本発明の組成物を使用して処置され得る、AIDS等のウイルス感染によって引き起こされる疾患の症状の例には、例えば、発熱、筋肉痛、咳嗽、くしゃみ、鼻汁、咽喉痛、頭痛、悪寒、下痢、嘔吐、発疹、脱力感、めまい、皮膚の下の、内部臓器中の、又は口、目若しくは耳等の身体開口部からの出血、ショック、神経系機能不全、せん妄、発作、腎(腎臓)不全、人格変化、頚部のこわばり、脱水症状、発作、嗜眠、四肢の麻痺、錯乱、背部痛、感覚の喪失、膀胱及び腸の機能障害、並びに昏睡又は死へと進行し得る眠気が含まれる。これらの症状、及び処置の間のそれらの回復は、例えば、身体検査の間に医師によって、又は本分野で公知の他の試験及び方法によって、測定され得る。
【0082】
被験者がHIVに感染している場合、この方法は、HIV媒介活性(例えば、感染、融合(例えば、標的細胞侵入及び/又はシンシチウム形成)、ウイルス伝播等)を低減させるため、及び/又は被験者におけるHIV力価を減少させるために、使用され得る。HIV媒介活性及び/又はHIV力価は、対照被験者(例えば、未処置の被験者又はプラセボで処置した被験者)のものと比較して、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%又はそれ以上、減少され得る。
【0083】
本発明の組成物の一つ以上は、HIV感染のリスクがある被験者(例えば、ヒト)の予防的処置のためのワクチンの形態でも、投与され得る。
【0084】
本明細書に記載される方法において利用され得る組成物は、例えば、筋肉内に、静脈内に、皮内に、経皮的に、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、膣内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、皮下に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、臍内に、眼内に、経口的に、局所的に、局在的に、吸入によって、注射によって、注入によって、連続的な注入によって、標的細胞を直接的に入浴させる局在的な灌流によって、カテーテルによって、洗浄によって、経管栄養によって、クリームで、又は脂質組成物での投与のために、製剤化され得る。
【0085】
投与の好ましい方法は、種々の因子(例えば、投与される組成物の成分及び処置される状態の重症度)に依存して変動し得る。経口投与又は経鼻投与に適した製剤は、所定の量の本発明のキメラAd5ベクター組成物を各々が含む、希釈剤(例えば、水、生理食塩水又はPEG-400)中に溶解された有効量の組成物等の液体溶液、カプセル剤、サシェ剤(sachet)、錠剤又はゲルからなり得る。医薬組成物は、例えば気管支通路への吸入のためのエアロゾル製剤でもあり得る。エアロゾル製剤は、加圧された薬学的に許容可能な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン又は窒素)と混合され得る。特に、吸入による投与は、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、又は任意の他の生物学的に適合性の噴霧剤ガスと一緒に、例えばソルビタントリオレエート又はオレイン酸を含むエアロゾル使用することによって、達成され得る。
【0086】
本発明の組成物の免疫原性は、免疫賦活剤又はアジュバントと同時投与される場合、顕著に改善され得る。当業者に周知の適切なアジュバントには、例えば、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、QS21、Quil A(並びにその誘導体及び成分)、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、糖脂質アナログ、アミノ酸のオクトデシル(octodecyl)エステル、ムラミルジペプチド、ポリホスファゼン、リポタンパク質、ISCOMマトリックス、DC-Chol、DDA、サイトカイン、Adju-Phos、Matrix M、CpG/Emulsigen、並びに他のアジュバント及びそれらの誘導体が含まれる。
【0087】
本明細書に記載される本発明に従う組成物は、投与(例えば、標的化送達)の際に即座に、又は制御放出製剤若しくは徐放製剤を使用して投与後の任意の所定の期間において、組成物を放出するように製剤化され得る。制御放出製剤又は徐放製剤での組成物の投与は、この組成物が、単独又は組み合わせてのいずれかで以下を有する場合に有用である:(i)狭い治療指数(例えば、有害な副作用又は毒性反応をもたらす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度との間の差が小さい、一般に、治療指数TIは、半数有効量(ED50)に対する半数致死量(LD50)の比率として規定される)、(ii)放出の部位(例えば、胃腸管)における狭い吸収ウインドウ、又は(iii)治療レベルを維持するために、一日の間に頻繁な投薬が必要とされるほどの、短い生物学的半減期。
【0088】
多くの戦略が、放出の速度が医薬組成物の代謝の速度を上回る制御放出又は徐放を得るために、追求され得る。例えば、制御放出は、例えば、適切な制御放出組成物及びコーティングを含む、製剤のパラメーター及び成分の適切な選択によって得ることができる。適切な製剤は、当業者に公知である。例には、単一又は複数の単位錠剤又はカプセル剤組成物、油溶液、懸濁液、乳濁液、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ及びリポソームが含まれる。
【0089】
本発明の組成物は、感染前の予防を提供するために、又は被験者がHIV感染若しくはHIV感染へと追跡可能な病因を有する疾患(例えば、AIDS)を有すると診断された後に、投与され得る。この組成物は、感染前又は診断前に、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、35、40、45、50、55若しくは60分間、2、4、6、10、15若しくは24時間、2、3、5若しくは7日間、2、4、6若しくは8週間、又はさらには3、4若しくは6カ月間投与され得、あるいはHIVへの感染後又は診断後に15〜30分間又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、20、24、48若しくは72時間、2、3、5若しくは7日間、2、4、6若しくは8週間、3、4、6若しくは9カ月間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15若しくは20年間又はそれよりも長く、被験者に投与され得る。この被験者には、単一用量の組成物(複数可)(又は例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくはそれよりも多くの用量)が投与され得、又はこの被験者には、毎日、毎週、毎月、若しくは毎年、少なくとも一用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれよりも多くの用量)が投与され得る。投与期間は、規定され得(例えば、1〜4週間、1〜12カ月間、1〜20年間)、又は被験者の一生であり得る。この組成物(複数可)はまた、初回免疫若しくは追加免疫組成物として、又は初回免疫−追加免疫計画において、前記被験者に投与され得る。好ましい一実施形態では、本発明の組成物(例えば、ワクチン)は、初回免疫としてのさらなる組成物(例えば、ワクチン)の投与後に、追加免疫として投与され、この初回免疫は、配列番号6に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)又は配列番号6の配列を有するポリペプチドをコードする第一の核酸分子を含む第一のベクターを少なくとも含み、任意に、配列番号7に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)又は配列番号7の配列を有するポリペプチドをコードする第二の核酸分子を含む第二のベクターを含む。この計画における追加免疫は、本発明の組成物(複数可)(例えば、本発明の安定化トリマー、組成物、ワクチン、核酸分子及び/又はベクターのいずれか一つ)の一つ以上を含む。なお他の実施形態では、この初回免疫は、配列番号8〜32のいずれか一つの配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む第一のベクターを少なくとも含む。あるいは、本発明の組成物(例えば、ワクチン)は、初回免疫として投与される。本発明の組成物が初回免疫として投与される幾つかの実施形態では、異なるワクチン(例えば、配列番号6に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性)又は配列番号6の配列を有するポリペプチドをコードする第一の核酸分子を含む第一のベクターを少なくとも含み、任意に、配列番号7に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性)又は配列番号7の配列を有するポリペプチドをコードする第二の核酸分子を含む第二のベクターを含むワクチン、又は配列番号8〜32のいずれか一つの配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む第一のベクターを少なくとも含むワクチン)が、追加免疫として投与される。
【0090】
疾患(例えば、AIDS)を処置する場合、本発明の組成物は、症状の発生若しくは確定診断の前、又は診断若しくは症状が明らかになった後のいずれかに、被験者に投与され得る。例えば、この組成物は、例えば、診断若しくは症状の臨床的認識の直後に、あるいは診断若しくは症状の検出の2、4、6、10、15若しくは24時間、2、3、5若しくは7日間、2、4、6若しくは8週間、又はさらには3、4若しくは6カ月間後に投与され得る。
【0091】
HIVに感染したヒト及び非ヒト患者のin vivo処置のために、この患者には、本発明の組成物を含む医薬品製剤が投与又は提供され得る。in vivo治療に使用される場合、本発明の組成物は、治療有効量(即ち、患者のウイルス負荷を排除又は低減する量)で患者に投与され得る。これらの組成物は、公知の方法にしたがって、例えば静脈内投与等、例えばボーラス又は一定の期間にわたる連続的注入によって、又は筋肉内、腹腔内、脳脊髄内(intracerobrospinal)、皮下、関節内、滑液嚢内(intrasynovial)、くも膜下腔内、経口、局所的若しくは吸入経路によって、ヒト患者に投与され得る。これらの組成物は、可能な場合、標的細胞部位において、非経口的に、又は静脈内に投与され得る。組成物の静脈内又は皮下投与は、ある特定の実施形態で好ましい。本発明の治療組成物は、全身的に、非経口的に又は局在的に、患者又は被験者に投与され得る。
