(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インバータが、前記分圧器が前記第1のAC線と前記DC線との間または前記第2のAC線と前記DC線との間のいずれかに結合されるときに電力を生成している、請求項5に記載の方法。
前記インバータが、前記分圧器が前記第1のAC線と前記DC線との間または前記第2のAC線と前記DC線との間のいずれかに結合されるときに電力を生成している、請求項12に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]
図1は、本発明の1つ以上の実施形態に係る配電システム100のブロック図である。配電システム100(「システム100」)は、インバータ104の両端子間に結合される太陽電池(PV)モジュール102を備え、インバータ104はAC配電網118(「配電網118」)に更に結合される。インバータ104は、PVモジュール102からのDC電力を商用配電網に準拠したAC電力へと変換して、生成されたAC電力を配電網118に結合させる。
図1に描かれるように、配電網118は、第1の相線L1、第2の相線、および、グランドに結合される中性線Nを備え、この場合、線L1,L2は、インバータのプラス出力およびマイナス出力のそれぞれに結合される。他の実施形態において、配電網118は、単相線および接地される中性線、接地される接続部を有する三相線、および、同様のものなどの他のトポロジーを有する。
【0010】
[0014] 幾つかの実施形態において、インバータ104は、これに加えてあるいは代えて、PVモジュール102以外の他のタイプの再生可能エネルギー源(例えば、風力タービン、水力発電システム、または、同様の再生可能エネルギー源)、バッテリー、または、同様のものなどの1つ以上の適したDC源からDC電力を受けてもよい。幾つかの別の実施形態では、複数のDC源がインバータ104に結合されてもよい(例えば、インバータ104がストリングインバータまたは単一集中型インバータであってもよい)。
【0011】
[0015] インバータ104は、DC−AC段108の両端子間に結合されるDC−DC段106と、DC−AC段108の出力の両端子間に結合されるAC電圧モニタ116と、DC−DC段106、DC−AC段108、および、AC電圧モニタ116のそれぞれに結合されるコントローラ110とを備える。DC−DC段106は、PVモジュール102からDC入力を受けて、その受けたDC電力をコントローラ110により制御されるように第2のDC電力へと変換する。その後、DC−AC段108は、DC−DC段106からのDC電力をコントローラ110によって制御されるように単相AC出力電力へと変換して、その出力電力を配電網118の線L1,L2に結合する。DC−AC段108は、サイクロコンバータ、H−ブリッジ、または、同様のものなどの任意の適したDC−ACインバータ回路であってもよい。他の実施形態において、DC−AC段108は、二相AC出力、分相AC出力、または、三相AC出力などの他のタイプのAC出力を生成してもよい。幾つかの別の実施形態では、DC−DC段106が存在しなくてもよく、また、DC−AC段108がPVモジュール102からDC電力を受ける。
【0012】
[0016] AC電圧モニタ116は、AC出力電圧をサンプリングするためにDC−AC段108からの出力の両端子間に結合される。AC電圧モニタ116は、瞬間AC出力電圧(すなわち、線L1,L2間の差分電圧VL1−VL2)を測定して、そのサンプル(すなわち、サンプリングされた電圧を示す信号)をコントローラ110へ与える。コントローラ110内のフェーズロックループ(PLL)は、配電網周波数にロックオンして、主時間基準をインバータ104へ出力する。コントローラ110は、振幅および位相の両方における基本的な内容を配電網電圧から抽出する。この場合、理想的に、位相は、常にゼロであるべきだが、大きな歪みの存在下で歪められ得る。したがって、コントローラ110は、AC出力電圧をベクトルとして、すなわち、振幅および位相の両方に関して決定する。測定されたAC出力電圧は、地絡検出(後述する)中および電力変換中に使用される。幾つかの実施形態において、AC電圧モニタ116は、サンプルをデジタル形式で与えるためのアナログ−デジタル(A/D)変換器を備えてもよい。
【0013】
[0017] インバータ104は地絡検出回路112を更に備える。地絡検出回路112は、コンデンサCm,Csと、スイッチS1,S2と、AC電圧モニタ114とを備える。コンデンサCm,Csは直列に結合されて分圧器を形成する。コンデンサCmの第1の端子がDC−DC段のマイナス入力に結合され(他の実施形態では、第1の端子がDC−DC段のプラス入力に結合されてもよい)、コンデンサCmの第2の端子がコンデンサCsの第1の端子に結合され、また、AC電圧モニタ114がコンデンサCmの両端子間に結合される。コンデンサCsの第2の端子はスイッチS1,S2に結合される。幾つかの実施形態において、コンデンサCs,Cmは、地絡検出のために使用されることに加えて、電磁妨害(EMI)保護をインバータ104に与えてもよい。また、本明細書中に記載される発明に影響を与えることなく、更なるEMI保護コンデンサがCs,Cmの両端子間に結合されてもよい。
