【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、セラミック製の本体を有するセンサ素子が提示される。このセンサ素子は、望ましくは、それはNTCセラミックを含む。例えばセラミックはY、Ca、Cr、Al、O元素を含むペロブスカイト構造、またはNi、Co、Mn、O元素を含むスピネル構造を有する。センサ素子は特に温度の測定用として設計される。
【0006】
センサ素子は少なくとも1つの電極を備える。電極は本体に、特に本体の側面に配置される。望ましくは2つの電極が本体に配置される。例えば、1つの別の電極が本体の、特に反対側にある別の側面に配置される。センサ素子は例えば立方体形状に形成される。電極は例えば本体の上側と下側に配置される。
【0007】
望ましくは、電極全体は層状に形成される。電極は複数の層を備える。
【0008】
センサ素子は、電極に溶接またはボンディングによって固定される、電極の電気的接触のための少なくとも1つの接触片を備える。例えば接触片は、狭開先溶接(gap welding)、テルモード(thermode)溶接、およびレーザ溶接からなる群のうちの1つの方法によって電極に固定される。ボンディングの場合、太線ボンディングまたは細線ボンディングを使用することができる。これは特に接触片の種類によって決まる。
【0009】
このような接続技術におけるセンサ素子の耐熱性は、半田付け接続と比較して、改良されていることが判明している。半田付け接続の使用温度は半田の溶融温度によって制限される。高い鉛含有量の半田は約300℃の溶融温度を持ち、多くの無鉛半田は230℃以下の温度で溶融する。特に頻繁に温度負荷が変化する場合には、半田接続は十分には信頼できない。特に接触片と電極との間の接触点、すなわち接続点ではより良い長期安定性を表している。半田不使用の、特に銀不使用の構造の場合、移行抵抗(migration resistance)も改良されている。
【0010】
望ましくは、2つの接触片を設け、それぞれの接触片をセンサ素子の2つの電極の各々に固定することが望ましい。接触片は電極に直接固定することが望ましい。以下において、接触片の一方について詳細に説明するが、その説明は、他方の接触片についても同様に当てはまる。
【0011】
例えば、接触片は導線の形状をしている。導線は、接続位置の断面が円形をしているか、それとも平坦な形状をしている。さらに、導線は矩形の断面を備えたもの、または平らな帯状のものを使用してもよい。この場合、接触片は、例えばセンサ素子の接触子に対する電気的接続の役割を果たすための短い導線ブリッジを含んでいてもよい。特に接触片は、例えば細線ボンディングによって電極に固定する細い導線を含めてもよい。
【0012】
接続要素は例えば支持体上に配置したり、支持体の一部を構成したり、支持体の形状をしていてもよい。例えば、接続要素は回路基板上の導通路や、プローブを導電的に支持するものや、この種の支持体の金属被覆である。
【0013】
接触片も、支持体上に配置したり、支持体の一部を構成したり、支持体の形状をしていてもよい。一実施形態において、接触片は同時にセンサ素子に対する支持体を構成するか、または支持体の一体化された構成要素を形成する。この場合、センサ素子の電極は、望ましくは支持体に直接、すなわち、独立した別の接触要素なしに固定する。例えば接触片はこの場合、太線ボンディングによって電極に固定する。
【0014】
一実施形態において、接触片は独立した接触要素として形成される。特に接触片は支持体と一体的な構成要素ではない。接触片は例えば溶接またはボンディングによって支持体に固定できる。
【0015】
例えば、接触片は、腐食傾向の低い1つまたは複数の温度安定性金属を含むか、またはその金属によって構成される。一実施形態において、接触片は、例えばPt、Au、Agのうちの1つまたは複数の金属によって構成されるような貴金属を含む。一実施形態において、接触片は、例えばCu等のうちの1つまたは複数の金属によって構成される半貴金属を含む。一実施形態において、接触片は、例えばFe、Ni等のうちの1つまたは複数の金属によって構成されるような非貴金属を含む。接触片は、合金を含むことができる。
【0016】
接触片は異なる材料を有する小領域も含むことができる。例えば接触片は金属の芯を備え、1つまたは複数の別の金属によって被覆される。接触片の表面は、付加的にさらに例えば錫メッキ、ニッケルメッキ、または銀メッキのような被覆を備えることができる。
【0017】
