(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光半導体装置用リードフレームの一例の構成を示した図である。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る光半導体装置用リードフレームの一例の平面図である。
図1(b)は、
図1のA−A’断面における断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光半導体装置の一例の構成を示した断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るリードフレームの一例を示した図である。
図3(a)は、本発明の第2の実施形態に係るリードフレームの一例の平面図である。
図3(b)は、
図3(a)のB−B’断面で切断した断面図である。
【
図4】第2の実施形態に係るリードフレームを用いた樹脂付きリードフレームの一例を示した断面図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係るリードフレームの一例を示した平面図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態に係るリードフレーム及び樹脂付きリードフレームの一例を示した断面構成図である。
【
図7】本発明の第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の前半の一連の工程を説明するための図である。
図7(a)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の金属板準備工程の一例を示した図である。
図7(b)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第1のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
図7(c)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第1のエッチング工程の一例を示した図である。
【
図8】本発明の第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の中盤の一連の工程を説明するための図である。
図8(a)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第1のレジスト剥離工程の一例を示した図である。
図8(b)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第2のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
図8(c)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第2のエッチング工程の一例を示した図である。
【
図9】本発明の第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の後半の一連の工程を説明するための図である。
図9(a)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第2のレジスト剥離工程の一例を示した図である。
図9(b)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の表面平滑化工程の一例を示した図である。
図9(c)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法のめっき工程の一例を示した図である。
【
図10】本発明の第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法の一例について説明するための図である。
図10(a)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法の樹脂付きリードフレーム製造工程の一例を示した図である。
図10(b)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法の光半導体素子搭載工程の一例を示した図である。
図10(c)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法のワイヤーボンディング工程の一例を示した図である。
図10(d)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法のモールド工程の一例を示した図である。
【
