(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1種または2種以上の糖質またはその誘導体を活性炭の存在下で100℃〜300℃の温度条件下で加熱することを特徴とする、糖縮合物またはその還元物を含有する組成物の製造方法であって、前記組成物の食物繊維含量が30重量%以上である製造方法。
【実施例】
【0055】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0056】
実施例中に示される各種測定方法および分析方法は以下の通り行った。
【0057】
食物繊維含量の測定
平成11年4月26日衛新第13号(栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について)に記載されている高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により測定する。具体的には以下のように行った。
【0058】
まず、サンプル1gを精密に測り、0.08mol/lリン酸緩衝液50mlを加え、pH6.0±0.5であることを確認する。これに熱安定性α-アミラーゼ(Sigma社:EC3.2.1.1
Bacillus l
icheniformis由来)溶液0.1mlを加え、沸騰水中に入れ、5分ごとに撹拌しながら30分間放置する。冷却後、水酸化ナトリウム溶液(1.1→100)を加えてpHを7.5±0.1に調整する。プロテアーゼ(Sigma社:EC3.4.21.62
Bacillus l
icheniformis由来)溶液0.1mlを加えて、60±2℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。冷却後、0.325mol/l塩酸を加え、pHを4.3±0.3に調整する。アミログルコシダーゼ(Sigma社:EC3.2.13
Aspergillus niger由来)溶液0.1mlを加え、60±2℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。以上の酵素処理終了後、直ちに沸騰水浴中で10分間加熱した後、冷却し、グリセリン(10→100)を内部標準物質として5ml加え、水で100mlとし酵素処理液とする。酵素処理液50mlをイオン交換樹脂(OH型:H型=1:1)50mlを充填したカラム(ガラス管20mm×300mm)に通液速度50ml/hrで通液し、さらに水を通して流出液の全量を200mlとする。この溶液をロータリー・エバポレーターで濃縮し、全量を水で20mlとする。孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、検液とする。
【0059】
次に、検液20μlにつき、液体クロマトグラフィーを行い、検液のグリセリンおよび食物繊維画分のピーク面積値を測定した。
【0060】
液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りであった。
検出器:示差屈折計
カラム:ULTRON PS-80N(φ8.0×300 mm、島津ジーエルシー)を二本連結
カラム温度:80℃
移動相:純水
流速:0.5ml/min
【0061】
食物繊維成分含量は以下の式から算出した。
食物繊維成分含量(%)=[食物繊維成分のピーク面積/グリセリンのピーク面積]×f1×[内部標準グリセリン重量(mg)/秤取資料重量(mg)]×100
(上記式中、f1はグリセリンとブドウ糖のピーク面積の感度比(0.82)である。)
【0062】
着色度の測定
サンプルの着色度の測定は、各種サンプルを20%(w/w)水溶液とし、420nmの吸光度(OD
420)を測定することにより行った。
【0063】
白色度の分析
サンプルの白色度の測定は、各種サンプルをBx.50に調整し、日本電色工業社製分光式色差計SE−2000で白色度(WI値)を測定した。SE−15723の標準白板にて標準合わせを行なった後、ブランクに純水を用い、純水測定時のWIを100と換算して算出し、比較例のライテス(ダニスコジャパン社製)は81.7、ファイバーソル2(松谷化学工業社製)は80.3であった。
【0064】
分子量の測定
各サンプルを1%(w/v)となるよう純水で溶解し、1%(w/v)活性炭を添加し、煮沸後、0.45μmメンブレンフィルターろ過した。ろ液をイオン交換樹脂 MB4処理後、0.45μmメンブレンフィルターろ過して分析を行なった。
【0065】
分析条件は以下の通りであった。
カラム:Shodex OHpak SB-803 HQ+SB-802.5HQ(φ 8.0×300 mm、昭和電工)
温度:40℃
溶媒:200 mM 硝酸カリウム 0.9 ml/min
圧力:67kgf/cm
2
装置:MALLS:Dawn Heleos-II(Wyatt Technology,USA)(λ=658 nm),
室温RI:Optilab rEX(Wyatt Technology), 25℃
σn/σc:0.145
解析ソフト:Astra(v.5.3.4.14, Wyatt Technology)
打込量 :Bx.1×100 μl
【0066】