【0092】
これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌され得るか、又は滅菌濾過され得る。得られた水溶液は、そのまま使用のために包装され得るか又は凍結乾燥され得、凍結乾燥された調製物は、粉末形態で投与され得るか、又は投与の前に、滅菌水性担体と組み合わされ得る。これらの調製物のpHは、典型的には、3と11との間、より好ましくは5と9との間又は6と8との間、最も好ましくは7と8との間、例えば7〜7.5である。固体形態で得られた組成物は、複数の単一用量単位で包装され得、その単一用量単位の各々は、錠剤若しくはカプセル剤の密封包装中、又は一つ以上の用量を投与することが可能な適切等ライパウダー吸入器(DPI)中等に、固定量の、本発明の安定化トリマーの一つ以上及び/又は本発明の本発明の安定化トリマーの一つ以上の形成を支持するために必要とされる最適化gp140 Env核酸の任意の一つ以上を含み、所望に応じて、1種以上の免疫調節剤を含む。
【0093】
用量
本発明の組成物(例えば、本発明の安定化gp140 Envトリマーの一つ以上を含むワクチン)の用量又は本発明の組成物を使用する処置の数は、被験者におけるHIV感染及び/又はHIV感染に関連する疾患(例えば、AIDS)の重症度、発生又は進行に基づいて(例えば、上記HIV感染/AIDSの一つ以上の症状の重症度に基づいて)、増加又は減少され得る。
【0094】
本発明の安定化gp140 Envトリマー組成物は、HIV若しくはHIVの標的タンパク質(例えば、gp140)に対する免疫原性効果及び/又は防御効果を提供する治療有効量で投与され得る。この被験者には、例えば、非ベクター化組成物中の本発明のポリペプチド組成物(例えば、本発明の安定化gp140 Envトリマー)が投与され得る。投与されるポリペプチド組成物は、およそ1μgと1mgとの間の安定化Envトリマー、より好ましくは50μgと300μgの間の本発明の安定化Envトリマーを含み得る。
【0095】
あるいは、この被験者には、ウイルスベクターの形態で、少なくとも約1×103ウイルス粒子(vp)/用量又は1×101vp/用量と1×1014vp/用量との間、好ましくは1×103vp/用量と1×1012vp/用量との間、より好ましくは1×105vp/用量と1×1011vp/用量との間が投与され得る。
【0096】
ウイルス粒子は、本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上をコードする核酸分子を含み、保護的コート(ヘキソン(hexon)及び線維タンパク質を有するタンパク質ベースのカプシド)によって取り囲まれる。ウイルス粒子数は、例えば、ベクター粒子の溶解と、その後の260nmにおける吸光度の測定とに基づいて測定され得る(例えば、Steel, Curr. Opin. Biotech., 1999を参照のこと)。
【0097】
投与される用量は、処置される被験者(例えば、処置される被験者の年齢、体重、免疫系の能力、及び全般的健康)、投与の形態(例えば、固体又は液体として)、投与の様式(例えば、注射、吸入、乾燥粉末噴霧剤による)、及び標的化される細胞(例えば、上皮細胞、例えば、血管上皮細胞、鼻上皮細胞又は肺上皮細胞)に依存する。この組成物は、好ましくは、十分なレベルの安定化gp140 Envトリマー遺伝子産物(例えば、免疫原性トリマーによって引き起こされる被験者における過度に有害な生理学的影響なしに免疫応答を惹起する安定化gp140 Envトリマーのレベル)を提供する量で投与される。
【0098】
さらに、本発明の組成物の単一又は複数回の投与が、被験者に(感染前若しくは感染後に、及び/又は診断前若しくは診断後に)与えられ得る(例えば、1回の投与又は2回以上の投与)。例えば、例えばHIV感染に対して特に感受性である被験者は、ウイルスに対する防御を確立及び/又は維持するために、複数回の処置を必要とし得る。本明細書に記載される医薬組成物によって提供される誘導された免疫のレベルは、例えば、中和性の抗HIV分泌抗体及び血清抗体の量を測定することによって、モニタリングされ得る。次いで、これらの用量は、所望のレベルの免疫応答を誘発するために、必要に応じて調整又は反復され得る。例えば、本発明の組成物の単回投与(初回免疫)によって誘発される免疫応答は、有効な防御を提供するために、十分に強力及び/又は持続性でない可能性がある。従って、幾つかの実施形態では、初回免疫追加免疫計画が確立されるような反復される投与(追加免疫)が、組成物の抗原に対する体液性及び細胞性応答を顕著に増強し得る。
【0099】
あるいは、組換え治療に適用される場合、処置の効力は、本発明の組成物の投与後に被験者(例えば、ヒト)によって発現される又は被験者(例えば、ヒト)中に存在する一つ以上の最適化gp140 Envトリマーのレベルをモニタリングすることによって決定され得る。例えば、被験者の血液又はリンパ液は、例えば、本分野で公知の標準的なアッセイ(例えば、Pestka Biomedical Laboratories(PBL)、Piscataway、New JerseyのHuman Interferon-Alpha Multi-Species ELISAキット(製品番号41105)及びHuman Interferon-Alpha Serum Sampleキット(製品番号41110)を参照のこと)を使用して、免疫原性トリマー(複数可)について試験され得る。
【0100】
単一用量の本発明の組成物の一つ以上は、感染前又は診断前に防御を達成し得る。さらに、感染後又は診断後に投与される単一用量は、本発明に従う処置として機能し得る。
【0101】
単一用量の本発明の組成物の一つ以上は、疾患について処置される被験者において治療を達成するためにも使用され得る。複数の用量(例えば、2、3、4、5又はそれ以上の用量)もまた、必要に応じてこれらの被験者に投与され得る。
【0102】
担体、賦形剤、希釈剤
本発明の組成物(例えば、ワクチン、ベクター、安定化トリマー(複数可)、核酸分子、等)の治療的製剤は、所望の程度の純度を有する活性成分を、任意に生理学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤と混合することによって、本分野で公知の標準的な方法を使用して調製され得る(Remington's Pharmaceutical Sciences(第20版)、編者A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA)。許容可能な担体には、生理食塩水、若しくは緩衝液、例えばホスフェート、シトレート及び他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン若しくはリシン;グルコース、マンノース若しくはデキストリンを含む、単糖、二糖及び他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトール若しくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えばナトリウム;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTM若しくはPEGが含まれる。
【0103】
任意に、しかし好ましくは、この製剤は、薬学的に許容可能な塩、好ましくは塩化ナトリウムを、好ましくはおよそ生理学的濃度で含む。任意に、本発明の製剤は、薬学的に許容可能な防腐剤を含み得る。幾つかの実施形態では、この防腐剤の濃度は、0.1〜2.0%、典型的にはv/vの範囲内である。適切な防腐剤には、医薬品分野で公知の防腐剤が含まれる。ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン及びプロピルパラベンが、好ましい防腐剤である。任意に、本発明の製剤は、0.005〜0.02%の濃度で、薬学的に許容可能な界面活性剤を含み得る。
【0104】
アジュバント
本発明の組成物(例えば、ワクチン、ベクター、安定化トリマー(複数可)、核酸分子等)のいずれか一つは、(例えば、それを必要とする被験者、例えば、HIVに感染した被験者又はHIV感染のリスクがある被験者への投与の際の)組成物の免疫原性を増加させるために、一つ以上の薬学的に許容可能なアジュバントを含むように製剤化され得、薬学的に許容可能なアジュバントと同時に投与され得、及び/又は薬学的に許容可能なアジュバントと連続して投与され得る。ヒト使用に承認されたアジュバントには、アルミニウム塩(ミョウバン)が含まれる。これらのアジュバントは、B型肝炎、ジフテリア、ポリオ、狂犬病及びインフルエンザを含む幾つかのワクチンに有用であった。他の有用なアジュバントには、フロインド完全アジュバント(CFA)、フロインド不完全アジュバント(IFA)、ムラミルジペプチド(MDP)、MDPの合成アナログ、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミル-L-アラニン-2-[1,2-ジパルミトイル-s-グリセロ-3-(ヒドロキシホスホリルオキシ)]エチルアミド(MTP-PE)、Adju-Phos、Matrix M、CpG/Emulsigen、並びに代謝可能な油及び乳化剤を含む組成物が含まれ、この油及び乳化剤は、その実質的に全てが直径1ミクロン未満である油滴を有する水中油乳濁物の形態で存在する。
【0105】
ex vivoトランスフェクション及び形質導入
本発明はまた、免疫原性特性を有する本発明の最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上の発現を可能にするために、細胞のex vivoトランスフェクション又は形質導入と、その後の被験者(例えば、ヒト)中へのこれらの細胞の戻し投与とを提供する。一実施形態では、これらの細胞は、処置される被験者にとって自己である。細胞は、処置される被験者における最適化gp140 Envポリペプチドの一つ以上の一時的又は永久的発現を可能にするために、例えば、一つ以上の本発明のベクターで、ex vivoでトランスフェクト又は形質導入され得る。これらの改変細胞を被験者に投与すると、一つ以上の本発明のベクターが発現され、形成するgp140免疫原性トリマー(単数又は複数)に対する防御的又は治療的免疫応答(例えば、細胞性又は体液性免疫応答、例えば、中和性抗HIV抗血清の産生)を惹起する。
【0106】
