(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6357613
(24)【登録日】2018年6月22日
(45)【発行日】2018年7月11日
(54)【発明の名称】刃物研ぎ器
(51)【国際特許分類】
B24B 3/54 20060101AFI20180702BHJP
B24B 3/36 20060101ALI20180702BHJP
【FI】
B24B3/54
B24B3/36 M
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-55246(P2018-55246)
(22)【出願日】2018年3月5日
【審査請求日】2018年3月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518098911
【氏名又は名称】鈴木 涼太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 涼太
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−93443(JP,U)
【文献】
特公昭41−6436(JP,B1)
【文献】
特開2005−138222(JP,A)
【文献】
米国特許第5944592(US,A)
【文献】
実開昭55−2514(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/00 − 3/60
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面視柱状の台形で、平坦な第1の斜面と該第1の斜面の下端と連通した平坦な第1の底面とを有し、前記第1の斜面と前記第1の底面とに連通された第1の側面を二つ有する第1の台形部材と、
側面視柱状の台形で、前記第1の斜面と対向して配置される平坦な第2の斜面と該第2の斜面の下端と連通した平坦な第2の底面とを有し、前記第2の斜面と前記第2の底面とにより形成される第2の側面を二つ有する第2の台形部材と、
側面視U形の板状で、上面と下面を有しており、前記第1の斜面と対向して前記第2の斜面とにより刃物の刃を挿入する一定の隙間を形成し、前記第1及び第2の底面が面一となると共に、砥石の上部を収納するように、前記下面から第1及び第2の底面まで一定の距離を有して前記第1及び第2の側面の外側端部をそれぞれ固定する一対の固定部材と、
を備えたことを特徴とする刃物研ぎ器。
【請求項2】
側面視柱状の台形で、平坦な第1の斜面と該第1の斜面の下端と連通した平坦な第1の底面とを有し、前記第1の斜面と前記第1の底面とに連通された第1の側面を二つ有する第1の台形部材と、
側面視柱状の台形で、前記第1の斜面と対向して配置される平坦な第2の斜面と該第2の斜面の下端と連通した平坦な第2の底面とを有し、前記第2の斜面と前記第2の底面とにより形成される第2の側面を二つ有する第2の台形部材と、
板状で、上面と下面を有しており、前記第1の斜面と対向して前記第2の斜面とにより刃物の刃を挿入する一定の隙間を形成し、前記第1及び第2の底面が面一とし、砥石の上部を収納するように前記下面からから第1及び第2の底面まで一定の距離を有して前記第1、第2の側面の外側端部をそれぞれ固定する一対の第1の立設部材と、一対の第2の立設部材と、
前記第2の立設部材は、貫通された孔が設けられており、板状で前記第1の立設部材に一端部が固定され、他端部が前記孔に水平方向に摺動自在に挿入される一対の摺動部材と、を備え、
前記摺動部材の移動に基づいて前記隙間の間隔を変える、
ことを特徴とする刃物研ぎ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物研ぎ器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の刃物研ぎ器は、下記特許文献1に記載のように、スライド面を有するベース板と、この上に設けられた砥石受け台と、スライド面でスライド可能に設けられたスライド台と、スライド台に支持板を介して保持され、刃物を載せて刃先が砥石に当接する刃物受け台と、刃物受け台の傾斜角度を変更可能な角度調整手段と、刃物受け台の側面に突出したストッパーと、を備えている。
【0003】