図11】従来のリードフレームを用いた光半導体装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0017】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光半導体装置用リードフレームの一例の構成を示した図である。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る光半導体装置用リードフレームの一例の平面図であり、
図1(b)は、
図1のA−A’断面における断面図である。
【0018】
図1(a)、(b)に示すように、第1の実施形態に係る光半導体装置用リードフレーム50は、ダイパッド部10と、リード部20とを有する。また、ダイパッド部10及びリード部20の中央側、つまり互いに近接する側には、各々凹部30が形成されている。また、凹部30の底面には、めっき層40が形成されている。
【0019】
光半導体装置用リードフレーム50は、金属板をエッチング加工して、ダイパッド部10とリード部20を形成することにより構成される。金属板の材質としては、一般的に銅系合金が用いられる。板厚は、0.1mm〜0.3mmのものが用いられることが多い。リード部20は、ダイパッド部10に対応して一つ或いは複数配置される。
【0020】
ダイパッド部10は、LED素子等の発光半導体素子を搭載するための領域である。リード部20は、ダイパッド部10に搭載された発光半導体素子の電極を電気的に接続するための端子を構成する領域であり、よって、ダイパッド部10の周辺に配置される。
【0021】
ダイパッド部10及びリード部20の周縁の一部或いは全周には、LED素子搭載面(
図1(b)における上面)の反対側の面(
図1(b)における下面)よりエッチング加工されて、ダイパッド部10及びリード部20の縁より内側へ向けて板厚よりも厚みの薄い薄肉部16が形成されている。
【0022】
LED素子を搭載するダイパッド部10とダイパッド部10の周辺に配置されたリード部20のLED素子搭載面側の中央寄りの領域には、凹部30が形成されている。ダイパッド部10のLED素子を搭載する領域11の周辺及びリード部20の接続部21の周辺を含む部分が凹部30となっている。なお、ダイパッド部10とリード部20が対向する面側には、縁部がある。
【0023】
凹部30の深さは、用途に応じて種々の深さに設定されてよいが、例えば、0.005mm〜0.05mmであってもよい。0.005mm以下では、外部樹脂部作製時のモールド金型の上型の凸部に接触してしまい、めっき層40に曇りや傷、汚れ等不具合が発生するおそれがある。一方、凹部30の深さが0.05mmを超えると、ダイパッド部10やリード部20にあるLED素子搭載面の反対側の面より行っている薄肉部16の厚さが薄くなり、強度が維持できない。好ましくは、凹部30の深さは、0.005mm〜0.03mmであってもよい。
【0024】
凹部30には、凹部30が形成後、少なくとも凹部30を含む領域にめっきが施され、めっき層40が形成される。めっき処理は、凹部30の範囲のみ、凹部30を含みLED素子搭載面の一部の範囲に部分めっき、または全面めっきを行ってもよい。
【0025】
ここで、凹部30及びめっき層40と外部樹脂部との関係を説明するため、第1の実施形態に係るリードフレーム50を用いた光半導体装置の一例の構成について説明する。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る光半導体装置110の一例の構成を示した断面図である。
図2で用いられているリードフレーム50は、
図1で説明したように、LED素子80を搭載するダイパッド部10と、ダイパッド部10の周辺に空間を隔てて配置されたリード部20とで構成される。ダイパッド部10の上面にはLED素子80が搭載され、LED素子80の電極とリード部20とはボンディングワイヤー90等により電気的に接続されている。このLED素子80が搭載された領域11とこれに電気的に接続されたリード部20の接続部21を取り囲む形で、ダイパッド部10とリード部20からなるリードフレーム50の上に外部樹脂部60が形成されている。また、ダイパッド部10とリード部20が対向する空間部分及びダイパッド部10やリード部20の縁より内側へ向けて形成された板厚よりも厚みの薄い薄肉部16のそれぞれの下にも、同時に外部樹脂70が充填される。外部樹脂部60が取り囲んだLED素子80と電気的接続部(端子部)の上方には、透明樹脂で充填された封止樹脂部100が設けられる。
【0027】
凹部30の外側端の位置は、
図2に示す外部樹脂部60の開口部下側位置12、22、つまり外部樹脂部60とダイパッド部10及びリード部20との接触面の内側の境界線よりも0.05mm以上内側に設定する。開口部下側位置12、22と凹部30との距離が0.05mm未満の場合、外部樹脂部のモールド加工精度にもよるが、凹部30の位置が開口部下側位置12、22より外側になる可能性があり、また、外部樹脂部60の漏れ・滲みがより発生しやすくなる。好ましくは、凹部30の外側端は、開口部下側位置12、22より0.1mm内側の位置に設定する。ダイパッド部10とリード部20に対向する面側の縁部は、上述したのと同様、0.05mm以上の縁幅に設定する。更に、好ましくは、0.1mm以上の線幅に設定する。
