特許第6357536号(P6357536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6357536研磨スラリーの作製方法、ガラス基板の製造方法、及び原料砥粒の塊
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357536
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】研磨スラリーの作製方法、ガラス基板の製造方法、及び原料砥粒の塊
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20180702BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20180702BHJP
   C03C 19/00 20060101ALI20180702BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20180702BHJP
【FI】
   C09K3/14 550D
   C09G1/02
   C03C19/00 Z
   B24B37/00 H
【請求項の数】16
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-538472(P2016-538472)
(86)(22)【出願日】2015年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2015071894
(87)【国際公開番号】WO2016017819
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2016年12月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-156776(P2014-156776)
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-156779(P2014-156779)
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田村 健
(72)【発明者】
【氏名】玉置 将徳
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 京介
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−514017(JP,A)
【文献】 特開2008−013716(JP,A)
【文献】 特表2004−510675(JP,A)
【文献】 特開2012−011525(JP,A)
【文献】 特表2005−526171(JP,A)
【文献】 特開2001−277132(JP,A)
【文献】 特開2007−136559(JP,A)
【文献】 特開2004−261945(JP,A)
【文献】 特開2013−129056(JP,A)
【文献】 特開2007−276055(JP,A)
【文献】 特開平10−280060(JP,A)
【文献】 特開2004−306210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
B24B 37/00
C03C 19/00
B24D 3/00
G11B 5/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、
前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmである、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。
【請求項2】
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、請求項1に記載の研磨スラリーの作製方法。
【請求項3】
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、請求項1又は2に記載の研磨スラリーの作製方法。
【請求項4】
ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。
【請求項5】
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、請求項に記載の研磨スラリーの作製方法。
【請求項6】
ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。
【請求項7】
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、請求項に記載の研磨スラリーの作製方法。
【請求項8】
さらに、前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理を備え、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmである、請求項4から7のいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法。
【請求項9】
前記焼成を800℃以下の温度で行う、請求項1から8のいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法。
【請求項10】
前記乾燥処理では、スプレードライによって前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させる、請求項1からのいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とするガラス基板の製造方法。
【請求項12】
ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに造孔剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記多糖類を含有する原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成して前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成する焼成処理と、を備え
前記原料砥粒の塊において前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする研磨スラリーの作製方法。
【請求項13】
請求項12に記載の研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とするガラス基板の製造方法。
【請求項14】
ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒の原料となる原料砥粒と、
前記原料砥粒が付着した多糖類と、を有し、
前記原料砥粒の粒子の間にシリカ粒子がバインダとして存在し、
前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする原料砥粒の塊。
【請求項15】
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、請求項14に記載の原料砥粒の塊。
【請求項16】
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、請求項14又は15に記載の原料砥粒の塊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨スラリーの作製方法、ガラス基板の製造方法、及び原料砥粒の塊に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスクや、フォトマスクあるいはその基板であるマスクブランクス等に用いられるガラス基板は、一般には、酸化セリウム(セリア)を主成分とする研磨砥粒(以降、セリウム系研磨材という)を用いて研磨した後、コロイダルシリカを用いて仕上げ研磨が行われる。このうち、セリウム系研磨材は、高価な希土類元素の酸化物を含んでいるため、使用後に回収して再利用することが行われている。
セリウム系研磨材を再利用するための再生方法は、例えば、使用済みの研磨スラリーから異物を除去した後、固液分離を行い、その固形分を乾燥、焼成、解砕し、さらにフィルタリングを行うことで行われる。従来の研磨材の再生方法として、低下した使用済み研磨材の研磨レートを、未使用の研磨材の研磨レートに近づけるために、例えば、使用済み研磨スラリーに対し、固液分離する前に、酸処理を施すことが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−276055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セリウム系研磨材は、焼成によって粒界で結合して実際の研磨時に粒子として働く粒径が大きくなることで、研磨レートが向上する。しかし、特許文献1の方法によって再生されることで、未使用の研磨材に近いレベルにまで研磨レートが回復した研磨材であっても、粒界での結合力が十分でないために、再使用されると砕けて小径化しやすく、研磨レートが低下する場合があることが分かった。また、使用中に研磨材が砕けて分解粒子が多く生成すると、研磨材の粒度分布が不均一になり、粒径の大きい研磨材が受ける負荷が大きくなることによって、ガラス基板にかかる荷重が局所的に大きくなり、ガラス基板に研磨キズが発生しやすくなることが分かった。
【0005】
本発明は、研磨レートが改善されるとともに、ガラス基板の傷の発生を抑制できる研磨スラリーの作製方法、研磨砥粒、および研磨スラリーを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような研磨スラリー、研磨砥粒を用いたガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、
前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmである、ことを特徴とする。
前記第1の態様の別の一態様は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含む、ことを特徴とする。
前記第1の態様の別の一態様は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに、平均粒径が3〜20nmのシリカ粒子を含むバインダ、及び、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記バインダ及び前記多糖類を含有する原料砥粒の塊であって、前記バインダが前記多糖類を介して分散して配された原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成し、前記多糖類の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成し、前記バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する焼成処理と、を備え、
前記原料砥粒の集合体は、前記原料砥粒同士が前記バインダを介して接合しており、