メチル化分析
グリコシド結合形式の定量方法測定方法は下記の「箱守のメチル化法」(S.Hakomori,J.Biochem.,55,205(1964))の変法でメチル化し、加水分解後にガスクロマトグラフィーにより各グリコシド結合形式の組成の定量を行った。
【0067】
1)メチル化脱水した試料(5mg)をネジ付試験管(15ψ×100mm)に入れ、0.5mlのDMSOを加えて溶解する。これにNaOHを60mg加え、1時間室温保持した後、0.3mlのヨウ化メチルを加え、60℃1時間反応する。攪拌後氷水中で冷却して水1mlを加えて反応を停止する。1mlのクロロホルムを加えて十分に振とうする。上層(水層)をピペットで採り捨てる。1mlの水を加えて同様に洗浄する。この操作を5回繰り返す。パスツールピペットの底に綿を敷いて、無水硫酸ナトリウムを4〜5cmの層になるように詰めて、溶液を通過させて脱水してからクロロホルムで洗う。次にロータリー・エバポレーターで濃縮・乾固する。
【0068】
2)加水分解メチル化物に1mlの4Mトリフルオロ酢酸を加えて100℃で1時間加水分解し、ロータリー・エバポレーターで60℃で濃縮・乾固する。
【0069】
3)還元加水分解物を0.5mlの水で溶解後、アンモニア水を3滴添加してアルカリ性にし、10mgの水素化ホウ素酸ナトリウムを加えて室温で2時間以上放置する。アンバーライトMB4(オルガノ)を添加し、発泡が止まるまで加えて反応を停止する。次に室温で乾燥してから、生成したホウ酸を除くために、2mlのメタノールを加え室温で乾燥する。この操作を5回繰り返す。
【0070】
4)アセチル化還元物に0.5mlの無水酢酸と0.5mlのピリジンを加えて、100℃で4時間加熱してアセチル化して、2mlのトルエンを加えてロータリー・エバポレーターで濃縮・乾固する。
【0071】
5)脱塩アセチル化物を1mlのクロロホルムに溶解し、1mlの水を加えて振とう後に水層を捨てる。この操作を5回繰り返し、最後にクロロホルムをロータリー・エバポレーターで蒸発させる。
【0072】
6)溶解脱塩物を0.5mlのクロロホルムに溶解してガスクロマトグラフで分析する。
【0073】
7)ガスクロマトグラフィーの条件
カラム:TC-17 fused silica capillary column 30mX0.25mmID,1.0μm film
カラム温度:50℃で1分、280℃まで10℃/分で昇温、保持
試料気化室温度:300℃
検出温度:300℃
流速:2.5ml/分
ヘリウム 検出器ユニット 水素炎イオン化検出器
【0074】
8)還元糖量の測定
DEは、ソモギー変法(澱粉糖関連工業分析法(株式会社食品化学新聞社)(平成3年11月1日発行)11〜13頁)に従って測定した。
【0075】
実施例A:糖縮合物とその製造
実施例A1:糖縮合における各種触媒の検討(1)
活性炭が糖縮合反応の触媒活性を有するか否か、クエン酸触媒、リン酸触媒、塩酸触媒、および鉱物触媒と比較しつつ検討した。
【0076】
活性炭を触媒としたサンプルは、ステンレス容器に15gのハイドロール(ハイグル#9465、DE94、固形分65%、日本食品化工社製)と10% (固形分当り) の活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を混合した後、熱風乾燥機内で1時間反応(180℃)させた。クエン酸、リン酸、塩酸、および活性白土を触媒とした場合は、それぞれ活性炭の代わりに1.5%(固形分当り)クエン酸、0.135%(固形分当り)リン酸、0.005%(固形分当り)塩酸、および0.2%(固形分当り)活性白土を使用した以外は上記と同様に反応を行った。
【0077】
得られたサンプルについて食物繊維含量と着色度を測定した。結果は
図1および2に示される通りであった。
図1および
図2から明らかなように、いずれの触媒でも70%以上の高い食物繊維含量を示したが、着色度は活性炭を使用した場合のみ低減効果が見られた。すなわち、活性炭はクエン酸、リン酸、塩酸、および活性白土とほぼ同等の糖縮合触媒活性を有し、更に、糖縮合物の着色度を顕著に低下させる効果を有することが判明した。
また、活性炭は結晶グルコースの製造過程で生ずるハイドロールにも有効に作用することが判明した。
【0078】
実施例A2:糖縮合における各種触媒の検討(2)
グルコース以外の縮合基質を用いた場合にも活性炭が糖縮合反応の触媒活性を有するか否か、クエン酸触媒、リン酸触媒、塩酸触媒、および活性白土土触媒と比較しつつ検討した。
【0079】
活性炭を触媒としたサンプルは、ステンレス容器に15gの糖縮合物基質溶液(固形分66.7%)と10% (固形分当り) の活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を混合した後、熱風乾燥機内で1時間反応(180℃)させた。塩酸、リン酸、クエン酸、および活性白土を触媒とした場合は、それぞれ活性炭の代わりに0.005%(固形分当り)塩酸、0.027%(固形分当り)リン酸、1.5%(固形分当り)クエン酸、および0.2%(固形分当り)活性白土を使用した以外は上記と同様に反応を行った。
【0080】
糖縮合物基質としては以下のものを使用した。