【0028】
凹部30を含みLED素子搭載面の一部の範囲に部分めっきの場合は、LED素子搭載面のリードフレーム50の上に形成される外部樹脂部60の開口部下側位置12、22より広い範囲に設定する。外部樹脂部60を形成する工程で、封止樹脂部100の空間を確保するため、ダイパッド部10やリード部20をモールド金型の上型の凸部で押さえているが、めっきの範囲が、リードフレーム50の上に形成される外部樹脂部60の開口部下側位置12、22より小さいと、めっき厚さ分の隙間が生じ、外部樹脂部60の開口部下側位置12、22近辺に外部樹脂部60の漏れや滲みが発生しやすく、樹脂バリになりやすい。これを防止するために、部分めっきの範囲を外部樹脂部60の開口部下側位置12、22より広い範囲に設定することは有効である。
【0029】
めっき層40の形成範囲を凹部30の底面の範囲のみにした場合、後述する製造方法でも説明するが、凹部加工とめっきを施す位置が同じになり、同一のレジストマスクを用いて凹部加工とめっき処理を連続的に行うことができるため、レジスト作製工程を同一にでき、工程の削減が可能となる。
【0030】
ダイパッド部10とリード部20の凹部30は、エッチング加工によって形成される。エッチング加工された金属板の表面は、エッチング加工されていない金属板の表面に比較して、表面粗さが大きくなる。表面粗さが大きい状態で、貴金属めっきを行うと、加工面の表面粗さが大きい状態に倣い、めっき後のめっき表面も、表面粗さが大きい状態が引き継がれてしまう。これにより、エッチング加工されていない金属板の表面にめっきした状態と比較して、光の反射率が低下する。貴金属めっき層40は、LED素子80からの下方向の光を反射させる目的がある。そこで、凹部30のエッチング加工面に、表面平滑化作用を有する薬液を供給し、薬液で凹部30の表面平滑処理を行う。表面平滑処理を行った後の表面粗さは、三次元中心面平均粗さ SRa0.05μm以下が望ましい。表面粗さSRa0.05μm以下の滑らかさを有する表面上に貴金属めっきを施すことにより、エッチング加工されていない金属板の表面にめっきした状態とほぼ同等の光の反射率を得ることができる。即ち、SRa0.05μmを超えると反射率が低下してしまうため、エッチング加工後の凹部30の表面をSRa0.05μm以下にし、その表面上にめっき層40を形成することが好ましい。なお、表面平滑処理は、凹部30のみならず、全面に処理を行ってもよい。
【0031】
表面平滑処理は、表面平滑化作用を有する薬液を、エッチング加工された凹部30に供給することにより行うが、薬液の供給は、スプレー等を用いて噴霧、シャワー等で供給してもよいし、薬液を満たした薬液槽にリードフレーム50を浸漬させて薬液処理を行ってもよい。なお、表面平滑処理を行うための薬液は、リードフレーム50に用いられている金属板の材料の表面を平滑化できる薬液であれば、種々の薬液を用いてよいが、例えば、メルテックス社製カッパー−58等を用いてもよい。
【0032】
また、貴金属からなるめっき層40の厚さは、4.0μm以下に設定する。貴金属めっき層40の厚さが4.0μmを超えると金属板の表面の粗さの影響がなくなるが、貴金属めっき層40自体の結晶粒径の影響を受け易くなり、金属表面に4.0μm以下で貴金属めっきした反射率より低下する。また、めっき層40の厚さが2.5μm未満であると、エッチング加工面の表面粗さを修正する機能を全く果たさなくなるとともに、接合性が不足するおそれがある。よって、めっき層40の厚さは、2.5μm以上4.0μm以下であることが好ましい。
【0033】
貴金属めっきは、ダイパッド部10及びリード部20のLED素子80の搭載面側には、LED素子の搭載及びLED素子80とリード部20とのワイヤーボンディング等接続、並びにLED素子80からの光を効率的に反射させるために最表層(最上層)に施される。最表層のめっきは、AgまたはAg合金めっきが分光反射率の点から好適である。
【0034】
最表層よりも基材寄りの内装側のめっきは、一般にリードフレームに使用されるめっきであればよい。
【0035】
なお、本実施形態においては、凹部30を含む金属板表面上に直接行われるめっきにより形成されるめっき層と、最表層に施されるめっき層とを特に区別せずに、全体としてめっき層40として表現している。しかしながら、めっき層40の断面構成としては、上述のような異なる複数のめっき金属材料からなる積層構造を有するめっき層40であってもよい。
【0036】
ダイパッド部10及びリード部20の裏面側は、基板との実装端子面となり、実装時のはんだ濡れ性を向上させるためのめっきが施される。めっきの種類としては、LED素子80の搭載面側のめっき層40と同様、最表層をAgまたはAg合金めっき、最表層よりも基材寄りの内層側のめっきは、一般にリードフレームに使用されるめっきであればよい。コスト面などを考慮して、はんだ実装面側のみをNi/Pd/Auめっき等としてもよい。
