特許第6357615号(P6357615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357615
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】植物診断ロボット
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   A01G7/00 603
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-51186(P2013-51186)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-176326(P2014-176326A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078031
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 皓一
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(74)【代理人】
【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子
(74)【代理人】
【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男
(74)【代理人】
【識別番号】100175891
【弁理士】
【氏名又は名称】原 一敬
(72)【発明者】
【氏名】高山 弘太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英博
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】坂井 義明
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−246488(JP,A)
【文献】 特開平07−010375(JP,A)
【文献】 特開2011−050293(JP,A)
【文献】 特開昭56−070273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
B65H 54/00−54/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培作物条間を走行する走行装置(2)と、該走行装置(2)の片側方の栽培作物の生育情報を測定する情報測定装置(3)と、該走行装置(2)及び情報測定装置(3)の制御を行なう制御装置(4)とからなる植物診断ロボットにおいて、
機体を移動操作するための左右幅(E)の移動ハンドル(5)と、
前記走行装置(2)、前記情報測定装置(3)及び前記制御装置(4)に電力を供給する電源装置(6)とを設け、
前記情報測定装置(3)、前記走行装置(2)の左右幅(D)内で測定対象の片側方の栽培作物から離間(C)する他側方に配置し
前記制御装置(4)を、前記片側方に配置し、
前記移動ハンドル(5)を、前記走行装置(2)の左右幅(D)内に配置し、
前記情報測定装置(3)、前記制御装置(4)及び前記電源装置(6)を、前記移動ハンドル(5)の左右幅(E)内に配置し、かつ、
前記電源装置(6)に、給電を受ける電源コード(F)と、該電源コード(F)を巻回する巻回部材(31)と、該巻回部材(31)を回転させる回転アクチュエータ(32)と、前記巻回部材(31)に巻回された電源コード(F)の押えローラ(36)と、該押えローラ(36)を上下方向に揺動支持する回動アーム(37)と、該回動アーム(37)が所定の揺動位置に下降したことを検出して前記回転アクチュエータ(32)の繰出し駆動を停止制御するためのコード停止部材(37b)とを設けたことを特徴とする植物診断ロボット。
【請求項2】
前記押えローラ(36)は、複数の分割ローラ(36b)を共通支軸(36c)により横並びに遊動支持して構成したことを特徴とする請求項1に記載の植物診断ロボット。
【請求項3】
前記移動ハンドル(5)及び前記電源装置(6)を、機体の走行方向の一端側に設けたことを特徴とする請求項1記載の植物診断ロボット。
【請求項4】
前記電源装置(6)に、さらに前記電源コード(F)の横移動を規制するコード規制部材(33)と、該コード規制部材(33)を前記巻回部材(31)の巻回幅(G)内で往復移動させるコード口搬送装置(35)とを設けたことを特徴とする請求項に記載の植物診断ロボット。
【請求項5】
