(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0010】
(実施形態)
<会計処理システム100の全体構成>
図1は、本実施形態に係る会計処理システム100の全体構成を示す図である。
図2は、本実施形態に係る会計処理装置1の機能ブロックを示す図である。
図3は、本実施形態に係る会計処理装置の伝票画像DB32の例を示す図である。
図4は、本実施形態に係る会計処理装置の仕訳データDB33の例を示す図である。
図5は、本実施形態に係る会計処理装置の取引先DB34の例を示す図である。
図6は、本実施形態に係る会計処理装置の会社マスタ36の例を示す図である。
【0011】
図1に示す会計処理システム100は、顧問先から依頼を受けた会計事務所の会計処理装置1が、各種の業務用アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションプログラムのことを、「プログラム」ともいう。)を実行して会計処理を行うシステムである。
会計処理システム100は、会計処理装置1と、スキャナ5とを備える。そして、会計処理装置1と、スキャナ5とは、通信可能に接続されている。
会計処理装置1は、例えば、会計事務所に設けられ、各種会計処理を行う装置である。会計処理装置1は、各種の会計処理に対応する複数の業務処理を行う。
会計処理装置1は、例えば、サーバ1aと、複数台の端末1bとにより構成される。サーバ1aは、端末1bから受信した操作データに基づいて処理を行う。複数台の端末1bは、例えば、会計事務所の業務処理担当者(以下、「会計事務所のユーザ」や「職員」ともいう。)が操作する端末である。
【0012】
なお、
図1では、会計処理装置1を、サーバ1aと、端末1bとからなるものとして説明しているが、これは、一例である。会計処理装置1は、例えば、1台のスタンドアロンのコンピュータ(PC)で構成されていてもよい。また、会計処理装置1は、複数台のPCによって構成されたワークステーション(WS)であってもよい。
また、会計処理装置1は、会計事務所ではなく、顧問先企業内にあったり、業務委託等のサービスを行っている企業内であったり、クラウドサービスであってもよい。例えば、端末1bは、必ずしも会計事務所内に設けられる必要はなく、外出先や自宅勤務の職員の端末や、外注先の職員の端末も含まれる。
さらに、その他、会計処理装置1は、サーバのみ、あるいは複数のサーバで構成されていてもよく、会計事務所のサーバである場合の他、複数の企業(の従業員)の会計ファイルを預かって管理するサービスを行うIDC(インターネットデータセンター)のサーバでもよい。
【0013】
さらには、会計処理装置1は、実体が仮想化された仮想マシンやクラウドであってもよい。
さらにまた、企業の本社等が各部門や各支店(の従業員)等を対象に財務管理を行う場合には、会計処理装置1は、企業内のサーバであってもよい。
会計処理装置1は、本発明の処理を専用的に行う装置であってもよいし、会計処理を行う装置が、様々な機能のうちの1つとして、会計処理装置1の機能を有してもよい。
【0014】
スキャナ5は、例えば、会計事務所に設けられ、顧問先のレシート6aや領収書6b等の伝票6を読み取って、伝票画像を生成する装置である。伝票6は、例えば、顧問先から郵送によって、又は、顧問先の担当者が持参することによって、会計事務所に届けられたものである。
【0015】
<会計処理装置1>
図2に示すように、会計処理装置1は、制御部10と、記憶部30と、入力部45と、表示部46と、通信部49とを備える。
図1の会計処理装置1の構成によれば、サーバ1aは、制御部10と、記憶部30と、通信部49とに相当し、端末1bは、入力部45と、表示部46とに相当する。
制御部10は、会計処理装置1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0016】
制御部10は、伝票画像受付部11(伝票画像受付手段)と、伝票画像処理部12と、編集処理部18と、判定条件受付部24(判定条件受付手段)と、データ更新部25(データ登録手段、データ削除手段)とを備える。
【0017】
伝票画像受付部11は、伝票6をスキャナ5に取り込むことで、スキャナ5で生成された伝票6の画像データである伝票画像を、スキャナ5から受信することで受け付ける。ここで、伝票画像受付部11が受け付ける伝票画像の数は、限定されない。例えば、伝票画像受付部11は、1枚の伝票6の伝票画像を受け付けてもよいし、複数枚の伝票6に対応する複数の伝票画像を受け付けてもよい。
【0018】
また、伝票画像は、会計事務所に有するスキャナ5から取得するものに限定されない。伝票画像受付部11は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記憶媒体により、例えば、顧問先から伝票画像を直接受領してもよい。また、伝票画像受付部11は、例えば、図示しない顧問先の端末から、通信ネットワークを介して会計事務所のサーバ1aや端末1bに伝票画像を送信することで、伝票画像を受け付けてもよい。この場合、顧問先において、例えば、スキャナを用いて伝票画像を取得した上で、顧問先の端末が伝票画像を送信する。さらに、伝票画像は、スキャナにより画像化するものに限定されない。例えば、伝票6をカメラで撮影することで、伝票画像を得てもよい。
【0019】
伝票画像処理部12は、伝票画像受付部11により受け付けた伝票画像に対する処理を行う制御部である。
伝票画像処理部12は、伝票データ抽出部13(伝票データ抽出手段)と、抽出データ登録部14と、類似データ抽出部15(類似データ抽出手段)と、過去仕訳データ取得部16(仕訳データ取得手段)と、候補抽出処理部17とを備える。
【0020】
伝票データ抽出部13は、伝票画像から伝票データを抽出する。
伝票データ抽出部13は、伝票画像に対してOCRを使用して文字認識処理をすることによって、伝票画像からテキストデータを取得する。ここで得られるテキストデータには、印字された文字データの他、手書きメモのような後から伝票6に記入された文字データをも含む。
【0021】
また、伝票データ抽出部13は、伝票画像に含まれる企業ロゴ等のイメージ画像(画像パターンデータ)を取得する。さらに、伝票データ抽出部13は、伝票画像のレイアウトの特徴に関するレイアウトデータ(画像パターンデータ)を取得する。レイアウトデータには、個々の領域に関する矩形形状の特徴データである個別特徴データを含む。個別特徴データは、その矩形領域の位置(例えば、左上の始点の位置)と、縦横のビット幅を含む。また、レイアウトデータには、全体のレイアウトの特徴データである全体特徴データを含む。全体特徴データは、同じ取引先の伝票6であれば、品名部分が変わるだけであり、それにより中央の部分の長さが異なるが、上部や下部の形状は同じになると考えられる。
以上のように、伝票データは、テキストデータ、イメージ画像及びレイアウトデータを含む。
【0022】
抽出データ登録部14は、伝票データ抽出部13によって抽出したテキストデータや、画像パターンデータを、伝票画像に対応付けて伝票画像DB(データベース)32に登録する。
類似データ抽出部15は、伝票データ抽出部13により抽出された電話番号等のテキストデータや、企業ロゴ等のイメージ画像、また、レイアウトデータに類似するデータを、伝票画像DB32から抽出する。
【0023】
過去仕訳データ取得部16は、伝票画像DB32から抽出した電話番号等のテキストデータや、企業ロゴ等のイメージ画像、また、レイアウトデータに対応する仕訳データを取得する。
候補抽出処理部17は、過去仕訳データ取得部16により取得した仕訳データの科目や摘要といった会計情報を、候補として抽出する。そして、候補抽出処理部17は、抽出した候補を、候補記憶部35に記憶させる。
