【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年8月13日ホテルコートヤードマリオット デュッセルドルフハーフェン(ドイツ連邦共和国)内で開かれた公開の記者会見において発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0029】
A.装着式動作補助装置の構成
図1は本発明の装着式動作補助装置(以下「動作補助装置」と称する)の実施形態の一例を示す全体斜視図である。
図2は
図1に示す動作補助装置の正面図である。
図3は
図1に示す動作補助装置の背面図である。
図4は
図1に示す動作補助装置の右側面図である。
【0030】
動作補助装置10は、装着者(図示省略、以下同様)の腰に装着される腰フレーム11と、装着者の下肢に装着される下肢フレーム12と、装着者の関節に対応させて下肢フレーム12に設けられた複数の駆動部13L、13R、14L、14Rと、駆動部13L、13R、14L、14Rの力を装着者に前方又は後方から作用させるべく下肢フレーム12に取り付けられた補助力作用部材としてのカフ15L、15R、16L,16Rと、装着者の動作に起因する信号に基づいて駆動部13L、13R、14L、14Rを制御する制御部18aと、制御部18aを搭載した背面ユニット18と、介助者が使用する操作ユニット140とを有する。
【0031】
B.腰フレーム
図5は、
図1に示す動作補助装置の腰フレーム11及び背面ユニット18からなる部分を示す斜視図である。
【0032】
腰フレーム11は、装着者の腰を受け入れてその後部から左右両側部にかけて包囲し得る前方に開いた平面視略C字形状の部材であり、装着者の背後に位置する後腰フレーム部31と、後腰フレーム部31の両端から湾曲しつつ前方に延びる左腰フレーム部32L及び右腰フレーム部32Rとを有する。左腰フレーム部32L及び右腰フレーム部32Rは、腰幅調整機構33を介して後腰フレーム部31に連結されている。左腰フレーム部32L及び右腰フレーム部32Rの基部は、後腰フレーム部31内に左右方向にスライド可能に挿入されて保持されている。
【0033】
腰幅調整機構33は、後腰フレーム部31の両端近傍にロックレバー34L、34Rを有する。ロックレバー34L、34Rは、左腰フレーム部32L及び右腰フレーム部32Rを後腰フレーム部31に固定し、又はその固定を解除するためのものである。ロックレバー34L、34Rを固定を解除する側(
図5の矢印Bの向き)に回し、左腰フレーム部32L及び右腰フレーム部32Rを後腰フレーム部31に対して左右にスライドさせて両者の間隔を調整した後、ロックレバー34L、34Rを解除とは逆向き(
図5の矢印Aの向き)に回し、回動限界位置で固定することにより、腰フレーム11の開度を調節することができるようになっている。
【0034】
C.下肢フレーム
下肢フレーム12は、装着者の右下肢に装着される右下肢フレーム21Rと、装着者の左下肢に装着される左下肢フレーム21Lとを有する。左下肢フレーム21Lと右下肢フレーム21Rは、左右対称に形成されている。
【0035】
左下肢フレーム21Lは、装着者の左大腿の左側に位置する左大腿フレーム22Lと、装着者の左下腿の左側に位置する左下腿フレーム23Lと、装着者の左足の裏(靴を履く場合には、左側の靴の底)が載置される左足部フレーム24Lとを有する。左下肢フレーム21Lは、腰部連結機構25Lを介して左腰フレーム部32Lの先端部に連結されている。
【0036】
右下肢フレーム21Rは、装着者の右大腿の右側に位置する右大腿フレーム22Rと、装着者の右下腿の右側に位置する右下腿フレーム23Rと、装着者の右足の裏(靴を履く場合には、右側の靴の底)が載置される右足部フレーム24Rとを有する。右下肢フレーム21Rは、腰部連結機構25Rを介して右腰フレーム部32Rの先端部に連結されている。
【0037】
左腰フレーム部32Lの先端部及び右腰フレーム部32Rの先端部には、上下に開口した直管構造の下肢フレーム支持部25が形成されている。腰部連結機構25L、25Rは、下肢フレーム支持部25に挿通された支軸26を有している。左下肢フレーム21L及び右下肢フレーム21Rは支軸26の下端部に連結されている。支軸26の上端部には円環状のフランジ部26aが形成されており、当該フランジ部26aが下肢フレーム支持部25の上端に係合することにより、支軸26に掛かる荷重を支えている。下肢フレーム支持部25の下端部には環状の留め部材27が嵌め付けられている。留め部材27には円環状のフランジ部27aが形成されており、当該フランジ部27aが下肢フレーム支持部25の下端に係合している。支持部材27の内周部には図示しない雌ねじ部が形成されている。支軸26の中間部外周には図示しない雄ねじ部が形成されている。支軸26及び支持部材27と下肢フレーム支持部25との間には、ゴムなど弾性体で形成された緩衝部材28が設けられている。支軸26を留め部材27に挿通して、両者の螺子部を螺合させ締め付けることにより、支軸26がその軸周りに旋回可能に、緩衝部材28を介して弾力的に腰フレーム11に保持される。
【0038】
腰部連結機構25L、25Rは、支軸26の旋回角度を所定の角度(例えば、度)以下に制限する旋回制限機構30を有している。旋回制限機構30は、支軸26の中間部に設けられた係止突起30aと、下肢フレーム支持部25の中間部に設けられた長孔25aとからなる。係止突起30aは、支軸26に対し直角に設けられている。長孔25aは、下肢フレーム支持部25の周方向に延びている。係止突起30aは、長孔25a内に位置し、下肢フレーム支持部25に対する支軸26の旋回動に伴って長孔25a内を移動する。係止突起30aの移動範囲が、長孔25aの一方の端から他方の端までの範囲に制限されることにより、支軸26の旋回角度が所定の角度以下に制限されている。
【0039】
左下肢フレーム21L及び右下肢フレーム21Rは、支軸26に同軸的に固定されることにより、各々の長軸周りに旋回可能に、緩衝部材28を介して腰フレーム11に連結されている。そして、支軸26の旋回角度が所定の角度以下に制限されることにより、腰フレーム11に対する左下肢フレーム21L及び右下肢フレーム21Rの旋回角度が所定の角度以下に制限されている。
【0040】
左大腿フレーム22Lの上端部及び右大腿フレーム22Rの上端部には、それぞれ軸受構造の駆動部(以下、「股関節駆動部」と称す。)13L、13Rが設けられている。股
関節駆動部13L、13Rには、動力源となる図示しない駆動モータが内蔵されている。股関節駆動部13L、13Rは、装着者の股関節と一致する高さに調整することができる。股関節駆動部13L、13Rは、固定要素と、当該固定要素に対して回動する回動要素とを有する。股関節駆動部13Lの固定要素が腰部連結機構25L側に締結され、回動要素が左大腿フレーム22L側に締結されることにより、腰部連結機構25Lに対して左大腿フレーム22Lが前後に回動可能に連結されている。股関節駆動部13Rの固定要素が腰部連結機構25R側に締結され、回動要素が右大腿フレーム22R側に締結されることにより、腰部連結機構25Rに対して右大腿フレーム22Rが前後に回動可能に連結されている。
【0041】
股関節駆動部13L、13Rの固定要素と腰部連結機構25L、25Rとの間には、左