本発明の方法に従って単離及びex vivoでトランスフェクト又は形質導入され得る細胞には、血球、皮膚細胞、線維芽細胞、内皮細胞、骨格筋細胞、肝細胞、前立腺上皮細胞及び血管内皮細胞が含まれるがこれらに限定されない。幹細胞もまた、本発明のベクターでの形質導入又はトランスフェクションに適した細胞である。骨髄前駆細胞及び造血幹細胞(HSC)を含む、全能性、多能性(pluripotent)、多分化能性(multipotent)又は単能性幹細胞は、単離され得、及び例えば本発明のベクターでトランスフェクト又は形質導入され得、本発明の方法に従って被験者に投与され得る。
【0107】
トランスフェクション又は形質導入の方法は、トランスフェクト又は形質導入された細胞において、及び引き続いて、この細胞を受けとった被験者(例えば、ヒト)において、タンパク質発現(例えば、安定化gp140トリマー発現)の強度及び持続時間に対して、強い影響を有する。本発明は、性質が一時的(例えば、アデノウイルスベクター)又は長持続性(例えば、レトロウイルスベクター)であるベクターを提供する。タンパク質発現を調節するために使用され得る調節配列(例えば、プロモーター及びエンハンサー)が、本分野で公知である。トランスフェクト又は形質導入される細胞の型もまた、タンパク質発現の強度及び持続時間に対して、強い関連を有する。例えば、高い速度のターンオーバーを有する細胞型は、より短い期間のタンパク質発現を有すると予測され得る。
【0108】
組合せ治療
他の治療計画が、本発明の組成物の投与と組み合わされ得る。組み合わされる投与には、別々の製剤又は単一の医薬品製剤を使用する同時投与、及びいずれかの順序での連続的投与が含まれ、このとき、好ましくは、両方(又は全て)の活性剤がその生物学的活性を同時に発揮する期間が存在する。好ましくは、このような組み合わされた治療は、相乗的治療効果を生じる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物の投与を、感染性因子に関連する抗原に対する薬剤(例えば、抗体又は抗体断片)と組み合わせることが望ましい。受動免疫は、ウイルス疾患の予防及び処置のための有効且つ安全な戦略であることが証明されている(その各々が参照によって本明細書に組み込まれるKellerら, Clin. Microbiol. Rev. 13:602-14(2000)、Casadevall, Nat. Biotechnol. 20: 114(2002)、Shibataら, Nat. Med. 5:204-10(1999)及びIgarashiら, Nat. Med. 5:211-16(1999)を参照のこと)。ヒトモノクローナル抗体を使用する受動免疫は、HIVの緊急の予防及び処置のための即時処置戦略を提供し、本発明の組成物と一緒に組み合わせて使用され得る。HIV抗体及びその断片は、正常対照の未感染細胞及び組織と比較して、感染細胞に特異的に結合する又は優先的に結合する。従って、これらのHIV抗体は、例えば、本発明の組成物との組合せ治療の一部として、患者、生物学的試料又は細胞集団中の感染細胞又は組織を選択的に標的化するために使用され得る。
【0109】
例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国仮出願第61/886,932号は、HIVクレードCのEnvトリマーを開示しており、そのポリペプチドは、本発明のトリマーを形成するために、本明細書に開示されるポリペプチドと組み合わせて使用され得る。これもまた参照によって本明細書に組み込まれる米国仮出願第61/884,414号は、H332グリカン依存的抗体を使用して、HIVに感染した被験者を処置し、HIV感染のリスクがある被験者においてHIV感染を遮断する方法を開示している。これもまた参照によってその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願WO2012/030904は、HIVに対する広く中和性の抗体を開示しており、そのいずれかが、本発明に従って、それを必要とする被験者においてHIVを処置する方法において使用され得る。例示的な抗体には、VRC01、PGT121、PGT126、PG9、PG16及び3BNC117に含まれる。
【0110】
キット
本発明は、ウイルス感染を予防又は処置するための治療有効量で、本発明のワクチン、ベクター、安定化トリマー又は最適化ウイルスポリペプチド、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を含むキットを提供する。これらのキットは、臨床家(例えば、医師又は看護師)がその中に含まれる組成物を投与できるように説明書を含む。
【0111】
好ましくは、これらのキットは、有効量の本発明のワクチン、ベクター、安定化トリマー又は最適化ウイルスポリペプチドを含む単一用量医薬組成物(複数可)の複数の包装を含む。任意に、医薬組成物(複数可)を投与するために必要な機器又はデバイスが、これらのキット中に含まれ得る。例えば、本発明のキットは、有効量の本発明のワクチン、ベクター、安定化トリマー又は最適化ウイルスポリペプチドを含む一つ以上の予め充填されたシリンジを提供し得る。さらに、これらのキットは、本発明のワクチン、ベクター、安定化トリマー又は最適化ウイルスポリペプチドを含む医薬組成物(複数可)を使用するための、ウイルスに感染した患者又はウイルスに感染するリスクがある患者のための、説明書又は投与スケジュール等のさらなる構成要素もまた含み得る。
【0112】
種々の改変及びバリエーションが、本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに、本発明の組成物、方法及びキットにおいてなされ得ることが、当業者に明らかである。従って、本発明は、添付された特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にそれらが入ることを条件として、本発明のこれらの改変及びバリエーションを網羅することを意図している。本発明の様々な態様を以下に示す。
1.三つのgp140ポリペプチドを含む安定化トリマーであって、前記gp140ポリペプチドの少なくとも一つが、配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、前記安定化トリマー。
2.前記少なくとも一つのgp140ポリペプチドが、配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号2の配列を含む、上記1に記載の安定化トリマー。
3.前記gp140ポリペプチドの二つ又はそれぞれが、配列番号2と少なくとも90%の同一性、例えば少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号2の配列を含む、上記1又は2に記載の安定化トリマー。
4.三つのgp140ポリペプチドを含む安定化トリマーであって、前記gp140ポリペプチドの少なくとも一つが、配列番号1、3、4、又は5の配列を実質的に有するアミノ酸配列を含む、前記安定化トリマー。
5.前記gp140ポリペプチドの二つ又はそれぞれが、配列番号1、3、4、又は5の配列を実質的に有するアミノ酸配列を含む、上記4に記載の安定化トリマー。
6.上記1〜5のいずれかに記載の安定化トリマーを含む組成物。
7.一以上の異なる安定化トリマーをさらに含む、上記6に記載の組成物。
8.前記一以上の異なる安定化トリマーが三つのgp140ポリペプチドを含み、前記gp140ポリペプチドの少なくとも一つ、好ましくは二つ又はそれぞれが、配列番号1〜5のいずれかの配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、上記7に記載の組成物。
9.前記一以上の異なる安定化トリマーが三つのgp140ポリペプチドを含み、前記gp140ポリペプチドの少なくとも一つ、好ましくは二つ又はそれぞれが、配列番号1〜5のいずれかの配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号1〜5のいずれかの配列を含む、上記8に記載の組成物。
10.薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤をさらに含む、上記6〜9のいずれかに記載の組成物。
11.アジュバントをさらに含む、上記6又は10のいずれかに記載の組成物。
12.上記6〜11のいずれかに記載の組成物を含むワクチン。
13.それを必要とする被験者において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を処置し、又はそのリスクを低減することができる、上記12に記載のワクチン。
14.前記被験者への投与後に、中和抗HIV抗血清の生産を惹起する、上記13に記載のワクチン。
15.前記抗HIV抗血清が、クレードA、クレードB、及びクレードCのいずれか一以上から選択されるHIVを中和する、上記14に記載のワクチン。
16.前記被験者がヒトである、上記15に記載のワクチン。
17.少なくとも一つのgp140ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記gp140ポリペプチドが:
(a)配列番号1と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
(b)配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
(c)配列番号3の配列を実質的に有するアミノ酸配列、及び/又は
(d)配列番号4と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
(e)配列番号5と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
それらの組み合わせ
を含む、前記核酸分子。
18.上記17に記載の核酸分子を一以上含むベクター。
19.アデノウイルスベクター又はポックスウイルスベクターである、上記18に記載のベクター。
20.前記アデノウイルスが、組換えアデノウイルス血清型11(Ad11)、アデノウイルス血清型15(Ad15)、アデノウイルス血清型24(Ad24)、アデノウイルス血清型26(Ad26)、アデノウイルス血清型34(Ad34)、アデノウイルス血清型35(Ad35)、アデノウイルス血清型48(Ad48)、アデノウイルス血清型49(Ad49)、アデノウイルス血清型50(Ad50)、Pan9(AdC68)、又はそれらのキメラ変異体である、上記19に記載のベクター。
21.前記ポックスウイルスが、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)である、上記19に記載のベクター。
