特許第6357543号(P6357543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357543
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】放出調整可能なブレーキブースタ
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/569 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   B60T13/569
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-559880(P2016-559880)
(86)(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公表番号】特表2017-510497(P2017-510497A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015016368
(87)【国際公開番号】WO2015156909
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/976,675
(32)【優先日】2014年4月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/316,360
(32)【優先日】2014年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】グレイス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ラコス,マーク
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−128040(JP,A)
【文献】 特開平05−193483(JP,A)
【文献】 実開昭63−053859(JP,U)
【文献】 米国特許第06067891(US,A)
【文献】 特開平02−212254(JP,A)
【文献】 特開昭59−018058(JP,A)
【文献】 実開昭53−140890(JP,U)
【文献】 特開昭63−258258(JP,A)
【文献】 特表平07−504381(JP,A)
【文献】 米国特許第05180104(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/569
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ブレーキブースタであって、
制動入力を受容するように構成されているブレーキ入力部材と、
前記ブレーキ入力部材に隣接している第1室と前記ブレーキ入力部材から離間している第2室とに分割されるブースタハウジングと、
ポペットバルブボデーとポペットシールとを含むポペットバルブであって、倍力動作中に前記第1室内の圧力を有する空気と前記第2室内の真空との間に分離を維持するように作動可能であるとともに、前記制動入力の放出と前記倍力動作の完了の際に前記第1室から前記ポペットバルブボデーの一つ以上のサイドポートを経た前記空気の排出を可能にするように作動可能であるポペットバルブと、
前記ブースタに所定の放出速度を付与するように構成されている限流器要素と、
を含み、
前記ポペットバルブボデーは複数のサイドポートを含み、
前記限流器要素は、
前記複数のサイドポートの一つを閉塞する栓として設けられる限流部分を含み、
前記複数のサイドポートの一部を限流し、
前記限流器要素の限流部分は、
前記複数のサイドポートのうちの対応する少なくとも一つを部分的に遮断することにより、前記ポペットバルブボデーの有効総流動抵抗を総流動抵抗よりも高い所定量に設定する
車両ブレーキブースタ。
【請求項2】
前記限流器要素が前記ポペットバルブボデーに対して固定されている
請求項1記載の車両ブレーキブースタ。
【請求項3】
前記ポペットバルブボデーが複数のサイドポートを含むとともに前記限流器要素が複数の限流部分を含み、
前記複数の限流部分の各々が接続部材であるコネクタリングに固定される
請求項1記載の車両ブレーキブースタ。
【請求項4】
前記複数の限流部分と前記コネクタリングとが単体として一体的に成形される
請求項記載の車両ブレーキブースタ。
【請求項5】
さらに、
前記ポペットバルブボデーとともに移動して、前記ブレーキ入力部材への前記入力より大きな出力を伝達するように構成されている出力プッシュロッドと、
前記ポペットバルブボデーに対して前記出力プッシュロッドを固定するプッシュロッド保持器と、
を含み、
前記限流器要素の保持部分が、
前記プッシュロッド保持器と前記ポペットバルブボデーとの間に配置される
請求項1記載の車両ブレーキブースタ。
【請求項6】
さらに、
前記ポペットバルブボデーとともに移動して、前記ブレーキ入力部材への前記入力より大きな出力を伝達するように構成されている出力プッシュロッドと、