右に回動するヒンジ機構を有する形状可変部41L、41Rが介在しており、腰部連結機構25L、25Rに対して左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rが各々左右(
図2中の矢印Aの方向)に回動可能となっている。
【0042】
左下腿フレーム23Lの上端部及び右下腿フレーム23Rの上端部には、それぞれ軸受構造の駆動部(以下、「膝関節駆動部」と称す。)14L、14Rが設けられている。膝関節駆動部14L、14Rには、動力源となる図示しない駆動モータが内蔵されている。膝関節駆動部14L、14Rは、装着者の膝関節と一致する高さに調整することができる。膝関節駆動部14L、14Rは、固定要素と、当該固定要素に対して回動する回動要素とを有する。膝関節駆動部14Lの固定要素が左大腿フレーム22L側に締結され、回動要素が左下腿フレーム23L側に締結されることにより、左大腿フレーム22Lに対して左下腿フレーム23Lが前後に回動可能に連結されている。また、膝関節駆動部14Rの固定要素が右大腿フレーム22R側に締結され、回動要素が右下腿フレーム23R側に締結されることにより、右大腿フレーム22Rに対して右下腿フレーム23Rが前後に回動可能に連結されている。
【0043】
膝関節駆動部14L、14Rの固定要素と左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rとの間には、左右に回動するヒンジ機構を有する形状可変部42L、42Rが介在しており、左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rに対して左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rが各々左右(
図2中の矢印Bの方向)に回動可能となっている。
【0044】
左下腿フレーム23Lの下端と左足部フレーム24Lの上端との間、及び、右下腿フレーム23Rの下端と右足部フレーム24Rの上端との間には、それぞれ軸受構造の足関節機構50L、50Rが介在しており、左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rに対し左足部フレーム24L及び右足部フレーム24Rがそれぞれ前後に回動可能に連結されている。そして、左足部フレーム24Lの内側及び右足部フレーム24Rの内側に、装着者の足に装着される靴60L、60Rが固定されている。
【0045】
足関節機構50L、50Rは、装着者の足関節の側方に位置するように設けられている
。足関節機構50L、50Rが装着者の足関節と同じように回動することにより、装着者の歩行動作に応じて、床面(または地面)に対する靴60L、60Rの角度が変化する。足関節機構50L、50Rは、巻きばねなどの弾性部材を内蔵しており、靴60L、60Rの先端側が垂れ下がらないように当該弾性部材の弾性力により付勢している。
【0046】
足関節機構50L、50Rと左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rとの間には、左右に回動するヒンジ機構を有する形状可変部43L、43Rが介在しており、左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rに対して左足部フレーム24L及び右足部フレーム24Rが各々左右(
図2中の矢印Cの方向)に回動可能となっている。
【0047】
左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rは、それぞれ大腿フレーム本体71U(上側要素70U)とスライド部材71L(下側要素70L)とで構成されている。左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rは、それぞれ下腿フレーム本体72U(上側要素70U)とスライド部材72L(下側要素70L)とで構成されている。上側要素70Uと下側要素70Lは、長手方向に互いにスライド可能に構成されている。
図6に示すように、上側要素70Uには、両要素70U、70Lを互いに固定し又はその固定を解除するためのロックレバー73が設けられており、ロックレバー73を固定を解除する側(
図6の矢印Bの向き)に回し、両要素70U、70Lを互いにスライドさせて両者の相対位置を調整した後、ロックレバー73を解除とは逆向き(
図6の矢印Aの向き)に回し、回動限界位置で固定することにより、各フレーム22L、22R、24L及び24Rの長さを各々調節することができるようになっている。
【0048】
大腿フレーム本体71Uは、上側の太い部分(以下、「上部」と記す。)と下側の細い部分すなわち、下側要素70Lを収容している部分(以下、「下部」と記す。)とを有する。大腿フレーム本体71Uの上部と下部との間には、左右に回動するヒンジ機構を有する形状可変部44L、44R、45L及び45Rが介在しており、大腿フレーム本体71Uの上部に対して下部が各々左右(
図2中の矢印D、Eの方向)に回動可能となっている。
【0049】
D.カフ
カフ15、16は、左大腿フレーム22L、右大腿フレーム22R、左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rに、各々一つずつ設けられている。
【0050】
D1.大腿カフ
左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rに設けられているカフ(以下、「大腿カフ」と記す。)15は、大腿フレーム本体71Uの下端部に取り付けられた大腿カフ支持機構100に支持されて、装着者の大腿部の上下方向中央部又はその近傍に設けられる。大腿カフ15は、装着者の大腿に嵌合させるようにして添え当て得る円弧状に湾曲した装着面を有している。大腿カフ15の装着面には、装着者の大腿と隙間をなく密着し得るようフィッティング部材が取り付けられている。
【0051】
図7及び
図9は、
図1に示す動作補助装置の大腿カフ15及び大腿カフ支持機構100(100A、100B)が設けられている部分を示す斜視図である。大腿カフ15の取り付け態様には、
図7に示すように第1大腿カフ支持機構100Aにより大腿フレーム本体71Uの上部に取り付ける態様と、
図9に示すように第2大腿カフ支持機構100Bにより大腿フレーム本体71Uの下部に取り付ける態様とがある。
【0052】
図8は第1大腿カフ支持機構100Aを大腿フレーム本体71Uの上部に取り付ける直前(又は取り外した直後)の状態を示す斜視図である。第1大腿カフ支持機構100Aは、大腿フレーム本体71Uの上部に固定される固定部材110Aと、固定部材110Aに
連結されたカフ支持部材130Bとを有している。
【0053】
固定部材110Aは、大腿フレーム本体71Uの内側面にねじ111で締着固定される横長の板状の固定部112Aを有している。固定部112の前後両端近傍には、上下に延びる長孔112a、112bが形成されている。大腿フレーム本体71Uの上部の内側面には、固定部112Aの前後の長孔112a、112bの位置に合わせてねじ孔71a、71bが前後に形成されている。ねじ孔71a、71bは、上下に距離を置いて二つずつ設けられており、固定部112Aの前後の長孔112a、112bにねじ111を挿通し、上下どちらかのねじ孔71a、71bにねじ111を挿入して締め付けることにより、第1大腿カフ支持機構100Aを上下いずれかの位置に取り付けることが可能である。また、ねじ111を緩めた状態で、ねじ111に対し長孔112a、112bの位置を上下に動かすことにより、第1大腿カフ支持機構100Aの高さ位置を微調節することが可能である。大腿フレーム本体71Uの上部の内側面には、上下に延びる互いに平行な2本のガイド突起71c、71dが形成されている。固定部112Aにはガイド突起71c、71dに嵌合する2本のガイド溝112c、112dが形成されている。大腿フレーム本体71Uのガイド突起71c、71dに固定部112のガイド突起71c、71dが嵌合することにより、大腿フレーム本体71Uに対する固定部112Aのがたつきが防止される。