【0014】
[0018] スイッチS1,S2はそれぞれ、双方向スイッチ(例えば、背面接続された金属−酸化膜−半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、リレー接点、または、同様のもの)であり、コンデンサCsの第2の端子とDC−AC段のプラス出力およびマイナス出力のそれぞれとの間に結合される。スイッチS1,S2およびAC電圧モニタ114はコントローラ110に更に結合される。
【0015】
[0019] 本発明の1つ以上の実施形態によれば、地絡検出回路112は、インバータ104でグランドに接続する必要なく地絡状態が存在するかどうかを決定するために使用される。グランド接続が必要とされないため、システムトポロジーを簡略化できる。例えば、インバータ104へのケーブル内にグランド配線が必要とされず、インバータ104のための非接地ケーシングが使用されてもよく(例えば、インバータケーシングがプラスチックまたは他の非導電材料から形成されてもよい)、また、インバータ104のためにグランド接続が必要とされない。したがって、インバータ104は、非接地インバータであり、「二重絶縁」分類下で安全性が認定される。
【0016】
[0020] 地絡状態が存在するかどうかを決定するため、コンデンサCs,Cmを通って、インバータ104のDC側に存在するかもしれない任意の想定し得る地絡部を経由して、グランドへと戻るように流れる電流を引き起こすべく、配電網側電圧が使用される。その後、以下のようにコンデンサCmの両端子間に生み出されるAC電圧を測定することによって、地絡部のインピーダンスを決定することができる。インバータ104が電力を生成していない期間中に、コンデンサCs,Cmにより形成される容量分圧器を介して配電網側の線L1をDC−DC段のマイナス入力に結合させるために、スイッチS1が閉じられる(コントローラ110により制御される)。Cs,Cmにおけるキャパシタンスは、コンデンサCmの両端子間に生成される電圧をAC電圧モニタ114が測定するのに適した値にスケーリングするように選択される。一般には、この選択は、Cmの両端子間の電圧がCsの両端子間の電圧よりもかなり低いようになっており、例えば、容量分圧器は、30から1までに至る程度の電圧減少をもたらしてもよい。DCポートとACポートとの間に所要の安全絶縁を与えるために、コンデンサCm,Csの一方または両方は適切に安全な定格のコンデンサである。幾つかの実施形態において、Csは、4.7ナノファラド(nF)の上限のキャパシタンス値を有するY1、Y2またはY3安全定格などの安全定格コンデンサであり、また、Cmは150nFのキャパシタンス(例えば、33:1分圧器に関して)を有する。
【0017】
[0021] AC電圧モニタ114は、コンデンサCmの両端子間の電圧をサンプリングして、そのようなサンプル(すなわち、サンプリングされた電圧を示す信号)をコントローラ110へ与える。幾つかの実施形態において、AC電圧モニタ114は、サンプルをデジタル形式で与えるためのアナログ−デジタル(A/D)変換器を備えてもよい。コントローラ110は、受けた電圧サンプルに基づいて、線L1がCm/Csを介してDCマイナス入力に結合されるときのコンデンサCmの両端子間の電圧におけるベクトル値V1を決定する。V1を決定するために幾つかの電圧サンプルがコントローラ110によって使用されてもよく、例えば、コントローラ110は、V1を決定するために複数の電圧サンプルの平均値を計算してもよい。
【0018】
[0022] その後、スイッチS1が開かれるとともに、スイッチS2が閉じられて(コントローラ110により制御される)、配電網側の線L2がCs,Cmにより形成される容量分圧器を介してDC−DC段のマイナス入力に結合される。AC電圧モニタ114は、再び、コンデンサCmの両端子間の電圧をサンプリングして、その電圧サンプル(すなわち、サンプルリングされた電圧を示す信号)をコントローラ110へ与える。コントローラ110は、受けた電圧サンプルに基づいて、配電網側の線L2とDCマイナス入力とがCm/Csを介して結合されるときのコンデンサCmの両端子間の電圧におけるベクトル値V2を決定する。V2を決定するために幾つかの電圧サンプルがコントローラ110によって使用されてもよく、例えば、コントローラ110は、V2を決定するために複数の電圧サンプルの平均値を計算してもよい。その後、スイッチS2が開かれる。