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmである、ことを特徴とする。
【0007】
前記バインダはシリカ粒子を含むことが好ましい。
【0008】
前記バインダの平均粒径は、3〜20nmであることが好ましい。
【0009】
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmであることが好ましい。
【0010】
さらに、前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理を備え、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmであることが好ましい。
【0011】
前記添加処理で、さらに、前記バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤を添加し、
前記乾燥処理において、前記バインダは、前記バインダ凝集抑制剤を介して前記原料砥粒の塊中に分散して配されることが好ましい。
【0012】
前記焼成処理では、前記原料砥粒の塊を焼成することで、前記バインダ凝集抑制剤の少なくとも一部を消失させることが好ましい。
【0013】
前記バインダ凝集抑制剤は、多糖類であることが好ましく、加熱により水に溶けるまたはゲル化する多糖類であることがより好ましい。
【0014】
前記焼成を800℃以下の温度で行うことが好ましい。
【0015】
前記乾燥処理では、スプレードライによって前記バインダ及び前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させることが好ましい。
【0016】
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含むことが好ましい。
【0017】
上記第1の態様の別の一態様は、研磨砥粒であって、
ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒であって、当該研磨砥粒において、セリアまたはジルコニアの粒子の間にシリカ粒子がバインダとして存在することを特徴とする。
【0018】
前記研磨砥粒は、JIS R1639−5に準拠して測定される圧壊強度の平均値が0.1〜20MPaであることが好ましい。
【0019】
上記第1の態様の別の一態様は、研磨スラリーであって、
前記別の一態様に係る研磨砥粒を含むことを特徴とする。
【0020】
上記第1の態様の別の一態様は、ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリー、前記研磨砥粒、あるいは前記研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とする。
【0021】
本発明の第2の態様は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、
前記研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに造孔剤である多糖類を添加する添加処理と、
前記多糖類を含んだ原料スラリーを乾燥させて、前記多糖類を含有する原料砥粒の塊を作製する乾燥処理と、
前記原料砥粒の塊を焼成して前記造孔剤の少なくとも一部を消失させることで、前記多糖類剤が位置した前記原料砥粒の塊の部分に空隙を形成する焼成処理と、を備え
前記原料砥粒の塊において前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする。
【0022】
前記造孔剤は、多糖類であることが好ましく、加熱により水に溶けるまたはゲル化する多糖類であることがより好ましい。
【0023】
前記原料砥粒の塊において前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmであることが好ましい。
【0024】
前記原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmであることが好ましい。
【0025】
さらに、前記原料砥粒の集合体を解砕して前記研磨砥粒を作製する解砕処理を備え、
前記解砕処理で作製された研磨砥粒の平均粒径は、0.5〜10μmであることが好ましい。
【0026】
前記乾燥処理では、スプレードライによって前記造孔剤を含んだ原料スラリーを乾燥させることが好ましい。
【0027】
前記原料スラリーは、ガラス基板の研磨処理に使用されたセリア粒子を含むことが好ましい。
【0028】
前記添加処理で、さらに、前記原料砥粒の表面に配されるバインダを添加し、
前記乾燥処理において、前記バインダは、前記造孔剤を介して前記原料砥粒の塊中に分散して配されることが好ましい。
【0029】
前記研磨砥粒は、JIS R1639−5に準拠して測定される圧壊強度の平均値が0.1〜20MPaであることが好ましい。
【0030】
上記第2の態様の別の一態様は、ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨スラリーの作製方法によって作製された研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とする。
上記第2の態様の別の一態様は、原料砥粒の塊であって、
ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒の原料となる原料砥粒と、
前記原料砥粒が付着した多糖類と、を有し、
前記原料砥粒の塊は、前記原料砥粒の粒子の間にシリカ粒子がバインダとして存在し、
前記多糖類の平均粒径は、3〜20μmである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の研磨スラリーの作製方法によれば、原料砥粒の集合体の原料砥粒同士はバインダを介して結合して、粒界の強度が高められているため、この原料砥粒の集合体から作製される研磨砥粒は、使用中に砕け難くなっている。このため、砕けて生成した分解粒子によってガラス基板に傷が発生するのを抑えられる。また、研磨砥粒は、原料砥粒がバインダで接合されて大径化したものから作製されることで、研磨レートが向上しているとともに、砕けにくいことで高い研磨レートを維持できる。
本発明の研磨砥粒および研磨スラリーは、表面にバインダが配されたセリアまたはジルコニアの粒子を含んでおり、バインダを有しない研磨砥粒と比べて研磨砥粒が砕けにくく、研磨レートの低下が抑えられる。
本発明のガラス基板の作製方法によれば、高い研磨レートでガラス基板を研磨できるとともに、傷の少ないガラス基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1(a)は、第1および第2の実施形態の原料砥粒の塊を示す図である。図1(b)は、第1および第2の実施形態の原料砥粒の集合体を示す図である。
図2】第1および第2の実施形態の研磨スラリーの作製方法により作製される研磨砥粒を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の研磨スラリーの作製方法、研磨砥粒、研磨スラリー、およびガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
【0034】
<第1の実施形態>
(研磨スラリーの作製方法)
本発明の第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態の研磨スラリーの作製方法は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、添加処理、乾燥処理、焼成処理の各処理を備える。添加処理では、研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーにバインダを添加する。乾燥処理では、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥させて、バインダを含有する原料砥粒の塊を作製する。焼成処理では、原料砥粒の塊を焼成し、バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製する。
原料スラリーは、原料砥粒を、水を分散媒として分散させたものである。
原料砥粒の塊は、複数の原料砥粒が集まって形成された塊状物をいい、原料砥粒の塊は、原料砥粒と、バインダと、任意に配合されるバインダ凝集抑制剤と、を有している。原料砥粒の塊は、例えば、水分を含んだバインダ凝集抑制剤に、その表面を覆うように多数の原料砥粒が付着し、原料砥粒の間にバインダが分散して配された形態を有している。
原料砥粒の集合体は、原料砥粒の塊において、少なくとも一部のバインダによって(例えば、バインダが溶けて固まることで)原料砥粒同士が接合したものをいう。原料砥粒の集合体は、原料砥粒と、バインダと、を有している。原料砥粒の集合体は、原料砥粒の塊に含まれる少なくとも一部のバインダ凝集抑制剤が消失することで形成された孔(空隙)を有していることが好ましい。
また、乾燥処理後、焼成処理前の状態を、原料砥粒の塊といい、焼成処理後、解砕処理前の状態を、原料砥粒の集合体ということができる。
【0035】
なお、ガラス基板の用途は、特に限定されず、例えば、液晶ディスプレイ装置等の各種ディスプレイ装置用のパネル;フォトマスクあるいはその基板であるマスクブランクス;HDD装置用の磁気ディスクである。ガラス基板の研磨処理は、例えば、後述するガラス基板の製造方法において両面研磨装置を用いて行われる。
研磨砥粒は、特に制限されないが、機械的な作用に加えて化学的な作用によってガラス基板を研磨できる点で、セリウム系研磨材、または酸化ジルコニウム(ジルコニア)を主成分とするジルコニア系研磨材が好ましく用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒を、水を分散媒として分散させたものであり、研磨砥粒は、研磨処理において遊離砥粒として用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒、水のほか、例えばリン酸系分散剤等、他の成分を含んでいてもよい。研磨スラリー中の研磨砥粒の濃度は、特に制限されないが、例えば1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%である。
【0036】
(a)添加処理
原料砥粒は、第1の実施形態の方法によって作製される研磨スラリーに含まれる研磨砥粒の原料であり、原料砥粒として後述する使用済み研磨スラリーに含まれる研磨砥粒が用いられる場合は、当該使用済みの研磨砥粒を意味する。原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmであることが好ましい。このような平均粒径の原料砥粒を用いることで、ガラス基板の研磨処理を行うのに適した大きさの研磨砥粒を作製できる。0.3〜2.0μmの範囲にある原料砥粒のうち平均粒径の比較的小さいもの(例えば0.3〜0.5μm未満のもの)の原料砥粒は、固液分離で回収され難く、また、回収することができたとしても、従来の方法で再生したものは、研磨処理において、小径化して研磨レートが低下したり、ガラス基板に傷を発生させたりすることが分かった。第1の実施形態の作製方法によれば、後述するように適度な硬さ(圧壊強度)の研磨砥粒が作製されるため、平均粒径の比較的小さいものを原料砥粒として研磨スラリーを作製するのに好適である。なお、原料砥粒は、数個から数十個の一次粒子が凝集してなる二次粒子であり、原料砥粒の平均粒径は、二次粒子の平均粒径を意味する。なお、実際の研磨時に1つの研磨砥粒の粒子として作用するのは、二次粒子である。また、本明細書において、平均粒径は、メジアン径(d50)を意味する。d50は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積粒径が微粒側から累積50%に相当する粒子径である。