【0054】
第1大腿カフ支持機構100は、その固定部材110Aを大腿フレーム本体71Uの内側面に固定している前後のねじ111、111を外すことにより、大腿フレーム本体71Uから簡単に取り外すことが可能である。そして、第1大腿カフ支持機構100の前後を反転させて再度取り付けることにより、下肢フレーム12に対する大腿カフ15の前後位置を変更することが可能である。
【0055】
固定部材110Aの前後一方の端部には、後述する下肢ベルト81を連結するための環状のベルト連結部114が設けられ、もう一方の端部に、カフ支持部材130が取り付けられている。
【0056】
カフ支持部材130は、固定部材110Aの端面にねじ131で締着固定されたブラケット部材132Aと、ブラケット部材132Aに略水平方向に回動可能に支持されたアーム部材133Aとを有している。カフ15はアーム部材133Aに固定されている。アーム部材133Aの先端部には、後述する下肢ベルト81を連結するための環状のベルト連結部137Aが設けられている。
【0057】
ブラケット部材132Aは、固定部材110Aの端面に接合される板状の基部134と、アーム部材133Aを回動可能に支持するブラケット状のアーム支持部135とを有する。基部134には、固定部材110Aの端面の上下二
箇所に形成されたねじ穴(図示省略)の位置に合わせて横長のねじ挿通孔134a、134bが形成されている。アーム支持部135Aは、上下一対の平板部135a、135bを有している。両平板部135a、135b間にアーム部材133Aの基部133aが配置され、当該基部133aと両平板部135a、135bとが上下に貫通する支軸138により互いに回動可能に連結されている。
【0058】
両平板部135a、135bには、支軸138の位置を曲率中心とする円弧状のガイド孔135h、135hが形成されている。アーム部材133Aの基部の上下には、それぞれ上側と下側からガイド孔135h、135hに挿通されたねじ139が取り付けられており、ねじ139のヘッド部139aが平板部135a、135bに係合している。アーム部材133Aは、ねじ139がガイド孔135h、135h内を移動可能な範囲で、ブラケット部材132Aに対し回動可能であり、ねじ139を締めることにより、ブラケッ
ト部材132Aに対しアーム部材133Aの水平方向における角度を任意の角度に調節して固定することが可能である。
【0059】
また、ブラケット部材132Aは、その基部134を固定部材110Aの端面に固定している上下のねじ131を緩めることにより、横長に形成されたねじ挿通孔134aが許容する範囲で固定部材110Aに対して左右方向に角度を変えることができ、ねじ131を締めることにより、固定部材110Aに対しアーム部材133Aの左右方向における角度を任意の角度に調節して固定することが可能である(
図9参照)。
【0060】
図10は第2大腿カフ支持機構100Bを大腿フレーム本体71Uの下部に取り付ける直前(又は取り外した直後)の状態を示す斜視図である。第2大腿カフ支持機構100Bは、大腿フレーム本体71Uの下部に固定される固定部材110Bと、固定部材110Bに連結されたカフ支持部材130Bとを有している。
【0061】
固定部材110Bは、大腿フレーム本体71Uの下部の内側面に固定される横長の板状の固定部112Bを有している。固定部112Bの前後方向における一方の端部には、上下に延びる係止溝113が形成されている。固定部112Bの前後方向におけるもう一方の端部には、平面視略L字形のロック部材115が設けられている。ロック部材115の基端部は、回動軸116を介して水平方向に回動可能に固定部112Bに連結されている。ロック部材115の先端部には、上下に延びる係止爪117が形成されている。
【0062】
ロック部材115は、係止爪117を係止溝113に向き合わせた状態(ロック状態)にして、固定部112Bに図示しないねじ(
図13の符号21
8参照)で締着することにより、固定部112Bに回動不能に固定される。
【0063】
大腿フレーム本体71Uの下部の前面及び後面には、上下に延びる直線状のガイド突起71e、71f(71fは図示せず)が形成されている。ガイド突起71e、71fは、固定部材110Bの係止溝113及びロック部材115の係止爪117がそれぞれ係合し得るように形成されている。第2大腿カフ支持機構100Bは、係止溝113及び係止爪117を大腿フレーム本体71Uの下部の前後のガイド突起71e、71fに係止させた状態で、ロック部材をロック状態にしてねじ(
図13の符号21
8参照)で固定することにより、大腿フレーム本体71Uの下部にその内側面を抱き込むようにして取り付けられる。大腿フレーム本体71Uの下部の前後のガイド突起71e、71fに固定部材110Bの前後に設けられた係止溝113及び係止爪117が嵌合することにより、大腿フレーム本体71Uに対する固定部材110Bのがたつきが防止される。
【0064】
固定部材110Bの係止溝113が設けられている方の端部には、カフ支持部材130Bが取り付けられ、ロック部材115が設けられている方の端部には、後述する下肢ベルト81を連結するための環状のベルト連結部114が設けられている。
【0065】
カフ支持部材130Bは、固定部材110Bの端面にねじ131で締着固定されたブラケット部材132Bと、ブラケット部材132Bに略水平方向に回動可能に支持されたアーム部材133Bとを有している。カフ15はアーム部材133Bに固定されている。アーム部材133Bの先端部には、後述する下肢ベルト81を連結するための環状のベルト連結部137が設けられている。
【0066】
ブラケット部材132Bは、固定部材110Bの端面に接合される板状の基部134Bと、アーム部材133Bを回動可能に支持するブラケット状のアーム支持部135Bとを有する。基部134Bには、固定部材110Bの端面の上下二
箇所に形成されたねじ穴の位置に合わせて横長のねじ挿通孔134aが形成されている。アーム支持部135Bは、上下一対の平板部135a、135bを有している。両平板部135a、135b間にアーム部材133Bの基部133aが配置され、当該基部133aと両平板部135a、135bとが上下に貫通する図示しない支軸により互いに回動可能に連結されている。
【0067】
両平板部135bには、支軸の位置を曲率中心とする円弧状のガイド孔135hが形成されている。アーム部材133Bの基部の上下には、それぞれ上側と下側からガイド孔135hに挿通されたねじ139が取り付けられている。アーム部材133Bは、そのねじがガイド孔135h内を移動可能な範囲で、ブラケット部材132Bに対し回動可能であり、ねじ139を締めることにより、ブラケット部材132Bに対しアーム部材133Bの水平方向における角度を任意の角度に調節して固定することが可能である。