前記コード口搬送装置(35)は、駆動アクチュエータ(35a)と、該駆動アクチュエータ(35a)の作動により一方向に回転する回転アーム(35b)と、前記コード規制部材(33)を前記巻回部材(31)の巻回幅方向に亘って往復移動させるガイドレール(34)と、前記回転アーム(35b)と前記コード規制部材(33)を連結アーム(35c)で連結したことを特徴とする請求項4に記載の植物診断ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育情報測定装置を搭載して栽培棚の間を検測走行することにより、全自動で栽培作物の生育診断を行う植物診断ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行特許文献1に記載の植物診断ロボットは、作物の栽培棚の間の作業通路に沿って設けられた送水パイプ上を走行移動可能に構成され、走行車体上の左右方向中央部に設けられて栽培棚の全高さ範囲に及ぶ情報測定装置によって左右の作物の生育状態を検知するものである。この植物診断ロボットは蓄電池を搭載しているので、送水パイプ上を移動して情報測定作業を終えると、栽培棚の端部に設けられた移動通路に自動で下りて、次の作業通路に向かって移動する構成とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−80843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、栽培棚の間の作業通路が狭いことから、走行車体の中央部にある情報測定装置から左右の作物との距離が十分に取れず、取得された作物の映像がぼやけたり、近接照射光によって検知装置の検出値が乱れたりして、正確な作物の生育情報が得られない問題がある。また、作物の生育状態によっては、葉や花、果実等が移動中の情報測定装置に接触して傷付くことがあり、作物の収量や商品価値が低下する問題がある。
【0005】
そして、動力源を蓄電池としているので稼働時間が限られ、生育情報の測定中に停止してしまい、生育状態の判断に適した情報が得られない問題がある。これに加えて、情報は十分に取得できていても、電池切れで停止した場合は作業者が機体を移動させて充電可能な箇所まで移動させる必要があり、作業者の労力が増大する問題がある。さらに、情報測定装置は検知場所に移動している間も作動しているので、電力の消耗が早くなり、作業時間が短くなる問題があると共に、走行装置の始動時や停止時の振動の影響を受けやすく、取得される情報が正確でないものになる問題がある。
【0006】
本発明の目的は、左右の栽培棚の間の狭い作業通路において、移動機体や情報測定装置の接触を回避して栽培棚の生育作物の保護を図りつつ情報測定装置による測定精度を確保し、さらに加えて、作業効率の向上を可能とする植物診断ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、栽培作物条間を走行する走行装置(2)と、該走行装置(2)の片側方の栽培作物の生育情報を測定する情報測定装置(3)と、該走行装置(2)及び情報測定装置(3)の制御を行なう制御装置(4)とからなる植物診断ロボットにおいて、機体を移動操作するための左右幅(E)の移動ハンドル(5)と、前記走行装置(2)、前記情報測定装置(3)及び前記制御装置(4)に電力を供給する電源装置(6)とを設け、前記情報測定装置(3)、前記走行装置(2)の左右幅(D)内で測定対象の片側方の栽培作物から離間(C)する他側方に配置し、前記制御装置(4)を、前記片側方に配置し、前記移動ハンドル(5)を、前記走行装置(2)の左右幅(D)内に配置し、前記情報測定装置(3)、前記制御装置(4)及び前記電源装置(6)を、前記移動ハンドル(5)の左右幅(E)内に配置し、かつ、前記電源装置(6)に、給電を受ける電源コード(F)と、該電源コード(F)を巻回する巻回部材(31)と、該巻回部材(31)を回転させる回転アクチュエータ(32)と、前記巻回部材(31)に巻回された電源コード(F)の押えローラ(36)と、該押えローラ(36)を上下方向に揺動支持する回動アーム(37)と、該回動アーム(37)が所定の揺動位置に下降したことを検出して前記回転アクチュエータ(32)の繰出し駆動を停止制御するためのコード停止部材(37b)とを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成において、前記押えローラ(36)は、複数の分割ローラ(36b)を共通支軸(36c)により横並びに遊動支持して構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項に係る発明の構成において、前記移動ハンドル(5)及び前記電源装置(6)を、機体の走行方向の一端側に設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の構成において、前記電源装置(6)に、さらに前記電源コード(F)の横移動を規制するコード規制部材(33)と、該コード規制部材(33)を前記巻回部材(31)の巻回幅(G)内で往復移動させるコード口搬送装置(35)とを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の構成において、前記コード口搬送装置(35)は、駆動アクチュエータ(35a)と、該駆動アクチュエータ(35a)の作動により一方向に回転する回転アーム(35b)と、前記コード規制部材(33)を前記巻回部材(31)の巻回幅方向に亘って往復移動させるガイドレール(34)と、前記回転アーム(35b)と前記コード規制部材(33)を連結アーム(35c)で連結したことを特徴とする。
【0012】
(削除)
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
(削除)
【0016】
(削除)
【0017】
(削除)
【0018】
(削除)
