(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記電動機の回転速度が前記所定の回転速度になるまで、前記稼働状態における前記ファンの回転速度を維持することを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
前記制御部は、前記電動機の回転速度が前記所定の回転速度になるまでの間に、前記ファンの回転速度を漸減させることを含むことを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
前記制御部は、前記電動機の回転速度が前記所定の回転速度になるまで、前記ファンの回転速度が既定の回転速度以下にならないように制御することを特徴とする請求項3に記載のレンジフード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この様にフィルタの回転速度を制御しても、フィルタをある一定の回転速度まで減速させたときにフィルタ用電動機の回転とフィルタの回転との間にギャップが生まれ、これによってピンとボス溝が繰り返し衝突し、連続した衝突音が発生することがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、稼働状態から停止状態とするまでの間に、フィルタ用電動機とフィルタとの間で生ずる大きな衝撃音および連続した衝突音を発生させないレンジフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、空気の流れを発生させるファンと、空気の流れの流路上であってファンより上流側に存在し、空気の流れを通過させる孔を有するフィルタと、フィルタを回転させる電動機と、ファンと電動機の回転を制御する制御部と、制御部にレンジフードの稼働/停止信号を出力する信号出力部と、を備え、制御部は、ファンと電動機とを同時に回転させている稼働状態において、信号出力部から停止信号を受けると電動機の回転速度を減少させ始め、電動機の回転速度が所定の回転速度になるまでファンの回転を維持し、前記電動機の回転速度が前記所定の回転速度になるまで漸減させ、かつその後漸減させずに前記所定の回転速度で維持し、その後前記電動機の通電をオフにする、レンジフードが提供される。
これによれば、フィルタ(電動機)の回転速度を徐々に減少させつつ、フィルタの回転速度が所定の回転速度になるまでファンの回転を維持してファンが発生させる空気の流れを維持することにより、フィルタが空気の流れの方へ押さえつけられてフィルタのボス溝と電動機シャフトのピンとの係合が緩むことがなく、大きな衝撃音および連続した衝突音を発生させないレンジフードを提供することができる。
【0008】
さらに、制御部は、電動機の回転速度が所定の回転速度になるまで、稼働状態におけるファンの回転速度を維持することを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタの回転速度が所定の回転速度になるまで、停止信号を受ける直前の稼働状態のファンの回転速度をそのまま維持するという簡単な制御により、大きな衝撃音および連続した衝突音の発生を防止することができる。
【0009】
さらに、制御部は、電動機の回転速度が所定の回転速度になるまでの間に、ファンの回転速度を漸減させることを含むことを特徴としてもよい。
これによれば、フィルタの回転速度が所定の回転速度になるまでの間にファンの回転速度を漸減させることで、停止信号を受けてからファンが完全に停止するまでの時間を短縮することができる。
【0010】
さらに、制御部は、電動機の回転速度が所定の回転速度になるまで、ファンの回転速度が既定の回転速度以下にならないように制御することを特徴としてもよい。
これによれば、ファンの回転速度が、事前に定められたフィルタのボス溝とシャフトのピンとの係合が緩むことがない空気の流れを発生させる回転速度以下にならないことで、フィルタが安定した回転状態となり、確実に大きな衝撃音および連続した衝突音の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、稼働状態から停止状態とするまでの間に、フィルタ用電動機とフィルタとの間で生ずる大きな衝撃音および連続した衝突音を発生させないレンジフードを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図3を参照し、本実施例にかかるレンジフード1について説明する。レンジフード1は、下方または周囲で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル5を内面に有する薄型のフード部2を有する。フード部2は、上部後方に位置する内面パネル5の連通口6付近で、排気ダクト(図示せず)に接続される送風機ボックス3と連結されている。送風機ボックス3は、幕板9の背面側に位置し、内部にシロッコファンであり空気の流れD1を発生させるファン4を有する。従って、ファン4が稼働すると連通口6は負圧となり、内面パネル5の下方の空気は連通口6を通して吸入され、排気ダクトを通して外部に排出される。連通口6は、ファン4と連通し、ファン4が発生させた空気の流れD1の流路上であって、ファン4より空気の流れの上流側に位置する。