【0068】
また、ブラケット部材132Bは、その基部134Bを固定部材110Bの端面に固定している上下のねじ131を緩めることにより、横長に形成されたねじ挿通孔134aが許容する範囲で固定部材110Bに対して左右方向に角度を変えることができ、ねじ131を締めることにより、固定部材110Bに対しアーム部材133Bの左右方向における角度を任意の角度に調節して固定することが可能である。
【0069】
また、第2大腿カフ支持機構100Bは、そのロック部材を固定しているねじを緩めて、固定部112Bをガイド突起71e、71fに沿って上下にスライドさせることにより、大腿フレーム本体71Uに取り付ける高さ位置を調節することが可能である。
【0070】
また、第2大腿カフ支持機構100Bは、そのロック部材を固定しているねじを外すことにより、大腿フレーム本体71Uから簡単に取り外すことが可能である。そして、第2大腿カフ支持機構100Bの前後を反転させて再度取り付けることにより、下肢フレーム12に対する大腿カフ15の前後位置を変更することが可能である。
【0071】
D2.下腿カフ
左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rに設けられているカフ(以下、「下腿カフ」と記す。)16は、上側要素72U(70U)に取り付けられた下腿カフ支持機構200に支持されている。下腿カフ16は、装着者の下腿部の上下方向中央部又はその近傍に設けられる。下腿カフ16は、装着者の下腿に嵌合させるようにして添え当て得る円弧状に湾曲した装着面を有している。下腿カフ16の装着面には、装着者の下腿と隙間をなく密着し得るようフィッティング部材が取り付けられている。
【0072】
図11は動作補助装置10の下腿カフ16及び下腿カフ支持機構200が設けられている部分を示す斜視図、
図12は下腿カフ支持機構202を下腿フレーム本体72Uに取り付ける際の状態を示す斜視図、
図13は下腿カフ支持機構200が取り付けられている状態を示す要部斜視図、
図14は下腿カフ支持機構200の斜視図である。
【0073】
下腿カフ支持機構200は、下腿フレーム本体72Uに固定される固定部材210と、固定部材210に連結されたカフ支持部材230とを有している。
【0074】
固定部材210は、下腿フレーム本体72Uの内側面に固定される横長の板状の固定部212を有している。固定部212の前後方向における一方の端部には、上下に延びる第1係止爪213が形成されている。固定部212の前後方向におけるもう一方の端部には、平面視略L字形のロック部材215が設けられている。ロック部材215の基端部は、回動軸216を介して水平方向に回動可能に固定部212に連結されている。ロック部材215の先端部には、上下に延びる第2係止爪217が形成されている。
【0075】
ロック部材215の上下方向中央部には、ねじ218が挿通されるねじ挿通孔215a
が形成されている。固定部212には、ロック部材215の第2係止爪217を第1係止爪213に向き合わせた状態(ロック状態)にしたときにねじ挿通孔215aと重なる位置に、ねじ218が締着されるねじ孔212aが形成されている。ロック部材215をロック状態にして、ねじ218を締着することにより、ロック部材215が固定部212に回動不能に固定される。
【0076】
下腿フレーム本体72Uの前面及び後面には、上下に延びる直線状の係止溝75a、75bが形成されている。係止溝75a、75bは、固定部材110の第1係止爪213及びロック部材215の第2係止爪217がそれぞれ係合し得るように、下腿フレーム本体72Uの内側面の前縁近傍及び後縁近傍に形成されている。下腿カフ支持機構200は、第1係止爪213及び第2係止爪217を下腿フレーム本体72Uの前後の係止溝75a、75bに係止させた状態で、ロック部材215をロック状態にしてねじ218で固定することにより、下腿フレーム本体72Uにその内側面を抱き込むようにして取り付けられる。下腿フレーム本体72Uの前後の係止溝75a、75bに固定部材110の前後に設けられた第1係止爪213及び第2係止爪217が嵌合することにより、下腿フレーム本体72Uに対する固定部材110のがたつきが防止される。
【0077】
固定部材210の第1係止爪213が設けられている方の端部には、カフ支持部材230が取り付けられ、ロック部材215が設けられている方の端部には、後述する下肢ベルト81を連結するための環状のベルト連結部214が設けられている。
【0078】
カフ支持部材230は、固定部材210の端面にねじ231で締着固定されたブラケット部材232と、ブラケット部材232に略水平方向に回動可能に支持されたアーム部材233とを有している。カフ16はアーム部材233に固定されている。アーム部材233の先端部には、後述する下肢ベルト81を連結するための環状のベルト連結部237が設けられている。
【0079】
ブラケット部材232は、固定部材210の端面に接合される板状の基部234と、アーム部材233を回動可能に支持するブラケット状のアーム支持部235とを有する。基部234には、固定部材210の端面の上下二
箇所に形成されたねじ穴(図示省略)の位置に合わせて横長のねじ挿通孔234aが形成されている。アーム支持部235は、上下一対の平板部235a、235bを有している。両平板部235a、235b間にアーム部材233の基部233aが配置され、当該基部233aと両平板部235a、235bとが上下に貫通する支軸238により互いに回動可能に連結されている。
【0080】
両平板部235a、235bには、支軸238の位置を曲率中心とする円弧状のガイド孔235h、235hが形成されている。アーム部材133の基部の上下には、それぞれ上側と下側からガイド孔235h、235hに挿通されたねじ239が取り付けられており、ねじ239のヘッド部239aが平板部235a、235bに係合している。アーム部材233は、ねじ239がガイド孔235h、235h内を移動可能な範囲で、ブラケット部材232に対し回動可能であり、ねじ239を締めることにより、ブラケット部材232に対しアーム部材233の水平方向における角度を任意の角度に調節して固定することが可能である。
【0081】
また、ブラケット部材232は、その基部234を固定部材210の端面に固定している上下のねじ231を緩めることにより、横長に形成されたねじ挿通孔234aが許容する範囲で固定部材210に対して左右方向に角度を変えることができ、ねじ231を締めることにより、固定部材210に対しアーム部材233の左右方向における角度を任意の角度に調節して固定することが可能である。
【0082】
下腿カフ支持機構200は、ロック部材215を固定しているねじ218を緩めて、固定部212を係止溝75a、75bに沿って上下にスライドさせることにより、下腿フレーム本体72Uに取り付ける高さ位置を調節することが可能である。
【0083】
また、下腿カフ支持機構200は、ロック部材215を固定しているねじ218を外すことにより、下腿フレーム本体72Uから簡単に取り外すことが可能である。そして、下腿カフ支持機構200の前後を反転させて再度取り付けることにより、下肢フレーム12に対する下腿カフ16の前後位置を変更することが可能である。
【0084】
図15は
図1に示す動作補助装置の装着時の状態を示す斜視図である。
【0085】
図15に示すように、動作補助装置1