前記ポペットバルブボデーに対して前記出力プッシュロッドを固定するプッシュロッド保持器と、
を含み、
前記限流器要素が、
前記プッシュロッド保持器とともに単体として一体的に形成される
請求項1記載の車両ブレーキブースタ。
【請求項7】
さらに、
前記ポペットバルブボデーとともに移動して、前記ブレーキ入力部材への前記入力より大きな出力を伝達するように構成されている出力プッシュロッドと、
前記ポペットバルブボデーに対して前記出力プッシュロッドを固定するプッシュロッド保持器と、
を含み、
前記限流器要素が、
前記プッシュロッド保持器により相互接続される複数の限流部分を含む
請求項1記載の車両ブレーキブースタ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2014年4月8日に出願された米国仮特許出願第61/976,675号の通常出願であり、同出願の内容全体が参照により援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、車両および車両制動システムに関している。より詳しく記すと、本発明は、補助ブレーキ使用の後にブースタの放出速度を制御するブレーキブースタ内の構造に関する。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、本発明は、制動入力を受容するように構成されているブレーキ入力部材と、ブレーキ入力部材に隣接している第1室とブレーキ入力部材から離間している第2室とに分割されるブースタハウジングとを含む車両ブレーキブースタを提供する。ポペットバルブはポペットバルブボデーとポペットシールとを含み、ポペットバルブは、補助制動中に第1室内の圧力を有する空気と第2室内の真空との間の分離を維持するように作動可能であり、さらに、制動入力の放出時および補助制動の完了時に第1室からポペットバルブボデーの一つ以上のサイドポートを経た空気の排出を可能にするように作動可能である。限流器要素はポペットバルブボデーから分離されており、所定の放出速度をブースタに付与するように構成されている。一つ以上のサイドポートは、限流器要素により設定されたポペットバルブボデーの有効総流動抵抗より小さいポペットバルブボデーの総流動抵抗を規定する。
【0004】
別の態様において、本発明は、所望の解除速度に車両ブレーキブースタを適応させるための方法を提供する。ブレーキ操作の完了後にブレーキブースタの圧力側から空気を流出させる複数のサイドポートを含むポペットバルブボデーを有するポペットバルブを含むブレーキブースタが設けられる。複数のサイドポートは、ポペットバルブボデーの総流動抵抗を規定する。少なくとも一つの限流部分を有して複数のサイドポートのうち対応する少なくとも一つを少なくとも部分的に遮断する限流器要素が挿入されて、ポペットバルブボデーの総流動抵抗より高い所定量にポペットバルブボデーの有効総流動抵抗を設定する。
【0005】
本発明の他の態様は、詳細な説明および添付図面の検討により明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】車両ブレーキブースタの一部分の断面図である。
図2図1の車両ブレーキブースタのポペットバルブボデーのサイドポートの詳細図であり、限流器要素を図示している。
図3】ポペットバルブボデーの端面図であり、サイドポートを図示している。
図4】コネクタリングに結合された多数の限流部分を有する限流器要素の斜視図である。
図5】コネクタリングに結合された多数の限流部分を有する別の限流器要素の斜視図である。
図6図5の限流器要素が設置された図3のポペットバルブボデーの断面図である。
図7図6の限流器要素の一つの詳細図である。
図8】ブースタのポペットバルブボデーとプッシュロッド保持器との間に嵌着した別の限流器要素を含む車両ブレーキブースタの断面図である。
図9】ブースタのプッシュロッド保持器であるコネクタリングに限流器部分が結合された限流器要素の斜視図である。
図10図9の限流器要素の代替斜視図である。
図11】ブースタのポペットバルブボデーに配置された図9および図10の限流器要素の断面図である。
図12】多数の限流器部分が栓として形成されている別の限流器要素の斜視図である。
図13】ブースタのポペットバルブボデーに配置された図12の限流器要素の断面図である。
図14】また別の限流器要素の斜視図である。
図15】また別の限流器要素の斜視図である。
図16】また別の限流器要素の斜視図である。
図17】また別の限流器要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態が詳細に説明される前に、以下の説明で提示されるか以下の図面に図示される構成要素の構成および配置の詳細に本発明の適用が限定されないことが理解されるはずである。本発明は他の実施形態も可能であり、様々な手法で実践または実行されうる。
【0008】