【0014】
レンジフード1は、連通口6の位置に、空気の流れD1を通過させる孔11を有する円盤状のフィルタ10と、円盤状のフィルタ10の中心にシャフト21を連結され、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20を内面パネル5に取り付けるための電動機取付具40と、内面パネル5に取り付けられ、フィルタ10の外周縁を囲むようにして配置される油分捕集部材30と、を備える。従って、レンジフード1は、ファン4が発生させる空気の流れD1の流路上であって、ファン4よりその流れの上流側に存在し、その空気の流れを図視で下から上に通過させる孔11を有するフィルタ10を、回転可能に備える。
【0015】
さらに、レンジフード1は、ファン4と電動機20の回転を制御する制御部90と、制御部90にレンジフード1の稼働/停止信号を出力する信号出力部91と、を備える。制御部90は、後述するファン4と電動機20の回転を制御する方法を記述した制御プログラムなどを含む公知のマイコンから構成される。信号出力部91は、レンジフード1の使用者が操作するスイッチから構成され、フード部2の正面側の側面に配置されている。むろん、これに限定されず、レンジフード1とは別体のリモコンや、調理器からの信号を受け取って出力を行うように構成されても良い。また、信号出力部91は、制御部90にレンジフード1の稼働停止信号だけでなく、ファン4と電動機20の回転速度の変更を指示する信号を出力してもよい。
【0016】
内面パネル5の下方の空気は、調理によって発生する湯気や油煙等を含んでおり、ファン4が稼働すると、連通口6に存在する、即ちファン4が発生させた空気の流れD1の流路上であってファン4より上流側に位置するフィルタ10の孔11に吸引され、その孔11を通過することになる。制御部90は、信号出力部91から稼働信号を受けると、ファン4を回転させて空気の流れD1を発生させると共に、電動機20により回転可能に設けられたフィルタ10を電動機20に通電することで回転させる。レンジフード1は、フィルタ10を回転させることにより、空気に含まれる油分を油分捕集部材30に捕集する。
【0017】
油分の捕集方法に関して詳述する。レンジフード1の下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等と共に、暖められた空気はレンジフード1の方へ立ち上る。レンジフード1が運転を開始しファン4が回転し始めると、ファン4は空気の流れD1を発生させる。そうすると、整流板7辺りに立ち上った空気は、整流板7と内面パネル5の間から吸い込まれ、その後フィルタ10の孔11を通過して、送風機ボックス3内のファン4に吸入される。そして、その後、送風機ボックス3から排気ダクトへ排出される。
【0018】
制御部90は、稼働状態においては、レンジフード1が調理によって発生する油煙等を捕集するために空気の流れを発生させるファン4を回転させている時にフィルタ10を回転させる電動機20を回転させるように制御を行う。フィルタ10の単位時間当たりの回転数は、フィルタの孔の開口状態にもよるが、少なくとも230rpm(Rotation Per Minute)以上であればよい。フィルタ10がかかる回転速度で高速に回転すると、フィルタ10の表面(孔11のない部分)が、その表面に接する空気を摩擦力により引きずり、空気の粘性により付近の空気にもその動きが伝わることで、フィルタ10の表面付近には空気の動きが生じ、フィルタ10は回転運動をしているので、空気の動きはシャフト21を中心とした渦状となる。
【0019】
この渦状の空気の動きは、フィルタ10の両面、即ちフィルタ10の下面と上面の両方、換言すれば、フィルタ10の空気の流れの上流側の面と下流側の面の両方に発生する。本実施例においては、ファン4が発生させる空気の流れが、フィルタ10の孔11を通って流れているので、フィルタ10の下流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面から引き離されつつ、フィルタ10の外周縁に向かうらせん状流が発生し、ファン4により吸引される。一方、フィルタ10の上流側では、渦状の空気の動きはフィルタ10の表面に押さえつけられ、フィルタ10の外周縁に向かう渦状流を伴う密度の高い空気層が形成される。
【0020】
