特許第6357493号(P6357493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357493
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】滅菌外科用トレイ
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/30 20160101AFI20180702BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
   A61B50/30
   A61F9/007 200B
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-30648(P2016-30648)
(22)【出願日】2016年2月22日
(62)【分割の表示】特願2014-509305(P2014-509305)の分割
【原出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2016-137252(P2016-137252A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年3月22日
(31)【優先権主張番号】61/481,637
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/312,948
(32)【優先日】2011年12月6日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308013333
【氏名又は名称】ドヘニー アイ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(72)【発明者】
【氏名】カーンズ ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】フマーユーン マーク
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0174415(US,A1)
【文献】 特表2005−503202(JP,A)
【文献】 特表2003−515359(JP,A)
【文献】 特開昭53−122452(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0272023(US,A1)
【文献】 国際公開第00/048520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00 − 50/39
A61B 17/00 − 17/94
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外科用器具と、
患者の身体部分周囲に適合するような形に実質的に形付けられた外科用トレイであって、
外科的処置の滅菌野の一部となるように構成されている上面と、
前記上面上に位置される複数の受容構造であって、前記複数の外科用器具のそれぞれが対応する前記受容構造のうちの1つの内部に取り外し可能に配置される複数の受容構造と、
前記複数の外科用器具の少なくとも1つと接続する少なくとも1つの電気コネクタと、
前記複数の外科用器具の少なくとも1つと接続する少なくとも1つの流体コネクタと、
滅菌野の外側となるように設定されている側面または底面で、制御ユニットを受容するためのスロットを備える側面または底面を含み、前記スロットは少なくとも1つの溝を含む、
外科用トレイと、を含む、
密封された滅菌外科用パックと、
制御ユニットであって、外科用パックが開封された後、スロット内に受容され、前記スロットに受容されたときに、少なくとも1つの電気コネクタと電気的に接続するように構成され、少なくとも1つの前記複数の外科用器具に電力を供給し、動作を制御するように構成される制御ユニットを含み、制御ユニットは、少なくとも1つのスロットの溝と係合するように構成される、制御ユニット側上に少なくとも1つのレールを含む、外科用装置。
【請求項2】
前記スロットは、減菌野の下側に配置される請求項1に記載の外科用装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、減菌されていない請求項1に記載の外科用装置。
【請求項4】
前記制御ユニットがさらに再充電可能な電池を備える請求項3に記載の外科用装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの流体コネクタに接続し、前記スロットに電気的に接続する少なくとも1つのポンプをさらに備える請求項1に記載の外科用装置。
【請求項6】
前記複数の外科用器具が、生物組織カッターおよび組織照明器具を備える請求項1に記載の外科用装置。
【請求項7】
前記外科用トレイが、さらに、流体コンテナを受容するための凹部を備える請求項1に記載の外科用装置。
【請求項8】
前記凹部は、凹部内に配置されるスパイクおよび光源を含み、前記光源は、外科医に液体のレベルを示すために、液体コンテナを通して光を照射する請求項7に記載の外科用装置。
【請求項9】
前記外科用トレイは、患者の側面または上部の外科用スタンド上に配置される請求項1に記載の外科用装置。
【請求項10】
前記外科用トレイは、略U字型である請求項1に記載の外科用装置。
【請求項11】
前記外科用トレイが、前記外科用トレイの底面上に嵌め合い凹部をさらに備え、前記嵌め
合い凹部が、前記外科用トレイがトレイ支持物へ取り付けられ得るように、外科用テーブ
ルまたは椅子上の前記トレイ支持物の一部を受容するように構成される請求項10に記載の外科用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2010年1月8日に出願され、出願番号第12/684,850(DOHENY2.009CPCP1)である米国特許出願の一部継続出願である。出願番号第12/684,850の米国特許出願は、2008年10月22日に出願され、出願番号第12/256,420(DOHENY2.009CP1)である米国特許出願の一部継続出願である。出願番号第12/256,420の米国特許出願は、2008年4月21日に出願され、出願番号第12/107,038(DOHENY2.009A)である米国特許出願の一部継続出願である。出願番号第12/107,038の米国特許出願は、2007年4月20日に出願され、出願番号第60/925,546の米国仮出願の利益を主張する。出願番号第12/256,420の米国特許出願もまた、2008年4月21日に出願され、出願番号第12/106,962(DOHENY2.011A)である米国特許出願の一部継続出願である。出願番号第第12/106,962の米国特許出願は、2007年4月20日に出願され、出願番号第60/925,548の米国仮出願の利益を主張する。本出願はまた、2011年5月2日に出願され、発明の名称が「STERILE BOTTLE CONTAINER AND METHOD」である、出願番号第61/481,637(DOHENY2.059PR)の米国仮出願の利益を主張する。本明細書中、上記出願のそれぞれは参照によってその全部が本明細書中に組み込まれ、本出願の一部を形成するものとしてみなす。
【背景技術】
【0002】
本発明は、外科用システムに関し、より詳細には、外科的処置において複数の外科用器具と共に用いられ得る滅菌外科用トレイに関する。
[関連分野の説明]
【0003】
例えば眼科手術(特には、網膜硝子体手術または白内障手術)などの外科手術において、製造業者から外科センターへ発送される滅菌パックを使用することが周知である。これらのパックは典型的には、外科手術において用いられるいくつかのアイテムを含み、そして、一回限り利用の外科用器具、流体カセット、チューブセット、ドレープ、針および他の装置を含み得る。パックの内容物の詳細は、外科手術の種類、および、おそらくは外科医または外科センターの個々の選好によって異なる。
【0004】
外科手術の準備をする際、通常、滅菌ドレープが、メイヨートレイ(mayo tray)と一般的に呼ばれるものの上に置かれる。滅菌パックの内容物ならびにおそらくは追加の滅菌器具および材料をトレイ上に広げて配置することで、外科手術に必要な材料および器具を看護師または外科医が容易に利用できるようになる。
【0005】
また、パックが外科手術中に少なくともいくつかの器具のためのトレイとしての機能を果たすことができるように、多くの器具およびチューブセットがパックの嵌め合い凹部内に整理されて置かれている滅菌パックを提供することも知られている。
【0006】
滅菌野は、一般に多くの医学的処置において確立されている。このような滅菌野は、器具、薬剤および他のデバイスを滅菌状態で維持するために利用され得る。例えば、外科的処置において、滅菌野は典型的には、滅菌ドレープによって被覆された手術部位に隣接する領域と、外科手術のあいだの外科医による利用のために事前に滅菌された外科用器具および材料が置かれている領域とによって画定される。
【0007】
一般的に、体内に侵入する(例えば、血流、皮膚からの侵入)外科用器具および薬剤は、高い滅菌保証水準まで滅菌されなければならない。さらに、注入可能な薬剤および静脈注射用溶液の調製は、高い滅菌保証水準だけでなく、最初の製品滅菌後の外来性物質の侵入を回避するために適切に設計されたコンテナを必要とする。加えて、このような器具および薬剤は、使用の前に滅菌状態が維持されるような方法で維持されなければならない。
【発明の概要】
【0008】
