特許第6357546号(P6357546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357546
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】センサシステム内蔵シート
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   H01H36/00 J
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-572307(P2016-572307)
(86)(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公表番号】特表2017-520888(P2017-520888A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015056030
(87)【国際公開番号】WO2015188955
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2016年12月8日
(31)【優先権主張番号】102014211239.7
(32)【優先日】2014年6月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】304051447
【氏名又は名称】ベネッケ・カリコ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ゲルケン・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ビューリング・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】プレムペルズ・ギュンター
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−212031(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/001843(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な扁平材料、すなわちシボ構造又はエンボス加工部を備えるポリマ材料から成るプラスチックのシートであって、前記扁平材料は、機能的表面エリア領域(2、4、5)を有し、前記扁平材料が、少なくとも機能的表面エリア領域(2、4、5)の領域内に多層に形成されているように、前記機能的表面エリア領域(2、4、5)は、スイッチ要素、センサ要素又は操作要素(1)として構成されている当該扁平材料において、
ポリマ導電材料から成る少なくとも1つの層(3)が、前記機能的表面エリア領域内に配置されていて、前記ポリマ導電材料から成る層(3)は、前記扁平材料の見えている表面からその裏面方向に離間していて、電子制御調整装置に接続されていて、この電子制御調整装置は、前記機能的表面エリア領域内の前記シートの電気特性の変化を検出し、調整信号、切替信号又は制御信号に変換し、
前記ポリマ導電材料から成る層(3)は、ポリマ材料から成る前記シートと同じ伸張性を有し、前記シートの裏面上又は前記扁平材料の厚さ内に配置されていることを特徴とする扁平材料。
【請求項2】
コンデンサプレート又はコンデンサシートとして形成されたポリマ導電材料から成る層(3)が、前記見えている表面の下の前記機能的表面エリア領域(2、4、5)内に配置されている請求項1に記載の扁平材料。
【請求項3】
コンデンサプレート又はコンデンサシートとして形成されたポリマ導電材料から成る複数の層(3)が、前記見えている表面の下の前記機能的表面エリア領域(2、4、5)内に配置されていて、これらの層(3)は、シート材料によって相互に絶縁されたコンデンサプレート又はコンデンサシートである請求項1〜2のいずれか一項に記載の扁平材料。
【請求項4】
コンデンサプレート又はコンデンサシートとして形成された前記ポリマ導電材料から成る層は、発振回路(LC回路)の一部として形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の扁平材料。
【請求項5】
ポリマ導電材料から成る層(3)は、前記機能的表面エリア領域の領域内で電界を生成するアンテナとして形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の扁平材料。
【請求項6】
多層複合シートとして設計され、前記機能的表面エリア領域の領域内のポリマ導電材料から成る層(3)は導電ポリマ組成物から成り、この導電ポリマ組成物は導電ペーストとして前記シートの裏面上に又は複合シート内のシートの層にスクリーン印刷工程で塗布される請求項1〜5のいずれか一項に記載の扁平材料。
【請求項7】
当該コーティング又は塗布は、10g/m〜2000g/mの量で実行される請求項6に記載の扁平材料。
【請求項8】
前記導電ポリマ組成物は、樹枝形状又はコアシェル形状の導電性の微細化金属及び/又は金属めっきフィラー粒子を含む請求項6又は7に記載の扁平材料。
【請求項9】
