(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。各実施形態の中で説明する各技術はこの出願中において関係する他の実施形態においても同様に適用することができる。
図1ないし
図3はその一実施形態を示す。1は沈澱池で、この沈澱池1は、一方向に長い平面矩形をした凹状躯体とされ、両側壁2,2とそれに直交する前後の端壁3,3とを有するとともに底壁4を備える。
図2の右側の端壁3側が汚水の流入する上流側の壁で、一般に整流孔つきの整流壁とされており、左側の端壁3側は、越流堰を通じて清澄水が流出する側とされている。
【0010】
側壁2,2間には、
図2にその模式断面を示すように、固定式のトラフ5と同トラフ5の前側(上流側)に上下運動可能に取り付けられた堰6とを有するスカム除去装置7が装架されており、堰7は定期的に上下し水面8より下がることで水面8上に浮遊するスカムを呑み込んでトラフ5内を通じて池外に排除する一方上がることでスカムの呑み込みを停止するようになっている。
【0011】
底壁4は、
図2の左端から右端の汚泥ピット10の手前まであって緩徐に下がり傾斜した面となっている。尚、下流側の端壁3と底壁4の前端との間の寸法はこの実施形態においては15m前後に設定されている。
底壁4上には、
図1のように、池幅(側壁2,2間の方向)間の中央を基準にその一定幅内にあるように左右一対のガイドレール11が固定式に敷設されており、その下流側である後端は
図2のように端壁3の少し手前に位置し、上流側の前端は汚泥ピット10上に少し張り出すようにして固定されている。
【0012】
このガイドレール11は、
図3に示すように、アングルでなり、その長手方向に一定間隔をおいた底面個所には座板12が渡されているとともに、適宜に補強リブ13を備えて全体が構成され、底壁4に植設されたアンカーボルトに座板12の孔を入れてナットで締め付けることでガイドレール11の全体は固定されるようになっている。このガイドレール11は、従来、補強リブ13を溶接一体化したSUS製で、その左右一対のものの底面にSUS製座板12を渡して溶接するものとされていた。
【0013】
これに対し、この実施形態では、
図4および
図5に示すように、ガイドレール11を炭素繊維やガラス繊維などの強化樹脂を用いて補強リブ13および座板12付きの長尺体として一体形成したものである。他の樹脂として、ボロン繊維強化樹脂、アラミド繊維強化樹脂、ポリエチレン繊維強化樹脂、ザイロン強化樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂などを使用することがある。以下、これらは強化樹脂と総称する。
【0014】
この実施形態では、さらに、前後を1本通し式とせず、連結式としたもので、その場合、ガイドレール11に一体の前端片15と後端片16とを備えてこれらを上下に重ね合わせてアンカーボルト17に通して締付固定することにより前後間を連結する方式としたものである。
尚、下流側の端壁3側となるガイドレール11の後端には、 汚泥掻寄装置を牽引により進退駆動させるリンクチェーンを方向転換のため巻回するためのシーブ18のシーブ軸19を取り付けるための軸付け用座板20を備えることができ、この座板20は、前記後端片16と共通化することができる。
【0015】
図1ないし
図3における23は機体(車上機ともいう)で、SUS製で前後2本の丸パイプからなっている。24は受台、25は後受台で、受台24は溝を下向きとした角形の溝形材でなり、その幅は左右一対のガイドレール11,11の外幅に略対応するもので、
図1および
図2における右側である前端位置と中間位置とに配置され、後受台25は、
図1および
図2の左側端位置に配置され、前記と同じ角形の溝形材でなるが、幅は受台24程長くなく各ガイドレール11の幅程度の短いもので左右一対からなっている。
【0016】
前側の受台24の後側には、アングル材からなる連結材26が取り付けられて、この連結材26と中間の受台24との間に1本(前側)の前機体23aが一体連結されている。中間の受台24の後側にも連結材26が取り付けられて、この連結材26と後方の連結材26との間にも他の1本(後側)の後機体23bが連結一体化されている。後側の連結材26と後受台25とは一体化されている。尚、連結材26の端部には、ガイドレール11の外側に沿って転動して振れ止めをする安定化用のサイドローラー28が取り付けられている。
尚、機体23は、
図6に別途取り上げて示すように、2本など複数本のパイプをフランジ接合して1本のパイプにする場合もあり、この場合、SUS製でなくフランジも含めて強化樹脂製とすることもある。
【0017】
機体23の前おおよび中間位置には、
図7に示すような連結ブラケット30が一体化され、同ブラケット30には軸受体31を介して車軸32が取り付けられるとともに、車軸32の両端に車輪33を備えてガイドレール11上を転動し得るようになっている。後方の車輪は後受台25内に軸支されているが、図示は省略されている。