外科用パックおよび外科用トレイおよびシステムの改良に関する必要性が引き続き存在している。また、処置に必要とされる人およびシステムの数を簡略化しつつ、滅菌野の滅菌性を維持するためのシステムおよび方法の改良に関する必要性も引き続き存在している。いくつかの実施態様によれば、外科用トレイは、外科用材料およびデバイスを手術部位へ運ぶためのパック、ならびに、複数の外科用器具を受容するための滅菌トレイの両方として機能し得る。滅菌外科用トレイおよびシステムはまた、外科的処置に関連する滅菌ツールおよび滅菌器具を提供し、そして、外科医の滅菌側アシスタント(sterile assistant)または追加のハードウェアの必要性も低減することができる。
【0009】
外科的処置のあいだ外科医によって用いられる外科用器具は、密封された滅菌外科用パックおよび制御ユニットを含み得る。密封された滅菌外科用パックは、複数の外科用器具と、外科用トレイとを含み得る。外科用トレイは、例えば、手術される身体部分に適合するような形状に実質的に形付けられることなどにより多数の形状をとり得る。外科用トレイは、外科的処置の滅菌野の一部となるように構成されている上面と、滅菌野の外側となるように設定されている側面または底面とを有し得る。側面または底面は、制御ユニット受容器を備え得る。制御ユニットは、外科用パックが開封された後、トレイの制御ユニット受容器内に受容されるように構成され得る。制御ユニットは、少なくとも1つの複数の外科用器具に電力を供給し、およびその動作を制御するように構成され得る。
【0010】
いくつかの実施態様において、外科用器具は、密封された滅菌外科用パックと、複数の外科用器具および外科用トレイを備える上記のものと同様の制御ユニットとを備え得る。外科用トレイは、以下の特徴のうちの一またはそれ以上をまた含んでいてもよい:複数の受容構造物、少なくとも1つの電気コネクタ、少なくとも1つの流体コネクタ、および少なくとも1つの接続されたポンプ。複数の外科用器具のそれぞれが対応する受容構造のうちの1つの内部に取り外し可能に配置されるように、複数の受容構造が上面上に配置され得る。少なくとも1つの複数の外科用器具が、少なくとも1つの電気コネクタに接続され得る。少なくとも1つの複数の外科用器具が、少なくとも1つの流体コネクタへ接続され得る。少なくとも1つのポンプが、少なくとも1つの流体コネクタへ接続され得る。制御ユニットは、少なくとも1つの複数の外科用器具およびポンプに電力供給し、およびその動作を制御するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、制御ユニット受容器は、滅菌野より下側に配置される。制御ユニットは、滅菌されていてもよく、または滅菌されていなくてもよい。トレイは使い捨て型とされ得るが、制御ユニットは再利用可能である。複数の外科用器具は、生物組織カッターおよび組織照明器具を備え得る。トレイは、患者の側面または上部の外科用スタンド上に備え付けられるように構成され得る。処置は、眼科外科手術であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態による外科用装置は、複数の外科用器具および外科用トレイを備え得る。外科用トレイは、患者の頭部周囲に実質的に適合するような形状にすることができ、そして、トレイの上側上に配置される複数の受容構造物および流体コンテナを受容する凹部を備え得、複数の外科用器具それぞれは、対応する構造のうちの1つの内部に取り外し可能に配置される。凹部は、流体コンテナ内への挿入のためのスパイク(尖状の保持装置)(spike)と、外科医に流体レベルを示すために流体のコンテナを通って照射される光のための凹部内に配置される光源とを備え得る。複数の外科用器具および外科用トレイは、一緒に予めパッケージ化され、そして滅菌され得る。
【0013】
ある実施形態によれば、眼科外科手術のあいだ外科医によって用いられる外科用装置は、複数の外科用器具と、外科用トレイとを備え得る。外科用トレイは、患者の頭部周囲に適合するように実質的に形付けられ得る。外科用トレイは、トレイの上側上に配置されている複数の構造物と、少なくとも1つのポンプと、緩衝塩類溶液(BSS)のコンテナを受容するための凹部とを備え得る。複数の外科用器具のそれぞれは、対応する構造のうちの1つの内部に取り外し可能に配置され得る。凹部は、通気孔付きスパイクおよび光源を備え得る。通気孔付きスパイクは、第1のチャンネル、第2のチャンネルおよび疎水性フィルタを備え得る。第1のチャンネルは、チューブを介して少なくとも1つのポンプに連結され得、第2のチャンネルは、チャンネル内へ空気を入れるように疎水性フィルタに連結され得る。光源は、液体のメニスカスを際立たせ、そしてそれによって外科医に液体のレベルを示すために、BSSのコンテナを通って光を照射するために凹部に隣接してまたは凹部内に、例えば、凹部の底部または側面などに配置され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、トレイは、患者の側面または上部の外科用スタンド上に備え付けられるように構成される。トレイは、少なくとも1つの複数の外科用器具およびポンプの動作を制御する処理ユニットを備える、または収容し得る。複数の外科用器具は、生物組織カッターおよび組織照明器具を備え得る。組織照明器具の光源は、任意の種類の光、例えば、発光ダイオード(LED)などであり得る。光源は任意の色とされ得るが、特には、青色、琥珀色、紫色および緑色などのうちの1つであり得る。
【0015】
いくつかの実施形態による、外科的処置のあいだに外科医によって用いられる外科用装置は、複数の外科用器具と、外科用トレイとを含み得る。外科用トレイは、患者の手術が行われる身体部分にトレイを適合させるための略U字型の切り欠きをトレイの中心に備え得る。外科用トレイは、トレイの底面側に、U字型の切り欠きに沿ってU字型凹部を備え得る。U字型凹部は、外科用テーブルまたは椅子上の支持物、例えば、トレイ支持物などの一部を受容し、トレイがトレイ支持部に連結され得るように構成され得る。トレイの前面の2つの穴は、U字型凹部へのアクセスを提供し得る。各穴は、トレイ支持部の一部分の端部を受容するように構成され得る。トレイはまた、トレイの上側に位置する複数の構造を備え得、複数の外科用器具のそれぞれが、対応する構造ののうちの1つの内部に取り外し可能に配置される。
【0016】
いくつかの実施形態において、眼科外科手術を準備する方法は、一またはそれ以上の以下の工程を含み得る。滅菌ボトルを取り囲んでいるコンテナのへりから蓋を取り外す工程。コンテナを、滅菌ボトルを受容するように構成されている滅菌外科用トレイ内の凹部と合わせる工程。ボトルが凹部内に進めるように、コンテナのへりを凹部の周囲に置く工程。へりを滅菌外科用トレイと接触させて、コンテナの側壁部をつぶし、コンテナ全長を減少させるようにコンテナを圧縮する工程。ボトルを滅菌外科用トレイ中の凹部内に挿入する工程。ボトルを覆っている状態からコンテナを移動させ、凹部内にボトルが残される工程。
【0017】
方法に関する追加の実施形態はまた、一またはそれ以上の以下の追加の工程を含んでいてもよい。コンテナの側壁の蛇腹式部分をつぶす工程を含むコンテナを圧縮する工程。へりが滅菌外科用トレイと接触しているあいだにコンテナの底面を下方向に押圧する工程を含むコンテナを圧縮する工程。凹部内に配置されているスパイクを用いてボトルの膜を穿刺する工程。凹部中のスパイク上にボトルを進める工程。コンテナを廃棄する工程。
【0018】
いくつかの実施形態による眼科外科手術を準備する方法は、一またはそれ以上の以下の工程を含み得る。緩衝塩類溶液の滅菌ボトルを保持しているコンテナから蓋を取り外す工程。緩衝塩類溶液ボトルを滅菌外科用トレイの凹部内へと挿入する工程。へりの上部表面がトレイの凹部上の縁と係合しているあいだにコンテナの底面を押圧することによりコンテナの円筒形側壁の蛇腹式部分をつぶす工程。緩衝塩類溶液ボトルを覆っている状態からコンテナを移動させ、ボトルがトレイ上に残される工程。コンテナを廃棄する工程。
【0019】
前記方法はまた、一またはそれ以上の以下の工程:緩衝塩類溶液ボトルの膜を凹部内のスパイクで穿刺する工程、および、緩衝塩類溶液ボトルを凹部内のスパイク上に進める工程、を含んでいてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、眼科外科手術のための準備に用いられる装置は、内部チャンバを備えたコンテナと、前記コンテナ上の蓋と、内部チャンバ内に配置される緩衝塩類溶液ボトルとを備え得る。コンテナは一般的に、コンテナの長さを変化させ得る折り畳み式/拡張可能な部分を備えた円筒型の側壁を備え得る。コンテナは、緩衝塩類溶液ボトルが滅菌トレイのレセプタクル中に挿入されるとつぶれるように構成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、折り畳み式/拡張可能な部分は、蛇腹式の形状部分を備える。蓋は、TYVEK(登録商標)蓋または他の類似の材料であり得る。
【0022】
添付図面中、多様な実施形態を例示目的のために示すが、これらの実施形態は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。図面中、類似の符号は、類似の実施形態を通じて一貫して対応する特徴を示している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】外科的処置のための位置にある患者を示す。
図2】トレイ支持物を示す。
図2A】トレイ支持物を備えた外科用椅子またはベッドを示す。
図2B】トレイ支持物およびトレイを備えた外科用椅子またはベッドを示す。