試験区1:グルコースおよびデキストリン (グルコース:デキストリン=70:30)
試験区2:グルコースおよびオリゴ糖(グルコース:オリゴ糖=70:30)
試験区3:グルコースおよび糖アルコール(グルコース:糖アルコール=90:10)
試験区4:グルコースおよびガラクトース(グルコース:ガラクトース=50:50)
試験区5:グルコースおよびキシロース(グルコース:キシロース=50:50)
試験区6:マンノース
試験区7:キシロース
【0081】
グルコースは無水結晶グルコースである「メディカロース」(日本食品化工社製)を、デキストリンは「パインデックス#1」(松谷化学工業社製)を、オリゴ糖は「ブランチオリゴ」(日本食品化工社製)を、糖アルコールはソルビトール(東和化成工業社製)をそれぞれ用いた。また、ガラクトース(ナカライテスク社製)、キシロース(鹿特級、関東化学社製)、マンノース(和光特級、和光純薬社製)を用いた。
【0082】
得られたサンプルについて食物繊維含量と着色度を測定した。結果は表1および表2に示される通りであった。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1および表2から明らかなように、グルコース以外の糖縮合物基質を用いた場合でも、いずれの触媒でも70%以上の高い食物繊維含量を示したが、着色度は活性炭を使用した場合のみ低減効果が見られた。すなわち、活性炭はグルコース以外の糖縮合物基質を用いた場合でも、塩酸、リン酸、クエン酸、および活性白土とほぼ同等の糖縮合触媒活性を有し、更に、糖縮合物の着色度を顕著に低下させる効果を有することが判明した。
【0086】
実施例A3:活性炭触媒の反応条件の検討(1)
活性炭触媒を用いた糖縮合反応において、反応温度や反応時間が反応産物である食物繊維含量や着色度に与える影響を検討した。
【0087】
ハイドロールを基質としたサンプルは、ステンレス容器に15gのハイドロール(ハイグル#9465、日本食品化工社製)と1gの活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を混合した後、100℃以下で熱風乾燥機にサンプルを投入し、運転プログラム(昇温約2.5℃/分、冷却約3.3℃/分)を使用して種々温度条件で達温後1分〜3時間反応させた。反応後、50mlの純水に溶解し、5.0μmフィルターで吸引ろ過して各種分析用サンプルとした。グルコースを基質としたサンプルは、10gの無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)と1gの精製シラサギを用いて上記と同様に反応させた。
【0088】
各温度条件における経過時間毎の食物繊維含量を分析した結果は
図3および
図4に示される通りであった。また、各温度条件における経過時間毎の20%(w/w)溶液の着色度を測定した結果は
図5および
図6に示される通りであった。
【0089】
図3〜6から明らかなように、反応温度が高い程、短時間で75%以上の食物繊維含量が得られ、着色度も反応温度が高い程、強く着色することが判明した。ハイドロールを反応させて、75%以上の食物繊維含量を含み、かつ低着色度(Bx.20でOD
4202.0以下)となる反応条件は、180℃で1時間(78.4%)、190℃で 10分間(76.6%)、200℃で1分間(78.9%)であった。無水結晶グルコースを反応させて、75%以上の食物繊維含量を含み、かつ低着色度(Bx.20でOD
4202.0以下)となる反応条件は、180℃で30分間(82.7%)、190℃で1分間(80.4%)、200℃で1分間(86.5%)であった。
【0090】
実施例A4:活性炭触媒の反応条件の検討(2)
活性炭触媒を用いた糖縮合反応において、減圧条件下での反応が反応産物である食物繊維含量や着色度に与える影響を検討した。
【0091】
活性炭を触媒とし、無水結晶グルコース(表3および表4、試験区A)またはハイドロール(表3および表4、試験区B)を基質としたサンプルは、ステンレス容器内で無水結晶グルコース(メディカロース組成:DE100、日本食品化工社製)若しくはハイドロール(ハイグル#9465、日本食品化工社製)固形分10gに対し、精製シラサギ(日本エンバイロケミカルズ社製)を1g混合した。容器にアルミホイルをかぶせ、適宜穴を開けた後、200℃に保温した減圧乾燥機に素早く入れた。200℃達温後に1時間200℃を維持した。1時間反応後、素早く取り出し、室温にて冷却した。減圧乾燥機における反応は減圧有り(100mmHg)、減圧無しの2通りで行った。減圧する場合にも予め加温し、サンプルを庫内に入れたのち、減圧を始めた。
【0092】
減圧条件下、非減圧条件下での反応産物の着色度を測定した結果は表3に示される通りであった。また、減圧条件下、非減圧条件下での反応産物の食物繊維含量を分析した結果は表4に示される通りであった。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
表3に示されるように、無水結晶グルコースを縮合反応に使用した場合、減圧有りでは減圧無しと比較して着色度は顕著に低下した。同様に、ハイドロールを縮合反応に使用した場合でも減圧する事で極めて低着色度の縮合糖が得られた。