【0037】
第1の実施形態に係るリードフレーム50及び光半導体装置110によれば、ダイパッド部10及びリード部20の表面の、外部樹脂部60が設けられる位置の内側の境界である外部樹脂開口部下側位置12、22よりも内側に凹部30を形成し、少なくとも凹部30の底面にめっき層40を形成することにより、外部樹脂部60を形成するモールド工程における金型の上型とめっき層40との接触を防止することができ、傷や曇り等外観不具合による光反射率の低下がなく、高輝度を維持した光半導体装置を得ることができる。また、リードフレームに貴金属めっきを施した後の搬送や整列・包装等の取り扱いの中で装置の搬送部の部品との接触やリードフレームどうしが接触などによって、めっき面の傷や汚れの不具合の発生がなくなり、リードフレームの生産性を向上させることができる。
【0038】
〔第2の実施形態〕
図3は、本発明の第2の実施形態に係るリードフレーム50aの一例を示した図である。
図3(a)は、本発明の第2の実施形態に係るリードフレーム50aの一例の平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のB−B’断面で切断した断面図である。なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
第2の実施形態に係るリードフレーム50aでは、ダイパッド部10a及びリード部20aの外部樹脂部60で覆われない中央側の領域だけでなく、外部樹脂部60で覆われる領域にもエッチング加工が施され、エッチング加工が施されずに金属板が残った部分が突起14、15、24、25を形成している点で、実施形態1に係るリードフレーム50と異なっている。
【0040】
即ち、凹部30と同時にLED素子搭載面のリードフレーム50aの上に形成される外部樹脂部60で覆われる領域にも凹部31を形成してもよい。この場合、
図3(a)、(b)に示すように、凹部31の加工を行わず、結果的に突起13、14、15、23、24、25の形状に非エッチング加工部分を残してもよい。この突起13、14、23、24は、ダイパッド部10aのLED素子80を搭載する部分の周辺及びリード部20aの接続部21の周辺を含む部分の凹部30を取り囲むように枠状に設ける。突起15、25は、樹脂密着性を向上させるため、楕円形状の輪のようにしても、円状あるいは楕円、矩形等複数設けることもできる。好ましくは、平面円状の突起を複数設ける方が、モールド時の樹脂の流れが良くボイド不具合の防止にもなる。突起の位置や突起の平面形状は任意に設定できる。
図3(a)、(b)においては、突起13、14、23、24は連続した枠状に構成されているが、外側の突起15、25は、複数の円柱状に構成されている。これにより、外側領域におけるダイパッド部10a及びリード部20aのLED素子搭載面側の表面と外部樹脂部60との密着性を高めることができる。
【0041】
図4は、第2の実施形態に係るリードフレーム50aを用いた樹脂付きリードフレーム55aの一例を示した断面図である。即ち、
図4に示した第2の実施形態に係るリードフレーム50aは、外部樹脂部60を備えているので、光半導体装置用樹脂付きリードフレーム55aである。
【0042】
樹脂付きリードフレーム55aは、リードフレーム50aに外部樹脂部60を形成したものであって、外部樹脂部60は、ダイパッド部10aのLED素子80を搭載した領域11(
図2参照)の周辺及びLED素子80の電極とリード部20cにボンディングワイヤー90等で電気的に接続した接続部21(
図2参照)の周辺を除いて、ダイパッド部10a及びリード部20aの上に形成される。また、ダイパッド部10aとリード部20aに対向する面の隙間部等にも同時に外部樹脂70で充填される。
【0043】
図4に示す通り、少なくとも中央側の凹部30の底面上にめっき層40が形成され、外部樹脂部60のモールド形成時にめっき層40を保護することができるとともに、突起15、25の形成により、外部樹脂部60とダイパッド部10a及びリード部20aとの密着性を高めることができる。
【0044】
〔第3の実施形態〕
図5は、本発明の第3の実施形態に係るリードフレーム50bの一例を示した平面図である。第3の実施形態に係るリードフレーム50bは、外側の突起15a、25aの形状が第2の実施形態に係るリードフレーム50aと異なっているが、他の構成は第2の実施形態に係るリードフレーム50aと同様である。
【0045】
図5において、外部樹脂部60に覆われる領域に形成された突起15a、25aの形状は、円柱ではなく、細長い四角柱に構成されており、ダイパッド部10b及びリード部20bの表面上に各々3個ずつ四角柱が形成された構造となっている点で、第2の実施形態に係るリードフレーム50aと異なっている。このように、突起15a、25aの形状は、用途に応じて種々の形状とすることができる。
【0046】