原料スラリーは、未使用のものであってもよく、使用済みの研磨スラリーであってもよい。本明細書において、使用済みとは、少なくとも一度、ガラス基板の研磨処理に使用されたものであることを意味する。使用済み研磨スラリーを用いて研磨スラリーを作製した場合は、使用済みの研磨砥粒をリサイクルすることができ、研磨スラリーのコストを抑えることができる。なお、本明細書において、原料スラリーとして使用済み研磨スラリーを用いる場合に、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を、使用済み研磨スラリーの再生方法ということができ、その研磨スラリーがセリア粒子を主成分とするセリウム系研磨材を含む場合には、使用済みセリアスラリーの再生方法ということができる。
また、原料砥粒として用いられる使用済み研磨スラリーは、使用済み研磨スラリーの再生方法によって再生されたものであってもよい。この場合は、使用済み研磨スラリーを繰り返し再生して使用することで、研磨スラリーのコストをより低く抑えることができる。
【0037】
バインダは、焼成処理の際に溶けて原料砥粒同士を接合することで、粒界の強度を高めることができる。なお、粒界とは、隣接する原料砥粒の間の境界をいう。これにより、研磨砥粒の二次粒子径(研磨時に1つの研磨砥粒の粒子として作用する粒子の粒径)が大きくなっていることで、研磨砥粒の研磨レートが向上するとともに、研磨処理において砕け難く、高い研磨レートを維持できる。一方で、バインダを介して原料砥粒同士が接合している場合は、原料砥粒同士が直接接合している場合と比べ、粒界の強度が強すぎないため、研磨処理においてガラス基板に傷が発生するのを抑えられる。
また、研磨処理中に容易に砕けてしまうと、小さい粒子の割合が増加し、相対的に少なくなった大きな粒子に研磨荷重が大きくかかるようになるため研磨キズが発生しやすくなる。よって、バインダにより砥粒同士を接合することにより、研磨キズの発生を抑制することができる。
一方で、バインダを含んだ原料砥粒の集合体は、粒界の強度が強すぎることがないため、超音波照射等によって容易に解砕することができ、研磨処理に適切なサイズで粒度分布が均一な研磨砥粒を得ることができる。このため、コストのかかる粉砕等によって解砕を行う必要がなく、また、分級の必要もないため、低コストで簡便に研磨砥粒を作製できる。
【0038】
バインダには、具体的に、焼成工程において消失しないものが用いられる。この点で、バインダの分解温度は、焼成工程における焼成温度を超える温度であることが好ましい。したがって、有機物ではないことが好ましい。有機物のバインダは、焼成工程において消失してしまうためである。バインダは、無機化合物からなる粒子であることが好ましく、中でも、原料スラリー中での分散性に優れる点で、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)等の酸化物や、これらの水和物、アルミノシリケートなどのガラス、水酸化セリウム、水酸化ケイ素、水酸化ジルコニア等の水酸化物からなる粒子が好ましい。中でも、シリカは、比較的低温(例えば800℃以下)で溶けて原料砥粒同士を接合するため、焼成処理の際の焼成温度がこのような低温であっても、原料砥粒の粒界の強度を高めることができる。シリカは、スラリー中で水和物として存在し、焼成処理の際に脱水されてシリカ無水和物になることで原料砥粒同士を接合すると考えられる。なお、粒界とは、隣接する原料砥粒の間の境界をいう。シリカとしては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカが挙げられ、より分散性に優れる点で、コロイダルシリカが好ましく用いられる。なお、シリカやガラスが溶けて原料砥粒同士を接合する場合、一部がビトリファイド結合を形成しているとも考えられる。
【0039】
バインダの平均粒径は、3〜20nmであることが好ましい。このような平均粒径のバインダは、原料砥粒に対して十分に小さく、乾燥処理、焼成処理において、原料砥粒の間に分散して配置されやすく、原料砥粒同士を接合するバインダとして良好に機能する。バインダの平均粒径が3nm未満の場合、原料砥粒同士の接合が不十分となる場合があり、20nmより大きいとバインダ同士が接合して粗大粒子となり、研磨キズの原因となることがある。バインダの平均粒径は、レーザー回折粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0040】
バインダは、後述するガラス基板の製造方法の第2研磨処理で用いられた使用済み研磨砥粒であることが好ましい。使用済み研磨砥粒として例えばコロイダルシリカは通常は使用後に廃棄されるため、これをバインダとして用いることで、原料コストが不要となり、低コストで研磨スラリーを作製できる。また、回収した使用済み研磨スラリーをそのまま、原料スラリーに添加することもできるので、作業性に優れる。
バインダの添加量は、原料砥粒100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると、バインダの効果が十分得られずに研磨砥粒が砕けやすくなり、研磨レートが低下する場合がある。また、10質量部より多いと、バインダ同士が凝集してガラス基板に傷を発生させる原因となる粗大な粒子が生成する場合がある。また、10質量部より多いと、セリアの研磨砥粒の表面に過剰な量のバインダが付着することで砥粒表面による研磨機能が低下し、研磨レートが低下する恐れもある。特に、研磨砥粒がセリウム系研磨材の場合、ガラス基板に対して化学的作用を発揮して高い研磨レートとなるといわれているため、表面をセリア以外の物質が過剰に覆うと被研磨基板との接触面積が小さくなり研磨レートが低下する。
【0041】
添加処理では、さらに、バインダ同士の凝集を抑制するためのバインダ凝集抑制剤を添加することが好ましい。バインダ凝集抑制剤が原料スラリー中に存在していると、バインダ同士の凝集が抑えられ、バインダが原料砥粒の間に分散して配されやすくなる。特にシリカは粒径が小さくなるほど水中で凝集しやすく、ガラス基板に傷を発生させる原因となる粗大なシリカ粒子となる場合があるため、バインダ凝集抑制剤を添加することで、こうしたシリカ粒子の凝集を抑えることができる。特にシリカの平均粒径が3〜20nmである場合に、バインダ凝集抑制剤を添加することが好ましい。
【0042】
バインダ凝集抑制剤は、バインダとの親和性が高いものであることが好ましく、そのような物質として、例えば、表面に水酸基を有するものを挙げることができる。具体的に、多糖類を挙げることができる。より好ましくは、加熱により水に溶けるまたはゲル化する多糖類(以降、本実施形態において、上記多糖類ともいう。)である。このような多糖類は、乾燥処理において乾燥される過程で、バインダが付着しやすい状態となるため、バインダ同士の凝集を抑えつつ、バインダが原料砥粒の間に分散して配置されるのを助ける働きを有している。この働きは、水を含んだ多糖類がバインダを捕捉することによって、バインダを原料砥粒に対して位置決めすることによって行われると考えられる。
【0043】
上記多糖類が水に溶けるまたはゲル化する温度は、特に制限されないが、例えば乾燥処理における乾燥温度では、上記多糖類は水に溶けているまたはゲル化していることが好ましい。上記多糖類は、乾燥処理において、水を含んでいることで、その表面に原料砥粒が付着しやすくなる。また、上記多糖類は、比較的低い温度で焼成することで容易に消失させることができる。この点で、バインダ凝集抑制剤の分解温度は、600℃以下、より好ましくは500℃以下であることが好ましい。また、上記多糖類は、焼成処理において少なくとも一部が消失することで、原料砥粒の塊において存在していた部分が原料砥粒の集合体において空孔(空隙)となるため、原料砥粒の集合体を多孔質なものにすることができる。この点で、バインダ凝集抑制剤は、造孔剤ということができる。
【0044】
上記多糖類には、具体的には、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、またはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。デンプンとしては、例えば、コーンスターチ、小麦粉、片栗粉、米澱粉等が挙げられ、その原料は特に制限されず、例えばトウモロコシ、ムギ、コメ、ジャガイモ、サツマイモ等の穀類が用いられる。
【0045】
バインダ凝集抑制剤の添加量は、原料砥粒100質量部に対し、10〜100質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。10質量部未満では、原料砥粒の集合体に空孔が十分に形成されず、解砕し難い場合がある。また、100質量部より多いと、バインダの効果が阻害されて研磨砥粒(原料砥粒)が十分に大きくならず、造粒により研磨レートを向上させる効果が得られない場合がある。
バインダ凝集抑制剤は、例えば、水等の溶媒に分散させた状態で原料スラリーに添加される。
【0046】
なお、原料砥粒として使用済み研磨スラリーを用いる場合は、添加処理の前に、予め、使用済み研磨スラリーに対し、フィルタリング、固液分離、解砕を行うことが好ましい。フィルタリングでは、粗大サイズ(例えば15μm以上)の異物を除去する。固液分離では、回収した使用済み研磨スラリーに含まれるガラススラッジ等のガラス成分を除去する。解砕では、例えばホモジナイザを用いた超音波照射によって固液分離で生成した固形分を解砕する。この解砕を容易に行うために、固液分離前に、使用済み研磨スラリーに、固形分が硬くなりすぎるのを防止するハードケーキ防止剤(例えば、水に不溶な多糖類)を添加しておいてもよい。
また、固液分離の後、上澄み液である残液をさらに固液分離し、得られた固形分を解砕したものを原料スラリーに用いてもよい。これにより、最初の固液分離で回収されなかった平均粒径の小さい(例えば0.3〜2μm)の使用済み研磨砥粒を回収し、原料砥粒として用いて、研磨砥粒を再生させることができる。このように固液分離を複数回行う場合は、特にセリウム系研磨材のような高価な研磨砥粒の回収率を高められるため、研磨スラリーのコスト抑制効果が大きくなる。なお、この場合に、最初の固液分離で得られた平均粒径の大きい(例えば0.5〜5μm)固形分は、別途、注水後、解砕し、さらにフィルタリングを行った後、ガラス基板の研磨処理を行う間、循環して使用してもよく、研磨スラリーを貯留するタンクに保管してもよく、また、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を用いて再生させてもよい。
【0047】
(b)乾燥処理