【0096】
実施例A5:糖基質の検討(1)
活性炭触媒を用いた糖縮合反応において、グルコースにオリゴ糖やデキストリンを共存させて反応を実施し、反応産物の性質を検討した。
【0097】
グルコースにオリゴ糖を共存させた糖縮合物サンプルは、ステンレス容器に無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)(Bx.65溶液として使用)、各種オリゴ糖、および精製シラサギ(日本エンバイロケミカルズ社製)1gを添加、混合した後、熱風乾燥機を用いて180℃に達温後、1時間反応を実施した。結晶グルコースと各種オリゴ糖の添加量は固形分量で合計10gになるようにし、また、結晶グルコースと各種オリゴ糖の固形分比率は10%毎になるように設定した。オリゴ糖としては、フジオリゴG67(組成:DE26、日本食品化工社製)、MC−55(組成:DE47、日本食品化工社製)、およびブランチオリゴ(組成:DE23、日本食品化工社製)を使用した。
反応後、50mlの純水に溶解し、5.0μmフィルターで吸引ろ過して各種分析用サンプルとした。
【0098】
グルコースにデキストリンを共存させた糖縮合物サンプルは、ステンレス容器に無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)(Bx.65溶液として使用)、各種デキストリン50%(W/W)水溶液、および精製シラサギ(日本エンバイロケミカルズ社製)1gを添加、混合した後、熱風乾燥機を用いて180℃に達温後、1時間反応を実施した。無水結晶グルコースと各種デキストリンの添加量は固形分量で合計10gになるようにし、また、無水結晶グルコースと各種デキストリンの固形分比率は10%毎になるように設定した。デキストリンとしては、パインデックス#1(組成:DE8、松谷化学工業社製)、パインデックス#2(組成:DE11、松谷化学工業社製)、パインデックス#3(組成:DE25、松谷化学工業社製)、パインデックス#100(組成:DE4、松谷化学工業社製)、およびクラスターデキストリン(組成:DE3、日本食品化工社製)(いずれもBx.65溶液として使用)を使用した。反応後、50mlの純水に溶解し、5.0μmフィルターで吸引ろ過して各種分析用サンプルとした。
【0099】
得られた糖縮合物について食物繊維含量と着色度を測定した。結果は表5〜8に示される通りであった。
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
表5〜8に示されるように、グルコースにオリゴ糖を共存させた場合やデキストリンを共存させた場合にも活性炭存在下で糖縮合反応が進行し、水溶性で食物繊維を豊富に含む糖縮合物が製造できることが判明した。
【0105】
実施例A6:糖基質の検討(2)
活性炭触媒を用いた糖縮合反応において、グルコース以外の糖質のみを縮合基質とした場合について反応を実施し、反応産物の性質を検討した。また、活性炭触媒を用いた糖縮合反応において、グルコースにグルコース以外の糖質を共存させて反応を実施し、反応産物の性質を検討した。
【0106】
グルコース以外の糖質のみを縮合基質とした糖縮合物サンプルはステンレス容器に固形分1gの各種糖質と0.1gの活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を混合し、100℃以下で熱風乾燥機にサンプルを投入し、運転プログラム(昇温約2.5℃/分、冷却約3.3℃/分)を使用して180℃に達温後30分間反応させて調製した。試験に供した糖類は次の通りであった。無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)、マンノース(和光特級、和光純薬社製)、ガラクトース(ナカライテスク社製)、キシロース(鹿特級、関東化学社製)、アラビノース(半井化学薬品社製)、リボース(関東化学社製)、マルトース(日本食品化工社製)、ラクトース1水和物(関東化学社製)。反応後、50mlの純水に溶解し、0.45μmフィルターで吸引ろ過して各種分析用サンプルとした。
【0107】
ヘテロ糖縮合物サンプルはステンレス容器に無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)と、グルコース以外の単糖、すなわち、キシロース(鹿特級、関東化学社製)、ガラクトース(ナカライテスク社製)、マンノース(和光特級、和光純薬社製)を固形分比率が0〜100%となるように混合した全固形分10gの糖質と1.0gの活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を混合し、100℃以下で熱風乾燥機にサンプルを投入し、運転プログラム(昇温約2.5℃/分、冷却約3.3℃/分)を使用して180℃に達温後30分間反応させて調製した。反応後、20%(W/W)となるよう純水に溶解し、0.45μmフィルターで吸引ろ過して各種分析用サンプルとした。
【0108】
各種糖質を縮合させたヘテロ糖縮合物の食物繊維含量および着色度を測定した結果は表9に示される通りであった。
【0109】
【表9】
【0110】