22.治療有効量の、上記1〜5のいずれかに記載の安定化トリマー、上記6〜11のいずれかに記載の組成物、上記12〜16のいずれかに記載のワクチン、上記17に記載の核酸分子、及び/又は上記18〜21のいずれかに記載のベクターを被験者に投与することを含む、それを必要とする被験者においてHIV感染を処置し、又はそのリスクを低減する方法。
23.治療有効量の、上記1〜5のいずれかに記載の安定化トリマー、上記6〜11のいずれかに記載の組成物、上記12〜16のいずれかに記載のワクチン、上記17に記載の核酸分子、及び/又は上記18〜21のいずれかに記載のベクターを被験者に投与することを含む、HIVが感染した被験者においてHIV媒介活性を低減する方法。
24.前記HIV媒介活性が、ウイルス伝播、感染、又は細胞融合である、上記23に記載の方法。
25.前期細胞融合が、標的細胞侵入又はシンチウム形成である、上記24に記載の方法。
26.前記HIVが感染した被験者におけるHIV力価が、前記被験者への前記ワクチンの投与後に低下する、上記23に記載の方法。
27.前記ワクチンが、筋肉内に、静脈内に、皮内に、経皮的に、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、膣内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、皮下に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、臍内に、眼内に、経口的に、局所的に、局在的に、吸入によって、注射によって、注入によって、連続的な注入によって、標的細胞を直接的に入浴させる局在的な灌流によって、カテーテルによって、洗浄によって、経管栄養によって、クリームで、又は脂質組成物で投与される、上記22〜26のいずれかに記載の方法。
28.前記被験者が、前記ワクチンの少なくとも一用量を投与される、上記22〜27のいずれかに記載の方法。
29.前記被験者が、前記ワクチンの少なくとも二用量を投与される、上記28に記載の方法。
30.前記ワクチンが、前記被験者に初回免疫として、追加免疫として、又は初回−追加免疫として投与される、上記28又は29に記載の方法。
31.前記ワクチンが、前記被験者に前記追加免疫として投与される、上記30に記載の方法。
32.治療有効量の、上記1〜5のいずれかに記載の安定化トリマー、上記6〜11のいずれかに記載の組成物、上記12〜16のいずれかに記載のワクチン、上記17に記載の核酸分子、及び/又は上記18〜21のいずれかに記載のベクターを被験者に投与する前に、配列番号6と少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする第一の核酸分子を含む第一のベクターを少なくとも含む初回免疫ワクチン、及び任意に配列番号7と少なくとも85%の同一性を有するポリペプチドをコードする第二の核酸分子を含む第二のベクターを投与することを含む、上記31に記載の方法。
33.それを必要とする被験者におけるHIV感染を処置し、又はそのリスクを低減するためのワクチンの生産方法であって、
(a)上記18に記載のベクターを細胞と接触させるステップ、及び
(b)前記少なくとも一つのgp140ポリペプチドを発現させて、前記細胞において安定化トリマーを形成させるステップ
を含む、前記方法。
34.in vitro又は生体外(ex vivo)で行われる、上記33に記載の方法。
35.前記細胞が、細菌、植物、又は哺乳動物細胞である、上記33又は34に記載の方法。
36.前記哺乳動物細胞が293T細胞である、上記35に記載の方法。
37.(a)上記1〜5のいずれかに記載の安定化トリマー、上記6〜11のいずれかに記載の組成物、上記12〜16のいずれかに記載のワクチン、上記17に記載の核酸分子、及び/又は上記18〜21のいずれかに記載のベクター、
(b)薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤、及び
(c)それらの使用のための説明書
を含むキットであって、任意にアジュバントを含む前記キット。
【実施例】
【0113】
本発明を、以下の実施例によって例示するが、これらは決して本発明を制限することを意図していない。
【0114】
[実施例1]
材料及び方法
ウエスタンブロット免疫検出
DNA発現ベクターpVRC8400の空ベクター、pVRC8400モザイクgp140バージョン1(配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する発現ベクター)、又はpVRC8400モザイクgp140バージョン2(配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する発現ベクター)の10μg等価物を含有する体積を、それぞれダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Invitrogen)で100μlにした。次いで40μlのLipofectamine(Invitrogen)トランスフェクション試薬を加え、60μl DMEMと100μlのこの混合物を各DNAベクターに加え、その後緩やかに撹拌し、室温で30分間インキュベートした。T-25フラスコにおいて約70〜80%コンフルエントになるまで増殖した293T細胞を、2.5ml DMEMで一度洗浄し、2.3mlのDMEMを加え、その後、200μl DNA/Lipofectamine混合物を加えた。次いで細胞を37℃、10%CO2で48時間インキュベートした。トランスフェクションの48時間後、各T-25フラスコから0.5mlの上清を収集し、短時間回転させ、20μlを新たなエッペンドルフチューブ内に置いた。5μlの5×還元性の試料緩衝液(Pierce)を各チューブに加え、各試料を100℃で5分間加熱し、次いで氷上に置いて冷却した。20μlの各試料を4〜15%プレキャストSDS-PAGE(Biorad)にローティングし、ゲルに150Vで約70分間泳動した。ゲルから膜へのタンパク質の転写を、PVDFゲル転写スタックを使用して、製造元のプロトコールに従い、iblot dry blotting system(Invitrogen)を使用して行った。膜のブロッキングを、オービタルシェーカー上で20mlのPBS-T Block(即ち、0.2%V/V Tween 20(Sigma)及び5%W/V脱脂乳パウダーを含有するダルベッコリン酸緩衝食塩水(Invitrogen))において4℃で一晩行った。次いで、10μlのモノクローナルHRPコンジュゲート抗Hisタグ抗体(Qiagen)を20ml PBS-T Block(1:2000希釈)に加え、その後室温で1時間オービタルシェーカー上でインキュベートした。膜をPBS-T blockにおいて5回洗浄し、吸収ペーパー上で膜を手で触れられるくらいまで乾燥させて過剰なブロックを除去し、検出のために、Amersham ECL Plus Western Blotting Detection System(GE Healthcare)を利用した。
【0115】
ローラーボトルトランスフェクション及びタンパク質精製
10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したDMEM増殖培地を使用して、Cell Bind(登録商標)ローラーボトル(Corning)において293Tをコンフルエンスまで増殖させ、増殖培地を除去し、その後250mlの予熱したFreestyle 293発現培地(Invitrogen)を加え、37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。250μgのDNA発現ベクターpVRC8400モザイクgp140バージョン2を、20mlの室温freestyle 293培地に加えた320μlのポリエチレンイミン(PEI)(1mg/ml)と混合し、室温で20分間インキュベートし、次いで各ローラーボトルに加え、その後37℃、5%CO2で6日間インキュベートした。培地交換の6日後に細胞上清を回集した。配列番号2を含む、ヒスチジンタグを付けた最適化モザイクgp140 Envバージョン2タンパク質をNi-NTA(Qiagen)によって精製し、その後分子ふるいクロマトグラフィーを行った。簡潔に述べると、清澄化スピンを行い、10mMの最終濃度までイミダゾールを加えた後、細胞上清を0.8mL/minの流速でニッケルカラムに充填し、PBS中の20mMイミダゾールで洗浄し、その後PBS中の40mMイミダゾールでさらに洗浄した。次いで、タンパク質をPBS中の300mMイミダゾールで溶出した。精製タンパク質を含有する画分をプールし、濃縮し、25mMトリス(pH7.5)及び150mM NaClを含有するカラムランニング緩衝液においてSuperose 6(GE Healthcare)のゲル濾過クロマトグラフィーによってさらに精製した。精製タンパク質を濃縮し、液体窒素において凍結し、-80℃で保管した。
【0116】
動物及び免疫化
非近交系雌ハートレイ系モルモット(Elm Hill Labs)を、Institutional Animal Care and Use Committeeによって認可されたプロトコールの下でAnimal Research Facility of Beth Israel Deaconess Medical Centerで飼育した。モルモットを、15%(v/v)水中油型Emulsigen(MVP Laboratories)/PBS及び50μgの免疫賦活性ジヌクレオチドCpG DNA(5'-TCGTCGTTGTCGTTTTGTCGTT-3')(Midland Reagent Company)を含む500μlの二重アジュバント組合せを使用して、4週間の間隔(0、4、及び8週)でのクレードC gp140 Envポリペプチド(即ち、cEnv(配列番号3)のアミノ酸配列を含む三つの分子のホモトリマー)、モザイクgp140 Env(即ち、mEnv(配列番号1)のアミノ酸配列を含む三つの分子のホモトリマー)、又はクレードC gp140 Env/モザイクgp140 Env混合物(100μg/匹)での上部四頭筋における両側の筋肉内注射によって免疫化した。クレードC gp140 Env/モザイクgp140 Env混合物は、50μgの各タンパク質を含有していた。血清試料を、各免疫化4週間後に、麻酔下の動物の大静脈から得た。
【0117】
TZM.bl細胞における中和抗体アッセイ