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明により、栽培作物の生育情報を測定する情報測定装置(3)を走行装置(2)の左右幅(D)内に設けたことにより、情報測定装置(3)が栽培作物に接触することを防止できるので、栽培作物が傷付くことが防止され、栽培作物の生育が安定すると共に、品質が向上する。また、情報測定装置(3)を測定対象の栽培作物から離間(C)する位置に配置したことにより、情報測定装置(3)が栽培作物の生育状態を広範に亘って測定することができるので、生育状態の把握や生育異常の把握が容易になり、作業能率が向上する。
また、情報測定装置(3)を設けた側の反対側に制御装置(4)を設けたことにより、走行装置(2)の一側にバランスが偏ることを防止できるので、走行装置(2)は栽培作物条に沿って直線的に移動することができ、より精度の高い栽培作物の生育情報が取得される。
また、情報測定装置(3)と制御装置(4)を移動ハンドル(5)の左右幅(E)内に設けることにより、情報測定装置(3)や制御装置(4)が栽培作物に接触することを防止できるので、栽培作物が傷付くことが防止され、栽培作物の生育が安定すると共に、作物の品質が向上する。
さらに、電源装置(6)を移動ハンドル(5)の左右幅(E)内に配置することにより、電源装置(6)と栽培作物との間隔がより広く確保され、電源装置(6)が栽培作物に接触することを防止できるので、栽培作物が傷付くことが防止され、栽培作物の生育が安定すると共に、品質が向上する。
また、電源コード(F)を通じて電力を受けることにより、各装置が作業途中に電力不足で停止することを防止できるので、作業能率が向上する
さらに、回動アーム(37)を介して押えローラ(36)で電源コード(F)を上方から押えることにより、電源コード(F)が出し入れされる際に弛みが生じることを防止できるので、電源コード(F)が走行装置(2)の走行を妨げることが防止され、作業能率や情報の測定精度が向上する。
加えて、押えローラ(36)が上下動自在に設けられていることにより、巻回部材(31)に巻き付けられた電源コード(F)の巻回厚さが幅方向で変わっても押えローラ(36)で押えることができるので、いっそう電源コード(F)が弛みにくくなる。さらに、回動アーム(37)にコード停止部材(37b)を設けたことにより、電源コード(F)がそれ以上引き出せない位置が近付いてきたときに自動的に巻回部材(31)の回転アクチュエータ(32)を停止させることができるので、電源コード(F)が電源から抜けたり断線したりして通電されなくなることがなく、作業の無人化が図られる。
【0020】
請求項2に係る発明により、請求項1に係る発明の効果に加え、複数の分割ローラ(36b)を共通支軸(36c)により各々回動自在且つ上下動自在に設けて押えローラ(36)を構成したことにより、電源コード(F)の巻回厚さが巻回部材(31)の幅方向に不揃いでも、複数の分割ローラ(36b)で電源コード(F)を押えることができるので、電源コード(F)が走行装置(2)の直進走行を妨げることが防止され、作業能率や情報の測定精度が向上する。
【0021】
請求項3に係る発明により、請求項に係る発明の効果に加え、電源装置(6)を移動ハンドル(5)と同じ一端側に配置することにより、情報測定装置(3)や制御装置(4)の重量により前後方向のバランスが一方に偏ることを防止できるので、走行装置(2)は栽培作物条間を直線的に移動することができ、より精度の高い栽培作物の生育情報が取得される
【0022】
請求項4に係る発明により、請求項に係る発明の効果に加え、電源コード(F)の横移動を規制するコード規制部材(33)を設けることにより、電源コード(F)に弛みが生じたり、電源コード(F)が巻回部材(31)に偏って巻き付いたりすることを防止できるので、電源コード(F)が走行装置(2)の走行を妨げることが防止され、作業能率や情報の測定精度が向上する。
また、コード規制部材(33)をコード口搬送装置(35)で巻回部材(31)の巻回幅(G)に亘って往復移動させることにより、電源コード(F)が偏って出し入れされることが防止できるので、走行装置(2)の移動や情報測定装置(3)の測定が中断されることが防止される。
【0023】
請求項5に係る発明により、請求項4に係る発明の効果に加え、一方向に回転する回転アーム(35b)によって連結アーム(35c)を所定の軌跡で移動させ、コード規制部材(33)をガイドレール(34)に沿って往復移動させることにより、駆動アクチュエータ(35a)の作動方向を反転させる機構や制御が不要となるので、コード口搬送装置(35)の構成や制御プログラムの構成が簡潔になる。
【0024】
(削除)
【0025】
(削除)
【0026】
本発明の好ましい実施態様においては、植物診断ロボットはさらに、前記走行装置(2)に走行アクチュエータ(12a)を設けて走行制御可能に構成し、前記走行装置(2)と前記情報測定装置(3)とを前記制御装置(4)によって択一的に作動制御することを特徴とする。本発明のこの好ましい実施態様によれば、走行中は情報測定装置(3)を停止することによって余分な電力の消費を防止できるので、作物の栽培にかかるコストが低減され、また、走行が停止すると情報測定装置(3)が作動することにより、走行による揺れの影響を受けることなく栽培作物の情報を測定することができるので、測定される情報の精度が向上する。
【0027】