第3の実施形態に係るリードフレーム50bにおいても、第2の実施形態に係るリードフレーム50aと同様の効果を得ることができ、外部樹脂部60のモールド形成時にめっき層40を保護することができるとともに、突起15a、25aの形成により、外部樹脂部60とダイパッド部10b及びリード部20bとの密着性を高めることができる。
【0047】
〔第4の実施形態〕
図6は、本発明の第4の実施形態に係るリードフレーム50c及び樹脂付きリードフレーム55cの一例を示した断面構成図である。第4の実施形態に係るリードフレーム50cは、基本構成自体は第2の実施形態に係るリードフレーム50aと同様であるが、突起14c、24cの形成位置が、
図3に示した第2の実施形態に係るリードフレーム50aと異なっている。
【0048】
即ち、リードフレーム50cにおいて、外部樹脂部60で覆われる領域にも凹部31を設けることで結果的に形成される突起部14c、24cの外側端部は、外部樹脂部60の開口部下側位置12、22より内側に設定することもできる。外部樹脂部60を形成するモールド工程で、封止樹脂部100の空間を確保するため、ダイパッド部10cやリード部20cをモールド金型の上型の凸部で押さえている。突起部14c、24cの外側端部が、外部樹脂部60の開口部下側位置12、24より外側に設定すると、モールド金型の上型の凸部の外部樹脂部60の開口部下側位置12、24に相当する所は、一般的にR状やC面状に加工されており、樹脂封止時ここに応力が集中しやすく樹脂バリの原因になることがある。突起部12c、24cの外側端部を外部樹脂部60の開口部下側位置12、24より上記金型の凸部の角部のR形状やC面形状に係らない程度に内側に設定することで、モールド金型の上型の凸部は、突起部14c、24cと平面で接触することになり、外部樹脂部60の開口部下側位置12、22に相当する所の金型形状に影響されることがなくなる。よって、これによる樹脂バリの発生を低減することができる。突起13、14c、15、23、24c、25の高さは、例えば0.005〜0.05mmであり、好ましくは、0.02〜0.05mmである。外部樹脂部60の樹脂密着性の向上を目的に突起15、25を設けており、樹脂密着性の効果は、0.02mm以上の高さが必要である。0.05mmを超えると、ダイパッド部10cやリード部20cにあるLED素子搭載面の反対側の面より行っている薄肉部16の厚さが薄くなり、強度が維持できない。また、第2の実施形態から第3の実施形態までの突起の高さについても同様である。
【0049】
また、ダイパッド部10cのLED素子80を搭載する領域11(
図2参照)の周辺及びリード部20cの接続部21(
図2参照)の周辺を含む部分の凹部30とリードフレーム50cの上に形成される外部樹脂部60で覆われる凹部31との深さを異ならせてもよい。例えば、ダイパッド部10cのLED素子80を搭載する領域11の周辺及びリード部20cの接続部21の周辺を含む部分の凹部30の深さを0.005mm〜0.02mmと浅くし、リードフレーム50cの上に形成される外部樹脂部60で覆われる領域の凹部31の深さを0.02mm〜0.05mmと深く設定してもよい。外部樹脂部60で覆われる外側領域の凹部31の深さのみ深くすることで、突起15、25の樹脂密着性をより向上させることができる。
【0050】
〔第5の実施形態〕
第5の実施形態では、本発明の第1〜第4の実施形態に係るリードフレーム50、50a〜50d及びこれを用いた樹脂付きリードフレーム、並びに光半導体装置の製造方法について説明する。
【0051】
図7は、本発明の第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の前半の一連の工程を説明するための図である。なお、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法では、第1の実施形態に係るリードフレームの製造方法について主に説明するが、他の第2〜第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法についても適宜言及する。
【0052】
図7(a)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の金属板準備工程の一例を示した図である。
図7(a)に示すように、先ず、平板状の金属板5を準備する。金属板5の材質は、銅合金を用いることができる。準備したこの金属板5を脱脂洗浄し、不要なごみや有機物を取り除く。
【0053】
図7(b)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第1のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
図7(b)に示されるように、第1のレジストパターン形成工程では、エッチング用レジストを用いて、ダイパッド部10及びリード部20の所定のパターンが形成されるようにレジスト層120を作製する。より詳細には、金属板5の表面及び裏面に感光性レジストを塗布する。その後、所定のパターンを、フォトマスクを介して露光する。その後、現像してレジスト層20を作製する。