図3】トレイの斜視図である。
図4図3のトレイの上面図である。
図5図3のトレイの正面図である。
図6図3のトレイの背面図である。
図7図3のトレイの底面である。
図7A】トレイ支持物に連結されたトレイの底面図である。
図8】流体/空気交換システムのブロック図である。
図9】トレイに連結された緩衝塩類溶液(BSS)コンテナを備えた図3のトレイの側部を示す。
図10】トレイに連結された緩衝塩類溶液(BSS)コンテナを備えた図3のトレイの側部を示す。
図11】取り外し可能な制御ユニットを備えたトレイを示す。
図12】制御ユニットの上面図である。
図13】制御ユニットの底面部である。
図14】制御ユニットの側面図である。
図15】制御ユニットの側面図である。
図16】制御ユニットの側面図である。
図17】制御ユニットの構成要素のブロック図である。
図18】流体貯蔵器レシーバを示すトレイの部分である。
図19図18の線19−19に沿った断面図である。
図20】コンテナを示す。
図21】蓋を備えたコンテナを示す。
図22】コンテナ内のボトルを示す。
図23A】コンテナ内のボトルを示す。
図23B】コンテナが圧縮状態にあるときのコンテナ内のボトルを示す。
図24】滅菌ボトルコンテナを使用する方法の一部を示す。
図25】滅菌ボトルコンテナを使用する方法の一部を示す。
図26】滅菌ボトルコンテナを使用する方法の一部を示す。
図27】滅菌ボトルコンテナを使用する方法の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の記載は、眼科外科手術に関連して例示目的に開示されるが、当業者であれば、本明細書中に記載される、および、特許請求の範囲に記載される実施形態は、他の種類の外科手術および医学的処置にも等しく適用可能であろうことが理解されるであろう。
【0025】
滅菌外科用トレイおよびシステムは、例えば、医師、外科医または看護師などのユーザに対し、医学的処置に必要とされる器具、ツールおよび/または材料を有利に提供することができる。外科用トレイおよびシステムは、必要な要素を滅菌方式で、および、トレイを開いた後にそのまますぐに利用できるような構成で提供することができる。トレイおよびシステムは、特定の種類の医学的処置に合わせて設計され得、そして、医師、外科医および看護師が他の材料を入手する必要なく、または、例えば、医師のオフィスまたは戦時的状況における軍の手術室などの手術室の外で外科的処置が行われることを可能とするために最小の量の他の材料および/または援助のみを必要として、処置を行うことを可能にする。例えば、トレイおよびシステムは、手術に必要な外科用ツール全てと、これらのツールのための電力システムおよび制御システムとを提供することができる。さらに、トレイおよびシステムは、そのまますぐに利用できる配置にある、例えば既に電源コネクタ、液体コネクタ、吸引コネクタなどにプラグ接続されているツールを提供することができる。別の態様として、トレイおよびシステムは、手術に必要な外科用ツールの全てを備えた使い捨てトレイと、使い捨てトレイにプラグ接続されるか、または連結され得る再利用可能な制御ボックス/ユニットとを備え得る。
【0026】
処置のあいだに使用され得る滅菌トレイ上に必要な材料を提供することに加えて、本トレイおよびシステムは、追加の利点を提供することができる。例えば、本トレイは、処置に最適化されている様式で整理されている材料を提供することができる。別の態様として、本トレイは、材料を整理、入手、および/またはユーザに提供することを支援するアシスタントを必要とすることなしにユーザが処置を行うことを可能にする。これは、処置を簡略化すると同時に、処置のコストを大幅に低減させ得る。トレイおよびシステムはまた、滅菌野を危険にさらすことなしに、例えば、制御システムの接続、および、緩衝塩類溶液(BSS)のコンテナのトレイへの接続などを含む、外科用トレイおよびシステムを準備するための非滅菌的補助を可能にする。
【0027】
例として、図1は、患者2が仰向けに横臥している図であって、外科用トレイ10が患者2の頭部を取り囲んでいる図を示す。かかる患者は、外科的処置、例えば、患者の片眼または両眼の眼科手術などのための準備が整えられている。この種の手術において、トレイ10は、滅菌野の一部であり得、あらかじめ滅菌された器具および/または薬剤を収容または保持することができる。
【0028】
一般的には、外科用トレイは、別個のトレイへのまたはテーブルへの構成要素の移動の必要性無しに、パッケージ化された構成要素への迅速なアクセスを提供することができる。この点において、外科用トレイは、開封した時点で、外科的処置のための滅菌トレイとなる。外科用トレイは、トレイ上にすでにセットアップされて、そのまますぐに利用できる器具類を備え得る。器具類は、そこから外科医が器具類を移動し、使用し、そして非使用時に戻すことができる好適に便利な位置に配置され得る。
【0029】
トレイは、処置のあいだトレイとしての機能を果たす予めパッケージ化された滅菌パックとして製造および組み立てられている滅菌外科用トレイであってもよい、「パック(pack)」という用語は、製造業者から消費者、例えば、病院、外来外科手術センター、医師のオフィス、ミリタリーセッティングなどへと発送され、そして、外科医、医師、看護師などが医学的処置、例えば、外科手術などを行うために使用される滅菌パッケージ中に含まれる外科用器具および他のアイテムを集合的に特定することを意味している。「トレイ(tray)」という用語は、手術野の少なくとも一部分を画定し、外科手術のあいだに使用される流体処理装置、外科用器具および他の種々のアイテムを保持することのできる構造体を指す。
【0030】
好ましい実施形態において、パックはトレイと同義であり得る。外科用トレイは、外科手術に必要な機器と共に製造および組み立てられ、そしてその後、バッグまたは他のコンテナ中に封入され、そして滅菌されてもよい。その後バッグが開封されると、トレイが前記バッグから取り出され、場合によっては蓋またはカバーが取り外され、医学的処置、例えば、外科手術に必要とされる全てとはいえないにしてもいくつかの器具および他のアイテムが見えるようになる。
【0031】
トレイ10は、従来のメイヨートレイの代わりとなり得、そして外科医と手術部位との間に設置され得る。手術のあいだに、カバーを取り除くことによってまたは筺体からトレイを取り除くことによってパックを開封した後、トレイ10は、外科医の左側もしくは右側、または患者胸部の上もしくは上方、または、外科医および患者に近接近している別の外科用装置、例えば、外科用スタンドなど上に配置されてもよい。トレイはまた、外科医と患者の頭部との間に配置されてもよい。
【0032】
トレイは、処置が施されることになる患者の頭部または他の所望の領域を取り囲み得る。例えば、トレイは、結果的に患者の頭部の周囲および外科医と患者頭部との間にトレイを配置することになるように患者2の頭部を取り囲み得る。このような構成において、トレイはまた、頭部または他の所望の領域を取り囲むことによって、および、そこへのアクセスを制限することによって、滅菌野を画定および/または限定し得る。
【0033】
トレイは、外科用ベッド、椅子、テーブルなどの周囲または近隣の構造物上に配置されるか、または取り付けられ得る。トレイは、構造物、例えば、レールシステム、スタンド、タワー、ベッドサイド、カート、テーブルなどに連結されるか、またはその上に配置され得る。例えば、いくつかの実施形態において、トレイは、外科用椅子に取り付けられた腕または手首支持物へ取り付けられるように構成される。トレイ自体はその後、トレイ、および手首または腕の支持物の両方として用いることができる。
【0034】
手首支持物は、多くの処置において、とりわけ、正確性および手元の安定が必要とされる眼への処置において一般的に用いられる。手首支持物および/または本トレイは、手首支持物がトレイを支持するために使用されることを可能にするように構成され得る。よって、手首支持物12は、本明細書において、トレイ支持物として新たに意図される。その後、本トレイは、ユーザの手首および/または腕に対する支持物を提供し得る。
【0035】
図2および図3はそれぞれ、トレイ支持物12および外科用テーブルまたは椅子13のヘッドレストに備え付けられるトレイ支持物12を示す。テーブル13上に横臥している患者は、トレイ支持物12が患者頭部を取り囲むように自身の頭部をヘッドレスト上に位置させ得る。これにより、処置のあいだに手または腕を置くまたは固定させるための、医師、外科医、看護師などのための支持物が提供され得る。
【0036】
トレイ支持物12上に配置されるトレイ10は、図1に示されるように患者の頭部を取り囲み得る。トレイ10は、一またはそれ以上の、ユーザの手首および/または腕へのサポートを提供しながら、患者頭部を包囲することができる。例えば、外科医は、トレイ10の支持部11上に自身の前腕を置くことができるであろう。支持部11は、外科医が支持部11上に自由に、他の機構からの干渉を受けることなく自身の腕を置き、そして向きを変えることができるように、器具、ツールまたは他の機構を備えない。
【0037】
いくつかの実施形態において、支持部11は、トレイのいくつかの他の部分よりもより高く隆起している。支持部11は、略平面であってもよい。いくつかの実施形態において、支持部11は、トレイ10の他の表面上の円形または扁平の表面を備える細長突起であってもよい。いくつかの実施形態において、支持部11は、医師が自身の肘または前腕を自身の体側でかつトレイの横で支えながら患者に近づくことができるように、医師の側面に位置するように構成され得る。医師の身体が、自身の腕が体側でおよび可能であれば医師の身体の後ろ近くで支持されながら、医師の身体が患者により近接させることを可能にする、内側に向かう外形9を備えたトレイ10が図示されている。