【0019】
[0023] スイッチS1,S2の作動/非作動は配電網電圧波形と同期される。例えば、配電網118に合わせて同期されるインバータ104のフェーズロックループ(PLL)を使用して、スイッチS1,S2の動作を同期させてもよい。幾つかの実施形態では、例えばスイッチS1,S2が低い周波数でのみ切り換わることができるデバイスであるときに、スイッチS1,S2は、配電網周波数以下の周波数で動作されて、少なくとも1つの配電網サイクルにわたってそれぞれが閉じられたままであるが、これらのスイッチは、読み取り時にはノイズを減少させるために長期間にわたって主に閉じられたままである。幾つかのそのような実施形態において、スイッチS1,S2のそれぞれは、幾つかの配電網サイクル(例えば、10配電網サイクル)にわたってONに切り換えられてもよい。他の実施形態において、スイッチS1,S2は、配電網周波数よりも高い周波数で動作されてもよいが、これらのスイッチは、一般に、電力変換のために使用される変換器スイッチング周波数よりも低い周波数で動作される。
【0020】
[0024] 得られた電圧サンプルに基づいて、それぞれのV1,V2における振幅および位相が評価される。例えば、それぞれのV1,V2ごとに振幅および位相を決定するために、シングルビン高速フーリエ変換(FFT)を使用して単一周波数(例えば、配電網周波数)を評価してもよい。同様に、AC電圧モニタ116により得られる電圧サンプル基づいて、差分電圧VL1−VL2における振幅および位相が決定される。一般に、VL1−VL2は、V1,V2を測定して決定するプロセス中に連続的に測定される。V1およびV2が測定される時間同士の間でVL1−VL2が変化した場合には、それが適切に安定するまで測定を繰り返すことができる。
【0021】
[0025] V1,V2および差分電圧VL1−VL2に基づいて、グランドに対するPVモジュールのインピーダンスZpvがコントローラ110によって以下のように決定される。
【0022】
[0026] Zpv=Zs×(1−α)/α (1)
【0024】
[0028] α=[(V1−V2)/(VL1−VL2)]×Zs/Zm (2)
【0025】
[0029] また、この場合、ZsおよびZmは、コンデンサCs,Cmのそれぞれのインピーダンスであり、また、Zpv、Zs、および、αは全てベクトル量である。グランドに対する決定されたPVモジュールインピーダンスZpvの振幅及び/又は位相は、その後、地絡状態が存在するかどうかを決定するためにコントローラ110によって評価されてもよい。例えば、地絡状態は、Zpvの振幅が10キロオーム未満である場合に存在すると決定されてもよい。これに加えてあるいは代えて、Zpvの位相に基づいて抵抗性リーク(Zpvの実部)が容量性リーク(Zpvの虚部)から区別されてもよい。地絡状態が決定されると、コントローラ110は、インバータ104による電力生成を行えないようにして、その状態を示す警報を発してもよい。任意の地絡状態を検査するために、定期的に、例えばインバータ起動前に毎朝、グランドに対するPVモジュールインピーダンスが決定されてもよい。
【0026】
[0030] 特定の実施形態では、既に説明した分圧器機能を与えるために、コンデンサCm及び/又はコンデンサCs以外のデバイスが使用されてもよい(例えば、適切に安全な定格のレジスタがCm,Csの代わりに使用されてもよい)。
【0027】
[0031] 幾つかの別の実施形態において、地絡検出回路112は、外部構成要素(すなわち、インバータ104内に含まれない)であってもよい。これに加えてあるいは代えて、地絡検出回路112を制御する、及び/又は、グランドに対するPVモジュールインピーダンスZpv(および任意の関連するパラメータ)を決定するとともに地絡状態が存在するかどうかを評価するための回路がインバータ104の外部にあってもよい。
【0028】
[0032]
図2は、本発明の1つ以上の実施形態に係るインバータ104の別の実施形態のブロック図である。既に説明したように、インバータ104は、DC−AC段108に結合されるDC−DC段106を備え、それぞれの段がコントローラ110に結合され、また、インバータ104は、DC−AC段の出力の両端子間に結合されるとともにコントローラ110に結合されるAC電圧モニタ116を備える。
【0029】