HIV-1 Env偽ウイルスに対する中和抗体応答を、TZM.bl細胞においてルシフェラーゼに基づくウイルス中和アッセイを使用して測定した。これらのアッセイは、ウイルス感染の単一ラウンド後に、TZM-bl細胞におけるルシフェラーゼレポーター遺伝子発現の低減を測定する。ID50を、細胞対照相対発光単位の減算後、ウイルス対照ウェルと比較して、相対発光単位の50%低減をもたらす血清希釈として計算した。簡潔に述べると、血清試料の3倍段階希釈を、10% DMEM増殖培地(ウェル当たり100μl)において二連で行った(96ウェル平底プレート)。ウイルスを、50μlの体積で各ウェルに加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。次いでTZM.bl細胞を、11μg/mlの最終濃度で、ジエチルアミノエチルデキストラン(Sigma)を含有する10%DMEM増殖培地に加えた(100μl体積においてウェル当たり1×104)。マウス白血病ウイルス(MuLV)陰性対照を、全てのアッセイにおいて含めた。HIV-1エンベロープ偽ウイルスは、クレードA(MS208.A1及びQ23.17)単離物、クレードB(SF162.LS、BaL.26、SS1196.1及び6535.3)、及びクレードC(MW965.26、TV1.21、ZM109F.PB4及びZM197M.PB7)単離物を含んでいた。
【0118】
[実施例2]
本発明の最適化モザイクgp140 Env1トリマーの作製
mEnv+(配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド)を、以下の様式で、mEnv(配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチド)から改変した。第一に、リーダーペプチド分泌配列を、安定化クレードC gp140 Env(cEnv)トリマーポリペプチド構成物(配列番号3)において使用されるものと同一にした。第二に、切断部位変異を、gp120とgp41部分の間に組み込んで、さらに安定性を増強した。第三に、第Xa因子プロテアーゼ切断部位(SRIEGR)を、foldonトリマー形成ドメインの上流に組み込んだ。三つのEnvポリペプチド(配列番号1〜3)のアミノ酸配列及びそれぞれに存在する特定の改変を、図1A〜1Cにおいて示す。
【0119】
驚くべきことに、これらの改変は、著しく安定化したgp140 Env1トリマー(例えば、本発明のmEnv+トリマー)をもたらした。安定性を評価するために、我々は、第一に、ウエスタンブロット分析によって、mEnvと比較したmEnv+の発現レベルを比較した。この目的のために、80%コンフルエントな293T細胞を含有するT-25フラスコを、Lipofectamine2000(Invitrogen)を使用して、mEnv又はmEnv+を発現する真核生物の発現ベクターpVRC8400でトランスフェクトし、10μlの各上清を、抗ヒスチジンタグHRP(Qiagen)を使用して、ウエスタンブロット免疫検出によって分析した。図2は、それぞれ、レーン3及び4におけるmEnv及びmEnv+の発現レベルを示すウエスタンブロットを示す。特に、mEnv+の発現レベルが、陽性対照(レーン1参照)として使用した、mEnv又はcEnvの発現レベルと比較して著しく高かった。この実験において、空のpVRC8400を、陰性対照(レーン2参照)として使用した。
【0120】
上記のように、mEnv+を293T細胞において発現させ、細胞溶解及びNi-NTA(Qiagen)カラムを使用したHisタグによる清澄に続いて精製した。イミダゾール溶出に続いて回収した画分をプールし、濃縮し、25mMトリス(pH7.5)及び150mM NaClを含有するカラムランニング緩衝液においてSuperose 6(GE Healthcare)のゲル濾過クロマトグラフィーによってさらに精製した。Superose 6カラムからのmEnv+溶出を示すクロマトグラフィートレースを、図3において示す。次いで、ピーク画分(即ち、図3におけるピーク曲線下で得られた画分)を、個々に4〜15%プリケースSDS-PAGEゲル(図4)上で分析した。SDS-PAGEゲルは、ゲル濾過精製が、mEnv+ポリペプチドの同種の集団の単離をもたらすことに成功したことを実証している。本明細書でさらに記載するように、これらの安定化gp140 Envトリマー(mEnvとmEnv+の両方のホモトリマー、並びにmEnv及びcEnvホモトリマーの組合せ)の免疫原性を、クレードA、B、及びCからの列1単離物のパネルを使用して、モルモットにおいて評価した。
【0121】
[実施例3]
中和抗体応答の分析
候補Env免疫原の前臨床評価は、コンセプト試験(concept testing)及びワクチン候補の優先順位付けに重要である。TZM.b1細胞におけるルシフェラーゼに基づくウイルス中和アッセイ(Li et al. (2005) J. Virol. 79:10108、Montefiori (2005) Curr. Prot. Immunol. Chapter 12: Unit 1211)は、標準化することができる高処理量アッセイとして開発された(Montefiori (2009) Methods Mol. Biol. 485:395、Polonis et al. (2008) Virology 375:315)。ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを、分子的にクローニングされたEnv偽型ウイルスでの単一ラウンド感染に基づいて、TZM-b1細胞(CD4、CXCR4及びCCR5を発現し、Tat誘導性Luc及びβ-Galレポーターレポーター遺伝子を含有する遺伝子操作された細胞系)において行った。このアッセイは、単一ラウンド感染における高成功率、増加したアッセイ能力(例えば、2日アッセイ)、増加した精度(例えば、正確に測定された50%中和)、及び標準化の改善されたレベル(例えば、安定な細胞系)をもたらした。ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを最適化し、検証した。
【0122】
本発明の安定化gp140 Envトリマーによって与えられた中和プロフィールを評価するために、TZM.b1アッセイを行い、このアッセイにおいて、ワクチン接種前(Pre)、及びcEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvホモトリマーの両方での第三のワクチン接種後(Post)4週間で得たモルモット血清を、クレードB(SF162.LS及びBaL.26)、及びクレードC(MW965.26及びTV1.21)HIV-1エンベロープ偽ウイルス及びマウス白血病ウイルス(MuLV)(陰性対照)を含む列1中和感受性単離物のマルチクレードパネルに対して試験した(図5A〜5C)。
【0123】
TZM.b1アッセイも行い、このアッセイにおいて、ワクチン接種前(Pre)、及びcEnvホモトリマー、mEnvホモトリマー、又はcEnvとmEnvホモトリマーの両方を使用した第三のワクチン接種後(Post)4週間で得たモルモット血清を、中間中和感受性列1(列1B)クレードA単離物(MS208.A1及びQ23.17)(図6A〜6B)、高中和感受性(列1A)及び列1BクレードB単離物(SF162.LS、BaL.26、SS1196.1、及び6535.3)(図7A〜7D)、並びに列1A及び列1BクレードC単離物(MW965.26、TV1.21、ZM109F.PB4、及びZM197M.PB7)(図8A〜8D)のHIV-1エンベロープ偽ウイルスに対して試験した。
【0124】
予想外に、ID50力価データの定量化は、cEnv及びmEnvホモトリマーの組合せが、cEnv又はmEnvのいずれか単独よりも優れた中和抗体応答を誘導したことを、共同で実証している。特に、cEnv及びmEnvの組合せは、誘導される中和抗体応答の幅を拡大する観点で、特に驚くべきものであった。そのような中和抗体幅の拡大は、以前に記載されておらず、この分野における主要な未だ満たされていない需要である。
【0125】
[実施例4]
本発明の組成物を使用する、被験者におけるHIV感染の処置又はそのリスクの低減
本発明の組成物(例えば、本発明のワクチン)は、それを必要とする被験者におけるHIV感染を処置する又はそのリスクを低減するための初回免疫−追加免疫ワクチン接種計画において、被験者(例えば、HIVに感染した又はHIV感染のリスクがあるヒト)に投与することができる。例えば、mEnv、mEnv+、又はcEnvトリマー、又はmEnvとcEnv若しくはmEnv+とcEnvトリマーの組合せを含むワクチン等の、本発明の組成物の一つ以上を追加免疫として投与することができる。追加免疫の投与前に、被験者に初回免疫ワクチン接種として、配列番号6に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)又は配列番号6の配列を有するポリペプチドをコードする第一の核酸分子を含む第一のベクターを少なくとも投与し、任意に、配列番号7に対して少なくとも85%の同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)又は配列番号7の配列を有するポリペプチドをコードする第二の核酸分子を含む第二のベクターを投与する。
【0126】
組成物は、安定化gp140 Envトリマー遺伝子産物の十分なレベル(例えば、免疫原性のトリマーによって引き起こされる被験者における過度の有害な生理学的効果なしに、免疫応答を惹起する安定化gp140 Envトリマーのレベル)を提供する量で好ましくは投与する。組成物が、非ベクター(non-vectored)である場合、投与するポリペプチド組成物は、約1μgから1mgの本発明の安定化Envトリマー、より好ましくは50μgから300μgの安定化Envトリマーを含むことができる。代わりに、被験者に、ウイルスベクターの形で、少なくとも約1×103ウイルス粒子(vp)/用量又は1×101から1×1014vp/用量、好ましくは1×103から1×1012vp/用量、より好ましくは1×105から1×1011vp/用量を投与することができる。
【0127】
初回免疫−追加免疫計画における本発明の組成物の投与に続いて、患者を、処置された被験者における一つ以上の症状又は、特に、HIV力価のレベルの変化について評価することができ、上記のように計画を必要に応じて繰り返すことができる。
【0128】
[実施例5]
cEnvトリマーとのmEnvトリマーの組合せは、いずれかのトリマー単独と比較して、優れた中和抗体応答を惹起する
導入