【0038】
図2に戻って参照して、例示的なトレイ支持物12が図示されている。トレイ支持物12はまた、トレイ10を手術野内に位置させるためにも用いることができる。図示されているトレイ支持物12は、図2Aに示すように、外科用スタンド、テーブル、椅子13などに、その端部14において連結し得る。トレイ支持物12は、例えば図示されているようなU字型リングなどの上部の支持バー16を備え得る。支持バー16は、それに取り付けられる外科用スタンド、テーブル、椅子13などに対して、固定的なまたは調節可能な関係をもち得る。支持バー16は、多数の異なる形状のうちの1つをもち得る。例えば、支持バー16は、円形、半円形、U字型形状、V字型形状もしくはL字型形状、または3つの側面を有する箱形であり得る。支持バー16は、丸型または角型の、棒、管またはパイプで製造され得る。図示されるように、支持バー16は、U字型に形成されている角型の管からなっている。
【0039】
上述したように、トレイ10は、例えば、トレイ支持物12の支持バー16上など、医療ベッド、椅子13またはテーブルの周囲のまたはそれに近隣した構造物上へ置かれるか、またはそれに取り付けられ得る。トレイ10は、支持バー16上に置かれるか、滑り込まされるか、またそうでなければしっかりと固定され得る(図2B)。トレイ10は、多数の種々の方法のうちの1つによって支持バー16または他の構造物へ取り付けられ得る。
【0040】
図3〜6を参照すると、トレイ10の外形および形状が確認され得る。トレイ10は、患者の頭部または他の所望の領域を取り囲むだけでなく、患者に対する位置関係において外科医を特定の位置におくことができるように形付けられる。例えば、トレイは、外科医と患者との間に配置され得、その一方でいくつかまたは全ての器具を患者の側面から離れて配置させる。器具はまた、医師の周辺視野内に配置されてもよい。トレイ10の形状はまた、特定の構造物、例えば、トレイ支持物12などにトレイを取り付けることを容易にし得る。
【0041】
トレイ10の形状は、手術が施される、患者2の領域に隣接するまたはその周囲の利用可能な空間の使用を最適化し得る。例えば、患者頭部の周囲において、一体化されたトレイ10およびトレイ支持物12は、外科医のすぐ手近に必要な器具の全てを提供しつつ、外科医に充分患者に接近することを可能にし得る。加えて、トレイ10を用いているあいだ、器具がそれらが必要とされるまさにその場所である手元にあるため、外科医は一般的に横を向いたりまたは自身の手を伸ばす必要すら無い。
【0042】
例えば、図3および図6に示すように、トレイ10の裏面は、例えば、トレイ10の下方に外科医の脚または身体のためのより多くの空間をもたせ得る切り欠き50を備え得る。外科医が、患者の頭頂の背後に直接座るか、または立っている場合、トレイの裏面(図6)は、外科医の身体に最も近接し、そして、前面(図5)は患者に最も近接している側である(図1を参照)。切り欠き50はまた、トレイ支持物12上の支持バー16などの適切な構造物へトレイ10を備え付けることを助けるための、トレイ10の下への追加の視覚的アクセスを提供し得る。
【0043】
図7および図7Aに示すように、トレイの底面および他の部分は、特定の構造物、例えば、支持バー16などへの取り付けを容易にするような形状および/または外形とすることができる。トレイ10は、トレイ10をトレイ支持物12の支持バー16の上部上に適合させることを可能にする大きさであるスロットまたは空間54を備え得る(図7A)。スロット54は、トレイ10の底面上の様々な支持助材を横切って形成されていることが示されている。スロットは、他の方法で形成されてもよい。スロット54または他の連結構造物は、トレイを支持バー16の全体または一部のみに取り付けるおよび/または被覆することを可能にし得る。
【0044】
図5の正面図において、トレイ10はまた、一またはそれ以上の穴52を備え得ることが分かる。穴52は、トレイ10の底面上の支持助材に切り込まれているスロット54(図7および図7A)と、支持バー16の上方およびその上で適合するように協働し得る。穴52は、多数の種々の形状のうちの1つであり得る。例えば、穴52は、(図示のような)円形、または矩形であり得る。加えて、穴は、種々の形状および/または大きさである支持バーと協働するような形状とされ得る。例えば、図示される実施形態において、穴は円形であり、そして支持バーは、矩形の断面を有する。いくつかの実施形態において、穴および支持バーは、対応する形状を有する。
【0045】
トレイ10は、外科医の椅子、外科用プラットフォーム、別個のスタンド、手首支持物12、支持バー16など上にトレイを留める(ラッチング)ための一またはそれ以上の機構を備え得る。ラッチング機構は、例えば、スナップ式、ネジ、ロック、ロックハンドルによって付勢されるバネなどを含み得る。さらに、スロット54は、トレイの望ましくない動きを最小化する、およびできる限り防止するために、支持バー16上できつく嵌め合わされ得る。いくつかの実施形態において、スロットは、支持バー16の高さ全体に延びる深いスロットであり得る。スロットはまた、支持バー16の底面の一部の周囲に延びる一またはそれ以上のタブを備えていてもよい。
【0046】
トレイ10は好ましくは、トレイがトレイの任意の点において下方圧力または側方圧力に付されたときに、倒れたり、傾むいたりまたは支持バー16から落下したりしないような様式で、支持バー16上に固定または配置される。
【0047】
図示されているトレイ10は、以下のように、支持バー16上に備え付けられ得る。1)トレイ10が、トレイの前側が支持バー16の「U」型の前端または上部の前方に来るように支持バー16の上に置かれる、2)穴52が支持バー16の「U」型の前端または上部に接近すると、トレイの前部が下方に傾斜し、そして、支持バー16の「U」型の前端または上部が穴52を通って進みながら、トレイが支持バー16上で後方に進む、3)トレイはその後、スロット54の全長が支持バー16上に実質的に合わせられるまで、支持バー16上で後方にスライドされる、4)トレイは、トレイの後部を下降させることにより傾むかずまたはまっすぐにされ、これにより、トレイが支持バー16上に完全に据えられる。支持バー16の曲線状形状、穴52およびスロット54全てが、トレイが容易に支持バー16から移動されたり、ひっくり返ったり、支持バー16上で傾いたりしないように、トレイを支持バー16上に維持するために協働する。
【0048】
ここで図3および図4を再び参照して、滅菌外科用トレイ10の使用に関連する特徴についてここで説明する。トレイ10は、複数の外科用器具を受容するための受容構造または嵌合構造18を備える。器具を受容するための受容構造または嵌合構造18は、一般的に特定の器具の形状に適合するかもしれず、または、器具が置かれるまたは保持される一般的な領域であって、特定の器具のための特定の構造をもたない領域であってもよい。本明細書中に用いられる「嵌合(mating)」という用語は、物品の一部または全体を受容するための相補的形状を有するレセプタクルを非限定的に意味する。嵌合構造18は、種々の器具を保持し得る形状を有する、トレイ10内の凹部またはキャビティを備え得る。嵌合構造18は、トレイ10上の器具を受容するおよび/または位置付ける突起、架台、ガイド部材または他の構造物を備え得る。
【0049】
トレイ10は、上面上に、外科手術が行われるために必要な外科用器具を受容するための充分な領域を、外科医に容易かつ便利に器具を取り上げそしてそれをトレイ10へ戻すことを可能にさせるための器具の間の充分な空間と共に有する、。
【0050】
トレイおよび/またはパックは、トレイ10と共に予めパッケージ化されおよび滅菌されてもよい、多数の種々の外科用機器を備え得る。例えば、外科用パックの外科用機器は、生物組織カッター、組織照明器具、吸引/注入装置、使い捨て検鏡/ドレープの組み合わせ、綿棒、BSSを含むコンテナ、注入ライン、トロカール、カニューレ、鉗子などを備え得る。
【0051】
滅菌外科用トレイ10が眼科手術のためのものである場合、外科用器具は好ましくは、少なくとも生物組織カッター、吸引器具および注入器具を含む。生物組織カッターは、少なくとも1つの、硝子体カッター、水晶体乳化、破砕または切断装置、鋏、および電気メスであってもよい。吸引は、例えば硝子体カッターおよび水晶体乳化(超音波水晶体乳化吸引術)(phaco)装置で知られているような生物組織カッターと一体化されてもよい。吸引器具および注入器具は、一般的に潅流/吸引(I/A)ハンドピースと称される、一体化された注入および吸引器具であってもよい。外科用トレイ10が硝子体網膜手術のためである場合、注入器具は、連結されたチューブを備えた注入カニューレであってもよい。
【0052】
好ましくは、トレイ10は、所望の外科手術を行うために必要な全てのまたはほとんど全ての器具を備える。例えば、所望の手術が眼の硝子体茎切除術である場合、それは、硝子体カッター、潅注器具、照明器具、吸引源、注入源、および受動外科用器具(例えば、電原を備えていないもの)、および場合により空気/流体交換源を備え得る。所望の外科手術が眼からの白内障除去である場合、トレイ内に備えられる器具は、例えば、超音波水晶体乳化吸引術用装置、超音波水晶体乳化吸引術用針、嚢研磨ツール、吸引源、注入源、および受動外科用器具、および場合によりオイルが充填された注射器などの白内障摘出器具であり得る。
【0053】