前記機能的表面エリア領域(2、4、5)は、配列された複数の領域から成る請求項1〜8のいずれか一項に記載の扁平材料。
【請求項10】
前記機能的表面エリア領域は、前記シートの裏面から又は前記シートの側面から照明可能である請求項1〜8のいずれか一項に記載の扁平材料。
【請求項11】
自動車の運転席領域及び/又は乗車空間内のダッシュボード、シート、壁又はドアトリム用の品目の表面をカバーするための請求項1〜10のいずれか一項に記載の扁平材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シボ構造又はエンボス加工部が設けられ、且つポリマ材料で製作される柔軟な扁平材料、好ましくはプラスチックのシートに関し、この扁平要素は、スイッチ、センサ、又は操作要素の形態で設計される機能的表面エリア領域を有し、扁平要素は全体として単層又は多層設計であるが、少なくとも機能的表面エリア領域の領域において多層設計である。
【背景技術】
【0002】
扁平材料は、多くの品目のコーティングの形態で知られている。そのため、例えば、自動車用ダッシュボード、シートカバー、及びドア内張りは、皮革若しくは織物カバー、又は立体的にエンボス加工された表面若しくはシボ構造を有するその他の擬革内装トリム/プラスチック内装トリムを有する。数例を挙げれば、個々の家具又はその他の日用品、PC又はオフィス機器の筐体、及び電話機等の表面にも、柔軟な扁平材料又はプラスチックのシボ構造/エンボス加工シートがよく設けられている。
【0003】
自動車の内装トリム用、家具、バッグ又はその他のための一般に擬革とも呼ばれるシートも知られており、多くの場合、多層構造を有し、発泡材の裏打ちを有することが多く、その上面に様々な形態及び構成の立体構造の表面が見られる。多層構造は、一般に、エンボス加工又は刻印された表面が設けられた最上層又は装飾層と、1つ又は複数の下層とからなる。最上層には一般に、コーティング層が設けられ、且つ着色されてもよい。例えば適合する柔らかさによって、又は上述の発泡層によって適切に層を形成することにより、快適な触覚効果が得られ、すなわち、プラスチックのシートの快適な「柔らかい」感覚及び特定の光沢、すなわち特定の反射特性も得られる。
【0004】
例えば、装飾フィルムの例において、及び自動車内装の分野においても、全体的に、高品質な印象の向上及び「機能化」に向かう顕著に強い傾向があるため、このような品目の表面は多くの場合、特定の特性又は機能を有するように意図される。
【0005】
自動車の車室では、多くの機能を自動車の乗員が制御しなければならず、且つ制御することができ、これは例えば、空調システム、暖房機能、ウィンドウリフタの作動、ミラー及びランプの設定、音楽システムの設定、ナビゲーション機器の設定、通信機器の動作等である。
【0006】
これらの機能の操作には一般に、多数の別々のコントローラ、スイッチ、及び設定ボタン等が必要であり、これらは、「ヒューマンマシンインタフェース(HMI)」として、例えばダッシュボード及びドアトリムの表面内に凹まされており、デザイナは車両の内層デザインにおいてこれを考慮しなければならず、車室内のデザインラインの邪魔になることが多い。さらに、現代の自動車における多くの目に見える設定機能はしばしば複雑に見え、直感的操作がより難しくなる。
【0007】
センサシステムを品目のユーザインタフェースに組み込み、操作機能を提供するというアイディアがすでにいくらかの検討の対象となってきた。しかしながら、例えば、自動車の車室用擬革シート等、生産中及び固定された支持体に取り付けられている間に極度の引張が加えられるだけでなく、動作中に極端に高い温度変化に曝されるシボ加工又はエンボス加工面を有する柔軟なシートに関する限り、センサシステムを内蔵させることは困難であり、したがって、実用とは程遠かった。
【0008】
他方で、例えばスマートフォンのタッチスクリーンデバイス等、タッチセンサがHMIとして多くの分野ですでに確立されている。このような操作要素又は機能によって、直感的操作が可能となり、それと同時に、機械的なボタン、スイッチ、ノブ、又はダイヤルの使用が回避される。
【0009】
このようなタッチセンサの場合、抵抗性システムと静電容量式システムとが知られている。抵抗性システムは一般に、導電又は半導体材料(しばしば、ITO=酸化インジウム錫)の2層に基づき、これらの2層は空気又はマイクロドットの薄層により離間されている。特定の点に加えられる圧力は、これらの2層を接触させる効果を有し、下層を通じて送信される電気測定信号がそれによって変化する。このようにして、接触点は局所化できる。このようなシステムは、電話機及び操作機器のディスプレイ等、硬質の使用対象に関しては標準的である。しかしながら、柔軟であると同時に伸張可能な使用対象は、この方法では実現できない。
【0010】
静電容量式タッチセンサは、静電結合効果に基づく。基板に適したコーティングにより、相互に独立した多くのタッチセンサを得ることができ、また、多数の接触点の同時検出を実現できる。一般に、タッチされる表面エリアには、センサアレイ、すなわち複数の水平及び垂直センサの構成が設けられ、これらが電気信号の送信機又は受信機として機能する。このようなシステムは、特許文献1により開示されており、これは透明な静電容量式センサ構成を有し、それが操作エリア又は機能エリア上の異なるタッチ位置を検出し、それを信号に変換できる「タッチパネル」と呼ばれるものを示している。