乾燥処理では、スプレードライ法によって、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥させることが好ましい。スプレードライを行うことで、原料砥粒の塊のサイズを制御できる。スプレードライ法は、他の方法に比べて平均粒径を小さくすることができ、さらに、粒径のバラツキを小さくすることができるので好ましい。スプレードライは、具体的に、回転円板式、二流体ノズル式、圧力ノズル式等の公知の噴霧手段を用いて噴霧して、スプレードライヤの乾燥室内に供給し、乾燥させることで行うことができる。噴霧手段の種類や、ノズルの孔径、原料スラリーの供給圧力等の条件は、目標とする原料砥粒の塊のサイズに応じて、適宜設定される。スプレードライによって得られる原料砥粒の塊のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。
また、スプレードライ前の原料スラリーに造孔剤を添加する場合、造孔剤の大きさ(造孔剤の平均粒径)は、3〜20μmであることが好ましい。造孔剤がこのような大きさの範囲にあることで、焼成後の原料砥粒の集合体の空孔の大きさを適正なものとして、解砕された研磨砥粒の大きさを適正なもの(例えば、平均粒径0.5〜10μm)にすることができる。乾燥温度(乾燥室内の雰囲気温度)は、例えば、乾燥室の入口温度が150〜250℃である。なお、乾燥処理は、加熱せずに行ってもよい。
ここで、図1(a)に、乾燥処理で作製される原料砥粒の塊を示す。ここでは、バインダ凝集抑制剤を含んだ原料スラリーを乾燥させて作製した原料砥粒の球状の塊を例に示す。原料砥粒の塊10は、水分を含んだバインダ凝集抑制剤7に、その表面を覆うように多数の原料砥粒3が付着してなり、原料砥粒3の間には、図示されないバインダが分散して配されている。なお、原料砥粒の塊10には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(a)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。
【0048】
(c)焼成処理
焼成処理を行う装置は、特に制限されないが、例えば、マッフル炉が挙げられる。焼成処理における焼成温度は、800℃以下であることが好ましい。焼成温度とは、焼成を行う空間内の雰囲気温度である。焼成温度を800度以下とすることで、研磨スラリーを作製するエネルギーコストを低減できる。焼成温度が800度を超えると、原料砥粒同士の粒界での結合が進行して、研磨砥粒の粒界の強度が高くなりすぎる場合がある。また、バインダ同士が結合して粗大粒子となる場合がある。これらの場合、ガラス基板の傷が発生しやすくなる。また、焼成温度が800℃を超えると、原料砥粒の組成が変化して硬さが増して、ガラス基板に傷を発生させる場合がある。また、焼成処理における焼成温度は500℃以上、より好ましくは600℃以上であることが好ましい。500℃未満の場合、原料砥粒同士の結合が不十分となる場合がある。
【0049】
焼成処理では、原料スラリーにバインダ凝集抑制剤が添加されている場合は、焼成によってバインダ凝集抑制剤の少なくとも一部を消失させることが好ましい。これによって、原料砥粒の塊においてバインダ凝集抑制剤が配されていた部分が空孔となり、多孔質な原料砥粒の集合体が作製される。
ここで、図1(b)に、焼成処理で作製される原料砥粒の集合体を示す。ここでは、バインダ凝集抑制剤を含んだ原料スラリーを乾燥、焼成して作製した原料砥粒の集合体が例に示される。原料砥粒の集合体20は、バインダ凝集抑制剤が消失して形成された空孔9を有している。なお、原料砥粒の集合体は、図示される空孔9のほか、空孔9を取り囲む原料砥粒同士の間に配されていたバインダ凝集抑制剤も消失することで形成された原料砥粒同士の間の多数の微小な空隙を有していることによって多孔質になっている。原料砥粒の集合体20のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。原料砥粒の集合体20は、焼成処理において図示されないバインダが溶融し、その後固まる際に原料砥粒3同士を接合することで、原料砥粒3の粒界の強度が適度な大きさ(例えば、後述する圧壊強度の平均値が0.1〜20MPa)になっている。なお、原料砥粒の集合体20には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(b)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。原料砥粒3同士の間にバインダが介在していることは、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray microanalyzer)による元素マッピングによって確認できる。
【0050】
(d)解砕処理
第1の実施形態の研磨スラリーの作製方法は、さらに、原料砥粒の集合体を解砕して研磨砥粒を作製する解砕処理を備えていることが好ましい。これにより、研磨処理に適した大きさの研磨砥粒を得ることができる。原料砥粒の集合体に空孔が形成されている場合は、より解砕しやすくなっている。
解砕は、例えばホモジナイザを用いて、原料砥粒の集合体に超音波照射を行うことによって行われる。超音波の周波数は、16〜120kHzであることが好ましい。解砕は、ホモジナイザ以外の手段を用いて行ってもよい。解砕時間は、特に制限されないが、例えば1〜20分である。
解砕は、研磨砥粒の平均粒径が0.5〜10μmとなるよう行うことが好ましい。より好ましくは0.5〜5μm、0.7〜3μmである。このような平均粒径の研磨砥粒を用いて研磨処理を行うと、高い研磨レートで研磨を行えるとともに、ガラス基板の表面に傷を発生させるのを抑えることができる。
解砕処理は、ボールミル等を用いて物理的に破壊するミリング法で行ってもよいが、上記の超音波法の方が簡便さにおいてすぐれている。
【0051】
解砕処理の後、研磨砥粒を水に分散させることで研磨スラリーを作製することができる。このとき、注水前に、フィルタリングを行って、粗大サイズ(例えば15μm以上)の粒子を除去しておくことが好ましい。ここでの粗大サイズの粒子は、解砕処理によって所定のサイズに解砕されなかった原料砥粒の集合体の一部である。
【0052】
第1の実施形態の研磨スラリーの作製方法によれば、原料スラリーにバインダを添加し、それを乾燥、焼成することによって、バインダを含有する原料砥粒の集合体を作製できる。この原料砥粒の集合体は、原料砥粒同士がバインダを介在して接合された部分を有しているため、原料砥粒同士が直接接合したものと比べて粒界の強度が強すぎることがない。このため、超音波照射等によって容易に解砕することができ、研磨処理に適切なサイズで粒度分布が均一な研磨砥粒を得ることができる。このように、第1の実施形態の方法によれば、コストのかかる粉砕等を行う必要がなく、また、分級の必要もないため、低コストで簡便に研磨砥粒を作製できる。研磨砥粒は、原料砥粒が大径化していることで、研磨レートが向上している。また、第1の実施形態の方法で作製した研磨砥粒は、バインダを介して原料砥粒同士が接合していることによって、粒界の強度が強すぎないため、ガラス基板に傷をつけるのを抑えられる。一方で、第1の実施形態の方法で作製した研磨砥粒は、原料砥粒同士がバインダを介して接合することで二次粒子径が大きくなっていることで、研磨レートが向上しているとともに、粒界の強度が強くなっていることで研磨処理において砕け難く、高い研磨レートを維持することができる。
また、第1の実施形態の方法により作製された研磨砥粒は、原料砥粒同士がバインダを介して接合し大径化していることで研磨レートが向上しているとともに、適度な粒界の強度を有していることで使用中に砕け難く、高い研磨レートが維持される。
【0053】
(研磨砥粒および研磨スラリー)
図2に、第1の実施形態の研磨砥粒1を概念的に示す。
研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる、セリアまたはジルコニアの粒子を含む原料砥粒3と、原料砥粒3の表面に配されたバインダ5と、を備える。より具体的には、研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒であって、セリアまたはジルコニアの粒子の間にシリカ粒子がバインダ5として存在する。
なお、原料砥粒3は、図1に示されるように、原料砥粒の塊10および原料砥粒の集合体20のそれぞれに多数含まれる。
原料砥粒3は、上記説明した原料砥粒のうちセリウム系研磨材またはジルコニア系研磨材と同様のものである。セリウム系研磨材は、セリアの他に、高い研磨レートを達成しつつガラス基板に傷が発生するのを抑えるために、ランタン、プラセオジム、ネオジム等の他の希土類元素の酸化物、これらのフッ化物等のうち少なくとも1種を含んだ混合物であることが好ましい。ジルコニア系研磨材は、ジルコニアのほか、二酸化ケイ素を含んだ混合物であってもよい。
原料砥粒3の平均粒径は、例えば0.3〜2μmであり、例えば80〜150nm程度の一次粒子径の粒子が凝集してなる。
バインダ5は、上記説明したバインダと同様のものである。なお、図2において、バインダ5は、二次粒子である原料砥粒3の表面に配されているが、原料砥粒3を構成する一次粒子の表面に配されていてもよい。バインダ5は、原料砥粒3の表面の表面積の50%未満を覆うことが好ましい。50%以上では、研磨砥粒の表面と被研磨基板との接触面が小さくなり、研磨レートが低下しやすい。
【0054】
研磨砥粒1は、JIS R1639−5に準拠して測定される圧壊強度の平均値が0.1〜20MPaであることが好ましい。圧壊強度の平均値が0.1MPa以上であることで、研磨処理において研磨砥粒が容易に砕けて小径化することが抑えられ、これにより研磨レートの低下が抑制される。なお、圧壊強度はバラツキが大きいため、20点以上測定することが好ましい。研磨レートの低下をより確実に抑えられる観点から、圧壊強度の平均値は、3MPa以上であることがより好ましい。また、圧壊強度の平均値が20MPa以下であることで、研磨処理においてガラス基板表面に傷を発生させることを抑制できる。
研磨砥粒1の平均粒径は、例えば0.5〜10μmである。研磨砥粒1に含まれる原料砥粒3の数は、特に制限されず、例えば数個から十数個である。
【0055】
第1の実施形態の研磨スラリーは、上記研磨砥粒1と、研磨砥粒1が分散される水等の分散媒とを備える。
第1の実施形態の研磨砥粒および研磨スラリーは、例えば、上記説明した研磨スラリーの作製方法によって作製される。
【0056】
<第2の実施形態>
(研磨スラリーの作製方法)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の研磨スラリーの作製方法は、ガラス基板の研磨処理に使用するための研磨砥粒を含む研磨スラリーの作製方法であって、添加処理、乾燥処理、焼成処理の各処理を備える。添加処理では、研磨砥粒の原料となる原料砥粒を含んだ原料スラリーに造孔剤を添加する。乾燥処理では、造孔剤を含んだ原料スラリーを乾燥させて、造孔剤を含有する原料砥粒の塊を作製する。焼成処理では、砥粒の塊を焼成して造孔剤の少なくとも一部を消失させることで、造孔剤が位置した原料砥粒の塊の部分に孔を形成する。
原料スラリーは、原料砥粒を、水を分散媒として分散させたものである。
原料砥粒の塊は、複数の原料砥粒が集まって形成された塊状物をいい、原料砥粒の塊は、原料砥粒と、造孔剤と、任意に配合されるバインダと、を有している。原料砥粒の塊は、例えば、水分を含んだ造孔剤に、その表面を覆うように多数の原料砥粒が付着した形態を有している。原料砥粒の間には、バインダが分散して配されていることが好ましい。
