特許第6357579号(P6357579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357579
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】センサ装置およびセンサ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20180702BHJP
【FI】
   G01K7/22 L
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-504039(P2017-504039)
(86)(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公表番号】特表2017-523415(P2017-523415A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2015066078
(87)【国際公開番号】WO2016012311
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】102014110560.5
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】ストラールホファー,ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】クロイバー,ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ステンデル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】イーレ,ヤン
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−305102(JP,A)
【文献】 特開平06−337229(JP,A)
【文献】 特開2002−168702(JP,A)
【文献】 特開2010−073731(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0128098(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0066482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのセラミック製の本体と、前記本体に配置されるつの電極と、前記電極の電気的接触のためのつの接触片とを有するセンサ素子を備え、前記接触片の各々が前記電極に溶接またはボンディングで固定されるセンサ装置において、
前記本体を支持するための支持体を更に備え、
前記支持体は1本の棒状であり、
前記接触片が、前記センサ素子を前記支持体に接続することを特徴とするセンサ装置
【請求項2】
前記接触片が、狭開先溶接(gap welding)、テルモード(thermode)溶接、およびレーザ溶接からなる群のうちの1つの方法によって固定されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置
【請求項3】
前記接触片が、太線ボンディングまたは細線ボンディングによって前記電極に固定されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置
【請求項4】
前記接触片は、Cu、Fe、およびNiからなる群のうちの1つの金属を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ装置
【請求項5】
前記電極は、焼き付けられたペーストによって形成される少なくとも1つの層を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ装置
【請求項6】
前記電極は、スパッタリングされた少なくとも1つの層を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ装置
【請求項7】
前記スパッタリングされた層がニッケルを含むことを特徴とする請求項6に記載のセンサ装置
【請求項8】
前記電極は、直接重なり合って配置される複数層を備えることを特徴とする上記請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ装置
【請求項9】
前記電極はニッケルを含む層、およびその上に配置される被覆層を備えることを特徴とする請求項8に記載のセンサ装置