[0033] DC−DC段106は入力ブリッジ202とコンデンサ204とを備え、この場合、コンデンサ204は、入力ブリッジ202からの第1の出力端子に結合される。入力ブリッジ202は、スイッチ220−1/220−2とスイッチ222−1/222−2とがHブリッジの第1および第2のレッグ(すなわち、左右のレッグ)をそれぞれ形成するように配置されるスイッチ220−1,220−2,222−1,222−2(例えば、n型金属−酸膜−半導体電界効果トランジスタ、すなわちMOSFET)を備えるフルHブリッジである。スイッチ220−1,220−2,222−1,222−2のそれぞれのゲート端子およびソース端子は、スイッチを動作可能に制御するためにコントローラ110に結合される。他の実施形態において、スイッチ220−1,220−2,222−1,222−2は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、p型MOSFET、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、および、同様のものなどの任意の他の適した電子スイッチであってもよい。入力ブリッジ202の第1の出力端子は、スイッチ220−1,220−2間に結合されるとともに、コンデンサ204の第1の端子に結合される。入力ブリッジ202の第2の出力端子はスイッチ222−1,222−2間に結合される。別の実施形態では、入力ブリッジ202がハーフHブリッジなどの他のタイプのDCブリッジであってもよい。
【0030】
[0034] DC−AC段108は、DC−DC段106の両端子間に結合される一次側206pと、ACブリッジ250の両端子間に結合される二次側206sとを有する変圧器206(例えば、DC−AC段108の境界にある)とを備える。ACブリッジ250は、スイッチ252−1,252−2,254−1,254−2(例えば、MOSFETまたは他の適した電子スイッチ)と、コンデンサ256,258とを備えるサイクロコンバータであるACハーフブリッジである。各スイッチ252−1,252−2,254−1,254−2のゲート端子およびソース端子は、スイッチを動作可能に制御するためにコントローラ110に結合される。スイッチ252−1,252−2は、直列に背面同士が結合される(すなわち、スイッチのソース端子同士が互いに結合される)とともに、ACブリッジ250の第1のレッグを形成するためにコンデンサ256の第1の端子に更に直列に結合される。同様に、スイッチ254−1,254−2は、直列に背面同士が結合されるとともに、ACブリッジ250の第2のレッグを形成するためにコンデンサ258の第1の端子に更に直列に結合される。第1および第2のACブリッジレッグは、互いに並列に結合される(すなわち、スイッチ252−1,254−1のドレイン端子が互いに結合されるとともに、コンデンサ256,258の第2の端子が互いに結合される)とともに、変圧器の二次側206sの両端子間に結合される。ACブリッジ250は、それぞれのスイッチの対とコンデンサとの間に結合される第1および第2の出力端子に対してAC出力電力を結合させる。特定の実施形態では、コンデンサ256,258が1000nF程度であってもよく、また、変圧器206が1:6の巻数比を有してもよい。
【0031】
[0035] 幾つかの別の実施形態において、ACブリッジ250は、フルHブリッジ、三相AC出力または分相AC出力を配電網118に結合するための三相ブリッジ(例えば、三相サイクロコンバータ)、および、同様のものなどの異なるタイプのACブリッジ回路であってもよい。
【0032】
[0036] また、インバータ104は、DC−DC段のマイナス入力端子(すなわち、スイッチ220−2,222−2のソース端子)とDC−AC段のマイナス入力端子(すなわち、コンデンサ256,258の第2の端子)との間に直列に結合されるコンデンサCm,Csも備えるが、他の実施形態では、Cs,Cmの直列の組合せがコンデンサ204と一次巻線206Pとの間に結合されてもよい。AC電圧モニタ114がコンデンサCmの両端子間に結合される。既に説明したように、コンデンサCm,Csの一方または両方は適切に安全な定格のコンデンサであり、また、幾つかの実施形態において、Csは、4.7nFのキャパシタンス値を有する「Y1」安全定格コンデンサであり、Cmは(典型的な分圧器比−例えば、これらのコンデンサ値に関して33:1を与えるために)150nFのキャパシタンスを有する。幾つかの別の実施形態において、コンデンサCm,Csの一方または両方は、安全定格レジスタなどの他のタイプの適切に安全な定格のデバイスと置き換えられてもよい。
【0033】
[0037] 本発明の1つ以上の実施形態によれば、インバータのACポートとDCポートとの間に接続されるインピーダンスネットワークを駆動させてPVモジュール102における地絡を検出するためにACブリッジスイッチが利用される。したがって、コンデンサCm,Cs、AC電圧モニタ114、および、スイッチ252−1,252−2,254−1,254−2は地絡検出回路112の別の実施形態を形成し、この実施形態では、AC線L1とマイナスDC入力端子との間に容量分圧器を結合させるためにスイッチ対252−1/252−2が作動され、また、AC線L2とマイナスDC入力端子との間に容量分圧器を結合させるためにスイッチ対252−1/252−2が作動される。したがって、コンデンサCsがAC側ACブリッジ250からのAC刺激によって駆動され、それにより、その刺激は、Cm,Csにより形成される容量分圧器を通ってDC側の任意の想定し得る地絡部を経由してグランドへと戻るように流れる電流をもたらそうとする。既に説明したように、コンデンサCmの両端子間に生成される電圧は、地絡状態が存在するかどうかを決定するためにグランドに対するPVモジュールインピーダンスZpvを計算するべく測定されて使用される。