【0011】
他のセンサデバイスも知られており、これには例えば、可視又は赤外範囲内の光信号と反射との評価に基づくセンサがある。しかしながら、後者は透明又は半透明なタッチ表面にのみ適している。いわゆる「触覚センサ」が例えば、ロボット又は低侵襲性手術用の「人工皮膚」、ポータブルコンピュータ等に使用され、一般に、圧電素子又は静電容量式センサ素子を含む。しかしながら、それらの物理的特性及びその機能方法から、圧電素子は伸張可能で柔軟な使用対象には適していない。圧電ポリマフィルム、感圧導電ゴム、カーボンファイバ入りポリマ、又は導電ポリマは実験室規模で知られているが、その薄さにより、膜としての用途においては伸張性がわずかしかなく、したがって、力を感知し、且つ検出できる程度が限定的にすぎない。
【0012】
近年、例えばMP3プレイヤ又は携帯電話用の、「量子トンネリング複合体」に基づくタッチセンサが報告されており、これはカバーにほとんど見えないように組み込まれる。このようなシステムは、エラストママトリクス内に導電粒子を含むが、圧迫されたときにのみ相互に近接し、すると、電子がエラストマバインダを潜り抜けることができ、それによってシステムはこの時点で導電性となる。圧縮負荷を受けなければ、このようなシステムは絶縁体である。このようなシステムの欠点は、それらが機能するための機械的な圧縮負荷と引張とに対する感度が必要であることであり、それは、これらが引っ張られて予定外の伸張状態になると、電子のトンネリングの可能性も影響を受けるからである。
【0013】
導電織物に基づくセンサも知られている。このようなセンサは、柔軟性と伸張性とを有する。しかしながら、導電織物の糸はカスタマイズされた織物加工工程で加工(編む、織る等)されなければならず、それによって使用者の設定する形状を有さない、扁平の個別の/ばらばらの電気性構造のみを生成でき、又は導電糸を織物下張りに使用者が設定する方法で縫い付けなければならず、それによってより複雑な作業が必要となり、織物の均一性が不利な影響を大きく受ける。
【0014】
非特許文献1には、柔軟性がほとんどなく、伸張性のないポリカーボネートのシートに基づいて生産される自動車の車室用の内蔵センサシステムが示されている。しかしながら、ここでは、導電ストリップ及びセンサエリアを、レーザがプラスチックシート中の導電添加物を露出させるという点で複雑な直接レーザ工程で生成する必要がある。この手順には、このようなシートのコストのかかる多段階工程による非常に複雑な製造が必要となる。「ロールから繰り出す」方式の製造は不可能である。
【0015】
特許文献2は、操作要素(ユーザインタフェース)として扁平の感圧柔軟スイッチ要素を開示しており、これは織物状電極を有し、それが、圧力に依存してその電気抵抗を変化させる織物要素の上下に配置される。この電極は抵抗の変化を検出し、それによって、多くの用途に使用可能な信号を生成する。しかしながら、このような動作要素が支持体上で引き伸ばされ、大きい引張力を受けてそこに固定されると、引き伸ばされた領域においてスイッチ機能が変化し、又は妨害される。
【0016】
これらの方法のすべてについて、これまでのところ、センシステムを有さない従来のシートのように簡単に支持構成要素に取り付けることのできる柔軟性と伸張性とを有する、センサシステム内蔵の装飾扁平材料を設計するための満足な方法は皆無である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006097991 A1号明細書
【特許文献2】米国特許第7,145,432 B2号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】The journal Kunststoffe 11/2012,page31 ff
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、表面又は装飾扁平材料として、すなわち、例えば自動車の室内のセンサエリア内蔵装飾フィルムとして使用可能であり、それを用いて、異なる形状の任意の数の扁平スイッチ、センサ、又は操作要素を装飾表面の外観に不利な影響を与えずにシート内に組み込むことができ、その一方で、スイッチ、センサ、又は操作機能を、スイッチ、センサ、又は操作エリア上の装飾フィルムに軽くタッチするだけで発揮できるような柔軟性及び伸張性の扁平スイッチ、センサ、又は操作要素内蔵シートを提供することであった。
【0020】
さらに、本発明による扁平材料を低コストで製造でき、例えば縫い付け、張り物、熱成形、又はラミネート等、装飾的自動車フィルム用の通常の加工工程で加工できることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、特許請求の範囲の主請求項の特徴
柔軟な扁平材料、すなわちシボ構造又はエンボス加工部を備えるポリマ材料から成るプラスチックのシートであって、前記扁平材料は、機能的表面エリア領域(2、4、5)を有し、前記扁平材料が、少なくとも機能的表面エリア領域(2、4、5)の領域内に多層に形成されているように、前記機能的表面エリア領域(2、4、5)は、スイッチ要素、センサ要素又は操作要素(1)として構成されている当該扁平材料において、