0の装着時には、下肢フレーム12を大腿部及び下腿部と一体化させるために下肢ベルト81が使用される。また、腰フレーム11及び背面ユニット18を装着者の体幹部と一体化させるために体幹部ベルト82、83が使用される。
【0086】
下肢ベルト81は、両端部が平面ファスナ構造になっている。大腿カフ15を装着者の大腿の前側又は後側に配置した状態で、大腿カフ支持機構100のベルト連結部114、137に下肢ベルト81の両端部を連結し、大腿カフ15が大腿に密着するように下肢ベルト81の締め具合を調節することにより、下肢フレーム12の左右の大腿フレーム22L、22Rを装着者の大腿部と一体化させることができる。また、下腿カフ16を装着者の下腿の前側又は後側に配置した状態で、下腿カフ支持機構200のベルト連結部214、237にベルト81の両端部を連結し、下腿カフ16が下腿に密着するように下肢ベルト81の締め具合を調節することにより、下肢フレーム12の左右の下腿フレーム23L、23Rを装着者の下腿部と一体化させることができる。
【0087】
下肢フレーム12が装着者の下肢と一体化していることにより、駆動部13L、13R、14L、14Rで発生された駆動トルクが下肢フレーム12を介して装着者の下肢にアシスト力として有効に伝達される。その際、左右の股関節駆動部13L、13Rの力が、
左右の大腿フレーム22L、22Rに設けられた大腿カフ15を介して装着者の大腿部に効率良く伝達される。また、左右の膝関節駆動部14L、14Rの力が、左右の下腿フレーム23L、23Rに設けられた下腿カフ16を介して装着者の下腿部に効率良く伝達される。
【0088】
E.背面ユニット
背面ユニット18は、後腰フレーム部31の左右方向中央部に取り付けられている。背面ユニット18は、パイプ材を略長方形の環状に曲げ加工してなるパイプフレーム35を有している。パイプフレーム35は、上下方向中間部で若干後方に屈曲しており、その屈曲した部分より下側の部分を後腰フレーム部31の前面に接触させて、締着金具36により後腰フレーム部31に固定されている。パイプフレーム35の下部には電源スイッチが設けられたスイッチボックス17が、上部には電源部120が取り付けられている。制御部18a及び電源部120の前面すなわち装着者に面する部分には、緩衝パッド121が貼り付けられている。
【0089】
F.操作ユニット
(操作ユニット140の説明)
操作ユニット140は、
図16に示すように、ディスプレイ141と、タスク選択ボタン142と、関節ボタン143と、ストップボタン144と、スタートボタン145と、十字キー146と、確定操作ボタン147と、を有する。また、操作ユニット140は、
図17の斜視図に示すように、ディスプレイ141が配置された筐体上部140aが、各
種ボタン142〜147が配置された筐体下部140bに対して幅広な形状を有する。換言すれば、このように筐体上部140aに対して筐体下部140bを幅狭にすることで、筐体下部140bは、介助者にとって操作ユニット140の持ち手として機能する。さらに、筐体下部140bの側面に溝140cが複数設けられることによって、介助者が操作ユニット140の筐体下部140bを握った際に指が溝140cに引っかかることとなる。つまり、操作ユニット140が介助者の手から滑り落ちることを防止できる。
【0090】
ディスプレイ141は、動作補助装置10の設定及び動作状態などを表示する。タスク選択ボタン142は、起立動作、歩行動作や着席動作など、装着者の各動作パターンをタスクとして分類し、それぞれタスクの選択操作を受け付けるための複数のボタンから構成される。タスク選択ボタン142により一のタスクが選択されると、後述するように、当該タスクがタスク表示153、171cに表示され、制御部18aが選択されたタスクに基づいた制御が行われることになる。
【0091】
関節ボタン143は、
図17に示すように、各関節に関するアシスト力の設定及び動作状態をディスプレイ141に表示するための操作ボタンである。
【0092】
具体的には、関節ボタン143は、左股関節ボタン143aと左膝関節ボタン143bと右股関節ボタン143cと右膝関節ボタン143dである
。各関節ボタンが操作ユニット140の筐体下部140bの中心を基準として、それぞれ左上側、左下側、右上側、右下側に配置されている。換言すれば、関節ボタン143a〜143dの配置は、介助者が装着者の後側から介助しながら操作ユニット140を視認する際に、装着者の各関節の位置に対応付けられている。このような配置により、介助者は、直感的で誤りのないボタン操作が可能となる。
【0093】
ストップボタン144は、例えば、右膝関節ボタン143dの下側に配置され、動作補助装置10のアシストを停止する操作を行うためのボタンである。スタートボタン145は、例えば、左膝関節ボタン143bの下側に配置され、動作補助装置10のアシストを開始する操作を行うためのボタンである。また、ストップボタン144とスタートボタン145は、十字キー146を挟んで左右に大きく間隔を置いてそれぞれ配置されることにより、装置の誤操作を防止することができる。
【0094】
十字キー146は、例えば、関節ボタン143に対して筐体下部140bの中心側に配置され、ディスプレイ141に表示されるカーソル位置の移動やカーソルで調整可能な値の増減を行う。確定
操作ボタン147は、筐体下部140bの中心位置に配置され、他のボタンによる入力値を確定したり、表示画面を切り替えたりする操作を行うためのボタンである。
【0095】
(ディスプレイ141における表示の説明)
上述した操作ユニット140におけるディスプレイ141の画面表示例について、
図18及び
図19(a)〜(c)を用いて説明する。
図18は、動作補助装置10の設定を行う設定画面150を示す例であり、
図19(a)〜(c)は、動作状態などを表示するアシスト中の画面160、画面170及び画面180を示す例である。
図19(a)〜(c)は、3つの表示パターンの例を示すもので、これらの画面は、確定
操作ボタン147(
図16及び
図17参照)の押圧操作等により、順に切り替わるようになっている。
【0096】
(設定画面の説明)
設定画面150は、
図18に示すように、メニュー表示項目として、装着者が個別に設定した情報であることを示す装着者ID151と、装置の起動時間を示すアシスト経過時間152と、現在のタスクを表示するタスク表示153と、装置のバッテリ残量を示すバ
ッテリ残量表示154と、メニュー等のボタンを示すショートカット選択肢155と、を備える。設定画面150は、また、画面表示項目として、部位リスト156と、設定編集項目欄157と、を備える。
【0097】
このうち、タスク表示153は、タスク選択ボタン142により選択された現在のタスクが表示される。例えば、タスク選択ボタン142により「歩行(WALK)」が選択された場合には、タスク表示153は、「WALK」を表示する。また、後述するように制御部18aが各種検出信号に基づいて装着者の姿勢を判定してタスクを切り替える制御モードが設定されている場合には、タスク表示153は、制御部18aによる判定結果に応じてタスクが切り替わる毎に、切り替わったタスクを表示する。
【0098】