本発明の好ましい実施態様においては、植物診断ロボットはさらに、前記制御装置(4)による択一的な作動制御は、前記走行装置(2)及び前記情報測定装置(3)の一方の停止から所定時間の経過後に他方を作動させることを特徴とする。本発明のこの好ましい実施態様によれば、走行の停止後で所定時間が経過してから情報測定装置(3)を作動させ、また、情報測定装置(3)の停止後で所定時間が経過してから走行させることにより、走行装置(2)の始動時や停止時の振動の影響を情報測定装置(3)が受けることを防止できるので、測定される情報の精度が向上する。
【0028】
本発明の好ましい実施態様においては、植物診断ロボットはさらに、前記情報測定装置(3)は、個別に測定動作する複数の情報測定ユニット(51)により構成するとともに、それぞれの情報測定ユニット(51)の作動を停止させる個別のスイッチ(52)を設けたことを特徴とする。本発明のこの好ましい実施態様によれば、個別のスイッチ(52)により、対応する情報測定ユニット(51)の作動を個別に選択することができるので、測定が不要な箇所の情報測定ユニット(51)を停止することにより、電力の消費が抑えられる。また、栽培作物の生育時期や品種に合わせて、測定の不要な箇所の情報測定ユニット(51)を停止することにより、余分な情報の負荷が軽減されるので、栽培作物の生育状態が把握しやすくなる。
【0029】
本発明の好ましい実施態様においては、植物診断ロボットはさらに、前記走行装置(2)は、移動走行区間(J)を走行支持する前後の接地転輪(14)と、作業走行区間の左右の作業走行レール(A)の高さ(H)に保持した前後の作業車輪(12,13)とを互いに異なる走行線上に備えるとともに、前記前後の接地転輪(14)の前輪支持位置より前方に上記作業車輪(12,13)の前輪を配置したことを特徴とする。本発明のこの好ましい実施態様によれば、接地転輪(14)より前方に作業車輪(12,13)の前輪を保持したことにより、移動走行区間(J)から左右の作業走行レール(A)による作業走行区間に移行する際は、移動走行区間(J)に接地転輪(14)が機体を支持した状態で、作業車輪(12,13)の前輪が作業走行レール(A)に進入することから、作業走行区間の左右の作業走行レール(A)の近傍に掘下げ部(K)があっても走行装置(2)が下方に移動することを防止できるので、走行装置(2)を持ち上げることなく走行輪を移動レール上に移動させることができ、移動レールにセットする作業者の労力が軽減される。
【0030】
本発明の好ましい実施態様においては、植物診断ロボットはさらに、前記左右の作業走行レール(A)の間で車上側の検知部材の接触によって位置検出をするための位置決め部材(63)を設け、該位置決め部材(63)の両端を左右の作業走行レール(A)に着脱可能に固定する位置固定部材(64)によって支持したことを特徴とする。本発明のこの好ましい実施態様によれば、位置決め部材(63)を作業走行レール(A)に対して着脱自在としたことにより、栽培作物の生育情報の測定を行う区間や、走行装置(2)が自動走行する区間を作物の生育状態や品種に合わせて変更することができるので、作業の無人化が図られると共に、作業条件の適応性が向上する。また、位置決め部材(63)は、位置固定部材(64)でその場に固定することができるので、車上側の検知部材が接触した際に位置決め部材(63)が移動して走行装置(2)の走行範囲や情報測定装置(3)の測定範囲が変化し続けて正確な情報が得られなくなることや、作業が終わらなくなることが防止され、作業の無人化が図られると共に、情報の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】植物診断ロボットの上面図(a)、背面図(b)、および側面図(c)
図2】測定作業中の植物診断ロボットの背面図
図3】巻取式の電源装置の側面図
図4】巻取式の電源装置の上面図
図5】巻取式の電源装置の背面図
図6】巻回コードの押えローラの要部側面図
図7】押えローラの別構成例の斜視図(a)および要部断面図(b)
図8】巻回部材の回転検出部の背面図(a)および側面図(b)
図9】照射面側の機体側面図(a)および測定調節スイッチの見取図(b)
図10】自動測定運転制御のフローチャート
図11】分割ユニット構成の情報測定装置による全体側面図(a)およびその電源基板の接続図(b)
図12】走行装置周りの平面図(a)および側面図(b)
図13】走行範囲の側面図(a)および指標部材の拡大斜視図(b)
図14】モニター装置の取付け斜視図
図15】時間設定ダイヤルの見取図
図16】測定パネルの可動支持例の構造図
図17】送風構成例の照射面側の機体側面図(a)および機体背面図(b)
図18】ブラインド構成例の照射面側の機体側面図(a)および機体背面図(b)
図19】情報測定装置のフレーム構成の上面図(a)および、機体の背面図(b)
図20】傾斜調節装置の側面図(a)および、作業走行時と移動走行時の動作説明図(b)
【発明を実施するための形態】
【0032】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の植物診断ロボットは、クロロフィル蛍光画像計測による光合成機能診断技術と組合せ、栽培作物の光合成電子伝達機能の分布を評価するために、クロロフィル(Chl)蛍光画像計測用の青色LEDパネルを搭載し、栽培棚の周囲に敷設した送水管を走行レールとし、走行タイマーによる直進走行と停止タイマー連動のChl蛍光画像計測とを交互に繰り返して送水管の端部に到着するまでの範囲について対象作物の光合成機能の非接触診断を可能とするものである。
