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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357671
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】ディスペンサー用の電力管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20180709BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H02J7/34 B
   H02J7/00 H
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-545608(P2015-545608)
(86)(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公表番号】特表2016-506709(P2016-506709A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】CA2013001039
(87)【国際公開番号】WO2014089688
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/735,927
(32)【優先日】2012年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518181899
【氏名又は名称】スマート ウェイブ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ゾジマディス ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターハウス ポール
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06209752(US,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第00619092(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0133213(US,A1)
【文献】 特開2010−220467(JP,A)
【文献】 特開平01−264536(JP,A)
【文献】 特開平05−023216(JP,A)
【文献】 特開2004−192954(JP,A)
【文献】 特開2012−222858(JP,A)
【文献】 特開平03−018271(JP,A)
【文献】 特開2002−238108(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0241624(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0051737(US,A1)
【文献】 特開2008−220937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42−10/48
H02J 1/00− 1/16
7/00− 7/12
7/34− 7/36
A47K 5/00− 5/18
10/00−10/14
10/18−10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサー(10)への電力送達を管理するためのシステムであって、
より低電力のゼロ正味電圧(ZNV)電力源に作動可能に接続可能なパワーコントローラー(20)であって、より低電力のZNV電力源が、低電力直流(LPDC)電力源(14a)によって、スイッチング回路(16)を介して電力を供給され、前記スイッチング回路及びLPDC電力源が、作動可能に交換可能なコンポーネントに接続され、着脱可能な電気的インターフェースを介してコントローラーに接続可能であり、前記ZNV電力源をより高電圧の直流(HVDC)電力源に変換するための電力整流回路(PRC)(20c)を有するパワーコントローラー(20e,20f)と、
前記HVDC電力源に作動接続された少なくとも1つのエネルギー蓄積システムであって、HVDC電力を受け取って該少なくとも1つのエネルギー蓄積システム内に蓄積するための少なくとも1つのエネルギー蓄積システム(22f、22g)と、
前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システムに作動接続されたディスペンサー負荷(22k)と、
を備える、ディスペンサーへの電力送達を管理するためのシステム。
【請求項2】
前記コントローラーは、HVDC電力を前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システム(22f、22g)に選択的に誘導して、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システム(22f、22g)を充電する手段と、負荷需要に基づいて、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システムからの電力を前記ディスペンサー負荷(22k)に選択的に誘導する手段(22j、22j’、22j’’’)とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー蓄積システム(22f、22g)は、少なくとも1つのキャパシターを備え、
前記システムは、前記HVDC電力源に作動接続された補助電力セル(18e)であって、HVDC電力を受け取って、該補助電力セル内に蓄積するための補助電力セル(18e)を更に備え、前記コントローラーは、HVDC電力を、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルのそれぞれに選択的に誘導して、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルを充電する手段(22j、22j’、22j’’、22j’’’)と、負荷需要に基づいて、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルからの電力を前記ディスペンサー負荷に選択的に誘導する手段とを備え
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラーは、前記少なくとも1つのキャパシターと前記補助電力セルとの間に作動接続された少なくとも1つのスイッチであって、電力を前記少なくとも1つのキャパシター又は前記補助電力セルのいずれかに選択的に誘導して、前記少なくとも1つのキャパシター又は前記補助電力セルのいずれかを充電するための少なくとも1つのスイッチを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラーは、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルに作動接続された電圧測定手段であって、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルの前記電圧を測定する電圧測定手段を備え、前記コントローラーは、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記HVDC電力源から前記少なくとも1つのキャパシター又は前記補助電力セルへの電力送達を優先し、
前記コントローラーは、選択的に、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルから前記ディスペンサー負荷への電力送達を優先する、請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