図3および図4に図示されている実施形態において、トレイ10は、眼科手術に使用され得、そして、硝子体カッター26、熱透過(diathermy)または電気焼灼装置28、および照明装置30を備える。熱透過または電気焼灼装置28は、公知のように、熱伝導を用いて組織を破壊することにより、小血管からの出血を止めるために使用され得る。
【0054】
トレイ10はまた、好ましくは、トレイ10と共に予めパッケージ化されおよび滅菌されている複数の器具を超えて、追加の器具を受容するための構造物を備える。その一例は、その上にいかなる器具も示されていない構造物18である。
【0055】
また、少なくとも1つの外科用器具は、製造時に様々な電気的接続および/または流体接続でトレイ10と連結されていてもよい。図4に最も良く示されているように、トレイ10は、様々な電気コネクタ32と、様々な流体コネクタ34とを備える。電気コネクタ32は、外科用器具を様々な機構、例えば、電源およびコントローラなどに接続するために使用され得る。流体コネクタ34は、外科用器具を流体源および真空源などの様々な供給源に接続するために使用され得る。
【0056】
トレイ10は、例えば緩衝塩類溶液(BSS)などの外科用流体を用いた器具をプライミングするあいだに一またはそれ以上の器具を受容するするためのプライミング流体貯蔵器20を形成する構造物を備えていてもよい。貯蔵器が提供されない場合、ユーザは、BSSを用いた外科用器具およびチューブのプライミングのためにビーカーまたは他のコンテナを使用する必要があるかもしれない。流体貯蔵器20は、制御システムが作動された後の例えば自己検査手続きのあいだなどに充填され得る。自己充填は、コントローラの立ち上げルーチンにおける工程であってもよい。流体貯蔵器20は、BSSで充填され得る。
【0057】
トレイ10は、図3に最も良く示されているように、一またはそれ以上の溝22を形成する凹型の上面を備え得る。トレイ10はまた、図4に最も良く示されるように、一またはそれ以上の流体ウェル24を備え得る。溝22および流体ウェル24は、器具から放出されたまたは漏出された流体および外科的処置により流れ出る流体などの流体を保持するために使用され得る。
【0058】
ドレープが、眼科手術時のあいだ、患者の上に、例えば患者の頭部の一部の上に、置かれ得る(図示せず)。必要に応じて、ドレープは、任意の適切な構造物、例えば、粘着テープ、フックおよびループ材料、または他の構造物などにより、トレイ10に取り付けられ得る。外科手術時のあいだに起こるドレープからの流体流出は、流体を収集するための少なくとも1つの流体保持溝22および/または流体ウェル24を用いて制御され得る。
【0059】
そのうちのいくつかが以下により詳細に記載される、図3および図4に示される追加の機構は以下を含む:電源ボタン36、インジケータパネル38、空気注入コントロール40、油注入コントロール42、流体貯蔵器レシーバ44、トロカールおよび他のツールのための凹型保管箱46、および吸引流体コンテナ48。吸引流体コンテナ48は、手術部位から吸引された流体を受容することができる。いくつかの実施形態において、吸引流体コンテナ48は、流体レベルを示すために流体表面に浮かぶ有色の浮き(float)、ボール、または浮き(bobber)を備え得る。吸引流体コンテナ48はまた、光源を備えていてもよい。この光源は、以下に記載されるように、流体貯蔵器レシーバ44内の光源と同様に機能し得る。
【0060】
インジケータパネル38は、少なくとも1つの状態インジケータを備えていてもよい。状態インジケータは、発光ダイオード(LED)、ディスプレイ、数字、アイコン、棒グラフおよび/または音響信号発生器などを含む多くの形をとり得る。図3および図4において、状態インジケータの5つのグループが示されている。状態インジケータの各グループは、トレイ10の特定の器具または機能と関連付けられ得る。状態インジケータは、種々のタイプのフィードバックをユーザへ送ることができる。状態インジケータは、異なる色であってもよく、または、異なる数の光を備えていてもよい。例えば、流体貯蔵器がセンサーを備えている場合、真空レベルが許容できない(赤色)、真空レベルが許容できないレベルに近づいている(黄色)、または、真空レベルが許容できる(緑色)ことをユーザへ示すために、インジケータの色を赤色、黄色および緑色とすることができるであろう。別の例として、点灯するインジケータの数により、速度またはエネルギーレベルを示すこともできるであろう。インジケータパネル38はまた、電池または燃料電池の電力レベル、入力および出力コネクタへ取り付けられたポンプ流体貯蔵器の流体レベル、または入力および出力コネクタへ取り付けられた照明器の照明レベルを示してもよい。
【0061】
トレイ10はまた、ユーザから、複数の外科用器具から、および他のデバイスからの入力を受信するため、および、それらへの信号を伝送するためのプロセッサを備えた制御ユニット60を備えていてもよい。制御ユニット60は、好ましくは、トレイ10の開封後にトレイ10へと接続され、そして外科手術のために準備されている。制御ユニット60は代わりに、トレイ10と共に予めパッケージ化され、そして滅菌されてもよい。
【0062】
図3および図4から分かるように、外科用トレイ10は、必要なツールを、トレイ開封後にそのまますぐに使用できる構成で提供し得る。トレイは、特定の外科的処置に最適化されている様式で整理されているこれらのツールを提供し得る。例えば、支持部11は、器具、ツールまたは他の機構を備えず、その一方でいくつかまたは全ての器具は、患者の側面から離れており、医師または外科医に容易なアクセスを提供する。器具がそれらが必要とされるまさにその場所である手元にあるため、外科医は一般的に横を向いたりまたは自身の手を伸ばす必要すら無い。加えて、トレイ10の様々な機構が最適に配置されている。例えば、電源ボタン36は、電源ボタン36の不測の押圧を防ぐために、医師から離れて、およびまた支持部11から離れて置かれる。また、流体貯蔵器レシーバ44内の流体コンテナもまた、医師から離れて置かれる。これは、流体貯蔵器レシーバ44内のボトルが妨げとならないだけでなく、外科医に流体レベルを視認することを可能にさせる視覚的アクセス線を提供することを確実にする。
【0063】
パネル38および流体貯蔵器レシーバ44はまた、トレイの外側に配置されてもよい。これは、外科医に例えば外科用顕微鏡から自身の頭部をそらすことなく、周辺視野または眼の動きのみを用いることを可能にし得る。これは、トレイの人間工学を増加し、そして、頭部の移動に起因する注意散漫を低減することができる。さらに、主要な流体および電気的構成要素は、トレイ10の両側に分離される。電源ボタン36、制御ユニット60およびインジケータパネル38が一方の側にあり、そして、流体貯蔵器レシーバ44および吸引流体コンテナ48が他方の側にある。
【0064】
ある実施形態において、滅菌外科用トレイ10はまた、図7に最も良く示されるように、一またはそれ以上のポンプ56を備える。図示のように、各ポンプ56は、電気モータ58によって駆動される。一またはそれ以上のポンプ56は、例えば、吸引を提供する、流体の加圧源を提供する、材料を眼から除去するなどの、様々な目的のために用いられ得る。
【0065】
ポンプ56は、流体貯蔵器またはレセプタクルのレシーバ44に動作可能に連結される注入ポンプであってもよい。流体貯蔵器レシーバ44は、例えば外科用潅注溶液などの流体を手術部位に注入するための流体貯蔵器(以下に記載および図示する)を受容するためのものであり得る。ポンプ56は、手術のあいだに吸引された組織および流体を収集するための吸引ポンプであり得る。いくつかの実施形態において、吸引ポンプは、吸引された組織および流体を吸引流体コンテナ48に送り出すことができる。ポンプ56は、真空ポンプ(例えば、ロータリベーンまたはダイアフラムなど)または容積移送式真空ポンプ(例えば、ペリスタルティックまたはスクロールなど)のうちの1つであってもよい。
【0066】
トレイ10はまた、油または他の流体を眼に注入するためのシリンジポンプ(図示せず)を備えていてもよい。図4および図7を参照して、シリンジポンプは、流体コネクタ34のうちの1つ、および場合により電気コネクタ32のうちの1つに連結し得る。特には、流体コネクタ34の1つは、油注入コントロール42に接続されてもよい。油注入コントロール42は、油の流量を制御するために使用され得る。図示されるような油注入コントロール42は、活栓62のハンドルであるが、コントロール42はポンプおよび/または電磁弁を備えていてもよい。活栓62は、一またはそれ以上の流体コネクタ34、および/または外科用器具に流体連結され得る。
【0067】
注入ポンプ56はまた、活栓64に連結され得る。活栓64は、流体貯蔵器レシーバ44を介して、流体貯蔵器へと連結され得る。活栓64は、処置のあいだに空気を眼に注入するために使用され得る。例えば、流体が眼から除去された後、網膜上への全ての処置ののあいだまたは一部の処置のあいだに、空気が網膜内に注入され得る。活栓は、例えば硝子体カッター26などの器具によって流体または空気が注入されるか否かを制御することができる。図示されるような空気注入コントロール40は活栓64のハンドルであるが、コントロール40は、ポンプおよび/または電磁弁を備え得る。
【0068】
注入ポンプ56はまた、シリンジポンプまたは油貯蔵器に連結されてもよい。よって、この構成における注入ポンプ56は、一またはそれ以上の、例えば緩衝塩類溶液(BSS)などの流体、空気、または油を注入し得る注入装置に連結され得る。
【0069】