ポリマ導電材料から成る少なくとも1つの層(3)が、前記機能的表面エリア領域内に配置されていて、前記ポリマ導電材料から成る層(3)は、前記扁平
材料の見えている表面からその裏面方向に離間していて、電子制御調整装置に接続されていて、この電子制御調整装置は、前記機能的表面エリア領域内の前記シートの電気特性の変化を検出し、調整信号、切替信号又は制御信号に変換し、
前記ポリマ導電材料から成る層(3)は、ポリマ材料から成る前記シートと同じ伸張性を有し、前記シートの裏面上又は前記扁平材料の厚さ内に配置されていることによって実現される。その他の有利な構成は、従属請求項で開示される。
【0022】
この場合、ポリマ導電材料の少なくとも1層が機能的表面エリア領域内に配置され、ポリマ導電材料の層は裏面に、シートの見える表面から離した位置にあり、コンタクト/接触電極によって電子制御調整装置に接続され、これは機能的表面エリア領域内のシートの電気特性の変化を検出し、且つそれらを調整信号切替信号又は制御信号に変換する。
【0023】
したがって、ポリマ導電材料の層は、機能的表面エリア領域内に導電的に形成され、それによって、シートの物理的特性、例えば伸張性又は柔軟性が全体を通じて均一となる。これによって、多層構造の複合シートを「1枚の」シートとして加工し、支持体に取り付けることができる。スイッチ、センサ、又は操作要素がすでに内蔵され、直ちに接続できる状態に設計されているため、別々のスイッチと内部構成要素との必要性が大きく削減される。一般に、このようなシートの機能的表面エリア領域をタッチすることによって、ウィンドウリフタを作動させ、又は空調若しくはナビゲーション機器への入力を実行できる。したがって、機能が簡単で直観的な方法により作動される。
【0024】
したがって、目的を達成することにより、柔軟且つ場合により伸張可能な装飾扁平要素又は擬革が提供され、その使用によって、例えば自動車の室内で、シート又は車室の全体的な装飾的印象に支障をきたすようなスイッチ又はコントローラを使用することを回避できる。
【0025】
さらに、機能的表面エリア領域の位置を、シートの加工前に自由に設定できる。機能的表面エリア領域の位置は、見えないようにしても、又は記号をセンサエリアの反対の装飾表面上に意図的に印刷するという点で、意図的に見えるようにしてもよい。機能的表面エリア領域の位置はまた、シート内若しくはシートの背後にある照明手段によって、又は外部光源からの投射によって見えるようにされてもよい。
【0026】
有利な発展形態は、ポリマ導電材料層がポリマ材料のシートと同じ伸張性を有し、且つシートの裏面上又はシート若しくは扁平材料の厚さ内に配置されるというものである。これによって、本発明によるシートを、何の問題もなく、支持構造の表面を覆うように引っ張る/取り付けることができ、その際、機能的表面エリア領域及びその他の表面エリアとの間に認識可能な歪みが一切発生しない。これは、当然のことながら、対応する用途において通常発生する当初の長さの最高300%の伸張、しかしながら特に100%、好ましくは最高50%の伸張にも当てはまる。
【0027】
別の有利な構成は、コンデンサプレート又はコンデンサシートとして設計されるポリマ導電材料層が、見えている表面の下の機能的表面エリア領域内に配置されるというものである。これによって、特に感度が高く、微細な検出が可能なセンサシステムを構成できる。これと同じことが、コンデンサプレート又はコンデンサシートとして設計されるポリマ導電材料層が発振回路(LC回路)の一部として形成されるという別の有利な構成にも当てはまる。
【0028】
一般に、コンデンサは、各々が表面積Aを有する2枚の導電プレートが面平行に配置され、誘電定数εrの誘電材料によって距離dだけ分離されるように構成される。面平行とは、ここでは、シート平行、すなわち、シート又はシート構成の厚さ内で平行であることを意味する。
【0029】
したがって、コンデンサの静電容量は次式で求められる:
C=εr*ε0*A/d
式中、
・A=電極表面積
・d=板間距離
・ε0=電気定数
・εr=材料固有の誘電率
である。
【0030】
人体が静電容量を有し、これが直接的な周囲環境と比較して、電気エネルギーを保存できる能力により証明されるという原理が利用される。この特性はすでに、ラップトップコンピュータのトラックパッド、スマートフォンのタッチスクリーン及び近接検出器においてすでに利用されている。
【0031】
この場合、導電センサ電極がコンデンサの1つのプレートを形成し、第二の、対応するコンデンサプレートは、センサの直接的周囲環境(寄生容量として)及びタッチ容量としての追加の導電性物体(例えば、近付けられる指)によって形成される。体の一部のセンサ電極への接近の検出は、ここで、測定電極と測定対象の静電容量に接続されたセンサ電極とによって行うことができる。センサエリアに導電性の体が近付くと、測定された静電容量が増大し、接続された測定電極がトリガ信号を発生し、それによって、例えば外部機能を発揮することができる。上式から明らかであるように、センサエリアの大きさ、絶縁のために選択された選択材料、及び2枚の「プレート」間の距離によって、このような構成のセンサの感度が決まる。