また、部位リスト156は、選択項目として、上から、システム全体に関する設定を行う「COMMON」ボタン156a、左股関節の駆動部71Lのアシストの設定を行う「L HIP」ボタン156b、左膝関節の駆動部72Lのアシストの設定を行う「L KNEE」ボタン156c、右股関節の駆動部71Rのアシストの設定を行う「R HIP」ボタン156d、右膝関節の駆動部72Rのアシストの設定を行う「R KNEE」ボタン156eを備える。「L HIP」ボタン156b、「L KNEE」ボタン156c、「R HIP」ボタン156d又は「R KNEE」ボタン156eの各ボタンは、上述した十字キー146の上下操作によって、選択ボタンを上下させることによって選択することもできるが、最適には関節ボタン143a〜143dを選択することによって、直接的に選択可能である。
【0099】
設定編集項目欄157は、上から、装着者のアシストを行う制御モードの設定を行う「CTRL MODE」項目157a、生体電位信号を処理するフィルタと増幅率を選択する感度レベルの設定を行う「SENS LEV」項目157b、装着者のアシストの出力上限の設定を行う「TORQUE LIM」項目157c、アシスト角度範囲(°)の設定を屈曲角度(初期値HIP=115°、KNEE=115°)と伸展角度(初期値HIP=−15°、KNEE=0°)の設定を行う「ANG RANGE」項目157dを備える。
【0100】
これらの設定編集項目の編集は、次のような手順で行う。すなわち、介助者は、左股関節の駆動部71L、左膝関節の駆動部72L、右股関節の駆動部71R又は右膝関節の駆動部72Rのいずれかの駆動部の設定を行うに当たって、まず、操作ユニット140における各駆動部に対応した関節ボタン143a〜143dを選択する。例えば、関節ボタン143aを選択すると、
図18に示すように、「L HIP」ボタン156bが灰色で強調表示され、同時に、設定編集項目欄157のいずれかの設定項目が灰色で強調表示され(ここでは、「CTRL MODE」項目157a)、設定編集項目欄157の設定操作が可能になる。この状態では、介助者は、十字キー146の上下操作によって、設定編集項目欄157の157a〜157dを選択し、いずれかの設定編集を行う。
【0101】
(アシスト中の操作画面の説明)
アシスト中の画面160は、
図19(a)に示すように、表示項目として、関節名表示161、制御モード表示162、屈筋の生体電位信号レベル表示163、伸筋の生体電位信号レベル表示164、トルクチューナ設定値表示165、バランスチューナ設定値表示166が設けられている。
【0102】
関節名表示161は、左股関節の駆動部71Lのアシスト設定を示す「L HIP」表示161a、左膝関節の駆動部72Lのアシスト設定を示す「L KNEE」表示161b、右股関節の駆動部71Rのアシスト設定を示す「R HIP」表示161c、及び右膝関節の駆動部72Rのアシスト設定を示す「R KNEE」表示161dとからなる。
【0103】
制御モード表示162も、関節名表示161の表示161a〜161dに対応して表示162a〜162dが設けられている。屈筋の生体電位信号レベル表示163も、関節名表示161の表示161a〜161dに対応して、表示163a〜163dが設けられており、レベル値は、棒グラフで図中左方向に向かって増減するように表示される。また、伸筋の生体電位信号レベル表示164も、関節名表示161の表示161a〜161dに対応して、表示164a〜164dが設けられており、このレベル値は、棒グラフで図中右方向に向かって増減するように表示される。
【0104】
アシスト中の画面170は、
図19(b)に示すように、
図19(a)の画面において、関節名表示161の表示161a〜161dのうち、いずれか一つの表示が選択された場合に遷移する表示である。ここでは、
図19(a)において、最も上段に、表示161dの「R KNEE」の表示が選択された状態を示す。アシスト中の画面170は、
図18と同様に、メニュー表示項目として、装着者の個別に設定した情報であることを示す装着者ID171aと、装置の起動時間を示すアシスト経過時間171bと、現在のタスクを表示するタスク表示171c(WALK2)と、装置のバッテリ残量を示すバッテリ残量表示171dと、が画面情報に表示される。
【0105】
また、画面170の上から2段目には、選択中の関節名の表示172a(RIGHT KNEE)と、制御モード表示172b(CVC)と、感度レベル表示172c(A1)と、トルクリミット172d(30%)と、を表示する。また、中央のグラフ表示領域173には、アシスト角度範囲173aと、角度、アシストトルク、屈筋の生体電位信号及び伸筋の生体電位信号の波形を、色を変えて折れ線で表示する波形173bとを表示する。さらに、画面170の右下には、角度(°)、アシストトルク(Nm)を、数値で表示する表示174が表示されるとともに、左下には、選択した関節のトルクチューナ設定値175と、選択した関節のバランスチューナ設定値176と、を表示する。
【0106】
アシスト中の画面180は、
図19(c)に示すように、
図19(b)の画面において、確定
操作ボタン147(
図16及び
図17参照)における押圧操作により切り替わる表示画面である。
図19(c)は、主として、図の中央に表示されるように、装着者の足底における荷重中心を表示する足底の図形表示181が設けられている。
【0107】
また、図形表示181を中央にして、上部に、選択中の関節名の表示182a(RIGHT KNEE)と、制御モード表示182b(CVC)と、感度レベル表示182c(A1)と、トルクリミット182d(30%)とを上部に表示する。
【0108】
足底の図形表示181の左右両端には、足底の左右前後のいずれに荷重が掛かっているかを棒グラフで表示する荷重量表示183(183a〜d)が表示される。また、動作フェーズ表示184として、足底の荷重から支持脚か遊脚かを判定する表示(「SUPPORT」と「SWING」)が設けられている。さらに、画像180の下段には、選択した関節のトルクチューナ設定値185と、選択した関節のバランスチューナ設定値186と、を表示するとともに、下段の右側にタスクが歩行の場合における歩数の表示187が設けられる。
【0109】
以上のようなアシスト中の画面160、画面170及び画面190においては、介助者は、左股関節の駆動部71L、左膝関節の駆動部72L、右股関節の駆動部71R又は右膝関節の駆動部72Rのいずれかの駆動部の設定を行うに当たって、まず、操作ユニット140における各駆動部に対応した関節ボタン143a〜143dを選択する。例えば、関節ボタン143aを選択すると、
図19(a)〜(c)に示すように、「R KNEE」の表示161a、175及び192になる。この状態で、十字キー14
6の上下左右を押圧することで、選択した関節のトルクチューナ設定値と、選択した関節のバランスチューナ設定値を調整することが可能である。
【0110】
より具体的には、選択した関節のトルクチューナ設定値167d(
図19(a))、同175(
図19(b))及び同185(
図19(c))の大小の調整には、十字キー14
6の上下ボタンを押圧する。トルクチューナ設定値を大きくするには、十字キー14
6の上ボタンを、トルクチューナ設定値を小さくするには、十字キー14
6の下ボタンを押す。また、選択した関節のバランスチューナ設定値168d(
図19(a))、同176(
図19(b))及び同186(
図19(c))の屈曲又は伸展の調整には、十字キー14
6の左右ボタンを押圧する。バランスチューナ設定値を屈曲側にするには、十字キー14