【0024】
編集処理部18は、伝票画像受付部11により受け付けた伝票画像に対応した仕訳データの入力処理を支援する制御部である。
編集処理部18は、編集画面出力部19(編集画面出力手段)と、候補出力部20(候補出力手段)と、候補受付部21(候補受付手段)と、対応伝票画像出力部22(伝票画像出力手段)とを備える。
【0025】
編集画面出力部19は、編集処理を行うための編集画面を出力する。
候補出力部20は、仕訳データの編集作業を簡単に行うために、対象の伝票画像に類似した過去の仕訳データに用いられた会計情報を、候補として出力する。
候補受付部21は、候補出力部20によって出力された候補の選択を受け付ける。
対応伝票画像出力部22は、候補受付部21によって受け付けた候補に対応した伝票画像を、今回の仕訳データ入力の参考として出力する。
【0026】
判定条件受付部24は、伝票画像に関する類似グループ検索条件(類似判定条件)の指定を受け付ける制御部である。会計事務所のユーザは、類似グループ検索条件を、取引先ごとにする場合に、例えば、支店を含めた店舗名(スーパー〇〇 ××店)までを類似範囲とするか、店舗名(スーパー〇〇)を類似範囲とするか、店舗の業種(薬局、スーパー、コンビニ、書店)を類似範囲とするか、又は、店舗の業種(小売業)を類似範囲とするか、といった範囲を指定する。そうすることで、判定条件受付部24は、類似と判定する過去の伝票画像の範囲を変更できる。
【0027】
データ更新部25は、伝票画像処理部12によって処理を行った伝票画像について、取引先DB34にデータを登録したり、取引先DB34に登録済のデータを削除したりする処理を行う。
なお、上述した各機能の詳細については、後述する。
【0028】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、伝票画像DB32(伝票画像記憶部)と、仕訳データDB33と、取引先DB34(伝票画像記憶部)と、候補記憶部35と、会社マスタ36とを備える。
【0029】
プログラム記憶部31は、各種プログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部31は、伝票処理プログラム31aと、入力支援プログラム31bとを記憶している。
伝票処理プログラム31aは、上述した制御部10の伝票画像受付部11、伝票画像処理部12、判定条件受付部24及びデータ更新部25が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。
【0030】
入力支援プログラム31bは、上述した制御部10の編集処理部18が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。
なお、この例では、伝票処理プログラム31aと、入力支援プログラム31bとを別のプログラムとして記載したが、1つのプログラムによって上述した制御部10の各種機能を実行してもよい。また、伝票処理プログラム31aと、入力支援プログラム31bとをさらに、細分化して別プログラムにしてもよい。
【0031】
伝票画像DB32は、伝票画像受付部11が受け付けた伝票画像と、伝票画像を解析して得られた伝票データとを記憶するデータベースである。
図3に示すように、伝票画像DB32は、伝票画像を識別する伝票ID(IDentification)に対応付けて、伝票画像に関するデータを記憶する。
図3に示す伝票画像DB32は、伝票IDと、イメージ登録先と、画像パターンデータと、文字列認識結果と、会社IDと、取引先IDと、仕訳IDと、仕訳データ更新日時とを対応付けて記憶している。ここで、イメージ登録先は、この例では、伝票画像が記憶されているディレクトリになっている。また、画像パターン及び文字列認識結果は、伝票画像を解析して得られた伝票データである。会社IDは、会社(顧問先又は本支店)を識別する識別情報である。取引先IDは、伝票画像の店舗(取引先)を識別する識別情報である。仕訳IDは、仕訳データを識別する識別情報である。仕訳データ更新日時は、仕訳データを更新した日時である。
【0032】
仕訳データDB33は、仕訳データを識別する仕訳IDをキーにして、仕訳データを記憶するデータベースである。
仕訳データDB33は、仕訳データを識別する仕訳IDに対応付けて、仕訳データと、伝票画像受付部11が受け付けた伝票画像を識別する伝票IDとを記憶する。また、仕訳データDB33に記憶された仕訳データは、編集画面を用いて入力及び編集がされることにより、更新することができる。
図4に示す仕訳データDB33は、仕訳IDと、日付と、会社IDと、借方データと、貸方データと、摘要と、伝票IDとを対応付けて記憶している。ここで、日付は、仕訳データの発生日付であり、伝票画像に含まれる日付と同じである。借方データは、借方勘定科目と、借方金額を含む。貸方データは、貸方勘定科目と、貸方金額を含む。摘要は、科目に対する補足内容である。
【0033】
取引先DB34は、伝票6に印字された店舗等の取引先ごとに、取引先の情報を記憶したデータベースである。
図5に示すように、取引先DB34は、取引先を識別する識別情報である取引先IDに対応付けて業種、取引先の上位層、取引先名、住所、店舗名の他、電話番号、企業ロゴ、レイアウトデータ等の伝票データを記憶する。取引先名は、伝票6に印字された店舗名である。取引先の上位層は、そのうち、支店等の情報を除いたものであり、業種は、その店舗の業種である。業種及び取引先の上位層は、伝票6から取得した取引先名に基づいて、後から登録することができる。また、取引先DB34には、伝票データを直接記憶せず、例えば、イメージ画像(企業ロゴ)やレイアウトデータは、伝票画像DB32のリンク先を記憶するようにしてもよい。
【0034】
候補記憶部35は、候補抽出処理部17により抽出された会計情報の候補を記憶する。候補記憶部35は、例えば、伝票IDに対応付けて、会計情報を記憶する。
会社マスタ36は、会社IDをキーに、会社情報を記憶する。会社マスタ36は、
図6(A)に示すように、会計事務所がこの会計処理システム100を複数の顧問先に対して使用する場合の他、
図6(B)に示すように、企業が本支店ごとに使用する場合にも対応している。
図6(A)に示す会社マスタ36では、会社IDは、顧問先を識別する識別情報である。また、
図6(B)に示す会社マスタでは、会社IDは、その企業の本支店を識別する識別情報である。会社マスタ36は、
図6(A)及び(B)に記載の各項目の他、例えば、代表者名、企業ロゴ、DB登録日、事業形態、受任業務等を記憶してもよい。代表者名は、例えば、企業の親子関係の紐付けに用いてもよい。DB登録日は、顧問契約日や支店設置日が該当する。事業形態は、法人事業であるか、個人事業であるか、単なる個人であるか等である。受任業務は、会計業務(月次監査、決算等)、税務(法人税申告、青色申告等)である。
【0035】
図2の入力部45は、キーボードやマウス等の入力装置である。また、入力部45は、タッチパネルやペン入力であってもよい。
表示部46は、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される表示装置である。
通信部49は、例えば、スキャナ5や、通信ネットワークを介して外部装置との間での通信を行うインタフェースである。
なお、本発明でいうコンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、会計処理装置1は、制御部10、記憶部30等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0036】
<会計処理装置1の処理>