図8は、例えばトレイ10などの滅菌外科用トレイに一体化されていてもよい流体/空気交換システム300のブロック図を示す。システム300は好ましくは、どの流体、BSSまたは空気が注入ポンプ308中に流され得るのかを選択するための選択バルブ306に連結される、BSS貯蔵器302、空気の貯蔵器304を備える。注入ポンプ308は、眼または他の身体部分内へと流体を注入するために適切である任意のポンプでありってもよい。バイパスバルブ310は、注入ポンプ308からの流路と油貯蔵器312とを連結する。油貯蔵器312は、逆止弁316を介して油源314に連結される。油源314は、図示されるようにシリンジであってもよく、または、自動的に油を貯蔵器312中に送り出すためのポンプ(図示せず)に連結されている別の源であってもよい。その後、油貯蔵器は、別の逆止弁320を介して三方活栓バルブ318に連結される。バルブ306、310および318の位置に応じて、空気、BSSまたは油(典型的にはシリコーン油)が眼の中に注入されるであろう。バイパスバルブ310は、注入ポンプおよび空気またはBSSが貯蔵器312からの油を眼の中へと押し出すことを可能にする。
【0070】
ここで図9〜10を参照して、トレイ10の2つの側面が示されている。これらの図中のトレイ10はまた、以下により詳細に記載されるように、トレイ10に連結されているBSSコンテナ70を備える。
【0071】
図10および図11において、制御ユニット60がトレイ10に連結されてもよいことが理解される。制御ユニット60は、ユーザから、複数の外科用器具から、および/または他のデバイスからの入力を受信するためのプロセッサを備え得、そして、それらへの信号を伝送し得る。
【0072】
制御ユニット60は、トレイ10内へ受容され得るカートリッジとして製造され得る。特に図11を参照して、カートリッジ様の制御ユニット60が、トレイ10内のスロット66中に挿入され得ることが理解されるであろう。
【0073】
制御ユニット60を備えるトレイ10は、手術のための全ての必要な外科用ツールおよびこれらのツールのための電力および制御システムを提供し得る。さらに、いったんカートリッジ様の制御ユニット60をトレイ10にプラグ接続すれば、外科医が最低限の追加の準備から追加の準備なしで処置を開始することができるように例えば既に電源コネクタ、液体コネクタ、吸引コネクタなどにプラグ接続されているような、そのまますぐに利用できる配置にあるツールを提供することができる。トレイは、手術に必要な外科用ツールの全てを備えた使い捨てトレイであり得、制御ユニット60は、使い捨てトレイにプラグ接続されるか、または連結される再利用可能な制御ユニット60であり得る。
【0074】
カートリッジ様の制御ユニット60は、制御ユニット60の両側上に一対のレール68を備え得る。レール68は、トレイ上のスロット66内の溝72によって受容され得る。カートリッジは、ボタンレバー74がトレイ10と係合するまで、溝72と係合するレール68を用いてスロット66内に滑り込ませられ得る。溝およびレールおよび/またはハウジングの形状は、カートリッジコントロールが、ユーザがカートリッジを誤って挿入することを防止するために一方向にのみ挿入され得るように設計され得る。ボタンレバー74は、ボタンレバーを移動させ得るハンドル76を備え得る。ボタンレバー74は、制御ユニット60にヒンジ式に取り付けられ、直立位置に向かって付勢され得る。ボタンレバー74は、内部バネを備え得る。ハンドル76を押下げると、ボタンレバー74を下方に移動させることができる。ボタンレバー74の外縁部は、トレイ内のスロット66の端部と係合し得る。この係合は、制御ユニット60をトレイ内の所定位置に固定することができる。制御ユニット60が、制御ユニットの底面上にハンドル78を有していることもまた理解されるであろう。ハンドル78および76は、制御ユニット60を取り付けるか、またはトレイ10から取り外すあいだに、制御ユニット60を固定するために併用して使用され得る。
【0075】
制御ユニット60は、電気的接続を備えて提供され得る(図14)。トレイはまた、対応する電気的接続を備え得る。これは、制御ユニットがスロットに挿入され、そしてトレイと係合された時に制御ユニットがトレイの電気的接続を自動的に行うことを可能にし得る。制御ユニット60は、完全に自給式であってもよいし、または、追加の差込み口、例えば、外部電源および他の電気的またはネットワーク型の接続などを必要としていてもよい。
【0076】
トレイ/パックが開封された後に制御ユニット60がトレイ10に連結される場合、制御ユニット60は滅菌される必要がないかもしれない。なぜならば、トレイ内のスロット66は、一般的に滅菌野内にないであろう、または滅菌ドレープによって覆われているかもしれないトレイ10の下側部分上にあるからである。
【0077】
制御ユニット60は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、ASIC、および/または回路および駆動機構など)、ならびに、トレイ10上のまたはそれに取り付けられている、電力および制御を必要とする様々な器具類を、制御し、そしてそれらに電力を供給するように構成される電源を備え得る。例えば、制御ユニット60は、硝子体カッター26、熱透過装置28、照明装置30、モータ58および/またはポンプ56に電力供給し、そしてそれらを制御するように構成されてもよい。制御ユニット60は、有線または無線伝達に適するように装備され得る。例えば、制御ユニット60は、例えば、現在の照明レベルなどの現在の動作パラメータを受信するために照明装置30と情報伝達し得る。このようにして、全ての必要なロジック、回路および電力が、別個の制御コンソールを用いる必要無く、トレイ10自身およびトレイと情報伝達をし合っている器具内に存在し得る。制御ユニット60は好ましくは電池を備え、再充電可能である。
【0078】
図17を参照して、トレイ10と共に使用され得る制御ユニット60の一実施形態が図示されている。図17は、一またはそれ以上の携帯用器具516および/またはコンピュータシステム517および/またはデータソース519と一またはそれ以上のネットワーク510と情報伝達している制御ユニット60のブロック図である。制御ユニット60は、一またはそれ以上の、本明細書中に記載のシステムおよび方法を実行するために使用されてもよい。加えて、一実施形態において、制御ユニット60は、外科用装置からの状態データおよび/または情報を処理するように構成され得る。図17は制御ユニット60の一実施形態を図示しているが、制御ユニット60の構成要素およびモジュール中に提供される機能性は組み合わせより少数の構成要素およびモジュールとされてもよいし、または追加の構成要素およびモジュールへとさらに分離されてもよいことが理解される
【0079】
一実施形態において、制御ユニット60は、マイクロプロセッサを備えていてもよい中央演算装置(「CPU」)502を備える。制御ユニット60はさらに、例えば情報の一時的保存のためのランダムアクセスメモリ(「RAM」)および/または情報の永久的保存のためのリードオンリーメモリ(「ROM」)などのメモリ504、および、例えばハードドライブ、ディスケット、または光学媒体記憶装置などの大容量記憶装置508を備える。
【0080】
制御ユニット60は、一またはそれ以上の、一般的に利用可能な入力/出力(I/O)装置と、例えばキーボード、マウス、タッチパッドおよびプリンターなどのインターフェース512とを備え得る。一実施形態において、I/O装置およびインターフェース512は、ユーザへのデータの視覚的提示を可能にする、一またはそれ以上の、例えばモニターなどのディスプレイ装置またはタッチスクリーンディスプレイ装置を含む。I/Oデバイスおよびインターフェース512はまた、様々の外部装置への通信インターフェースを提供し得る。制御ユニット60は、例えばスピーカ、ビデオカード、グラフィックアクセラレータおよびマイクロホンなどの、一またはそれ以上のマルチメディア装置510を備えていてもよい。いくつかの実施形態において、制御ユニット60について記載された構成要素が、制御ユニット60内、トレイ10内、または別の位置に物理的に配置され得ることが理解されるであろう。
【0081】
図17の実施形態において、制御ユニット60は、有線、無線、または有線および無線の組み合わせである通信リンク514を介して、例えばLAN、WANまたはインターネットなどのネットワーク510へと接続される。ネットワーク510は、有線または無線の通信リンクを介して、様々なコンピュータ装置および/または他の電子デバイスと通信する。図17の例示的な実施形態において、ネットワーク510は、一またはそれ以上の、携帯用器具516、コンピュータシステム517、および/またはデータソース519と通信する。制御ユニット60はまた、一またはそれ以上のポンプ56を備えていてもよい。代わりに、一またはそれ以上のポンプ56は、トレイへ連結され得る別個のモジュールまたはユニットの一部であり得る。このようにして、一またはそれ以上のポンプがまた再利用可能となり、トレイ10のコストが低減され得る。
【0082】
ここで図18および図19を参照すると、トレイ10の詳細が示されている。特には、流体貯蔵器レシーバまたはレセプタクル44が示されている。流体貯蔵器レシーバ44は、例えば緩衝塩類溶液(BSS)のボトルなどの、流体の貯蔵器またはコンテナを受容し得る。流体貯蔵器レシーバ44は、流体を受容するために使用され得、そしてその後、流体は、トレイ10の他の構成要素によって使用され得る。例えば、流体は、注入装置によって使用され得、そして、流体を注入装置へおよび眼の中へと送り出すための注入ポンプ56へと連結され得る。