ディスペンサー負荷需要がないとき、前記コントローラーは、HVDC電力を前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルのいずれかに誘導して、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルをトリクル充電する、請求項3〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ZNV電力源は、等しいが逆の電圧の正及び負の交番電圧パルスを含み、前記システムは、前記スイッチング回路に作動接続されたデータ回路を更に備え、該データ回路内のデータは、該データ回路内のデータを表すより低い電圧を有する正及び負の交番電圧パルスとして、前記ZNV電力源の前記正及び負の交番電圧パルスに混合される、請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記着脱可能な電気的インターフェースは、前記交換可能コンポーネントと前記ディスペンサーとの間に非移動型電気接点を備える、請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記着脱可能な電気的インターフェースは、前記交換可能コンポーネントと前記ディスペンサーとの間に移動型接点を備える、請求項1〜のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、再充電不能なバッテリーである助電力セルを備え、
前記コントローラ(20)は、再充電不能なバッテリーである助電力セルから電力の伝達を可能にするように構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記交換可能コンポーネント(12)は、動作中に前記ディスペンサーに対して移動し、前記交換可能コンポーネント及び前記ディスペンサーは、該交換可能コンポーネント及び該ディスペンサーに作動接続されたエネルギー回収システム(16b、16c、16d)であって、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システム及び/又は助電力セル内に運動エネルギーを取り込むためのエネルギー回収システムを共同で備える、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
より低電力のゼロ正味電圧(ZNV)電力源を、ディスペンサーへの電力送達を管理するパワーコントローラーを有するシステムへの電力送達を管理するためのシステムに供給するための交換可能なコンポーネントであって、
システムのコントローラーとともに着脱可能な電気的インターフェースを形成する着脱可能な電気的コンタクトと、
低電力直流(LPDC)電力源と、
LPDC電力源をZNV電力源に変換し、着脱可能な電気的コンタクトを介して、ZNV電力をシステムのコントローラーに供給するスイッチング回路と、
電気的コンタクトがシステムに取り付けられた時に、システムは、
前記ZNV電力源をより高電圧の直流(HVDC)電力源に変換し、
前記HVDC電力源からのエネルギーを少なくとも1つのエネルギー蓄積システムに蓄積するように構成されており、
蓄積されたエネルギーを使用するディスペンサー負荷に電力を供給する、交換可能なコンポーネント。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムと、請求項12に記載の交換可能なコンポーネントとを備える、ディスペンサー装置。
【請求項14】
ディスペンサー負荷(22k)への電力送達を管理するとともに、ディスペンサーと該ディスペンサー(10)の交換可能コンポーネント(12)との間の電気インターフェース(14b、14c、18b、18c)を介して電力を転送するためのシステムであって、
より低電力のゼロ正味電圧電力源は、前記交換可能コンポーネント(12)に作動接続された交換可能コンポーネントコントローラー及び第1の電力セル(14a)であって、該交換可能コンポーネントコントローラーは、該第1の電力セルからの直流電力をゼロ正味電圧(ZNV)電力信号に変換するための電力反転回路(PIC)を有する、交換可能コンポーネントコントローラー及び第1の電力セルを備え、
電力整流回路は、
前記ディスペンサーに作動接続された、前記着脱可能な電気的インターフェースを介して前記ZNV電力信号を受け取るための第1の回路(20)であって、前記ZNV電力信号をより高電圧の直流(HVDC)電力に変換するための第1の回路を備え
前記エネルギー蓄積システムは、少なくとも1つの電力蓄積デバイスを備え、
前記パワーコントローラーは、
前記第1の回路、前記少なくとも1つの電力蓄積デバイス、及び前記ディスペンサー負荷に作動接続された第2のコントローラーを備え、
前記第2のコントローラーは、
HVDC電力を前記少なくとも1つの電力蓄積デバイスに選択的に誘導して、前記少なくとも1つの電力蓄積デバイスを充電する手段と、
前記少なくとも1つの電力蓄積デバイス内の蓄積された電力を前記ディスペンサー負荷(22k)に選択的に誘導する手段(22j、22j’、22j’’、22j’’’)と、
を有し、
前記第2のコントローラーに作動接続された補助電力セル(18e)を更に備え、前記第2のコントローラーは、HVDC電力を前記補助電力セルに選択的に誘導する手段を有する、請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のコントローラーは、少なくとも1つのパワー蓄積デバイスのキャパシターと前記補助電力セルとの間に作動接続された少なくとも1つのスイッチ(22j、22j’’)であって、電力を前記キャパシター又は前記補助電力セルのいずれかに選択的に誘導して、前記キャパシター又は前記補助電力セルのいずれかを充電するための少なくとも1つのスイッチを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のコントローラーは、前記第2のコントローラーの電圧測定手段によって測定され、前記キャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記HVDC電力源から前記キャパシター又は前記補助電力セルへの電力送達を優先し、
前記電圧測定手段は、選択的に前記キャパシター及び前記補助電力セルに作動接続され、前記キャパシター及び前記補助電力セルの電圧を測定し、
前記キャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記キャパシター及び前記補助電力セルから前記ディスペンサー負荷への電力送達を優先し、
ディスペンサー負荷需要がないとき、前記第2のコントローラーは、HVDC電力を前記キャパシター又は前記補助電力セルのうちの一方に選択的に誘導して、前記キャパシター又は前記補助電力セルをトリクル充電するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
交換可能コンポーネント上の第1のエネルギー蓄積システムから第2のコンポーネント上の第2のエネルギー蓄積システムに、前記交換可能コンポーネントと前記第2のコンポーネントとの間の着脱可能な電気的インターフェースを介して電力を転送するとともに、前記第2のコンポーネント上で、該第2のコンポーネントに対して構成された電気負荷に送達するための電力を管理する方法であって、
a.前記交換可能コンポーネント(12)上のより低電圧の電力直流(LPDC)電力源(14a)からの直流をより低電力のゼロ正味電圧(ZNV)信号に反転するステップと、
b.前記ZNV信号を前記着脱可能な電気的インターフェース(14b、14c、18b、18c)を介して前記第2のコンポーネント(10)に転送するステップと、
c.前記ZNV信号をより高電圧の直流(HVDC)電力に整流するステップと、