原料砥粒の集合体は、原料砥粒の塊において、少なくとも一部の造孔剤が消失することで孔(空隙)が形成されたものをいう。原料砥粒の集合物は、原料砥粒と、任意に配合されたバインダと、を有している。原料砥粒の集合体では、バインダによって(例えば、バインダが溶けて固まることで)原料砥粒同士が接合していることが好ましい。
また、乾燥処理後、焼成処理前の状態を、原料砥粒の塊といい、焼成処理後、解砕処理前の状態を、原料砥粒の集合体ということができる。
【0057】
セリウム系研磨材は、焼成によって粒界で結合して実際の研磨時に粒子として働く粒径が大きくなることで、研磨レートが向上する。しかし、焼成によって大径化させた研磨材は、研磨処理に適したサイズに調整するために、一般には粉砕される。しかし、研磨材の粉砕にはコストと手間がかかる。また、粉砕を行うと研磨材の粒度分布が不均一になりやすいため、粉砕後に分級を行う必要が生じ、これによってもコストと手間がかかっていた。このため、第2の実施形態は、低コストで簡便に、研磨レートが改善された研磨スラリーの作製方法を提供することを目的とする。また、第2の実施形態は、そのような研磨スラリーを用いたガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
第2の実施形態の研磨スラリーの作製方法によれば、造孔剤を用いることで、孔(空隙)が形成された、解砕されやすい原料砥粒の集合体が作製される。このため、原料砥粒の集合体を、簡単な方法で解砕でき、低コストで簡便に研磨スラリーを作製できる。また、研磨砥粒は、原料砥粒が乾燥、焼成を経て大径化したものであるため、研磨レートが向上している。また、第2の実施形態のガラス基板の作製方法によれば、高い研磨レートでガラス基板を研磨できる。
【0058】
なお、ガラス基板の用途は、特に限定されず、例えば、液晶ディスプレイ装置等の各種ディスプレイ装置用のパネル;フォトマスクあるいはその基板であるマスクブランクス;HDD装置用の磁気ディスクである。ガラス基板の研磨処理は、例えば、後述するガラス基板の製造方法において両面研磨装置を用いて行われる。
研磨砥粒は、特に制限されないが、機械的な作用に加えて化学的な作用によってガラス基板を研磨できる点で、セリウム系研磨材、または酸化ジルコニウム(ジルコニア)を主成分とするジルコニア系研磨材が好ましく用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒を、水を分散媒として分散させたものであり、研磨砥粒は、研磨処理において遊離砥粒として用いられる。研磨スラリーは、研磨砥粒、水のほか、例えばリン酸系分散剤等、他の成分を含んでいてもよい。研磨スラリー中の研磨砥粒の濃度は、特に制限されないが、例えば1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%である。
【0059】
(a)添加処理
原料砥粒は、第2の実施形態の方法によって作製される研磨スラリーに含まれる研磨砥粒の原料であり、原料砥粒として後述する使用済み研磨スラリーが用いられる場合は、当該使用済みの研磨砥粒を意味する。原料砥粒の平均粒径は、0.3〜2μmであることが好ましい。このような平均粒径の原料砥粒を用いることで、ガラス基板の研磨処理を行うのに適した大きさの研磨砥粒を作製できる。0.3〜2.0μmの範囲にある原料砥粒のうち平均粒径の比較的小さいもの(例えば0.3〜0.5μm未満のもの)の原料砥粒は、固液分離で回収され難く、また、回収することができたとしても、従来の方法で再生したものは、研磨処理において、小径化して研磨レートが低下したり、ガラス基板に傷を発生させたりすることが分かった。第2の実施形態の作製方法によれば、後述するように適度な硬さ(圧壊強度)の研磨砥粒が作製されるため、平均粒径の比較的小さいものを原料砥粒として研磨スラリーを作製するのに好適である。なお、原料砥粒は、数個から数十個の一次粒子が凝集してなる二次粒子であり、原料砥粒の平均粒径は、二次粒子の平均粒径を意味する。なお、実際の研磨時に1つの研磨砥粒の粒子として作用するのは、二次粒子である。また、本明細書において、平均粒径は、メジアン径(d50)を意味する。d50は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積粒径が微粒側から累積50%に相当する粒子径である。
原料砥粒は、未使用のものであってもよく、使用済みの研磨スラリーであってもよい。本明細書において、使用済みとは、少なくとも一度、ガラス基板の研磨処理に使用されたものであることを意味する。使用済み研磨スラリーを用いて研磨スラリーを作製した場合は、使用済みの研磨砥粒をリサイクルすることができ、研磨スラリーのコストを抑えることができる。なお、本明細書において、原料スラリーとして使用済み研磨スラリーを用いる場合に、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を、使用済み研磨スラリーの再生方法ということができ、その研磨スラリーがセリア粒子を主成分とするセリウム系研磨材を含む場合には、使用済みセリアスラリーの再生方法ということができる。
また、原料砥粒として用いられる使用済み研磨スラリーは、使用済み研磨スラリーの再生方法によって再生されたものであってもよい。この場合は、使用済み研磨スラリーを繰り返し再生して使用することで、研磨スラリーのコストをより低く抑えることができる。
【0060】
造孔剤は、表面に水酸基を有する有機化合物であることが好ましく、そのような物質として、例えば、多糖類を挙げることができ、好ましくは、加熱により水に溶けるまたはゲル化する多糖類(以降、本実施形態において、上記多糖類ともいう。)を挙げることができる。上記多糖類は、乾燥処理において水を含んだ状態で、表面に原料砥粒が付着することができ、また、焼成処理では焼成されて少なくとも一部が消失することで、原料砥粒の塊において位置していた部分が原料砥粒の集合体において空孔となるため、多孔質な原料砥粒の集合体を作製することができる。上記多糖類が水に溶けるまたはゲル化する温度は、特に制限されないが、例えば乾燥処理における乾燥温度では、上記多糖類は水に溶けているまたはゲル化していることが好ましい。造孔剤の分解温度は、比較的低い温度で焼成することによって容易に消失させられる点で、600℃以下、より好ましくは500℃以下であることが好ましい。
また、上記多糖類は、原料スラリーに後述するバインダが添加されている場合に、乾燥処理において乾燥される過程で、バインダが付着しやすい状態となるため、バインダ同士の凝集を抑えつつ、バインダが原料砥粒の間に分散して配置されるのを助ける働きを有している。この働きは、水を含んだ多糖類がバインダを捕捉することによって、バインダを原料砥粒に対して位置決めすることによって行われると考えられる。この点で、造孔剤は、バインダ凝集抑制剤ということができる。
【0061】
上記多糖類には、具体的には、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、またはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。デンプンとしては、例えば、コーンスターチ、小麦粉、片栗粉、米澱粉等が挙げられ、その原料は特に制限されず、例えばトウモロコシ、ムギ、コメ、ジャガイモ、サツマイモ等の穀類が用いられる。
【0062】
造孔剤の添加量は、原料砥粒100質量部に対し、10〜100質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。10質量部未満では、原料砥粒の集合体に空孔が十分に形成されず、解砕し難い場合がある。また、100質量部より多いと、バインダの効果が阻害されて研磨砥粒(原料砥粒)が十分に大きくならず、造粒により研磨レートを向上させる効果が得られない場合がある。
造孔剤は、例えば、水等の溶媒に分散させた状態で原料スラリーに添加される。
【0063】
添加処理では、さらに、原料砥粒の表面に配されるバインダを添加することが好ましい。バインダは、焼成処理の際に溶けて原料砥粒同士を接合することで、粒界の強度を高めることができる。なお、粒界とは、隣接する原料砥粒の間の境界をいう。これにより、研磨砥粒の二次粒子径(研磨時に1つの研磨砥粒の粒子として作用する粒子の粒径)が大きくなっていることで、研磨砥粒の研磨レートが向上するとともに、研磨処理において砕け難く、高い研磨レートを維持できる。一方で、バインダを介して原料砥粒同士が接合している場合は、原料砥粒同士が直接接合している場合と比べ、粒界の強度が強すぎないため、研磨処理においてガラス基板に傷が発生するのを抑えられる。
また、研磨処理中に容易に砕けてしまうと、小さい粒子の割合が増加し、相対的に少なくなった大きな粒子に研磨荷重が大きくかかるようになるため研磨キズが発生しやすくなる。よって、バインダにより砥粒同士を接合することにより、研磨キズの発生を抑制することができる。
一方で、バインダを含んだ原料砥粒の集合体は、粒界の強度が強すぎることがないため、超音波照射等によって容易に解砕することができ、研磨処理に適切なサイズで粒度分布が均一な研磨砥粒を得ることができる。このため、コストのかかる粉砕等によって解砕を行う必要がなく、また、分級の必要もないため、低コストで簡便に研磨砥粒を作製できる。
【0064】
バインダには、具体的に、焼成工程において消失しないものが用いられる。この点で、バインダの分解温度は、焼成工程における焼成温度を超える温度であることが好ましい。したがって、有機物ではないことが好ましい。有機物のバインダは、焼成工程において消失してしまうためである。バインダは、無機化合物からなる粒子であることが好ましく、中でも、原料スラリー中での分散性に優れる点で、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)等の酸化物や、これらの水和物、アルミノシリケートなどのガラス、水酸化セリウム、水酸化ケイ素、水酸化ジルコニア等の水酸化物からなる粒子が好ましい。中でも、シリカは、比較的低温(例えば800℃以下)で溶けて原料砥粒同士を接合するため、焼成処理の際の焼成温度がこのような低温であっても、原料砥粒の粒界の強度を高めることができる。シリカは、スラリー中で水和物として存在し、焼成処理の際に脱水されてシリカ無水和物になることで原料砥粒同士を接合すると考えられる。シリカとしては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカが挙げられ、より分散性に優れる点で、コロイダルシリカが好ましく用いられる。なお、シリカやガラスが溶けて原料砥粒同士を接合する場合、一部がビトリファイド結合を形成しているとも考えられる。
【0065】
バインダは、凝集しやすい性質を有するが、造孔剤が原料スラリー中に存在していることで、バインダ同士の凝集が抑えられ、バインダが原料砥粒の間に分散して配されやすくなる。特にシリカは水中で凝集しやすく、ガラス基板に傷を発生させる原因となる粗大なシリカ粒子となる場合があるが、造孔剤が添加されていることで、こうしたシリカ粒子の凝集を抑えることができる。
【0066】