【0034】
[0038] 幾つかの実施形態において、ACブリッジスイッチは、インバータ104が電力を生成していないとき(例えば、毎朝のインバータ起動前に)に地絡検出のために駆動される。そのような実施形態において、ACブリッジスイッチは、(例えば、インバータ104のフェーズロックループ(PLL)により)配電網電圧波形と同期されるとともに、配電網周波数以下の周波数で周期的に切り換えられ(すなわち、スイッチが整数の配電網サイクルにわたって動作される)、配電網周波数よりも高いがそれらの通常の(すなわち、電力生成)動作周波数よりも低い周波数で周期的に切り換えられ、あるいは、それらの通常の動作周波数で/それらの通常の動作周波数付近で周期的に切り換えられる。特定の実施形態では、ACブリッジスイッチが配電網周波数よりも低い周波数で周期的に切り換えられてもよい。例えば、スイッチ対252−1/252−2が幾つかの配電網サイクル(例えば10配電網サイクル)にわたってONに切り換えられて、Cmの両端子間の電圧が測定されてもよく、その後、スイッチ対254−1/254−2が幾つかの配電網サイクル(例えば10配電網サイクル)にわたってONに切り換えられて、再びCmの両端子間の電圧が測定されてもよい。既に説明したように、地絡状態が存在するかどうかの決定は、Cmの両端子間の電圧測定とAC電圧モニタ116により線L1,L2の両端間で測定される電圧とに基づいて行われてもよい。
【0035】
[0039] 他の実施形態において、地絡検出は、電力を生成するためにACブリッジスイッチが駆動される間に行われる。そのような実施形態において、ACブリッジスイッチング変調は、通常の電力生成中に行われる切り換えによって変えられず、また、地絡検出は、この特定のスイッチング周波数および変調に伴って動作する。スイッチング周波数、大きさ、および、変調の詳細が電力変換制御要件によって決定付けられるため、それに応じてCs,Cmに関する値が選択される。すなわち、地絡検出機能を電力変換設計が完成された後に設計される二次的機能として扱うことができ、また、Cs,Cmに適した値を容易に決定できる。その後、既に説明したように、地絡状態が存在するかどうかを決定するために、Cmの両端子間の電圧を測定することができる。地絡状態が存在すると決定される場合、コントローラ110は、電力生成を行えないようにするとともに、その状態を示す警報を更に発生させてもよい。
【0036】
[0040] 幾つかの別の実施形態において、インバータ104は、二相出力、分相出力、または、三相出力などの異なるタイプのAC出力を生成してもよく、それに応じて配電網118に結合されてもよい。そのような実施形態において、地絡検出は、前述した技術と同様の技術によって行われてもよい。
【0037】
[0041] グランドに対する計算されたPVモジュールインピーダンスは、地絡が存在するかどうかを決定することに加えて、他の用途のために使用されてもよい。例えば、グランドに対するPVモジュールインピーダンスに基づいて、PVモジュール102が(例えば、雨、露、および、同様のものに起因して)濡れているかどうかの決定がなされてもよい。PVモジュール102がその乾燥時と比べて湿っているときには、PVモジュール102におけるグランドに対するインピーダンスがかなり減少されるため、コントローラ110は、グランドに対するPVモジュールインピーダンスと、適切な閾値、またはPVモジュール102が湿っているかどうかを決定するために予め決定された値とを比較してもよい。そのような情報は、例えば、PVモジュールが洗浄される必要があるかどうかを特定するために使用されてもよい(例えば、暴風雨の後、PVモジュール102が十分に清浄であると見なされてもよい)。
【0038】
[0042] また、グランドに対する計算されたPVモジュールインピーダンスは、特定のタイプの障害問題を特定するために使用されてもよい。例えば、電圧V1,V2およびVL1−VL2はベクトルであるため、グランドに対する抵抗を決定できるだけでなく、グランドに対するキャパシタンス及び/又はグランドに対するインダクタンスも同様に決定することができる。そのような情報は、抵抗問題や容量問題等の間を見分けるために使用されてもよい。
【0039】