表9に示されるように、グルコース以外の糖質を縮合基質として使用した場合でも低着色で食物繊維含量が豊富な糖縮合物が製造できることが判明した。
【0111】
各種単糖とグルコースを任意の混合比率で調製したヘテロ糖縮合物の食物繊維含量および着色度を測定した結果は表10〜12に示される通りであった。
【0112】
【表10】
【0113】
【表11】
【0114】
【表12】
【0115】
表10〜12に示されるように、グルコースに加えてキシロース、ガラクトース、およびマンノースを縮合原料に用いた糖縮合物は、グルコース単独の糖縮合物に比べて、これら単糖の比率が高くなる毎に食物繊維含量が増加した。また、着色度については、マンノースを使用した糖縮合物ではマンノース比率が高くなるにつれてやや着色度が増加する傾向が見られたが、キシロースやガラクトースを使用した糖縮合物ではこれらの糖比率が高くなっても着色度は横ばいであった。
【0116】
このように、グルコースにグルコース以外の単糖を共存させて得られた糖縮合物は、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトースなどとグルコースを任意の比率で組み合わせることにより、食物繊維含量の多い糖縮合物を調製することが可能であることが判明した。すなわち、本発明ではグルコース以外の単糖を縮合原料として利用して植物由来の食物繊維により近い組成の糖縮合物を製造できることが示された。また、グルコース以外の単糖のみで縮合反応を実施した場合にも低着色性で食物繊維含量が豊富な糖縮合物が製造できることも判明した。すなわち、本発明の製造方法はグルコースの縮合反応のみならず、グルコース以外の単糖の縮合反応にも有効であることが示された。
【0117】
実施例A7:糖基質の検討(3)
活性炭触媒を用いた糖縮合反応において、グルコースに各種糖アルコールを共存させて反応を実施し、反応産物の性質を検討した。
【0118】
糖縮合物サンプルはステンレス容器に固形分9.0gの無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)と固形分1.0gの各種糖アルコールを、1.0gの活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)と混合し、100℃以下で熱風乾燥機にサンプルを投入し、運転プログラム(昇温約2.5℃/分、冷却約3.3℃/分)を使用して180℃に達温後30分間反応させて調製した。試験に供した糖アルコールは次の通りであった。無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)(比較対照)、ソルビトール(東和化成工業社製)、ガラクチトール(東京化成工業社製)、マンニトール(和光純薬工業社製、和光一級)、キシリトール(東和化成工業社製)、エリスリトール(和光純薬工業社製、和光一級)、ラクチトール(フナコシ社製)、マルチトール(フナコシ社製)、イノシトール(関東化学社製)、グリセロール(関東化学社製)。反応後、5mlの純水に溶解し、0.45μmフィルターで吸引ろ過して各種分析用サンプルとした。
【0119】
グルコースと各種糖アルコールを縮合させた糖縮合物の食物繊維含量および着色度を測定した結果は表13に示される通りであった。
【表13】
【0120】
表13に示されるように、グルコースと糖アルコールを縮合基質として使用した場合でも低着色で食物繊維含量が豊富な糖縮合物が製造できることが判明した。すなわち、本発明の製造方法では糖アルコールも縮合原料として利用できることが示された。
【0121】
実施例A8:糖縮合物の製造(1)
無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)400gに対して、10%(固形分当り)の活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を添加混合後、加熱反応機に投入し、180℃で30分間加熱し、サンプルを得た。室温まで冷却し、このサンプルを20%水溶液とした後、濾過を行い活性炭を完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた可溶性糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色、エバポレーター濃縮を行った後、乾燥した。約330gの生成物を得、食物繊維含量は79.1%、着色度0.13(Bx.50)、白色度98.5(Bx.50)、平均分子量3,300であった。
【0122】
実施例A8にて製造した糖縮合物の一部を水素化ホウ素酸ナトリウムを用いて室温3時間反応を実施し、得られたサンプルはDE0であった。
【0123】
実施例A8にて製造した糖縮合物の一部をTOYOPEARL HW−40S(φ5.0x90cm)を担体とした樹脂分画に供し、2糖以下の低分子を除去したものは食物繊維含量が94.7%となり、α−アミラーゼおよびグルコアミラーゼで処理した後に樹脂分画したものは食物繊維含量は99.0%であった。
【0124】
実施例A9:糖縮合物の製造(2)