【0033】
その適用例によれば、トマト栽培の10haに及ぶの太陽光植物工場において、温室栽培区画(170m×76m)内の数十点の測定データから光合成機能の空間分布が取得され、その結果、温室内における夜間気温の分布に対応した光合成機能の分布を確認することができた。
【0034】
以下において、植物診断ロボットについて詳細に説明する。
図1は、植物診断ロボットの上面図(a)、背面図(b)、および側面図(c)である。植物診断ロボット1は、走行可能に機器を支持する走行機台である走行装置2と、側方の栽培作物の生育情報を測定する情報測定装置3と、走行及び測定を含む機器制御用の制御装置4と、機体を移動操作するための移動ハンドル5と、搭載機器に給電するための電源装置6と、パソコンやタブレット端末等によるモニター装置7等から構成される。
【0035】
走行装置2は、矩形状の台枠11に、作業車輪としての左右一対の前後輪12,13と移動車輪としての左右一対の接地転輪14,14とを備える。左右一対の前後輪12,13は、左右の前輪12,12に電動機等の走行アクチュエータ12aを備えて減速駆動し、栽培ハウス内の栽培作物条(栽培棚)の間の所定幅の作業通路に配設されて走行レールとなる左右の送水管A,A上を前後進可能に接地転輪14,14より高い所定高さHに保持し、また、左右一対の接地転輪14,14は、移動用通路を介して任意の作業通路に移動可能にキャスターホイール等により構成する。
【0036】
(測定装置)
情報測定装置3は、走行装置2の台枠11から直立する扁平構成のフレーム21に光照射用の発光ダイオードと反射光を受けるカメラとからなる測定パネル22…を片側方に向けて取付け、測定作業中の植物診断ロボットの背面図を図2に示すように、測定対象側の作物Bから必要な距離Cを離して反対側に寄せることにより、狭い作業通路における測定精度を確保するとともに、作物との干渉を防止するために、台枠11の幅D内に、栽培作物の高さの範囲と対応して作物の生育状況を測定可能に構成する。
【0037】
制御装置4は、手動操作による走行及び測定に加え、走行及び測定を自律制御して栽培作物条の所定範囲について自動測定した後に基準位置に帰着する全自動測定制御機能を備え、情報測定装置3と反対側に配置した走行制御部4aと測定制御部4bとによって機体を左右にバランスさせ、また、台枠11の幅D内に収容配置することにより、作物との干渉を防止可能に構成する。
【0038】
移動ハンドル5は、台枠11の後部に起立する略門形のフレームであり、歩行作業者が機体を移動操作可能に構成し、この移動ハンドル5を中心にモニター装置7を含む運転操作部を構成する。また、作物との干渉を防止するために、台枠11の幅D寸法内で、かつ、情報測定装置3を保護範囲とする所定幅Eに移動ハンドル5を形成する。
【0039】
(電源装置)
電源装置6は、巻取式の電源装置6の側面図、上面図、及び背面図を図3図5に示すように、コードの巻回部材31であるコードリールを台枠11の後部の移動ハンドル5の近傍に門形フレーム31aを起設して支持することにより機体を前後にバランスさせるとともに、機体の走行と対応して電源コードFを巻取りと繰出し可能に構成する。また、門形フレーム31aの上部に、巻回部材31の巻取繰出スイッチ31b、走行装置2の前後進スイッチ31c、自動測定運転スイッチ31dを集中配置してモニター装置7と合わせて運転操作部を形成する。
【0040】
巻回部材31は、減速電動機等によるリール回転アクチュエータ32を備えて電動巻取り可能に構成し、電源コードFの巻回口には、電源コードFの横移動を規制するコード規制部材33と、このコード規制部材33を巻回幅方向にスライド移動可能に支持するガイドレール34と、減速電動機等による回転アクチュエータ35aによって減速回転駆動される回転アーム35bと連結アーム35cとからなる電動クランク機構によるコード口搬送装置35とを門形フレーム31aに取付けることにより、コード規制部材33を巻回幅G内で往復移動可能に構成する。
【0041】
このように構成した巻回部材31による巻取式の電源装置6は、電源コードFを介して電力を有線供給することにより、搭載各装置が作業途中に電力不足で停止することを防止できるので作業能率を向上することができるとともに、巻回部材31を後部配置の移動ハンドル5の近傍に配置したことにより、情報測定装置3や制御装置4の重量により進行方向のバランスが一方に偏ることを防止できるので、走行装置2は栽培作物条に沿って直線的に移動することができ、より精度の高い栽培作物の生育情報が取得される。
【0042】
植物診断ロボット1の移動の際は、前進走行距離に合わせて巻回部材31を繰出し回動制御し、後退走行距離に合わせて巻取り回動制御する。このとき、電源コードFの横移動を規制するコード規制部材33を設けたことにより、電源コードFに弛みが生じたり、電源コードFが巻回部材31に偏って巻き付いたりすることを防止できるので、電源コードFが走行装置2の走行を妨げることが防止され、作業能率や情報の測定精度が向上する。
【0043】
また、コード規制部材33をコード口搬送装置35で巻回部材31の幅に亘って往復移動させることにより、電源コードFが巻回部材31の幅内で左右に振られるので、電源コードFが偏って出し入れされることが防止でき、走行装置2の移動や情報測定装置3の測定が中断されることが防止される。
【0044】