【請求項10】
前記接触片は被覆層に直接固定されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のセンサ装置
【請求項11】
前記接触片は、部分的に被覆層によって被覆される一層に固定されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項12】
記接触片は、独立した導線として形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のセンサ装置
【請求項13】
記支持体がセラミック製の支持体の形状をしていることを特徴とする請求項12のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項14】
記支持体は2つの側面に金属被覆部を備えることを特徴とする請求項13に記載のセンサ装置。
【請求項15】
1つのセラミック製の本体と、前記本体に配置される少なくとも1つの電極と、前記電極の電気的接触のための少なくとも1つの接触片とを有するセンサ素子を備え、前記接触片の各々が前記電極に溶接またはボンディングで固定されるセンサ装置において、
前記本体を支持するための支持体を更に備え、
前記支持体は少なくとも1つの金属被覆部を有するセラミックを備え、
前記接触片が、前記電極を前記金属被腹部に電気的に接続することを特徴とするセンサ装置。
【請求項16】
前記支持体は2つの側面に金属被覆部を備えることを特徴とする請求項15に記載のセンサ装置。
【請求項17】
前記支持体は棒状であることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のセンサ装置。
【請求項18】
求項17のいずれか1項に記載のセンサ装置の製造方法であって、
少なくとも1つの電極が配置されるセラミック製の本体が設けられ、接触片が、前記電極に溶接またはボンディングによって固定されることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セラミック製の本体を有するセンサ素子について記載される。センサ素子は特に温度の測定に使用される。センサ素子は、例えば、NTC(負の温度係数)センサ素子、すなわちサーミスタである。
【背景技術】
【0002】
センサ素子、特に温度センサにおける要件は、攻撃的な媒体(aggressive media)と使用温度での長期安定性に関して高いレベルの堅牢性が必要である。同時にセンサ素子は低コストで製造できなければならない。
【0003】
セラミックの電気的接触用として、本体には金属製の電極が使用される。通常、金属製の電極に対して接続導線が半田付けされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改良されたセンサ装置および改良されたセンサ装置の製造方法を提示することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、セラミック製の本体を有するセンサ素子が提示される。このセンサ素子は、望ましくは、それはNTCセラミックを含む。例えばセラミックはY、Ca、Cr、Al、O元素を含むペロブスカイト構造、またはNi、Co、Mn、O元素を含むスピネル構造を有する。センサ素子は特に温度の測定用として設計される。
【0006】
センサ素子は少なくとも1つの電極を備える。電極は本体に、特に本体の側面に配置される。望ましくは2つの電極が本体に配置される。例えば、1つの別の電極が本体の、特に反対側にある別の側面に配置される。センサ素子は例えば立方体形状に形成される。電極は例えば本体の上側と下側に配置される。
【0007】
望ましくは、電極全体は層状に形成される。電極は複数の層を備える。
【0008】
センサ素子は、電極に溶接またはボンディングによって固定される、電極の電気的接触のための少なくとも1つの接触片を備える。例えば接触片は、狭開先溶接(gap welding)、テルモード(thermode)溶接、およびレーザ溶接からなる群のうちの1つの方法によって電極に固定される。ボンディングの場合、太線ボンディングまたは細線ボンディングを使用することができる。これは特に接触片の種類によって決まる。
【0009】