ハイドロール(ハイグル#9465日本食品化工社製)固形分400gに対して、10%(固形分当り)の活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を添加混合後、加熱反応機に投入し、180℃で60分間加熱し、サンプルを得た。室温まで冷却し、このサンプルを20%水溶液とした後、濾過を行い活性炭を完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色、エバポレーター濃縮を行った後、乾燥した。約300gの生成物を得、食物繊維含量は76.8%、着色度0.76(Bx.50)、白色度83.0(Bx.50)、平均分子量3,300であった。
【0125】
実施例A9にて製造した糖縮合物の一部を水素化ホウ素酸ナトリウムを用いて室温3時間反応を実施したところ、得られたサンプルはDE 0.3であった。
【0126】
実施例A9にて製造した糖縮合物の一部をTOYOPEARL HW−40S(φ5.0x90cm)を担体とした樹脂分画に供し、2糖以下の低分子を除去したものは食物繊維含量が93.3%となり、α−アミラーゼおよびグルコアミラーゼで処理した後に樹脂分画したものは食物繊維含量は99.0%であった。
【0127】
実施例A10:糖縮合物の製造(3)
オリゴ糖シラップ(ブランチオリゴ、日本食品化工社製)固形分120gと無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)固形分280gを混合したBx.65水溶液に対して、10%(固形分当り)の活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を添加混合後、加熱反応機に投入し、180℃で30分間加熱し、サンプルを得た。室温まで冷却し、このサンプルを20%水溶液とした後、濾過を行い活性炭を完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色、エバポレーター濃縮を行った後、乾燥した。約310gの生成物を得、食物繊維含量は79.0%、着色度0.26(Bx.50)、白色度94.5(Bx.50)、平均分子量5,200であった。
【0128】
実施例A10にて製造した糖縮合物の一部を水素化ホウ素酸ナトリウムを用いて室温3時間反応を実施し、得られたサンプルはDE 0であった。
【0129】
実施例A10にて製造した糖縮合物の一部をTOYOPEARL HW−40S(φ5.0x90cm)を担体とした樹脂分画に供し、2糖以下の低分子を除去したものは食物繊維含量が91.4%となり、α−アミラーゼおよびグルコアミラーゼで処理した後に樹脂分画したものは食物繊維含量は99.0%であった。
【0130】
実施例A11:糖縮合物の製造(4)
デキストリン(パインデックス#1、松谷化学工業社製)固形分120gと無水結晶グルコース(メディカロース、日本食品化工社製)固形分280gを混合したBx.65水溶液に対して、10%(固形分当り)の活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)を添加混合後、加熱反応機に投入し、180℃で30分間加熱し、サンプルを得た。室温まで冷却し、このサンプルを20%水溶液とした後、濾過を行い活性炭を完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色、エバポレーター濃縮を行った後、乾燥した。約290gの生成物を得、食物繊維含量は78.7%、着色度0.45(Bx.50)、白色度89.0(Bx.50)、平均分子量7,900であった。
【0131】
実施例A11にて製造した糖縮合物の一部を水素化ホウ素酸ナトリウムを用いて室温3時間反応を実施したところ、得られたサンプルはDE 0.1であった。
【0132】
実施例A11にて製造した糖縮合物の一部をTOYOPEARL HW−40S(φ5.0x90cm)を担体とした樹脂分画に供し、2糖以下の低分子を除去したものは食物繊維含量が90.6%となり、α−アミラーゼおよびグルコアミラーゼで処理した後に樹脂分画したものは食物繊維含量は99.0%であった。
【0133】
実施例A12:糖縮合物の製造(5)
マルトオリゴ糖シラップ(DE47、日本食品化工社製)固形分30kgとグルコースシラップ(DE98、日本食品化工社製)固形分70kgを混合したBx.90濃縮液に、3%(固形分当り)の活性炭(水蒸気炭(食品添加物グレード)、フタムラ化学社製)を添加混合後、250℃設定の加熱反応機(連続式ニーダー)に投入し、混練加熱してサンプルを得た。サンプルを水浴中に受け、30%水溶液とした後、活性炭を濾過で完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた可溶性糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色、エバポレーター濃縮を行った後、乾燥した。約 90kgの生成物を得、食物繊維含量は81.7%、着色度0.14(Bx.20)であった。
[水への溶解性]