次に、会計処理装置1による処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る会計処理装置1での伝票画像取込処理を示すフローチャートである。
この伝票画像取込処理は、例えば、会計事務所に顧問先から伝票6を受領した都度のタイミングや、月1回等の定期的なタイミング等で、会計事務所において実行される処理である。なお、伝票画像取込処理は、1枚の伝票6に対しても行うことができ、また、複数枚の伝票6に対して、まとめて処理することもできる。
【0037】
会計事務所のユーザが、会計処理装置1に記憶された伝票処理プログラム31aを起動することで、会計処理装置1の制御部10は、図示しない初期画面を、表示部46に出力する。そして、会計事務所のユーザが、初期画面から顧問先を選択又は入力等をすることで、ステップS(以下、単に「S」という。)10において、制御部10は、顧問先の指定を受け付ける。
【0038】
会計処理装置1の制御部10は、顧問先の指定を受け付けると、次に、例えば、図示しない条件指定画面を出力する。会計事務所のユーザが、条件指定画面から類似グループ検索条件を指定することで、S11において、制御部10(判定条件受付部24)は、類似グループ検索条件を受け付ける。類似グループ検索条件とは、受け付けた伝票画像との照合対象である過去の伝票画像に関するデータを指定するものであり、例えば、対象期間や、対象カテゴリ等をいう。
【0039】
類似グループ検索条件は、具体的には、例えば、伝票画像DB32に記憶された過去の伝票画像に関するデータの全てを対象にするものであってもよいし、指定された期間の過去の伝票画像に関するデータを対象にするものであってもよい。指定された期間は、処理日から遡った期間であってもよいし、年度等の指定によって定められるものであってもよい。
また、類似グループ検索条件は、例えば、伝票画像DB32のレコードに、検索対象フラグを有し、この検索対象フラグがONになっているものを照合対象にするようにしてもよい。
さらに、類似グループ検索条件は、例えば、会計事務所のユーザにより指定された業種や、取引先等の範囲に含まれる伝票画像に関するデータであってもよい。
【0040】
ここで、類似グループ検索条件として指定する対象カテゴリについて説明する。
対象カテゴリは、業種、取引先の上位層、取引先名等がある。これは、取引先DB34(
図5参照)に記憶された業種、取引先の上位層、取引先名が対応する。業種は、大分類と、小分類とを登録することで、「小売店」を対象にするか、「小売店」の中でも「薬局」を対象にするか、を指定できる。そして、「薬局」であっても、「ドラッグストア佐〇」、「○ズ」、「□ファイン」等の取引先の上位層を指定してもよいし、さらに、各取引先の支店を含めて「ドラッグストア佐〇 〇×△店」を指定してもよい。
【0041】
なお、予め記憶部30に類似グループ検索条件を記憶しておき、条件を変更したい場合には、会計事務所のユーザの指示を受け付けて、制御部10は、指示を受け付けた場合にのみ条件指定画面を出力するようにしてもよい。
【0042】
その後、会計処理装置1の制御部10は、例えば、スキャナ5に伝票6を取り込むよう指示する画面を、表示部46に出力するので、ユーザは、指定した顧問先の伝票6を、スキャナ5に読み取らせる。スキャナ5は、伝票6を読み取って、伝票画像を生成し、会計処理装置1に対して伝票画像を送信するので、S12において、制御部10(伝票画像受付部11)は、スキャナ5から送信された伝票画像を受け付ける。制御部10は、伝票6ごとに生成された伝票画像を受け付ける。例えば、スキャナ5に読み取らせた伝票6が1枚であった場合には、伝票画像は1つであり、伝票6が複数枚であった場合には、伝票画像は複数である。
【0043】
S13において、制御部10(伝票画像処理部12)は、伝票画像ごとに伝票画像解析処理を行う。伝票画像解析処理では、伝票画像を解析して、伝票画像に類似する過去の伝票画像に関するデータを特定して、入力支援のためのデータを抽出する。伝票画像解析処理の詳細については、後述する。
S14において、制御部10は、伝票画像解析処理で解析して読み取った読取内容を、読取結果画面(図示せず)として表示部46に出力する。読取結果画面は、伝票画像と、読み取ったテキストデータのうち日付、金額等の文字列を、項目と共に出力する画面である。会計事務所のユーザは、読取結果画面に出力された読取内容を見て、文字列を修正する等の編集を行うことができる。
【0044】
ここで、制御部10は、後述する伝票画像解析処理によって一致又は類似と判定された過去の伝票画像の取引先に関する情報を出力してもよい。取引先に関する情報としては、例えば、店舗名や業種等である。
なお、複数枚の伝票6に対して処理をした場合には、伝票画像ごとに読取内容を出力する。そして、会計事務所のユーザにより、例えば、編集の完了指示を受け付けることで、制御部10は、S15の処理を行う。
S15において、制御部10(データ更新部25)は、読み取った伝票画像に関するデータを、取引先DB34に反映させるデータ反映処理を行う。データ反映処理については、後述する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0045】
次に、伝票画像解析処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る会計処理装置1での伝票画像解析処理を示すフローチャートである。
図9は、本実施形態に係る会計処理装置1で用いる伝票画像の例、及び、伝票画像の解析内容を説明するための図である。
図10は、本実施形態に係る会計処理装置1での類似データ抽出処理を示すフローチャートである。
図11は、本実施形態に係る会計処理装置1での判定処理で使用する判定テーブル70の例を示す図である。
【0046】
図8のS20において、制御部10(伝票データ抽出部13)は、伝票画像を解析して、伝票データを抽出する。制御部10は、伝票画像に対してOCRによる文字認識処理を行い、伝票画像に含まれるテキストデータを取得する。そして、制御部10は、取得したテキストデータから、店舗名や電話番号、日付、品名、数量、金額といった伝票画像に記載の文字列を、例えば、伝票画像の左上を始点とした位置情報と共に抽出する。
【0047】
また、制御部10は、伝票画像に含まれるイメージ画像を取得する。イメージ画像は、例えば、レシート6aの伝票画像に含まれる企業のロゴを表す画像や、領収書6bの伝票画像に含まれる印鑑の画像等である。制御部10は、イメージ画像を、例えば、伝票画像の左上を始点とした位置情報と共に抽出する。
ここで、制御部10は、取得したイメージ画像のうち、罫線や、コード画像を、抽出対象から除外してもよい。制御部10は、例えば、長さ方向に比べて幅方向が極端に細いものを、罫線であると判断して除外する。また、制御部10は、例えば、バーコードや、二次元コードの形状を予め記憶しておき、記憶された形状と照合して、コード画像を除外する。このように、取引先を特定するイメージ画像ではないイメージ画像を除外することで、記憶させるデータ量を抑えることができる。
【0048】
さらに、制御部10は、伝票画像のレイアウトに関する特徴データであるレイアウトデータを取得する。レイアウトデータは、レイアウトに含まれる空白により区切られた各テキストデータやイメージ画像を含む各矩形形状に関する特徴データである個別特徴データと、レイアウト全体の形状に関する特徴データである全体特徴データとを含む。個別特徴データは、例えば、伝票画像の左上を始点とした位置情報を含む。
【0049】
図9(A)は、伝票6の一例であるレシート6aから生成された伝票画像60の例を示す。
図9(A)の伝票画像60の元になるレシート6aは、一般的なレジスターから出力されたレシートである。伝票画像60には、店舗名、電話番号、日付、品名、金額等の文字列と、企業のロゴを表す画像とを含む。