d.前記HVDC電力を用いて前記第2のエネルギー蓄積システム(22f、22g)を充電するステップと、
e.ユーザー需要に基づいて、前記第2のエネルギー蓄積システムから前記電気負荷にエネルギーを解放するステップと、
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ディスペンサー用の電力管理システムが記載されている。このシステムは、より低電力のゼロ正味電圧(zero net voltage)(ZNV)電力源に接続されたコントローラーを備える。電力整流回路(PRC)が、ZNV電力をより高電圧の直流(HVDC)電力に変換する。HVDC電力源に接続されたエネルギー蓄積システムが、HVDC電力を受け取り、エネルギー蓄積システム内に蓄積する。このHVDC電力は、エネルギー蓄積システムに接続されたディスペンサーモーター負荷に選択的に提供される。このシステムは、電力を使い捨て製品上の低電力バッテリー源からディスペンサーに転送する問題に対して効果的な解決策を提供するだけでなく、特により高い湿度の環境において使い捨て製品とディスペンサーとの間の電気インターフェースにおける腐食を最小にするシステムも提供する。
【背景技術】
【0002】
石鹸、消臭剤(air care)、及びペーパータオル等の製品用のディスペンシングシステムが、世界中の何百万もの個人及び公共の洗面所設備に広く用いられている。よく知られているように、そのようなシステムは、石鹸又はペーパータオルをディスペンス(dispense:小出し供給)するためにシステムとの種々のタイプのユーザーインタラクションを必要とする手動システム、半自動システム、又は自動システムとすることができる。手動システムは、通常、ユーザーがボタン、クランクアーム等を物理的に変位させて、材料をディスペンスするように機械部品を動かすことを必要とし、半自動システムは、ユーザーがボタンにタッチして機械部品の電気的活性化を開始することを必要とする場合があり、自動システムは、ユーザーの存在を検出して機械部品の電気的活性化を開始する場合がある。
【0003】
公衆衛生の観点から、公共の洗面所設備に半自動ディスペンシングシステム及び好ましくは全自動ディスペンシングシステムの展開を増やして、主として、ディスペンシング機器との物理的なユーザー接触を低減又は最小にし、それによって、ユーザー間での病原体の拡散のリスクを低減したいという要望がますます高まっている。
【0004】
しかしながら、半自動ディスペンシングシステム及び自動ディスペンシングシステムは、不動産所有者及び管理者に、特に、数百又は数千もの洗面所を自らの不動産内に有する場合がある大きな建物又は設備の不動産所有者又は管理者にとって、課題を提供する。特に、よく知られているように、ディスペンシングシステムは、消費可能製品、例えば、ペーパータオル製品又は液状石鹸製品が消費されるので、その製品を定期的に交換しなければならないことを要する。したがって、不動産所有者/管理者は、消費可能製品をディスペンサー内に補充することを担当するかなりの数の人員を雇うことになる。
【0005】
半自動ディスペンシングシステム及び自動ディスペンシングシステムの場合、これらのディスペンサーのほとんどは、単一又は複数のバッテリーを利用して、ディスペンシングサイクルを完了するエネルギーを提供する。ほとんどの設計では、消費可能製品の消費のレートは、バッテリー内の電力消費レートよりもかなり大きい。すなわち、ディスペンサー内のペーパータオルは、一日に数回交換しなければならない場合があるのに対して、多くの設計では、ディスペンサー内のバッテリーは、月1回の時間スケールで取り替えするだけでよい場合がある。しかしながら、洗面所が異なれば、使用率もかなり異なる場合があり、そのため、或る洗面所におけるバッテリーは、近くの洗面所におけるバッテリーよりも速く終了する場合がある。その結果、時間の経過とともに、ディスペンサー内のバッテリーの終了は、本質的にランダムな事象になるので、複数の洗面所にわたって、終了したバッテリーに効率的に対処することは、多くの場合、非常に困難である。重要なことに、バッテリーが必要なときに交換されない場合、ユーザーは、多くの場合、ディスペンシング機器に不満を感じ、ついには、その機器の複数の表面を軽くたたいて、その機器をその後、清掃しなければならなくしてしまう場合もあれば、さらに悪いことには、ディスペンサーに損傷を与える場合もある。加えて、消耗品の製造業者は、動作不能なディスペンシング機器が消費可能製品をディスペンスしないことによって収入も失っている。
【0006】
消費者が、特定のタイプのディスペンサーとインタラクトしたこれまでの自身の経験に基づいて幾つかのタイプのディスペンサーを避けることを実際に学習する場合があるという点で、これらの要因のそれぞれは、これらのタイプのディスペンサーの採用及び使用に影響を与える可能性がある。その結果、ディスペンサーの信頼性の改善が、そのような製品の採用及び使用に重要な影響を与える可能性がある。
【0007】
さらにまた、病院又は空港等の大きな不動産では、バッテリーを交換するのに必要とされる時間がかなりのものとなる。多くのディスペンサーでは、バッテリーを交換するには、終了したバッテリーを除去してそれらのバッテリーを交換するために、かなりの数のステップを要しなければならない。例えば、バッテリーコンパートメントは、多くの場合、特に、バッテリーを除去して交換するのに、消耗品を交換する比較的単純なステップと比べて、追加のキー又はステップを必要とする。理解することができるように、動作不能なディスペンサーの認識及びそれへの対処の双方を行わなければならない作業員の観点から、コストはかなり大きくなる。
【0008】
これらの問題への1つの解決策は、バッテリーを、別個のコンポーネントとして又はそのパッケージングの一体のコンポーネントとして、消費可能製品内に組み込むことである。別個のコンポーネントのとき、消費可能製品の各パッケージがバッテリーを備え、したがって、その消耗品が交換されるごとに、バッテリーは、交換のために利用可能となる。特許文献1に記載されているように、バッテリーは、消費可能パッケージングの一体のコンポーネントを形成することができ、この場合、ユーザーは、新しい消費可能パッケージングをディスペンサー内に単に挿入することによって消耗品及びバッテリーの双方を交換する。すなわち、消費可能製品がディスペンサー内で交換されるごとに、ディスペンサーは、このディスペンサーを動作させる新しいバッテリーを受け取る。通常、これらの設計では、消費可能製品パッケージングは、電力が消費可能製品パッケージングからディスペンサーのコントローラー/駆動システムに転送可能になるように、ディスペンサー上の対応する電極に摩擦接続する2つの電極を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,209,752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
消耗品とバッテリーとの間の異なる保守点検スケジュールを整合させることに関して上記で説明したような複数の問題は克服されているが、この技術から生じる1つの特定の問題は、特に、ディスペンサー及び補充品の双方が、消臭剤ディスペンサー製品又は石鹸ディスペンサー製品等の中に固定されているとき、電極腐食の可能性があるということである。すなわち、今日のディスペンシング機器は、通常、一般的には洗面所の比較的湿気の多い環境に設置される低電圧及び直流のデバイスであるので、これらの条件は、金属マイグレーション、ガルバニック腐食を助長し、及び/又は接点間の腐食若しくは抵抗の増大を引き起こすことが知られている。電気接点間の抵抗が増大すると、システムの効率が減少し、これによって、システム性能が早い時期に減少し及び/又は機能しなくなる場合がある。換言すれば、この技術は、バッテリーを効率的に替えるという1つの問題を克服したが、ディスペンシングシステムに他の問題を引き起こす可能性がある。したがって、バッテリーを消費可能製品と組み合わせるが、電極腐食をもたらさない電力システムが必要とされている。