実施例A12の糖縮合物と各種水溶性食物繊維(ポリデキストロース、難消化性デキストリン)の水への溶解性を比較した。試験に当たって300ml容トールビーカーに蒸留水を200g添加し、マグネティックスターラーで撹拌(900rpm)した。次いで、各水溶性食物繊維素材を20g一時に添加し、完全に溶解するまでの時間を計測した。なお、乾燥法による溶解性の差を排除するため、各サンプルを10%(w/w)水溶液とした後、凍結乾燥機で乾燥したサンプルを用いて試験を行った。試験結果は
図7に示される通りであった。
図7から明らかなように、本発明の糖縮合物は、他の水溶性食物繊維と比べ、半分以下の溶解時間で水に溶解することが明らかとなった。
[アルコール溶液への溶解性]
水への溶解性の試験方法で用いた「蒸留水」を30%(v/v)エタノールに置き換えることで、各種水溶性食物繊維のアルコール溶液への溶解性を比較した。試験結果を
図8に示される通りであった。
図8から明らかなように、本発明の糖縮合物は、他の水溶性食物繊維と比べ、半分以下の溶解時間でアルコール溶液に溶解することが明らかとなった。
なお、いずれの水溶性食物繊維も、30%(v/v)エタノール溶液中に沈澱を生じなかった。
【0134】
このように本発明の糖縮合物は水やアルコール溶液への溶解性が優れており、各種飲食品を製造する際に溶解時間を短縮することができ、製造効率を改善することができる。
【0135】
官能評価試験
各種水溶性食物繊維を比較することを目的として、それぞれを10%水溶液の味質を比較した。10人のパネラーにて、作製した水溶液の官能評価を行い、味質について評価を行った。味質については、非常に良い(◎)、良い(○)、普通(△)、悪い(×)の評価で示し、風味については、非常に良い(◎)、良い(○)、普通(△)、悪い(×)の評価で示した。 比較例として市販水溶性食物繊維のポリデキストロースである「ライテス」(ダニスコジャパン社製)および「ライテスII」(ダニスコジャパン社製)を、また、難消化性デキストリンである「パインファイバー」(松谷化学工業社製)および「ファイバーソル2」(松谷化学工業社製)をそれぞれ用いた。評価結果は表14に示される通りであった。
【0136】
【表14】
【0137】
このように本発明の製造方法により得られた糖縮合物は従来の食物繊維と同様にほぼ無味・無臭であることが確認された。すなわち、本発明の製造方法により得られた糖縮合物は添加する飲食品や医薬品に雑味を付与することなく、飲食品や医薬品の賦形剤や増量剤として利用可能であることが示された。
安全性試験
実施例A12の糖縮合物を用いて、Ames試験を行った。具体的には、水溶性食物繊維NSK-1100の遺伝子突然変異誘発能の有無を検討するため、ネズミチフス菌(
Salmonella typhimurium)TA100、TA1535、TA98、TA1537及び大腸菌
Escherichia coli WP2 uvrAを用いて、代謝活性化する場合および代謝活性化しない場合の条件下で、プレインキュベーション法により実施した。その結果、実施例A12の糖縮合物には変異原性は認められなかった。
また、マウスを使用して、実施例A12の糖縮合物を経口投与して急性毒性試験を行った。その結果、本発明の糖縮合物は無毒性であり、投与可能な最大量においても死亡例は認められず、そのLD
50値は10g/kg(マウス体重)以上であった。
消化性試験
実施例A12の糖縮合物を用いて、日本栄養食糧学会誌、第43巻、第23乃至29項(1990)に記載の岡田らの方法に準じて、試験管内において唾液アミラーゼ、人工胃液、膵臓アミラーゼおよび小腸粘膜酵素による消化性を調べた。対照として、市販の水溶性食物繊維(難消化性デキストリン(ファイバーソルII:松谷化学工業社製)およびポリデキストロース(ライテス:ダニスコ社製))を用いた。結果を表15に示される通りであった。
【表15】
表15の結果から明らかなように、本発明の糖縮合物は、唾液アミラーゼ、人工胃液によっては全く消化されず、膵臓アミラーゼでごく僅か分解された。また、対照の難消化性デキストリンの小腸粘膜酵素による分解率が13.2%であるのに対して、本発明の糖縮合物の分解率は、6.7%と低く、本発明の糖縮合物は市販の難消化性デキストリンよりもさらに消化され難いことが判明した。
構造解析
実施例A8、A9、A10、A11、およびA12の糖縮合物について前記のメチル化分析による構造解析を行った。結果は表16に示される通りであった。
【表16】
表16の結果から明らかなように、実施例A8、A9、A10、およびA12の糖縮合物中の主要な結合は1,6−結合であった。また、実施例A11の糖縮合物中の主要な結合は1,4−結合であった。
【0138】
実施例B:糖縮合反応用触媒の検討
実施例B1:活性炭と各種触媒の組合せの検討
活性炭と各種触媒の組合せが糖縮合反応の触媒活性を有するか否かを、各種触媒単独で糖縮合反応を行った場合と比較しつつ検討した。
【0139】
ステンレス容器にて10g(固形分換算w/w)のハイドロール(ハイグル#9465、DE94、固形分65%、日本食品化工社製)と表17に記載の各濃度の触媒を混合した後、熱風乾燥機を用いて180℃で1時間反応させた。各種触媒は対糖質固形分当り、クエン酸0.1〜1.5%、リン酸0.027〜0.135%、塩酸(有効塩素として)0.0001〜0.05%、活性白土0.01〜0.2%の濃度で添加し、単独で、あるいは、対糖質固形分当たり10%の活性炭(精製シラサギ、日本エンバイロケミカルズ社製)と組合せて反応させた。