上記のように構成された刃物研ぎ器は、砥石を砥石受け台の上に固定し、刃物受け台の傾斜角度を刃物の刃先角度に合せる。刃物受け台に刃物を載せて刃先をストッパーに当て、作業者が刃物を押しつけながら刃物受け台を動かすことにより、刃物の刃先が砥石と接触しながら研がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−193028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者は、上記刃物研ぎ器では、ベース板、砥石をスライド台と刃物受け台との間に設けられた砥石受け台の上に置いて、刃物受け台等をスライドしなければならす構成部品が多くなっているという課題を見出した。さらに、二つのストッパーに刃物の刃が当接するので、ストッパー間の間隔によって、刃の長さが制限されると共に、刃先がストッパーに当たるので、刃先の両端部が研ぎにくくなる。しかも、作業者が刃物を刃物受け台に押圧しながら、刃物受け台を砥石に対して前後方向に移動しつつ、刃物の刃先を砥石により研ぐことになるので、作業が煩わしかったという課題を見出した。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、簡易な構成で、ストッパーを不要にすると共に、刃物の刃先が研ぎ易い刃物研ぎ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る刃物研ぎ器は、側面視柱状の台形で、平坦な第1の斜面と該第1の斜面の下端と連通した平坦な第1の底面とを有し、前記第1の斜面と前記第1の底面とに連通された第1の側面を二つ有する第1の台形部材と、側面視柱状の台形で、前記第1の斜面と対向して配置される平坦な第2の斜面と該第2の斜面の下端と連通した平坦な第2の底面とを有し、前記第2の斜面と前記第2の底面とにより形成される第2の側面を二つ有する第2の台形部材と、側面視U形の板状で、上面と下面を有しており、前記第1の斜面と対向して前記第2の斜面とにより刃物の刃を挿入する一定の隙間を形成し、前記第1及び第2の底面が面一となると共に、砥石の上部を収納するように、前記下面から第1及び第2の底面まで一定の距離を有して前記第1及び第2の側面の外側端部をそれぞれ固定する一対の固定部材と、を備えたことを特徴とする。
上記刃物研ぎ器よれば、隙間に刃物の刃先を下方に挿入することにより、刃物の刃は、第1の斜面と第2の斜面とに挟まれて砥石により研ぎ作業する方向への移動が阻止される。刃先が第1及び第2の底面から僅かに突出し、砥石の天面と接触する。この状態で、作業者が刃物研ぎ器を砥石に対して、水平方向へ往復移動すると、容易に刃物の刃先を研げる。さらに、刃物を挿入する隙間が開放しているので、隙間に刃物を挿入し易く、刃の長い刃物も挿入可能となる。加えて、従来のようにストッパー部材もないことから、刃全体を砥石により容易に研ぐことができる。
【0008】
他の発明に係る刃物研ぎ器は、側面視柱状の台形で、平坦な第1の斜面と該第1の斜面の下端と連通した平坦な第1の底面とを有し、前記第1の斜面と前記第1の底面とに連通された第1の側面を二つ有する第1の台形部材と、側面視柱状の台形で、前記第1の斜面と対向して配置される平坦な第2の斜面と該第2の斜面の下端と連通した平坦な第2の底面とを有し、前記第2の斜面と前記第2の底面とにより形成される第2の側面を二つ有する第2の台形部材と、板状で、上面と下面を有しており、前記第1の斜面と対向して前記第2の斜面とにより刃物の刃を挿入する一定の隙間を形成し、前記第1及び第2の底面が面一とし、砥石の上部を収納するように前記下面からから第1及び第2の底面まで一定の距離を有して前記第1、第2の側面の外側端部をそれぞれ固定する一対の第1の立設部材と、一対の第2の立設部材と、前記第2の立設部材は、貫通された孔が設けられており、板状で前記第1の立設部材に一端部が固定され、他端部が前記孔に水平方向に摺動自在に挿入される一対の摺動部材と、を備え、前記摺動部材の移動に基づいて前記隙間の間隔を変える、ことを特徴とする。
上記刃物研ぎ器によれば、第1及び第2の斜面により形成された隙間の間隔を変更できるので、刃物の刃の厚さに応じて、刃をしっかり挟持しながら、砥石により刃物の刃先を容易に研ぐことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で、ストッパーを不要にすると共に、刃物の刃先が研ぎ易い刃物研ぎ器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態による刃物研ぎ器の斜視図である。
【
図2】
図1に示す刃物研ぎ器の平面図(a)、正面図(b)、右側面図(c)である。
【
図3】
図1に示す刃物研ぎ器を用いて刃物を研ぐ動作を示す説明図である。
【
図4】本発明の他の実施の形態による刃物研ぎ器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を
図1及び
図2によって説明する。
図1及び