[0043] 更に、グランドに対するPVモジュールインピーダンスを計算するために得られる電圧情報は、配電網接続のトポロジーを決定するために使用されてもよい。例えば、電圧V1,V2の比に基づいて、配電網118への接続が三相接続であるのか、三相接続の2つの相であるのか、グランドに対する電圧が何であるのかなどの決定を行うことができる。
【0040】
[0044]
図3は、本発明の1つ以上の実施形態に係るコントローラ110のブロック図である。コントローラ110は、サポート回路326とメモリ316とに対して結合される少なくとも1つの中央処理ユニット(CPU)306を備える。CPU306は、本発明にしたがって様々なタスクを行うために非一時的なソフトウェア命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および、これらの組合せを備えてもよい。これに加えてあるいは代えて、CPU306が1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。サポート回路326は、CPU306の機能を促進させるために使用される良く知られた回路である。そのような回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、バス、ネットワークカード、入力/出力(I/O)回路、および、同様のものを含むが、これらに限定されない。コントローラ110は、特定のソフトウェアを実行するときに本発明の様々な実施形態を行うための特定用途コンピュータになる汎用コンピュータを使用して実施されてもよい。
【0041】
[0045] メモリ316は、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、取り外し可能なディスクメモリ、フラッシュメモリ、および、これらのタイプのメモリの様々な組合せを備えてもよい。メモリ316は、時としてメインメモリと称され、部分的にはキャッシュメモリまたはバッファメモリとして使用されてもよい。メモリ316は、一般に、コントローラ110のオペレーティングシステム(OS)318を記憶する。オペレーティングシステム318は、これに限定されないがLinux、Real−Time Operating System(RTOS)、および、同様のものなどの幾つかの市販のオペレーティングシステムのうちの1つであってもよい。
【0042】
[0046] メモリ316は、CPU306により実行され及び/又は使用されてもよい非一時的プロセッサ実行可能命令及び/又はデータを記憶する。これらのプロセッサ実行可能命令は、ファームウェア、ソフトウェア、および、同様のもの、あるいは、これらの何らかの組合せを備えてもよい。
【0043】
[0047] メモリ316は、様々な形式のアプリケーションソフトウェア、例えば、DC−DC段106(インバータ104内に存在するとき)およびDC−AC段108の動作を制御するための変換制御モジュール314や、配電網波形と同期する信号を生成するためのフェーズロックループ(PLL)モジュール316を記憶してもよい。メモリ316は、本明細書中に記載されるように地絡状態が存在するかどうかを決定するための地絡検出モジュール318を更に備えてもよい。地絡検出モジュール318の機能性の1つの実施形態が
図4に関連して以下で説明される。
【0044】
[0048] メモリ316は、インバータ104の動作に関連付けられるデータ及び/又は本発明に関連付けられるデータ(例えば、地絡状態が存在するかどうか、あるいはPVモジュールが湿っているかどうかを決定する際に使用される1つ以上の閾値、配電網接続のタイプを特定する際に使用されるデータ、PVモジュール地絡インピーダンスの予め計算された値、および、同様のもの)を記憶するためのデータベース322を更に備えてもよい。
【0045】
[0049] 幾つかの実施形態において、変換制御モジュール314、PLLモジュール316、地絡検出モジュール318、および、データベース322のうちの1つ以上、または、その一部は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、これらの組合せで実装されてもよい。
【0046】
[0050]
図4は、本発明の1つ以上の実施形態に係る、地絡状態が存在するかどうかを決定するための方法400のブロック図である。
【0047】
[0051] 以下で説明される実施形態などの幾つかの実施形態において、インバータは、DC電源と、AC配電網の第1および第2の相線とに結合される(例えば、PVモジュール102と配電網118とに結合されるDC−ACインバータ104)。インバータは、単一のDC電源(例えば、単一のPVモジュール)に結合されてもよく、あるいは代わりに、同じあるいは異なるタイプの複数のDC電源に結合されてもよい(例えば、インバータがストリングインバータまたは単一集中型インバータであってもよい)。DC電源は、太陽電池(PV)モジュール、風力タービン、水力発電システム、他のタイプの再生可能エネルギー源、バッテリー、または、同様のものなどの任意の適したDC源であってもよい。