【0140】
得られたサンプルについて食物繊維含量と着色度(20%水溶液)を測定した。結果は表17に示される通りであった。
【0141】
【表17】
【0142】
いずれの触媒を用いた場合も、活性炭共存下の試験区は、触媒を単独で用いた試験区と比べて食物繊維含有量は増加し、着色度は低下した。よって、クエン酸、リン酸、塩酸、活性白土といった公知の触媒に新たな糖縮合反応用触媒として活性炭を組み合わせて使用することにより、食物繊維含量を高めつつ糖縮合物の着色を抑えることが可能であることが明らかとなった。
【0143】
実施例B2:各種活性炭の検討(1)
活性炭の種類が糖縮合反応の触媒活性を有するか否かを検討した。
【0144】
ステンレス容器にて10g(固形分換算w/w)のハイドロール(ハイグル#9465、DE94、固形分65%、日本食品化工社製)と表18に記載の各種活性炭3gを混合し、均一に分散化した後、熱風乾燥機にて180℃で60分間反応させた。なお、使用した活性炭は以下の通りであった。
活性炭1:水蒸気賦活炭(フタムラ化学社製)
活性炭2:薬品賦活炭(フタムラ化学社製)
活性炭3:塩化亜鉛炭(日本エンバイロケミカルズ社製)
活性炭4:水蒸気賦活炭(日本エンバイロケミカルズ社製)
【0145】
得られたサンプルについて食物繊維含量と着色度(20%水溶液)を測定した。結果は表18に示される通りであった。
【0146】
【表18】
【0147】
いずれの種類の活性炭を用いたサンプルも食物繊維含量80%以上の糖縮合物が得られ、無触媒のサンプルと比べ食物繊維含量は高く、着色度は低く抑えられた。よって、いずれの種類の活性炭も糖縮合反応用の触媒として有用であることが示された。
【0148】
実施例B3:各種活性炭の検討(2)
活性炭の化学修飾が糖縮合反応の触媒活性を有するか否かを検討した。
【0149】
18ccステンレスカップに500mgの反応用混合物(無水結晶ブドウ糖(日本食品化工社製)に2%W/Wの活性炭を混合したもの)を加え、160℃設定オイルバスにて60分間反応させた。その後、氷冷したサンプルを約20%溶液となるように溶解し、食物繊維含量と着色度を測定した。なお、使用した活性炭は以下の通りであった。
活性炭1:活性炭(太閤A、フタムラ化学社製)
活性炭2:活性炭1に硝酸酸化処理を施したもの(硝酸酸化処理方法は、「環境化学 Vol. 17 (2007), No. 4 pp.635-641」に記載の方法に従った。)
活性炭3:活性炭1にスルホン化処理を施したもの(スルホン化処理方法は、特開2009−201405号公報に記載の方法に従った。)
【0150】
結果は表19に示される通りであった。
【0151】
【表19】
【0152】
いずれの種類の活性炭を用いても無触媒条件下のサンプルと比べて、大幅に食物繊維含量の高い糖縮合物が得られ、更に着色も抑えられた。よって、いずれの種類の活性炭も糖縮合反応用の触媒として有用であることが示された。なお、無触媒条件下のサンプルの食物繊維含量が30%以下と低かったのは、本実施例の加熱条件に起因するものと考えられる。
【0153】
実施例B4:中性活性炭の検討
中性活性炭が糖縮合反応の触媒活性を有するか否かを検討した。
【0154】
18ccステンレスカップに500mgの反応用混合物(無水結晶ブドウ糖(日本食品化工社製)に2%W/Wの中性活性炭(活性炭、粉末、中性、和光純薬工業社製)を混合したもの)を加え、175℃設定オイルバスにて90分間反応させた。その後、氷冷したサンプルを約20%溶液となるように溶解し、食物繊維含量と着色度を測定した。
【0155】
結果は表20に示される通りであった。
【0156】
【表20】
【0157】
中性活性炭を糖縮合反応用触媒として用いたサンプルは、食物繊維含量80%以上と無触媒条件下のサンプルと比べて食物繊維含量が高く、さらに着色は抑えられたものであった。よって、中性活性炭も糖縮合反応用の触媒として有用であることが示された。
【0158】
実施例C:その他の糖縮合物の製造
実施例C1:ポリデキストロースの製造
活性炭を糖縮合反応用触媒として添加してポリデキストロースを製造可能であることを確認した。
【0159】
グルコースシラップ(DE98、日本食品化工社製)固形分89kgとソルビトールシラップ(三菱化学フードテック社製)固形分10kgとクエン酸(食品添加物、関東化学社製)1kgを混合し、3%(固形分当り)の活性炭(水蒸気炭(食品添加物グレード)、フタムラ化学社製)を添加混合後、250℃設定の加熱反応機(連続式ニーダー)に投入し、混練加熱してサンプルを得た。サンプルを水浴中に受け、30%水溶液とした後、活性炭を濾過で完全に除去し、ポリデキストロース反応液を得た。得られた反応液を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色、エバポレーター濃縮を行った後、乾燥した。約90kgの生成物を得、食物繊維含量は80.7%、着色度0.15(Bx.20)であった。よって、活性炭を糖縮合反応用触媒として使用することでポリデキストロースを製造可能であることが示された。