6の左ボタンを、バランスチューナ設定値を伸展側にするには、十字キー14
6の右ボタンを押す。
【0111】
G.制御系
制御系は、股関節駆動部13L、13R及び膝関節駆動部14L、14Rに内
蔵された駆動モータと、関節回動角度を検出する関節角度センサと、足底圧を検出する足底圧センサと、体幹絶対角度を検出する体幹絶対角度センサと、生体電位信号を検出する生体電位信号センサと、これらセンサの検出結果に応じて駆動モータを制御する制御部18aとから構成される。
【0112】
関節回動角度を検出する角度センサは、例えば、駆動部13L、13R、14L、14Rにそれぞれ内蔵されている。この角度センサは、例えば、股関節及び膝関節の関節角度に比例した電圧を出力するポテンショメータなどからなり、関節回動角度に応じた電圧信号をセンサ出力として出力する。
【0113】
具体的には、股関節駆動部13Lに内蔵されている角度センサは、装着者の左側股関節の関節角度に相当する腰フレーム11と左大腿フレーム22Lとの間の回動角度を検出する。股関節駆動部13Rに内蔵されている角度センサは、装着者の右側股関節の関節角度に相当する腰フレーム11と右大腿フレーム22Rとの間の回動角度を検出する。
【0114】
また、膝関節駆動部14Lに内蔵されている角度センサは、装着者の左側膝関節の関節角度に相当する左大腿フレーム22Lの下端と左下腿フレーム23Lとの間の回動角度を検出する。膝関節駆動部14Rに内蔵されている角度センサは、装着者の右側膝関節の関節角度に相当する右大腿フレーム22Rの下端と右下腿フレーム23Rとの間の回動角度を検出する。
【0115】
足底圧を検出する足底圧センサは、靴60L、60Rの裏の前部及び後部に設けられ、足の裏にかかる荷重の変化を検出する。体幹絶対角度センサは、例えば腰フレーム11内部に設けられ、装着者の体幹絶対角度の変化を検出する。生体電位信号センサは、股関節及び膝関節の各部に貼り付けられる電極を有し、当該電極間に発生する生体電位信号を検出する。
【0116】
制御部18aは、角度センサ、足底圧センサ、体幹絶対角度センサ、生体電位信号センサの検出情報を総合的に判断して、操作ユニット140のタスク選択ボタン142により選択されたタスクの動作段階、すなわちフェーズを特定する。例えば、生体電位信号の強度に基づいてアシストトルクを制御するサイバニック随意制御モード(CVCモード)の場合、制御部18aは、特定したフェーズ、生体電位信号、姿勢、その他設定情報に基づいてアシスト力(駆動力)を発生させるように、駆動部13L、13R、14L、14Rを制御する。なお、駆動トルクの大小は、上述した関節ボタン143や十字キー146などによって調整することができる。
【0117】
また、操作ユニット140による設定操作に従って、制御部18aは、タスク選択ボタン142により選択されたタスクによらず、角度センサ、足底圧センサ、体幹絶対角度センサ、生体電位信号センサの検出情報を総合的に判断して装着者の姿勢を判定し、判定結果に基づいてタスクを切り替え可能に選択し、当該タスクに応じたアシスト力を発生させるように駆動部13L、13R、14L、14Rを制御してもよい。
【0118】
なお、生体電位信号を用いる場合に限らず、制御部18aは、関節角度と足底圧と体幹絶対角度とから姿勢を検出して、検出した姿勢に基づいて、あらかじめプログラムされた脚の軌道に合わせたアシスト力を発生させるように、駆動部13L、13R、14L、14Rを制御してもよい。これ以外にも、制御部18aは、フェイズを特定することなく、生体電位信号のみに基づいて、駆動部13L、13R、14L、14Rに発生させるアシスト力を算出してもよい。
【0119】
H.作用・効果
動作補助装置10は、下肢フレーム
12を構成する腰フレーム11の開度(横幅)を調節することができるので、下肢フレーム
12を体型や寸法の異なるさまざまな装着者の腰部にフィットさせて装着することができる。
【0120】
また、動作補助装置10は、
図2に示すように、左大腿フレーム22L、右大腿フレーム22R、左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rを形状可変部41L、41R、42L、42R、43L、43R、44L、44R、45L及び45Rの位置で各々左右(矢印A、B、C、D及びEの方向)に屈曲させることにより、下肢フレーム
12の各部の形状を変化させることができる。
【0121】
この実施形態においては、動作補助装置10は、右下肢フレーム21Rと左下肢フレーム21Lの各々5箇所
ずつ、合計10箇所に形状可変部41L、41R、42L、42R、43L、43R、44L、44R、45L及び45Rを有しており、これらの形状可変部41L、41R、42L、42R、43L、43R、44L、44R、45L及び45Rのうち、いずれかの形状を装着者の脚の形や寸法に合わせて適宜変化させることにより、脚の形や寸法の異なるさまざまな装着者にフィットさせて装着することができる。この構成により、例えば、X脚やO脚の装着者に対しても、その脚形状にフィットするように下肢フレーム
12の各部の形状を変化させることができる。
【0122】
また、動作補助装置10は、左大腿フレーム22L、右大腿フレーム22R、左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rの長さを各々調節することができるので、下肢フレーム
12を脚長の異なるさまざまな装着者の下肢にフィットさせて装着することができる。
【0123】
また、動作補助装置10は、左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rが、腰部連結機構25L、25Rを介して各々の長軸周りに旋回可能に腰フレームに連結されているので、装着者の股関節の旋回運動(内旋、外旋)を許容しつつ、装着者の動作を補助できる。そして、動作補助装置10に旋回制限機構30が設けられていることにより、左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rの旋回角度が所定の角度以下に制限されるので、装着者の股関節が過度に旋回するのを防止して、安全に装着者の動作を補助することができる。
【0124】
また、動作補助装置10は、左大腿フレーム22L及び右大腿フレーム22Rに大腿カフ15が、左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rに下腿カフ16が各々設けられているので、駆動部13L、13R、14L及び14Rによるアシスト力を装着者の下
肢に前方又は後方から効率良く作用させて、装着者の動作を補助することができる。
【0125】
また、動作補助装置10は、大腿カフ支持機構100及び下腿カフ支持機構200の前後を各々反転させることにより、下肢フレーム12に対する大腿カフ15及び下腿カフ16の前後位置を変更することができるので、装着者の下肢にアシスト力を効率良く働かせることができる位置に大腿カフ15及び下腿カフ16を配置して、装着者の動作を効率良く補助することができる。
【0126】
また、動作補助装置10は、大腿フレーム本体71Uに対する大腿カフ支持機構100の上下方向における取り付け位置及び下腿フレーム本体72Uに対する下腿カフ支持機構200の上下方向における取り付け位置を各々調節することにより、下肢フレーム12に設けられている大腿カフ15及び下腿カフ16の高さ位置を調節することができるので、装着者の下肢にアシスト力を効率良く働かせることができる高さ位置に大腿カフ15及び下腿カフ16を配置して、装着者の動作を効率良く補助することができる。