図2において、刃物研ぎ器1は、側面視台形形状の第1及び第2の台形部材3、5と、この第1及び第2の台形部材3、5の平坦な二つの側面3a、5aの外側端部を固定する固定手段とを備えている。ここで、第1の台形部材3と第2の台形部材5とは、同一の大きさで、高さと幅と長さとが等しく形成されており、第1の台形部材3は、第1の底面3cが天面3bより長い方を下向きに配置し、第2の台形部材5は、第2の底面5cが天面5bより短い方を下向きに配置して、第1の台形部材3の第1の斜面3sと第2の台形部材の第2の斜面5sとが対向して、長方形の柱状で斜めに一定の隙間g1を形成するように配置されている。この隙間g1に刃物の刃が挿入される。
【0012】
第1の台形部材3は、第1の側面3aの上端と連通した平坦な第1の天面3bと、側面3aの下端と連通した底面3cとを有している。第2の台形部材5は、第2の側面5aの上端と連通した平坦な天面5bと、側面5aの下端と連通した底面5cとを有している。第1の斜面3sの第1の傾斜角Θ1は、底面3cと第1の斜面3sに挟まれる角度で、鋭角であり、第2の斜面5sの第2の傾斜角Θ2は、天面5bと第2の斜面5sに挟まれる角度で、第1の傾斜角と同一に形成されている。第1の底面3cと、第2の底面5cとが面一で、第1の側面3aの外側端部と第2の側面5aの外側端部とをそれぞれ固定する側面視U形状で、上面と下面とを有する板状の一対の固定部材7を二つ備えている。ここで、固定部材7の下面から第1及び第2の底面3c、5cまで、
図2(c)に示すように前記下面から一定の距離L1を有するように形成されている。
図3に示す四角柱状の砥石500の上部を収納するためである。
【0013】
上記のように構成された刃物研ぎ器に刃物を装着して刃物を砥石により磨ぐ動作を
図1及び
図3を主にして説明する。まず、四角柱状の砥石500を準備する。砥石500の上に刃物研ぎ器1の第1及び第2の底面3c、5cを載せると、一対の固定部材7の間に砥石500の上部を収納する。この状態で、刃物研ぎ器1の隙間g1に刃物の刃200を挿入して刃物の刃先200aが第1及び第2の台形部材3、5の底面3c、5cから僅かに突出させる。次に、刃物研ぎ器1を
図3に示す実線から一点鎖線へと移動し、逆に一鎖線から実線へと移動すると、一対の固定部材7が砥石500上を移動する際のガイドとなりつつ、第1の斜面3sと第2の斜面5sとにより刃物の刃200を保持して、刃物の刃先200aを容易に研ぐことができる。
【0014】
実施の形態2.
本発明の他の実施の形態を
図4によって説明する。
図4中、
図1と同一符号は、同一部分を示し、説明を省略する。
図4において、刃物研ぎ器101は、隙間g1の間隔を変更可能な調整機構を備えている。調整機構は、第1の台形部材3の二つの側面3aの外側端部をそれぞれ固定する板状の一対の第1の立設部材55と、第2の台形部材5の二つの側面5aの外側端部をそれぞれ固定する一対の第2の立設部材57とを備え、第2の立設部材57の下部には、四角柱状の貫通孔57eが設けられている。
【0015】
さらに、調整機構は、四角柱で、一対の摺動部材59の一端部が第1の立設部材55の外側側面の下部に固定され、摺動部材59の他端部が第2の立設部材57の孔57eに挿入されて摺動しながら移動することにより第2の台形部材5が水平移動して隙間g1の間隔を調整できるように形成されている。刃物研ぎ器101は、第1及び第2の立設部材55、57の下面から第1及び第2の底面3c、5cまで一定の距離L2を有するように形成されている。これにより、刃物の刃200の厚さに対応して隙間g1の間隔を変更できるので、隙間g1に刃物の刃200を挿入し易くなると共に、刃200を第1及び第2の斜面3s、5sによりしっかりと挟持できるので、研ぎ作業が容易となる。
なお、摺動部材59を移動した後、第2の立設部材57の外側側面からネジ孔を設けて、このネジ孔に螺子を螺合して摺動部材59を固定しても良い。
【符号の説明】
【0016】
1,101 刃物研ぎ器、3 第1の台形部材、3c 第1の底面、3s 第1の斜面、5 第2の台形部材、5c 第2の底面、5s 第2の斜面、7 固定部材、55 第1の立設部材、57 第2の立設部材、59 摺動部材、g1 隙間。
【要約】
【課題】 簡易で扱いやすい刃物研ぎ器を得ること。
【解決手段】第1の斜面3sと第1の斜面3sの下端と連通した平坦な第1の底面3cとを有し、第1の斜面3sと第1の底面3cとに連通された第1の側面3aを二つ有する第1の台形部材3と、第1の斜面3sと対向して配置される第2の斜面5sと第2の斜面5sの下端と連通した第2の底面5cとを有し、第2の斜面5sと第2の底面5cとにより形成される第2の側面5aを二つ有する第2の台形部材5と、第1の斜面3sと対向して第2の斜面5sとにより刃物の刃を挿入する一定の隙間g1を形成し、第1及び第2の底面3c、5cが面一となるように第1及び第2の側面3a、5aの外側端部を固定する一対の固定部材7と、を備えたものである。
【選択図】
図1