多様な、循環HIV-1株に対する結合とnAbの両方を惹起することができるHIV-1 Env糖タンパク質免疫原の作製は、HIV-1ワクチン開発の主要な目標である(Stephenson et al. (2013) Immunol. Rev. 254:295、Srivastava et al. (2005) Hum. Vaccin. 1:45、Barouch (2008) Nature. 455:613、Karlsson Hedestam et al. (2008) Nat. Rev. Microbiol. 6:143、Mascola et al. (2010) Annu. Rev. Immunol. 28:413)。中和抗体の主な標的である表面Env糖タンパク質は、非共有結合的相互作用によって関連付けられたgp120受容体結合サブユニット及びgp41融合サブユニットを含み、ウイルス表面上にトリマースパイク(gp120/gp41)3として存在する。天然のHIV-1感染の過程において、大部分の個体は、限定された中和能力を有する抗Env抗体応答を誘導し、Env遺伝子における可変性は、30%と同じ高さに達し得(Louwagie et al. (1995) J. Virol. 69:263、Kalish et al. (1995) Aids. 9:851、Korber et al. (2001) Br. Med. Bull. 58:19)、グローバルに関連するEnvに基づく免疫原の開発における主要な課題を提起している。しかしながら、HIV-1感染個体の約10〜25%は、広く中和する抗体(bnAb)を生産する能力を有することが報告され(Stamatatos et al. (2009) Nat. Med. 15:866)、同様の応答が適切なEnv免疫原で達成可能であるという理論的根拠を提供している。最近の研究は、病原性サルヒト免疫不全ウイルスSHIV-SF162P3に慢性的に感染したアカゲザルにおける、そのようなbnAbが有する治療効率を強調している(Barouch et al. (2013) Nature. 503:224)。
【0129】
HIV-1配列多様性に対処するための一つの戦略は、バイオインフォマティクス的に最適化された「モザイク」タンパク質を利用し(Fischer et al. (2007) Nat. Med. 13:100)、これは、グローバルなHIV-1多様性の改善された適用範囲のために設計されたin silico組換えHIV-1配列である。非ヒト霊長類におけるいくつかの概念実証の免疫原性研究は、コンセンサス及び/又は天然の配列抗原と比較した場合、ベクターがコードするモザイク抗原が、細胞免疫応答の深さ及び幅を増大し、抗体応答を改善することもできることを実証した(Stephenson et al. (2012) J. Virol. 86:11434、Barouch et al. (2010) Nat. Med. 16:319、Santra et al. (2010) Nat. Med. 16:324、Santra et al. (2012) Virology. 428:121)。最近我々は、アカゲザルにおけるSHIV負荷に対する、ベクターに基づくHIV-1モザイク抗原の保護効率も報告した(Barouch et al. (2013) Cell. 155:531)。しかしながら、HIV-1モザイクEnvタンパク質免疫原の作製及び評価は、以前に報告されていない。
【0130】
本研究において、我々は、モザイクM gp140トリマー(mEnv)の生産及び特徴付けを報告する。表面プラズモン共鳴によって、mEnvは、CD4並びにVRC01、PGT121、PGT126、PG9、PG16、及び3BNC117を含むいくつかのbnAbに結合し、これはトリマーがインタクトであり、これらの関連するエピトープを提示することを実証している。mEnvは、TZM.blアッセイにおいて標的細胞に感染する機能的能力も示した。モルモットにおける免疫原性研究は、mEnvが、我々のクレードC gp140トリマー(cEnv)によって惹起されたスペクトルとは異なるスペクトルである、高結合抗体力価、クロスクレード列1 TZM.bl nAb及び検出可能な列2 A3R5 nAbを惹起したことを示した。mEnv及びcEnvの混合物によって惹起されたnAb応答は、付加的であることが分かり、いずれかのトリマー単独よりも優れていた。
【0131】
方法
HIV-1 Envタンパク質の生産及び発現
全てが切断及び融合活性を除去するための点変異を含有する、mEnv、mEnv2(Barouch et al. (2010) Nat. Med. 16:319)及びmEnv3と称される、三つの合成gp140モザイクM Env遺伝子配列を、以前報告された計算的最適化方法(Fischer et al. (2007) Nat. Med. 13:100、Barouch et al. (2010) Nat. Med. 16:319)から得た。ヒトコドン最適化バージョンを、GeneArt(Life Technologies)によって合成した。各構築物を、カスタムプライマーでのPCR増幅によって、C末端T4バクテリオファージfibritin「fold-on」トリマー形成ドメイン及びポリヒスチジンモチーフを発現するように操作した。遺伝子を、pCMV真核生物の発現ベクターのSalI-BamHI制限部位中にクローニングし、挿入断片を、診断制限消化によって検証し、DNAを配列決定し、発現試験を、293T細胞においてLipofectamine(Life Technologies)を有する10μgのDNAを使用して行った。クレードC(C97ZA.012)(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111)及びモザイクM gp140 Envトリマーに関する安定な細胞系を、Codex Biosolutionsによって作製した。タンパク質生産に関して、安定な細胞系を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(10%FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン及びピューロマイシンを補充した)においてコンフルエンスまで増殖させ、次いで同じ抗生物質を補充したFreestyle 293発現培地(Invitrogen)と交換した。細胞上清を、培地交換の96〜108時間後に回集し、Hisタグを付けたgp140タンパク質を、以前報告されているように(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270)、Ni-NTA(Qiagen)及び分子ふるいクロマトグラフィーによって精製した。C末端Hisタグを有する全長モザイクM gp120に関する合成遺伝子を、カスタムプライマーでのPCR増幅によって、mEnv構築物から作製し、ポリエチレンイミンでの一過性トランスフェクションを利用して、293T細胞において生産させ、その後Ni-NTA(Qiagen)及びSuperdex200(GE Healthcare)上での分子ふるいクロマトグラフィーによって精製した。TZM.blアッセイにおいて使用する全長モザイクM gp160に関する合成遺伝子を、GeneArt(Life Technologies)によって合成し、pcDNATM3.1/V5-His-TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングした。
【0132】
ウエスタンブロット免疫検出
pCMV-mEnv、mEnv2、又はmEnv3 gp140発現構築物での293T細胞の一過性トランスフェクションの48時間後に得た上清(20μl)を、還元性の試料緩衝液(Pierce)と個々に混合し、100℃で5分間加熱し、プレキャスト4〜15%SDS-PAGEゲル(Biorad)に泳動した。タンパク質を、iblot dry blotting system(Invitrogen)を使用して、PVDF膜に移し、膜ブロッキングを、PBS-T(ダルベッコリン酸緩衝食塩水+0.2%V/V Tween20(Sigma)+5%W/V脱脂乳パウダー)において、4℃で一晩行った。一晩ブロッキングに続いて、PVDF膜を、1:2000希釈のモノクローナル抗体penta His-HRP(Qiagen)を含有するPBS-Tで1時間インキュベートし、PBS-Tで5回洗浄し、Amersham ECL plus Western blotting detection system(GE Healthcare)を使用して、展開した。2F5及び4E10モノクローナル抗体を使用したウエスタンブロット免疫検出に関して、クレードA(92UG037.8)gp140(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270)及びモザイクM gp140タンパク質を、上記のように処理した。
【0133】
表面プラズモン共鳴
表面プラズモン共鳴(SPR)を、HBS-EPランニング緩衝液(GE Healthcare)を利用して、Biacore3000(GE Healthcare)上で25℃で行った。CM5チップへの可溶性の二つのドメインCD4(Freeman et al. (2010) Structure. 18:1632)(1,500RU)又はプロテインA(ThermoScientific)の固定化を、製造者(GE Healthcare)の推奨に従って行った。固定化IgGを、300〜750RUで捕えた。結合実験を、2分会合段階及び5分解離段階で、50μl/minの流速で行った。再生を、100μl/minでの35mM NaOH及び1.3M NaClの単一の注射で行い、その後HBS-EP緩衝液における3分平衡化段階を行った。ブランクな表面上での注射を、分析のために結合データから減算した。結合動態を、二価の検体モデルを使用して決定したPG16を除外して、BIAevaluationソフトウェア(GE Healthcare)及びラングミュア1:1結合モデルを使用して決定した。全ての試料を、二連で実施し、同様の動態結果を得た。可溶性の二つのドメインCD4は、Bing Chen(Children's Hospital Boston)によって、以前記載されているように生産され(Freeman et al. (2010) Structure. 18:1632)、寛大にも提供された。17bハイブリドーマは、James Robinson(Tulane University, New Orleans, LA)によって、親切にも提供され、以前報告されているように精製した(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111)。VRC01を、NIH AIDS Reagent Program、Division of AIDS、NIAID、NIH: John Mascola(Wu et al. (2010) Science. 329:856)からのHIV-1 gp120 mAb (VRC01)より得た。3BNC117は、Michel Nussenzweig(Rockefeller University, New York, NY)によって、親切にも提供された。PGT121及びPGT126は、Dennis Burton(The Scripps Research Institute, La Jolla, CA)によって、寛大にも提供された。2F5、4E10、PG9、PG16は、商業的に得た(Polymun Scientific)。4E10及び2F5 SPR分析における陽性対照として使用したGCN gp41-Inter(Frey et al. (2010) Nat. Struct. Mol. Biol. 17:1486)は、Bing Chen(Children's Hospital Boston)によって、親切にも提供された。