また、一方向に回転する回転アーム35bによって連結アーム35cを所定の軌跡で移動させ、コード規制部材33をガイドレール34に沿って往復移動させることにより、回転アクチュエータ35aの作動方向を反転させる機構や制御が不要となるので、コード口搬送装置35の構成や制御プログラムの構成が簡潔になる。
【0045】
次に、巻回コードの押えローラ36を、図6の要部側面図に示すように、巻回部材31の上部に接して回動アーム37により支持し、その基部を門形フレーム31aの上端に設けた機体幅方向の支軸37aに軸支し、押えローラ36の近傍に重錘36aを取付けて下方に付勢することにより、巻回部材31に巻回した電源コードFを押え、その巻回幅Gの範囲で上下動作可能に構成する。また、回動アーム37をその下降限度の近傍位置で検出するセンサーであるコード停止部材37bを設けて、巻回部材31の繰出し動作を停止または逆転するようにアクチュエータ32を制御可能に構成する。前記コード停止部材37bであるセンサーは、コード停止部材37bが電源コードFに接触すると検知状態とする距離センサーとしてもよく、または、コード停止部材37bと電源コードFとの間隔が所定距離未満になると検知状態とする近接センサーとしてもよい。
【0046】
上記構成の押えローラ36は、回動アーム37を介して上下動自在に電源コードFを上方から押えることにより、電源コードFが出し入れされる際に弛みが生じることを防止できるので、電源コードFが走行装置の走行を妨げることが防止され、作業能率や情報の測定精度が向上する。
【0047】
また、押えローラ36が上下動自在に設けられていることにより、巻回部材31に巻付けられた電源コードFの巻取り高さが幅方向で変わっても押えローラ36で押えることができるので、いっそう電源コードFが弛みにくくなる。
【0048】
さらに、回動アーム37を下限角度の近傍で検出するコード停止部材37bを設けたことにより、電源コードFがそれ以上引き出せない位置が近付いてきたときに自動的にリール回転アクチュエータ32を停止させることができるので、電源コードFが電源から抜けたり断線したりして通電されなくなることがなく、作業の無人化が図られる。
【0049】
上記押えローラ36は、別構成例の斜視図(a)および要部断面図(b)を図7に示すように、複数の分割ローラ36b…を横並びに配置し、共通の支軸36cに遊動支持する。各ローラ36b…は、電源コードFの太さ相当の厚さ寸法に形成することにより、巻回部材31の幅方向のどの位置においても電源コードFを押え分割ローラ36b…で上方から押えることができるので、電源コードFが走行装置2の直進走行を妨げることが防止され、作業能率や情報の測定精度が向上する。
【0050】
また、巻回部材31をプーリ形状または鼓形とし、中心支軸の固定側に不図示のコンセント差込口を設けることにより、制御装置や記録装置の電源を容易に確保することができる。また、巻回部材31の回転検出部の背面図(a)及び側面図(b)を図8に示すように、巻回部材31の側面に突部38aを設け、この突部38aの通過を検出するセンサー38bを門形フレーム31a等に取付け、巻回部材31の回転異常を検出した場合に回動アクチュエータ32を停止させることにより、安全性を確保することができる。
【0051】
(測定制御)
次に、情報測定装置3の制御について説明すると、情報測定装置3の照射面側の機体側面図を図9(a)に示すように、扁平構成のフレーム21に照明制御可能な発光ダイオードによるLEDパネル41と撮影制御可能なカメラ42とを取付け、自動測定運転の際に、走行装置2と情報測定装置3とを交互に作動する運転制御を構成することにより、機体走行が停止してから情報測定装置3が作動することにより、走行による揺れの影響を受けることなく栽培作物の情報を測定することができるので、測定精度が向上するとともに、走行中の余分な電力の節電が可能となる。
【0052】
この場合において、走行停止後に情報測定装置3の揺れが収まるに足る時間(例えば数秒間)のインターバルを経て情報測定装置3を作動させてLEDパネル41の点灯とカメラ42による測定を開始することにより、所定の測定精度を確保することができる。また、LEDパネル41の点灯調節ダイヤルの見取図を図9(b)に示すように、走行制御部4aにインターバル調節用の点灯調節ダイヤル43を設けて点灯までの時間を調節することにより、測定精度と測定作業能率を適切に調節することができる。
【0053】
自動測定運転制御は、自動測定運転スイッチ31dのオンによって開始され、そのフローチャートを図10に示すように、第1の制御ステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により、開始から数秒後に走行装置2を作動させて測定範囲の始端位置まで機体を前進させる。この前進制御は、走行距離分の電源コードFを繰り出すように、巻回部材31とコード口搬送装置35の作動を連動制御する。
【0054】
次いで、調節用のダイヤル41aによって定めた所定のインターバルが停止からの経過(S2)を待って情報測定装置3を作動させることによりLEDパネル41の点灯とカメラ42による測定を行い(S3)、測定の終了時にLEDパネル41を消灯(S4)し、数秒の所定時間経過後に走行装置2を作動させて機体を隣接位置に前進(S5)させ、この前進により後述の終端検知(S6)に該当するまでの間について、停止後のインターバルの経過(S2)から測定(S3)、消灯(S4)、前進(S5)を繰返す。