【0032】
このような静電容量式センサの別の例は湿度センサのものであり、これは、大気湿度に応じてその静電容量を変化させる。静電容量の読取は原則として、電荷曲線の測定によって行われ得る。しかしながら、これは、実践において、静電容量が小さいと実行できず、このために、この場合は通常、発振回路が構成され、するとその周波数が測定され、これによってコイルの既知のインダクタンスと共にコンデンサの容量を計算できる。しかしながら、一般的に、これは導電コーティングに測定周波数を印加することによって生成される周波数変化の測定及び評価が発振回路で行われる場合である。
【0033】
本発明による扁平要素はまた、例えば自動車のシートが占有されているか否かを確認するために、表面との接触があるか否かのみを単純に検出するために使用されてもよい。この方法は、例えば裏面で、導電コーティング/印刷による誘電扁平要素が接触エリアとコンデンサを形成し、導電層が測定信号に、例えば特定の測定電圧及び/又は測定周波数に、及び車体にアースとして接続されるという事実に基づく。接触があると、扁平要素の接触エリアと車体との間に容量結合が生じ、測定信号が特徴的な方法で変化する。
【0034】
別の有利な構成は、キャパシタプレート又はキャパシタシートとして設計される多数のポリマ導電材料の層が、機能的表面エリア領域の見えている表面の下の内に配置され、特に、シート材料によって相互に絶縁されるキャパシタプレート又はキャパシタシートであるというものである。これによって、測定電荷がプレートに印加されるときに、すでに測定信号を増幅できる。
【0035】
他の有利な構成は、ポリマ導電材料層がアンテナとして設計され、それが機能的表面エリア領域の領域に電界を発生させるというものである。
【0036】
この場合、誘電体として機能する裏面に、又は少なくとも表面エリア要素のタッチされる予定の表面以外に導電コーティング/印刷部があり、これは少なくとも1つの別の導電コーティングから離れている。この場合、測定信号をそこに印加した後、1つの導電コーティングは電界を発生させる送信機として機能し、別の電気コーティングが電界の受信機として機能する。受信機での電界強度は電子的に評価でき、体の一部がシートの表面に近付くことによって、及びその後、測定信号(測定電圧)の印加によって送信機と受信機との間で生成される電界に近付くことによって変化する。その結果、タッチによる接触を検出できる。導電表面エリア間の距離は、1つの表面エリア内において、導電層が中断されるという点で、又は第一の導電層に別の電気的絶縁層が設けられるという点で提供されてもよく、その上に導電層が再び取り付けられる。
【0037】
別の有利な構成は、扁平要素が多層複合シートとして設計され、その中で、機能的表面エリア領域の領域内のポリマ導電材料の層が導電ポリマ組成物からなり、これが複合シート内の、シートの裏面に又はシートの層に導電ペーストとして、好ましくはスクリーン印刷工程によって塗布されるというものである。コーティング又は塗布は、有利な態様としては、10g/m2〜2000g/m2の量で行われる。
【0038】
その後、装飾フィルムの製造は、例えば以下のように行われる:織物の裏打ちと、例えばPVC及び/又はポリオレフィン及び/又はポリウレタンに基づくポリマの単層又は多層ポリマコーティングとからなる擬革に、裏面に見える、何も載っていない織物面において後述のポリマ組成物で印刷される。
【0039】
単位面積責当たりの重量が47g/m2のポリエステル織布が織物として使用される。コーティング組成部は、スクリーン印刷ロールによって、織物の裏面の所定の位置に所望の印刷パターンで均一に塗布され、それによって乾燥した組成物が導電センサエリアを形成する。
【0040】
本発明による、塗布されるコーティング組成物は800g/m2の重量で塗布される。したがって、コーティングされた柔軟な支持体が、まず80℃が2分間加えられ、次に100℃が2分間加えられ、その後、120℃が2分間加えられるという点で段階的な加熱工程により硬化される。乾燥工程の後、塗布されたコーティングの質量は約540g/m2である。
【0041】
使用されるスクリーン、又はその印刷により、センサエリアの位置、形状、及び厚さが付与される。導電ポリマ組成物の所望の塗布速度は、スクリーンのコーティングのコーティング厚さ、スクリーンの大きさ、ブレードの圧力、及び導電ペーストの粘性により設定できる。
【0042】
別の有利な構成は、導電ポリマ組成物が微細化金属及び/又は金属めっきフィラー粒子、好ましくは樹枝形状又はコアシェル形態の導電体を含むというものである。
【0043】
この例において、以下のように調製される導電ペーストが使用される:水性脂肪族ポリエステル−ポリウレタン分散物(固形分50%)345gを、会合性増粘剤6g、表面銀めっき銅に基づく樹枝状の微細化フィラー粒子258.75g、及び球状又は長尺状微細化粒子86.25g、及び自由イソシアネート基含有量21.8%の三畳体ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくイソシアネート架橋剤5gを毎分800回転の溶解槽で撹拌しながら均一に混合する。任意選択で、粘性設定のために、蒸留水215gがここでさらに添加される。