図1は、図8には、より完全に示されている車両ブレーキブースタ20の一部分を図示している。ブースタ20は、ブースタハウジング24と、ブースタ20によるブースティングのため制動入力を受容するように構成されている入力部材28とを含む。入力と付加的なブースト力とが、一つ以上の油圧ブレーキ装置を操作するためのマスタシリンダ入力に結合されうる出力プッシュロッド30へ伝達される。ブースタハウジング24は、入力部材28に隣接している第1室32と、入力部材28から離間している第2室36とに分割される。入力部材28によりブレーキ入力が受容されない正常運転動作中に真空条件が存在するように、両方の室32,36からは実質的に空気が排出される。入力部材28が操作されると、第2室36で維持されている真空と比べて第1室32が加圧されるように大気圧の空気が第1室32へ導入され、出力プッシュロッド30で、より高い力への入力のブースティングが行われる。図8に示されているように、ブースタ20は、二つの第1室32が二つの第2室36とともに設けられているタンデムブースタでありうる。
【0009】
ポペットバルブ40は、ブースタ20に設けられて、操作の完了後に第1室32から空気を選択的に流出させるように作動可能である。ポペットバルブ40は、ポペットボデー42とポペットシール44とを含む。ポペットバルブ40は、図1および2では放出状態で開口した様子が示されている。入力部材28が操作される時に、ポペットバルブ40が空気の流入を可能にする別々の開口を有するが、シール44に対して閉鎖または密閉されると第1室32の空気(大気圧など)と第2室の真空との間の分離を維持する。入力部材28の放出時に、ポペットバルブボデー42の一つ以上のサイドポート48は、第1室32からの空気の排出を可能にする。複数のサイドポート48の一つの例示的な配置が、図3に示されている。サイドポート48は等間隔の10個の周方向箇所に配設されうるが、図示されているバルブボデー42は、10箇所のうち6箇所のみが開口して、流入を可能にするサイドポート48を形成する。他の設計および配置は任意である。サイドポート48の数と、第1ブースタ室32から流出する空気に対するその流動抵抗とは、ブースタ20の放出速度を決定する。放出速度は概ね、「準備」状態を再設定する前の不当な遅延を回避するのに十分なほど高速であるべきだが、放出速度が高過ぎると不要なノイズが生じ、ブースタ20の下流のブレーキシステムでの油圧戻りが適切に減衰されない。概して、この結果、許容範囲のブースタ放出速度を達成するため異なるサイドポート形態を有する必要により生じる異なる車両での使用には、別々の設計および製造を持つ異なるバルブボデーが用意されることになる。
【0010】
図示された構成において、ポペットバルブボデー42、ゆえにブースタ20は、ポペットバルブボデー42から分離した限流器要素50により特定の放出速度を達成するように設定または改変されうる。限流器要素50は、ポペットバルブボデー42のサイドポート48のみより遅い(つまり流動抵抗が高い)所定の放出速度をブースタ20に提供するように構成されている。言い換えると、限流器要素50により設定されたポペットバルブボデー42の有効総流動抵抗より小さいポペットバルブボデー42の総流動抵抗をサイドポート48が規定するのである。限流器要素50は、ポペットバルブボデー42に対して固着され、組み立てられると移動または調節が可能ではない。限流器要素50は、ブースタ20の軸線Aに平行に測定された長さLを有し、軸線Aに垂直に、または径方向に測定された厚さTを有する。限流器要素50の寸法は、第1室から流出する空気に付与される流動抵抗、ゆえに放出速度への作用を決定する。図2には限流器要素50が一つのみ示されているが、ポペットバルブ42は上述のように、サイドポート48の数と一致する数までの、一つ以上の限流器要素を備えることができる。
【0011】
図4は、複数の個々の限流部分56がコネクタリング58に固定されている代替限流器要素50Aを図示している。幾つかの構成において、限流部分56とコネクタリング58とは単体として一体的に形成されている。図5は、コネクタリング62から離れた末端部では特に異なる形状である限流部分60を有することを除いて、図4の限流器要素50Bと類似している別の限流器要素50Bを図示している。図4の限流器要素50Aにおいて、各限流部分56は、それぞれの末端部までずっと一定の断面形状でコネクタリング58から延出する。断面形状は、概ね円筒形であるが、コネクタリング58の周方向に沿った一つの横方向に伸張した、平坦側を持つ楕円形状である。末端部は平坦である。図5の限流器要素50Bでは、末端部の各々がその径方向外側で楕円形であって傾斜面66を含むことを除いて、限流部分60は図4の限流部分56のような形状を有する。この結果、各限流部分60の断面積が末端部に向かって減少することになる。図4および5の両方において、コネクタリング58,62は、概ね丸い限流部分56,60に面する第1側と、概ね平坦である反対の第2側とを含む。
【0012】