【0048】
[0052] インバータは、DC電源からのDC電力をAC電力へと変換して、AC電力をAC配電網に結合する。以下に記載される実施形態において、インバータは、単相AC電力を生成して、生成された電力をAC配電網の第1および第2の相線に結合する。他の実施形態において、インバータは、二相、分相、または、三相の電力などの他のタイプのAC電力を生成して配電網に結合してもよく、また、それに応じて、地絡状態が存在するかどうかを決定するために方法400が使用されてもよい。
【0049】
[0053] また、インバータは、後述するように、地絡が存在するかどうかを決定するためにグランド接続をDC側で必要とせず、したがって、非接地インバータである。
【0050】
[0054] 方法400は、ステップ402で始まり、ステップ404へと進む。ステップ404では、インバータ出力にある第1のAC相線とインバータ入力側のDC線との間に分圧器が結合される。分圧器は、容量分圧器、例えばコンデンサCs,Cmにより形成される容量分圧器であってもよく、あるいは、任意のタイプの適切に安全な定格のデバイスが分圧器で使用されてもよい(例えば、分圧器が2つの直列レジスタにより形成されてもよい)。
【0051】
[0055] 方法400はステップ406へ進み、このステップでは、分圧器の要素のうちの1つの両端子間で電圧が測定される。例えば、コンデンサCmの両端子間で電圧が測定される。既に説明したように、その後、測定電圧に基づいて第1の電圧V1が決定される。この場合、第1の電圧V1はベクトル量である。
【0052】
[0056] ステップ408では、分圧器が、第1のAC線から切断されて、インバータ出力にある第2のAC相線とインバータ入力側のDC線との間に結合される。
【0053】
[0057] 幾つかの実施形態において、インバータは、ステップ404,408中に分圧器がAC線およびDC線の両端間に結合されるときに電力を生成していない。そのような実施形態において、分圧器は、所望のAC線と分圧器との間のスイッチ、例えばスイッチS1またはS2のうちの1つを作動させることによって、または、インバータのAC出力ブリッジ内の1つ以上のスイッチ(例えば、ACブリッジスイッチ252−1/252−2または254−1/254−2のうちの1つ)を作動させることによって、AC線およびDC線の両端間に結合されてもよい。そのようなスイッチの作動/非作動は、例えばインバータのフェーズロックループ(PLL)によって配電網電圧波形と同期され、また、配電網電圧以下の周波数にあってもよい(例えば、分圧器は、幾つかの配電網サイクルにわたって第1のAC線およびDC線の両端間に結合されてもよく、その後、幾つかの配電網サイクルにわたって第2のAC線およびDC線の両端間に結合されてもよい)。あるいは、そのようなスイッチは、配電網周波数よりも高いが一般に電力を生成するための通常の変換器スイッチング周波数以下の周波数で動作されてもよい。
【0054】
[0058] 他の実施形態において、インバータは、分圧器がステップ404,408中にAC線およびDC線の両端間に結合されるときに電力を生成している。そのような実施形態において、インバータのAC側のACブリッジスイッチ(例えば、ACブリッジ250のスイッチ)は、既に説明したように分圧器を線の両端間に結合するために利用される。
【0055】
[0059] 方法400はステップ410へ進み、このステップ410では、ステップ406の場合と同様に、同じ分圧器要素の両端子間(例えば、コンデンサCmの両端子間)で電圧が測定される。既に説明したように、その後、測定電圧に基づいて第2の電圧V2が決定される。この場合、第2の電圧V2はベクトル量である。分圧器をAC線およびDC線の両端間に結合させるためにACブリッジスイッチ以外のスイッチが利用される実施形態においては、電圧測定後に分圧器がAC線から切断される。
【0056】
[0060] ステップ412では、第1のAC相線と第2のAC相線との間の差分電圧が(例えば、AC電圧モニタ116によって)測定されるとともに、前述したようにベクトル量VL1−VL2が決定される。その後、方法400はステップ414へと進み、このステップ414では、グランドに対するDC側インピーダンスZpvが前述したように決定される。その後、方法400はステップ416へと進み、このステップ416では、グランドに対するインピーダンスZpvの振幅及び/又は位相が閾値と比較される。
【0057】