バインダの平均粒径は、3〜20nmであることが好ましい。このような平均粒径のバインダは、原料砥粒に対して十分に小さく、乾燥処理、焼成処理において、原料砥粒の間に分散して配置されやすく、原料砥粒同士を接合するバインダとして良好に機能する。バインダの平均粒径が3nm未満の場合、原料砥粒同士の接合が不十分となる場合があり、20nmより大きいとバインダ同士が接合して粗大粒子となり、研磨キズの原因となることがある。バインダの平均粒径は、レーザー回折粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0067】
バインダは、後述するガラス基板の製造方法の第2研磨処理で用いられた使用済み研磨砥粒であることが好ましい。使用済み研磨砥粒として例えばコロイダルシリカは通常は使用後に廃棄されるため、これをバインダとして用いることで、原料コストが不要となり、低コストで研磨スラリーを作製できる。また、回収した使用済み研磨スラリーをそのまま、原料スラリーに添加することもできるので、作業性に優れる。
バインダの添加量は、原料砥粒100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると、バインダの効果が十分得られずに研磨砥粒が砕けやすくなり、研磨レートが低下する場合がある。また、10質量部より多いと、バインダ同士が凝集してガラス基板に傷を発生させる原因となる粗大な粒子が生成する場合がある。また、10質量部より多いと、セリアの研磨砥粒の表面に過剰な量のバインダが付着することで砥粒表面による研磨機能が低下し、研磨レートが低下する恐れもある。特に、研磨砥粒がセリウム系研磨材の場合、ガラス基板に対して化学的作用を発揮して高い研磨レートとなるといわれているため、表面をセリア以外の物質が過剰に覆うと被研磨基板との接触面積が小さくなり研磨レートが低下する。
【0068】
なお、原料砥粒として使用済み研磨スラリーを用いる場合は、添加処理の前に、予め、使用済み研磨スラリーに対し、フィルタリング、固液分離、解砕を行うことが好ましい。フィルタリングでは、粗大サイズ(例えば15μm以上)の異物を除去する。固液分離では、回収した使用済み研磨スラリーに含まれるガラススラッジ等のガラス成分を除去する。解砕では、例えばホモジナイザを用いた超音波照射によって固液分離で生成した固形分を解砕する。この解砕を容易に行うために、固液分離前に、使用済み研磨スラリーに、固形分が硬くなりすぎるのを防止するハードケーキ防止剤(例えば、水に不溶な多糖類)を添加しておいてもよい。
また、固液分離の後、上澄み液である残液をさらに固液分離し、得られた固形分を解砕したものを原料スラリーに用いてもよい。これにより、最初の固液分離で回収されなかった平均粒径の小さい(例えば0.3〜2μm)の使用済み研磨砥粒を回収し、原料砥粒として用いることで、再生させることができる。このように固液分離を複数回行う場合は、特にセリウム系研磨材のような高価な研磨砥粒の回収率を高められるため、研磨スラリーのコスト抑制効果が大きくなる。なお、この場合に、最初の固液分離で得られた平均粒径の大きい(例えば0.5〜5μm)固形分は、別途、注水後、解砕し、さらにフィルタリングを行った後、ガラス基板の研磨処理を行う間、循環して使用してもよく、研磨スラリーを貯留するタンクに保管してもよく、また、本実施形態の研磨スラリーの作製方法を用いて再生させてもよい。
【0069】
(b)乾燥処理
乾燥処理では、スプレードライ法によって、造孔剤を含んだ原料スラリーを乾燥させることが好ましい。スプレードライを行うことで、原料砥粒の塊のサイズを制御できる。スプレードライ法は、他の方法に比べて平均粒径を小さくすることができ、さらに、粒径のバラツキを小さくすることができるので好ましい。スプレードライは、具体的に、回転円板式、二流体ノズル式、圧力ノズル式等の公知の噴霧手段を用いて噴霧して、スプレードライヤの乾燥室内に供給し、乾燥させることで行うことができる。噴霧手段の種類や、ノズルの孔径、原料スラリーの供給圧力等の条件は、目標とする原料砥粒の塊のサイズに応じて、適宜設定される。スプレードライによって得られる原料砥粒の塊のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。
また、スプレードライ前の原料スラリーに造孔剤を添加する場合、造孔剤の大きさ(造孔剤の平均粒径)は、3〜20μmであることが好ましい。造孔剤がこのような大きさの範囲にあることで、焼成後の原料砥粒の集合体の空孔の大きさを適正なものとして、解砕された研磨砥粒の大きさを適正なもの(例えば、平均粒径0.5〜10μm)にすることができる。乾燥温度(乾燥室内の雰囲気温度)は、例えば、乾燥室の入口温度が150〜250℃である。なお、乾燥処理は、加熱せずに行ってもよい。
ここで、図1(a)に、乾燥処理で作製される原料砥粒の塊を示す。ここでは、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥させて作製した原料砥粒の球状の塊が例に示される。原料砥粒の塊10は、水分を含んだ造孔剤7に、その表面を覆うように多数の原料砥粒3が付着してなり、原料砥粒3の間には、図示されないバインダが分散して配されている。なお、原料砥粒の塊10には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(a)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。
【0070】
(c)焼成処理
焼成処理を行う装置は、特に制限されないが、例えば、マッフル炉が挙げられる。焼成処理における焼成温度は、800℃以下であることが好ましい。焼成温度とは、焼成を行う空間内の雰囲気温度である。焼成温度を800度以下とすることで、研磨スラリーを作製するエネルギーコストを低減できる。焼成温度が800度を超えると、原料砥粒同士の粒界での結合が進行して、研磨砥粒の粒界の強度が高くなりすぎる場合がある。また、バインダ同士が結合して粗大粒子となる場合がある。これらの場合、ガラス基板の傷が発生しやすくなる。また、焼成温度が800℃を超えると、原料砥粒の組成が変化して硬さが増して、ガラス基板に傷を発生させる場合がある。また、焼成処理における焼成温度は500℃以上、より好ましくは600℃以上であることが好ましい。500℃未満の場合、原料砥粒同士の結合が不十分となる場合がある。
【0071】
焼成処理では、原料スラリーに造孔剤が添加されている場合は、焼成によって造孔剤の少なくとも一部を消失させることが好ましい。これによって、原料砥粒の塊において造孔剤が配されていた部分が空孔となり、多孔質な原料砥粒の集合体が作製される。
ここで、図1(b)に、焼成処理で作製される原料砥粒の集合体を示す。ここでは、バインダを含んだ原料スラリーを乾燥、焼成して作製した原料砥粒の集合体が例に示される。原料砥粒の集合体20は、造孔剤が消失して形成された空孔9を有している。なお、原料砥粒の集合体は、図示される空孔9のほか、空孔9を取り囲む原料砥粒同士の間に配されていたバインダ凝集抑制剤も消失することで形成された原料砥粒同士の間の多数の微小な空隙を有していることによって多孔質になっている。原料砥粒の集合体20のサイズ(平均粒径)は、例えば、5〜10μm程度の大きさとすることが好ましい。10μmより大きいと、解砕後に粗大粒子が残り研磨キズの原因となる場合がある。他方、5μm未満だと、小さい粒子の割合が多くなり研磨レートが低くなる場合がある。なお、ここでの平均粒径とは、SEM観察においてランダムに100個選択した上記原料砥粒の塊についてそれぞれ長径を求めて平均した値である。原料砥粒の集合体20は、焼成処理において図示されないバインダが溶融し、その後固まる際に原料砥粒3同士を接合することで、原料砥粒3の粒界の強度が適度な大きさ(例えば、後述する圧壊強度の平均値が0.1〜20MPa)になっている。なお、原料砥粒の集合体20には、多数の原料砥粒3が含まれているが、図1(b)において、多数の原料砥粒3の境界は、便宜のため図示を省略している。原料砥粒3同士の間にバインダが介在していることは、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray microanalyzer)による元素マッピングによって確認できる。
【0072】
(d)解砕処理
本実施形態の研磨スラリーの作製方法は、さらに、原料砥粒の集合体を解砕して研磨砥粒を作製する解砕処理を備えていることが好ましい。これにより、研磨処理に適した大きさの研磨砥粒を得ることができる。原料砥粒の集合体に空孔が形成されている場合は、より解砕しやすくなっている。
解砕は、例えばホモジナイザを用いて、原料砥粒の集合体に超音波照射を行うことによって行われる。超音波の周波数は、16〜120kHzであることが好ましい。解砕は、ホモジナイザ以外の手段を用いて行ってもよい。解砕時間は、特に制限されないが、例えば1〜20分である。
解砕は、研磨砥粒の平均粒径が0.5〜10μmとなるよう行うことが好ましい。より好ましくは0.5〜5μm、0.7〜3μmである。このような平均粒径の研磨砥粒を用いて研磨処理を行うと、高い研磨レートで研磨を行えるとともに、ガラス基板の表面に傷を発生させるのを抑えることができる。
解砕処理は、ボールミル等を用いて物理的に破壊するミリング法で行ってもよいが、上記の超音波法の方が簡便さにおいてすぐれている。
【0073】
解砕処理の後、研磨砥粒を水に分散させることで研磨スラリーを作製することができる。このとき、注水前に、フィルタリングを行って、粗大サイズ(例えば15μm以上)の粒子を除去しておくことが好ましい。ここでの粗大サイズの粒子は、解砕処理によって所定のサイズに解砕されなかった原料砥粒の集合体の一部である。
【0074】
本実施形態の研磨スラリーの作製方法によれば、原料スラリーに造孔剤を添加し、それを乾燥、焼成することによって、孔の形成された、多孔質な原料砥粒の集合体を作製できる。このような原料砥粒の集合体は、超音波照射等によって容易に解砕することができ、研磨処理に適切なサイズで粒度分布が均一な研磨砥粒を得ることができる。このように、本実施形態の方法によれば、コストのかかる粉砕等を行う必要がなく、また、分級の必要もないため、低コストで簡便に研磨砥粒を作製できる。研磨砥粒は、原料砥粒が大径化していることで、研磨レートが向上している。
【0075】
(研磨砥粒および研磨スラリー)
図2に、上記方法により作製された研磨砥粒1を概念的に示す。
ここでは、原料砥粒3が、セリウム系研磨材またはジルコニア系研磨材である場合を例に説明する。
研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる、セリアまたはジルコニアの粒子を含む原料砥粒3と、原料砥粒3の表面に配されたバインダ5と、を備える。より具体的には、研磨砥粒1は、ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨砥粒であって、セリアまたはジルコニアの粒子の間にシリカ粒子がバインダ5として存在する。
なお、原料砥粒3は、図1に示されるように、原料砥粒の塊10および原料砥粒の集合体20のそれぞれに多数含まれる。
原料砥粒3に用いられるセリウム系研磨材は、セリアの他に、高い研磨レートを達成しつつガラス基板に傷が発生するのを抑えるために、ランタン、プラセオジム、ネオジム等の他の希土類元素の酸化物、これらのフッ化物等のうち少なくとも1種を含んだ混合物であることが好ましい。ジルコニア系研磨材は、ジルコニアのほか、二酸化ケイ素を含んだ混合物であってもよい。