このような接続技術におけるセンサ素子の耐熱性は、半田付け接続と比較して、改良されていることが判明している。半田付け接続の使用温度は半田の溶融温度によって制限される。高い鉛含有量の半田は約300℃の溶融温度を持ち、多くの無鉛半田は230℃以下の温度で溶融する。特に頻繁に温度負荷が変化する場合には、半田接続は十分には信頼できない。特に接触片と電極との間の接触点、すなわち接続点ではより良い長期安定性を表している。半田不使用の、特に銀不使用の構造の場合、移行抵抗(migration resistance)も改良されている。
【0010】
望ましくは、2つの接触片を設け、それぞれの接触片をセンサ素子の2つの電極の各々に固定することが望ましい。接触片は電極に直接固定することが望ましい。以下において、接触片の一方について詳細に説明するが、その説明は、他方の接触片についても同様に当てはまる。
【0011】
例えば、接触片は導線の形状をしている。導線は、接続位置の断面が円形をしているか、それとも平坦な形状をしている。さらに、導線は矩形の断面を備えたもの、または平らな帯状のものを使用してもよい。この場合、接触片は、例えばセンサ素子の接触子に対する電気的接続の役割を果たすための短い導線ブリッジを含んでいてもよい。特に接触片は、例えば細線ボンディングによって電極に固定する細い導線を含めてもよい。
【0012】
接続要素は例えば支持体上に配置したり、支持体の一部を構成したり、支持体の形状をしていてもよい。例えば、接続要素は回路基板上の導通路や、プローブを導電的に支持するものや、この種の支持体の金属被覆である。
【0013】
接触片も、支持体上に配置したり、支持体の一部を構成したり、支持体の形状をしていてもよい。一実施形態において、接触片は同時にセンサ素子に対する支持体を構成するか、または支持体の一体化された構成要素を形成する。この場合、センサ素子の電極は、望ましくは支持体に直接、すなわち、独立した別の接触要素なしに固定する。例えば接触片はこの場合、太線ボンディングによって電極に固定する。
【0014】
一実施形態において、接触片は独立した接触要素として形成される。特に接触片は支持体と一体的な構成要素ではない。接触片は例えば溶接またはボンディングによって支持体に固定できる。
【0015】
例えば、接触片は、腐食傾向の低い1つまたは複数の温度安定性金属を含むか、またはその金属によって構成される。一実施形態において、接触片は、例えばPt、Au、Agのうちの1つまたは複数の金属によって構成されるような貴金属を含む。一実施形態において、接触片は、例えばCu等のうちの1つまたは複数の金属によって構成される半貴金属を含む。一実施形態において、接触片は、例えばFe、Ni等のうちの1つまたは複数の金属によって構成されるような非貴金属を含む。接触片は、合金を含むことができる。
【0016】
接触片は異なる材料を有する小領域も含むことができる。例えば接触片は金属の芯を備え、1つまたは複数の別の金属によって被覆される。接触片の表面は、付加的にさらに例えば錫メッキ、ニッケルメッキ、または銀メッキのような被覆を備えることができる。
【0017】
一実施形態において、電極は、焼き付けられた(burnt-in)ペーストによって形成される少なくとも1つの層を備える。ペーストは例えば本体のセラミックに直接塗布する。ペーストはスクリーン印刷によって塗布することができる。焼き付けられた層に1つまたは複数の別の層を配置することができる。例えば焼き付けられた層に1つまたは複数のスパッタリングされた層がつけられる。
【0018】
焼き付けられた電極は、例えば250℃〜300℃あるいはそれ以上の領域における、センサ素子の高い使用温度に対しても適している。また、焼き付けられた電極は、高温が必要な製造工程の他のステップに対しても適している。例えばセンサ素子は、接触片の取り付け後にガラスカバーが装着される。
【0019】
一実施形態において、電極は、金または銀を備える。これらの材料は特に焼き付けられた層に対して適している。
【0020】
一実施形態において、電極は、少なくとも1つのスパッタリングされた層を備える。望ましくは、スパッタリングされた層は、本体のセラミック上に直接つけられ、従ってセラミックに直接接触する。例えば全ての層はスパッタリングによってつけることができる。例えば電極は焼き付けられたペーストを含まない。
【0021】
スパッタリングされた電極の場合、特に、例えば700℃〜900℃の温度での金属被覆ペーストの焼き付けを省略できることにより、製造工程でのセンサ素子に対する熱的負荷が比較的小さいという利点がある。さらに、スパッタリング工程は、特に低コスト製造を可能にする。例えば、焼き付けが必要な電極処理のための、ペースト塗布、ペースト乾燥、およびその後の焼き付けが省略されるため、製造コストを低減できる。また、スパッタリング工程は電極用の幅広い材料選択を可能にする。このように、接触片の材料と接合に関する大きな自在性が獲得される。