【0083】
流体貯蔵器レシーバ44は、ボウルまたはコンテナのような形状とされ得る。流体貯蔵器レシーバ44は、所望の流体コンテナの外形を収容できるように形成され得る。好ましくは、万一流体がコンテナから漏出またはこぼれた場合に、流体貯蔵器レシーバ44は少なくとも一部の流体を保持することができる。図示されるように、流体貯蔵器レシーバ44は、略円筒型の壁およびより平らな底面を備えるが、他の断面形状、例えば四角形、矩形、多角形なども利用可能である。
【0084】
流体貯蔵器レシーバ44は、ボトルまたはコンテナ内の流体へのアクセスを得るためのスパイク80または他の装置を備え得る。示されるように、スパイク80は、流体チャネル82および空気チャネル84を有する通気孔付きスパイクである。流体は、スパイク80に連結されたチューブ90内へと延びる流体チャンネル82を通って、ボトルまたはコンテナから流れ出ることができる。チューブ90は、注入ポンプおよび/または注入器具へと連結され得る。スパイク80はまた、例えば空気チャンネル84などの通気孔を備え得る。フィルタ86、例えば、疎水性空気フィルタなどが、空気チャンネル84を通って、およびフィルタ86を通って流体がスパイクから流出するのを防止しつつ、空気がスパイク内に流れ込むことを可能にするために使用され得る。このようにすることにより、通気孔付きスパイク80は、同時に空気がボトル内へと導入されることを可能にしつつ、コンテナまたはボトルから流体を移動させることを可能にする。これは、ボトルの内部と大気との間の任意の圧力差を減少させる。これはまた、圧力差から詰まったりまたは押し出されたりすることなく、所望のとおり、流体がボトルから連続的に流出することを可能にする。または代わりに、空気チャンネル84が、流体がチューブ90を通って所望のとおり送られるようにボトルまたはコンテナを加圧するために、注入ポンプに連結されてもよい
【0085】
流体貯蔵器レシーバ44または、光源88を備え得る。眼に対する処置の多くが暗闇の中で行われるため、流体貯蔵器レシーバ44中の光源88は、BSS流体のコンテナまたはボトルの流体レベルについて外科医に有益に知らせ得る。光源88は、流体貯蔵器レシーバ44の内部に、周囲に、または外側にあってもよい。光源88は好ましくは、流体貯蔵器レシーバ44の底面に設置される、他の位置に配置されてもよい。
【0086】
図18および図19に示すように、光源88は、スパイク80に隣接して配置される。光源88は、スパイクの位置されている流体貯蔵器レシーバ44の中心と、側壁との間の半径方向における中間の位置に配置され得る。これは、光源88を、流体貯蔵器レシーバ44内のスパイク80に連結されている流体ボトルの薄い壁部分に隣接して配置することを可能にする。一般的に、従来のBSSボトルが、ボトルの首部と肩部との間に、薄い壁部分を有しているであろうことが理解されるであろう。これは、ボトルを介する光の透過を増加させるであろう。
【0087】
光源88は、流体貯蔵器レシーバ44の底に液密性のシールを形成するように受容され得る。このようにすることにより、流体がボトルから漏出した場合でも、それがトレイ10または流体貯蔵器レシーバ44から漏出する可能性は低いであろう。
【0088】
光源88を流体貯蔵器レシーバ44の底面に配置することによって、光源88からの光線は、ボトルまたはコンテナを通って、および流体を通って通過する。光源88は、ボトル内の流体レベルを示す流体メニスカスを際立たせることができる。メニスカスは、液柱の湾曲した上面であり、その湾曲は、流体とボトルまたはコンテナの壁との間の表面張力によって生じる。光源88は、好ましくは、LEDであり、そして好ましくは、外科的処置の邪魔にならないような、より暗い色とされる。色の例としては、青色、琥珀色、紫色、緑色などが挙げられる。他の種類の光、例えば、白熱灯、蛍光およびハロゲンもまた利用可能である。
【0089】
示されている構成はまた、光が外科医の眼内に直接的に差し込むこと、またはさもなければ、光が外科的処理のあいだに注意をそらすものとなることを有利に防止する。他のシステムもまた、光が外科医の眼内に直接的に差し込むこと、またはさもなければ、外科的処理のあいだに注意をそらすものとなることなしに、流体レベルを暗闇の中で際立たせるために使用され得る。
【0090】
多数の場合において、例えば、外科医などの滅菌側ユーザは、滅菌野を危険にさらすことなしに、非滅菌側ユーザの補助を必要とするかもしれない。例えば、外科医は、滅菌野を危険にさらすことなしに、滅菌野内で、滅菌BSSボトル、または他の流体、薬剤、注入可能な薬剤、静脈注射用溶液もしくは他のコンテナを、例えばトレイ10などを設置するまたは交換するために非滅菌側ユーザの補助を必要とするかもしれない。
【0091】
図20は、例えばボトルなどの滅菌アイテムを滅菌野を危険にさらすことなしに滅菌野内に配置するために使用され得る装置110を示す。装置110はまた、他の目的のために用いることも可能である。
【0092】
装置110は、ボトル、器具、薬剤、ツールなどを保持するように構成されているコンテナであってもよい。コンテナ110は、少なくとも1つの開口部122を備えた内部チャンバ120を備え得る。内部チャンバ120および開口部122は、他のアイテムを保持または保管するために使用され得る。いくつかの実施形態において、コンテナ110は、へり124をさらに備え得る。
【0093】
ここで図21を参照して、いくつかの実施形態において、蓋126が、コンテナ110の頂部を被覆することができることが理解される。蓋126は、開口部122および内部チャンバ120を密封し得る。例えば、コンテナおよび/または内部チャンバ120は滅菌され、そしてその後滅菌された蓋126がコンテナ110へ取り付けられてもよい。代わりに、蓋26は、コンテナ110、内部チャンバ120および内部チャンバ120内の任意の物を一緒に滅菌することを可能にするようにTYVEK(登録商標)蓋とされてもよい。これは、少なくとも蓋126が取り除かれるまで、または密封された内部チャンバ120がほかの方法でブリーチされるまで、内部チャンバ120を滅菌形態に保ち得る。
【0094】
蓋126は、へり124に取り付けられ得る。図示されるように、蓋126は、TYVEK(登録商標)蓋または他の類似の材料である。蓋126は、内部チャンバ120を滅菌状態に維持することのできる任意の種類の蓋であり得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、予め滅菌されているアイテムを内部チャンバ120内に配置することができる。その後、蓋はコンテナ110上に置かれる。代替的にまたは追加的に、アイテムおよび内部チャンバ120は、蓋126を取り付ける前に、または蓋126を取り付けた後に、一緒に滅菌されてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態において、蓋126が不必要であるように、コンテナ110およびアイテムは、(一緒にまたは別個に)滅菌され得、アイテムがコンテナ内に置かれ、そしてその後コンテナが別のコンテナ内に置かれてもよい。別のコンテナは、例えばパッケージングまたは医療キットであり得る。コンテナ110およびアイテムはまた、別のコンテナ内にあるあいだに滅菌されてもよいであろう。
【0097】
図22は、コンテナ110の内部チャンバ120内にボトル70を備えるコンテナ110の実施形態を示している。ボトル70は、静脈内輸液、生理食塩水および薬剤などの任意の多数の種々の物質を備え得る。好ましい実施形態において、ボトル70は、緩衝塩類溶液(BSS)を含む滅菌ボトルである。
【0098】
いくつかの実施形態において、コンテナ110の全体または一部は、可撓性および/または可鍛性であり得る。可撓性および可鍛性は、ユーザがコンテナ110内のアイテム(または複数のアイテム)に付加され得る力をコンテナに働かせることを可能にし得る。例えば、コンテナ110は、圧縮性部分130を備え得る。いくつかの実施形態において、圧縮性部分130は、コンテナが圧縮されおよび/またはサイズが減少されることを可能にする蛇腹式の機構を備える。
【0099】
図23A〜23Bは、圧縮性部分130が圧縮状態に移行し、コンテナ110のサイズが減少しているコンテナ110の一実施形態を示す。ボトル70が完全にコンテナ110内にある図23Aと比較した場合、図23Bにおいては、ボトル70は、コンテナの開口部122およびへり124を超えて伸びる。圧縮性部分130は、ユーザがコンテナ内のアイテムの移動に対する向上された制御をすることを可能にさせ得る。圧縮性部分130は、例えば、コンテナ110からアイテムを押し出すために使用され得る。以下により詳細に説明されるように、圧縮性部分130はまた、アイテムがコンテナ110を離れる際にアイテムに力を作用させることを可能にし得る。
【0100】
一例として、コンテナ110は、トレイ10の流体貯蔵器レシーバ44内のスパイク上にボトル70を進めるために使用され得る。圧縮性部分130は、医師または看護師が必要な圧力をボトル上に適用させることを可能にし得、これにより、スパイクがボトルの隔壁または蓋を穿刺し得る。これは、トレイ上の様々な器具にボトル70内のBSS流体へのアクセスを提供し得る。例えば、注入ポンプ56は、BSS流体をボトル70から硝子体カッター26へと送り出すために使用され得る。コンテナ110は、看護師などの非滅菌側ユーザが、滅菌野を危険にさらすことなしに、BSS流体を滅菌トレイ10上へに載せることを有利に可能にし得る。
コンテナ110のいくつかの例示的使用について、以下に説明する。
【0101】