調理等で発生した油分は、空気の流れと共に流されてフィルタ10の上流側の面付近に到達する。上流側の面付近に到達した油分は、一部(粒子径の比較的小さい油分)は密度の高い空気層の外周縁に向かう渦状流により、また、他の一部(粒子径の比較的大きい油分)はフィルタ10の上流側の表面(孔11のない部分)に衝突することにより、フィルタ10の外周縁方向に弾き飛ばされる。その結果、円盤状のフィルタ10の外周縁を取り囲むように備えられた油分捕集部材30に捕集され、回収される。従って、本実施例のレンジフード1は、空気流路におけるフィルタ10より下流部分にほとんど油分を付着させず、フィルタ10より下流部分のファン4や排気ダクトなどを清掃/洗浄する手間を大幅に軽減することができる。
【0021】
かかるレンジフード1は、従来のスロットフィルタやHEPAフィルタ等を用い、スリットや目を細かくしたり、重ね合わせて複層としたりすることにより油捕集効率を向上させることに比べ、圧力損失が小さい状態で高い油捕集効率を有することができる。よって、従来のフィルタと比較して低い通気抵抗を維持したまま高い油捕集効率を得ることができる。また、フィルタに油分が付着し目詰まりを起こすことが少なくなることにより、フィルタ自体の洗浄の労力が低減し、使用するに従って圧力損失が増加することを防止でき、さらに、空気流路におけるフィルタより下流部分にほとんど油分が付着しないため、フィルタより下流部分を清掃/洗浄する手間を大幅に軽減するレンジフードを提供できる。
【0022】
ファン4のファンの種類は特に限定されず、空気の流れを生じさせる軸流ファンなどのその他のファンであってよい。好ましくは、本実施例に使用された、静圧の高いシロッコファンである。また、フード部2の下方には、フード部2と着脱可能であり、フード部2との間に隙間を有して吸込力を高める整流板7を備える。本実施例におけるレンジフード1は整流板7を備えるが、整流板7の存在は特に限定されず、あってもなくてもよい。整流板が存在しない場合または整流板を取り外した場合には、フード部2の内面である上方に凹状の内面パネル5と、円盤状のフィルタ10と、フィルタ10の外周縁を囲むように設けられた油分捕集部材30とが、直接使用者から視認できる。
【0023】
後述するように、制御部90は、フィルタ10を回転させる電動機20に対して様々な制御を行うが、それに加えて、使用者が操作スイッチから構成される信号出力部91を操作することにより、使用者自らが柔軟なフィルタの回転を制御できるようにしてもよい。信号出力部91は、使用者の操作により、ファン4や電動機20の回転を開始する、回転を終了する、回転の速度を変更する等を行うことができる。また、フィルタ10のメンテナンス操作として、電動機20のみを所定時間回転させた後に自動で停止する操作を行うことができるようにしてもよい。
【0024】
また、本実施例では、フィルタ10の両側の表面における孔11以外の部分は、突起物や凹凸がなく、平らで滑らかである平滑な面であるが、これに限定されず、一般的なスロットフィルタのようにスリット(孔)と共に切り起こしなどの突起物があってもよい。本実施例のようにフィルタが平滑な面を備えれば、フィルタでの空気の流れの通気抵抗がさらに小さくなり、さらにはフィルタの回転抵抗も小さくなるのでフィルタを回転させる電動機は小さなトルクを有するもので十分となる。また、フィルタ上に切り起こしなどの突起部がないため空気を切る騒音が小さいレンジフードを提供できる。また、これらにより、フィルタを高速に回転させることが容易になる。また、油分のほとんどはフィルタの表面で捕集され、フィルタの孔の側面で油分を捕集することはほとんどないので、フィルタの孔が油で目詰まりすることがさらに少なくなり、さらに切り起こしなどの突起部がないためフィルタ自身の清掃/洗浄が容易になる。
【0025】
外形が円形のフィルタ10は、電動機20のシャフト21の先端部分に、フィルタ10の面がシャフト21に垂直になるようにフィルタ中心に設けられた中心孔に当該先端部分を貫通させて着脱具14を用いて着脱自在に取り付けられる。シャフト21は、シャフト21から回転軸に対して垂直方向に突出するピン22を2つ有する。また、フィルタ10は、中心孔の周囲にピン22が係合する溝を有するボス12を有する。フィルタ10をシャフト21に取り付ける際、フィルタ10の中心孔にシャフト21の先端部分を挿入し、ボス12の溝がピン22の固く係合するように押し込んでから、着脱具14を用いてフィルタ10をシャフト21に固定する。このように、フィルタ10の静止状態においては、フィルタ10と電動機20のシャフト21は強固に係合して固定されている。
【0026】
しかし、レンジフード1を稼働状態から停止させる場合、すなわち、ファン4とフィルタ10を稼働状態から停止状態にする場合、停止の指令を受けてすぐにフィルタ10を回転させる電動機20の通電をオフにして回転速度を急激に落として停止させようとすると、電動機20に比し慣性の大きいフィルタ10が高速に回転しているが故に、電動機20のシャフト21にフィルタ10の回り止めとして設けたピン22とピン22に係合するボス12の溝とが衝突し、大きな衝撃音が発生することがある。