【0055】
また、前進によって終端検知に至った時(S6)は、数秒の間を置いて機体を一気に後進(S7)させ、この後進と連動して巻回部材31とコード口搬送装置35を逆転させる。後進の過程における後述の定位置検知で機体を停止(S8)させた上で、自動測定運転スイッチ31dをオフ(S9)にリセットして自動測定運転制御を終了する。
【0056】
この自動測定運転のほかに、手動測定運転の際は、走行装置2の前後進スイッチ31cの操作に連動して巻回部材31の繰出し巻取りを制御することにより、任意の位置に手動で移動して栽培作物の測定を行うことができる。
また、栽培作物条間の走行の前後を含む移動通路における機体の取扱いは、歩行作業者による移動ハンドル5の操作と巻回部材31の巻取繰出スイッチ31bの操作により機体を接地転輪14…によって移動することができる。
【0057】
(分割ユニット構成)
情報測定装置3の別の構成例として分割ユニット構成について説明する。分割ユニット構成の情報測定装置による全体側面図を図11(a)に示すように、フレーム21の区画毎にLED照射用の情報測定ユニット51…を取付けてLEDパネル3aを構成する。その電源基板52の接続図を図11(b)に示すように、受電元側のメインスイッチ53を介して複数の情報測定ユニット51…毎のスイッチ54…を設け、この電源基板52を測定制御部4bに収容して集合コネクタ55によってLEDパネル3aと接続する。
【0058】
上記構成の情報測定装置3は、測定制御部4bに収容したLED電源基板52のスイッチ操作により、対応する情報測定ユニット51が栽培作物の情報を測定するか否かを切り替え可能に構成する。この情報測定装置3により、測定が不要な箇所の情報測定ユニット51を切にすることにより、必要な範囲に限った測定が可能となるので、電力の消費が抑えられる。また、栽培作物の生育時期や品種に合わせて、測定の不要な箇所の情報測定をカットすることにより、余分な情報が測定されず、栽培作物の生育状態が把握しやすくなる。
【0059】
(車輪配置)
次に、走行装置の車輪配置について説明する。
作業通路の左右の送水管A,Aの周りには、移動通路の路面Jより低い掘下部を形成する例があり、移動通路から作業通路の左右の送水管A,A上に駆動前輪12,12を進入させる際に、接地転輪14…が先行して掘下部Kに進入すると駆動前輪12,12の保持高さが確保できないことから、作業者が機体の前方にまわって機体前部を持上げて駆動前輪12,12を送水管A,A上に乗せるという煩わしい作業を強いられる事態を招くこととなる。
【0060】
この問題を解決するために、走行装置周りの平面図(a)および側面図(b)を図12に示すように、駆動前輪12を前側の接地転輪14,14より前側に配置して走行装置2を構成する。このように駆動前輪12を先行位置に配置することにより、移動通路から作業通路の左右の送水管A,A上に駆動前輪12,12を進入させる際に、移動通路の路面Jより低い掘下部Kが左右の送水管A,Aの周りに形成されていても、接地転輪14,14が移動通路の高さの路面Jによって機体を支持しつつ、前方配置の駆動前輪12,12が左右の送水管A,A上に到達することから、支障なく駆動前輪12と従動後輪13とによる作業走行に移行することができる。
【0061】
また、駆動前輪12の少なくとも左右の一方について、その上方位置の走行装置2及び情報測定装置3のフレームの間を開放して構成し、移動ハンドル5を操作する歩行作業者から駆動前輪12に向う視線Lを遮ることのない柱により構成することにより、歩行作業者の視界L内で駆動前輪12を見通せることから、左右の送水管A,A上に駆動前輪12,12を進入させる際に、相互間の確実な位置合せが可能となるので、能率良く測定走行に移行することができる。
【0062】
(行程指標)
次に、植物診断ロボット1の自動測定走行の範囲を定める始終端の構成について説明する。
走行範囲の側面図(a)及び指標部材の拡大斜視図(b)を図13に示すように、地上側に設定した走行行程指標を車上検出する触針式等のセンサー61を植物診断ロボット1の機体の前端と後端に設け、それぞれ終端検出部P、帰点検出部Qを構成し、地上側の位置指標としての位置決め部材63を終端位置Mおよび帰点位置Nの左右の送水管A,Aの間に配置し、機体が前進走行して終端検出部Pのセンサー61が終端位置Mの位置決め部材63を検出したときに後進走行に切替え、帰点検出部Qのセンサー61が帰点位置Nの位置決め部材63を検出したときに走行を停止する走行制御を構成することにより、所定の範囲を自動測定走行して自動帰着する無人測定走行が可能となる。
【0063】
固定側指標である位置決め部材63は、固定用の左右の磁石64,64や締結ボルト等の位置固定部材を備え、終端検出部P、帰点検出部Qのセンサー61が触針先端部(30mm程度)と接触可能に左右の送水管A,Aの上端と略同じ高さに固定することにより、位置変更可能な着脱式であって、且つ、センサー61の接触によっても位置ずれ無しに安定配置することができる。
【0064】
(モニター装置)
上記主要構成に続き、植物診断ロボット1の細部構成例について以下に説明する。