【0127】
また、動作補助装置10は、大腿カフ支持機構100のアーム部材133及び下腿カフ支持機構200のアーム部材233の下肢フレーム12に対する角度を各々調節することにより、下肢フレーム12に対する大腿カフ15及び下腿カフ16の角度を調節できるので、当該角度を装着者の下肢にアシスト力を効率良く働かせることができる角度に調節して、装着者の動作を効率良く補助することができる。
【0128】
また、動作補助装置10は、大腿カフ支持機構100のアーム部材133及び下腿カフ支持機構200のアーム部材233を回動させることにより、大腿カフ15及び下腿カフ16を装着者と干渉しない位置に待避させることができるので、装着者への着脱を容易に行うことができる。
【0129】
上記のように動作補助装置10は、体型や寸法の異なるさまざまな装着者にフィットさせて装着することができ、装着者への着脱も容易である。
【0130】
この動作補助装置10を、例えば歩行運動のリハビリを行う患者などのように自力歩行が困難な装着者に装着することにより、その装着者の歩行動作を補助することができる。
【0131】
その際、動作補助装置10は、関節角度センサ、足底圧、体幹絶対角度、生体電位信号を検出し、この検出信号に基づいて駆動部からの駆動力を付与するように作動する。
【0132】
動作補助装置10を装着した装着者は、自らの意思で歩行動作を行うと、当該装着者の膝関節の動作角度に応じた駆動トルクがアシスト力として動作補助装置10から付与され、例えば、通常歩行で必要とされる筋力の半分の力で歩行することが可能になる。従って、装着者は、自身の筋力と駆動部からの駆動トルクとの合力によって歩行することができる。
【0133】
その際、動作補助装置10は、歩行動作に伴う重心の移動に応じて付与されるアシスト力(モータトルク)が装着者の意思を反映するように制御している。そのため、動作補助装置10の駆動部は、装着者の意思に応じて動作をアシストするように制御される。
【0134】
また、動作補助装置10は、歩行動作以外にも、例えば、装着者が椅子に座った状態から立ち上がる際の動作、あるいは立った状態から椅子に腰掛ける際の動作も補助することができる。さらには、装着者が階段を上がったり下りたりする場合にもパワーアシストすることができる。
【0135】
また、動作補助装置10は、操作ユニット140が、腰フレーム近傍に設けられ、操作ユニット140の操作ボタン(142〜147)が、装着者の背面側に向けて設けられている。このため、介助者は、装着者の歩行中において、装着者の背後側から介助しながら操作ユニット140の操作ボタン(142〜147)により、動作補助装置のアシスト力の設定が可能になる。特に、操作ボタン(142〜147)の配列が、腰フレーム30の背面側から見た場合、設定すべき駆動部の位置に対応しているので、介助者は、装着者の歩行を介助し、装着者の歩行状況を確認しながら、直感的な操作で、設定すべき駆動部の設定操作を行うことが可能である。
【0136】
一般的に、介助者は、装着者の歩行中には、動作補助装置又は装着者の身体を支えながら介助を行う。本実施形態によれば、操作ユニット140が腰フレーム30近傍に着脱自在に設けられているので、介助者は、例えば、腰フレーム30を左手で保持して介助者を支えながら、腰フレーム30近傍に固定された操作ユニット140を、右手で操作することができ、介助と設定操作を両立して行うことができる。
【0137】
また、動作補助装置10の操作ユニット140では、左側の関節へのアシスト力の設定を行うボタンと、前記右側の関節へのアシスト力の設定を行うボタンとの間には、十字キー146と確定
操作ボタン147とが配置される。介助者は、アシスト力の駆動設定を行いたい操作ボタンを、迷うことなく選択し、操作することができる。特に、左側関節に対応する操作ボタンと、右側関節に対応する操作ボタンとが、操作ユニット140の左右に設けられ、さらに、その中間に十字キー146及び確定
操作ボタン147が設けられているので、左右ボタンの誤操作がなく、設定内容の選択と決定も、十字キー146と確定
操作ボタン147によりスムー
ズかつ簡単に行うことが可能である。
【0138】
また、スタートボタン145とストップボタン144とが、十字キー146と確定
操作ボタン147を挟んで、左右に離間して設けられているので、意図しないスタートボタン145やストップボタン144の操作、すなわち誤操作を回避することができる。
【0139】
動作補助装置10の操作ユニット140に、装置の設定状況又は装置のアシスト状況を表示するディスプレイ141が設けられていることにより、介助者は、装着者の状況とともに、設定状況やアシスト状況を目視しながら、装着者に適切な設定を行うことが可能になる。
【0140】
操作ユニット140が、タスクの選択操作を受け付けるためのタスク選択ボタン142を有しているので、介助者は、装着者の介助をしながら、タスク選択ボタン142の選択操作によりタスクの切り替えを適切なタイミングで行うことができる。
【0141】
操作ユニット140に、制御部18aにより選択されているタスクを表示する表示部(タスク表示153、171c)が設けられているので、介助者は、自動的に切り替わるタスクに応じたアシスト状況を目視しながら、装着者を適切に介助することが可能になる。
【0142】
I.その他の実施形態
上記実施形態では、左大腿フレーム22L、右大腿フレーム22R、左下腿フレーム23L及び右下腿フレーム23Rの形状可変部41L、41R、42L、42Rが、駆動部13L、13R、14L、14Rの近傍に設けられているが、駆動部13L、13R、14L、14Rから離れた位置、たとえば大腿フレーム本体71U及び下腿フレーム本体72Uの上下方向中間位置に形状可変部41L、41R、42L、42Rを設けることも可能である。また、駆動部13L、13R、14L、14Rの近傍と大腿フレーム本体71U及び下腿フレーム本体72Uの上下方向中間位置の両方に形状可変部を設けてもよい。
【0143】
また、上記実施形態における制御系は、装着者の関節の動作角度及び重心位置に基づいて駆動部13L、13R、14L、14Rを制御するものであるが、これに限らず、操作者の筋活動に伴い皮膚表面から計測した生体電位の変化など、装着者の動作に起因する信号に基づいて駆動部13L、13R、14L、14Rを制御するようにしてもよい。皮膚表面から計測した生体電位に基づいて必要なアシスト力(駆動トルク)を求めることにより、著しい筋力低下により装着者の筋力によっては関節の動作角度がほとんど変化しないような場合でも、駆動部13L、13R、14L、14Rを制御することができる。
【0144】
また、本発明の動作補助装置10には、右下肢フレーム21Rと左下肢フレーム21Lのいずれか一方のみ有するものも含まれる。右下肢フレーム21Rのみ有する動作補助装置10の場合、左側の靴60Lはケーブルを介して背面ユニット18に接続される。また、左下肢フレーム21Lのみ有する動作補助装置10の場合、右側の靴60Rはケーブルを介して背面ユニット18に接続される。右下肢フレーム21R又は左下肢フレーム21Lが無い側の靴60R又は60Lを使用しない場合、当該ケーブルは不要であることは無論である。