[0061] ステップ418では、インピーダンスが閾値を超えているかどうかの決定がなされる。インピーダンスが閾値を超えていると決定される場合、方法400はステップ420へ進む。ステップ420では、インバータにより電力が生成される。インバータが電力を生成していないときに地絡インピーダンス検出が行われる実施形態では、インバータにおいて電力生成が始まる。インバータが電力を生成している間に地絡インピーダンス検出が行われる実施形態では、電力生成が継続する。
【0058】
[0062] ステップ418においてインピーダンスが閾値を超えてないと決定される場合には、方法400がステップ422へ進み、このステップ422では、インバータによる電力生成が行えないようにされる。インバータが電力を生成していないときに地絡インピーダンス検出が行われる実施形態では、インバータにおいて電力生成が始まることが防止される。インバータが電力を生成している間に地絡インピーダンス検出が行われる実施形態では、電力生成が停止される。また、地絡状態を示す警報が発せられてもよい。
【0059】
[0063] 方法400は、ステップ420またはステップ422のいずれかからステップ424へと進み、このステップ424で終了する。方法400の幾つかの実施形態では、例えば電力生成を妨げるべきかどうかを決定する一環として、抵抗リーク(Zpvの実部)を容量リーク(Zpvの虚部)から区別するために、グランドに対するDC側インピーダンスZpvに関する位相情報が使用されてもよい。
【0060】
[0064]
図5は、本発明の1つ以上の実施形態を備える電力変換のためのシステム500のブロック図である。この図は、本発明を利用してもよい無数の想定し得るシステム形態およびデバイスの1つの変形を描くにすぎない。本発明は、DC側地絡検出を必要とする任意のDC−ACシステムまたはデバイスで利用され得る。
【0061】
[0065] システム500は、まとめてインバータ104と称される複数のインバータ104−1,104−2....104−Nと、まとめてPVモジュール102と称される複数のPVモジュール102−1,102−2....102−Nと、システムコントローラ506と、バス508と、負荷センター510と、配電網118とを備える。他の実施形態において、PVモジュール102のうちの1つ以上は、DC電力を供給するための任意の他のタイプの適したDC源、例えば、バッテリー、他のタイプの再生可能エネルギー源(例えば、風力タービン、水力発電システム、または、同様の再生可能エネルギー源)、または、同様のものであってもよい。
【0062】
[0066] 各インバータ104−1,104−2....104−Nは、単一のPVモジュール102−1,102−2....102−Nにそれぞれ結合される。幾つかの別の実施形態では、複数のPVモジュール102が、単一のインバータ104、例えばストリングインバータまたは単一集中型インバータに結合されてもよい。インバータ102のそれぞれは地絡検出回路112を備える(すなわち、インバータ104−1,104−2....104−Nが地絡検出回路112−1,112−2...112−Nをそれぞれ備える)。
【0063】
[0067] インバータ104は、バス508を介してシステムコントローラ506に結合される。システムコントローラ506は、インバータ104の動作制御を行うために、無線通信及び/又は有線通信によってインバータ104と通信できる。インバータ104は、バス508を介して負荷センター510に更に結合される。
【0064】
[0068] インバータ104はそれぞれ、受けたDC電力をAC電力へ変換することができる。その後、生成された電力は更に配電網118に結合される。前述したように、インバータ104は、単相AC電力、二相AC電力、分相AC電力、または、三相AC電力を生成してもよい。生成された電力は、バス508を介して負荷センター510に結合され、その後、配電網118に更に結合される。特定の実施形態において、システム500は、直列接続マイクロインバータ(SCMI)であってもよく、例えばSCMI冗長管理を伴う。
【0065】
[0069] 地絡検出回路112は、DC側地絡状態が存在するかどうかを決定するために前述したように動作する。地絡状態が検出される場合には、対応するインバータ104における電力生成が行えないようにされる。
【0066】
[0070] 本発明の実施形態の前述の説明は、記載された様々な機能を果たす多くの要素、デバイス、回路、及び/又は、アセンブリを備える。これらの要素、デバイス、回路、及び/又は、アセンブリは、それらのそれぞれに記載される機能を果たすための手段の典型的な実施である。
【0067】
[0071] 以上は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明の他の更なる実施形態が考え出されてもよく、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲により決定される。