【0011】
別の態様では、ディスペンシングシステムを製造する企業が、自社のディスペンサーの設計の際に、自社のディスペンサー内に他の製造業者の消費可能製品の使用を防止することによって自社の投資を保護する必要性が引き続き存在している。すなわち、知られているように、製造業者がディスペンサーを商業化するとき、顧客への消耗品のその後の販売が、ディスペンサーの開発コストの支払いを保証するだけの持続的な収入/利益をもたらすであろうとの予想に基づいて、そのようなディスペンサーは、通常、比較的低コストで販売される。その結果、ディスペンシングシステム内で認可されていない消費可能製品の使用を効率的に防止するとともに、消費可能製品とディスペンサーとの間に効果的なキーを提供するシステムの必要性が引き続き存在している。
【0012】
さらにまた、システム内の電力をより効果的に管理するシステムが必要とされている。より具体的には、上述したように、電力セル(例えば、バッテリー)を、上記で説明したように消費可能製品に組み込むことができるが、消費可能製品内にあるバッテリーにおいて浪費され得る電力量を最小にすることが必要とされている。
【0013】
例えば、石鹸カートリッジ等の消費可能製品が十分に用いられたとき、そのカートリッジ内において関連付けられたバッテリーが同時に十分に消耗しており、バッテリーは、処分されるときに消耗状態にあるようになっていることを確保することが必要とされている。すなわち、バッテリーが僅かにしか消耗していないときにバッテリーを廃棄することは望ましくない。
【0014】
さらにまた、ディスペンサー内の保守可能なバッテリーの必要性を解消又は低減し、ディスペンシングシステム内の異なるロケーション間で電力を効率的な方法で効果的に転送することができるシステムを提供することが必要とされている。すなわち、オペレーターがディスペンサーの電力要件に関してディスペンサー自体と関与する必要性を効果的に解消するシステムを有することが望ましい。
【0015】
さらにまた、ユーザーがディスペンサーに接近した時からのアクティブ化における遅延及び製品がディスペンスされるのに要する時間を最小にするエネルギー管理システムが必要とされている。すなわち、よく知られているように、自動ディスペンサー又は半自動ディスペンサーが、ほぼ0.2秒〜0.3秒内に製品のディスペンスを開始しない場合、消費者は、通常、ディスペンサーが動作していない可能性があることを示すものとしてこの遅延に反応し、これは、その後、ディスペンサーとの不満のある又は不適切なインタラクションをもたらす場合がある。
【0016】
さらにまた、消耗品内の低電圧/低電流電力源を、ディスペンシングシステム内のより高電流のモーター内で効果的に利用することができるように調整することを迅速に可能にすることができるエネルギーシステムが必要とされている。
【0017】
さらにまた、ディスペンシングシステム内の漂遊エネルギーを取り込んで、全体的なエネルギー管理効率を改善することができることも必要とされている。その上、より大きなバッテリーの処分の環境への影響を削減するとともに、消費可能製品が消費し尽されている場合があるときに、無駄にされ得る浪費エネルギーの量を削減することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、ディスペンサーへの電力送達を管理するためのシステムであって、
より低電力のゼロ正味電圧(ZNV)電力源に作動接続されたコントローラーであって、前記ZNV電力源をより高電圧の直流(HVDC)電力源に変換するための電力整流回路(PRC)を有するコントローラーと、
前記HVDC電力源に作動接続された少なくとも1つのエネルギー蓄積システムであって、HVDC電力を受け取って該少なくとも1つのエネルギー蓄積システム内に蓄積するための少なくとも1つのエネルギー蓄積システムと、
前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システムに作動接続されたディスペンサー負荷と、
を備える、ディスペンサーへの電力送達を管理するためのシステムが提供される。
【0019】
1つの実施形態では、前記コントローラーは、HVDC電力を前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システムに選択的に誘導して、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システムを充電する手段と、負荷需要に基づいて、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システムからの電力を前記ディスペンサー負荷に選択的に誘導する手段とを備える。
【0020】
1つの実施形態では、前記エネルギー蓄積システムは、少なくとも1つのキャパシターを備える。
【0021】
別の実施形態では、前記システムは、前記HVDC電力源に作動接続された補助電力セルであって、HVDC電力を受け取って、該補助電力セル内に蓄積するための補助電力セルを備え、前記コントローラーは、HVDC電力を、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルのそれぞれに選択的に誘導して、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルを充電する手段と、負荷需要に基づいて、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルからの電力を前記ディスペンサー負荷に選択的に誘導する手段とを備える。
【0022】
1つの実施形態では、前記コントローラーは、前記補助電力セルよりも前に、前記少なくとも1つのキャパシターからの前記ディスペンサー負荷への電力を優先する。
【0023】
1つの実施形態では、前記コントローラーは、前記少なくとも1つのキャパシターと前記補助電力セルとの間に作動接続された少なくとも1つのスイッチであって、電力を前記少なくとも1つのキャパシター又は前記補助電力セルのいずれかに選択的に誘導して、前記少なくとも1つのキャパシター又は前記補助電力セルのいずれかを充電するための少なくとも1つのスイッチを備える。
【0024】
別の実施形態では、前記コントローラーは、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルに作動接続された電圧測定手段であって、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルの前記電圧を測定する電圧測定手段を備え、前記コントローラーは、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記HVDC電力源から前記少なくとも1つのキャパシター又は前記補助電力セルへの電力送達を優先する。
【0025】
別の実施形態では、前記コントローラーは、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助電力セルから前記ディスペンサー負荷への電力送達を優先する。
【0026】
1つの実施形態では、ディスペンサー負荷需要がないとき、前記コントローラーは、HVDC電力を前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助バッテリーのいずれかに誘導して、前記少なくとも1つのキャパシター及び前記補助バッテリーをトリクル充電する。
【0027】
別の実施形態では、前記システムは、低電力直流(LPDC)電力源であって、該LPDC電力源をZNV電力源に変換するためのスイッチング回路に作動接続された、低電力直流電力源を更に備え、前記ZNV電力は、前記コントローラーに作動接続されている。