図9(B)は、伝票画像60から抽出した個別特徴データ61の例を示し、
図9(C)は、全体特徴データ62の例を示す。個別特徴データ61は、空白や改行により区切られた意味のあるかたまりを1つの矩形で表したものである。また、全体特徴データ62は、印字されている全体を塗りつぶしたものである。
図9(D)は、
図9(A)に示す伝票画像60から抽出した抽出内容63の例を示す。抽出内容63には、制御部10によって抽出した文字列の一部を示しているが、実際には、レシート6aに印字された全ての文字列を抽出する。抽出内容63には、テキストデータ63a及びイメージ画像63bを含む。
【0050】
図8のS21において、制御部10(抽出データ登録部14)は、伝票画像と、テキストデータ、イメージ画像及びレイアウトデータを含む伝票データとを、伝票画像DB32に記憶させる。その際、制御部10は、例えば、伝票画像ごとに一意になる伝票IDを付与して、これらのデータに対応付ける。
S22において、制御部10(類似データ抽出部15)は、伝票データと、伝票画像DB32とを用いた類似データ抽出処理を行う。
【0051】
1.類似データ抽出処理についての概要
1−1.類似データ抽出処理の概要
類似データ抽出処理について、
図10に基づき説明する。
類似データ抽出処理は、レシート6a等の伝票画像は、文字や企業のロゴを表す画像等がかすれて印字されていたり、文字が小さくて、読み取った解像度との関係で十分な文字認識ができない場合が多いことを想定して、文字を文字認識したテキストデータと、イメージデータといった、大きく分けて2種類の判断要素を組み合わせて利用することで、伝票画像が同一又は類似の取引先に関するものであることの判定の精度を高めるための処理である。
【0052】
1−2.テキストデータ、イメージデータといった個々の判断要素の取扱いについて
(1)テキストデータの判断要素の取扱いについて
図10のS30において、制御部10は、テキストデータを照合するテキストデータ照合処理を行う。制御部10は、テキストデータ照合処理として、例えば、抽出した伝票データのテキストデータに含まれる、店舗名、電話番号、住所等と、伝票画像DB32に記憶されたテキストデータとを照合し、伝票画像DB32に記憶されたレコードのテキストデータとの一致度合いを算出する。ここで、類似データ抽出処理で照合対象にする伝票画像DB32のデータは、顧問先が同一であって、伝票画像取込処理(
図7)において類似グループ検索条件として設定した範囲のデータである。
【0053】
また、一致度合いとしては、例えば、電話番号が同じであれば、一致度合いを高く設定し、電話番号が1番違うだけであれば、次に一致度合いを高く設定する等である。その際、異なる番号の位置に応じて、一致度合いを変更してもよい。例えば、市外局番が1番違いの場合と、加入者番号が1番違いの場合とでは、市外局番が1番違いの場合の方が、一致度合いをより高く設定するようにしてもよい。
また、制御部10は、電話番号と、店舗名と、といった複数の項目を用いて照合し、一致度合いを算出してもよい。その際、電話番号と店舗名とであれば、電話番号が一致した方が、一致度合いを高くする等、各項目に一致度合いに対して異なる重み付けをしてもよい。
【0054】
(2)イメージデータの判断要素の取扱いについて
S31において、制御部10は、イメージ画像を照合するイメージ画像照合処理を行う。制御部10は、イメージ画像照合処理として、抽出した伝票データに含まれるイメージ画像と、伝票画像DB32に記憶されたイメージ画像とを照合し、伝票画像DB32に記憶されたイメージ画像との一致度合いを算出する。ここで、制御部10は、例えば、ビットマップ画像のデータ同士を比較することで、照合を行ってもよい。また、制御部10は、ビットマップ画像のデータに対して数学的に演算処理を施し、例えば、ハッシュ値を使用して比較することで、照合してもよい。さらに、制御部10は、イメージ画像の色を含めて照合を行ってもよい。
【0055】
S32において、制御部10は、レイアウトデータを照合するレイアウトデータ照合処理を行う。制御部10は、レイアウトデータ照合処理として、抽出した伝票データに含まれるレイアウトデータと、伝票画像DB32に記憶されたレイアウトデータとを照合し、伝票画像DB32に記憶されたレイアウトデータとの一致度合いを算出する。
ここで、レイアウトデータの照合として、例えば、全体特徴データを照合する場合には、レシート6aや領収書6bに関する特徴的な傾向を利用する。例えば、レシート6aの場合、購入した品名の数によって、明細部分の長短が変わるものの、レイアウトの上部と下部は、決まったものが印字されるという特徴がある。そのため、レイアウトは、ほぼ同じ形状になるが、明細部分を構成する中間部は、品名の数等に応じて長さが変更される。このレイアウト全体の特徴と利用して、制御部10は、レイアウトの上部及び下部が一致し、中間部は長さが異なるのみか、といった、相似形であるか否かを判断することによって、一致度合いを算出してもよい。
また、レイアウトデータの照合として、例えば、個別特徴データを照合する場合に、制御部10は、各矩形の位置を照合し、伝票画像DB32に記憶されたレイアウトデータに、類似した位置関係の個別特徴データを有するものがあるか否かを照合する。
また、レイアウトデータの一致度合いとしては、例えば、類似した位置関係の個別特徴データの数が多いほど、一致度が高いとしてもよいし、個別特徴データの類似度に加え、さらに、レイアウト全体の形状に関する特徴データである全体特徴データ同士の類似度を加味するようにしてもよい。
【0056】
なお、上述したように、イメージデータの判断要素としては、少なくとも、企業ロゴ等のイメージ画像と、印刷した領域の画像パターンであるレイアウトデータとを含み、テキストデータを文字認識した結果とあわせて、相互に補強したり、補いあいつつ、総合的な類似性の判定を行うことができる。
【0057】
上述の説明において、類似データ抽出処理で照合対象にする伝票画像DB32のデータは、伝票画像取込処理(
図7)において類似グループ検索条件として設定した範囲のデータとしたが、例えば、照合内容によって、その範囲を変えてもよい。例えば、類似グループ検索条件として設定した範囲が、取引先名(取引先の支店を含めたもの)であった場合、テキストデータの照合では、取引先名(取引先の支店を含めたもの)とする一方、イメージ画像の照合では、業種(小分類)で行い、レイアウトデータの照合では、業種(大分類)で行うようにしてもよい。
【0058】
ここで、上述では、テキストデータ照合処理(S30)、イメージ画像照合処理(S31)、レイアウトデータ照合処理(S32)を、順番に行うものを例に記載したが、これに限定されない。処理の順番は、問わず、また、各処理を並列処理にして同時に行ってもよい。
【0059】
1−3.テキストデータと、イメージデータとの判断要素を組み合わせた類似性の総合的な判定処理について
(1)総合的な類似性の判定処理の概要
レシート6a等の伝票画像においては、電話番号が小さく印字されることが多く、300dpi程度のスキャナやカメラでの取込の際に、十分な解像度で読み取れず、文字認識に失敗したり、部分的にしか認識できない場合がある。
こういう場合でも、企業ロゴ等のイメージ画像は、ある程度の大きさがあるので、かなりの精度で読み取ることが可能な場合が多い。そこで、電話番号が認識できず、又は、部分的に一致する程度の場合であっても、企業ロゴ等のイメージ画像は、取引先を特定するのに有用な情報になる。
但し、企業ロゴの場合には、かなり複雑な画像パターンの組み合わせであることが多く、かすれてしまっている場合等には、十分な同一性及び類似性の判定ができない場合もある。