上述したように、滅菌野は、トレイまたはパック10が関係し得る医学的または外科的処置において確立され得る。外科手術においては、滅菌パックが製造業者から外科手術センターへと発送され得る。その一例として、眼科手術がある(特には、網膜硝子体手術または白内障手術)。これらのパックは、外科手術において典型的に用いられ、そして一回限り利用の外科用器具、流体カセット、チューブセット、ドレープ、針および他のデバイスを含むいくつかのアイテムを備え得る。パックの特定の内容物は、外科手術の種類およびおそらくは外科医または外科センターの個々の好みによって異なる。
【0102】
外科手術の準備を行う場合、トレイ上に滅菌ドレープが置かれ得る。滅菌パックの内容物およびおそらくは追加の滅菌器具および材料が、外科手術に必要な材料および器具が看護師または外科医に容易に利用可能であるようにトレイ上に広げられる。パックが外科手術における少なくともいくつかの器具のためのトレイとして機能できるように、多数の器具およびチューブセットがパックの嵌合する凹部内に整理および配置されている滅菌パックがまた提供され得る。このような例においては、滅菌ドレープは不要であろう。
【0103】
しばしば、パック開封後、パック内の構成要素は取り出され、そして、手術のあいだに任意の構成要素を外科医が取り出せるように、そして彼/彼女が所望する場合に戻せるように、当該分野において公知の従来のトレイに移動されるか、または手術室内のテーブルに戻される。しばしば、手術室看護師または外科アシスタントがこの移動を行う。
【0104】
パック内のまたは外科的処置のための構成要素は、実質的に異なっていてもよい。例えば、眼科手術のための外科用パックの手術用構成要素としては例えば、生物組織カッター、組織照明器具、吸引/注入カセット、使い捨て検鏡/ドレープの組み合わせ、レンズが予め据え付けられている自己安定型レンズリング、ガス交換シリンジ、綿棒(Qチップ(Q-tips)(登録商標))、緩衝塩類溶液(BSS)を含む滅菌コンテナ、注入ライン、カニューレが予め据え付けられているトロカール、およびゴニソール(goniosol)などが挙げられる。
【0105】
いくつかの処置において、吸引/注入カセットは、直接トレイ内へ据え付けられる。これは、吸引/注入カセットの別個の設定の必要性を排除する。吸引ラインは、処置のあいだにカッターによって切断または除去された組織を除去するために生物組織カッターをカセットの吸引チャンバに連結する。注入ラインは、カセットの注入チャンバと連結して、例えば緩衝塩類溶液などの流体の注入が吸引された材料と置き換わることを可能にする。
【0106】
ここで図24〜27を参照して、トレイ10は、緩衝塩類溶液の滅菌コンテナ70をトレイ内に直接的に受容することができる。これは、コンテナ70が、流体の例えば眼などの中への注入を可能にするポンプに連結されることを可能にする。コンテナ110は、トレイ10の流体貯蔵器レシーバ44内へのコンテナ70の導入、配置および/または交換を容易にするために使用され得る。
【0107】
以下の工程が、外科的処置のあいだ、コンテナ70をトレイ10上に据え付けるために行われてもよい。下記の工程は、非滅菌側ユーザによって滅菌野を危険にさらすことなく行なわれ得る。
【0108】
1)蓋126がコンテナ110から取り除かれ得る、および/またはコンテナ110がパッケージングから取り出される。コンテナ110は、例えばBSSなどの静脈内輸液の滅菌ボトル70を備え得る。
【0109】
2)コンテナ110が、図24に示されるように、トレイ10の流体貯蔵器レシーバ44内へボトル70を挿入するために逆さまにされ得る。ボトル70は、ユーザの把持により、またはボトルおよびコンテナのあいだの若干の摩擦係合により、コンテナ110内の所定の位置に保持され得る。ボトル70は、追加の力無しにまたは最小の力でスライドされ得るように、コンテナ110の内部で緩く保持され得る。
【0110】
3)コンテナ110が、コンテナの開口部122が流体貯蔵器レシーバ44の上部開口部に隣接するようにトレイ10の流体貯蔵器レシーバ44上に逆さまに置かれ得る(図25)。ボトル70がコンテナから流体貯蔵器レシーバ44内に入り得る。
【0111】
4)ボトルを流体貯蔵器レシーバ44内にまたはその上に置くことにより(図25)、下向きの力がコンテナ110の底面に適用され得る(図26)。この力は、ボトルがしっかりとトレイへ取り付けられていることを確実なものとするための方法であり得る。この動きはまた、例えば、トレイ内で、スパイク80を用いてボトルの端部を穿刺する(図18〜19)またはボトルを所定位置に固定するなどの他の機構を提供するために機能してもよい。
【0112】
下方向への力は、折り畳み式部分130をつぶすことができる。これは、コンテナのへり124がトレイ10上に位置されているため、力が折り畳み式部分にサイズの減少をひき起こすために充分であり得るためである。この力は、圧縮性部分130を例えば蛇腹様式で圧縮し得る。
【0113】
この力はまた、ボトル70を下方に押圧し得る。これは、ボトルをコンテナから離れさせる。流体貯蔵器レシーバ44がスパイク80を備える場合、力はまた、ボトルをスパイク上に押圧し得る。スパイクは、ボトルを貫通して、例えばボトルの隔壁または蓋を貫通して前進する。ボトルはその後、ポンプ56がトレイの一またはそれ以上の部分で使用されるコンテナから流体を引き出すことができるように、トレイに流体接続され得る。例えば、流体は、例えば硝子体カッター26などの器具に、およびプライミング流体貯蔵器20に提供され得る。
【0114】
5)いったんボトル70が所定位置に確実に置かれると、コンテナ110は除去および廃棄され得る。BSSコンテナはその後、図27に示されるように、トレイ10の流体貯蔵器レシーバ44内に収容される。
【0115】
好ましくは、上記の方法の工程は、非滅菌側ユーザによって行われる。コンテナ110は除去および廃棄されるため、ユーザはボトル70に接触せず、そして滅菌野は一般的に危険にさらされない。ボトル70の外側表面は好ましくは滅菌され、そして非滅菌側ユーザによって接触されたかもしれない滅菌コンテナ110は除去されている。コンテナ110は、非滅菌側ユーザに、トレイまたはボトルのいかなる部分にも接触する必要無く、トレイにボトル70を取り付けることを可能にする。
【0116】
外科医または滅菌側ユーザが追加のまたは新規のボトル70、例えば、BSS溶液のボトルなどを必要とする場合、滅菌側ユーザは、滅菌野を危険にさらすことなしに補助することができる。滅菌側ユーザは、トレイ10から空の滅菌ボトル70を除去および廃棄することができ、そして上記工程がその後、新しいボトル70を導入するために繰り返され得る。
【0117】
当業者であれば、行われる外科手術の種類に応じて、一またはそれ以上の工程を変更することが可能であることを認識するであろう。例えば、上記工程の全てを外科医などの滅菌側ユーザが行われてもよい。
【0118】
別の例として、コンテナ110は、非滅菌の外側を備える装置を覆うために使用され得る。例えば、コンテナ110は滅菌され得、そして非滅菌の外側または他のアイテムを有するボトルは、コンテナ110内に置かれ得る。コンテナ110は、ボトルのための保護された滅菌のカバーを提供し得、このため滅菌野を危険にさらさない。
【0119】
使用の方法のための例として、BSSを含むボトルなどの非滅菌の外部を有するボトルがコンテナ110内に置かれ得る。コンテナ110はその後、上述したように、ボトル70をトレイ10へ固定するために使用され得こる。コンテナ110は、図26に示されるように、ボトル70を覆っているままでもよい。これは、非滅菌の外部を有するボトルまたはアイテムの使用を可能にしつつ、滅菌表面を滅菌野内で提供し得る。
【0120】
本発明をある特定の好ましい実施形態および例に照らして開示してきたが、当業者であれば、本発明が、具体的に開示された実施形態を超えて他の代替的実施形態、および/または、本発明ならびにその明白な改変および等価例の使用にまで拡がっていることを理解するであろう。加えて、本発明の多数の改変について詳細に図示および記載してきたが、当業者であれば、本開示を鑑みて、本発明の範囲内である他の改変を容易に想起するであろう。また、実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせまたはサブコンビネーションが可能であり、そして本発明の範囲内であることが企図される。よって、開示された実施形態の様々な特徴および態様が、開示された発明の異なる態様を形成するために相互に組み合わされるか、または置換され得ることが理解されるべきである。よって、本明細書中に開示される本発明の範囲は、上記の、開示された特定の実施形態によって限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ決定されるべきものであることが意図される。
【0121】
同様に、本開示の方法は、任意の請求項がその請求項に明示的に記載されている特徴よりも多くの特徴を必要としているという意図を反映したものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、発明の態様は、任意の単一の上述された開示の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせ中に存在する。よって、本発明の詳細な説明に続く以下の特許請求の範囲は、本発明の詳細な説明中に明確に包含され、各請求項は、明らかに別個の実施形態を構成するものである。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24
図25
図26
図27