【0044】
導電センサエリアの接触は、以下のように行われる:ホットメルト接着剤が塗布された接触ストリップをアイロン又は加熱ロール若しくはローラで事前に接着し、その後、ピペットにより、同じ導電ペーストをセンサエリア全体又はセンサエリア上の1カ所のみに含浸させ、それによって理想的には、導電ストリップとセンサエリアとの間に密接な導電接続が起こる。次に、導電ペーストを炉内で、80℃で4分間、その後、120℃で2分間、熱硬化させる。
【0045】
接触はまた、上述の導電ペースト又は他のいずれかの導電ペーストで導電パスを印刷することによって行われてもよく、また、接触は、印刷された導電パスの他の位置で行われてもよい。
【0046】
別の有利な構成は、機能的表面エリア領域がシートの裏面から又はシートの側面から照明され得るというものである。その結果、例えばチェックバック信号又は入力要求等、暗い場所でも機能する表面エリア領域を点灯によって容易に特定し、又はオンに切り換えることができる。
【0047】
例えば、センサエリアに接近することによって機能が発揮された後に、例えば対応する箇所にあるライトの点灯、その領域への記号の光学的投影、対応する箇所での弱い振動(例えば、シートの下にあるアクチュエータによるか、シートに内蔵させたアクチュエータによる)、音響信号又は特殊な表面構造(例えば、周辺とは異なるシボ構造又は窪み)によるセンサフィードバックがあってもよい。
【0048】
センサエリアに接近するときにすでに、対応する機能がいずれの箇所で作動されるかの表示を、例えば対応する地点におけるライトの点灯、対応する箇所での弱い振動(例えば、シートの下にあるアクチュエータによるか、シートに内蔵されたアクチュエータによる)等によって使用者に知らせることも可能である。これは、例えば実際のセンサエリアに隣接し、より高感度に設計され、例えば手が接近したときにすでに応答し、例えば、実際のセンサエリアの照明を起動するセンサエリアによって発揮されてもよい。
【0049】
本発明による扁平要素のこれらの特性により、これは自動車、飛行機、船舶、乗用車及びトラックの運転席領域及び/又は乗車空間内にある、その中の特にダッシュボード、シート、壁、又はドアトリム、ルーフライナ、又はアームレスト用の品目の表面をカバーするのに特に有利に使用できる。
【0050】
本発明による扁平要素は、表面、機能的表面、及び装飾面にセンサシステムが設けられる予定のいずれの箇所においても使用可能である。そのため、固定して取り付けられた、又は自動車及び航空機、船舶等の中のあらゆるテーブル及び椅子の家具、ベンチシート、医療用椅子及び寝台エリア、スキーリフト及びいす式リフトのシートにも取り付けることができる。
【0051】
さらに、建物内のあらゆる表面エリア(例えば、フロアマット、フローリング、壁、天井等)にも、本発明のシートを取り付けてよい。特に、フローリングでは例えば位置検出が行われ得、ここでの適当な使用場所は老人用住宅及びケアホームである。本発明は、装飾的擬革又はシートに限定されず、原則として、センサシステムを取り付ける予定のあらゆる扁平構造の場合に使用できる。
【0052】
本発明は、医療用途において、又はスポーツ設備においても特に有利に利用でき、これは例えば、医療家具、ユーザインタフェース、手術台、その他の場合、スイッチ及びコントローラを取り付けるための表面上の穴の使用を避けることができ、そのため、その表面の消毒をはるかに容易に行うことができる。
【0053】
これらの扁平要素と、そのために使用可能な皮革とも、好ましくは、例えば表面の見た目の印象、タッチされたときの触覚性、摩擦抵抗、洗浄剤に対する耐腐食性及び/又は耐スクラッチ性を設定するためのコーティング有する。好ましい実施形態において、上述の扁平要素/装飾フィルムはまた伸張性も有していてよい。
【0054】
装飾フィルムの場合、扁平要素は好ましくは、ポリウレタン、PVC、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマ、熱可塑性ポリウレタン、又はこれらの混合物に基づくポリマ導電材料の少なくとも1つの層からなる。
【0055】
多層構造の装飾フィルムも可能であり、その中の1つ又は複数の層は発泡材であってもよい。
【0056】
すでに上で述べたように、装飾フィルムは織物の裏打ちを有していてもよく、これはスクリーン印刷工程による良好な印刷適性のために、好ましくはできるだけ平坦な表面を有し、例えば不織布(例えば、ポリエステル、ポリアミド、綿、綿/ポリエステル混紡に基づく)、マイクロファイバ不織布、又はコーティングにより圧縮された不織布である。使用される織物はまた、印刷適性をさらに向上させるために、熱の効果によって艶出し加工されてもよい。
【0057】
良好な印刷適性は、平滑でない表面を有する織物の裏打ち、例えば編布又は強化されていない、又はほとんど強化されていない不織布の場合、これらを事前に印刷若しくは含浸させ、又はポリマシートと接着により結合することによっても実現できる。
【0058】