原料砥粒3の平均粒径は、例えば0.3〜2μmであり、例えば80〜150nm程度の一次粒子径の粒子が凝集してなる。
バインダ5は、図2において、二次粒子である原料砥粒3の表面に配されているが、原料砥粒3を構成する一次粒子の表面に配されていてもよい。バインダ5は、原料砥粒3の表面の表面積の50%未満を覆うことが好ましい。50%以上では、研磨砥粒の表面と被研磨基板との接触面が小さくなり、研磨レートが低下しやすい。
【0076】
研磨砥粒1は、JIS R1639−5に準拠して測定される圧壊強度の平均値が0.1〜20MPaであることが好ましい。圧壊強度が0.1MPa以上であることで、研磨処理において研磨砥粒が容易に砕けて小径化することが抑えられ、これにより研磨レートの低下が抑制される。なお、圧壊強度はバラツキが大きいため、20点以上測定することが好ましい。研磨レートの低下をより確実に抑えられる観点から、圧壊強度の平均値は、3MPa以上であることがより好ましい。また、圧壊強度の平均値が20MPa以下であることで、研磨処理においてガラス基板表面に傷を発生させることを抑制できる。
研磨砥粒1の平均粒径は、例えば0.5〜10μmである。研磨砥粒1に含まれる原料砥粒3の数は、特に制限されず、例えば数個から十数個である。
【0077】
研磨スラリーは、上記研磨砥粒1と、研磨砥粒1が分散される水等の分散媒とを備える。
【0078】
(ガラス基板の製造方法)
次に、本実施形態のガラス基板の製造方法について説明する。
ここでは、磁気ディスクに用いられるガラス基板を製造する場合を例に説明する。
本実施形態の製造方法は、上記第1および第2の実施形態で説明した研磨スラリーを用いてガラス基板の表面を研磨することを特徴とする。つまり、本実施形態の製造方法は、第1および第2の実施形態で説明した研磨スラリーを共通して用いることのできる方法である。
【0079】
本実施形態の製造方法の概略を説明すると、まず、一対の主表面を有する板状のガラスブランクを形成する成形処理が行われる。ガラスブランクは、磁気ディスク用ガラス基板の素材となる。次に、このガラスブランクに粗研削処理が施される。この後、ガラスブランクに形状加工処理が施されてガラス基板が形成され、さらに端面研磨処理が施される。この後、ガラス基板に固定砥粒を用いた精研削処理が施される。この後、第1研磨処理、および第2研磨処理がガラス基板に施される。なお、本実施形態では、上記流れで行うが、上記流れ、処理の種類に制限されず、また、上記処理は、必要に応じて適宜省略できる。以下、上記した各処理について、説明する。
【0080】
(a)ガラスブランクの成形処理
成形処理では、例えばプレス成形法を用いて成形を行う。プレス成形法により、円板状のガラスブランクを得ることができる。プレス法に代えて、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の成形方法を用いて、ガラスブランクを製造してもよい。これらの方法で作られた板状ガラスブランクに対し、後述する形状加工処理を適宜施すことによって、磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラス基板が得られる。
【0081】
(b)粗研削処理
次に、粗研削処理が行われる。粗研削処理では、上記ガラスブランクを、周知の両面研削装置のキャリア(不図示)に保持させながら、ガラスブランクの両側の主表面の研削を行う。具体的には、ガラスブランクを、キャリアに設けられた保持穴に保持させるとともに、上定盤と下定盤の間に挟持し、研削剤を含む研削液を供給しつつ、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させて、ガラス基板の両主表面を研削する。研削剤として、例えば遊離砥粒が用いられる。粗研削処理では、ガラスブランクが目標とする板厚寸法及び主表面の平坦度に略近づくように研削される。なお、粗研削処理は、成形されたガラスブランクの寸法精度あるいは表面粗さに応じて行われるが、適宜省略できる。
【0082】
(c)形状加工処理
次に、形状加工処理が行われる。形状加工処理では、ガラスブランクに、公知の加工方法を用いて円孔を形成することにより、円孔を有する円板状のガラス基板を得る。その後、ガラス基板の端面の面取りを行う。面取りは、ガラス基板の内周側および外周側の両方の端面に対して行われる。面取りが行われることで、ガラス基板の端面には、主表面と直交する側壁面と、側壁面と主表面を繋ぐ面取り面(介在面)とが形成される。
【0083】
(d)端面研磨処理
次に、ガラス基板の端面研磨処理が行われる。端面研磨処理では、研磨ブラシとガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して、研磨ブラシとガラス基板とをガラス基板の厚み方向に相対的に移動させることにより研磨を行う。端面研磨処理によって、ガラス基板の内周側及び外周側の端面が研磨され、鏡面状態にされる。
【0084】
(e)精研削処理
次に、ガラス基板の主表面に精研削処理が施される。精研削処理では、定盤に固定砥粒を貼り付けた両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削を行う。具体的には、上記遊離砥粒の代わりに固定砥粒を用いて研削を行う点を除いて、上記粗研削処理とほぼ同様にガラス基板の両主表面を研削する。
【0085】
(f)第1研磨処理
次に、ガラス基板の主表面に第1研磨処理が施される。第1研磨処理は、周知の両面研磨装置を用いて、ガラス基板を、キャリアに保持させてガラス基板の両側の主表面の研磨を行う。第1研磨処理では、遊離砥粒を用いて、定盤に貼り付けられた研磨パッドをガラス基板の主表面と接触させて研磨を行う。上記第1研磨処理の間、遊離砥粒を含むスラリーが、両面研磨装置の供給タンク(不図示)から配管(不図示)を経由してガラス基板と研磨パッドとの間に供給される。スラリーは循環して用いることが好ましい。遊離砥粒を含むスラリーには、上記実施形態で説明した研磨スラリーが用いられる。遊離砥粒には、例えば、セリウム系研磨材またはジルコニア系研磨材が用いられる。
第1研磨処理の好ましい条件として、下記の条件を挙げることができる。
・研磨砥粒濃度:1〜20重量%
・両面研磨装置の上定盤と下定盤によるガラス基板への荷重:50〜200g/cm
・研磨時間:10〜120分
研磨パッドは、スエードタイプであるものが、微小キズの発生を防止できるため、好ましい。研磨パッドの硬度は、研磨レート向上及び微小キズ低減の観点から、アスカーC硬度で60〜90であることが好ましい。
【0086】
第1研磨処理では、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留するクラックや歪みの除去、あるいは、結晶化処理により主表面に生じた微小な表面凹凸の除去をする。取代量を適宜調整することで、主表面の端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面の表面粗さ、例えば算術平均粗さRaを低減することができる。また、第1研磨処理で用いられる研磨スラリーは、砕けにくい研磨砥粒を有しているため、小径化して研磨レートが低下することが抑えられている。また、研磨砥粒が硬すぎないため、ガラス基板の主表面に傷が発生することが抑制される。
【0087】
なお、第1研磨処理の後、研磨スラリーを回収して、さらに、上記実施形態の研磨スラリーの作製方法、すなわち、使用済み研磨スラリーの再生方法によって再生してもよく、再生させた研磨スラリーを、さらに、別のガラス基板の研磨処理に用いてもよい。
【0088】
(g)第2研磨(鏡面研磨)処理
次に、第2研磨処理が施される。第2研磨処理は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨処理は、第1研磨処理で用いたのと同様の両面研磨装置及び研磨方法を用いてよいが、第1研磨処理よりも研磨砥粒のサイズを小さくすることが好ましい。これにより、主表面の端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面の粗さを低減することができる。第2研磨処理後、ガラス基板は、キャリアごと両面研磨装置から取り出され、洗浄される。第2研磨処理で用いられる遊離砥粒は、例えばコロイダルシリカである。なお、第2研磨処理で用いた使用済み研磨スラリーは、回収して、上記実施形態の研磨スラリーの作製方法の添加処理において、原料スラリーに添加することができる。
【0089】
(実施例)
(1)第1の実施形態に関する実施例
本発明の第1の実施形態の効果を確認するために、下記の実験を行った。具体的には、原料砥粒として使用済み研磨スラリーを、表1に示すように条件を種々異ならせて再生し、再生させた研磨砥粒(サンプル1〜5)の圧壊強度を測定し、さらに、研磨処理を行ったときの研磨レートを測定し、ガラス基板に生じた傷の発生の程度を評価した。
【0090】
使用済み研磨スラリーの再生は、下記の処理1〜7を順に行うことで行った。使用済み研磨スラリーには、平均粒径D50が1.0μmの未使用のセリウム系研磨材を含んだスラリーを用いて、上記実施形態の第1研磨処理を1回行って、回収したスラリーを用いた。回収後のセリウム系研磨材の平均粒径D50は、0.7μmであった。第1研磨処理は、両面研磨装置を用いて、後述する第1研磨処理の条件と同じ条件で行った。
【0091】
処理1:異物除去処理
フィルタリングによって、研磨パッド屑、研磨処理において乾燥して粗大化した粒子が混入したもの、ガラスチップ等の異物を、使用済み研磨スラリーから除去した。除去する粒子等のサイズは15μm以上とした。
【0092】
処理2:固液分離処理
処理1の後、使用済み研磨スラリーを、遠心分離機を用いて800Gで20分、固液分離を行い、上澄み液を回収した。続けて、上澄み液を、遠心分離機を用いて800Gで1時間、固液分離を行い、固形分を回収した。
【0093】
処理3:解砕処理
処理2の2回目の固液分離によって得られた固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加し、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行った。なお、解砕処理の時間は固定せず、十分に解砕されるまで行った。
処理4:造粒・乾燥処理
解砕した固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加して原料スラリーを作製し、表1に従ってバインダおよびバインダ凝集抑制剤を添加した。バインダの添加は、使用済みのコロイダルシリカ(使用済みの状態での平均粒径3〜20nm)を含んだ使用済み研磨スラリーを添加することで行った。バインダ凝集抑制剤には、コーンスターチ、小麦粉を用いた。
次に、原料スラリーを、並流型のスプレードライヤを用いて、噴霧乾燥させることで造粒し、原料砥粒の塊を作製した。並流型のスプレードライヤは、スラリーを乾燥室内に噴霧し、これに並行して熱風を吹き付けることでスラリーを乾燥させる装置である。噴霧手段には回転円板式のものを用いた。噴霧条件は、回転円板(アトマイザ)の直径が50mm、円板回転数20000回転/分、噴出量30mL/分、乾燥室の入口温度(回転円板位置温度)150度、出口温度50度とした。
処理5:焼成処理