【0134】
動物及び免疫化
非近交系雌ハートレイ系モルモット(Elm Hill)(n=5/群)を、認可されたInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)プロトコールの下で、Animal Research Facility of Beth Israel Deaconess Medical Centerで飼育した。モルモットを、0、4、8週に右と左四頭筋間に分けられた500μl注射体積で、モザイクM又はクレードC gp140 Envタンパク質トリマー(100μg/匹)のいずれかで筋肉内に(i.m.)免疫化した。タンパク質と同時投与したアジュバントは、15%(vol/vol)水中油型Emulsigen(MVP Laboratories)/PBS及び50μgの免疫賦活性ジ-ヌクレオチドB型oCpG DNA(5'-TCGTCGTTGTCGTTTTGTCGTT-3')(Midland Reagent Company)(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111)又はISCOMに基づくMatrix M(Isconova, Sweden)を含む以前に記載されている組合せである。クレードC及びモザイクM gp140の混合物を受け取った動物の群には、各50μgを混合し、1匹当たり合計100μgを投与した。血清試料を、各免疫化の4週間後に麻酔下の動物の大静脈から得た。
【0135】
ELISA結合アッセイ
モザイクM又はクレードC gp140 Envトリマーに対する血清結合抗体力価を、以前に記載されているように(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270)、エンドポイント酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定した。ELISAエンドポイント力価を、バックグラウンド値に対して吸光度>2倍をもたらす最も高い相互血清希釈として定義した。モザイクトリマーにおけるMPERエピトープの検出に関して、ELISAプレートを、2F5又は4E10 IgGのいずれかでコーティングし、抗原を加え、抗hisタグHRP mAb(Abcam)を利用して検出した。2F5及び4E10を、商業的に得て(Polymun Scientific)、4E10及び2F5 ELISAにおいて陽性対照として使用したGCN gp41-Inter(Frey et al. (2010) Nat. Struct. Mol. Biol. 17:1486)は、Bing Chen(Children's Hospital Boston)によって親切にも提供された。
【0136】
TZM.bl中和アッセイ
列1 HIV-1 Env偽ウイルスに対する中和抗体応答を、以前に記載されているように(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270、Mascola et al. (2005) J. Virol. 79:10103)、TZM.bl細胞でのルシフェラーゼに基づくウイルス中和アッセイを使用して測定した。これらのアッセイは、ウイルス感染の単一ラウンドに続いて、TZM-bl細胞におけるルシフェラーゼレポーター遺伝子発現レベルの低減を測定する。50%阻害濃度(IC50)を、細胞対照相対発光単位の減算後、ウイルス対照ウェルと比較して、相対発光単位の50%低減をもたらす血清希釈として計算した。分析した列1ウイルスのパネルは、中和することが容易な列1Aウイルス(SF162.LS、MW965.26)及び列1Bウイルスの拡張パネル(DJ263.8、Bal.26、TV1.21、MS208、Q23.17、SS1196.1、6535.3、ZM109.F、ZM197M)を含んでいた。マウス白血病ウイルス(MuLV)陰性対照を、全てのアッセイにおいて含めた。
【0137】
A3R5中和アッセイ
列2 nAb応答を、以前に記載されているように(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111)、A3R5アッセイを使用して評価した。簡潔に述べると、血清試料の段階希釈を、96ウェル平底プレートにおける10% RPMI増殖培地(ウェル当たり100μL)において行った。ウミシイタケルシフェラーゼを発現するIMC HIV-1(Edmonds et al. (2010) Virology. 408:1)を、50μlの体積で各ウェルに加え、プレートを、37℃で1時間インキュベートした。次いで、A3R5細胞を、ジエチルアミノエチルデキストラン(11μg/ml)を含有する10% RPMI増殖培地に加えた(100μlの体積でウェル当たり9×104細胞)。アッセイ対照は、A3R5細胞単独の複製ウェル(細胞対照)及びウイルスを有するA3R5細胞(ウイルス対照)を含んでいた。37℃で4日間のインキュベーション後、90μlの培地を各アッセイウェルから除去し、75μlの細胞懸濁液を96ウェルの白色の固体プレートに移した。希釈したViviRenウミシイタケルシフェラーゼ基質(Promega)を、各ウェルに加え(30μl)、4分後、プレートを、Victor3ルミノメーター上で読んだ。A3R5細胞系は、R. McLinden及びJ. Kim(US Military HIV Research Program, Rockville, MD)によって、寛大にも提供された。列2クレードB IMCウミシイタケルシフェラーゼウイルスは、SC22.3C2.LucR、SUMA.LucR及びREJO.LucRを含んでいた。列2クレードC IMCウミシイタケルシフェラーゼウイルスは、Du422.1.LucR.T2A.ecto、Ce2010_F5.LucR.T2A.ecto、及びe1086_B2.LucR.T2A.ectoを含み、C.Ochsenbauer(University of Alabama at Birmingham, Birmingham, AL)によって、寛大にも提供された。ウイルスストックを、以前に記載されているように(Edmonds et al. (2010) Virology. 408:1)、293T/17細胞において調製した。
【0138】
結果
モザイクM gp140トリマーの発現及び安定性
HIV-1 mEnv、mEnv2、及びmEnv3を発現する真核生物のpCMV DNAベクターを、293T細胞中にトランスフェクトし、タンパク質発現及び安定性を、48時間後に評価した。ウエスタンブロット分析は、mEnv gp140に関して適切なサイズのバンドサイズを明らかにしたが、mEnv2又はmEnv3に関しては示さず(図9A)、これは、mEnvが、他のものよりも安定で、インタクトなタンパク質であることを示唆している。mEnvを発現する安定な293T細胞系から作製された材料を使用した、分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)は、gp140トリマーに関する予想されるサイズに相当する単分散のピークを実証し、トリマーの均一性を確認した(図9B)。このトリマーの安定性を評価するために、100μgタンパク質に凍結融解サイクルを行うか又はこれを4℃で7日間保管し、SECによって再評価したが、凝集、解離又は分解のサインは示さなかった(図9C)。
【0139】
モザイクM gp140トリマーの抗原性
表面プラズモン共鳴(SPR)研究を行って、mEnvトリマーがCD4結合を示し、いくつかのbnAbによって広く標的とされる主要なエピトープを提示するかどうかを決定した。トリマーは、34.7nMの高親和性でCD4に結合し、これは、CD4結合部位(CD4bs)が、mEnvにおいて存在し、曝露されていることを示している(表2、図10A)。次に我々は、結合CD4の存在及び非存在下で、mEnvトリマーが17b免疫グロブリン(IgG)に結合する能力を測定することによって、mEnvトリマーの内因性の構造柔軟性を評価した。17bは、CD4結合及びブリッジングシート(bridging sheet)の形成によって曝露されるCD4誘導(CD4i)エピトープ及びgp120における共受容体結合部位を認識する(Kwong et al. (1998) Nature. 393:648、Chen et al. (2005) Nature. 433:834)。mEnvトリマーは、CD4の非存在下で低17b結合を示したが、予想されたようにCD4結合に続いてこの結合の実質的な増加があった(図10B)。
【0140】
【表2】
【0141】
次に我々は、CD4bs bnAb VRC01及び3BNC117(Wu et al. (2010) Science. 329:856、Scheid et al. (2011) Science. 333:1633)がmEnvに結合する能力を評価した。VRC01及び3BNC117は、それぞれ、1.28nM及び2.12nMの高親和性でmEnvトリマーに結合し、これらのエピトープがmEnvトリマーにおいて存在していることを示している(表2、図10C〜10D)。
【0142】
最近の研究は、いくつかのbnAbによって標的とされるエピトープの認識におけるN結合グリカンの卓越した役割を強調している(Pejchal et al. (2011) Science. 334:1097、Walker et al. (2011) Nature. 477:466)。特に、bnAbのPGTクラスは、N結合グリカン(N332のような)及び可変性のループ3(V3)と相互作用する。PGT121とPGT126の両方は、それぞれ、28.2nM及び5.39nMの高親和性でトリマーに結合し(表2、図11A〜11B)、これは、これらのbnAbによって認識される主要なN結合グリカンエピトープがトリマー上に存在していることを示している。
【0143】