【0028】
別の実施形態では、前記ZNV電力源は、等しいが逆の電圧の正及び負の交番電圧パルスを含み、前記システムは、前記スイッチング回路に作動接続されたデータ回路を更に備え、該データ回路内のデータは、該データ回路内のデータを表すより低い電圧を有する正及び負の交番電圧パルスとして、前記ZNV電力源の前記正及び負の交番電圧パルスに混合される。
【0029】
更に別の実施形態では、前記コントローラーは、前記データパルスを解釈するための復号化回路を前記ZNV電力源内に備える。
【0030】
1つの実施形態では、前記スイッチング回路及び前記LVDC電力源は、取り外し可能電気インターフェースを通じて前記コントローラーに接続可能な交換可能コンポーネントに作動接続されている。
【0031】
1つの実施形態では、前記取り外し可能電気インターフェースは、前記交換可能コンポーネントと前記ディスペンサーとの間に非移動型電気接点を備える。1つの実施形態では、前記接点は、移動型接点である。
【0032】
1つの実施形態では、前記補助電力セルは、再充電不能なバッテリーである。
【0033】
1つの実施形態では、前記交換可能コンポーネントは、動作中に前記ディスペンサーに対して、並びに共同で該交換可能コンポーネント及び該ディスペンサーに対して移動し、前記システムは、該交換可能コンポーネント及び該ディスペンサーに作動接続されたエネルギー回収システムであって、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積システム及び/又は前記補助電力セル内に運動エネルギーを取り込むためのエネルギー回収システムを含む。
【0034】
別の態様では、本発明は、ディスペンサー負荷への電力送達を管理するとともに、ディスペンサーと該ディスペンサーの交換可能コンポーネントとの間の電気インターフェースを介して電力を転送するためのシステムであって、
前記交換可能コンポーネントに作動接続された交換可能コンポーネントコントローラー及び第1の電力セルであって、該交換可能コンポーネントコントローラーは、該第1の電力セルからの直流電力をゼロ正味電圧(ZNV)電力信号に変換するための電力反転回路(PIC)を有する、交換可能コンポーネントコントローラー及び第1の電力セルと、
前記ディスペンサーに作動接続された、前記電気インターフェースを介して前記ZNV電力信号を受け取るための第1の回路であって、前記ZNV電力信号をより高電圧の直流(HVDC)電力に変換するための第1の回路と、
前記第1の回路に作動接続された、HVDC電力を受け取るための少なくとも1つの電力蓄積デバイスと、
前記第1の回路、前記少なくとも1つの電力蓄積デバイス、及びディスペンサー負荷に作動接続された第2のコントローラーであって、
HVDC電力を前記少なくとも1つの電力蓄積デバイスに選択的に誘導して、前記少なくとも1つの電力蓄積デバイスを充電する手段と、
前記少なくとも1つの電力蓄積デバイス内の蓄積された電力を前記ディスペンサー負荷に選択的に誘導する手段と、
を有する、第2のコントローラーと、
を備える、ディスペンサー負荷への電力送達を管理するとともに、ディスペンサーと該ディスペンサーの交換可能コンポーネントとの間の電気インターフェースを介して電力を転送するためのシステムを提供する。
【0035】
本態様では、1つの実施形態は、前記第2のコントローラーに作動接続された補助電力セルを備え、前記第2のコントローラーは、HVDC電力を前記補助電力セルに選択的に誘導する手段を有する。
【0036】
1つの実施形態では、前記少なくとも1つの電力蓄積デバイスは、キャパシターを備え、前記第2のコントローラーは、前記補助電力セルよりも前に、前記キャパシターからの前記ディスペンサー負荷への電力を優先する手段を備える。
【0037】
別の実施形態では、前記第2のコントローラーは、前記キャパシターと前記補助電力セルとの間に作動接続された少なくとも1つのスイッチであって、電力を前記キャパシター又は前記補助電力セルのいずれかに選択的に誘導して、前記キャパシター又は前記補助電力セルのいずれかを充電するための少なくとも1つのスイッチを備える。
【0038】
1つの実施形態では、前記第2のコントローラーは、前記キャパシター及び前記補助電力セルに作動接続された電圧測定手段であって、前記キャパシター及び前記補助電力セルの前記電圧を測定する電圧測定手段を備え、前記第2のコントローラーは、前記キャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記HVDC電力源から前記キャパシター又は前記補助電力セルへの電力送達を優先する。
【0039】
1つの実施形態では、前記第2のコントローラーは、前記キャパシター及び前記補助電力セルの実際の測定電圧に基づいて、前記キャパシター及び前記補助電力セルから前記ディスペンサー負荷への電力送達を優先する。
【0040】
1つの実施形態では、ディスペンサー負荷需要がないとき、前記第2のコントローラーは、HVDC電力を前記キャパシター又は前記補助バッテリーのうちの一方に選択的に誘導して、前記キャパシター又は前記補助バッテリーをトリクル充電する。
【0041】
1つの実施形態では、前記ZNV電力源は、等しいが逆の電圧の正及び負の交番電圧パルスを含み、前記システムは、前記交換可能コンポーネントコントローラーに作動接続されたデータ回路を更に備え、該データ回路内からのデータは、該データ回路内のデータを表すより低い電圧を有する正及び負の交番電圧パルスとして、前記ZNV電力源の前記正及び負の交番電圧パルスに混合される。
【0042】
1つの実施形態では、前記第2のコントローラーは、前記データパルスを解釈するための復号化回路を前記ZNV電力源内に備える。
【0043】
更に別の態様では、本発明は、交換可能コンポーネント上の第1のエネルギー蓄積システムから第2のコンポーネント上の第2のエネルギー蓄積システムに、前記交換可能コンポーネントと前記第2のコンポーネントとの間の接触インターフェースを介して電力を転送するとともに、前記第2のコンポーネント上で、該第2のコンポーネントに対して構成された電気負荷に送達するための電力を管理する方法であって、
a)前記交換可能コンポーネント上のより低電圧の電力セルからの直流をゼロ正味電圧(ZNV)信号に反転するステップと、
b)前記ZNV信号を前記接触インターフェースを介して前記第2のコンポーネントに転送するステップと、
c)前記ZNV信号をより高電圧の直流(HVDC)電力に整流するステップと、
d)前記HVDC電力を用いて前記第2のエネルギー蓄積システムを充電するステップと、
e)ユーザー需要に基づいて、前記第2のエネルギー蓄積システムから前記電気負荷にエネルギーを解放するステップと、
を含む、交換可能コンポーネント上の第1のエネルギー蓄積システムから第2のコンポーネント上の第2のエネルギー蓄積システムに、前記交換可能コンポーネントと前記第2のコンポーネントとの間の接触インターフェースを介して電力を転送するとともに、前記第2のコンポーネント上で、該第2のコンポーネントに対して構成された電気負荷に送達するための電力を管理する方法を提供する。
【0044】
1つの実施形態では、前記第2のエネルギー蓄積システムは、少なくとも1つのキャパシターと、第2の電力セルシステムとを備え、ステップdは、前記第2の電力セルシステム又は前記第2のエネルギー蓄積システムを選択的に充電することを含む。
【0045】
1つの実施形態では、ステップdは、前記第2の電力セルシステムを充電する前に、前記少なくともキャパシターを充電することを優先することを含む。
【0046】
1つの実施形態では、ステップeは、前記少なくとも1つのキャパシターから前記電気負荷への電力の前記解放を優先することを含む。
【0047】