【0027】
また、このような問題を回避するために、フィルタ10を停止させる場合、停止の指令を受けた後電動機20を高い回転速度から急に停止させないように回転速度を徐々に減少させても、フィルタ10をある一定の回転速度まで減速させたときに電動機20の回転とフィルタ10の回転との間にギャップが生まれ、これによってピン22とボス溝が繰り返し衝突し、連続した衝突音が発生することがある。本実施例では、かかる問題を、以下に述べるフィルタ10を回転させる電動機20およびファン4の回転速度を制御することにより解決するものである。
【0028】
図4は、本実施例における制御部90による、フィルタ10(電動機20)とファン4の回転速度の制御の方法を示す。制御部90は、信号出力部91から停止信号の入力を受ける以前の稼働状態においては、フィルタ10とファン4をある一定の回転速度で回転させている。制御部90は、稼働状態において、フィルタ10を、例えば800rpm〜1500rpmの回転速度で、ファン4を例えば420rpm〜1500rpmの回転速度で、回転させる。
【0029】
制御部90は、ファン4と電動機20とを同時に回転させている稼働状態において、信号出力部91から停止信号を受けると、電動機20の回転速度を稼働状態における回転速度から徐々に減少させ始める。すなわち、制御部90は、稼働状態において信号出力部91から停止信号を受けた時、例えば通電をオフにして急にフィルタ10の回転速度をゼロとするような制御を行うことはせず、電動機20の回転速度を徐々に減速するように制御を行う。なお、回転速度の減速のさせ方は本図に示すような直線的なものでもよいし、緩やかなカーブを描くようなものであってもよい。
【0030】
制御部90は、徐々に電動機20の回転速度を減速した結果、電動機20の回転速度が所定の回転速度(図中、設定値と言う。以下同様)になった時電動機20の通電をオフにして、回転速度を急にゼロとするように制御する。制御部90は、その時電動機20の通電をオフにするだけではなく、別途制動機構を備えて、急激に回転速度をゼロとしてもよい。なお、電動機20の所定の回転速度とは、徐々に減速させていく過程において連続した衝突音が発生し始める回転速度よりやや高い回転速度とする。この所定の回転速度は、電動機20の仕様や特性、フィルタ10の大きさや重さによってさまざまに変化するものであるが、一例を示せば、1470rpm程度の値である。
【0031】
一方、制御部90は、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでファン4用のモータの回転を維持する。さらに、本実施例では、制御部90は、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでファン4の回転を維持するだけでなく、停止信号が入力される直前の稼働状態におけるファンの回転速度を維持する。これにより、停止信号を受ける直前の稼働状態のファンの回転速度をそのまま維持するという簡単な制御により、以下に述べるような著しい効果を奏する。
【0032】
すなわち、フィルタ10(電動機20)の回転速度を徐々に減少させつつ、フィルタ10の回転速度が所定の回転速度になるまでファン4の回転を維持してファンが発生させる空気の流れを維持することにより、フィルタ10が空気の流れの方へ押さえつけられてフィルタ10のボス12の溝と電動機シャフト21のピン22との係合が緩むことがなく、大きな衝撃音および連続した衝突音を発生させないレンジフード1を提供することができる。また、フィルタ10(電動機20)の回転速度を徐々に減少させていき、フィルタ10が稼働状態の回転速度に比し低速な所定の回転速度となった時に電動機20の通電をオフにすることで、大きな衝撃音の発生を防ぐことができる。
【0033】
また、制御部90は、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時、ファン4の回転速度をゼロとなるように制御する。本図(A)は、制御部90が電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時ファン4の通電をオフにするように制御することを示す。制御部90は、通電をオフにするだけではなく、別途制動機構を備えて、急激に回転速度をゼロとしてもよい。こうすることにより、レンジフード1では、稼働状態から停止状態とする場合に、信号出力部91で停止操作を行ってからファン4が完全に停止するまでの時間を短縮することができる。
【0034】
<第一実施例の変形例>