図8は、ブースタ20のポペットバルブボデー42とプッシュロッド保持器70との間に嵌着する別の代替限流器要素50Cを図示している。プッシュロッド保持器70は、出力プッシュロッド30の貫通のための中央孔を有する板状構造である。出力プッシュロッド30のフランジ状端部72は、プッシュロッド保持器70によりポペットバルブボデー42からの分離を阻止されている。前出の構成について説明したように、限流器要素50Cは、図の形状、またはここに開示される他の構成のいずれかに類似の形状を有する一つ以上の限流部分76を有し、多数の限流部分76を一緒に結合するコネクタリング80でありうるベース部分をさらに有する。図8の構成において、コネクタリング80は、図8に示されているように、プッシュロッド保持器70と接触するように延出または突出する部分を(径方向外側エッジなどに)含む。任意であるが、限流器要素50Cは、プッシュロッド保持器70の側に開口する中空または半中空の構成とともに示されている。コネクタリング80から、限流部分76の断面厚さは第1長さにわたって径方向に一定であり、それから隣接するサイドポート48の形状の概ね鏡像となるようにテーパ状に減少し、そして残りの長さでは厚さが減少したままで延在する。
【0013】
図9〜11は、プッシュロッド保持器として機能する一体的構造であるとともに、ポペットバルブボデー42の対応のサイドポート48に嵌着して放出速度を設定する複数の限流部分84も有する別の代替限流器要素50Dを図示している。限流部分84はすべてコネクタリング88に結合され、これとともに単体として一体的に形成(成形など)されうる。しかし、前述した構成と異なり、図9〜11のコネクタリング88は、概ねポペットバルブボデー42の端面89より先に配置され、実質的に径方向内向きの延出部90を有する。延出部90は、サイドポート48の最も内側の範囲より先まで内向きに延在している。図11に示されているように、延出部90は出力プッシュロッド30のフランジ状端部72と重複している。こうして延出部90はポペットバルブボデー42に対して出力プッシュロッド30を保持するように作動し、別のプッシュロッド保持器は設けられないか必要とされない。コネクタリング88の径方向外向きエッジは、ブースタ20の一次バイアスバネ98と当接するためのバネ座94を含む。やはり図9〜11の構成に示されているのは、リブまたはガセット構造100により各限流部分84が(径方向外側などで)コネクタリング88に支持されうることである。
【0014】
図12および13は、別の代替限流器要素50Eを図示している。限流器要素50Eは、複数のサイドポート48のうち対応するものを閉塞する栓として設けられている少なくとも一つの限流部分108を含む。必須ではないが、図示された限流器要素50も、これとともに単体として一体的に形成(成形など)されて限流部分の分離を防止するコネクタリング112を含む。この構成またはここで説明される他の構成において、限流部分が一つのみ設けられる場合でも所望であればコネクタリングが設けられうることに注意すべきである。限流部分108が栓として設けられる時には、空気の放出流がやはり可能であるように、限流部分108はポペットバルブボデー42のサイドポート48の総数よりも概ね数が少ない。栓型の限流部分108は本質的に開口しているサイドポート48の数が少なく製造されているポペットバルブボデー42と同様に、ある種のサイドポート48の使用を不要にする。これは、サイドポート48をそのフルサイズから、限流は行うが流動は可能にするサイズまで縮小しうる所定の限流部を設置するのとは対照的である。栓型限流部分108の構成では、可撓性突部116が設けられうる。可撓性突部116は限流部分108の末端部で互いに隣接している。幾つかの構成では、第1ベース材料(硬質ゴム材料など)へ第2材料(軟質ゴム材料など)を重複成形することにより可撓性突部116が構成されうる。可撓性突部116はサイドポート48と適合し、サイドポートを経た空気の流れを阻止する一連のシールを形成する。
【0015】
図14は、別の代替限流器要素50Fを図示している。限流器要素50Fは、これとともに単体として一体的に形成(成形など)されて限流部分124の分離を防止できる共通のコネクタリング128に結合された幾つかの限流部分124を含む。限流部分124は栓型限流部として構成され、限流部分124の各々は丸い末端部を有する。限流部分124または限流器要素全体は、エラストマや他の圧縮材料(軟質フォームや軟質ゴムなど)で構成されて良好な密閉性を達成する。
【0016】
図15は、別の代替限流器要素50Gを図示している。限流器要素50Gは、これとともに単体として一体的に形成(成形など)されて限流部分132の分離を防止できる共通コネクタリング134に結合される幾つかの限流部分132を含む。限流部分132の各々は、図8の限流器要素50Cのものと概ね同様の形状を有する。しかし、図15のコネクタリング134は、組み立てられると限流器要素50Gの存在を視覚的に検出するため一つの特定箇所でコネクタリング134から径方向外向きに延出するタブ136をさらに含む。一つのタブ136が示されているが、限流器要素50Gは代替数のタブ(2または3個のタブなど)を含みうる。タブ136は、プッシュロッド保持器70の後方に組み立てられた時に限流器要素50Gの視覚的検出を行うばかりでなく、手探りの組立プロセス中にバルブボデー42に対する整合を助けるのにも使用されうる。例えば、タブ136は、ポペットバルブボデー42への挿入中に組立工具と連結して周知の配向で係止し、限流部分132がサイドポート48と整合されるように周知の配向で保持される。