【0060】
他方、印刷領域のパターンは、多少かすれていても、かなり精度よく印刷領域のパターンを把握することができる。そこで、テキストデータを文字認識した結果に加えて、これらを利用することで、同一性や類似性の判定を補うことにより、伝票画像が同一又は類似の取引先に買う刷るものであることの判定の精度を、さらに高めることができる。
そこで、イメージデータは、少なくとも、企業ロゴ等のイメージ画像に加え、印刷した領域の画像パターン(レイアウトデータ)を含む。そのようにすれば、企業ロゴ等が細かいビットの組み合わせの複雑な画像パターンである場合が多く、かすれて十分に精度よく抽出できない場合があるが、そういう場合であっても、印刷した領域の画像パターン(レイアウトデータ)をさらに判断要素に用いることにより、同一性及び類似性の判定の精度を上げることができる。
このように、大きく分けてテキストデータを文字認識した結果と、イメージデータ(イメージ画像に加えてレイアウトデータ)の判断要素において、一部の判断要素が、部分一致又は類似する程度の場合でも、残りの判断を組み合わせて、相互に補いつつ、同一性及び類似性の判定の精度を向上させることが期待できる。
【0061】
より具体的には、例えば、電話番号が不一致だが、部分的に一致している場合(電話番号が類似している場合)を例に説明する。
この場合、電話番号が部分的に一致しているだけでは、ある程度絞り込める程度であり、まだ取引先を確定できない。そして、イメージデータのうち、企業ロゴ等がある程度類似している場合には、かなり同一又は類似の取引先である可能性が高まってきたと判断できる。しかし、これでもまだ、判定が確証を持って行えない。
そこで、さらに、イメージデータのうち、印刷領域の画像パターンであるレイアウトデータが類似であれば、電話番号が類似、イメージ画像が類似、という3つの判断要素が類似していることになり、同一又は類似の取引先であると、ある程度の確からしさをもって判定することができる。
【0062】
また、例えば、電話番号が小さくて、完全に読み取れないような場合(テキストデータを文字認識することができない場合)であっても、イメージデータのうち、企業ロゴがほぼ一致に近い類似であった場合であることに加え、さらにレイアウトデータが類似であれば、同一又は類似の取引先であると、ある程度の確からしさを持って判定することができる。
【0063】
(2)総合的は類似性の判定処理の詳細
次に、上記のような総合的は類似性の判定処理が、情報処理としてどのように実現されているのかを、以下に説明する。
図10のS33において、制御部10は、各照合処理結果に応じた判定処理を行う。
この判定処理は、例えば、
図11に示す判定テーブル70に基づいて行うことができる。
【0064】
図11に示す判定テーブル70は、記憶部30に記憶されたテーブルであり、直接テーブルとして記憶部30に記憶してもよいし、伝票処理プログラム31aに含まれるものであってもよい。まず、制御部10は、文字列(テキストデータ)の照合結果と、画像(イメージ画像、レイアウトデータ)の照合結果として、一致度合いによって一致、類似、不一致を決定する。次に、制御部10は、決定した照合結果と、判定テーブル70とに基づいて、判定結果を決定する。例えば、文字列の照合結果として不一致と判定されても、画像の照合結果として類似と判定された場合には、判定テーブル70により、制御部10は、画像で類似と判定する。
【0065】
S34において、制御部10は、類似又は一致と判定された過去の伝票画像を特定する。制御部10が特定する過去の伝票画像は、1つに限らない。制御部10が特定する過去の伝票画像は、照合結果によって類似又は一致と判定された過去の伝票画像の全てである。その後、制御部10は、この類似データ抽出処理を終了し、伝票画像解析処理(
図8)のフローチャートのS23に処理を移す。
【0066】
図8のS23において、制御部10は、過去の伝票画像を特定できたか否かを判断する。過去の伝票画像を特定できた場合、つまり、処理対象の伝票画像に一致又は類似する過去の伝票画像が1つ以上あった場合(S23:YES)には、制御部10は、処理をS24に移す。他方、過去の伝票画像を特定できなかった場合(S23:NO)には、制御部10は、この伝票画像解析処理を終了し、伝票画像取込処理のフローチャート(
図7)のS14に処理を移す。
S24において、制御部10(過去仕訳データ取得部16)は、特定した過去の伝票画像に対応する仕訳データを、仕訳データDB33から取得する。
【0067】
S25において、制御部10(候補抽出処理部17)は、取得した仕訳データに含まれる会計情報を抽出する。会計情報は、例えば、科目や摘要等の情報である。そして、制御部10は、抽出した会計情報を、件数の多い順にソートする。
ここで、ある期間で多い順にソートするだけでなく、読み込んだ伝票画像の日付に合致する会計情報(科目や摘要等)のみを検索して抽出するようにしてもよい。例えば、月の初日とか月末には、同じ取引を行う場合が多いからである。
S26において、制御部10は、会計情報と件数を、取引先情報に対応付けて、候補記憶部35に記憶させる。その後、制御部10は、この伝票画像処理を終了し、伝票画像取込処理のフローチャート(
図7)のS14に処理を移す。
【0068】
なお、会計情報と件数を、取引先情報に対応付けて記憶するほか、単に、伝票画像DB(
図3)を取引先毎、件数が多い会計情報順(科目等が多い順)にソートしておき、後に、件数が多い順に、提示するようにしてもよい(
図15の候補出力部83)。
また、会計情報として、多い科目を提示する場合には、貸方科目、あるいは借方科目のいずれか、又は両方を提示してもよい。
あるいは、会計情報として、科目に代えて、又は科目と共に、摘要情報を提示するようにしてもよい。
【0069】
(3)総合的な類似性の判定処理の変形例
なお、上述した類似データ抽出処理は、種々の方法が考えられる。
(変形例1)
以下に説明する例は、テキストデータの照合を最優先に行い、次に、イメージ画像の照合を行って、類似データを抽出するものである。
図12は、本実施形態に係る会計処理装置1での他の類似データ抽出処理を示すフローチャートである。
【0070】
図12のS230において、制御部10(類似データ抽出部15)は、テキストデータに含まれる電話番号をキーにして伝票画像DB32を検索する。
S231において、制御部10は、電話番号が一致するレコードがあったか否かを判断する。電話番号が一致するレコードがあった場合(S231:YES)には、制御部10は、処理をS232に移す。他方、電話番号が一致するレコードがなかった場合(S231:NO)には、制御部10は、処理をS234に移す。
【0071】
S232において、制御部10は、該当するレコードに対応した伝票画像を特定する。
S233において、制御部10は、伝票画像DB32に記憶された照合対象とすべき全てのレコードについて処理をしたか否かを判断する。全てのレコードについて処理をした場合(S233:YES)には、制御部10は、この類似データ抽出処理を終了し、伝票画像解析処理のフローチャート(
図8)のS23に処理を移す。他方、全てのレコードについて処理をしていない場合(S233:NO)には、制御部10は、処理をS231に移し、他に電話番号が一致する伝票画像DB32のレコードがあるか否かを判断する。
【0072】
他方、S234において、制御部10は、イメージ画像である企業ロゴの画像をキーに伝票画像DB32を検索する。
S235において、制御部10は、企業ロゴの画像が一致又は類似するレコードがあったか否かを判断する。企業ロゴの画像が一致又は類似するレコードがあった場合(S235:YES)には、制御部10は、処理をS232に移す。他方、企業ロゴの画像が一致又は類似するレコードがなかった場合(S235:NO)には、制御部10は、処理をS236に移す。