制御部90は、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時ファン4の回転速度を減少させ始めて、ファン4の回転速度を漸減させてゼロとなるように制御してもよい。本図(B)は、制御部90が電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時ファン4の回転速度を減少させ始めることを示す。そして、制御部90は、上述の本図(A)のように急に回転速度をゼロとするのではなく、ファン4の回転速度を徐々に減速してゼロとなるように制御する。こうすることにより、仮に衝撃音が生じるような場合であっても、レンジフード1では、フィルタ10に備えられたボス12の溝とフィルタ10を回転させる電動機シャフト21に備えられたピン22との間で生じる衝撃音をより小さな音に低減させることができる。
【0035】
なお、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった後、一定時間ファン4用のモータをその時の出力のまま運転することで、電動機20が発生させる回生エネルギーをファン4用モータで消費させてもよい。こうすることにより、ファン4が完全に停止するまでの時間が長くなっても、消費電力を少なくすることができる。さらに過電圧を抑えることができ、ゆえに平滑コンデンサにかかる負荷が低くなるため平滑コンデンサの長寿命化につながる。また、信号出力部91で停止操作を行ってからファン4が完全に停止するまでに平滑コンデンサにかかる電圧が抑えられるため、定格電圧が低い平滑コンデンサを使用することができ、よってコストが安い平滑コンデンサに変更することができる。
【0036】
<第二実施例>
図5を参照し、本実施例に係るレンジフードを説明する。なお、重複記載を避けるために、上記実施例と異なる点を中心に述べる。本実施例におけるレンジフードは、制御部90A(
図3(A)に示す)のファンとフィルタ(電動機)の制御方法のみが上記実施例と異なっているだけであり物理的構造は同じなので、構造的要素の他の符号は同一の符号を用いる。
【0037】
本実施例における制御部90Aは、ファン4と電動機20とを同時に回転させている稼働状態において信号出力部91から停止信号を受けると電動機20の回転速度を稼働状態における回転速度から徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間に、ファン4の回転速度を漸減させることを含むように制御する。一方、制御部90Aは、先にファン4用モータが停止することがないよう、必ずフィルタ10(電動機20)が完全に停止してからファン4用モータが停止するように制御する。
【0038】
たとえば、本図(A)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けると電動機20を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間ファン4の回転速度も直線的に漸減させるよう制御する。そして、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4用モータの通電もオフにして、ファン4の回転速度をゼロとなるように制御する。
【0039】
また、本図(B)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けると電動機20を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間にファン4の回転速度を本図(A)に示すよりも急激に直線的に漸減させ、かつその後漸減させずに一定回転速度を維持することも含むように制御する。そして、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4用モータの通電もオフにして、ファン4の回転速度をゼロとなるように制御する。
【0040】
また、本図(C)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けると電動機20を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間にファン4の回転速度を直線的に所定の回転速度とほぼ同じ回転速度になるまで漸減させるように制御する。そして、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4用モータの通電もオフにして、ファン4の回転速度をゼロとなるように制御する。
【0041】
たとえば、本図(D)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けると電動機20を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間ファン4の回転速度も直線的に漸減させるよう制御する。そして、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4の回転速度を継続して直線的に漸減させてゼロとなるように制御する。