本発明による解決策はまた、様々な種類の扁平表面材料の場合に/それらと共に使用できる。さらに、非装飾フィルムも、上述の方法で、例えばフローリングの近接センサ又は位置センサを表すために提供されてよい。
【0059】
前述のように、印刷されたポリマ導電材料、特に導電擬革を提供するためには、導電ペーストが有利に使用され、乾燥後に柔軟な扁平構成の良好な柔軟性と伸張性を得ることができる。しかしながら、原則としてあらゆる導電ペースト、特にスクリーン印刷工程により加工可能な導電ペーストを使用できる。このようなペーストは、例えば欧州特許出願公開第2 457 944 A1号明細書に記載されている。
【0060】
用途に応じて、印刷パターン及びセンサエリアを、静電容量を最適化し、設定するために広い範囲内で変えることかできる。センサエリアの形態はまた、特定の用途のために様々な幾何学形状を有していてもよく、又は例えば折り曲げてもよい。特に、スライドコントロールが静電容量式センサシステムによって提供される予定である場合、センサは、直線状の行又はそのほかに折り曲げられた形態(アレイ)に配置されてもよい。次々に配置されるセンサは、例えば相互に噛み合うようにしてもよいが、相互に接触しないようにする。
【0061】
ポリマ導電材料の層を機能表面エリア領域内でよりよくシールドするために、シールド電極も並行して印刷されてよい。さらに、センサをシールドし、及び/又はその感度を改善するために、追加の導電層を組み込むことも可能であるが、これは実際のセンサエリアとは絶縁層により分離される。これは、例えば絶縁ポリマ層をセンサエリアに、例えばスクリーン印刷工程によって取り付けることにより実現でき、その上に今度は次の導電層がスクリーン印刷工程により形成され、次に、例えばアース接続できる。
【0062】
センサエリアの接触は、上述の方法で、又はそれ以外に、センサエリアに接続された接触電極を同様に印刷すること、及び測定電極への移行が印刷された接触電極の異なる位置において行われることによって実現されてもよい。
【0063】
内蔵センサシステムの感度は、例えば使用される電気抵抗の変化によって設定されてもよく、それによって、表面に直接接触せずにセンサエリアに接近したことのみでも検出できる。このようにして、例えば、シート表面の正面で単純なジェスチャをすることによって、機能の制御を実現することも容易に可能である。
【0064】
すでに、センサ機能のよりよい操作性のために、装飾表面の印刷を任意選択により行うことができると上述した。これは一般的な印刷工程、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、又はその他のフレキソグラフィ印刷によって行われてもよい。
【0065】
したがって、本発明による扁平材料は、自動車用のものを含め、そのようなセンサシステムを有さない装飾フィルムと視覚的に区別不能な、センサエリア内蔵の柔軟な装飾的擬革を提供する。内層デザインの可能性は、作動及び機能スイッチとコントローラとの使用を回避することによって大幅に改善され、それと同時に縫い付け、張り物、熱成形、又はラミネート等、装飾的自動車シートのための一般的な加工工程は依然として適用できる。
【0066】
本発明により定義される装飾扁平材料はしたがって、単層又は多層ポリマシートであってもよく、多層シート場合、1つ又は複数の層を、1つ又は複数の織物扁平構成及び/又は発泡材扁平ポリマ層、例えばポリウレタン又はポリオレフィン発泡材とすることが可能となる。本発明により定義される装飾扁平材料はまた、織物表面を有する織物扁平構成又は皮革であってもよい。これらの扁平構成はまた、多層構造であってもよく、発泡ポリマ層及び/又は織物層を別の層として存在させることが可能である。皮革の場合、皮革はまた、表面上に1つ又は複数の追加のポリマ層を有していてもよい。これらの層はまた、表面構造又はシボ構造を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】装飾面から見えないポリマ導電材料層3を内蔵する柔軟で伸張可能な装飾フィルムを形成することにより、「タッチパッド」、すなわち番号が設けられた操作パネル1を備える構成/構成部品をどのように実現できるかを示す。
図2】例として、自動車のダッシュボード6のための、本発明によるシート上に内蔵された機能的表面エリア領域4及び5のその他の構成の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明を、例示的実施形態に基づいてより詳しく説明する。本発明によるシートを提示するために、2つの実例を構成した。マイクロコントローラとしてのArduinoプラットフォームとそれに関連するソフトウェアとをその電子機器を構成する要素として使用した。しかしながら、作業に応じて、ライブラリ内で利用可能なオープンソースソフトウェアに基づき、C/C++ベースのプログラミング言語でプログラム可能なマイクロコントローラを備える各種のI/Oボードをハードウェアとして使用してもよい。
【0069】