【0022】
例えば、電極とは薄膜電極であり、例えば電極全体で0.3μm〜30μmの範囲の厚さを有する。
【0023】
一実施形態において、電極は、ニッケルを含む少なくとも1つの層を備える。層はニッケルによっても構成することができる。
【0024】
ニッケルを含有する層は、特に機械的および電気的接続(結合)が優れており、特にセラミックに対する良好な結合を可能にする。例えば、セラミックに対する低抵抗接触が実現できる。さらにニッケル含有層は、異なる材料から成る接触片によるセンサ素子の確かな接触を可能にする。それによって用途における高い自在性が実現できる。例えばこのような電極は、金含有の、銀含有の、アルミニウム含有の、または銅含有の接触片の結合を可能にする。接触片の材料および電極の材料、例えば被覆層の材料は、互いに適応させることが望ましい。例えば、金含有の接触片の場合、金含有の被覆層が使用され、アルミニウム含有の接触片の場合、アルミニウム含有の被覆層が使用される。
【0025】
例えば、ニッケル含有層がスパッタリングされる。例えばニッケル含有層は本体のセラミックに直接つけられ、従ってセラミックに直接接触する。
【0026】
一実施形態において、ニッケル含有層は付加的にわずかな割合の(fraction of)バナジウムを含む。わずかな割合のバナジウムは特にスパッタリング法に関する工程技術上の理由により有利である。例えば、バナジウムはニッケル含有層に7%の重量割合において存在する。ニッケルは例えば93%の重量割合において存在する。
【0027】
ニッケル含有層の厚さは、例えば0.3μm〜10μmの範囲内にある。
【0028】
一実施形態において、電極は直接重なり合って配置される複数の層を備える。
【0029】
例えば、電極は1つの上部層と1つの下部層を備える。下部層は、望ましくは本体のセラミックに直接接触する。上部層は例えば下部層の上に直接つけられる。例えば両層はスパッタリングされる。代替的に少なくとも下部層は焼き付けることができる。電極は2つ以上の層を備えることができる。
【0030】
例えば、下部層はクロムを含むか、またはクロムによって構成される。クロム含有層は特にセラミックに対して定着を促進するものとして有利である。
【0031】
例えば、上部層はニッケルを含むか、またはニッケルによって構成される。付加的に上部層はわずかな割合のバナジウムを備えることができる。
【0032】
一実施形態において、電極は付加的に被覆層を備える。被覆層は電極の最上層であり、したがって上向き方向の最終層を形成する。被覆層の下にある電極の部分も電極ベースとも呼ぶことができる。その場合、それは特に1つまたは複数の層を含む。
【0033】
例えば被覆層は酸化抑制金属を含む。特に被覆層は銀、金、銅およびアルミニウムからなる群のうちの少なくとも1つの材料を含む。望ましくは、被覆層はスパッタリングされる。
【0034】
被覆層によって電極の腐食、特に被覆層の下にある電極の層の腐食は防止される。さらに被覆層は電極の機械的な負荷能力も改良することができる。
【0035】
それの代替にまたは付加的に、被覆層は接触片との接触に対して有利である。一実施形態において接触片は被覆層に直接固定される。ボンディングによる接合の場合、例えば金含有の、または金によって構成される被覆層に金導線が固定されることになる。
【0036】
一実施形態において、接触片は、部分的に被覆層によって被覆される電極の一部、特に1つの層に固定される。例えば被覆層は電極ベースの一部へのみ取り付けられ、その結果、電極ベースの一部は被覆層がない。この場合、電極の電気的接触は電極ベースに直接行われる。その場合、被覆層は例えば電極ベースの露出部分に対する酸化保護としての役割のみを果たす。
【0037】
例えば被覆層は0.05μm〜20μmの範囲の厚さを備える。電極ベース、すなわち電極の残部は、例えば0.3μm〜10μmの範囲の厚さを有する。
【0038】
本発明の別の一観点によれば、上述したようなセンサ素子を備えたセンサ装置が記載される。センサ装置は本体を支持するための支持体を備える。本体は、望ましくは支持体に固定される。支持体は、望ましくは特に支持体の形状変更または本体の位置変更が生じることなく、支持体の向きが異なっていても本体を固定位置に保持するために、十分な固有安定性を備える。
【0039】
支持体は本体を支持する機能の他に本体の電気的接続の役割を果たす。支持体は導電性に形成されるか、または導電性の部品を備える。特に本体は支持体に対して導電的に接続される。
【0040】