1つの実施形態では、前記ZNV電力信号は、等しいが逆の電圧の正及び負の電圧パルスを含み、前記方法は、前記ZNV電圧に対してより低い電圧を有する正及び負の交番電圧データパルスとして、前記交換可能コンポーネント内のデータを前記ZNV電力源に混合するステップを更に含み、前記データパルスは、前記交換可能コンポーネント内のデータを表す。
【0048】
1つの実施形態では、前記方法は、前記交換可能コンポーネントが前記第2のコンポーネントとの使用について認可されている場合、評価に備えて、前記第2のコンポーネント内で前記ZNV電力信号内のデータを復号化するとともに、そのデータを解釈するステップを更に含む。
【0049】
1つの実施形態では、前記交換可能コンポーネントが、動作中に前記第2のコンポーネントに対して移動するとき、前記方法は、前記交換可能コンポーネントの運動エネルギーを前記第2のコンポーネント内において使用に備えて回収するステップを更に含む。
【0050】
本発明を、以下の添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】側面図及び部分端面図を示す本発明の1つの実施形態による電子キー及び電力管理システムを有するペーパータオルディスペンサーの概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態による電気キー挿入の概略図である。
図2A】本発明の1つの実施形態によるペーパータオルロール上の電子キーの概略断面図である。
図3】本発明の1つの実施形態による接続システムの概略図である。
図4】本発明の1つの実施形態による整流IO復号化回路の概略図である。
図5】本発明の1つの実施形態による負荷を駆動するための制御論理回路の概略図である。
図6】ID=0信号を示す本発明の1つの実施形態による消費可能カートリッジからの代表的な出力信号を示す図である。
図6A】ID=0信号を示す本発明の1つの実施形態による消費可能カートリッジからの代表的な出力信号を示す図である。
図7】ID=1信号を示す本発明の1つの実施形態による消費可能カートリッジからの代表的な出力信号を示す図である。
図7A】ID=1信号を示す本発明の1つの実施形態による消費可能カートリッジからの代表的な出力信号を示す図である。
図8】1,0,1信号シーケンスを示す本発明の1つの実施形態による消費可能カートリッジからの代表的な出力信号を示す図である。
図9】1,0,1信号シーケンスを示す本発明の1つの実施形態による消費可能カートリッジからの代表的な出力信号を示す図である。
図10図8及び図9に示す信号シーケンスのための正味電荷バランスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図を参照して、消費可能製品カートリッジ等の製品ペアとディスペンシング装置との間で電力及びデータを効率的に転送するシステム及び方法を説明する。説明するシステム及び方法は、ディスペンシング機器内の電力源を交換するのに要する時間を最小にすることを含めて、これまでのシステムを上回る多数の動作上の利点を提供する。例示として、本発明を、主として、交換可能なペーパーカートリッジ又はロールを有するペーパータオルディスペンシングマシン内について説明する。しかしながら、本明細書において説明する技術は、石鹸ディスペンシング機器及び空気清浄機器等の化学薬品ディスペンシング機器を含む多くの異なる製品ペアに適用することができることが理解される。
【0053】
図1は、本発明による様々なコンポーネントを示すペーパータオルロール12を有するペーパータオルディスペンサー10の概略図である。明確にするために、そのような製品に通常は関連付けられている機械駆動メカニズム及びカバーは省略されている。図示するように、このペーパータオルディスペンサーは、基部10bに接続された2つの支持アーム10aを備える。これらのアームは、支持部10cを備える。これらの支持部は、ペーパータオルロール12の内部表面12aと係合し、ペーパータオルロール12が中心軸の回りに回転することを可能にし、それによって、ユーザーからのディスペンシング要求に従って支持アームのうちの一方の内部にあるモーター駆動システム(図示せず)の動作に基づいてペーパータオルをペーパータオルロール12から能動的に繰り出すことを可能にする。
【0054】
電子キー、腐食のない電力転送及びディスペンサーの電子機器
本発明によれば、ペーパータオルロールは、ペーパータオルロール12の一方の側部の内部コアに対して構成された電子キーシステム14を備える。図2及び図2Aに示すように、電子キーシステム14は、電力セル14a、電子キー回路16、及び電気接点14b、14cを備える。電子キーシステム14は、好ましくは、ペーパータオルロールの内部表面12aにロックされ、電子キーシステムは、電子キー回路に損傷を与えるか、又は電子キー回路を非アクティブ状態にしなければ、ペーパータオルロールから取り外すことができないようになっている。ペーパータオルロール12が、ディスペンサー10内に設置されるとき、1つの実施形態では、電子キーシステム14は、ディスペンサー10内の対応するディスペンサー電子機器18(図3)の動作範囲内に位置決めされる。電子キー回路16は、とりわけ、キャパシター16a、スイッチ16c、及び集積回路16d(例えば、ASIC(特定用途向け集積回路))を含み、これらの機能は、以下でより詳細に説明する。電子キー回路は、コイル16bも含むことができる。
【0055】
図3に概略的に示すように、ディスペンサー電子機器18は、ディスペンサー支持アーム10aのうちの一方に対して構成され、電気接点18b、18c、コントローラー18d、及び補助電力セル18eを備える。ペーパータオルロール12がディスペンサー10内に設置されるとき、電気接点14b、14cは、対応する接点18b、18cに接触する。1つの実施形態では、永久磁石18aがコイル16bの動作範囲内にある。
【0056】
キーデータ及びセキュリティ
好ましい実施形態では、電子キーシステム14は、ディスペンサーを用いた消耗品の操作を可能にするデータを含む。例えば、電子キーシステムは、消費可能製品の真正性データ、消費可能製品の管轄コード及び/又は容量、数量、若しくはサイズのコードを含む識別データを含むことができる。電子キー回路16は、或る容量又は数量の消耗品が消費し尽された後、及び/又は消費可能製品が消費し尽されたことを知らせる情報がディスペンサーによって受信された後、電子キーシステム14に自己を非アクティブ化させるプログラムキーも含むことができ、それによって、電子キーシステムは、他のディスペンサーにおいて機能することができないように非アクティブ化される。
【0057】
腐食のない電力転送及びディスペンサーの電子機器
一般に、設置されると、システムは、電力及びデータの双方を、ペーパータオルロール14からディスペンサー10に転送することを可能にし、ペーパータオルロールディスペンサーを動作させるとともに、認可データ等のデータをペーパータオルディスペンサーに提供する。
【0058】
本発明によれば、電力セル14aからのDC電力は、図6図9に示すとともに以下でより詳細に説明するように、ゼロ正味電圧(ZNV)又はパルス信号としてディスペンサーに転送される。重要なことに、ペーパータオルロールからの電力信号及びデータ信号は、動作中に電気接点間のゼロ正味電圧差を確保するために、正及び負の交番電圧信号として接点14b、14c、18b、18c間に転送される。以下でより詳細に説明するように、これは、対応する電気接点間に金属のネットマイグレーション(net migration)がないことを確保するのに重要である。このネットマイグレーションがある場合、電気接点の腐食が生じるおそれがある。ZNV信号は、パルスDC信号だけでなくAC信号も含むことができる。
【0059】