尚、前記機体23には、
図7および
図8に示すように、連結ブラケット30を一体化したものにしてこれらを全て強化樹脂製とすることもできる。軸受体31を2つ割式にしてその上半分を連結ブラケット30とともに機体23に一体化して強化樹脂製とすることもできる。勿論、車輪33それ自体も強化樹脂製にすることがある。
【0018】
こうした機体23の前・中間の受台24および後受台25の上側には、左右一対をなすように軸受36が前後3組をなすように配備されている。軸受36は、上下合わせ型であり、これらを介して汚泥スクレーパ37のスクレーパ軸38が回転自在に取り付けられている。
【0019】
図1ないし
図3における汚泥スクレーパ37はスクレーパ軸38を含めてSUS製とされ、即ち、丸パイプ状のスクレーパ軸38とその両側に備えたスクレーパ本体39および同本体39の各内側端に備えた補強板40とを有するとともに、
図12の左図のように、スクレーパ本体39の前縁部には止着具41を介してゴム板42を取り付けるようにする。この場合、ゴム板42や止着具41がスクレーパ本体39の前面よりも突出した形になっていると、そこに汚泥に含まれるし渣分が絡まるようになる。しかし、
図12の右欄のように、スクレーパ本体39を強化樹脂製としてその下縁部を段付状に形成してそこにゴム板42と止着具41が収まるようにしておくと前記したような絡みがなくなる。
【0020】
また、
図9および
図10に示すように、スクレーパ軸38やスクレーパ本体39などでなる汚泥スクレーパ37を強化樹脂製としておき、それを当初は
図9のように横長型に成形して共通化を図るとともに、そのあと池幅や池底形状にマッチさせるようにカットラインcに沿って適宜カットしてゆくことで池仕様に合わせた汚泥スクレーパを簡単に提供することができるようになる。
尚、44は中央スクレーパ板であり、この板44も汚泥スクレーパ37に一体化したり、あるいは
図10に示すように別体でもって後付けするようにしてもよい。
さらに、
図11に示すように、スクレーパ本体39を強化樹脂製とし、それに折曲状のスクレーパ軸38を別途取り付けるようにしてもよい。
【0021】
前記スクレーパ軸38は
図1ないし
図3に示すように、前後に3本設けられているが、その前後間隔は4.2mである。また、同スクレーパ軸38の前および中間のものの中間位置には、第1連動レバー46が一体回転可能に突設されている。同連動レバー46は、第2連動レバー47が連結され、その一端はローラーブラケット48の上端に連結されている。後側のスクレーパ軸38からも第1連動レバー46が突設され、このレバー46は、機体23の底側に平行に通された連動バー50の後端に連動自在に連結されている。
【0022】
連動バー50は、角あるいは丸パイプなどでなり、その中途から上向きに突設したローラーブラケット48にはローラー51が設けられ、機体23の上腹面に沿って進退運動するようになっている。そして、連動バー50の前後端には、リンクチェーンやワイヤーなどの牽引伝達材53が接続され、前側の牽引伝達材53は、シーブ54を介して池上の強化樹脂製カバー55内の駆動源56のドラムに巻設されて押し牽き可能とされる一方、後側の牽引伝達材53もシーブ54を介して駆動源たるドラムに巻設されて押し牽き可能とされている。
【0023】
汚泥掻寄装置は、
図1および
図2において、後側の汚泥スクレーパ37が後(下流)側の端壁3の手前にあるようにして復帰する。その際、前側の牽引伝達材53が牽かれて連動バー50がローラー51を介して前向きに牽かれることにより、各スクレーパ本体39は垂直に下がった状態になって、これから掻き寄せる態勢となっている。スクレーパ本体39が垂直に止まった時点で連動バー50は機体23を同調して前進させてゆく。
【0024】
これにより、汚泥スクレーパ37により汚泥が前向きに掻き寄せられてゆく。機体23は6m前後のストロークをもって前進し、前端の汚泥スクレーパ37は汚泥ピット10上にくるまで前進し、汚泥はピット内に落とされる。しかし、後2枚の汚泥スクレーパ37により掻き寄せられた汚泥は6m押し進められただけで停止する。これらの汚泥は次の段階で前へ押し進められることになる。
【0025】
前進が終わると、後ろ側の牽引伝達材53が牽き動作し、これにより、連動バー50が後向きに牽かれることにより汚泥スクレーパ37は全て上がって復帰態勢になり、その態勢を得たならば機体23が同調して後向きに戻されることになる。そのあとは前側の牽引伝達材53が牽き側となって掻寄態勢に入る。
【0026】
尚、機体23には、
図2に示すように、支柱58が立設されてその上端に起倒自在なスカムスクレーパ59が取り付けられる。このスカムスクレーパ59は、
図2の左向きの時に水面8上に立ち上がることでスカムをスカム除去装置7の方向に掻き寄せるようになっている。こうしたスカム除去方式において、支柱58・スカムスクレーパ59およびトラフ5・堰6は強化樹脂製とすることができる。