センサ素子の電極は支持体に、溶接またはボンディングによって接続され、特に電気的に接続される。接続は直接的または間接的に行われる。
【0041】
一実施形態において、センサ素子の電極が支持体に電気的に直接接続される。この場合、上述した接触片は同時に支持体としての役割を果たすことができ、または支持体の一部を形成することができる。例えば、電極は支持体にボンディング、特に太線ボンディングによって接続される。
【0042】
一実施形態において、電極は間接的に支持体に電気的に接続される。特に接触片は独立した接触要素として形成され、支持体と一体的な構成要素としては形成されていない。電極はこの場合、接触要素を介して支持体に接続される。接触要素は溶接接続またはボンディング接合によって電極に接続される。例えば、それは接触要素において導線が関係し、例えば導線ブリッジが関係する。
【0043】
例えば、支持体は棒状である。例えば支持体は太い導線または棒を有する。支持体は2つの支持要素を含む。各支持要素は棒状に、例えば太い導線または棒として、形成される。別の一実施形態において、支持体はセラミック製の支持体の形状をしている。例えばセラミック製の支持体は電極の電気的接続のための金属被覆部を備える。
【0044】
一実施形態において、センサ装置はプローブの形状である。プローブは例えば流動媒体のパラメータ、特に温度を測定するために使用される。例えばプローブは管の壁の開口を通して差し込める。支持体は例えば電極に接続される太い、寸法的に安定した導線を備える。導線は例えば電極に太線ボンディングによって直接固定される。代替的に導線は導線ブリッジを介して電極に接続することもできる。
【0045】
一実施形態において、支持体は回路基板の形状である。特に回路基板はセンサ素子の電極に電気的に接続される導通路を備える。電極は導通路に接触片、例えば導線ブリッジを介して、溶接またはボンディングによって接続される。センサ素子は導通路上の別の電極を介して導通路上に取り付け、導通路に固定される。例えば別の電極は導通路と共に、例えば低温における圧力下で焼結させることができる。
【0046】
センサ装置は、センサ素子を少なくとも部分的に取り囲むカバーを備える。支持体へのセンサ素子の機械的な固定はカバーを用いても行うことができる。
【0047】
本発明の別の態様によれば、上記したセンサ素子および/またはセンサ装置の製造方法を記載する。例えば本体の一側面に配置された少なくとも1つの電極を備えたセラミック製の本体が用意される。さらに、接触片が用意される間、溶接またはボンディングによって電極に固定される。センサ装置の製造中、本体を支持するための支持体が用意される。接触片は支持体と一体化された構成要素を構成することができる。
【0048】
本開示内容には、本発明の多数の観点が説明されている。センサ素子、センサ装置または方法に関して開示される特徴は全てそれぞれ他の観点についても開示されており、その逆のケースも当てはまる。それぞれの特徴がそれぞれ他の観点について、明言していないとしても、同様に当てはまる。
【0049】
ここで述べる主題は、模式的で且つ縮尺不同の実施例に基づいて更なる詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】センサ素子を示す斜視図。
図2】センサ装置の第1実施形態を示す図。
図3A】センサ装置の第2実施形態を示す図。
図3B図3Aの拡大詳細図。
図4A】センサ装置の第3実施形態を示す図。
図4B図4Aの拡大詳細図。
図5A】センサ装置の第4実施形態を示す図。
図5B図5Aの拡大詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の図において同一符号は異なる実施形態の機能的または構造的に対応する部分を示す。
【0052】
図1はセンサ素子1、特にセンサチップを示す。センサ素子1は、望ましくは温度の測定用として設計されている。センサ素子はセラミック製の本体2を備える。特にセラミックはNTC(Negative-Temperature-Coefficient:負の温度係数)セラミックである。例えばセラミックはペロブスカイト構造を有する。特にセラミックは、Y−Ca−Cr−Al−(Sn)−O系に基づくことができ、その場合、括弧内に記入された元素はオプションで存在させることができる。このようなセンサ素子1は特に高温用途に対して適している。代替的にセンサ素子1は、特に低い使用温度において、スピネル構造を有するセラミックを備えることができる。例えばセラミックはNi−Co−Mn−(Al)−(Fe)−(Cu)−(Zn)−(Ca)−(Zr)−(Ti)−(Mg)−O系に基づくことができる。