【0042】
また、本図(E)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けると電動機20を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間にファン4の回転速度を本図(D)に示すよりも急に直線的に漸減させ、かつその後漸減させずに一定回転速度を維持することも含むように制御する。そして、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4の回転速度を直線的にさらに漸減させてゼロとなるように制御する。
【0043】
また、本図(F)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けると電動機20を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間にファン4の回転速度を直線的に所定の回転速度とほぼ同じ回転速度になるまで漸減させるように制御する。そして、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4の回転速度を直線的にさらに漸減させてゼロとなるように制御する。
【0044】
このように、フィルタ10の回転速度が所定の回転速度になるまでの間にファン4の回転速度を漸減させることで、停止信号を受けてからファン4が完全に停止するまでの時間を漸減しない場合に比し短縮することができる。
【0045】
<第二実施例の変形例>
図6に示すように、制御部90Aは、稼働状態において停止信号を受けると電動機20の回転速度を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間に、ファン4の回転速度を漸減させることを含むように制御するが、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでは、ファン4の回転速度が既定の回転速度以下にならないように制御する。なお、ファン4の既定の回転速度(図中、既定値と言う。以下同様)とは、ファン4が回転して発生させる空気の流れがフィルタ10を押さえつけて、フィルタ10のボス12の溝と電動機シャフト21のピン22との係合が緩むことがない回転速度を言う。この既定の回転速度は、電動機20の仕様や特性、フィルタ10の大きさや重さによってさまざまに変化するものであるが、一例を示せば、1000rpm程度の値である。
【0046】
たとえば、本図(A)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けると電動機20の回転速度を徐々に減少させ始めると共に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になるまでの間にファン4の回転速度を直線的に既定の回転速度まで漸減させ、かつその後漸減させずにその既定の回転速度を維持するように制御する。そして、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4の回転速度を直線的にさらに漸減させてゼロとなるように制御する。
【0047】
また、本図(B)に示すように、制御部90Aは、停止信号を受けるとファン4を徐々に減少させ始めると共に、ファン4の回転速度が既定の回転速度になるまでの間電動機20の回転速度も直線的に所定の回転速度まで漸減させ、かつその後漸減させずにその所定の回転速度を維持するように制御する。制御部90Aは、ファン4の回転速度が既定の回転速度になる前に、電動機20の回転速度が所定の回転速度になった場合には電動機20の回転速度を所定の回転速度に維持する。そして、制御部90Aは、ファン4の回転速度が既定の回転速度になった時、電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4の回転速度を継続して直線的に漸減させてゼロとなるように制御する。
【0048】
こうすることにより、ファン4の回転速度が、事前に定められたフィルタ10のボス溝とシャフト21のピン22との係合が緩むことがない空気の流れを発生させる回転速度以下にならないことで、フィルタ10が安定した回転状態となり、確実に大きな衝撃音および連続した衝突音の発生を防止することができる。
【0049】
また、
図7に示すように、制御部90Aは、本変形例において、停止信号を受けた時点でファン4用モータの回転速度が規定の回転速度を下回っていた場合は、停止信号を受けた後も停止信号を受けた時の回転速度を維持するように制御してもよい。そして、制御部90Aは、フィルタ10の回転速度が所定の回転速度になると、電動機20の通電をオフにしてフィルタ10の回転速度を急にゼロになるように制御すると共に、ファン4の回転速度を直線的に漸減させてゼロとなるように制御する。こうすることにより、停止信号を受けた時にファン4用モータが既定の回転速度を下回っていてもファン4用モータが無駄な動作をすることがない。