PG9及びPG16は、インタクトなEnvトリマー並びに標的N結合グリカン並びに可変性のループ1及び2(V1/V2)並びにこの領域におけるN結合グリカンに優先的に結合する(Walker et al. (2009) Science. 326:285、McLellan et al. (2011) Nature. 480:336)。mEnvトリマーは、著しく高い親和性(57.8nM、図11C)でPG9に結合したが、モザイクgp120モノマーは、22倍低い親和性及び実質的により低い大きさ(1,280nM)で結合した(表2、図11E)。PG9に関する観察された結合は、最近記載された可溶性の、完全にグリコシル化された切断されたBG505 SOSIP.664 gp140トリマーで観察されたものと同等であった(Julien et al. (2013) Science. 342:1477、Sanders et al. (2013) PLoS Pathog. 9:e1003618)。mEnvトリマーへのPG16結合も、相当するgp120モノマーよりも実質的に大きかった(表3、図11D、11F)が、オフ速度(off-rate)は、PG9と比較して、PG16に関してより速かった。これらのデータは、mEnvトリマーがこれらの高次構造依存bnAbに効率的に結合するが、相当するモノマーは結合しないことを示している。
【0144】
【表3】
【0145】
最後に、我々は、膜近位外部領域(MPER)エピトープへの2F5及び4E10結合を評価した。2F5及び4E10 bnAbは、直鎖状のエピトープに結合し(Cardoso et al. (2007) J. Mol. Biol. 365:1533、Ofek et al. (2004) J. Virol. 78:10724)、少なくとも2F5エピトープが、配列アラインメント(図12A)及びウエスタンブロット分析(図12B)によって確認されるように、直鎖状のmEnv配列において存在していた。しかしながら、SPR及びELISAによって、インタクトなmEnvトリマーは、2F5に結合することができず、これは、MPERエピトープが、我々が以前特徴付けた安定なクレードCトリマーに関する我々の見解と同様に、トリマー中に埋められており(Ofek et al. (2004) J. Virol. 78:10724)、安定な、折り畳まれたmEnvトリマーの状況において到達可能ではない(図12C〜12D)ことを示唆している(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111)。まとめると、これらの抗原性データは、mEnvトリマーが、正しく折り畳まれたトリマーの多くの特性を示すことを示唆している。
【0146】
mEnvトリマーの機能性
次に我々は、mEnvタンパク質が機能的であるかどうかを評価した。全長モザイクM gp160を使用して、偽ウイルス粒子を作製して、TZM.bl細胞における感染性を評価した(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270、Mascola et al. (2005) J. Virol. 79:10103、Montefiori (2009) Methods. Mol. Biol. 485:395)。我々は、広い滴定範囲にわたって、mEnvが、CD4及び共受容体CCR5/CXCR4を過剰発現するTZM.bl標的細胞に容易に感染したことを観察した(図13)。これらのデータは、合成mEnvが、TZM.bl標的細胞に感染するための機能的能力を有することを示した。
【0147】
mEnvトリマーの免疫原性
モルモット(n=5/群)を、月1回の間隔で3回、ISCOMに基づくMatrix M又はEmulsigen/CpGアジュバントを有する、100μg mEnvトリマー、100μgの我々が以前報告したクレードC gp140トリマー(以下「cEnv」と称する、Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270)又は50μgの両方のトリマーの混合物(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Ioannou et al. (2002) J. Virol. 76:9002)で免疫化した。ELISAによる高力価な結合抗体を、同等な動態と共に、全てのワクチン接種計画によって惹起した(図14A〜14B)。これらの応答は、単一の免疫化後に検出可能であり、第二及び第三の免疫化後に増加した。ピーク免疫原性力価は、5.0〜7.0 logの範囲であった。cEnv及びmEnvトリマーによって惹起された結合抗体力価は、それらのそれぞれの相同抗原よりも高かった一方(P<0.05)、二価のmEnv及びcEnv混合物は、両方の抗原への同等な応答を誘導した(図14A〜14B)。
【0148】
次に我々は、TZM.bl nAbアッセイを使用して、これらの動物のワクチン接種前及び第三のワクチン接種後血清試料において惹起されたnAb応答を評価した(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270、Mascola et al. (2005) J. Virol. 79:10103、Montefiori (2009) Methods. Mol. Biol. 485:395)。我々は、中和することが容易な列1Aウイルス(SF162.LS、MW965.26)及び中間列1Bウイルスの拡張パネル(DJ263.8、Bal.26、TV1.21、MS208、Q23.17、SS1196.1、6535.3、ZM109.F、ZM197M)を含む列1偽ウイルスのマルチクレードパネルを含んでいた。バックグラウンドワクチン接種前力価を、陰性から低(<20)として観察した。Matrix Mアジュバントにおいて投与されたmEnvは、列1A(SF162.LS、MW965.26)及びいくつかの列1B(DJ263.8、Bal.26、SS1196.1)ウイルスに対して高力価TZM.bl nAbを誘導することが観察された(図15A〜15B)。同じアジュバントにおいて投与されたcEnvと比較した場合、mEnvは、列1BクレードBウイルスBal.26及びSS1196.1に対して、より高い大きさのnAb力価を引き出した(P<0.05、独立t検定)(図15A〜15B)。対照的に、cEnvは、mEnvがクレードA及びクレードCウイルス(MW965.26、DJ263.8、TV1.21、MS208.1、Q23.17及びZM109F、P<0.05、独立t検定)に対して誘導したよりも高い応答を誘導した(図15A〜15B)。
【0149】
重要なことに、二価のmEnv及びcEnv混合物によって惹起されたnAb応答は、付加的であると思われる(図15A)。これらのデータは、組合せがmEnv又はcEnvのいずれか単独よりも増加した幅を誘導し、組合せによって誘導された各単離物へのnAb応答が、二つの個々のトリマーの高い方と典型的に同等であったことを示唆している(図15A〜15B)。これらのデータは、mEnv及びcEnv混合物が、いずれかのトリマー単独と比較して、免疫性の利点を与えたことを示している。同等の結果が、CpG/EmulsigenアジュバントにおけるmEnv、cEnv、又は二価のmEnv及びcEnv混合物を受け取ったモルモットにおいて観察された(図15C〜15D)。全体的に、これらのデータは、mEnv及びcEnvトリマーが相補的であり、nAb有効範囲の観点から、いずれかのトリマー単独よりも優れている混合物として効果的に組み合わせられたことを示唆している。
【0150】
cEnvでの以前の研究は、TZM.blアッセイによる散発的で低いレベルの列2 nAb応答を実証した(Kovacs et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109:12111、Nkolola et al. (2010) J. Virol. 84:3270)。したがって、我々は、これらの動物の群における列2 nAb活性を比較するために、より感受性のA3R5アッセイを利用することを選択した。cEnvとmEnvの両方は、Cウイルス(Ce1086_B2、Ce2010、Du422)(図16A)及びクレードBウイルス(SUMA、SC22.3C2)(図16B)に対する検出可能な列2 nAbを誘導した。二価のmEnv及びcEnv混合物は、二つの個々のトリマーのより良い方と典型的に同等な応答を惹起した(図16A〜16B)。加えて、低い列2 nAb活性は、組み合わせた計画でのクレードBウイルスREJO.LucRに対して検出されたが、いずれかのトリマー単独では検出されなかった(*P<0.05、マンホイットニー検定法)(図16B)。これらのデータは、免疫学的に相補的なmEnv及びcEnvトリマーの混合物が、いずれかのトリマー単独よりも優れていたことを実証している。
【0151】
我々は、本明細書で「モザイク1 Env gp140バージョン2」又は「mEnv+」と称される、mEnvポリペプチドの最適化バージョンをさらに開発した。図2において示すように、mEnv+(レーン4)は、cEnv(レーン1)又はmEnv(レーン2)よりも高いレベルで発現される。mEnv+は、分子ふるいクロマトグラフィー(図17A〜17B)によって及びSDS-PAGEプロフィール(図17C)によって示されるように、高い純度及び安定性も実証している。mEnv+の免疫原性は、使用したアジュバントに関わらず、mEnvの免疫原性と同等であった(図18A〜B)。中和アッセイは、mEnvと比較した、同等なmEnv+の免疫原性をさらに実証している(図19)。
【0152】
他の実施形態
本発明を、その特定の実施形態と関連して記載したが、さらなる変更形態が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従い、本発明が属し、上に述べた本質的な特性に適用し得る、当技術分野内の既知の又は通例の習慣内である本開示からの逸脱を含む、本発明の全てのバリエーション、使用、又は適応を包含することが意図されていることが理解されるだろう。
【0153】
US仮出願61/749,737は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている。本明細書において言及した全ての刊行物及び特許出願は、各独立した刊行物又は特許出願が、具体的に且つ個々に参照によってその全体が組み込まれていると示される場合と同じ程度まで、参照によって本明細書に組み込まれている。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A-C】
図6A-B】
図7A-B】
図7C-D】
図8A-B】
図8C-D】
図9A-C】
図10A-D】
図11A-11F】
図12A-D】
図13
図14A-14B】
図15A-D】
図16A-B】
図17A-C】
図18A-18B】
図19
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]