【0053】
センサ素子1は、本体2の側面3に配置される電極4を有する。別の対向する側面7に、別の電極8が配置される。以下において、電極4の構造を説明するが、その説明は別の電極8に対しても同様に当てはまる。
【0054】
電極4は、複数の層5、6を有する層状の電極である。層5、6は、例えばスパッタリングで形成される。電極4は、電極4の確かな電気的接触がボンディングまたは溶接によって行うことができるように設計されている。
【0055】
電極4は、電極ベースとも呼ばれる層5を備える。層5は、本体2のセラミックに直接取り付けられる。層5は、例えばバナジウムをわずかな割合有するニッケルを含むか、またはそれらの金属で構成されている。
【0056】
層5の上に被覆層6がつけられる。例えば被覆層6は、特に酸化防止のための電極ベースに対する腐食防止の役割を果たす。被覆層6は、例えば銀、金、銅またはアルミニウムを含むか、あるいはそれらの材料の1つで構成されている。
【0057】
一実施形態において、電極ベースは、多層に形成可能である。電極ベースの下部層は、例えばセラミックに直接接触する。下部層は、例えばクロムを含むか、あるいはクロムで構成される。加えて電極ベースは、下部層の上に形成される上部層を備える。上部層は、例えばバナジウムをわずかな割合有するニッケルを含むか、あるいはそれらの金属によって構成される。
【0058】
例えば電極4の全ての層5、6はスパッタリングによって形成される。代替的に電極ベースは、金属ペースト、例えば金ペーストまたは銀ペーストの焼き付けによって形成される。
【0059】
電極4、8に接触片19、20が溶接またはボンディングによって接合される。接触片19、20は短ワイヤの形の接触要素として形成される。例えば導線はボンディングによって電極4、8に接合される。
【0060】
ここで接触片19、20の自由端は接続要素に接続することができる。例えば接続要素は、センサ要素の電気的接続を形成し、同時にセンサ要素の支持体も構成する。接続要素への接触片10、20の接合は、同様に溶接またはボンディングによって行うことができる。代替的に接触片は接続要素へ半田付けすることもできる。
【0061】
一実施形態において、接触片は支持体と一体の構成要素を形成する。この場合接触片は、本体を支持するために十分な固有の安定性を備える。例えば接触片は太線として形成される。
【0062】
接触片19、20は、低腐食傾向を有する温度安定性金属を含むことが好ましい。それは例えば、Pt、Au、Agのような貴金属、Cuのような半貴金属、もしくはFe、Niのような非貴金属、またはそれらの合金を使用することができる。さらに接触片19、20は、異なる材料を備える異なる領域を有するように構成することもできる。例えば接触片19、20は、異なる材料の小領域を備える。接触片19、20は金属質の導線芯を備えることができ、且つ1つまたは複数の別の金属で被覆することができる。接触片19、20の表面は付加的にさらに例えば錫メッキ、ニッケルメッキ等のような被覆を備えることができる。
【0063】
図2は、回路基板9に固定されたセンサ素子1を備えるセンサ装置24を示す。この構成は特にパワーエレクトロニクスの分野において使用可能である。センサ素子1の本体2と電極4、8は図1におけると同様に形成される。
【0064】
回路基板9は、センサ素子1の本体2に対する支持体25としての、および電極4、8の電気的接続のための機能を果たす。センサ素子1は上面10と下面11を備える。センサ素子1はその下面11において回路基板9に固定される。上面10に配置される電極4は第1導通路12に、および下面11に配置される別の電極8は回路基板9の別の導通路13に電気的に接続される。
【0065】
センサ素子1は、例えばその下面11において別の導通路13に半田付けされる。半田付けを介した銀と鉛を含まない移動耐性のある接続のためには、金を含むかまたは金で構成される被覆層6が有利である。代替的に別の電極8は別の導通路13と共に焼結される。そのために例えば細粒銀ペーストが導通路13および/または別の電極8に塗布される。焼結は、例えば低温で圧力をかけた状態で行われる。この場合、別の電極8の被覆層は主として銀を含むか、または銀で構成されることが好ましい。
【0066】