【0073】
S236において、制御部10は、レイアウトデータをキーに伝票画像DB32を検索する。
S237において、制御部10は、レイアウトデータが一致又は類似するレコードがあったか否かを判断する。レイアウトデータが一致又は類似するレコードがあった場合(S237:YES)には、制御部10は、処理をS232に移す。他方、レイアウトデータが一致又は類似するレコードがなかった場合(S237:NO)には、制御部10は、この類似データ抽出処理を終了し、伝票画像解析処理のフローチャート(
図8)のS23に処理を移す。
【0074】
この変形例1の処理によれば、テキストデータで一致する伝票画像DB32のレコードがあれば、企業ロゴの画像やレイアウトデータによる検索を行わない。よって、類似データ抽出に関する処理を、より高速に行うことができる。
また、テキストデータで一致する伝票画像DB32のレコードがなければ、企業ロゴの画像やレイアウトデータによる検索を行う。よって、文字認識処理によって認識しづらい小さい文字であったり、伝票6自体の印字が不鮮明な場合には、文字以外の要素を用いて伝票画像DB32を検索するため、類似データの抽出洩れを抑えることができる。
【0075】
(変形例2)
以下に説明する例は、各照合結果として算出された一致度合いに基づいて、計算によって類似データを抽出するものである。
類似データ抽出処理のフローチャート(
図10)のS33に対応する処理として、制御部10は、テキストデータによる一致度合いAと、イメージ画像による一致度合いBと、レイアウト画像による一致度合いCとに基づく全体での一致度合いMを、例えば、以下に示す式で定義する。
【0076】
【数1】
但し、一致度合いA、B、C、Mは、パーセントであり、α、β、γは、重み付けを示す係数である。各会計事務所のユーザは、重み付け係数α、β、γを、どの照合結果をより優先的に適用するか否かによって、各重み付けを設定する。例えば、テキストデータの照合結果に重みを置く場合には、重み付け係数αの値を、βやγの値よりも大きく設定する。
そして、類似データ抽出処理のフローチャート(
図10)のS34に対応する処理として、制御部10は、一致度合いMが閾値以上になった伝票画像を特定する。
【0077】
このようにすることで、各照合の重み付けを、どの照合を大きくするかによって、照合結果が変わるが、会計事務所のユーザのニーズに応じた類似の範囲にできる。
なお、重み付け係数は、予め伝票処理プログラム31aに記憶させておき、会計事務所のユーザによる設定ではなく、伝票処理プログラム31aの更新時等に変更するようにしてもよい。
【0078】
(変形例3)
照合内容によって類似グループ検索条件としての範囲を変える場合であって、例えば、テキストデータの照合では、取引先名(取引先の支店を含めたもの)とする一方、イメージ画像の照合では、業種(小分類)で行い、レイアウトデータの照合では、業種(大分類)で行うようにした場合に、判定順序を、範囲が広い方から順番に行うようにしてもよい。まず、レイアウトデータの照合により判定し、次に、イメージ画像の照合により判定し、最後に、テキストデータの照合により、判定するというものであってもよい。
【0079】
(その他の例1)
制御部10は、類似データ抽出処理によって過去の伝票画像を特定した場合(
図8に示す伝票画像解析処理のフローチャートのS23の処理でYESの場合)、取得した仕訳データに含まれる取引先を、処理対象の伝票画像に対応付けることでグループ化してもよい。具体的には、制御部10は、例えば、仕訳データに含まれる取引先を特定する取引先IDを、伝票画像DB32の処理対象の伝票画像に対応付ける。その際、複数の取引先が抽出された場合には、取得した複数の仕訳データに含まれる取引先IDの数に応じて1つの取引先IDを特定して対応付けてもよいし、取得した複数の仕訳データに含まれる複数の取引先IDを対応付けてもよい。また、類似データ抽出処理によって過去の伝票画像を特定できなかった場合(
図8に示す伝票画像解析処理のフローチャートのS23の処理でNOの場合)、制御部10は、新たな取引先IDを付与し、伝票画像DB32の処理対象の伝票画像に対応付ける。
そして、
図8に示す伝票画像解析処理のフローチャートのS25に対応する処理として、制御部10(候補抽出処理部17)は、取引先IDが同じ仕訳データを取得し、取得した仕訳データに含まれる会計情報を抽出する。
【0080】
(その他の例2)
制御部10は、類似データ抽出処理によって抽出した伝票画像に対応する仕訳データに含まれる取引先や、業種を出力することで、会計事務所のユーザに提示するようにしてもよい。
そして、提示した情報に対して、変更する機能を有してもよい。そうすることで、変更した取引先や、業種の情報をさらに含めて伝票画像解析処理のフローチャート(
図8)のS22以降の処理を行うようにしてもよい。
【0081】
次に、伝票画像取込処理のフローチャート(
図7)のS15に示すデータ反映処理について説明する。
図13は、本実施形態に係る類似データ抽出処理による照合結果91と、取引先DB34への反映項目92との関係について示す関係一覧90の例を示す図である。
照合結果91は、
図10に示した類似データ抽出処理による各照合処理結果である。
反映項目92は、照合結果91に対応した、取引先DB34への反映有無を示す。
例えば、過去の伝票画像と電話番号が一致した場合に、制御部10(データ更新部25)は、レコード90aを参照し、過去の伝票画像が対応付けられた取引先DB34のレコードに、処理対象の伝票画像から取得した企業ロゴとレイアウトデータとを追加記憶させる。
【0082】
また、例えば、過去の伝票画像と電話番号が類似で、企業ロゴが不一致で、レイアウトデータが一致した場合に、制御部10(データ更新部25)は、レコード90bを参照し、過去の伝票画像が対応付けられた取引先DB34のレコードに、処理対象の伝票画像から取得した取引先名等のテキストデータと、企業ロゴとを追加記憶させる。レイアウトデータは不一致のため、制御部10は、レイアウトデータを追加記憶しない。そのようにすることで、データの登録を最小限に抑えつつ、新たに伝票画像解析処理をする場合には、過去の伝票画像として照合対象にできるので、伝票データを有効に活用できる。
【0083】
さらに、例えば、過去の伝票画像と電話番号が類似で、企業ロゴとレイアウトデータとが不一致の場合に、制御部10(データ更新部25)は、レコード90cを参照し、取引先DB34に新たな取引先IDを追加したレコードを作成し、処理対象の伝票画像から取得した取引先名等のテキストデータと、企業ロゴと、レイアウトデータとを追加記憶させる。なお、業種については、別の機能によって入力するものとする。
【0084】
なお、会計処理装置1の制御部10(データ更新部25)は、取引先DB34に登録されたレコードの数や、レコード中の企業ロゴやレイアウトデータの数が所定数を超えたか否かを判断し、所定数を超えていない場合に限り、処理対象の伝票画像に関するデータを登録するようにしてもよい。
また、会計処理装置1の制御部10(データ更新部25)は、取引先DB34に登録されたレコードのうち、所定期間を経過したデータを、定期的に削除して、取引先DB34に登録されたデータを、より新しいものに更新してもよい。
【0085】
次に、伝票画像を用いて会計データを入力する処理について説明する。
図14は、本実施形態に係る会計処理装置1での会計データ入力処理を示すフローチャートである。
図15は、本実施形態に係る会計処理装置1で出力する編集画面80の例を示す図である。
図16は、本実施形態に係る会計処理装置1での編集処理を示すフローチャートである。
【0086】