【0054】
図7(c)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第1のエッチング工程の一例を示した図である。
図7(c)に示されるように、第1のエッチング工程では、レジスト層120で覆われていない開口部121をエッチング液でエッチングする。これにより、ダイパッド部10及びリード部20が形成される。
【0055】
なお、ダイパッド部10やリード部20の薄肉部は、ダイパッド部10及び又はリード部20の周縁の一部或いは全周に設定する。本実施形態では、ダイパッド部10のみに薄肉部16を設定した例について説明する。
【0056】
図8は、本発明の第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の中盤の一連の工程を説明するための図である。
【0057】
図8(a)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第1のレジスト剥離工程の一例を示した図である。
図8(a)に示されるように、第1のレジスト剥離工程では、レジスト層120を、剥離剤を用いて剥離する。
【0058】
図8(b)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第2のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
図8(b)に示されるように、第2のレジストパターン形成工程では、リードフレームのダイパッド部10やリード部20に凹部30を形成すべく、凹部30の形状に合わせた開口部123を有するレジスト層122を形成する。より詳細には、形状が形成されたダイパッド部10及びリード部20の表面及び裏面に、感光性レジストを塗布する。その後、所定のパターンを、フォトマスクを介して露光する。その後、現像してレジスト層122を作製する。
【0059】
なお、
図3〜7に示すように、外部樹脂部60に覆われる領域に、樹脂密着性を向上させるために、非エッチング部を円状、あるいは楕円、矩形等の形状に残すために凹部31を形成するエッチング加工についても、ダイパッド部10やリード部20への凹部30の形成と同時に行うことができる。この場合は、外部樹脂部60で覆われる領域に、凹部31に一致する形状を有する開口部123を形成すればよい。
【0060】
図8(c)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第2のエッチング工程の一例を示した図である。
図8(c)に示されるように、第2のエッチング工程では、レジスト層122で覆われていない開口部123をエッチング液でエッチングする。これにより、ダイパッド部10及びリード部20に凹部30が形成される。なお、必要に応じて凹部31も同時に形成される。
【0061】
図9は、本発明の第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の後半の一連の工程を説明するための図である。
【0062】
図9(a)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の第2のレジスト剥離工程の一例を示した図である。
図9(a)に示されるように、第2のレジスト剥離工程では、レジスト層122を、剥離剤を用いて剥離する。
【0063】
図9(b)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法の表面平滑化工程の一例を示した図である。
図9(b)に示されるように、表面平滑化工程では、少なくともダイパッド部10及びリード部20に凹部30が形成された面に、表面平滑処理を行う。なお、表面平滑処理は、凹部30のみならず、全面に処理を行ってもよい。
【0064】
なお、平滑処理液には、メルテックス社製カッパー−58等がある。表面粗さが、三次元中心面平均粗さ SRa0.05μm以下になるように、濃度や浸漬時間、温度等を調正する。
【0065】
図9(c)は、第5の実施形態に係るリードフレームの製造方法のめっき工程の一例を示した図である。
図9(c)に示されるように、めっき工程では、リードフレーム50のダイパッド部10やリード部20の凹部30に、少なくとも凹部30の底面にめっきが施され、めっき層40が形成される。めっき処理は、凹部底面範囲のみ、凹部底面を含みLED素子搭載面の一部の範囲に部分めっき、または全面めっきでもよい。
【0066】
凹部を含みLED素子搭載面の一部の範囲に部分めっきする場合は、部分めっきをしない部分にレジスト層を形成して部分めっきを行い、その後レジストを剥離する。あるいは、レジストを使用しないで、機械的に部分めっきをしない所をマスク等で覆い、部分めっきする部分のみ開口してめっきを行う方法等を用いてもよい。また、全面めっきする場合は、