消耗品の電子キー回路16は、電力セル14aからのDC電力を調整して、電力反転回路(PIC)を通るZNV信号を生成する特定用途向け集積回路(ASIC)16d(又はマイクロコントローラー、若しくはアナログ及びデジタルの個別部品の組み合わせ)を備える。すなわち、ディスペンサーがアクティブ化され、ディスペンサーモーターが最初にオンにされたとき、ASIC16dは、電子キー回路からディスペンサーへのZNV電力の転送を可能にするパルス波形(すなわち、ゼロ正味電圧を有する)を生成する。1つの実施形態では、ASIC16dは、コイルを電力回路の内部及び外部へスイッチングするスイッチ16cも制御する。この場合、ディスペンサーモーターが動作しているとき、スイッチ16cは開放され、そのため、コイル16bは、ディスペンサーモーターが動作しているとき、回路の外部となる。加えて、ディスペンサーモーターがオフになっているとき、ASIC16dは、コイルを回路の内部へスイッチングすることができ、そのため、減速しているペーパータオルロールからの回転エネルギーが取り込まれ、キャパシター16aに蓄積されて用いられる。ASIC16dは、電力セル14aからの電流の引き出しを監視するか、又は加速度計等の別の信号メカニズム(図示せず)を信号として利用して、スイッチ16cを開閉することができる。すなわち、電流が引き出されており、それによって、ディスペンサーモーターが動作していることが信号で通知された場合、スイッチ16cは開放される。1つの実施形態では、電流の引き出しが削減し、それによって、ディスペンサーモーターがオフであることが信号で通知されると、スイッチ16cは閉鎖される。重要なことに、スイッチ16cは、モーターが動作しているとき、開放しており、そのため、コイルは、磁石に対抗して動作していない。コイル16b、スイッチ16c、及びキャパシター16aは、本発明に必須のものではなく、特定のシステムにとって実際的であるか又は望ましい場合に、運動エネルギーを回復することができる追加のシステムとして実施することができることに留意すべきである。
【0060】
ASIC16dは、上記で説明したように、セキュリティの特徴も含むことができる。
【0061】
図3図5を参照して、ディスペンサー18内の電子キーシステム14のインタラクション及び設計並びにディスペンサー回路の設計を説明する。重要なことに、電子キーシステム14及びディスペンサー18を組み合わせることによって、a)消費可能製品からの電力をディスペンサーに転送すること、及びb)同時に、これらの2つのコンポーネント間でID信号又はデータ信号を転送すること、が可能になる。重要なことに、この組み合わされたシステムは、これらのコンポーネント間の電気接点の腐食を長期間にわたって非常に確実に削減又は除去し続ける。加えて、電力信号及びID信号は、システムとインタラクトしているユーザーに遅延を引き起こさないように高速に転送されると同時に、電子キーとディスペンサーとの間に効果的なデータ通信ももたらされ、例えば、認可されていない消耗品がディスペンサーからディスペンスされることが防止される。
【0062】
さらにまた、このシステムは、電力セル間での電力の効率的な転送を可能にする電力管理機能を提供し、この場合、断続的ではあるが、消耗し得る電力セルが瞬時に提供することが可能な電力密度要求よりも高い電力密度要求を有するディスペンサー回路に電力を効率的に提供する際に、消耗し得る電力セル内の相対的に低い電力密度が効果的である。1つの実施形態では、このシステムは、システム内の運動エネルギーを回収することも可能にする。
【0063】
図3に概略的に示すように、ディスペンサーアーム10aを有するディスペンサーは、コントローラー18dを有するディスペンサー回路18を含む。このディスペンサー回路は、電子キー接点14b、14cと接触する電気接点18b及び18cを備える。ディスペンサー回路18は、補助電力セル18e、及び電子キーコイル16b(オプション)とインタラクトするように位置決めされた永久磁石18aも備える。以下でより詳細に説明するように、これらのコンポーネントは、システム内の電力及び情報の効率的な管理を可能にするようにインタラクトする。
【0064】
エネルギー管理システム
一般に、エネルギー管理システム(EMS)は、システム内で利用可能な電力を効果的に管理するように設計される。より具体的には、EMSは、以下のことを可能にする。
a)交換可能なコンポーネントにおける1つ又は複数の電力セル内で利用可能とすることができる低電圧低電流の電力を、ディスペンシングモーター等のそれよりも高電圧高電流の用途に用いるためにステップアップすること、
b)低電圧低電流の電力を、別個の電力蓄積デバイスを充電するために用いること、
c)ディスペンシングシステムの全体的な効率性及び/又は寿命を高めるためにディスペンシングシステム内から運動エネルギーを取り込むこと、並びに
d)電力信号からID信号を復号化及び分離すること。
【0065】
図4は、ディスペンサー回路18の1つの実施形態を示し、図5は、ディスペンサー回路内の整流復号化コントローラー(RDC)20を示している。特に、図4は、コントローラー18(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラー、又はアナログ及びデジタルの個別部品の組み合わせを有する)を示している。本明細書において説明する実施形態では、電力セル14aによって提供されるパルス電力は、ワイヤ18b、18cを通ってコントローラー18に進む。この説明では、ASICが説明され、このASICにおいて、パルス信号は18b、18cに到達する。このパルス信号から、ID信号が復号化され、解釈を行うために出力20gを介してASIC又は別個の回路(図示せず)に送信される。整流後、出力電力が、20d、20eを通って提供され、キャパシター22f、22gに蓄積することもできるし、負荷22kに電力供給するのに用いることもできるし、補助電力セル18eを再充電することもできる。電圧ステップアップは、例えば、電力セル14aの電圧を2倍〜4倍にすることができる。この場合、ASICは、電力が、キャパシターを充電するのに必要とされるのか又は補助バッテリーを再充電するのに必要とされるのかを判断する。電力の充電と、キャパシター及び補助電力セル18eからの電力の解放との制御は、スイッチ22j、22j’、22j”、及び22j”’上でのASICの入力信号22iによって制御される。例えば、エネルギーが利用可能であり、電力の需要がない場合、スイッチ22j、22j’、22j”、及び22j”’は、キャパシターを充電するために開放される。キャパシターが充電され、電力が利用可能であり、補助電力セルが電力を必要としている場合、スイッチ22j及び22j”は閉鎖され、スイッチ22j’及び22j”’は開放されて、電力がキャパシター及び補助電力セルに誘導される。電力を負荷22kに誘導する信号が受信された場合、スイッチ22j、22j’、及び22j”’は閉鎖され、スイッチ22”は開放され、そのため、電力は、キャパシターから優先的に引き出される。
【0066】
キャパシターの充電度は、ASICが22hを通じてキャパシターの電圧を測定することによって測定される。すなわち、スイッチ22j、22j’、22j”、及び22j”’の位置に関する決定を行うために、ASICは、キャパシター及び補助電力セルの両端の電圧をサンプリングする。キャパシターの電圧が補助電力セル18eよりも高い場合、スイッチは、適切に位置決めされ、電力は、これらの蓄積キャパシターから負荷に送られる。キャパシターの両端の電圧が電力セル18eよりも低い場合、電力は、電力セル18eを介して送られる。したがって、この機能は、電力が、負荷に電力供給するのに常に利用可能であることを保証し、それゆえに、ユーザーにとって不快となり得るアクティブ化の際の遅延が防止される。さらに、コントローラー18及び整流復号化回路20(以下で説明する)を組み合わせることによって、消耗し得るバッテリーの低電流低電圧の電力を利用して、負荷需要がない間にキャパシターをトリクル充電すること又は充電電力を提供することが可能になる。上記事項はエネルギー管理システムの設計の1つの例であること、及び当業者によって理解されるように一般的な設計の変更を行うことができることにも留意すべきである。