会計事務所のユーザが、会計処理装置1に記憶された入力支援プログラム31bを起動することで、会計処理装置1の制御部10は、図示しない初期画面を、表示部46に出力する。そして、会計事務所のユーザが、初期画面から顧問先を選択又は入力等をすることで、
図14のS50において、制御部10(編集処理部18)は、顧問先の指定を受け付ける。
ここで、会計処理装置1の制御部10は、上述の
図7で説明した伝票画像取込処理の後に、この会計データ入力処理を起動させてもよい。その場合には、S50の処理は不要である。
【0087】
会計処理装置1が顧問先の指定を受け付けると、S51において、制御部10(編集画面出力部19)は、例えば、
図15に示す編集画面80を、表示部46に出力させる。
編集画面80は、受け付けた伝票画像に対する仕訳データの入力を行うのに用いる画面であり、伝票出力部81(画像領域)と、仕訳データ出力部82と、候補出力部83(候補出力領域)と、仕訳データ編集部84(仕訳データ作成領域)とを含む。
【0088】
伝票出力部81は、伝票画像を出力する領域である。伝票出力部81は、仕訳データ出力部82に出力された仕訳データのうちの1つのレコードを、ポインタ89を操作して会計事務所のユーザが選択することで、選択された仕訳データに対応する伝票画像を、伝票画像DB32から抽出して出力する。
【0089】
仕訳データ出力部82は、指定した顧問先の仕訳データを出力する領域である。この仕訳データ出力部82の出力時に、制御部10は、新たに仕訳IDを付与して、伝票IDを対応付けたレコードを生成してもよい。そして、生成したレコードは、各項目が空欄のものであってもよいし、上述した伝票画像取込処理(
図7)によって取得したテキストデータから補完できる項目を補完したものであってもよい。その際、伝票6に複数の品名があるものをも当然に含み、その場合には、1つの伝票IDに対して複数の仕訳IDが対応付くことになる。
仕訳データ出力部82は、指定した顧問先のうち、特定の期間の仕訳データを出力するようにしてもよく、その場合には、会計事務所のユーザに期間を入力させてもよい。
【0090】
候補出力部83は、科目及び摘要を含む会計情報の候補を選択肢として出力する領域である。候補出力部83は、仕訳データ出力部82に出力された仕訳データのうち1つをポインタ89によって選択されることで、選択された仕訳データに対応する会計情報を、候補記憶部35から抽出して出力する。なお、履歴は、候補記憶部35に記憶された件数を表す。
また、候補出力部83は、会計情報のうちの1つのレコードにポインタ89を指定した状態で、例えば、右クリックを行うことで、仕訳データ編集部84への挿入と、関連する伝票画像の出力とが選択可能なウィンドウを出力する。
【0091】
仕訳データ編集部84は、仕訳データの編集を行うための領域である。仕訳データ編集部84は、仕訳データ出力部82に出力された仕訳データのうち1つをポインタ89によって選択されることで、選択された仕訳データのコピーを、編集可能な態様で出力する。
なお、
図15に示す編集画面80は一例である。候補出力部83に加えて、例えば、別途辞書化してある科目辞書や会計事務所のユーザが登録したユーザ辞書等のリスト形式の一覧を出力するようにしてもよい。そのようにすることで、いずれの科目に関する辞書が使えるため、さらに利便性が向上する。
【0092】
また、伝票出力部81は、出力した伝票画像を拡大したり、上下左右に移動したり、回転したりすることができるボタン等を有してもよい。また、伝票出力部81の範囲を超えて伝票画像を拡大した場合には、スクロールバーを表示させてもよい。さらに、伝票出力部81に次の伝票画像を順番に出力させる矢印等のボタンを有してもよい。そして、次の伝票画像が伝票出力部81に表示されると、仕訳データ出力部82には、出力された伝票画像に対応する仕訳データが選択されるようにしてもよい。
さらに、仕訳データ出力部82や、候補出力部83には、明細数に応じて、スクロールバーを表示させてもよい。
【0093】
図14のS52において、制御部10は、入力部45による仕訳データの選択操作を受け付けたか否かを判断する。入力部45による仕訳データの選択操作とは、上述したポインタ89による仕訳データの選択操作をいう。仕訳データの選択操作を受け付けた場合(S52:YES)には、制御部10は、処理をS53に移す。他方、仕訳データの選択操作を受け付けない場合(S52:NO)には、制御部10は、処理をS54に移す。
S53において、制御部10は、編集処理を行う。
ここで、編集処理について、
図16に基づき説明する。
【0094】
図16のS60において、制御部10(編集画面出力部19、候補出力部20)は、編集画面80を更新する。具体的には、制御部10(編集画面出力部19)は、伝票出力部81に、受け付けた仕訳データに対応する伝票画像を出力する。また、制御部10(編集画面出力部19)は、仕訳データ編集部84に、受け付けた仕訳データを編集可能な態様で出力する。さらに、制御部10(候補出力部20)は、候補出力部83に、候補記憶部35に記憶された会計情報を、選択可能に出力する。
【0095】
S61において、制御部10(候補受付部21)は、候補出力部83に出力された会計情報の画像出力選択を受け付けたか否かを判断する。画像出力選択を受け付けた場合(S61:YES)には、制御部10は、処理をS62に移す。他方、画像出力選択を受け付けていない場合(S61:NO)には、制御部10は、処理をS63に移す。
【0096】
S62において、制御部10(対応伝票画像出力部22)は、会計情報の元になる仕訳データに関連付けられた伝票画像を、例えば、別ウィンドウに出力する。ここで、会計情報の元になる仕訳データが複数ある場合には、制御部10は、複数の伝票画像を一度に出力してもよいし、順番に出力してもよい。このように、会計情報の元になる伝票画像を出力することで、会計事務所のユーザは、今回の仕訳データの科目や摘要を、過去の伝票6の仕訳を確認しながら行うことができる。
【0097】
S63において、制御部10は、候補出力部83に出力された会計情報の挿入選択を受け付けたか否かを判断する。挿入選択を受け付けた場合(S63:YES)には、制御部10は、処理をS64に移す。他方、挿入選択を受け付けていない場合(S63:NO)には、制御部10は、処理をS65に移す。
S64において、制御部10は、選択された会計情報を、仕訳データ編集部84に出力されている仕訳データに反映させる。このように、選択された会計情報を、仕訳データ編集部84に反映させるので、入力の手間がかからないようにでき、入力ミス等を防ぐことができる。
【0098】
S65において、制御部10は、仕訳データ編集部84に出力されている編集中の仕訳データに対する処理を終了するか否かを判断する。処理を終了する場合(S65:YES)には、制御部10は、この編集処理を終了し、会計データ入力処理のフローチャート(
図14)のS54に処理を移す。他方、処理を終了しない場合(S65:NO)には、制御部10は、処理をS61に移す。
【0099】
図14のS54において、制御部10は、会計データ入力処理を終了するか否かを判断する。会計データ入力処理を終了する場合(S54:YES)には、制御部10は、処理をS66に移す。他方、会計データ入力処理を終了しない場合(S54:NO)には、制御部10は、処理をS52に移す。
S66において、制御部10は、仕訳データ編集部84に出力されている仕訳データを、仕訳データDB33に反映させる。その後、制御部10は、この編集処理を終了し、会計データ入力処理のフローチャート(
図14)のS54に処理を移す。
【0100】
次に、会計データ入力処理による編集処理を考慮した判定について説明する。
図17は、本実施形態に係る会計処理装置での判定処理で使用する他の判定テーブル270の例を示す図である。