図9(b)の表面平滑化工程の後、全面めっきを行う。
【0067】
また、めっきの範囲を凹部30のみの範囲にした場合、凹部加工とめっきを施す領域が同じとなり、レジスト作製工程を同一にでき、工程の削減を行える。
図8(c)の第2のエッチング工程の後、レジスト層122を剥離せず、その状態で、表面平滑処理及びめっき処理を順に施す。その後、レジスト層122を、剥離剤を用いて剥離し、めっき付きリードフレームを作製する。部分めっき用のレジスト作製剥離工程を削除することが可能であり、工数削減ができる。
【0068】
また、ダイパッド部10やリード部20が形成され所定のめっき層40が形成されたリードフレーム50は、必要に応じて所定の数量毎にシート状に切断及び外部樹脂封止時の樹脂止め用の樹脂テープをLED搭載面と反対面に貼り付けてもよい。
【0069】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法の一例について説明するための図である。
【0070】
図10(a)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法の樹脂付きリードフレーム製造工程の一例を示した図である。
図10(a)に示されるように、樹脂付きリードフレーム製造工程では、製造したリードフレーム50をトランスファーモールドや射出成形することにより、リードフレーム50上に外部樹脂部60を形成する。外部樹脂としては、一般的には熱可塑性樹脂が使用される。外部樹脂部60は、リードフレーム50上に形成されると共に、ダイパッド部10とリード部20が対向する空間部にも同時に充填される。外部樹脂部60は、後述するLED素子80及びワイヤーボンディング等でリード部20と電気的に接続した接続部21の周辺を囲うように形成される。また、その周辺部の面は、LED素子80から発生した光が、外部樹脂部60により上方へ反射するようにテーパー形状に形成される。本工程により、樹脂付きリードフレーム55が完成する。
【0071】
図10(b)〜(d)は、樹脂付きリードフレーム55を用いて、光半導体装置を製造する一連の工程を示した図である。
【0072】
図10(b)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法の光半導体素子搭載工程の一例を示した図である。
図10(b)に示されるように、光半導体素子搭載工程では、得られた樹脂付きリードフレーム55を用いて、ダイパッド部10上にLED素子80を搭載する。予め、Agペースト等をダイパッド部10の表面に塗布し、LED素子80をダイパッド部10上に固定する。
【0073】
図10(c)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法のワイヤーボンディング工程の一例を示した図である。
図10(c)に示されるように、ワイヤーボンディング工程では、LED素子80の電極とリード部20とをワイヤーボンディング等の接続方法により、ボンディングワイヤー90等の接続手段を用いて電気的に接続する。
【0074】
図10(d)は、第5の実施形態に係る光半導体装置の製造方法のモールド工程の一例を示した図である。
図10(d)に示されるように、モールド工程では、外部樹脂部60で囲まれたLED素子80とボンディングワイヤー90等でリード部20と電気的に接続された接続部21の周辺部を透明樹脂からなる封止樹脂100でモールドする。
【0075】
最後に、所定のパッケージ寸法になるように複数個配列されている場合は、個片化する。一括でモールドされている場合は、ダイシング等により、個別モールドされている場合は、プレス等で打ち抜き、個片化する。
【0076】
〔実施例1〕
以上説明した製造方法により光半導体装置は作製されるが、次に、本発明の実施形態に係るリードフレームの製造方法の実施例を説明する。なお、説明の便宜のため、今まで説明した構成要素に対応する構成要素には、同一の参照符号を付すものとする。
【0077】
リードフレーム50用の金属板5としては、厚さ0.2mm、幅180mmの帯状の銅材(古河電工株式会社製:EFTEC−64T)を用いた。先ず、リードフレーム50用の金属板5を、脱脂、洗浄した。その後、リードフレーム50のパターンを形成するためのレジスト層120を作製した。詳細には、先ず、金属板5の表面に感光性レジストを厚さ0.02mm塗布した。レジストとしては、ネガ型感光性レジスト(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)を使用した。次に、ダイパッド部10及びリード部20が所定のパターンになるようにガラスマスクを用いて、レジスト層を露光した。その後、現像してレジスト層120を作製した。
【0078】
また、ダイパッド部10とリード部20の対向面のダイパッド側に薄肉部16を形成した。薄肉部16の厚さは0.1mm、幅は0.2mmになるように設定した。
【0079】