一実施形態において、電極は、焼き付けられた(burnt-in)ペーストによって形成される少なくとも1つの層を備える。ペーストは例えば本体のセラミックに直接塗布する。ペーストはスクリーン印刷によって塗布することができる。焼き付けられた層に1つまたは複数の別の層を配置することができる。例えば焼き付けられた層に1つまたは複数のスパッタリングされた層がつけられる。
【0018】
焼き付けられた電極は、例えば250℃〜300℃あるいはそれ以上の領域における、センサ素子の高い使用温度に対しても適している。また、焼き付けられた電極は、高温が必要な製造工程の他のステップに対しても適している。例えばセンサ素子は、接触片の取り付け後にガラスカバーが装着される。
【0019】
一実施形態において、電極は、金または銀を備える。これらの材料は特に焼き付けられた層に対して適している。
【0020】
一実施形態において、電極は、少なくとも1つのスパッタリングされた層を備える。望ましくは、スパッタリングされた層は、本体のセラミック上に直接つけられ、従ってセラミックに直接接触する。例えば全ての層はスパッタリングによってつけることができる。例えば電極は焼き付けられたペーストを含まない。
【0021】
スパッタリングされた電極の場合、特に、例えば700℃〜900℃の温度での金属被覆ペーストの焼き付けを省略できることにより、製造工程でのセンサ素子に対する熱的負荷が比較的小さいという利点がある。さらに、スパッタリング工程は、特に低コスト製造を可能にする。例えば、焼き付けが必要な電極処理のための、ペースト塗布、ペースト乾燥、およびその後の焼き付けが省略されるため、製造コストを低減できる。また、スパッタリング工程は電極用の幅広い材料選択を可能にする。このように、接触片の材料と接合に関する大きな自在性が獲得される。
【0022】
例えば、電極とは薄膜電極であり、例えば電極全体で0.3μm〜30μmの範囲の厚さを有する。
【0023】
一実施形態において、電極は、ニッケルを含む少なくとも1つの層を備える。層はニッケルによっても構成することができる。
【0024】
ニッケルを含有する層は、特に機械的および電気的接続(結合)が優れており、特にセラミックに対する良好な結合を可能にする。例えば、セラミックに対する低抵抗接触が実現できる。さらにニッケル含有層は、異なる材料から成る接触片によるセンサ素子の確かな接触を可能にする。それによって用途における高い自在性が実現できる。例えばこのような電極は、金含有の、銀含有の、アルミニウム含有の、または銅含有の接触片の結合を可能にする。接触片の材料および電極の材料、例えば被覆層の材料は、互いに適応させることが望ましい。例えば、金含有の接触片の場合、金含有の被覆層が使用され、アルミニウム含有の接触片の場合、アルミニウム含有の被覆層が使用される。
【0025】
例えば、ニッケル含有層がスパッタリングされる。例えばニッケル含有層は本体のセラミックに直接つけられ、従ってセラミックに直接接触する。
【0026】
一実施形態において、ニッケル含有層は付加的にわずかな割合の(fraction of)バナジウムを含む。わずかな割合のバナジウムは特にスパッタリング法に関する工程技術上の理由により有利である。例えば、バナジウムはニッケル含有層に7%の重量割合において存在する。ニッケルは例えば93%の重量割合において存在する。
【0027】
ニッケル含有層の厚さは、例えば0.3μm〜10μmの範囲内にある。
【0028】
一実施形態において、電極は直接重なり合って配置される複数の層を備える。
【0029】
例えば、電極は1つの上部層と1つの下部層を備える。下部層は、望ましくは本体のセラミックに直接接触する。上部層は例えば下部層の上に直接つけられる。例えば両層はスパッタリングされる。代替的に少なくとも下部層は焼き付けることができる。電極は2つ以上の層を備えることができる。
【0030】
例えば、下部層はクロムを含むか、またはクロムによって構成される。クロム含有層は特にセラミックに対して定着を促進するものとして有利である。
【0031】
例えば、上部層はニッケルを含むか、またはニッケルによって構成される。付加的に上部層はわずかな割合のバナジウムを備えることができる。
【0032】
一実施形態において、電極は付加的に被覆層を備える。被覆層は電極の最上層であり、したがって上向き方向の最終層を形成する。被覆層の下にある電極の部分も電極ベースとも呼ぶことができる。その場合、それは特に1つまたは複数の層を含む。
【0033】
例えば被覆層は酸化抑制金属を含む。特に被覆層は銀、金、銅およびアルミニウムからなる群のうちの少なくとも1つの材料を含む。望ましくは、被覆層はスパッタリングされる。
【0034】
被覆層によって電極の腐食、特に被覆層の下にある電極の層の腐食は防止される。さらに被覆層は電極の機械的な負荷能力も改良することができる。