【0017】
図16は、別の代替限流器要素50Hを図示している。限流器要素50Hは、これとともに単体として一体的に形成(成形など)されて限流部分142の分離を防止できる、共通コネクタリング144に結合された幾つかの限流部分142を含む。限流部分142の各々は概ね、可撓性突部145を備える栓型部分である図12および13の限流器要素50Eのものと類似している。しかし、図16のコネクタリング144はさらに、組立を助け、および/または、組立後に限流器要素50Hの存在を視覚的に検出するため、限流部分142の各特定箇所でコネクタリング144から径方向外向きに延出するタブ146を含む。これより多いか少ないタブ146が設けられてもよい。限流部分142の各々は、リブまたはガセット148によりコネクタリング144に対して支持されてもよい。
【0018】
図17は、別の代替限流器要素50Iを図示している。限流器要素50Iは、これとともに単体として一体的に形成(成形など)されて限流部分152の分離を防止できる、共通のコネクタリング154に結合された幾つかの限流部分152を含む。限流器要素50Iは、図9〜11の限流要素50Dに概ね類似しており、また径方向内向き延出部190を介してプッシュロッド保持器を形成する。しかし、図16のコネクタリング154はさらに、組立を助け、および/または、組立後に限流器要素50Iの存在を視覚的に検出するため、一つの特定箇所でコネクタリング154から径方向外向きに延出するタブ156を含む。一つのタブ156が示されているが、限流器要素50Iは代替数のタブ(2個または3個のタブなど)を含みうる。限流部分152の各々は、リブまたはガセット158によりコネクタリング154に対して支持されている。図9〜11のガセットと対照的に、ガセット158は、コネクタリング154の径方向外側エッジまでずっと延在している。ガセット158は、限流部分152の各々の軸方向長さの少なくとも半分にも延在している。このようにして、ガセット158は強度および剛性を追加する。
【0019】
ここに図示および説明された特定の構成が網羅的ではないことと、他の設計変更が考えられ、個々の構成のすべてに含まれる特徴の異なる組み合わせまたは順列に限定されないこととが認識されるべきである。加えて、サイドポートの数、サイドポートの形状、そしてバルブボデー内でのその配置は、幾つかの設計変更例のなかで可変であり、図の構成のいずれも、ポペットバルブボデー42に示された特定のポート形態によりいかなる点でも限定されるべきではない。しかし、ポペットバルブボデー42のためにサイドポート形態が選択されると、選択されたタイプの限流器要素を使用する時には、異なる放出速度を提供するようにポペットバルブボデー42が適応または調整される。実際に、サイドポート形態は、一つの特定用途に望ましい最高放出速度を提供するように設計され、ポペットバルブボデー42と同一の複製物がそれぞれ、別の遅い放出速度が望ましい他の用途に適するように異なる限流器要素で適応化される。こうして、ポペットバルブボデー42は、幾つかの用途に普遍的となるようにその機能が拡張され、異なる各用途に望ましい多数の放出速度に合わせて性能を変化させるのに必要となるのは、わずかな労力のみである。
【0020】
本発明の様々な特徴および利点が以下の請求項に提示される。
【符号の説明】
【0021】
20 車両ブレーキブースタ
24 ブースタハウジング
28 入力部材
30 出力プッシュロッド
32 第1室
36 第2室
40 ポペットバルブ
42 ポペットバルブボデー
44 ポペットシール
48 サイドポート
50 限流器要素
50A,50B,50C,50D,50E,50F,50G,50H,50I 代替限流器要素
56,60 限流部分
58,62 コネクタリング
66 傾斜面
70 プッシュロッド保持器
72 フランジ状端部
80 コネクタリング
84 限流部分
88 コネクタリング
90 径方向内向き延出部
94 バネ座
98 一次バイアスバネ
100 リブまたはガセット構造
108 限流部分
112 コネクタリング
116 可撓性突部
124 限流部分
128 コネクタリング
132 限流部分
134 コネクタリング
136 タブ
142 限流部分
144 コネクタリング
145 可撓性突部
146 タブ
148 リブまたはガセット
152 限流部分
154 コネクタリング
156 タブ
158 ガセット
190 径方向内向き延出部
A ブースタの軸線
L 限流器要素の長さ
T 限流器要素の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17