その後、エッチング液にてエッチングを行った。エッチング液としては、塩化第二鉄溶液を使用した。必要に応じて、エッチング液の吹き出し方向や、吹き付け圧力等を適宜調整した。
【0080】
そして、エッチングが終了した後レジスト120を剥離し、ダイパッド部10及びリード部20を形成した。
【0081】
次に、ダイパッド部10及びリード部20に凹部30を作製した。凹部30は、外部樹脂部の開口部下側位置12、22より0.1mm内側に設定した。ダイパッド部10とリード部20に対向面側の縁部の縁幅も0.1mmに設定した。先ず、ダイパッド部10及びリード部20の表面に感光性レジストを厚さ0.02mm塗布した。レジストとしては、ネガ型感光性レジスト(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)を使用した。次に、ダイパッド部10及びリード部20が所定のパターンになるようにガラスマスクを用いて、レジスト層を露光した。その後、現像してレジスト層122を作製した。その後、エッチング液にてエッチングを行った。エッチング液としては、塩化第二鉄溶液を使用した。必要に応じて、エッチング液の吹き出し方向や、吹き付け圧力等を適宜調整した。
【0082】
凹部30の深さについては、表1に従い設定した。その後、レジスト122を剥離した。
【0083】
次に、ダイパッド部10及びリード部20に凹部30が形成された面を含め全面に表面平滑処理を行った。表面平滑処理液は、メルテックス社製カッパー−58で行った。めっき前の凹部30の表面粗さについては、表1の値になるように、浸漬時間、濃度、温度等を調正した。
【0084】
その後、貴金属めっきを行ってめっき層40を形成した。貴金属めっきは、Agめっき、めっき厚さ3.0μmで行った。めっき範囲は、表1に示した通りである。
【0085】
その後、各リードフレーム50をシート状に切断した。
【0086】
また、上記リードフレーム50を使用して、外部樹脂をモールドして樹脂付きリードフレーム55を作製した。その後、樹脂付きリードフレーム55を使用して、LED素子80を搭載した。ワイヤーボンディング後、透明封止してからダイシング加工を行い、個片化して光半導体装置を完成させた。
【0087】
【表1】
〔実施例2〜9、比較例1〜2〕
表1に実施例2〜9、比較例1〜2の各設定を示す。
【0088】
実施例2〜5では、凹部30の深さとめっき前の凹部30の表面粗さを、表1に示した通りにした。その他は、実施例1と同じ方法で作製した。
【0089】
実施例6では、めっきが部分めっきで、部分めっきの範囲を外部樹脂部の開口部下側位置12、22より0.1mm外側に設定した。その他は、実施例3と同じである。
【0090】
実施例7では、めっきの範囲を凹部のみとした。第2のエッチング工程までは、実施例3と同じで、第2のエッチング工程の後、レジスト層122を剥離せず、その状態で、表面平滑処理及びめっき処理を順に施し、その後、レジスト層を剥離しリードフレームを完成させた。その後の工程は、実施例3と同じである。
【0091】
実施例8では、外部樹脂部60にも凹部31を形成した。突起14、24の外側端部は、外部樹脂部60の開口部下側位置12、22より0.1mm内側に設定した。突起14、24の幅は0.1mmに設定した。外部樹脂部60には、突起15、25として、φ0.15mmの円柱を複数設定した。その他は、実施例3と同じである。
【0092】
実施例9では、ダイパッド部10のLED素子80を搭載する領域11の周辺及びリード部20の接続部21の周辺を含む領域の凹部30の深さは0.01mm、外部樹脂部60の下方の凹部31の深さを0.03mmに設定した。その他は、実施例8と同じである。
【0093】
比較例1は、凹部の加工及び表面平滑処理工程を行わず、その他は実施例1と同じ製造方法である。
【0094】
比較例2は、凹部の加工後、表面平滑処理を行わず、その他は実施例1と同じ製造方法である。
【0095】
また、めっき層40の表面の状況を確認するため、外部樹脂部60をモールドする工程で金型の接触でダイパッド部10及びリード部20の凹部30に曇りや汚れの不具合があるか否かについて、樹脂付きリードフレーム10枚の全ダイパッド部10、及びリード部20の凹部30を顕微鏡により観察した。その結果も表1に示す。
【0096】
反射率は、反射率測定器(日立製作所製U4100)を用いて波長450nmで測定を行った。比較例1の反射率を基準に ○:基準より5%以内の低下もしくは基準以上 △:基準より5%を超えて低下 ×:基準より10%を超えて低下で評価した。その結果も表1に示す。
【0097】
この結果、実施例1〜9では、ダイパッド部及びリード部の凹部での曇りや汚れ等の発生はなかった。また、反射率もほぼ、エッチング加工されていない金属材料表面にめっきした状態を維持していることが確認できた。これにより、半導体装置での反射面汚れや曇りによる輝度の低下も防止できた。
【0098】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。