【0067】
整流復号化回路
図5を参照すると、図5は、ディスペンサーコントローラー18内の整流復号化コントローラー(RDC)20を示している。図示するように、このRDCは、整流回路20c及びID復号器20dを備える。パルス電力信号、ID信号、及びコイルパルスは、18b及び18cを通ってRDC内に入る。整流器20cは、高効率MOSFETスイッチングタイプ又は類似のデバイスとすることができる。整流器20cは、パルス信号を定常状態のDC電圧及びDC電流に変換する。例えば、3ボルト、50mAの電流信号をRDC20に入力することができ、RDCは、6ボルト、23mAの出力(ほぼ90%の変換効率)を20e、20fを通じて提供する。特定のシステム用に設計することができるように、追加の電力調整を行って、電圧及び電流の容量を増減することができることに留意すべきである。
【0068】
さらに、上述したように、キャパシター22f及び22gのキャパシター電圧が、負荷22kをアクティブ化するのに十分でない場合、ディスペンサー回路18は、補助電力セル18eを利用する。例えば、ディスペンサーが、短い期間内に多数のディスペンシング要求を受信した場合、キャパシターは、電力セル14aからの電力送達レートを所与として再充電する十分な時間を有しない場合がある。それゆえに、ディスペンサー回路18は、補助電力セル18eからの電力を利用することができる。電力セル18eは、再充電可能なバッテリーとすることができ、その場合、システムが非アクティブであるとき、キャパシターを再充電することに加えて、補助電力セルを電力セル14aからの電力からトリクル充電することができる。一方、補助電力セル18eは、再充電不能なバッテリーである場合もあり、その場合、コントローラー20は、補助電力セル18eからの電力の送達のみを可能にするようにスイッチを操作する。
【0069】
好ましくは、補助電力セルは、消費可能製品が交換される時に十分に充電された状態にあるので、ディスペンサーの寿命の間、交換を必要としない。しかしながら、電力セル14aからの全ての電力が、消費可能製品が交換される時に補助電力セルに十分に転送されないシナリオが存在する。例えば、消費可能製品が十分に消費し尽くされる直前の短い期間内に複数のディスペンシング要求があり、消費可能製品が消費し尽くされた時にほぼ直ぐに交換された場合、補助電力セル18eを十分に再充電するのに十分な時間がなかった場合がある。しかしながら、このシナリオを考慮するために、各消費可能製品内の電力セル14aは、好ましくは、新しい消費可能製品がシステム内に配置された後、補助電力セルを十分に充電することを可能にする少量の予備電力を有する。
【0070】
上述したように、復号器回路は、電子キーからデジタル情報を抽出して解釈し、20gを介して出力する。ID信号は、正しいタオル又は石鹸のタイプが設置されていることの確保、消耗品の使用期限が経過していないことの確保、及び上記で説明した他の機能等の複数の潜在的な用途に用いることができる。
【0071】
電力セル14aから負荷への電力転送の全体的な効率は、好ましくは、90%よりも大きい。
【0072】
エネルギー回復
1つの実施形態では、ペーパータオルロールが、ディスペンスサイクル後に減速しながら回転して永久磁石18aを通過すると、スイッチ16cは閉鎖され、そのため、電気インパルスが電子キー回路16内に生成され、この電気インパルスは、キャパシター16aに蓄積される。例えば、キャパシター16cの電圧が、サイクルの繰り返しの結果として十分に高いとき、ASIC16dは、電力をディスペンサーに転送する際に用いられる蓄積された電力を利用可能にすることができる。このように、この実施形態では、システムは、磁石及びコイルがインタラクトし続けながら、ペーパーロールがディスペンシングサイクル後に減速するとき、回転するペーパータオルロールの運動量に含まれる運動エネルギーを回収することを可能にしている。
【0073】
同様に、EMSは、ディスペンサーモーターシステムの運動量も回収してエネルギー蓄積システム内に蓄積することができるモーター制動もディスペンサー内に備えることができる。システムの伝動装置に応じて、コイルは、減速中に磁石を数回通過する場合があり、これは、時間とともに、有効な量の電力をシステムに返すことができる。いずれの場合も、少量ではあるが、ディスペンサーの寿命にわたってかなりの量の電力を回収することができ、この電力は、ディスペンシングシステムの全体的な効率を改善し、全体として、ディスペンサーバッテリーの交換の必要性を実質的に解消又は低減するのに用いることができる。
【0074】
腐食防止
図6図10に示すように、代表的な信号パターンが描かれている。図6及び図6Aは、電力信号100及びID信号102を含む、回路16によって生成された2つの別個の信号を示している。電力信号100は、電子キー14の電力セル14aからディスペンサー回路18に電力を転送し、ID信号102は、電子キーからディスペンサー回路18にデータを転送する。電力信号100は、図10に示すように、電力が正味ゼロ電荷で転送されるような正及び負の交番電圧である。ID信号102も、正及び負の信号の順序を0又は1のいずれかとして解釈することができる正及び負の交番電圧信号である。
【0075】
より具体的には、図6図6A図7、及び図7Aに示すように、電力信号は、矩形波として実線で示されているのに対して、ID信号102は、各電力信号間のタイムセパレーションにおいて破線で示されている。図6に示すように、0を表すID信号は、負のID信号及びその後に続く正のID信号によって表すことができるのに対して、図7に示すように、1は、正のID信号及びその後に続く負のID信号によって表すことができる。組み合わされた信号の波出力は、図6A及び図7Aに信号104として示されている。
【0076】
図8及び図9は、1,0,1のIDシーケンスの代表的な信号を示し、図10は、組み合わされた電力及びIDのシーケンスの総正味電荷が0であることを示している。電力及びIDの転送中の正味総電荷の効果は、電気接点間の金属マイグレーション及び腐食を防止し、そのため、システムは、より長い時間枠にわたって非常に効果的な電力及び信号の転送を実現する。これは、ディスペンサーの寿命にとって特に重要である。なぜならば、ディスペンサーの電気接点は、消費可能製品が交換されるときに交換されないからである。
【0077】
上記説明は例示に過ぎないことに留意することは重要であり、当業者によって理解されるように、電力信号及びID信号は、異なる電圧パターン及び/又は信号パターンを用いて送信することができることが理解される。
【0078】
他の消費可能製品及びディスペンサー
上記内容は、液体ディスペンサー(例えば、石鹸ディスペンサー)又は化学薬品ディスペンサー(例えば、エアロゾルフレグランスディスペンサー、又は化学薬品メンテナンスディスペンシング)を含む他のタイプのディスペンシングシステムにおいて実施することができる。これらの実施形態では、電子キーは、消費可能製品、例えば、ディスペンサー電子機器への作動接続用に設計された電子キーを有する液状石鹸の袋に対して構成されている。この場合、消費可能製品とディスペンサーとの間の接点は、互いのシステムに対して相対的に動く接点を必要とせず、一般に、上記で説明したようなエネルギー回収システムを備えていない。
【0079】
本発明を、好ましい実施形態及びその好ましい使用に関して説明及び図示してきたが、当業者によって理解されるように、本発明の意図した完全な範囲内にある変更及び変形をそれらの実施形態及び使用において行うことができるので、本発明はそのように限定されるものではない。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図9
図10