原料砥粒の塊をるつぼに入れ、マッフル炉内で、表1に示す温度で2時間焼成し、原料砥粒の集合体を作製した。
処理6:解砕処理
800℃以下で焼成した原料砥粒の集合体を、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行い、研磨砥粒を作製した。一方、800℃を超える温度で焼成した原料砥粒の集合体を、ボールミルを用いて4時間粉砕を行った。
処理7:粗大粒子除去処理
研磨砥粒に混入した15μm以上の粗大粒子をフィルタリングにより除去した。
【0094】
(圧壊強度の測定)
JIS R1639−5に準拠して、処理7によって得られた各サンプルの研磨砥粒の圧壊強度を測定した。結果を、表1に示す。表1には、各サンプルから無作為に抽出したn(n=20以上)個のサンプルについての圧壊強度を、測定値の範囲と平均値で示す。
【0095】
(研磨レート、傷の発生の程度の評価)
各サンプルの研磨砥粒を水に分散させて研磨スラリーを作製し、作製した研磨スラリーを用いて、遊星歯車機構を備える両面研磨装置として、特開2012−133882号公報に記載の第1研磨処理に用いられた両面研磨装置400を用い、下記研磨条件にて、ガラス基板に対し上記実施形態の第1研磨処理を行った。なお、上下の定盤の表面には発泡ポリウレタン製のスエードタイプの研磨パッドを用いた。また、研磨後に定盤から排出されたスラリーが再び研磨装置に戻るように、循環して使用した。
・研磨砥粒濃度:10重量%
・上定盤と下定盤によるガラス基板への荷重:100g/cm
・研磨時間:60分
ガラス基板には、2.5インチのアルミノシリケートガラスを用いた。1回の研磨処理において研磨されるガラス基板の枚数は、100枚とした。
第1研磨処理を行った後、ガラス基板を洗浄、乾燥後、研磨レートを、研磨前後のガラス基板の重量差から計算した。また、レーザー式の表面検査装置を用いてガラス基板表面の両面のスクラッチ及びピットの数をカウントし、20個/片面未満の場合をA、20以上100個/片面未満の場合をB、100個/片面以上の場合をCと評価した。AおよびBであれば、ガラスの傷の発生が抑制できている。研磨レートはサンプル4を100%として相対値で示した。結果を表1に示す。
【0096】
表1中、配合比は、原料砥粒、バインダ、バインダ凝集抑制剤の3種の成分の配合比(質量部)を表す。
【表1】
【0097】
表1に示されるように、バインダを添加せずに再生したサンプル1、2の研磨砥粒に関して、800℃以下の温度で焼成したサンプル1は、ガラス基板の傷は発生しないが、圧壊強度は小さく、研磨レートは低いことが分かった。また、800℃を超える温度で焼成したサンプル2は、圧壊強度は大きく、研磨レートは高いが、ガラス基板の傷が多く発生することが分かった。
一方、バインダを添加して再生したサンプル3〜5の研磨砥粒は、圧壊強度が0.1〜20MPaの範囲内であり、研磨レートは高く、ガラス基板の傷の発生が抑えられることが分かった。特にバインダ凝集抑制剤を添加したサンプル4,5の研磨砥粒は、圧壊強度はサンプル3と同程度でありながら、研磨レートが十分高く、ガラス基板の傷は発生しないことが分かった。
なお、バインダ凝集抑制剤を添加したサンプル4および5の原料砥粒の集合体を顕微鏡で観察したところ、添加したバインダ凝集抑制剤の大きさとほぼ同等の大きさの空孔が存在することが確認された。また、バインダを添加したサンプル3〜5の研磨砥粒の表面には、EDXによる元素マッピングを行ったところ、バインダが配置されていることが確認された。
【0098】
(焼成温度依存)
また、焼成温度の影響を調査すべく、焼成温度を800℃、1000℃と変更したほかは、サンプル3と同じ条件で使用済みスラリーを再生した(サンプル6,7)。その結果、サンプル6については、圧壊強度の平均値が14MPa、研磨レートの相対値は112、傷発生の程度はBランクであった。他方、サンプル7は、圧壊強度の平均値が53MPa、研磨レートの相対値は112、傷発生の程度はBランクであった。ただし、傷発生の程度を詳細に比較したところ、サンプル3が31個/面であったのに対し、サンプル7は87個/面であった。すなわち、焼成温度によってBランクの中でも差が生じることがわかった。
【0099】
(連続研磨テスト)
また、サンプル1,3〜5の再生スラリーを用いて、上記の第1研磨処理を5バッチ分(加工基板枚数500枚分)連続して行い、その後、傷発生の程度を評価した。その結果、サンプル1はCランクとなったが、その他のサンプルについてはそれぞれ、表1に示すランクと同じランクであった。これは、サンプル1の再生スラリーは圧壊強度が低かったため、研磨処理により破壊されてしまい、小さな粒子が増大したためと推察される。
【0100】
(2)第2の実施形態に関する実施例
本発明第2の実施形態の効果を確認するために、下記の実験を行った。具体的には、原料砥粒として使用済み研磨スラリーを、表2および表3に示すように条件を種々異ならせて再生し、再生させた研磨砥粒(サンプル11〜13、12A、13A)に関して、サンプル11、12A、13Aの解砕に要した時間を測定したほか、サンプル11〜13に関して、圧壊強度を測定し、さらに、研磨処理を行ったときの研磨レートを測定した。また、サンプル11〜13に関してガラス基板に生じた傷の発生の程度を評価した。
【0101】
使用済み研磨スラリーの再生は、下記の処理1〜7を順に行うことで行った。使用済み研磨スラリーには、平均粒径D50が1.0μmの未使用のセリウム系研磨材を含んだスラリーを用いて、上記実施形態の第1研磨処理を1回行って、回収したスラリーを用いた。回収後のセリウム系研磨材の平均粒径D50は、0.7μmであった。第1研磨処理は、両面研磨装置を用いて、後述する第1研磨処理の条件と同じ条件で行った。
【0102】
処理1:異物除去処理
フィルタリングによって、研磨パッド屑、研磨処理において乾燥して粗大化した粒子が混入したもの、ガラスチップ等の異物を、使用済み研磨スラリーから除去した。除去する粒子等のサイズは15μm以上とした。
【0103】
処理2:固液分離処理
処理1の後、使用済み研磨スラリーを、遠心分離機を用いて800Gで20分、固液分離を行い、上澄み液を回収した。続けて、上澄み液を、遠心分離機を用いて800Gで1時間、固液分離を行い、固形分を回収した。
【0104】
処理3:解砕処理
処理2の2回目の固液分離によって得られた固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加し、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行った。なお、解砕処理の時間は固定せず、十分に解砕されるまで行った。
処理4:造粒・乾燥処理
解砕した固形分に、固形分の濃度が10〜30重量%となるように水を添加して原料スラリーを作製し、表2および表3に従って造孔剤およびバインダを添加した。バインダの添加は、使用済みのコロイダルシリカ(使用済みの状態での平均粒径3〜20nm)を含んだ使用済み研磨スラリーを添加することで行った。造孔剤には、コーンスターチ、小麦粉を用いた。
次に、原料スラリーを、並流型のスプレードライヤを用いて、噴霧乾燥させることで造粒し、原料砥粒の塊を作製した。並流型のスプレードライヤは、スラリーを乾燥室内に噴霧し、これに並行して熱風を吹き付けることでスラリーを乾燥させる装置である。噴霧手段には回転円板式のものを用いた。噴霧条件は、回転円板(アトマイザ)の直径が50mm、円板回転数20000回転/分、噴出量30mL/分、乾燥室の入口温度(回転円板位置温度)150度、出口温度50度とした。
処理5:焼成処理
原料砥粒の塊をるつぼに入れ、マッフル炉内で、600度で2時間焼成し、原料砥粒の集合体を作製した。
処理6:解砕処理
原料砥粒の集合体を、ホモジナイザを用いて、周波数20kHzで超音波照射を行って、固形分の解砕を行い、研磨砥粒を作製した。
処理7:粗大粒子除去処理
研磨砥粒に混入した15μm以上の粗大粒子をフィルタリングにより除去した。
【0105】
(圧壊強度の測定)
JIS R1639−5に準拠して、処理7によって得られた各サンプルの研磨砥粒の圧壊強度を測定した。結果を、表3に示す。表3には、各サンプルから無作為に抽出したn(n=20以上)個のサンプルについての圧壊強度を、測定値の範囲と平均値で示す。
【0106】
(研磨レート、傷の発生の程度の評価)
各サンプルの研磨砥粒を水に分散させて研磨スラリーを作製し、作製した研磨スラリーを用いて、遊星歯車機構を備える両面研磨装置として、特開2012−133882号公報に記載の第1研磨処理に用いられた両面研磨装置400を用い、下記研磨条件にて、ガラス基板に対し上記実施形態の第1研磨処理を行った。なお、上下の定盤の表面には発泡ポリウレタン製のスエードタイプの研磨パッドを用いた。また、研磨後に定盤から排出されたスラリーが再び研磨装置に戻るように、循環して使用した。
・研磨砥粒濃度:10重量%
・上定盤と下定盤によるガラス基板への荷重:100g/cm
・研磨時間:60分
ガラス基板には、2.5インチのアルミノシリケートガラスを用いた。1回の研磨処理において研磨されるガラス基板の枚数は、100枚とした。
第1研磨処理を行った後、ガラス基板を洗浄、乾燥後、研磨レートを、研磨前後のガラス基板の重量差から計算した。また、レーザー式の表面検査装置を用いてガラス基板表面の両面のスクラッチ及びピットの数をカウントし、20個/片面未満の場合をA、20以上100個/片面未満の場合をB、100個/片面以上の場合をCと評価した。AおよびBであれば、ガラスの傷の発生が抑制できている。研磨レートはサンプル12を100%として相対値で示した。結果を表3に示す。
表2および表3中、配合比は、原料砥粒、造孔剤、バインダの3種の成分の配合比(質量部)を表す。
【0107】
【表2】
【0108】
造孔剤を添加せずに再生したサンプル11は、上記処理6において十分に解砕するまでに60分かかってしまった。これでは、比較的短い時間では十分に解砕することができず、研磨処理に適したサイズの研磨砥粒を得ることはできない。
【0109】
(焼成温度依存)
また、焼成温度の影響を調査すべく、焼成温度を500℃、80
0℃に変更したほかは、サンプル11、12A、13Aのそれぞれと同じ条件で使用済みスラリーを再生し、上記と同様に解砕に要した時間を評価したところ、同じ結果であった。
【0110】
【表3】
【0111】
造孔剤を添加して再生したサンプル12、13は、表3に示されるように、いずれも、圧壊強度は0.1〜20MPaの範囲内であり、研磨レートは高いことがわかった。また、サンプル12,13は、バインダを添加して再生されたものであるにも関わらず、ガラス基板の傷が殆ど発生しないことが分かった。
なお、サンプル12,13の原料砥粒の集合体を顕微鏡で観察したところ、添加した造孔剤の大きさとほぼ同等の大きさの空孔が存在することが確認された。また、バインダを添加したサンプル12,13の研磨砥粒の表面には、EDXによる元素マッピングを行ったところ、バインダが配置されていることが確認された。
【0112】
以上、本発明の研磨スラリーの作製方法、研磨砥粒、研磨スラリー、およびガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0113】
1 研磨砥粒
3 原料砥粒(砥粒)
5 バインダ
7 バインダ凝集抑制剤(造孔剤)
9 空孔
10 原料砥粒の塊
20 原料砥粒の集合体
図1
図2