【0050】
<その他の変形例>
図8に示すように、稼働状態において停止信号を受けた時点で電動機20の回転速度が所定の回転速度を下回っている場合は、停止信号を受けた後すぐに、電動機20の通電をオフにして、電動機20の回転速度を急にゼロにする制御を行う。ファン4は、停止信号を受けた時点で、ファン4の回転速度を減少させはじめ、漸減させてゼロとなるように制御する。こうすることで、停止信号を受けた後すぐにフィルタ10が停止するため、ファン4の停止までの時間をより短くすることができる。
【0051】
上記した稼働状態におけるフィルタ10とファン4の回転速度は、一の値として説明したが、
図9に示すように、さまざまな回転速度であってもよい。本図(A)は、停止信号を受ける直前の稼働状態におけるレンジフード1は、強運転をしていたときを示し、本図(B)は中運転を、(C)は弱運転をしていたときを示す。なお、制御部90Aのフィルタ10とファン4の回転の制御は、
図4(B)に示す制御と同じ制御としたが、これに限定されないことは言うまでも無い。
【0052】
本図(A)は、制御部90Aが、強運転で稼働状態にあった場合に、停止信号を受けると、電動機20の回転速度を稼働状態における回転速度から徐々に減少させ始め、徐々に電動機20の回転速度を減速した結果、電動機20の回転速度が所定の回転速度(図中、設定値1と言う)になった時電動機20の通電をオフにして、急に回転速度をゼロとするように制御することを示す。なお、この所定の回転速度(設定値1)とは、強運転の回転速度から徐々に減速させていく過程において連続した衝突音が発生し始める回転速度よりやや高い回転速度とする。
【0053】
一方、制御部90Aは、電動機20の回転速度が所定の回転速度(設定値1)になるまでファン4用のモータの回転速度を維持し、ファン4の回転速度を徐々に減速してゼロとするように制御する。すなわち、フィルタ10(電動機20)の回転速度を徐々に減少させつつ、フィルタ10の回転速度が所定の回転速度(設定値1)になるまでファン4の回転速度を維持してファンが発生させる空気の流れを維持することにより、フィルタ10が空気の流れの方へ押さえつけられてフィルタ10のボス12の溝と電動機シャフト21のピン22との係合が緩むことがなく、大きな衝撃音および連続した衝突音の発生を回避することができる。
【0054】
また、本図(B)は、制御部90Aが、中運転で稼働状態にあった場合に、停止信号を受けると、電動機20の回転速度を稼働状態における回転速度から徐々に減少させ始め、徐々に電動機20の回転速度を減速した結果、電動機20の回転速度が所定の回転速度(図中、設定値2と言う)になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4の回転速度を徐々に減速してゼロとするように制御することを示す。
【0055】
また、本図(C)は、制御部90Aが、弱運転で稼働状態にあった場合に、停止信号を受けると、電動機20の回転速度を稼働状態における回転速度から徐々に減少させ始め、徐々に電動機20の回転速度を減速した結果、電動機20の回転速度が所定の回転速度(図中、設定値3と言う)になった時電動機20の通電をオフにすると共に、ファン4の回転速度を徐々に減速してゼロとするように制御することを示す。
【0056】
なお、強運転における所定の回転速度である設定値1は、中運転や弱運転における所定の回転速度である設定値2や設定値3より小さく、設定値1<設定値2<設定値3の関係が好ましい。レンジフード稼動状態において強運転時は弱運転時に比べファンが高回転している。よって、フィルタのボス溝とシャフトのピンとの係合がより強固な係合状態となって安定した状態で回転するため、強運転状態にあった場合は弱運転状態にあった場合に比べて所定の回転数を低く設定することができる。
【0057】
したがって、制御部90は、稼働状態において、ファン4の回転速度を強中弱のように多段階に変化させ、多段階のそれぞれのファン4の回転速度に対応して電動機20の回転速度を変化させ、電動機20の所定の回転速度は、停止信号を受ける直前の稼働状態における多段階のそれぞれの電動機20の回転速度に対応するように制御してもよい。これによれば、停止信号を受ける直前の稼働状態のファンの回転速度が複数ある場合であっても、所定の回転速度をその回転速度に対応させることができる。
【0058】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。即ち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に関し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。