判定テーブル270は、各照合結果の一致、類似、不一致ごとに、候補として出力した会計情報をそのまま用いた回数と、変更して登録した回数とを記憶したテーブルである。
上述した編集処理によって、会計情報の候補をそのまま用いた場合には、制御部10は、該当の照合結果に対応するそのまま登録回数に1を加算する。また、会計情報の候補を変更した場合には、制御部10は、該当の照合結果に対応する変更後登録回数に1を加算する。
【0101】
そして、類似データ抽出処理のフローチャート(
図10)のS33において、制御部10は、そのまま登録回数及び変更後登録回数により、一致及び類似判定に関する確からしさを表す係数を算出して、候補記憶部35に記憶する。そして、会計データ入力処理での編集処理において、編集画面を更新し、候補出力部83に会計情報を出力した際に、確からしさに関するメッセージを出力する等してもよい。
【0102】
このように、本実施形態の会計処理システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)会計処理装置1は、レシート6aや領収書6bといった伝票6の画像データである伝票画像と、過去の伝票画像とを照合し、一致又は類似した過去の伝票画像で登録した科目や摘要といった会計情報を、仕訳データを入力する処理において候補として出力する。
したがって、新たな仕訳データの入力時に、科目や摘要といった会計情報を、過去の仕訳データを参考にして入力できるので、効率がよく、適切な会計情報を入力できる。その結果、会計事務所のユーザによる入力負担を軽減でき、作業時間の短縮を図ることができる。また、テキストデータ、イメージ画像、レイアウトデータといった伝票データを用いて照合するので、様々な伝票6の特徴から総合的に類似を判断できるので、幅広い判断を行うことができる。
【0103】
(2)会計処理装置1は、読み取った伝票画像に対して照合することで付与した取引先IDや業種等が同じである仕訳データを、会計情報の候補とするので、候補として出力する会計情報を、より伝票画像に合ったものにできる。
(3)会計処理装置1は、読み取った伝票画像と顧問先が同一である過去の伝票画像と照合を行うので、出力する会計情報を、より伝票画像に合ったものにできる。
(4)会計処理装置1は、レイアウトデータの一致及び類似を用いて、照合を行うので、テキストデータやイメージ画像によっては照合できなかった過去の伝票画像と、一致又は類似であるとの照合結果を得ることができ、より照合の精度を高めることができる。そして、照合の精度を高めた候補を出力することで、会計情報の正確性を高くできる。
その際、レシート6aでは、同じ文字等が印字される固定部分があるため、その固定部分を照合するようにする等、レイアウトデータの特徴を活用して照合をすることができる。
【0104】
(5)会計処理装置1は、仕訳データの入力を支援する会計情報の候補を出力し、操作に応じて、候補の元データである過去の伝票画像を出力する。
したがって、過去の伝票画像を参考にして仕訳データの入力ができるので、便利である。
(6)会計処理装置1は、仕訳データの入力を支援する会計情報の候補を出力し、操作に応じて、候補を仕訳データ編集部84に登録するので、入力の省力化を図ることができ、入力ミスを抑えることができる。
【0105】
(7)会計処理装置1は、類似グループ検索条件を受け付けて、類似グループ検索条件を満たすように、過去の伝票画像を選択して照合する。
したがって、会計事務所のユーザのニーズに合った処理対象を指定できるため、便利である。
【0106】
(8)会計処理装置1は、伝票画像の照合時に用いた、テキストデータ、イメージ画像、レイアウトデータといった伝票データを登録する。
したがって、登録した伝票データは、次の伝票画像との照合に用いることができ、過去の伝票画像データを有効活用できる。
(9)会計処理装置1は、所定数を越えない限りにおいて、伝票データを登録することで、照合に費やす処理時間を抑えることができ、かつ、伝票データを登録するのにかかる処理を低減できる。
また、会計処理装置1は、所定期間を経過した伝票データを削除するので、古い伝票画像の伝票データを照合対象にせず、また、処理を高速にすることができる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0108】
(変形形態)
(1)実施形態では、伝票画像解析処理を行った結果を、読取結果画面に出力し、修正した場合に、その内容を反映させることを説明したが、これに限定されない。
例えば、店舗名や業種等が変更された場合には、変更された店舗名や業種の過去の伝票画像を用いて再度類似データ抽出処理を行って、会計候補を記憶させるようにしてもよい。そうすることで、読み取った伝票画像により適した会計候補を出力することができる。
【0109】
(2)実施形態では、顧問先ごとに過去の伝票データを用いて新たな伝票画像との照合を行うものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、照合を行う過去の伝票データは、顧問先を越えて、会計事務所の他の顧問先の過去の伝票データを用いてもよい。特に、新規に顧問契約した先では、過去の伝票画像が蓄積されていなかったり、少なかったりする。そのため、会計事務所の他の顧問先の過去の伝票データを用いることは、処理対象の顧問先の伝票データが少ないときには有効である。その際、会社マスタを参照し、処理対象の顧問先の住所が近隣であったり、電話番号の市外局番が一致していたり、業種が同じ顧問先の伝票データを使うと、同じ取引先の伝票データが含まれている可能性がより高くなるため有効である。
【0110】
(3)実施形態では、会計処理装置は、会計事務所内に有するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、会計処理装置は、顧問先企業内にあったり、業務委託等のサービスを行っている企業内であったり、クラウドサービスであってもよい。また、例えば、会計処理装置のアプリを開発している企業に会計処理装置の機能を有するサーバを設け、このサーバに会計事務所のコンピュータが接続されることで実現してもよい。
つまり、会計事務所のユーザは、例えば、本店経理部門の専任者や、会計事務所の税理士等であってもよい。その場合には、顧問先のユーザは、それぞれ、各支店や各部門の入力担当者や、会計事務所の職員又は在宅入力者であってもよい。
【0111】
(4)実施形態では、DBやテーブルの活用及び辞書やアルゴリズムを使用した広義のAI(人工知能)処理として、レシート等の伝票に印字されている情報に基づいて、過去に読み込んだレシート等の伝票に印字されている情報と比較して、同一又は類似の取引先であるかどうかを精度よく特定し、その取引先における過去の仕訳データ(科目、摘要)を利用して、新たに入力しようとしている伝票に関する仕訳入力を支援するものを説明した。この他、より精度が上がるように、伝票画像から、取引先のグルーピングを行なう処理等については、深層学習等を用いたAIを活用してもよい。
【解決手段】会計処理装置1は、新たな伝票画像を受け付ける伝票画像受付部11と、受け付けた伝票画像からテキストデータ及び画像パターンデータを抽出する伝票データ抽出部13と、抽出したテキストデータ及び画像パターンデータと、伝票画像DB32に記憶された伝票データのテキストデータ及び画像パターンデータとを照合し、類似した伝票データの伝票データを、伝票画像DB32から抽出する類似データ抽出部15と、抽出した伝票データに対応付けられた仕訳データを仕訳データDB33から取得する過去仕訳データ取得部16と、取得された仕訳データに有する会計情報を、新たな伝票画像の仕訳データ作成のための候補として出力する候補出力部20とを備える。