図14は、モニター装置7の斜視図である。モニター装置7は、制御モニター機能を内蔵したノートパソコンやタブレット端末等により構成し、移動ハンドル5より上方位置に設けた棚71に配置する。その取付け構成は、棚71の全周に立上縁72を設け、滑り止めおよび防振用のウレタンマット71aを敷いてモニター装置7を載せ、脱落防止のために着脱可能な面ファスナ73で押えて固定することにより、作業者が機体を操作しながらでも容易に情報確認が可能となる。
【0065】
図15は、時間設定ダイヤルの見取図である。制御装置4には、移動調節ダイヤル75と測定調節ダイヤル76とを設け、それぞれ、例えば、機体移動時間を1〜60秒、測定時間を30〜180秒の範囲で時間設定を調節可能に構成する。これらの調節ダイヤル75,76により、状況に応じた時間設定によって測定精度を向上することができる。例えば、作物の測定場所(位置)の変更や、作物の多い少ないによって測定時間を変更することができる。
【0066】
(可動パネル)
図16は、測定パネルの可動支持例の構成図である。情報測定装置3の個々の測定パネル22…について、それぞれの上端部に設けた支点81をフレーム21に軸支し、下端部に連結したロッド82の固定ノブ82aにより、フレーム21に対して傾斜調節可能に構成する。この固定ノブ82aによるロッド82の調節により、測定パネル22の照射方向を上向きに角度調節することができ、葉が大きくて果実の診断が困難な場合に、下方から光を当てることで、診断精度を向上することができる。
【0067】
(送風構成)
図17は、情報測定装置3の送風構成例の照射面側の機体側面図(a)および機体背面図(b)である。情報測定装置3のフレーム21に複数のファン83…を配置し、測定パネル22…の後方から斜め上方に向けてフレーム21に取付ける。これらファン83…により下方から送風することにより、葉が側方に移動して果実が見えやすくなるので、測定精度を向上することができるとともに、測定パネル22…の放熱が可能となる。
【0068】
(ブラインド)
図18は、情報測定装置3のブラインド構成例の照射面側の機体側面図(a)および機体背面図(b)である。情報測定装置3の測定パネル22…の前面を遮光可能なロールスクリーン型のブラインド85を設ける。詳細には、ブラインド85は、フレーム21の上端部に巻取軸85aを取付け、遮光用のブラインドマット85bの一端を一体に連結し、巻取軸85aの左右どちらかの端部に滑車86を固定し、操作高さ位置に及ぶ昇降操作用の巻取紐86aを滑車86に掛けて構成することにより、巻取紐86aを介してブラインドマット85bを上下させることができる。このブラインド85により、情報測定装置3の照射面側に太陽光を直接受けないようにして測定パネル22…の保護を図ることができる。
【0069】
(フレーム)
図19は、情報測定装置3のフレーム構成の上面図(a)及び機体の背面図(b)である。情報測定装置3のフレーム21の背面側の両コーナー部21a,21aの角を落して円弧状に構成することにより、走行時に情報測定装置3とその背面側の栽培作物条の作物が接触した際の傷を小さく抑えることができ、また、両コーナー部21a,21aを含むフレーム21の両側端に軟質カバー21b,21bを装着することにより、更に傷を小さく抑えることができるとともに、情報測定装置3が壁などに接触したときの保護が可能となる。
【0070】
(傾斜調節装置)
図20は、機体の傾斜調節装置の側面図(a)および、作業走行時と移動走行時の動作説明図(b)である。傾斜調節装置91は情報測定装置3の直下位置に構成する。詳細には、台枠11の左右間に軸支したボールスクリュー92と螺合して左右移動可能に支持したウェイト93によって構成する。ボールスクリュー92はチェーン伝動によるレバーシブルモータ94によって正逆転可能に構成するとともに、台枠11の左右側端部に互いに裾広がりに下垂傾斜する左右の傾斜センサー95,95を設ける。
【0071】
左右の傾斜センサー95,95は、情報測定装置3が左右に傾斜した時にその傾斜側の傾斜センサー95,95の下部が台枠11の傾斜を介して移動通路の路面J、または、走行レールである送水管Aとの接触を検出可能に構成し、この検出側と反対側方向にウェイト93を移動するようにレバーシブルモータ94を駆動制御することにより、上下に長い情報測定装置3の傾斜による破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 植物診断ロボット
2 走行装置
3 情報測定装置
3a LEDパネル
4 制御装置
5 移動ハンドル
6 電源装置
11 台枠
12 駆動前輪(作業車輪)
12a 走行アクチュエータ
13 従動後輪(作業車輪)
14 キャスター(接地転輪)
31 コードリール(巻回部材)
32 電動機(リール回転アクチュエータ)
33 コード規制部材
34 ガイドレール
35 コード口搬送装置
35a 電動機(回転アクチュエータ)
35b 回転アーム
35c 連結アーム
36 押えローラ
36b 分割ローラ
36c 支軸
37 回動アーム
37b コード停止部材
43 点灯調節ダイヤル
51 情報測定ユニット
52 スイッチ
53 電源基板
61 センサー
63 位置決め部材
64 磁石(位置固定部材)
A 送水管(作業走行レール)
B 作物
C 距離
D 左右幅
E 左右幅
F 電源コード
G 巻回幅
H 高さ
J 移動走行区間
K 掘下部
M 終端位置
N 帰点位置
P 終端検出部
Q 帰点検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20