入手可能なボードは、静電容量式センサシステムのための電子評価回路として使用してもよい。この場合、ボードの各種のピンが、人体の電気容量を測定できる静電容量式センサとして定義される。このように定義されるピンは、中程度から高い電気抵抗によってセンサエリアに接続しなければならない。人体部分が接近したときの静電容量の変化が測定される。これは、マイクロコントローラが電気信号を電気抵抗器によって、センサエリアに接続された「送信」ピンに送信することにより行われる。この場合、「受信」ピンにおいて対応する信号が検出されるまでの時間又は遅延が測定される。
【0070】
センサエリアが非導電材料で覆われていても、電気信号評価は有効である。送信ピンにより発せられた信号は、電気抵抗Rと、受信ピンでの容量とセンサエリアが例えば人体と相互作用することによって生成された追加の容量の合計からなる容量Cとの積により構成されるRC時定数により決定される。センサの所望の感度に応じて電気抵抗が1メガオーム(表面にタッチされるときに作動)〜約40メガオーム(表面に約1mの距離まで接近したときにすでに可能な作動)で選択されるべきである。センサの実例を、エラーのない状態で機能させるために、スイッチ電子部品の十分なアース接続が不可欠であり、及び/又はセンサエリアから離れた同様にアース接続される非伝導材料、第二の導電シートによっても可能である。
【0071】
例としての回路において、本発明による柔軟で伸張可能な装飾フィルムを利用して、装飾面から見えない機能的表面エリア領域の内蔵により、それによってサーボモータが特に選択的な方法で制御されるセンサ及び操作要素を提供することができた。原理を説明するために示されたこのような構成により、例えば、自動車のドアの側面のウィンドウリフタを動作させることができる。
【0072】
装飾面から見えない2つのセンサエリアを内蔵した装飾フィルムの製造は、上述の方法で行われる。1辺の長さが2cmの2つの正方形のエリアが織物裏面に、上述の導電ペーストでスクリーン印刷工程により印刷され、これらの正方形の中心間の距離を10cmとした。ペーストは、その結果として乾燥後に得られる印刷層の厚さが約30μmであるように塗布される。接触は、上述の方法で、印刷されたセンサリアの中央に接触ストリップを設置し、事前固定後に、導電ペーストを含浸させ、乾燥させ、センサエリアに関して約1cm2の密接な接触エリアを有するようにすることによって行われる。擬革が構成要素支持体上にラミネート加工により固定され、それにより、装飾面は見えており、接触ストリップは上述のマイクロコントローラに接続され、具体的には、センサエリアがそれぞれ、1メガオームの電気抵抗によって相互に接続される。さらに、対応する端子がサーボモータに接続される。マイクロコントローラはその後、関連するソフトウェアにより、相応にプログラムされる。
【0073】
マイクロコントローラを電源供給のためにPC−USB端子に接続すると、サーボモータは、完成した構成要素のそれに対応する見えていないセンサエリア上を軽くタッチすることにより、必要に応じて制御できる。装飾エリアはこの場合、その外観において、センサエリアが設けられていない装飾フィルムと比べて同じであり、柔軟性があり、それによってかなり強い負荷でも、例えば体の一部が強く載せられ、又はそれによって押されたときでもセンサの機能は影響を受けない。シートを手で強く圧迫しても、シートの機能は保持される。
【0074】
有利であり、ここに例として示す別の構成は、機能的表面エリア領域が複数の構成(アレイ)を形成し、その結果、位置検出が可能になるというものである。
【0075】
そのために、別の例は、図1に基づいて、装飾面から見えないポリマ導電材料層3を内蔵する柔軟で伸張可能な装飾フィルムを形成することにより、「タッチパッド」、すなわち番号が設けられた操作パネル1を備える構成/構成部品をどのように実現できるかを示し、これを使って、例えば、装飾表面により装置への具体的な入力を行うことができる。
【0076】
この場合、擬革のタッチされる地点の位置を、装飾面上の機能的表面エリア領域2上にアラビア数字を刻印することによって見えるようにした。各々、辺の長さが2cmの正方形のエリアが、織物裏面上に上述の導電ペーストでスクリーン印刷工程によりポリマ導電材料層3として印刷され、裏面上の正方形は基板上に位置付けられた数字の刻印/機能的表面エリア領域2と局所的に一致する。
【0077】
マイクロコントローラを電源供給のために、USBインタフェースを介してPCに接続すると、操作パネル1は、完成した構成要素のそれに対応する機能的表面エリア領域2上を軽くタッチすることにより、必要に応じて動作させることができ、それによって、対応する文字がディスプレイ上に表示される。装飾エリアはこの場合、その外観がセンサエリアの設けられていない装飾フィルムと比べて同じであり、柔軟であるため、かなり強い負荷でも、例えば体の一部が強く載せられ、又はそれによって押されたときでもセンサの機能は悪影響を受けない。シートを手で強く圧迫しても、シートの機能は保持され、センサエリアは触ってもわからない。
【0078】
図2は、再び、例として、自動車のダッシュボード6のための、本発明によるシート上に内蔵された機能的表面エリア領域4及び5のその他の構成の配置を示す。
【符号の説明】
【0079】
1 操作パネル
2 機能的表面エリア領域
3 ポリマ導電材料の層
4 機能的表面エリア領域
5 機能的表面エリア領域
6 ダッシュボード
図1
図2