上面10の電極4は、接触片14を介して導通路12に接続される。接触片14は、例えばボンディングによって電極4に、および/または回路基板9に接合される。特に接触片14は、導線ブリッジによって形成される。導線は、その末端において平坦にされる。特に、接触片は、細線を含み、細線は細線ボンディングによって接合することができる。例えば金線、アルミニウム線、銅線が使用される。電極4の被覆層6は、例えば金を含む。接触片14は、図1において説明した接触片19、20と同じような材料と構成で形成することができる。
【0067】
図3Aは、センサ装置24の別の実施形態を示す。図3Bは、図3Aの拡大図を示す。特にセンサ装置は、センサ素子1を有するプローブ15を備えている。プローブ15は、例えば温度センサ用である。センサ素子1は、例えば図1におけるものと同じように設計される。
【0068】
プローブ15は棒状である。プローブ15は、例えば流動媒体の温度測定用に使用される。例えばプローブ15は、管の壁の開口を通して差し込むことができる。
【0069】
プローブ15は、2つの支持体要素17、18を含む支持体25を有する。支持体要素17、18は、例えば、センサ素子1の本体2を支持することができ、且つ十分な寸法安定性を備えた太い導線である。支持体要素17、18は、それぞれ棒状である。
【0070】
センサ素子1は、カバー16で取り囲まれる。カバー16はプローブ15の十分な機械的安定性を確保することができる。さらにカバー16によって外部の影響に対する保護を行うことができ、例えば攻撃的な媒体によるセンサ素子1の腐食を阻止することができる。例えばカバー16は、ポリマーまたはガラスを備えている。支持体要素17、18はカバー16の中へ突き出る。特に接触片19、20、およびそれに伴って支持体要素17、18とセンサ素子1間の接触位置はカバー16によって取り囲まれる。
【0071】
支持体要素17、18は、センサ素子1の電気的接触の役割も果たす。特に支持体要素17、18は導電性である。支持体要素17、18の末端は、電極4、8との直接的な電気的接触のための接触片19、20を成す。接触片19、20は支持体要素17、18と一体化した部分を構成する。支持体要素17、18の接触片19、20は、例えば電極4、8に溶接され、または太線ボンディングを用いて接合される。
【0072】
望ましくは、支持体要素17、18と電極4、8との間の接続には半田は使用しない。溶接またはボンディングの場合、マイグレーション(migration)が防止でき、且つセンサ素子1の信頼性を高めることができる。
【0073】
支持体要素17、18および特に接触片19、20は、図1において説明した接触片19、20と同じような材料と構成で形成することができる。但し、接触片19、20は、支持体要素17、18の残余部分と一緒に、センサ素子1を支持するための十分な固有安定性を示す。
【0074】
図4Aは、プローブ15として形成されるセンサ装置24の別の実施形態を示す。図4B図4Aの拡大図を示す。センサ装置24は、図3Aによるセンサ装置24と同様の形状である。但し、ここで示された実施形態において、センサ素子1は支持体要素17、18に直接固定されず、特に支持体要素17、18と電気的に直接接続されていない。本実施形態の場合、カバー16が支持体25に対するセンサ素子1の機械的固定を提供する。
【0075】
代りにセンサ素子1は、独立した接触片19、20を介して支持体要素17、18に固定される。接触片19、20は、導線、特にボンディング導線の形状である。接触片19、20を有するセンサ素子1は、特に図1において説明したと同じ設計でよい。
【0076】
図5Aは半透明に表示されており、プローブ15として形成されたセンサ装置24の別の一実施形態を示す。図5Bは、図5Aの拡大図を示す。センサ素子1は図1と同じように設計される。
【0077】
プローブ15は、2つの側面に金属被覆部22、23を有する支持体25を備える。支持体25は、セラミックを備える。センサ素子1の電極4、8は、それぞれ接触片19、20を介して金属被覆部22、23に電気的に接続される。接触片19、20は、センサ素子1の電極4、8に溶接またはボンディングによって接合される。接触片19、20は、支持体25に同様に溶接またはボンディングによって接合される。
【符号の説明】
【0078】
1…センサ素子、2…本体、3…側面、4…電極、5…電極ベース、6…被覆層、7…別の側面、8…別の電極、9…回路基板、10…上面、11…下面、12…導通路、13…別の導通路、14…接触片、15…プローブ、16…カバー(囲い)、18…支持体要素、19…接触片、20…接触片、22…金属被覆部、23…金属被覆部、24…センサ装置、25…支持体。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B