【0035】
それの代替にまたは付加的に、被覆層は接触片との接触に対して有利である。一実施形態において接触片は被覆層に直接固定される。ボンディングによる接合の場合、例えば金含有の、または金によって構成される被覆層に金導線が固定されることになる。
【0036】
一実施形態において、接触片は、部分的に被覆層によって被覆される電極の一部、特に1つの層に固定される。例えば被覆層は電極ベースの一部へのみ取り付けられ、その結果、電極ベースの一部は被覆層がない。この場合、電極の電気的接触は電極ベースに直接行われる。その場合、被覆層は例えば電極ベースの露出部分に対する酸化保護としての役割のみを果たす。
【0037】
例えば被覆層は0.05μm〜20μmの範囲の厚さを備える。電極ベース、すなわち電極の残部は、例えば0.3μm〜10μmの範囲の厚さを有する。
【0038】
本発明の別の一観点によれば、上述したようなセンサ素子を備えたセンサ装置が記載される。センサ装置は本体を支持するための支持体を備える。本体は、望ましくは支持体に固定される。支持体は、望ましくは特に支持体の形状変更または本体の位置変更が生じることなく、支持体の向きが異なっていても本体を固定位置に保持するために、十分な固有安定性を備える。
【0039】
支持体は本体を支持する機能の他に本体の電気的接続の役割を果たす。支持体は導電性に形成されるか、または導電性の部品を備える。特に本体は支持体に対して導電的に接続される。
【0040】
センサ素子の電極は支持体に、溶接またはボンディングによって接続され、特に電気的に接続される。接続は直接的または間接的に行われる。
【0041】
一実施形態において、センサ素子の電極が支持体に電気的に直接接続される。この場合、上述した接触片は同時に支持体としての役割を果たすことができ、または支持体の一部を形成することができる。例えば、電極は支持体にボンディング、特に太線ボンディングによって接続される。
【0042】
一実施形態において、電極は間接的に支持体に電気的に接続される。特に接触片は独立した接触要素として形成され、支持体と一体的な構成要素としては形成されていない。電極はこの場合、接触要素を介して支持体に接続される。接触要素は溶接接続またはボンディング接合によって電極に接続される。例えば、それは接触要素において導線が関係し、例えば導線ブリッジが関係する。
【0043】
例えば、支持体は棒状である。例えば支持体は太い導線または棒を有する。支持体は2つの支持要素を含む。各支持要素は棒状に、例えば太い導線または棒として、形成される。別の一実施形態において、支持体はセラミック製の支持体の形状をしている。例えばセラミック製の支持体は電極の電気的接続のための金属被覆部を備える。
【0044】
一実施形態において、センサ装置はプローブの形状である。プローブは例えば流動媒体のパラメータ、特に温度を測定するために使用される。例えばプローブは管の壁の開口を通して差し込める。支持体は例えば電極に接続される太い、寸法的に安定した導線を備える。導線は例えば電極に太線ボンディングによって直接固定される。代替的に導線は導線ブリッジを介して電極に接続することもできる。
【0045】
一実施形態において、支持体は回路基板の形状である。特に回路基板はセンサ素子の電極に電気的に接続される導通路を備える。電極は導通路に接触片、例えば導線ブリッジを介して、溶接またはボンディングによって接続される。センサ素子は導通路上の別の電極を介して導通路上に取り付け、導通路に固定される。例えば別の電極は導通路と共に、例えば低温における圧力下で焼結させることができる。
【0046】
センサ装置は、センサ素子を少なくとも部分的に取り囲むカバーを備える。支持体へのセンサ素子の機械的な固定はカバーを用いても行うことができる。
【0047】
本発明の別の態様によれば、上記したセンサ素子および/またはセンサ装置の製造方法を記載する。例えば本体の一側面に配置された少なくとも1つの電極を備えたセラミック製の本体が用意される。さらに、接触片が用意される間、溶接またはボンディングによって電極に固定される。センサ装置の製造中、本体を支持するための支持体が用意される。接触片は支持体と一体化された構成要素を構成することができる。
【0048】
本開示内容には、本発明の多数の観点が説明されている。センサ素子、センサ装置または方法に関して開示される特徴は全てそれぞれ他の観点についても開示されており、その逆のケースも当てはまる。それぞれの特徴がそれぞれ他の観点について、明言していないとしても、同様に当てはまる。
【0049】
ここで述べる主題は、模式的で且つ縮尺不同の実施例に基づいて更なる詳細を説明する。